チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日のレイジングループはどうかな?


 4.潜入


 5月11日(日):進路を決めよ→藤良を通り過ぎる


 駄目そうな方法を先に供奉しておくという失敗前提の気分になりながら、バイクに乗り、休水の上藤良もスルーしたが、事故ってしまう・・・


 BAD END/№7:スルーで謎死


 4.潜入/Q.進路を決めよに戻って、素直に選ぶが吉。


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 今日のレイジングループはどうかな?


 1.起点/Q.想起せよ


 瞬間、不意に脳裏をかすめる記憶があった→事件のことを思い出す(キー:04)


 トロフィー:惨劇の記憶をゲット!


 陽明は、死んだはずの自分がここに生きているという現状を知り、自分が巻き戻りをしていることに気付く。


 4.潜入


 5月11日(日)


 惨劇前夜に戻ったが、どう終わったか思い出せない陽明。
 休水でしんだらここに戻ってくるのか?
 再びコンビニに買い物をし、店員に近場の地図を見せてもらうことにする。
 店員は、休水への行き方を教えてくれるが、引き返すのも勇気、と言い出す。
 陽明は、ローカルな飲み物が見せてと店員に言って、バックヤードで探してもらう。
 店員が持ってきたのは、山菜コーラだった。
 陽明は、店員にメモを見せて、店員にバックヤードで探してもらうと、全部あった。
 陽明は買い物を済ませて、コンビニの外に出て、さっそく山菜コーラを飲む。


 進路を決めよ→引き返す


 陽明は、無視して去る手が有効なのかどうか、今試そうとする。
 しかし、事故ってしまう・・・
 BAD END/No.6:Uターンで謎死


 簡単に逃げられる選択はないので、4.潜入/Q.進路を決めよを選び直そう。


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 今日のレイジングループはどうかな?


 3.黄泉 5月15日(木)Q.毒殺を止めよに巻き戻る。


 A:肩からぶつかる
 B:手頃な武器をとる


 無意識に手近にあった椅子に手を掛けた陽明は、そのまま凶器を持つ相手に突進し、倒れたかおりに椅子を押し付け動きを封じようを試みた。
 包丁を持つ手を椅子の下敷きにすると、かおりは包丁を取り落とす。
 すかさず千枝実が包丁を蹴とばす。
 最終的には、手ぬぐいやタオルで両手両足を縛り上げ、わめく口に猿轡を噛ませて、なんとかなった。


 食堂にかおりを閉じ込めたまま、食堂の外、霧が立ち込める広場に6名が立ち尽くす。
 多恵が、織部さんもよみびとになってしまった、とつぶやく。
 泰長は、そんなわけない、ちょっとおかしくなっているだけだ、と叫ぶ。
 泰長は、母は僕が責任を持って落ち着ける、と言ったが、清之介は、「霧の中のことは宴で決めるべきだ。でないとけがれるかもしれん」と答え、多恵も賛同したため、泰長も清之介に従うことになった。


 陽明がかおりを見張ることになり、多恵、房之介、泰長、千枝実、春、めー子で、宴を行うことになった。
 「かおりが危険だから、くくる」のに、清之介が1票入れた。
 泰長は、「李花子も危険だから、李花子に1票入れる」と答える。
 多恵は、先か後かはどっちでもいいが、どっちもくくるべき、と答える。
 千枝実は、頭が回っていない、と言って保留する。
 春は、李花子はもう化け物だからくくべき、と答える。
 めー子は、清之介から、「李花子を助けたいなら、かおりをくくれ」と言われたが、話がわからず結局保留。
 李花子は、獣と同じで話はできないし、投票もできない状態だ。
 泰長は、2対1で李花子をくくると言い出すが、清之介は、おおかみを全滅させるほうが先だ、と反論する。
 さらに、清之介は、「よみびとはおおかみではない」と言い出す。つまり、李花子はおおかみではないのだ。
 続けて「おおかみとは、よもつおおかみ。すでに黄泉のけがれを負った存在。おおかみがさらによみびとになるのか?」と言い出し、仮説を話し出す。


 清之介の仮説は、強いけがれをうければ取材者と義次のように惨死する。弱いけがれは狂気となり、狂った御護りがおおかみで、狂ったひとがよみびとになる。つまり穢れの罰は、おおかみにとっては惨死で、ひとには、よみびとと惨死の2通りがある、というものだった。
 もし、おおかみがけがれで狂うと、獣は毛むくじゃらな本性を現すはず。しかし、李花子はそうなってない。


 千枝実は、「こうして全てを手のひらの上でもてあそんでいる神様がこわい。こわいものと田戦わなきゃならなくて、戦うには武器が必要で、陽明さん」とつぶやき、なぜか泰長に確定票を投票し、自分の考えを述べる。
 

 清之介の言い分は半分正しい。この場はおおかみを探すために使うべき。
 自分と同じ優先順位を付けられる人は、清之介だけ。
 めー子は論外。
 春は、状況に関わらず、清之介のアンチと、泰長の味方をするはず。
 多恵は、信心深いので伝説中心で語るだろう。
 泰長は、かおりをくくられないため李花子をくくる話を進めているが、優先度はわかっているはず。「奇し黄泉人、亡きにせん」という言葉より、直接の脅威になり得るおおかみを探すべき。


 それを聞いた泰長は、清之介が適当なことを言って場をかき回したから、義次もモッチーも殺された。そして次は母さんだという、あなたが許せない、と叫ぶ。
 千枝実は、かおりが食事を出した時、泰長と春はいなかったから、あれで全滅してたら、残るはこの2人だった、あとは陽明。と話す。
 そして、泰長がおおかみだったら、とても楽な展開だよね、と続ける。


 トリカブトとかおりが採ったのは朝だろう。それ以外はヒマはなかったはず。
 かおりはその時からみんなを殺す気だった。夜の間に吹き込まれてたとするならね。
 おおかみは2人いる。
 かおりが、唯一残った息子のため1人でけがれを被る覚悟で残るひとの皆殺しを狙ったら、最期におおかみとひとが残っても投票にならないし、ひとである春は何もできない。


 泰長は、「母さんがおおかみなら義次が死ぬわけない。義次を生かすために僕を殺すのはありえたかもしれないけど。母さんは僕よりあいつのほうが好きだから。」と答える。
 千枝実は、「義次が殺されたとは言っていない。単に夜出歩いてけがれを受けただけかもしれない。それにかおりさんはおおかみじゃなくても、息子がおおかみだって知ったらけがれを厭わずに助けるかもしれない。」と話す。
 春は、千枝実が泰長をくくろうとしていることに猛反発し、「あの人に出会って、千枝ねぇが変わっちゃったの?」と言い出す。


 多恵→かおりに投票
 清之介→かおりに投票
 泰長→李花子に投票
 春→李花子に投票


 めー子はどうするのか?となった時、千枝実は「めー子ちゃんよく考えて、あなたの票でひとの勝ち負けがきまっちゃうかもしれないんだから」と言い出し、李花子がいなくなったらいやだよねと吹き込み、めー子はかおりに投票し、かおりがくくられることになった。


 一行がお堂から出てきた。
 めー子は陽明のもとに来た。
 他の一行は、食堂に入り、犠牲者を引きずり出す。
 猿轡が外れたのだろう、犠牲者の呻き声が急に鮮明になる。
 最後の時、母は息子の名前を叫んでいた。それは長男の名前であり、呼ばれた本人も母のことを繰り返し叫んでいた。
 最後、一瞬、犠牲者は別の人間の名前を呼んだような気がしたが。
 何か音がして、その後、叫び声は一切消えた。


 陽明は、めー子に向かって、明日一緒にここを逃げよう、と話しかけた。
 めー子を部屋まで送り届けて、「鍵をかけて、明日の朝、僕が迎えに来るまでしっとしているんだ」と陽明が声を掛けると、めー子は頷いた。


 部屋に戻った陽明は、住人たちが揃って禁忌とする霧の中の皿永下りの結構を検討し始め、仏舎利ロックに合わせて壁にケツアタックを連発しだすと、玄関ドア越しに千枝実の、うるさい!という怒号を響いた。
 陽明は、明日逃げよっか、とドア越しに千枝実に声を掛ける。
 まだ8時で、安全は時間のため、陽明はドアの鍵を開けた。


 何もない部屋に2人、あぐらをかいて対面する。
 陽明は、千枝実に今日の宴の内容を尋ねる。
 千枝実が、「人、殺しちゃった」と話すと、陽明は、「君は悪くないさ」と軽く答える。
 陽明が、かみさまについて話してほしい、と言うと、千枝実が話し出す。


 かみさまは不幸だ。
 かみさまがいるから、どうやってもわたしたちは幸せになれない。
 わたしたちはみんな見てるが、本質は、目に見えないものかも。
 陽明が、それは人間?と尋ねると、千枝実は小さく頷いた。
 休水の誰か?と陽明が尋ねると、千枝実は黙ったまま答えない。
 上藤良の人間?と続けると、千枝実は沈黙を守ったままだが、肩がわずかに震えている。
 「ちがう、ちがう、やっぱちがう!人間じゃない!人間をどうしたってかみさまはどうにもなかない!」と千枝実は大声をあげる。
 陽明が落ち着けと声を掛けると、千枝実は、「わたしを殺して!あなたの手ならわたし死ねる気がする!」と叫ぶ。
 しっかりしろと陽明が声を掛けると、千枝実は、「わたししっかりしている、わたしはけがれてない、わたしは狂ってない、おかしいのは藤良全部よ!おかしいのは、かみさまのほうよ!」と叫ぶ。
 陽明が、かみさまとは状態のことなのか?と声を掛けると、千枝実の視線が陽明の肩越しに久具付けになっていることに気付く。


 それは、いつからそこにいたのか。
 敷居の向こう側に立つ存在-人物-?人なのか?
 薄暗い中に浮かび上がったシルエットは、手足と頭を備えた人影ではあったが、その風体は異様と呼ぶしかなかった。
 全身を経文かなにか文字の書かれた布で覆った小柄な少年?少女?
 「ヨミノニオイニ、オオカミハキヤル。ミソギモノイミユメミセヨ。フシヨシノムスメ。」


 ばたん!という音がして、正面に向き直ると千枝実が倒れていた。
 陽明が揺り起こすと、千枝実は意識が朦朧となっている。
 「眠い、ごめん、帰るわ」と死んだような目をして、千枝実は立ち上がり玄関に向かう。
 このまま帰してはダメだと確信した陽明は、千枝実を抱きしめ、「絶対に連れて行く。捨てる命なら、僕にくれ。明日の朝、千枝実とめー子と連れてここを出る。」と言った。
 「君を連れてじゃないんだ」と千枝実が答えた。


 「君によろしくお願いされたから、その意は最後まで汲ませてもらう」
 「律儀なんだ?」
 「でしょ、実は子供を見殺しにするのは他よりも気分が悪いっている打算もあったりするんだ」
 「いつのまにか呼び捨てになってる」
 「嫌だった?」
 「嫌じゃないけど、けじめじゃないけど、区切りは欲しいな」
 「僕と付き合って」
 「いいよー」
 「だから一緒に逃げよう」
 「わかった。言っておくけど、一緒に死んでもいいって意味だから。」
 「まかせろ。あと他に希望者がいたら連れて行くから」
 「えー、わたしは特別扱いじゃないんだ」
 「特別扱いだよ。他は任意だけど、君とは付き合った以上、ふんじばってでも連れて行く」
 「陽明さん、ありがと」


