今日のパラノマサイトFILE23本所七不思議はどうかな?
午前8時
自宅前
「やっこちゃん、おはよう。あれ?やっこちゃ~ん?おーい」
「ん?あれ?」
「あ、起きた」
「あれ?朝?」
「ダイジョブ?自分の名前わかってる?」→「逆崎約子です」
「ちゃんと目が覚めたみたいだね。よかった」
「昨夜はありがとう。大丈夫だった?」
「うん、生きているよ。呪影を払って呪主を突き止めることはできなかったけど、どうにか逃げ切った。この場合生き残れば勝ち」
「ごめんね、危険に巻き込んで。わたしも明るくなったらすぐ起きて探しに行こうと思ってたんだけど、なんかすっごく眠くて」
「いいのいいの。あんなことがあったら消耗するだろうから仕方ないよ。それにやっこちゃんが呪いに巻き込まれてこっちが申し訳ないって思ってるから。そもそもそうさせないのが私の役目なのに」
「昨夜もそんなことを言ってたけどさ、ミヲちゃんていったい何者なの?」
「実は私、幼いころから霊感的なものをちょっとばかり嗜んでおりまして」
「え?華道や茶道みたいに霊感を身につけるようなことがあるの?」
「ちょっと小さいときに、いろいろあって」
「そっか、きっと大変だったんだね」
「うん、話すと長くなるから詳しいことは置いといて。今は縁あってある霊能者さんの弟子とか助手的な感じなことをやっててね。昔から学校という場所は感受性の高い青少年が集まるから霊障が発生しやすい傾向があって、何か起こりそうな学校に派遣されて未然に防ぐようなことをしているわけなの」
「すごい。じゃあ学生やりながらそんな副業を」
「やっていることは治安維持の補助だけど修業の一環ってことでバイド代も何もなく・・・」
「大変そうだね。でもすごいなあ。かっこいい!」
「なんか恥ずかしくて微妙だけど。そんなわけでうちの学校周りで起こる霊的な問題は一応私が解決しないといけないの。だから、この呪いの件ももう少し詳しく原因を追ってみるつもり。だけど、とりあえず学校行こうか」
「うん」
「そうだ、呪詛珠はある?夜が明けて霊力弱まっているから私が預かれるかも。試してみようか」
「うん、でも、やっぱりだめなのかな。美智代ちゃんと蘇らせるのは」
「私は、賛成できない。夢のような秘術だけどその代償が他人の複数の命となると、さすがに」
「そりゃまあそうだけど」
「被害をなるべく出さないようこの呪いの儀式を終わらせる。それが今の私の立場で優先すべきことだから」
「でも、ごめん。この呪詛珠、やっぱりわたしが持っててもいい?呪いは絶対に使わないって約束する。最後まで可能性を放棄しちゃダメな気がして、呪いを収めるにしても一緒に行く、手伝う。わたしの中で美智代ちゃんのことにちゃんと決着つけて前に進むためにも!」
「わかった。でも危険を感じたらいつでも呪詛珠を渡してね」
「うん、ありがとう、ミヲちゃん」
「それじゃあ行こっか」
文化/社会」駄菓子せんのや
午前8時
駒形高校正門前
「騒がしいと思ったら、学校の前に警察と人だかりが。なんかあったのかな」
「ちょっと聞いてくる」
「やばい」
「どうしたの?」
「あのね、落ち着いて聞いて。今朝、最初に出勤してきた先生が発見したらしいんだけど、校庭の真ん中で城之内先生が死んでたんだって」
「え!」
「だから今日は臨時休校だって。しかもそれだけじゃなくて、そのほかにもこの近くでいくつか変死体が見つかって町中大騒ぎになっているみたい」
「えっ、えっ、えええ!!!まさか、呪いのせい?」
「今聞いたウワサだと先生は、校庭の真ん中で倒れていたのに、まるで高いところから落ちたように全身打撲の状態だったらしいから」
「何それ?」
