今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目の岩下のシナリオ:窓枠の中で→エンディング№310~313を見る
3人目は風間のシナリオ:下半身ババア→エンディング№168・169を見る
4人目は荒井のシナリオ:いみぐい村→エンディング№74・75を見る
5人目は細田のシナリオ:トイレの恋→エンディング№270~272見る
6人目は新堂のシナリオ:高木ババア→エンディング№003を見る
語り部6人に話が終わったのに、7人目はまだ姿を見せない。
新堂に「どうするんだ?」と促された坂上。
- もうしばらく待ちましょう
- 新堂さんの意見を聞きたい
- 帰りましょう
シナリオ:うしろの正面
「なあ、坂上。7人目は結局まだ来ねえけど、どうするんだよ」
皆、待たされた不満が噴出したのか、好き勝手に文句を言い出した。
岩下が席を立ち、つかつかとドアに向かって歩き始めたので、他の皆もそれに続いて席を立った。
「待ってください」と坂上は皆を呼び止めた。
「僕が話をします。七不思議は七話揃わないと、終わりませんから。皆さんに気に入ってもらえるような怖い話ができるように頑張りますので、どうか席に戻ってもらえないでしょうか」
坂上の言葉に一同は顔を見合わせると、ぞろぞろと席に戻った。
「皆さん、ありがとうございます。それで、最近僕が体験した話と、昔起きたとある話とどちらをご希望でしょうか」
「へえ、お前は怖い話が苦手だったんじゃねえのか。それなのに、俺たちに選択させてくれるっていうのか?」
「せっかくですので、よければ新堂さんが選んでいただけますか?」
「よし、俺が聞きたいのは・・・」
「わかりました。皆さん、僕の話を聞いていただけますようでありがとうございます。改めまして、僕は1年E組の坂上修一と言います。どうぞ、最後までお付き合いしていただけると嬉しいです」
昔、この付近に大きな団地があったが、老朽化が進んだため、10年くらい前に取り壊されてしまった。
その団地にある男の子が住んでいた。
彼はまだ、その団地に引っ越してきたばかりだったので、周りに友人と呼べる人間がおらず、いつも団地の隅にある古びたブランコで遊んでいた。
そんなある日、誰かが彼に声を掛けてきた。
「お前、一人で何してんだよ」
彼に声を掛けてきたのは、男の子と近い歳の活発そうな少年だった。
「俺たちと一緒に遊ばねえか?仲間にも紹介してやるよ」
そう言って、彼は少年の手を引っ張って公園の茂みの中に連れて行った。
彼に連れていかれた場所には、少年と近い年頃の子供たちが数人おり、思い思いに遊んでいた。
「こいつも今日から仲間だ」と紹介されると、他の子どもたちは素直に受け入れてくれた。
「皆この団地に住んでいる奴らなんだぜ。お前も今日から俺たちに仲間だ。これからは一緒に遊ぼうぜ」
「うん、よろしく」
こうして一人ぼっちだった少年に友達ができ、その日から7人は何をするのも一緒に行動した。
ある夏の暑い日のこと。
リーダー格の少年が、みんなにある提案をした。
「学校に行ってみたくねえか?」
少年は、学校についてよく知らなかった。
他の子どもたちは小学校はいつも行っているところとのことで、夏休みで誰もいない近くにある高校へ探検に行く、とのことだった。
子供たちは興味津々で探検に出かけた。
子供たちがやってきたのは、鳴神学園だった。
リーダー格の少年の案内で、破れたフェンスを潜り抜けて校内に侵入した子供たちは、木造の旧校舎にやってきた。
この頃、旧校舎はすでに立ち入り禁止だったが、入り口に立ち入り禁止のテープが貼られているだけで、子供たちが侵入するには簡単だった。
リーダー格の少年は、「探検するにはぴったりの場所だろ?今から探検しよーぜ」と言った。
嫌がる子供もいれば、乗り気の子供もおり、結局、子供たちは旧校舎に入ることにした。
旧校舎の中は、昼間でも薄暗く、木の匂いに満ちていた。
そして、子供たちが歩く度、床はぎいぎいと音を立てた。
最初は、その音に怖がっていた子供たちだったが、だんだんと恐怖が薄れていき、好き勝手に遊び回り始めた。
「これから、みんなで何かして遊ぼうぜ」とリーダー格の少年が言った。
彼はどんな遊びをしたと思いますか?