 一気に声を潤ませる千枝実を陽明はいっそうきつく抱きしめた。
 「わたしが今夜おおかみに殺されたら、なんでもいいからどこか一部だけでも外に連れて行って」という千枝実に、「僕がいる」と陽明は、千枝実を励ます言葉を紡ぎ続けた。
 10分ほどで時間になったので、千枝実は自分の部屋に戻っていった。


 5月16日(金)


 無事に朝を迎えた陽明は、昨日の言葉を思い出す。
 「黄泉の臭いに、狼は来やる。禊ぎ、物忌み、夢見せよ、藤良の娘」
 意味的には、とっとと部屋に戻って寝ろ、というルールを握っている側からの注意喚起っぽい。
 申奈明神は、黄泉陣営とは敵対関係にあるから、メッセンジャーがよみびとであっていいはずはない。


 鍵の掛かった千枝実の部屋の扉を叩くと、千枝実はすぐに出てきて、狩猟用の鞘付きの大ぶりのナイフを陽明に渡す。
 春と泰長の部屋に行くと、どちらも鍵は開いており、中には誰もいない。


 陽明と千枝実は霧の中を進み、めー子が寝ている家に行ってみると、扉が開いており、誰もいない。
 陽明は、千枝実にナイフを返し、「実際に使える武器がいる」と言って、小屋に立てかけてあった棒切れを手に取る。


 千枝実の提案でお堂に向かうと、春、めー子、多恵、泰長がいた。
 つまり、清之介が殺されたのだ。
 めー子にこっちに来るよう促すと、春がめー子を止めたため、陽明は春に対し棒切れを振りかぶる。
 それ見た泰長が、右手に握った草刈鎌を陽明に向かって振りかざす。
 泰長は、陽明がけがれの元凶で、宴に混ぜないのは失敗だ。陽明をくくれば、みんな死なずに済んだ、と言い出す。


 オロオロしているのは千枝実とめー子だけ。つまりそれ以外は打ち合わせ済みだ。
 陽明は、千枝実にフォローを入れるため、と言って皆に話しかけた。


 誰がおおかみはさておいて、大事なことは2つ。
 まず、きのう、めー子に集落を脱出することを持ちかけたが、それは皆に聞かれたと考えるべき。
 村からの脱走は禁忌だが、村からの脱走をみすみす見逃す側も、けがれの対象になるかどうか問題になるので、めー子の身柄を押さえた。
 もう一つ、昨日、千枝実と泰長が対立関係になったので、今日の宴は両者の一騎打ちになるはずだろう。
 春の確定票を押さえている泰長が有利だろうが、多恵とめー子という浮動票がある以上確定ではない。
 だから、千枝実と和解して、部外者である僕を狙うのが一番安全確実だと踏んだんだよね?
 僕を黙らせるために、めー子を人質にとっている。


 それを聞いた泰長は、陽明がめー子を人質にとってひどい要求をすると思っている、と答える。
 陽明は、自分は宴に関わってない、と答えると、泰長は、それが間違いで、自分たちは大事な誰かを失っている。失っていないのは陽明だけだ、と感情論に訴えかけてきた。
 陽明は、「全ての悪事を僕のせいにすれは感情的にはおさまりがつくだろうが、泰長自身のキャラを大事にしなさすぎ。冷静沈着、年上の暴論にも理屈で抗するキャラを。ま、それは君をずっと見てきた村の方々が決めることだ。君が完全に理性を失って、僕というよそ者に怒りを向けているのか、あるいはとても冷静に僕をくくって今日の宴を空振りにさせ、自分の有利にことを運ぼうとしているのか。つまり昼の私刑を回避して得をする陣営の人間なのか、みんなに聞いてみよう。」と話すと、千枝実は、泰長に疑いの目を向ける。


 「僕のことをおおかみだと言えばよかったんだよ。僕のことをおおかみだとは言わずに元凶と言い続けるのは、自分がおおかみだと知っているから。嘘をつくのが苦手なんだろう?かといって勝負所じゃあ、つかなきゃならない嘘はつかなきゃダメなんだよ。」と陽明は畳みかけると、泰長は、「あんたに何がわかる!へらへらしているだけで、何もしなかったくせに!」と叫ぶ。
 陽明が、「自分で考える頭も持ってたくせに、早々と迷信におもねって弟と母親を見殺しにした君に対して、率直に怒っているんだぜ」と告げると、泰長は黙ってしまう。
 10秒ほどたって、泰長は、「確かに自分はおおかみだが、もう僕らは勝っている」と静かに言って、持っていた鎌を放り捨てた。
 そして、「もう一人のおおかみ、出てきてください」と告げると、多恵が名乗り出た。
 それを見た春は、歓喜の表情で泰長に抱き着く。
 春の元からめー子がこちら側へやってくると、多恵が話し始める。


 多恵が娘だったころ、上藤良のもんが山祭りで酔って、黄泉忌みの宴についての本当のお話をしていた。
 申奈明神が、ひとを助けるために5つの御護りを遣わしたというのは、聞いた話と同じ。
 そのうち4つが、ひとと組んでおおかみを謀殺したというのも同じ。
 本当のお話では、正当性を持つ側が、まるっきり逆だった。
 実は、最初に黄泉忌みの宴の時点で、ひとも、4つの御護りも、黄泉の側に寝返っていた、という。つまり、全員よみびとだった。
 そして、唯一最後まで抵抗したおおかみをよみびとは、数に任せて放逐することに成功する。つまり、この地はとっくによみびとの手に落ちていた。
 そこにおおかみ様を呼び戻したのは、他ならぬ申奈明神。
 休水の中の誰かにおおかみ様の加護を授け、休水をよみびとから解放せんとする、つまりおおかみ様による聖戦。それが黄泉忌みの宴の真実だ、と。
 

 多恵は「匠も苦しそうにしとったけれど、よみびとは救われんと、申奈さまは言われるのよ。」と言ったため、多恵は殺人による救済を信じた確信犯だった。
 千枝実は、そんな話知らない、とつぶやく。
 泰長は、加護を受けた時に知った、と答える。
 陽明は、黄泉忌みの宴の本質が、確信犯同士を殺し合わせるシステムであることに気付く。


 陽明は、泰長がおおかみだと知って喜ぶ春の姿を見て、春も正典を知っていることに気づき、「なぜ、春ちゃんは知ってた?」と尋ねると、春は、「おじいちゃんが死んだ日に、私の夢に出てきたおおかみ様が教えてくれた」と答える。
 おじいちゃんが死んだ日は、春が集落から逃げようとした前の夜だ。
 春は夢の内容を信じて、周りのほとんどがよみびとだという真実に絶望し、逃走を図ったのだ。
 春は、根拠の薄い啓示を信じ、自分の好きな男が、圧倒的少数派の正義であることを知り、ひとを裏切っておおかみにつくことを宣言した。
 おおかみである泰長は、3票手に入れて、「投票で僕を殺すことができないから、おおかみの勝ちです」と宣言する。
 「楽勝でした」と話す泰長に対し、「僕たちの負けだ」と告げる陽明。


 悪あがきをしたい陽明は、春に、「君は死ぬぜ。それでいいんだよな?」と声を掛ける。
「春ちゃんが正典を知っていたとしてもひと側であることに変わりない。つまり、正典を知ってしまっただけのひとだ。だから、ひとが負けるということは君も死ぬことだ。」と陽明が告げると春は動揺する。
 畳みかけるように陽明は、「おおかみはそういう役回りの人いることを知っており、春ちゃんが誘いに乗るかどうか試してしたんじゃないかな。」というと、泰長は、「それがどうした」と答える。
 泰長がここできっぱりと否定しなければ、春の死を知ったうえで利用した最悪の人間だと表明したことになるのだが・・・


 春が、艶めかしい陶酔の色がにじんだ屈託のない笑顔でうれしそうに「それがなんだってのかしらね。よみびとはくくられなきゃならない。けがれた、醜い、おぞましい私たちには、おおかみ様の渦と爪だけが救いなの。誰だってわかるわ、そんなこと。だから、兄ちゃんは、かおりさんを手にかけたんだもんね?お母さんをしあわせにするために。」と言った。
 「ああ」と泰長も答え、「その通り」と多恵も答える。
 「うふふ、兄ちゃん、春も幸せにして」としなだれかかえる春を、表情ひとる変えず抱きしめる泰長と、それを満足そうに見つめる多恵。
 陽明が、何なんだこいつらは、と思ったとき、泰長が千枝実に向かって、「大人しくするなら救ってあげる」と声を掛ける。
 陽明は、休水の狂気を甘く見過ぎていたことに気付くが、気付くのが遅すぎた。
 黄泉忌みの宴は、単なる確信犯同士を殺し合わせるシステムではなく、休水人の根本を形成するないかを粉々に破壊する狂気の歯車がそこにある!
 正典を有する者の、死による救済だったのだ。


 かみさまを恐れる千枝実と、救済を受け入れる彼らの根本的な類似点に気付くべきだった。
 しかし、泰長が、確定した勝利に似つかわしくない苛立たし気な表情をしている。
 それを見た陽明は、泰長の計画が狂気によって失われていないことにギリギリで気付くことができた。


 陽明は、千枝実の手を引っ張り、泰長に棒切れで殴りかかる。
 陽明は、春と多恵もぶん殴り、千枝実とめー子と連れて脱出した。
 早く逃げないと、彼が用意した唯一の好機が死ぬ。


 陽明は、泰長の真意に気付いたのだ。
 千枝実に惚れている泰長は、千枝実だけは手にかけたくなかった。
 そして、わずかでも千枝実を救う可能性があるのは脱出しかないと判断したが、おおっぴらに脱出を認めれば、他の全員にけがれが及ぶので、陽明が全員を叩きのめして無理矢理連れて行ったという形を取らざるを得なかった。
 陽明たちを逃がさない気なら、あの時鎌を捨てる必要などなかった。
 早く気付け、早く襲ってこい、と泰長は暗に示していたのだ。


 村の境界を越えて、崖を下っていく。
 霧が立ち込めているが、足元は丸石で、水音もするので、河原まで降りたのは間違いない。
 しかし、崖の上から葉擦れか何かの音が聞こえてきた。
 3人は走り出したが、数十分たっても川に着かない。
 ふいに千枝実が立ち止まって「もうだめだ、これ」と言い出す。
 陽明が「ちょっと休もう」と言ったが、千枝実は、「わたしがいたら、きっと川はこえられないんだ。だって、よみびとはわたしたちの方だって。」と話す。
 陽明が、「だから彼岸を渡れないとでもいうつもりか?」と声を荒げる。
 「わたしはけがれているから!見ないで!」という千枝実の腕を引いて、陽明が振り返った。
 褐色は黄色の疱疹にびっしりと覆われた千枝実の顔を至近距離で対面したが、驚きや嫌悪を感じる前に、陽明は千枝実に口づけてた。
 血と膿の混じった錆臭く甘ったるい味が陽明の口いっぱいに広がって、喉に落ちていく。
 やがて唇が離れた時、千枝実は、ごめんさないと連呼した。


 もう数時間歩いている気がするが、確実に弱っていっている千枝実は、謝り続けている。
 何が起きても、おかしくないかもしれない。
 千枝実が、「陽明さん、ありがとう、楽しかった」という言葉を最後に消失した・・・
 奇妙だった。手首だけはこうして握っているのに。
 体液がぶちまけられたような音と、四肢や内臓が落下したような音を最後に、腐りかけた手首だけを残して、千枝実はいなくなった。
 「なんでもいいからどこか一部だけでも外に連れて行って」という千枝実のお願いを思い出した陽明は、手首をジャケットのポケットに入れて、眠ったままのめー子を抱きかかえ直して、歩き始めた。


 しばらくして、めー子が目覚めて、自分で歩くと言い出したので、降ろした瞬間、めー子は霧の中に引き込まれた。陽明には毛むくじゃらの腕のように見えた。
 そして、人間離れした動物のような悲鳴が響く。
 走り出した陽明は、靴の底が不意に水の感触を捉えた。
 霧を割って、それはついに姿を見せた。
 霧の中、崖を下った時、自分たちの身体はこの世から消えてなくなり、引き返せないところまできてしまっていたのだ。
 千枝実の血肉を口にしてしまった陽明は、きっと逃げられない、と悟る。
 やがて、そいつの禍々しい鉤爪にずたずたに引き裂かれる運命を迎えた陽明は、せめて、休水の一員として、黄泉忌みの宴に参加していれば、と反省する。


 トロフィー:見るなタブーをゲット!
 KEY/04:彼岸に沈むをゲット!