「死に方が不自然だし、タイミング的にも、きっと呪いの可能性が高いと思う」
「夜のうちに誰かが呪いと使ったってこと?」
「そういうことになるね」
「こわっ!やっぱりこの呪いで人が死ぬんだ!」
「しっ、あまり大きな声を出さないで。呪主に聞かれたバレちゃうよ」
「ひっ、ごめん!」
人物リスト更新:城之内耕兵
「もうちょっと情報がほしいけど門は封鎖されて入れないね。裏口から忍び込めないかな。あれ、あそこにいるの、奥田瞳さんじゃない」
「ホントだ、珍しい。あ、でも昨夜も学校に来てたのか」
「城之内先生のこと、きっと何か知ってるよね。話聞いてみよう」
「じゃ昨夜ガッコにいたのはあんたらだった、ってわけかい。だったら隠しても仕方ないね。黒鈴には借りもあるしアタシが知ってることなら話すよ」
「ありがとう」
「ミヲちゃんに借りって?」
「私が転入してすぐのときにちょっとあって」
「アタシの除霊っての?してもらったんだよ」
奥田に、城之内の死について聞く。
「城之内先生のことは、聞いた?」
「昨夜から知ってたよ。なんせ、あのセンコーが校庭でくたばるトコ見ちまったからな」
「教えて、先生に何があったの?」
「アタシだってよくわかんねーよ、暗かったし。言えんのは、夜中の3時台だったかな。アイツが突然逃げるように慌てて校庭に出てきてでけえ声で、『助けてくれ!許してくれ、白石!』とか言って逃げ回ってた」
「校庭にほかの人の姿は?」
「アタシがいたトコからは暗くてよく見えなかったけど、制服着たおさげ髪の女生徒っぽい人影がチラっと見えた気がしたな。で、それから『ボクが悪かった1なんでもする!』みたいに命乞いしてて、そのあと誰に何かをされた様子をまいのに突然手足がボキっと折れて倒れて。倒れて動かなくなったから、ヤバいと思ってアタシはそこですぐに立ち去ったよ。アタシが見たのはそんなトコだよ」
「そうだったんだ」
「その話だと、まるで美智代ちゃんが化けて出て先生を追い詰めて呪い殺したみたいじゃん!」
「んなこと知らねーよ。アタシは聞こえた通り伝えただけだ」
奥田に城之内の死について聞く。
「今の話、警察には言った?」
「言ってねーし、言うつもりもねーな。アタシがこんな素っ頓狂はハナシをしたってぜってー信じねーよ」
「そっか、でも、中には信用できる人だっていると思うけど」
「まあな、確かにひとり、おせっかいなポリがいたっちゃいたけど、そいつもついこないだ死んじまったからな」
「あ、そうなんだ。それは、つらいね」
「こう、アタシに関わるヤツが次々と死んでくとさ、さすがに呪われてんのかなって思ってヤんなるよな」
「そんなことないよ!奥田さんに憑いてたのはそういう霊じゃないから。だから不幸な偶然。それはそれでつらいけどね」
奥田に城之内の死について聞く。
「あのセンコーの死についてアタシが知ってんのはそんだけだよ」
「ねえミヲちゃん。わたし思ったんだけど、話だけ聞いているとなんか似てるよね。城之内先生の死に方と美智代ちゃんの死に方って。美智代ちゃん、高い所から落ちたように身体が折れていたらしいから」
「もしかしたら、同じ呪いで殺されたかも?いや、でも白石さんが死んだときはまだ七不思議の呪いは現れていなかったはず。あとこっくりさんを信じるなら、白石さんは事故死なんだよね」
奥田にミヲの除霊について聞く。
「奥田さん、なんか悪い霊に取り憑かれたりしたの?」
「アタシもそこらへんはよくわかんね^けどさ、コイツのおかげでアタシに起きてたヘンな症状が治まったのは間違いねーよ」