- かくれんぼ
- 宝探し→エンディング№427:ようこそ、無間地獄へ
リーダー格の少年がそう提案し、皆はかくれんぼすることにした。
じゃんけんをした結果、鬼はあの引っ越してきた少年になった。
少年は百数えたあと、近くの教室から順々に探して回ったが、誰一人として見つからなかった。
やがて、校舎に茜色の陽が差し込み、周囲をオレンジ色の染め上げていく頃、少年は皆を探すことを諦めて、泣きながら家路についた。
団地に着くと、ちょうど少年の母親が買い物袋を提げて歩いているところに出くわした。
少年は母親に抱きついて、たどたどしい言葉で一部始終を母親に伝えた。
「そう、かくれんぼの途中でお友達が帰っちゃったの」
「一生懸命探したのに、見つからないんだもん。あ!」
気が付けば、少年の前方に自分を置き去りにした子供たちが楽しそうに公園ではしゃぎまわっていた。
「お母さん、あの子たちだよ。あの子たちがかくれんぼの途中で僕を放って帰っちゃったの」
「どの子かしら?」
ところが少年の母親は、彼が指さした方を見ても、首を傾げるばかり。
「お母さん、あそこだよ」
「誰もいないけど・・・」
少年は驚いて母親の顔を見た。
そして、もう一度公園を見ると、さっきまではしゃいでいた彼らはいなくなっていた。
「変な子ねえ。もうすぐご飯だから家に入りましょ」
母親はそう言うと、少年を抱きかかえて家に入った。
それからです。
少年に他人には見ることができない。不思議な彼らとのつながりができたのは。
その後、少年は父親の転勤が決まり、団地から引っ越した。
けれど引っ越した先でも、彼らは少年の前に姿を現した。
しかも、彼らは、少年が成長するにつれて同じように成長していった。
少年は、彼らとは気づかず、成長した彼らとまた友達になって、そして、そんなことを何度も繰り返した。
けれど少年は、歳をとるにつれて、それは幻だということを悟った。少年にしか見えない彼らは、少年の妄想の産物だった。そして、少年は坂上自身だった。
「そう、あなた方は、僕が生んだ幻影なんです」
「お前、何言ってるんだよ」
新堂が呆れた顔で、坂上を見る。
「今日の集会ですけど、本当は今日じゃなくて明日だったんです。だけど僕は、今日が集会の日だと思い込んでいました。そして、扉を開けるとみんながいました。会が進むにつれて、僕は集会が今日じゃなくて明日だということを思い出したんですけど、どうしてもそれが言えなくて。
語り部はまだここにいる。皆に会いたい気持ちが、僕の記憶に妙な綻びを与えるんです。
みんなと会えるのは、これが最後なんですよね。それがわかっていたから、最後の瞬間まで僕は何も言えませんでした。
僕はみんなことが本当に大好きだから、離れたくなかった。でも、もうそれも終わりにしなかならないんです」
坂上の頬に涙が伝った。
「皆さん、僕はもう一人でも大丈夫です。あの時みたいな子供じゃないですから。一人でも、大丈夫ですよ。本当に今までありがとうございました」
坂上は6人に対して感謝の意を込めて深々とお辞儀をした。
扉が開く音がした。
「お前、何してんだよ?」
「日野先輩」
扉の向こうには、この企画を立案した日野がいた。
「部室の前を通ったら、灯りがついているから、誰かいるかと思って。明日の準備か?」
「なんでもないんです・・・」
「お前、何泣いてるんだ?どこか痛いのか?」
坂上はまた瞳を閉じた。
さよなら、僕の思い出達。
エンディング№426:さよなら、思い出達
エンディング数 41/657 達成度6%
キャラクター図鑑 39/122 達成度31%
坂上静江
イラストギャラリー 32/283 達成度11%
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