 END/№1:千枝ねえと楽しい沢遊び


 ヒントコーナーへ。
 よりマシな結末を探すなら、積極的に宴に加わる方法を探すことが大事だ。
 KEY/04を握しめ、適切な場所である起点のふりだしに向かえ。
 新ルート潜入が探索可能になる。


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 今日のレイジングループはどうかな?


 3濃霧/Q休水を出るか


 それでも休水から出る→BAD END/No.4 森で謎死


 おとなしくする


 陽明は脱出について考えることをいったんやめることにした。
 陽明は、休水でごはんをたべさせてもらえないことを千枝実に尋ねると、「そこのご飯を食べちゃったら、豚にされて逃げられない、みたいな」と答えが返ってきた。
 千枝実の部屋で、昼食のカップ麺を食べて(料金は後払いで話がついた)から、ほかの住人の様子を見に食堂へ向かう。
 陽明は、カップ麺を作るときにここの水を沸かし使って一応安全だとわかっているので、お白湯をかおりに頼んだ。
 かおりに、よくこんなことがあるのかを聞くと、かおりは、「自分は宴は初めて。霧が出た時に亡くなった人がいるというのは聞いてるけど、休水にいなかったから」と答える。
 どうやらここの住人の多くは、宴は初めてらしいことがわかった。
 やり方が正確に伝わっているのは、小さいころからお年寄りから話や唄を聞いているからとのこと。
 めー子が歌ったくれたが、歌詞が明らかに間違っている。
 季花子がやってきたが、引き戸のレールに躓き派手に顔からこけて、涙目になった。
 以外にドジっ子らしい。
 李花子は、陽明に、巻き込んでしまって申し訳ありません、と謝ってきた。
 李花子は、霧が上がってきたのが見えたから、陽明に逃げろ、と声をかけた、と話す。
 陽明は、予言じゃなかった?と聞くと、季花子は、回末の見張りの家ではない、と答えた。
 これ以上は外の方には、と季花子は言って、去っていく。
 陽明は李花子の年齢を尋ねると、千枝実は、30は過ぎてないと思うが、自分よりは年上だ、と答えた。


 しばらくして、泰長と春がやってきた。
 春は、陽明に、千枝実とくっつきすぎだ、と抗議してくるが、陽明は適当にかわす。
 泰長は、匠が、夜早いからお弁当にしたほうがいいんじゃないか、と言っていた、とかおりに伝える。
 そして、泰長は、陽明に小汚く錆びたシリンダー錠の鍵を渡す。
 匠が多恵バアにいって出してもらった学生寮の鍵とのこと。
 かおりと匠は割といい感じのようだ。


 春が陽明にからんで仕方がないので、千枝実が、春に、遊ぼうと声をかける。
 千枝実は、めー子に正しいやつを見せるため、しんないもうでをやろう、と言った。
 春から離れることができた陽明は、白湯を飲んだが、湯呑の底に家紋が書かれていることに気付く。
 泰長に尋ねると、上藤良の長者の家紋で、捨ててしまえばいい、と吐き捨てるように答える。
 ということは、かおり親子を放逐した日口家の家紋らしい。


 千枝実と春は対面に座り、千枝実は、男役が自分だ、と言って遊び始めるが、それは手合わせ遊び歌だった。
 遊び終わった千枝実は、春に、めー子に教えるように言うと、めー子と春は了承し遊び始めた。


 千枝実が何か深刻そうな声色で泰長を呼んだので、陽明は気を使って、外に出ることにした。
 外に出ると、頭にリボンを付けワンピース姿のモッチーが、「死んだ」と連呼している。
 貧乏だから学生服ばかり着ていたところ、多恵バアに文句を言われたので、春のおさがりをもらって着ている、とのこと。
 モッチーは、本当に男で、自分の体に違和感がない。これは奇矯の振る舞とのこと。自分は、頭がおかしいから普通の人とはうまくやっていけない、自分が好きなように振舞えないから、時々ヘンにする、と話す。
 そして、モッチーは、陽明に、自分と同じ頭がおかしい人でしょ、と指摘する。
 モッチーは、狼じじいを連れていた。モッチー曰く、頭おかしい友達とのこと。
 陽明は、ほかの学生といっしょにいないわけをモッチーに尋ねると、春の機嫌が悪いから、と答える。
 泰長のことが好きな春は、泰長が千枝実が帰っきて嬉しそうな顔をしていていることと、千枝実のことが好きな泰長を応援しているから、陽明と千枝実が仲良くしているのが気に入らないのだ。
 千枝実自身はそのことに気付いているが、まったく相手にしていないので脈無しだ。
 陽明は、モッチーの春に対する甲斐甲斐しい態度に気付いておりそれを指摘すると、モッチーは、幼馴染として心配しているだけ、と答える。
 陽明は、誰が死んだのかと尋ねると、モッチーは、まだ死んでないが死んだも同然だろ、と答える。
 陽明が、どうしてそう思ったのかと尋ねると、モッチーは、匠がへびだと言ったときにおおかみ様が笑ったような気がしたから、と答える。


 陽明は二人をおいて、匠のところへ向かい、鍵の件の礼を言った。
 陽明は、おおかみが一晩で何人殺すのかを尋ねると、匠は、馬鹿らしい、と答えた。
 陽明は、もう2人も死んでいるのに、と抗議すると、匠は、人が死ぬのは珍しいことでも何でもないし、幾らでも片付けている、と答えた。
 8年前の土砂崩れの時は、気味悪がって片づけもしないから、作業員の死体はを掘り出して埋めたし、山の中で自殺したヤツや川で溺れたヤツの死体も片付けてきた、とのこと。
 陽明は匠と話をして、匠は仲間意識が強くて休水の中に敵がいる可能性を否定している、と感じとる。
 陽明は、伝説で今晩で皆殺しになる、となっているのか?と尋ねると、匠は、おおかみが殺すのは1晩で1人だけだ、と答えてくれる。
 理由は、多恵バアが、よもつおおかみ様でも山の掟には逆らえない、と言っていたから、とのこと。


 陽明が食堂に戻ると、めー子は帰っており、義次と高校生3人と千枝実がいた。
 陽明は、千枝実を外に呼び出し、宴の時の話を聞いた。


 山の加護は4種。
 へびは、ほかの参加者がおおかみかそうでないかを神託により授かる。
 さるは2人いて、ほかのさるが誰かを知っている。
 からすは、私刑にかけた死体がおおかみかそうでないかを神託により知る。
 くもは、おおかみの襲撃を1度だけ防げるよう神に頼むことができる。
 それ以外は、一般人と狼。
 昼に宴で1人まで殺し、夜におおかみが1人を選んで殺す。
 人間側は、おおかみを探して殺さなけれなならない。


 へびは1人だけで、それは匠。
 くもは、今晩は匠を守るよう、神に頼むことになった。
 へびの匠は、本人の希望で清之介を調べる予定。


 割り当てられた学生寮の203号に入った陽明は、いろいろと考える。
 分校では、霧に覆われた休水の生徒が3人も休んでいるのに、何もしないことから、上藤良の人間も黄泉忌みの宴のことを知っていて、隠蔽していることに気付く。


 5月14日(水)


 うっかり居眠りをしてしまっていた陽明は飛び起きて、携帯の時計を確認すると、6時だった。
 ドアの郵便受けの隙間から廊下を覗くと、包丁を持った千枝実が見えた。
 ドアがノックされ、千枝実が、「起きて!ほかのみんなの様子を見て回るから付き合って!ちなみに凶器を所持していますが、護身用につき心配なきよう」と言っている。
 ドアを開け、千枝実と合流して学生寮を見回ると全員無事だった。


 学生寮から一番近い能里屋敷へ行くと、清之介は無事で、一緒に学生寮まで連れていく。
 学生寮で学生たちと合流して、歩き出したが、春の様子がおかしい。
 食堂の前の広場で、かおりと匠に出会う。
 匠は、多恵バアは体調が悪い、と言った。
 かおりが小声で泰長に、義次を探してほしい、と言っているのが聞こえてきた。


 陽明、匠、清之介で、平屋地区を見回ることになった。
 李花子の家の前で、清之介が、李花子が休水に移ったのは自主的だが、理由がわからない、と言った。
 声を掛けると、李花子とめー子はそれぞれ家の中から出てきた。
 匠は、清之介に2人を食堂へ連れていくように言ったので、匠と二人きりになる陽明。


 寛造の家は鍵がかかっていなかった。
 戸を開けた瞬間に死臭が鼻を突く。
 死体は、鈍器で強い打撲を繰り返し与えた結果、顔面が完全に破壊されていた。
 キレイに残っていた下顎を調べると、健康な歯がびっしり生えていた。
 寛造本人の遺体とみて間違いないだろう。
 死体には抵抗の跡がなかった。
 ものいみの掟を守っているなら鍵をかけていたはずなのに、戸を見ても乱暴に壊して開けた形跡はない。
 そして、不思議なことにそこらじゅうが水浸しになっている。まるで殺人者が水をぶちまけたようだ。
 部屋の中の足跡は、長い小判型で、草履かなにかのようだ。


 顔に布をかけた寛造を戸板に載せて、運び出す。
 食堂の前で住人たちが見送るが、春はなぜか嫌悪の表情を見せていた。


 墓場への坂道で合った千枝実は、義次がどこにもいない、と言ったので、あとで捜索に加わる、と陽明は答えた。
 さらに進むと、狼じじいに出会う。
 やはり姿が見えないのは、義次だけだ。


 墓所で、義次はバラバラになっていた・・・
 転がっていた義次の頭部は食いしばっており、口元に獣の毛が付いていた。
 義次は最後まで噛みついて抵抗していたのだろう。
 義次は「けがれ」で死んだようだ。


 義次の死を知ったかおりはひどく取り乱し、現場へ行こうとしたが、義次の遺体は、何人かで確認したあと、皿永に放り捨ててしまっていた。
 匠は、義次の頭髪を一房持ち帰っており、それをかおりに渡した。
 かおりはそれを号泣しながら飲み込もうとした。