「うん、霊的なものが生まれつき見えちゃう体質の人ってたまにいてね。そういう人は、身の回りの人から理解を得られなくて孤立しがちなの。しかも、見えてる人には霊が集まりやすいから、原因不明の頭痛、肩こり、めまい、幻聴、幻覚、あと意識の酩酊や記憶障害といって霊障も出るし、いろいろつらかったと思う」
「やっぱさ、霊に取り憑かれると人格を乗っ取られたりすることもあるの?」
「その霊が親子とか兄弟とかものすごく波長の合う相手なら可能性はあるけど、普通は完全に乗っ取られるようなことは、ほとんど聞かないかな。その波長が合わないからこそ、さっき言った霊障とか身体の不調を起こすわけだけど。」
「じゃあテレビで見る降霊術とかはインチキなのか?」
「ううん。降ろす霊に波長を合わせる能力を持っているのがイタコさんとか降霊術師だから。でも、テレビてやってるのは演出だけのやつもあるけどね。実際、生前に強い霊感を持っていた霊とか生前に関係が深かった人の霊だとしても、憑いた相手を完全に操れるわけじゃないけどね。できるとしても、当人の意志で行ってもおかしくない行動から特定の選択を促すこと、くらいだと思う」
「でもそれだと、その行動を自分の意志でやったかどうかわからなくならない?」
「だから自身では取り憑かれていることに気付いてない場合も多いよ。あ、記憶とか言動で霊の影響を受けることがあるかもしれない。そこは生前の関係が深いほと起こりやすい感じ」
「奥田さんもずっと取り憑かれて苦労してたんだね」
「別にアタシがどんな目に遭ってようとなんも変わんねーよ。霊とかが見える見えないだけの理由でこなったワケでもねーしな」
「でも見えちゃうのは自分のせいじゃないわけだし」
「それについては私もそうだから仕方ないところかな。あ、でもやっこちゃんもわりと素質あるから、信じて訓練すれはきっと見えるようになるよ」
「いや遠慮しとく」
奥田にミヲの除霊について聞く。
「そういうのもミヲちゃんの仕事ってわけだね」
「でもコイツいきなり現れて除霊するとか言って勝手に何してくれてんだって思ったよ」
「説明もなくいきなり除霊かましちゃった?」
「経験上、どんなに説明してもわかってもらえないことが多くて、まず結果を示してから説明するとみんな納得してくれるから」
奥田に昨夜の教室でのことを聞く。
「奥田さん、昨夜、城之内先生が倒れるところを目撃する前、教室で先生とは何してたのかは聞いてもいい?」
「そのことは警察に言うのか?アタシみたいにハミダシ者は、何かあるとすぐ大人どもが決めつけてくるからな」
「わかった、言わないよ。そもそも奥田さんには城之内先生は殺せないから」
「そう言ってくれるなら教えてやるよ。昨夜は、あのクソセンコーに呼び出されてまんまと襲われそうになってたんだよ。ったく、アイツは最低のセンコーだよ。死んで清々してる。当然の報いだ。人はお前はクズだとか社会のガンだとか何も知らねえで散々言ってきやがってよ。テメエのほうがよっぽどクズな真似してたクセに。」
「そうなんだ、どうして夜中に先生に呼び出されたのかは詳しく説明してもらってもいい?」
「んー、それがちょっとややこしくてな、どっから話せばいいもんだか」
奥田に城之内の悪事を聞く。
「じゃあ、城之内先生のクズな真似っていうのは?」
「白石美智代っていただろ?あの自殺したヤツ。あのセンコー、なんか知らねーけどそいつの弱味を握っていたみたいで、それをネタに脅して、放課後呼び出して好き放題してたみたいだぜ」
「何?どういうこと?好き放題って?」
「想像に任すよ。あんたらみたいな真面目チャンな生徒にゃどうせ縁がねぇコトだ」
「そんな!どうして!弱味って?わたしそんなの全然知らない!」
