今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情の狭間→福沢エンディング20~22
6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング06~08
結局7人目は現れなかったので、みんなは部室を出ようと席から立ちあがる。
坂上は、「待ってください」とみんなに声を掛ける。
「僕が怖い話をします。七不思議は七つ揃わないと終わりませんから。皆さんに気に入ってもらえるような怖い話ができるように頑張りますから、どうか席に戻ってもらえないでしょうか」
坂上の言葉に一同は顔を見合わせると、ぞろぞろと席に戻った。
昔、この付近に大きな団地があったが、老朽化のため10年くらい前に取り壊されてしまって、今はない。
その団地にある少年が住んでいた。
彼は引っ越してて来たばかりでまだ友達がおらず、いつも団地の隅にあるブランコで遊んでいた。
そんなある日、誰かが少年に声を掛けてきた。
「お前、一人で何してんだよ」
少年に声を掛けてきたのは、少年と近い歳の活発そうな少年だった。
「俺たちと一緒に遊ばねえか?仲間にも紹介してやるよ」
そう言って、彼は少年の手を引っ張って、公園の茂みの中に連れて行った。
少年が連れていかれた場所には、少年と近い歳ごろの子供たちが数人おり、思い思いに遊んでいた。
「こいつも今日から仲間だ」と紹介されると、他の子どもたちは素直に受け入れてくれた。
「皆この団地に住んでいる奴らなんだぜ。お前も今日から俺たちに仲間だ。これからは一緒に遊ぼうぜ」
「うん、よろしく」
こうして一人ぼっちだった少年に友達ができ、その日から7人は何をするのも一緒に行動した。
ある夏の暑い日のこと。
リーダー格の少年が、みんなにある提案をした。
「学校に行ってみたくねえか?」
少年は、学校についてよく知らなかった。
他の子どもたちは小学校はいつも行っているところとのことで、夏休みで誰もいない近くにある高校へ探検に行く、とのことだった。
子供たちは興味津々で探検に出かけた。
子供たちがやってきたのは、鳴神学園だった。
リーダー格の少年の案内で、破れたフェンスを潜り抜けて校内に侵入した子供たちは、木造の旧校舎にやってきた。
この頃、旧校舎はすでに立ち入り禁止だったが、入り口に立ち入り禁止のテープが貼られているだけで、子供たちが侵入するには簡単だった。
リーダー格の少年は、「探検するにはぴったりの場所だろ?今から探検しよーぜ」と言った。
嫌がる子供もいれば、乗り気の子供もおり、結局、子供たちは旧校舎に入ることにした。
旧校舎の中は、昼間でも薄暗く、木の匂いに満ちていた。
そして、子供たちが歩く度、床はぎいぎいと音を立てた。
最初は、その音に怖がっていた子供たちだったが、だんだんと恐怖が薄れていき、好き勝手に遊び回り始めた。
「これから、みんなで何かして遊ぼうぜ」
彼はどんな遊びをしたと思いますか?
- かくれんぼ
- 宝探し
リーダー格の少年がそう提案し、皆はかくれんぼすることにした。
かくれんぼで誰が鬼になったと思いますか?
- 引っ越してきた少年
- 他の誰か
少年は百数えたあと、近くの教室から順々に探して回ったが、誰一人として見つからなかった。
やがて、校舎に茜色の陽が差し込み、周囲をオレンジ色の染め上げていく頃、少年は皆を探すことを諦めて、泣きながら家路についた。
団地に着くと、ちょうど少年の母親が買い物袋を提げて歩いているところに出くわした。
少年は母親に抱きついて、たどたどしい言葉で一部始終を母親に伝えた。
「そう、かくれんぼの途中でお友達が帰っちゃったの」
「一生懸命探したのに、見つからないんだもん。あ!」
気が付けば、少年の前方に自分を置き去りにした子供たちが楽しそうに公園ではしゃぎまわっていた。
「お母さん、あの子たちだよ。あの子たちがかくれんぼの途中で僕を放って帰っちゃったの」
「どの子かしら?」
ところが少年の母親は、彼が指さした方を見ても、首を傾げるばかり。
「お母さん、あそこだよ」
「誰もいないけど・・・」
少年は驚いて母親の顔を見た。
そして、もう一度公園を見ると、さっきまではしゃいでいた彼らはいなくなっていた。
「変な子ねえ。もうすぐご飯だから家に入りましょ」
母親はそう言うと、少年を抱きかかえて家に入った。
それからです。
少年に他人には見ることができない。不思議な彼らとのつながりができたのは。
その後、少年は父親の転勤が決まり、団地から引っ越した。
けれど引っ越した先でも、彼らは少年の前に姿を現した。
しかも、彼らは、少年が成長するにつれて同じように成長していった。
少年は、彼らとは気づかず、成長した彼らとまた友達になって、そして、そんなことを何度も繰り返した。
けれど少年は、歳をとるにつれて、それは幻だということを悟った。少年にしか見えない彼らは、少年の妄想の産物だった。そして、少年は坂上自身だった。
「そう、あなた方は、僕が生んだ幻影なんです」
「お前、何言ってるんだよ」
新堂が呆れた顔で、坂上を見る。
「今日の集会ですけど、本当は今日じゃなくて明日だったんだ。だけど僕は、今日が集会の日だと思い込んでいた。そして、扉を開けるとみんながいた。会が進むにつれて、僕は集会が今日じゃなくて明日だということを思い出した。けれど語り部はまだここにいる。皆に会いたい気持ちが、僕の記憶に妙な綻びを与えるんです。
僕はみんなことが本当に大好きだから、離れたくなかった。でも、もうそれも終わりにしなかならないんだ」
坂上の頬に涙が伝った。
「皆さん、僕はもう一人でも大丈夫です。あの時みたいな子供じゃないですから。一人でも、大丈夫ですよ。さよなら」
坂上は静かに瞳を閉じた。
・・・瞳を開けると、もうそこには皆はいなかった。
「お前、何してんだよ?」
「日野先輩」
扉を開けると、新聞部の先輩の日野がいた。
「部室の前を通ったら、灯りがついているから、誰かいるかと思って。明日の準備か?」
「なんでもないんです・・・」
「お前、何泣いてるんだ?どこか痛いのか?」
坂上はまた瞳を閉じた。
さよなら、僕の思い出達。
七話目エンディング02:さよなら、思い出達
CGギャラリー 10/124
この記事にコメントする
- HOME -