 匠が、宴をしよう、と言ったが、モッチーが、「春ちゃんがどっか行った」と言い出したので、千枝実、モッチー、匠、陽明で捜索することになった。
 泰長は、かおりの傍にいるとのことで、捜索隊から外された。
 清之介は、食堂周辺に男手がなくなるのが問題だ、といって捜索を拒否した。


 護身用に農機具を持ち、陽明とモッチー、千枝実と匠の組み合わせて捜索開始。
 モッチーは、こっちのほうが動きやすいから、と言って学生服に着替えてきていた。
 陽明が、今朝の春ちゃんの様子がおかしかったとことを指摘すると、モッチーは、春は怖がりで、昔話の「けがれ」とかを怖がっており、「けがれる」のを嫌がっていた。だから春はおおかみでも誰も殺せないだろう、と答える。
 モッチーにとっては、春は泰長と同じかそれ以上大事なもので、それ以外はなにも大事じゃない、とのこと。
 しかし、いくら探しても春は見つからないので、いったんみんなと合流することにした。


 陽明は、春が何かを目撃して、この村や人が信頼できないと思い、村を逃げ出したのではないか?例えば、自分のよく知る人物がおおかみになって人を平然と殺した、とか?と言い出すと、みんなははっとする。
 休水の人間としては狂っているモッチーは、春を探しに行く、と言い出し、よそ者の陽明も賛同する。
 千枝実と匠には、もう一度集落内を探してもらうことになった。


 休水の出口たる峠道への分かれ道へ来たが、しばらく歩くと土砂崩れにより道がふさがれていた。
 しかし、その泥土にくっきりと革靴の足跡が残っている。
 土砂の山を乗り越え、草木の折れた後をたどっていくと、泣き声が聞こえてきた。
 声のする方向へ行くと、春が足から血を流していた。
 春は、尖った若木の幹を踏み抜き、枝が足を貫通していた。
 陽明が春を抱きかかけて幹から引き抜き、モッチーがその辺に生えていた薬草で手当てを行った。
 能里は、薬を作っている家とのこと。


 春を連れて戻り、ひと段落つくと、清之介が、宴をやろう、と言い出す。
 モッチーが目くばせし、陽明と泰長の二人きりにしてくれる。
 陽明は、泰長に、おおかみが人を殺す理由を尋ねると、かつて人間に騙されて殺された恨みを晴らすため、と答えた。
 陽明は、言い直して、「おおかみ役の人間は、どうしてかつての仲間や家族をためらいもなく殺せるんだと思う?いきなり、あなたはおおかみです、と言われて、仕方ないって殺人ができる?」と言った。
 泰長は、できるわけない、と答えた。
 陽明は、自分の好きな人守るためには、けがれやおおかみに立ち向かうことだってできるはず、と言うと、泰長は、モッチーは天才だから、と答えた。
 モッチーは、普通のヤツにはできない予想や決断を平然とやってのけるし、本当に大事なモノ以外は全部すてられる、とのこと。
 泰長は、モッチーのことを他人はおかしいと言うけど、自分は天才だと思っている、と言った。
 陽明が、今回のおおかみは何の躊躇もなくやっている、というと、泰長は、もともと人を殺すことに抵抗のない人ならやってのけるんじゃ、と答えた。
 陽明は、「おおかみは2匹いるらしいが、この休水という集落で、2人以上の殺人者の素質十分なヤツはいる?それよりは、複数のまっとうな人間を無作為に集めて、全員一致した殺人者に仕立て上げる方法があると考えるべきだ。そうでもなきゃ、こんな残酷なことが行われているのに、仲間割れが起きない説明がつかない。」と言った。
 すると泰長は、「思想を与えればいい。要は、自分たちのしていることが正しいと思えればいいんじゃないか。」と言った。
 陽明は、黄泉忌みの宴は大昔から廃れずの残っているのは、絶対に殺させる仕組みがないといけないんじゃないか、と思う、と言った。
 最後に一つと言って、陽明は、不思議なことが起きていると思う?と尋ねると、泰長は、起きていると思う、と答える。
 泰長は、「こんな辺鄙な場所で部外者が4人もいるタイミングで霧が出たとこから、大きな意志を感じる。人為的に霧を作り出せるとは思えないし、ものいみの家に平然と入って人を殺せるのだって奇妙だし。それに自分たちの中の誰かが人を殺しているなら、態度がおかしくなったり、何か証拠を残しているはず。その辺の説明がつかない以上、不思議だと思う。」と言った。
 最後に陽明が、おおかみは誰だと思う?と聞くと、泰長は、それは宴でする話で、陽明には聞く資格はない、ときっぱり答える。
 逆に泰長から、千枝実のことはどう思っているかを尋ねられた陽明は、好感は持っている、と答える。
 泰長にとって、人を殺しかけたこともあるが、ジメジメガチガチの場所で自由奔放にふるまう千枝実は憧れの人だったとのこと。


 みんなはお堂へ集まることになり、陽明は、自分で言い出して寮へ軟禁してもらうことになった。
 千枝実は黄色い箱の食料を差し入れてくれる。
 陽明は、千枝実に、さるは2人とも名乗り出てもらえ、とアドバイスする。
 個室の扉を外からつっかい棒してもらう。


 黄泉忌みの宴が始まった。
 匠は、へびの神託では、清之介はひとだ、と告げる。
 清之介が仕切り始めて、今日は1人くくろう、と言い出し、ほかの皆が生き残るために自分が死んでも構わないという合意をとろうとする。
 結局、記名投票することになり、もっとも票が集まった者をくくることになった。


 狼じいは、千枝実を指名。おおかみが怖いから。
 多恵バアも、千枝実を指名。千枝実が怒っている理由がわからないから。
 室は、めー子を指名。皿永から上がってきた奇妙なものだから。
 かおりは、春を指名。村から逃げ出そうとしたのは、寛造と義次を殺したからと疑っているから。
 清之介は、狼じじいを指名。理性的な判断ができないので、宴に不要だから。


 千枝実は、さるの2人は名乗り出るように促す。
 もし、2人以上さるが名乗り出た場合は、その中からくくる、という条件付きで。
 すると、モッチーが名乗り出て、もう一人はめー子だと言った。
 めー子は何のことだかわからない様子だったので、モッチーは昨日の朝おなかに模様があったよね、と聞くと、めー子は、さるさん、と言った。
 ほかにさるは名乗りでなかったので、さるはモッチーとめー子に確定。


 泰長は、狼じじいを指名。何もしないのがおおかみを利しているから。
 モッチーは、多恵バアを指名。千枝実を指名したから。
 千枝実は、狼じじいを指名。ほかに怪しいと思える人がいないから。
 春は、李花子を指名。けがれを呼び寄せたから。
 李花子は、泰長を指名。もしおおかみ様なら皆にとっても最悪だから。
 めー子は、千枝実を指名。怖いから。


 千枝実と狼じじいが3票集まったので、この2人を除く9名で決選投票を行うことになった。
 結果、多恵バアとめー子が千枝実を指名し、それ以外が狼じじいを指名したので、くくられるのは狼じじいとなった。
 狼じじいには、身辺整理の時間が与えられ、見張りとしてモッチーがつくことになった。


 陽明が軟禁されている部屋にわめき声が聞こえてきた。
 匠と泰長が、今ヤバいから出てくるな、と言っている声が聞こえる。
 部屋の前に来た千枝実も、出ない方がいい、と声をかける。
 しかし、陽明は、部屋は2階だったので、窓から外に飛び降り、声のする広場のほうへ走り出した。


 墓地への道に向かう途中、人垣ができていたので、その間から顔を覗かせた陽明は、腹から出血している狼じじいとモッチーの死体を見る。
 匠が、陽明が部屋を抜け出して2人を殺したんだろう、と言ってくる。
 千枝実が、さっき部屋で話したから違う、と言ってくれる。
 匠は、血はすっかり抜かれているし、ハラワタも出ている、と言った。
 狼じじいの血まみれの上着のところどころに毛の塊が付着している。
 けがれのしわざらしい。


 陽明が狼じじいの死体を調べ始めた。
 腹の傷は明らかに鋭利な刃物によって切り裂かれていたが、辺りに凶器は見当たらない。
 ということは、凶器は休水のどこかに隠されているのだ。


 陽明は今日の宴の内容を聞き出す。
 決選投票の結果、狼じじいに決まり、身辺整理のために、モッチーといっしょにお堂を出た。
 みんなはお堂におり、1時間しないうちに戻りが遅いことを心配した泰長、千枝実、匠、季花子が探しに出て、泰長が10分もしないうちに死体を発見したとのこと。


 お堂に戻り話を聞くと、捜索している間、死者2名と捜索隊以外はお堂から出ていないことが確定した。
 多恵バアが、狼じじいとモッチーを殺したことは掟に反して行われているので、申奈様がけがれを与える、と言い出す。
 結局、宴は終わり、匠は、陽明の部屋の窓と板と釘で完全にふさいでしまった。
 匠は、今晩は、態度のおかしい春を調べるとのこと。


 千枝実がこっそり陽明の部屋を訪れる。
 陽明は千枝実が人を殺しかけた話を尋ねると、中学の時に、休水の子をいじめていた分校の上級生たちをバットでボコボコしたが、その中に長者筋のヤツがいて大騒ぎになったとのこと。
 この件で、千枝実は休水送りになったが、老人たちは千枝実に厳しいのだ。
 千枝実が、鈍器を持って暴れる女にドン引き?と聞くと、陽明は、前の彼女もそうだったから別に、と答える。
 陽明は、命の危険を感じるような大げんかの末別れたといった。
 そして、陽明は千枝実に、人に聞いたのだから自分のことを教えろ、と迫り、千枝実が2人しか付き合ったことがない、ということを聞き出す。
 千枝実は、お誘いは多いが合う人は少ない、と言った。
 陽明は、自分のことはどう?と尋ねると、期待したら死ぬのが怖くなる、と答える。
 陽明は、誰でも死ぬのが怖いのは当然じゃないの?と聞くと、千枝実は、死ぬより神様のほうが怖い、と言った。
 千枝実は、「みんな見えていないかもしれないけど、神様には会っているよ。それに神様は怖いよ、みんな怖さを知らないだけど。わたしは、あなたを失うのか怖いかもしれない。」と話して、自分の部屋に戻ってしまう。


 5月15日(木)


 朝5時に目覚めた陽明は、部屋の前のバリケードを取り除いてくれた泰長と千枝実に迎えられる。
 春も無事だった。


 食堂の扉には鍵がかかっていなかった。
 中に入ると割烹着姿のかおりがたたずんでいた。
 泰長と千枝実が食事の支度を手伝うと申し出て、陽明は、昨日の宴でかおりともめた春を連れて外に出る。
 陽明は、春に、単刀直入に、君はおおかみか?と聞くと、違う、と、春は大声で否定した。
 陽明は、本来ならかおりを介抱すべき匠の姿をないことから、匠が殺された、と春に告げる。
 春は、匠の家に陽明を案内する。


 途中、多恵バアの家によると、戸にはきちんと鍵がかかっていた。
 声をかけると多恵バアは出てきた。
 多恵バアが、匠はどうした?と聞いてきたので、陽明が、今から見に行く、と答えると、多恵バアは察したようだ。
 春は、自分たちを上藤良の人間から守ってくれた千枝実を取らないで、と言い出す。
 陽明は、春の気持ちはわかったから、一刻も早く宴を終わらせよう、と言った。


 平屋地区に入るとめー子が半泣きでたたずんでいた。
 根気よく聞きだすと、李花子が出てこないことがわかった。
 春に案内してもらい季花子の家に行って声を掛けるが、返事はない。
 戸を引くと、鍵はかかっている。
 耳を澄ますと、ごそごそと中から音がする。着替え中かもしれない。
 そこへ清之介がやってくる。
 春にめー子を頼んで、清之介と匠の家に向かった。


 匠の家の戸は解錠されており、外からでも鮮血の臭気が感じられた。
 匠は顔面の6割程度を吹き飛ばされていた。
 匠の死体のわきにライフル銃が転がっており、これが凶器であることは明白だった。
 匠は半分残った顔面にその苦痛と恐怖をありありと残していた。
 匠に両手は傷の様子を確かめるように頭へと添えられており、自分の砕けた脳髄を掴むようにして息絶えていた。


 陽明が、清之介に銃の扱いがわかる人を呼んできてもらうように言うと、やってきのは千枝実だった。
 千枝実はライフルを見ると、寛造のだ、と言った。
 5発全弾打ち切っていると千枝実が言ったので、空薬莢を探すと、遺体の2mほど手前に5個固まって見つかった。
 ここで5発撃ったか、撃った後集めたか。
 握りの部分を見ると、血をふき取った跡があり、指紋をふき取ったらしいことがわかった。
 血の飛び散り具合から、空薬莢が落ちていた地点から発砲した、と千枝実が言った。
 千枝実は、銃は狙い方を知っていれば動かないものに当てることは簡単だ、と言った。
 千枝実は、休水は狩猟を行っている集落なので、誰でも一度くらい猟銃に触れたことがあるだろう、と言った。
 千枝実は、耳、胸、肩と床にも当たっており、頭部にあたったのは1発だけで、とどめの1発は胸だろう、と言った。
 銃を持ちたかった千枝実は、狩猟免許をとったので、銃も罠も網の全部使えるし、クレー射撃もやっているのでそれなりに慣れているとのこと。
 陽明は、一連の殺人が人間の犯行だってことに確信を持った、と千枝実に話す。
 千枝実は、殺人はこの村の誰かと誰かがやっていると思うが、神様からは誰も逃げられない、とつぶやく。


 千枝実は自分が運ぶと言って譲らなかったので、陽明と千枝実で、戸板に匠を載せて運び、皿永へ放り捨てた。
 が、水音がしない。
 千枝実が、皿永の底が抜けて黄泉の国につながっているかも、と言い出す。


 平屋地区へ戻ってくると、李花子の家の前で、清之介がイライラしながら立っていた。
 声をかけると、中からずるずると音が聞こえるが、返事はない。
 近くに落ちていた薪割り斧を手にして、扉を破ろうとすると、扉がガタガタと鳴り始める。
 カチと鍵のはずれる音が聞こえ、戸が少し開いた途端、唸り声と腕が出てて、陽明の首をつかんだ。
 千枝実と清之介が陽明の首から手を外そうと格闘し、なんとか外すことができた。
 そして、人を呼んで、李花子の家の戸や窓を板や釘や大型家具でふさいだ。
 多恵バアは、「黄泉路より来るけがれた者ども。よみびとに間違いない。回末様は何かとんでもない禁を破ったのかも。」と言った。
 清之介は、禁忌の守り手で、浄化を司る蜘蛛の家の役目なのに、と言うと、多恵バアは、けがれに触れすぎたかも、と答える。
 多恵バアは、よみびとはくくらねばらなん、と言った。


 かおりが食事にしようと提案したので、みんなで食堂に移動した。
 事情がわからないめー子が外に出たいと言い出したので、千枝実が一緒に外に出た。
 かおりは、泰長に取ってきてほしいものがある、と頼むと、泰長は2階へ上がっていった。
 清之介はお手洗いに行った。


 この隙に陽明は春に、葬式代わりにモッチーの話をして供養しようといった。
 モッチーは能里の家の子だが、偉ぶった感じは全然ない。すっごくヘンで、千枝実と同じくらい問題を起こしてたけど、人を傷つけることはしなかった。人はモッチーのことを頭がおかしいと言っていたが、春は面白い人だと思っていた。
 モッチーと泰長はいつも一緒で、仲が良すぎて、こっちが寂しくなるくらいだった。


 春に、泰長にとってモッチーの代わりになれないかもしれないけど、ガマンする必要はない、と言うと、春は泰長を手伝いに行った。


 陽明は外に出て千枝実に、怪しいのは春と泰長だ、と話しかけた。
 モッチーが死んだとき外にいたのは、泰長だけだった。
 本来がくもが守るべき匠が殺されたということは、くもはすでに殺されているはず。
 くもは宴の後に殺された寛造、義次、狼じじいの中にいたはず。
 宴の時に、寛造はあまりしゃべらなかったのは、おおかみに目を付けられないようにしようと判断したからだろう。それは、自分の生存が、全員の生存にとって必要だから。おそらく、寛造がくもだったのだろう。
 それが逆におおかみの注意を引き、寛造が黙っているなんて、よほどの加護を持っているに違いない、と判断されたのだ。
 義次は、夜に出歩くよう仕向けられたため、けがれにより死亡。
 モッチーと狼じじいは、李花子によって殺されたが、1日1人しか殺せない宴のルールにより、李花子はけがれの対象となる。
 または、モッチーと狼じじいのどちらかが相手を殺し、そのあとで、李花子が生き残った方を殺すが、2人目の血を流したことで、李花子はけがれの対象になった。


 何も考えられない、と言う千枝実をおいて、めー子に近づく陽明。
 めー子は、おまもり!と言って、地面に描いた絵を見せてくれる。


 食事の支度ができた、と清之介が呼びに来たので、食堂に戻る。
 かおりが大鍋から雑炊みたいなものを掬いだす。
 陽明は、アレルギーがあるから、と言って食事を断る。


 まだ2階にいる泰長と春を呼びに行く陽明。
 二人は、かおりに言われて、新しい割烹着を探しているが見つからないようだ。
 階下から大きな音が聞こえたので、急いで戻ると、清之介が食事を床にぶちまけていた。
 清之介は、シシ炊きにトリカブトが入っている、と言っている。
 誰もまだ口をつけてないようだ。
 かおりは、みんな死んでしまえばいいのよ、と絶叫しながら包丁を振りかざした。
 かおりの狙いは清之介だった。
 かおりの持っている包丁には、緑色のものがたくさんこびりついている。それはトリカブト。


 A:肩からぶつかる
 B:手頃な武器をとる


 とっさに動いた陽明は、肩からかおりにぶつかり床にもつれあって倒れるが、背中に回された包丁が突き立てられ、毒素がたっぷりと届けられたことはわかった・・・


 BAD END/No.5 ドシロウトの無謀な攻撃が呼んだ当然の結末で毒死


 ひつじから、逃げるのが最上だが、せめて相手よりリーチの長い武器を探せ、とヒントをもらう。

拍手[0回]


 今日のレイジングループはどうかな?


 2濃霧/Q悲鳴を追うか


 キー2無し→飛び出して様子を見に行く


 キー2所持→じっとこらえる


 千枝実との約束を思い出し、扉を開けるようとした手を止める陽明。
 好奇心が、恐怖と死のリスクに負けたのだ。
 それは、知っているから、だ。確かな経験だと認識している。


 ふいに、トイレのドアが激しく揺れた。
 外側の取っ手がギャチャガチャと引かれているのだ。
 千枝実に音を立てるな、と言われていることを思い出した陽明は、悲鳴を押し殺す。
 やがて取っ手は静かになったが、息遣いや唸り声、爪が地面をとらえる音が聞こえる。
 獣の気配だ。
 「おおかみがくるぞ」という言葉を思い出し、明日、千枝実に話を聞こうと思う陽明。


 トロフィー:夜明けをゲット!


 3黄泉


 5月13日(火)


 野外トイレの隙間から朝日が漏れ出ている。
 遠くから、陽明さんと千枝実の呼ぶ声が聞こえたので、ドアを開けると、村は濃霧に覆われほとんど視界ゼロだった。
 千枝実に、無事でよかった、と言われた陽明は、夜じゅう獣みたいは気配がした、と言った。
 伏し目がちになった千枝実を見て、何かを知っていると気づいた陽明は、「聞きたいことはたくさんあるけど、昨晩聞いた悲鳴が気になる」と言うと、千枝実は、来て、と言って陽明に手を差し出した。


 学生寮の前で、泰長とモッチーに出会う。
 春は、ショックが強くてまだ部屋にいるとのこと。
 二人は、現場に誰も近づかないように見張りをしている、とのこと。
 現場に踏み込んだ陽明は、死体を見て、肉屋の屋台が転んで売り物が全部ひっくり返したような有様だ、と思った。
 被害者は、完全に解体されていた。持ち物から馬宮久子に間違いないようだ。
 医学系なので慣れている、と陽明が言うと、千枝実にうながされ検死することになった。


 遺体は五体は繋がっているものの、不自然なかたち、いわばブリッジのような姿勢のまま、平らに折りたたまれて、全身をびりびりに引き裂かれていた。
 内臓は大きく損傷しているように見え、食い荒らされている、と表現しても差し支えないように見えた。


 陽明が、警察に任せよう、と言ったが、誰も同意しない。
 千枝実が、警察は来ない、と言った。
 陽明が、なら避難しよう、と言ったが、千枝実は、無理だ、と即答する。


 生存者が集まるという集会所へ、千枝実と向かった陽明は、バイクも車もめちゃめちゃに壊されているのを見る。
 そして、車の中に巨大な人体の残骸があり、それは橋本に違いなかった。
 そして、電柱の電線が引きちぎられおり、千枝実が、食堂の電話線ごとやられたので、外には連絡できない、と言った。
 陽明が、ケータイを取り出すが、見事に圏外だった。
 千枝実が巨石の前に陽明を連れていくと、巨石に赤黒いラクガキがされていた。よく見ると、いびつなひし形2つと、その中に渦巻きが書かれていた。
 千枝実は、「おおかみが2匹、村に紛れ込んだ。戦わなきゃいけない。」と告げた。
 異様に落ち着いている陽明を見て、こういうのに慣れているみたい、と千枝実が言うと、陽明は、大事な神経が何本か切れているのさ、と答えた。


 食堂に入ると、住人がすし詰めになっていた。
 寛造が、集会堂の鍵はどこだ?と聞くと、多恵バアが、ウエマツ様に預けている、と答えた。
 そして、白髪の少女が、とってまいります、と言って食堂から出て行こうとする。
 休水集落の住人は全員そろっている。
 外来者では、記者2名が死に、陽明と素性不明の少女が生き残っている。
 千枝実が、「リカコさん、待ってもらえる?」と言って、白髪の少女に陽明を紹介しだす。
 千枝実は、「こちらは回末季花子(うえまつりかこ)さん、まわるにすえでうえまつ。上藤良の長者、回末家の現当主様。」と紹介してくれた。
 「それから、めー子ちゃん。名前がわからないから、そう呼んでるけど。」と言ったので、陽明がめー子に挨拶したが、めー子は季花子の後ろに隠れてしまった。
 千枝実は、「房石陽明さんを宴に呼ばないことを提案します。」と言い出す。
 匠は、「怪しいか怪しくねえかを宴で決めるんだろう?」と語気を荒げながら言った。
 千枝実は、「彼がそもそも宴に参加する資格がない、と言ってるの。」と答えた。
 義次が、そいつが一番怪しい、と言い出すと、千枝実は、宴の支度はした?と言った。
 義次が、した、と答えると、千枝実は、しなかった人は?と続けて質問した。
 陽明は、何のことだかわからないが、はい、と挙手した。
 千枝実は、「宴の支度をしなかったから、あの2人はけがれを受けた。でも陽明さんは受けていない。わたしは、おおかみ様が彼を無視していると思っている。皿永から来た人ではあるけど、ただ通り過ぎただけ。むしろ宴の邪魔になる。いえ、宴に混ぜればおおかみ様の怒りを買って何が起こるかわからないとすら思う。」と言った。
 陽明は、支度って?と聞くと、多恵バアが、「みそぎ、ものいみ、ゆめまくら」と言うと、千枝実が、「体を浄める、ひとつの建物に1人で閉じこもる、眠って夜明けを待つ、の3つ。」と教えてくれた。
 陽明は、「トイレに1人で入ったけど、風呂も入らず、一晩徹夜したから、守ってない。」と言った。
 多恵バアは、そんなこと聞いたのは初めてでわからん、と本当に困惑しながら言っている。
 千枝実が、「季花子さん、どう思われます?」と話を振ると、季花子は、「賛成です。申奈明神が裁かれないのなら、山の掟の埒外におられるのでしょう。」と言った。
 千枝実は、「大切は宴1日分、無駄な人をくくらずにすむね。」と言った。
 寛造は、「こいつは宴から外すが、山の掟が通じねえなら、わしらの取り決めに従ってもらう。さもなくば、わしがてめえを殺す。」と宣言する。
 それを聞いた清之介は、「上藤良の人間である自分と季花子を外せ。皿永の事情に付き合う必要ない。」と言い出すが、多恵バアが、「宴の日にいれば、能里も回末も三車も日口も関係ない。」と拒否する。
 季花子も、「みな等しく、申奈様の手のひらの上、この休水という皿の上に乗せれらただけ。」と言った。
 寛造も、「文句がありゃ、どこへでも行け。けがれで死ぬのが関の山よ。」と言ったので、清之介は黙り、季花子は改めて鍵を取りに出て行った。


 みんなは広場にあったお堂へ向かうようだが、陽明だけは匠に連れられ列を外れていく。
 行き止まりに屋根付きの小屋のような檻があり、匠は、「生け捕りにしたシシを入れておくような檻だ。悪いが皆が宴をやっている間、ここに入ってもらう。」と陽明に告げた。
 扉を施錠した匠が去ったのち、陽明は横になり目を閉じた。


 お堂では多恵バアが中心となって黄泉忌みの宴が始まった。
 季花子が、申奈さまに献上されたお神酒を年少者から順に回し飲みさせる。
 めー子→泰次→春→もっちー→泰長→千枝実→かおり→清之介→匠→寛造→多恵バア→狼じじいの順番だ。
 多恵バアは、「夕霧が立つとき、おおかみ様はよみがえり、人を亡きにせんとされる。よもつおおかみのお印が2つ。このたび、おおかみ様がおふたりをちもどられた。申奈様の言う通り、宴をして、御護り様の加護のもと、おおかみ様を探して、くくらねばいかん。従わずば申奈様はけがれをくださる。それは、とても恐ろしい死に目を見るということよう。けがれを受けたく無くば、宴に出ておおかみ様を亡きにする。それが休水の者の役目。」と言ったところで、亡きにする=殺す、の意味だ、と季花子はめー子に教える。
 これから全員で話し合って、納得いく意見を絞り込み、おおかみ様を探して殺すのだ。
 多恵バアは、「宴には山の御護りのへび様、さる様、からす様、くも様が力をお貸しくださる。」と言った。
 狼じじいが、「へびは、おおかみがだれか、山に聞ける。さるだけ2匹おり、お互いがさるだと知っている。からすは、くくられたもんがおおかみかどうか、山に聞ける。くもは、おおかみから一晩だけ他人をまもってやれるよう山に頼める。」と言うと、多恵バアが、その通りだ、と言った。
 寛造が、「へびを見破る。さるは手を取る。からすは味を見る。くもは守る。」と言うと、清之介が、「へびは大衆に紛れたおおかみを発見することができた。ちなみにへびは三車家の守護獣だ。さるは、守護するもの同士がおおかみでないことを確実にしっている。さるは日口家の守護獣だ。からすは、死んだ者がおおかみかどうか知ることができる。我が能里家の守護獣だ。くもは、誰かの家におおかみが入ることを防ぐ。くもは回末家の守護獣だ。」と説明した。
 多恵バアが、「へびは生きている者を名前を書いて枕の下に置いて寝ると、翌朝、申奈様から、ひとかおおかみ様かをおしえてもらえるそうだ。さるは2人おって、加護を受けたときに、もう一人のさるが誰かを申奈様に教わる。からすは前日にくくられた者がひとかどうか知れる。くもはほかの生きとる者の名前を書いて枕に敷けば、その者は一晩おおかみ様から守られる。そうして御護り様の力を借りて、くくる1人を選ばねばならん。おおかみ様をみんなくくれば、勝ち。おおかみ様にみんなやられれば、負け。」と説明した。
 季花子が、「宴で御護りが誰に力を授けるかは、気まぐれだ。」と言った。


 匠が、「話がダラダラ進むのが嫌だから、自分はへびの守護を受けている。」と打ち明けた。
 多恵バアが、「御護りは夢枕に立って、選ばれた者にしるしを残す。お力をお借りするならば、便りをしたためて、枕元に入れればいい。しるしにより答えが示される。匠がおおかみ様が誰かを知るには、便りをしたためなければならない。それも選べるのは、一夜にひとりだけだ。」と言った。
 つまり明日の朝まで、わからないのだ。
 清之介は、「ここで話した内容は、おおかみもわかってしまうから、できるだけ明かさないように話すべきだ。」と言った。
 泰長は、「くもが今晩便りをしたためて、匠にいを守るのがいい。そして、今晩匠にいが調べる相手をみんなが知っておいたほうがいい。」と言った。
 清之介は、「自分の潔白を示すため、自分を調べてくれ。」と言い出し、みんなは了承した。
 結局、今晩は誰もくくらずにすんだ。


 話し合いが終わった匠と千枝実が、檻の中の陽明を迎えにきた。


 千枝実は、陽明を昨日めー子と季花子を見た原っぱにつれいく。
 千枝実は、ここは首吊り松の墓所だ、と言った。
 つまりこの周囲にある石は、お墓なのだ。
 千枝実は、「神様を見たことがあるから、この村に化け物がいることを信じている。」と言って、それ以上の説明を拒んだ。
 仕方がないので、陽明は、宴についての説明を千枝実から聞き出した。


 藤良の人々は、申奈さんと呼ばれる神を信仰している。
 藤良村があるこの山自体が申奈山と呼ばれており、山を神聖視する山岳信仰というやつだ。
 申奈さんは、御護りとして5種類のけだものを遣わし、人間を助けた。
 申奈さんはには厳しい自然を象徴するような恐ろしい面もあり、山の掟に従わないものは容赦なく祟るらしい。
 その急先鋒がおおかみで、狩猟の守り神だが、人間を追い立て苛む処罰者でもある。
 その一方で、ほかの御護りは人間の味方という側面が大きい。
 へびは、予見により天気は農耕の吉凶を占い、大きな示唆を与えたという。
 さるは、おおかみの眼を盗んだ人間に火を炊くこと許した。ほかにもいくつかの重要な知恵を授けたという。
 からすは、申奈さんの敵であるよみびとが滅びたのち、その肉をついばみ、処分したのだという。
 くもは、よみびとの訪問をしりぞけ、人間の眠りと夢見を安全に保ったという。
 このよみびとは、黄泉人のことらしいが、実のところ正体はよくわからない。おそらくは何かの原因で黄泉の国から舞い戻ってきた死者であり、人に害をなす不吉な存在ってことらしい。
 藤良村の支配層である上藤良ではこの構図がそのまま、申奈明神信仰の教義の基盤となっている。
 ところが休水ではちょっと違う。
 ある時、ひと、へび、さる、からす、くもが共謀して、おおかみを殺害した。
 へびの三車、さるの日口、からすの能里、くもの回末という、御護りの血を引くとされた四長者が成立したのもこの時らしい。
 おおかみは、よみびと側となって蘇り、人間に仇なす禍々しい存在となったのだ。
 皿永の早瀬は、よみびとの領域であり、おおかみはそこから夕霧とともに現れる。そして、住人を殺して、その姿に身をやつし、素知らぬ顔で住人のなかに混ざる。
 そして、夜、おおかみは本性を現し、残虐な方法で、住人を血祭り上げるのだ。
 ゆえに皿永の瀬と境界を接する休水の者がおおかみを止めねばならない。
 その方法として、申奈さまが定めたのが黄泉忌みの宴と呼ばれる儀礼。おおかみ殺しの饗宴を模した儀式。
 その宴の中では、1日に1人だけなら、殺人が許容される。
 それによって、人の顔をしたおおかみを集団から排除しろというのだ。
 この宴のために、人間たちの一部には、へび、さる、からす、くもの加護が与えられる。
 酒を酌み交わし、殺すものを1人だけ選ぶのだ。


 陽明は、「おおかみ様を見た。トイレのドアの隙間から見たが、人間の体にオオカミの頭がついていた。」と千枝実に打ち明けた。
 千枝実は、「おおかみ様は人身狼面で描かれるし、上藤良で祀られている像もそうだ。」と言った。
 陽明が、「おおかみ様を見た前後に女性の悲鳴を聞いたから、おおかみ様が馬宮さんを殺したと思っているが、入れ替りはあり得ない」と言った。
 千枝実は、「掟が厳しくて、宴の支度として、お風呂に入って、1人で鍵かけて閉じこもって、寝る、というのに触れちゃったから、けがれで死んだと思われる。」と答えた。
 陽明は、「あの時ロクに説明もなかったので、自分を見殺しにする気だったのか?」と聞くと、千枝実は、「よそ者は何をやっても助からないとおもってから、もしかしたら生き残れるかもしれない方法を伝えた。」と答えた。


 千枝実の話から、申奈様の社には3人のおおかみ様の像が飾ってあり、毎年の山祭りには、占いで三車が決めて社の境内の地面にサインを書き、そのマークの数だけおおかみ様の役が出ることがわかった。つまり、おおかみ様の人数は最大で3人。
 加護を受ける人は、さるだけ2人でほかは1人ずつ。申奈神社の像もその数とのこと。
 今年の宴は、おおかみ2人、御護り5人、ほかはただの人だ。


  陽明が、千枝実に、なぜ警察を呼ばないのかを尋ねると、「ここからは逃げられない。この霧を抜けることは絶対にできない。はっきりはわからないけど、ただ知っている。宴が始まれば、誰も休水からは逃げられない。」との返答だった。
 それを聞いた陽明は、千枝実も死に戻りをしているのでは?と思った。
 千枝実は、「休水は藤良村の中の村八分の集落なんです。」と言った。


 巻島家、山脇家、室家は、大昔から休水の者だが、かおりは、よそから日口家に嫁いできたが、夫が亡くなったあと、小さかった子供を連れて、こっちへ移り住まされたらしい。
 もっちーは、能里家の元嫡男で、清之介の甥にあたる。もっちーはちょっとヘンなので養子に出されて、休水へ来たのだ。
 千枝実は、昔荒れていたから、とのこと。


 Q:休水をでるか
 A:それでも休水から出る
 B:おとなしくする


 千枝実の部屋で晩御飯を食べさせもらい、千枝実がトイレに立った隙に陽明は、荷物を抱えて部屋を出た。
 結局、陽明は山道で迷い死んでしまう・・・


 BAD END/No.4 森で謎死


 ひつじから、休水からはどうしても出られない、と言われて、もう一つのほうの選択肢を選ぶように言われる。

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 レイジングループのプレイ開始!


 1.起点


 想起せよ


 5月11日(日)
 バイクツーリング中道に迷ったことに気付いた主人公は、何かの記憶を思い出しそうになる→・・・やめよう


 トロフィー:迷い人をゲット!


 2.濃霧


 主人公は房石陽明(ふさいしはるあき)は、道に迷って峠道をバイクで疾走中、フレッシュマーケというコンビニにたどり着く。
 買い物ついでにコンビニ店員に道を尋ねた陽明は、集落を教えてもらう。
 その集落へ向かう途中、陽明は崖から未舗装の坂に突っ込んで草むらにバイクごと投げだされてしまう。
 陽明はケガはないが、バイクは逝ってしまった・・・
 灯りが見えたので、当然圏外になっているケータイのライトアプリを起動させ、道の奥を目指して歩き出す。
 水音が聞こえ沢が見えてきた。
 灯りはその向こう岸にあったので、沢を渡る陽明。
 灯りに近づくと、河原に転がっていた懐中電灯を見つけるが、使用者の姿はない。
 ふいに頭上の岩の上から、「こんばんわ」と声が聞こえてきた。
 「悪いんだけど、それ取ってもらえます?」と女性の声がした。
 拾った懐中電灯を声のする方向に向けると若い女性がいた。
 陽明が「道に迷っているので助けてほしい」と言うと、女性は「ウチ来ます?」と言ってくれる。
 女性の手を借りて岩を上ると、女性は芹沢千枝実と名乗った。
 21歳で、ここからは遠い大学に通う学生とのこと。今は試験休みで戻ってきているのだ。
 自分のことを尋ねられた陽明は、名前を名乗って、東京で大学院生をやっている24歳だ、と自己紹介した。


 学生向けの古下宿みたいなアパートについた二人。
 千枝実は2階の202号の前で、「着替えてくるから待ってて」と陽明に声を掛けて、部屋に入っていった。
 雨が降り始め、暗くて玄関しか見えない。
 しばらくすると、ジャージに着替えた千枝実が現れ、部屋の中に入れてくれた。
 4畳半のワンルームで、部屋の真ん中にちゃぶ台、入り口に冷蔵庫、隅にショルダーバッグと中身がカラッポの本棚が2つがあるだけのカラッポに部屋だった。
 千枝実が冷蔵庫の中から缶ビールを取り出し、さっそく二人で乾杯する。
 深夜の密室に男女二人きり、しかもアルコールまで入ってしまった。千枝実の危機感の無さを心配し始める陽明。
 その時、千枝実が、「貞操が瀬戸際にもかかわらず、千枝実は特に身の危険を感じないのはなぜでしょう?」とクイズを出してきた。
 陽明は、「回答は2つ。想定外だが何が起きても問題ない、もしくは想定通り。前者は千枝実ちゃんがヤケッパチになっていてどうにでもなれって場合、あるいは、実は護身術の達人で僕なんか軽くノセるとか。後者の場合は」と答えると、千枝実は「わたしがエロエロですとか」と言い出す。
 千枝実は、「さて、ほかには何があるでしょう?」と聞いてきたので、陽明は、「僕の存在が、君の利益になる例。たとえばアリバイ工作。あるいは千枝実ちゃんが殺人鬼で、僕を酔っぱらわせてぶっ殺す。」と答えるが、千枝実は、「ほかにもあるよ」と言い出す。
 千枝実は、「私がとっても良い人で、陽明さんを助けてあげたい一心だ、ってケース。あるいは、泊めないともっとひどいこといなる、とか。」と話す。
 どういうことことかを陽明が聞くと、千枝実は、「この辺りには怖い野生動物が出ます。明日にはズタズタに引き裂かれてしまうかもしれません。このまま見捨てたらとても寝覚めの悪い思いをするかもしれないから、泊めてあげようかしら。」と答える。
 そして、千枝実は、「で、答えは?正解者には素敵なプレゼント。不正解者はぶっしゅぶっしゅ殺します。」と言い出す。


 彼女の目的はやけっぱちだ


 陽明がそう答えると、千枝実は正解です、と言った。
 陽明は千枝実との会話が楽しくて、このまま話し続けるほうがおもしろいと判断した。


 5月12日(月)


 すさまじい頭痛とともに目覚めた陽明。
 外は明るく、ケータイを開くと7時だった。
 横を見ると千枝実は寝ゲロしていた・・・
 陽明は起こそうとしたが、千枝実は起きなかったので、陽明は畳の上のゲロの片づけを始める。
 陽明は千枝実を起こし、千枝実が着替えるだろうから、部屋の外に出て時間をつぶすことにした。


 廊下に出ると、アパートが建物と同じがそれ以上の高さのある木々に埋もれ、廊下にまで木の枝葉が侵入してくことに気付く。
 陽明は、木々の間に奇妙な衣装をまとった少女を発見する。
 強めの風が吹き雨水が顔に当たり思わず目を閉じた陽明が、再び目を開けると、少女の姿はどこにもなかった。
 1階へ降ると草をかき分けて歩いた後があった。
 後を追うと開けた場所に出た。
 どうやら放棄された工事現場のようで、プレハブが建っていたが、巨大な岩石や土砂が際まで押し寄せていた。山側で土砂崩れが発生し、工事は中断されたようだ。
 足跡は坂を下って行ったようで、陽明が見渡すと人里らしき光景が広がっているのを目にした。
 棚状に重なる水田と民家が見えた。


 陽明が道を進むと、古民家っぽい一軒家があり、その下から小規模な棚田が始まっている。
 足跡は棚田の方に進んでいた。
 陽明がそろそろ引き返そうと思っていると、広場に立つ木製の電柱に据え付けられたスピーカーから、音が鳴りだした。
 坂の下の家屋が密集している箇所に人影が現れたが、顔を何か布のようなもので隠した老婆だった。
 老婆は家の間に建っている巨石の1つに近づき、両手を軽く結び頭を下げた。
 陽明には、老婆が何かを祈っているようにみえた。


 かなり特殊な文化を持つ集落に迷い込んだことに気付いた陽明は、よそ者トラブルどころじゃない致命的な事故が起こる予感がして、いそいでアパートに戻った。
 いつの間にか放送は止んでいたが、ノックしても声をかけても千枝実の反応はない。
 逃げなくては、と思った陽明は、財布の中から飲み代としての5千円を取り出し、新聞受けに挟み込んだ。
 その時、隣の玄関が開き、女性の悲鳴が上がり、声に驚いた陽明は廊下で転んでしまう。
 悲鳴を聞きつけて、「ハルちゃん、どうした?」と人がやってきた。
 陽明が顔を上げると、詰襟学生服を着た男子が2人立っていた。
 陽明は、自己紹介を始めると、男子たちは、織部泰長(おりべなすなが)と、モッチーこと醸田近望(かもしだちかもち)と名乗る。
 男子たちが陽明を怪しい者じゃないと確認できると、部屋の中に隠れていた女子を呼ぶ。
 女子は、巻島春(まきしまはる)ということだが、夕べ陽明が千枝実の部屋に泊まっていたことを知り、不潔と言い出す。
 そこへ千枝実が部屋から出てきて、「恥ずかしいところを見られちゃった。もうお嫁にいけない。」と言い出すが、口元は半笑いのままで、明らかにふざけているのだ。
 その後、全員を落ち着かせ千枝実が経緯を説明したが、春の視線が厳しい。
 陽明が、千枝実と下のほうの河原であった、というと3人の顔色が変わり、春は、「2日連続で、2人もだなんて・・・」とつぶやく。
 千枝実は、学生3人を先にご飯に行かせる。


 千枝実は、ここは学生寮だと教えてくれた。
 千枝実は、朝食はここでとって、面通しのために食堂へ陽明を連れていく、と言った。
 陽明が、誰と?と尋ねると、千枝実は、「よそ者が皿永からやってきたってことに文句を言いそうな人たちに」と、答えた。
 千枝実は、「あそこは皿永の瀬という川で、あの辺をまとめて皿永と呼んでいるが、いわくのある場所だ。」と、言い出す。
 いわくって?と陽明が尋ねると、千枝実は、「あの川は穢れていて、死人が返ってくる、みたいな伝説がね。」と答えた。
 陽明が、ほかにしきたりみたいなのは?と尋ねると、千枝実は、たくさんあるから自分に任せて、と言った。
 千枝実は、「いろいろと不愉快な思いをする前に早く出て行けたほうがいいかも」と言ったので、陽明はそのために根回しに行くことを理解した。
 千枝実の部屋でカップ麺を朝食に頂き、食堂へ向かった。


 「この岩って何なの?」と陽明が尋ねると、千枝実は「一応、お守りみたいなもの?昔からあるよ。」と教えてくれた。
 千枝実が案内してくれたのはさっきとは違う道だったが、そこにもところどころ巨石があった。
 遠くの田んぼに農作業中の人影を発見すると、千枝実は「匠兄ちゃん、おはよ~」と声を掛けた。
 千枝実が手を振ると、人影も手を振り返したが、陽明の姿に気付いてい手を止めた。


 坂の下には、お堂と食堂があり、さっきの学生3人組が出てきた。
 3人組は高校生で、山をぐーっと上ったところに分校があり、自分もそこに通っていた、と千枝実が教えてくれた。


 食堂に入ると、店主と思わしき女性が出迎えてくれた。
 そして、お客が2人。一人は、今朝見た老婆で、もう一人は60台後半くらいの男性だった。
 千枝実は、「房石陽明さん、昨日の晩、皿永で迷っていたのを千枝実が保護しました。」と言うと、3人は明らかに表情を険しくした。
 千枝実は、「単なる偶然です。あの子と違ってこの人は素性が明らかだし、バイクで事故ったって気の毒な事情もある。そんなわけで、我々としてはこの人がちゃんと帰れるように手伝ってあげるのがいいと思います。」と言った。
 老婆が、なぜ夜に皿永に行ったのかを問いただすと、千枝実は、「前の日にあんなことがあったし、眠れなかったから。」と答えた。
 「よみびとじゃないんかね。」と老婆が言うと、男性が、「やめえ、多恵バア」と言った。


 陽明は、前日に自分と同じように迷い込んだ子供がいることと、皿永の瀬にさかのぼってくる死人がおり、よみびとと呼ばれていることを理解する。
 男性にいろいろ聞かれた陽明は、自己紹介を始め、「すぐに出ていきますから、それまでは僕の存在を多めに見ていただけないかと。それと僕を助けてくれた芹沢さんを責めないで上げてください。どうかお願いします。」と言って頭を下げた。
 多恵バアは、陽明が茶髪なことが気に入らないが、男性は、「ちゃんとしているから、はよう返せばええ。」と言ってくれる。
 結局、多恵バアが、好きにしなさい、と言ったので、どうやら承認が得られたようだ。
 男性は、「ハルアキ?うちの孫もハルだから、紛らわしい。」と言ったので、千枝実は、男性が春の祖父の巻島寛造だ、と教えてくれた。
 寛造は、陽明から事故現場を聞き取り、後で匠といっしょに拾いに行くと言い出す。
 そこへさっき出会った匠が現れる。
 千枝実が紹介してくれて、フルネームが室匠(むろたくみ)であることがわかった。
 多恵バアが、「ここは休水というて、あんまりええ場所でないんよ。」と言い出す。
 自分らはよそ者が苦手だし、よそ者も触れない方がいいから、早く出ておゆき、とのこと。
 ここでの会話から、陽明は、寛造が最も発言権を有しているが、多恵の同意を得ることも重要で、集落の実質的な問題解決には寛造があたってきて、集落の精神的・道徳的な代表者が多恵だということに気付く。
 絶妙なタイミングで、店主がお茶を出してきた。
 店主はかおりという名前であることがわかる。
 かおりが食事を勧めてきたが、陽明は食べてきたと言って断る。しかし、かおりがおにぎりを勧めてきたので、千枝実が、電話を貸してほしいと言って、断ってしまう。
 食堂の奥には黒電話があり、千枝実は、休水唯一の電話だ、と言った。(ちなみにケータイはどのキャリアも圏外だ)
 千枝実は、「陽明さんはとっても察しがよくて、好奇心もとっても強く見える。でも、あんまり首突っ込まないようがいいかも?」と忠告する。
 陽明は、千枝実と連絡先を交換させてもらった。
 陽明は、「個人的興味で、何が問題になってて、どんな背景があるかを知りたい。」と言うと、千枝実に、「私が不愉快になるから、おすすめしない。」と言い切られてしまう。
 千枝実は、「正直、ここは嫌い。私、相当な問題児だったんで、ご年配がたとはけっこう気まずい。ま、住人自体はそんなに嫌いじゃない。」と言った。
 陽明が、千枝実に匠のことが好きかを尋ねると、「対象外です。それに未亡人のかおりさん一筋だし。」との返事だった。
 陽明は、千枝実が食堂で食事を摂らせないよう朝食を食べさせてくれたことや、さっきお茶を飲ませてくれなかったのは、なぜなのかを考え始める。


 保険会社への電話の結果、ここは通常のサービスの対象外でかなり割高な料金を取られることが判明したので、いったん保留で電話を切った。
 食堂に戻ると、多恵バア、寛造、匠がいなくなり、代わりに非行少年がいた。
 かおりの次男の織部義次だった。ちなみに長男はさっき会った泰長とのこと。
 かおりがいい加減学校へ行けと声を掛けるが、義次は行かねえと返事して、食堂から出て行ってしまう。
 かおりから、寛造と匠がバイクを拾いに行った、と聞かされる。
 陽明は、手伝いに行くと言ったが、千枝実は、「陽明さんがよそ者だから、長時間一緒に歩くのはおすすめできない。陽明さんは平気かもだけど、一緒にいると向こうがストレス溜めるかもしれない。ただでさえ今、普通じゃないから。」と答える。
 かおりも、「休水には休水のやり方があるから、手出しをしないほうが良い」と言ったので、陽明は待つことにしたが、千枝実は、この食堂ではなく自分の部屋を提案する。


 待っている間、千枝実は、今休水には、陽明のほかに3人ほどよそ者が集落に来ているので、住人が神経質になっている、と聞かされる。
 昨日の朝、皿永の瀬で迷っている子供を保護したが、親元どころか名前すらわからず対処に困っているとのこと。
 住人の一人が保護しているが、迷信によってその子の存在は不吉だとみなされているらしい。
 残りの2人は雑誌取材に来たジャーナリストらしい。
 こちらは上藤良から正規ルートで入ってきたので、別に不吉というわけではないが、単純によそ者がいるということで神経質になっているとのこと。
 休水という地域は、藤良村という自治体に属する集落で、藤良村は、上藤良と呼ばれる山の反対側の部分と、この休水に分かれている。
 上藤良には歩きで1時間程度、曲がりくねった車道を行けば車で20分くらいかかるとのこと。ちなみに学生たちが通う分校も上藤良に存在する。
 休水という集落は、藤良村にとって特別な場所とのこと。
 あと収穫あった話題は、現在千枝実に彼氏がいない、ということだけだった。


 昼近くになって、匠がやってきた。
 200キロ以上ある鉄の塊を二人ががり人力で運んできたのだ。
 二人を礼を言って、食堂前の広場でバイクを洗い始めようとすると、多恵バアに、皿水の泥をそんな場所で落とす気か!と怒鳴られた。
 とりあえずバイクを調べると、両輪がパンクしているだけであることが判明。
 陽明が、「ヤケクソで出発したから、準備不足だった。」と言うと、千枝実が食いついてきたので、「彼女にフラレた」と答える陽明。
 千枝実が、「修理道具なら、能里屋敷ならあるかも。」と言い出す。
 能里屋敷は休水で一番大きなうちで、能里屋敷にないものは休水にはないとのこと。


 人格的にお勧めできない、と千枝実に前置きされたが、能里屋敷に到着。
 休水集落の一番高いとこに位置していた。
 白壁の瀟洒な洋館だが、あまり手入れはされていない様子で、庭は雑草ぼうぼう、館も蔦に侵食されている。
 インターホンを押すと、しばらくしてから、神経質そうな男が出てきた。
 千枝実は、能里清之介に陽明を紹介する。
 陽明が、清之介に修理道具を貸してもらえるよう頭を下げると、清之介はガレージの位置を指示して屋敷に戻ってしまった。
 千枝実から、能里屋敷は、上藤良にある能里家のもっと大きいお屋敷からいらないものを運んで置いておくような場所で、清之介は数年間にバイクを買ってもらったが乗りこなせなかった、と教えられる。


 借りた修理道具で何とかしようとしたが、陽明は泥沼にはまった。
 かおりが差し入れをもってきたが、千枝実がすべて食べてしまった。
 そこへ見慣れない大型バンがやってきた。どうやらさっき言っていて記者たちらしい。
 バンから女性が下りてきてので、陽明は自己紹介を始めた。
 女性は名刺をくれたので、見てみると、フリーライター馬宮久子、ペンネームは宝生キューコと書かれていた。
 久子は、変わった食品専門のフードレビューを書いている、と言った。
 しばらくして、車から外国人力士並みの巨体が出てきた。
 久子は、写真家の橋本雄大だ、と紹介してくれた。
 千枝実が、今日が最終日ですよね?と確認すると、久子は、かおりが秘蔵のししなれを開けてくれる、と答えて食堂へ入っていった。


 陽明が作業に戻ろうとすると、老人がやってきて「来る、おおかみが来るぞ!」と笑いながらどこかへ行ってしまった。
 記者と送って食堂の中にいた千枝実が戻ってきて、「知らない人にはああやってイタズラするんだよ。昔っから休水にいるけど、本名は知らないだ。昔からあんな感じ。みんな狼じじいって呼んでいる。」と言った。


 パンクしたタイヤの修理が終わり、あとは組み立てるだけとなった。
 陽明は、千枝実に「これ、乗ってく?一応、タンダム用のヘルメットも吊るしてきてるし。ついてでにロングツーリングしてみる?」とデートのお誘いをしてみると、「問題ないよ。荷物まとめてくるね。」と千枝実は答えて寮へ向かった。


 夕方になりまだ組み立て作業をしている陽明は、明日までかかりそうだと感じていた。
 そこへ歌声が聞こえてきたので、手を止めて、そちらのほうへ歩いて行った。
 雑草に覆われた野原があり、雑草の隙間から無数の岩が顔を出していた。
 草原は崖となって途切れている。ここは休水の再下端で皿永との境界線。そして崖際に大きな松の木が1本立っていた。
 その草原を女の子が駆けていた。
 陽明はそれを見た瞬間、ここはよそ者には決して開かれるげきでない聖域だと気づく。
 女の子が転んだので陽明が駆け寄るが、女の子は逃げてしまう。
 そこへ今朝見た少女が現れ、「夕霧立てば、宴の支度。逃げて。間に合わない、でしょうけど。」と言い出す。


 あたりに霧が立ち込め、放心状態で広場に戻った陽明は、千枝実に肩をゆすられて正気に戻る。
 千枝実は、「もうダメ間に合わない。隠れて!」と言った。
 匠が、「部屋に戻れ!」と怒鳴る。
 皿永の方角、さっきまで陽明がいた草原のほうから、夕霧が上がってきて、広場に流れ込んだ。
 千枝実は陽明の手を引いて走り始めて、「どこか鍵のかかるところに一人で入らないと死んじゃう!」と言い出す。


 便所泊するか


 畦道沿いの簡易便所に到着した千枝実は、「詳しく説明している時間がないから、今から言うことを絶対に守って。今から一晩、ここに入って、鍵をかけて、絶対に、物音一つ立てないで!」と言った→トイレにこもる


 陽明は、「ノルマクリアの暁には相当な見返りと説明を要求するから」と言うと、千枝実は、「全部話すから、今晩を生き延びて」と言って駆け去っていった。


 正気の戻ると、トイレは和式で座ることもできず、半畳ほどのスペースに立ちっぱなしになることに気付く陽明。
 しかもトレイは汲み取り式で相当臭う。
 しかし、陽明は千枝実との約束を守るため、ここで一晩過ごそうと決心し、ここであったことを整理し始める。
 千枝実が、「絶対に物音一つ立てないで」と言っていたことから、陽明は、物音を聞きつけると危険な何者が外にいることに気付く。それは川から死者が上がってくるということかもしれない。あるいは掟に従えない発病者を撲滅するために誰かが殺しに来るかもしれない。
 その時、遠くで女性の悲鳴が聞こえた。


 悲鳴を追うか飛び出して様子を見に行く


 扉を開けると、あたりは濃密な霧が埋め尽くしていた。
 悲鳴が聞こえた方へ歩き出すと、ニンゲンの体を持つオオカミと遭遇してしまう・・・


 翌日早朝
 藤良村字休水3丁目付近の水田で発見されたのは、原型をとどめないほど破壊された人体だった。
 同時に発見された衣服から、旅行者房石陽明の変わり果てた姿だと判断された。


 「まだ動いてんぞ」
 「ヨミビトじゃ!ナキニセェ!」
 「さよなら、陽明さん」
 陽明は、彼女により改めて葬られた・・・
 「宴が始まりました」
 「おおかみをくくる」


 トロフィー:見せしめをゲット!
 KEY/02:人狼と、復活をゲット!
 BAD END/No.2:便所マンの最期


 ひつじから、シナリオ解放に必要なKEYは命の引き換えに手に入れることと、陽明は、死んでも記憶を次に持ち越せることを、教えてもらう。
 最初のアドバイスは「行き詰ったら死んでみろ」!

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