「やっこちゃん落ち着いて。気持ちはわかるけど落ち着こう」
「あんたダチ気取ってたクセにいい気なモンだな。白石はあのセンコーのせいでずっと身体も心もズタボロだったんだよ。誰にも言えず絶望しかなかったろうな」
「そんな、許せない!」
「奥田さんはどうしてそのことを?」
「ただ偶然その現場に居合わせたってだけだよ。あのガッコで人目につかない場所はだいたい知ってるからな。アタシが何してんだテメエ!って怒鳴ったらあのセンコーは慌てて逃げて行ったよ。そのあと白石はずっと半べそかいてたから放っておけなくてしばらく側にしたら、ぼそぼそとそういう事情を教えてくれたってわけ。アタシなら言いふらすことはないって思ってみたいんだな。ただ助けてくれとは言ってこなかった。私なら大丈夫かだら秘密にしといて、って。白石は黙ってガマンしてればいつか収まるモンだと思ってたみたいだけどよ、ああいう連中は黙ってたら図に乗るだけだ。アタシもそう言ったけど、これはきっと罰だから、ってどうしようもねえ甘チャンだよ、アイツ。ま、センコーを案の定それ以降も懲りずに続けてたってハナシだ。それで結局自殺してんだろ?世話ねーよ」
「奥田さん、あなたそのことを知っていたのに」
「あ?アタシが悪いっての?アイツ自身が言うなって言ってたんだ。大丈夫だって言ってなんだよ。だったらそれ以上アタシが構う義理なんてねーだろ?」
「やっこちゃん、奥田さんも責めても仕方ないよ」
「美智代ちゃん、どうして!」
奥田に美智代の弱味について聞く。
「美智代ちゃんの弱味っていうのは聞いてる?」
「そこまでは聞いてねーけど、センコーの脅迫が始まったのは1年くらい前からだってハナシだぜ」
「そんな前からずっと?」
「ま、何かしらやらかしたところ、あのセンコーにバレたんだろうな」
「きっと事情があったんだよ」
「さあな、アタシにゃどうでもいいことだ」
奥田に昨夜の教室でのことを聞く。
「ことの発端は、まずさっき少し話したお節介なポリってのが、数日前に旧安田庭園で死んじまってた吉見ってヤツなんだけどさ。全然サツにゃ見えねえ野蛮なヤローなんだが、やたら面倒見がイイんでそちうとだけはなぜか話せて」
「そっか、そんな人がいたんだ」
「死んじまったのはまあしゃあねえと思うけど。ああ、そうだ。婚約者だって女を突然紹介されたこともあってよ。ソイツの前ではあの大男がタジタジなのがケッサクだったな。自分も昔ワルかったから、アタシの味方だっつってくれてさ」
「そうなんだ。その人にも気の毒だね」
「ああ、あの人が悲しんでると思うと、ちいとばかし悔しい気持ちになるな。アタシ、吉見が死ぬ日の夕方とご旧安田庭園で吉見と会ってたし」
「えっ」
「アタシが荒れてると吉見はすぐその公園に連れて行って、ハナシを聞いてくれてたんだ。その日も同じようにあの公園で呼び出されたんだけど、なんか様子が違ってた。焦った感じっつーか」
「焦った感じ?」
「ああ、それで珍しくアタシに頼み事なんてしてきたんだ」
「どんな?」
「まず、古くせえお守りを渡されて、これを預かっといてくれ、ってコトだった」
「お守り?」
「なんか薄汚れたお守りだったよ。そのくらいなら、って受け取って、今も肌身離さず持ち歩いているよ。それからさらに、『白石美智代が持っていたこれと似たもう一つのお守りも探してほしい』って」
「え?なんで美智代ちゃんが出てくるの?」
「あの吉見ってポリは白石とも会って話をしてたんだとよ。そこで接している間に、なんか特殊なお守りを持っていることに気付いたみてえだが、白石本人からは避けられたて、何も話してもらえなかったらしいな」
「美智代ちゃんが持ってたお守り?」
「え、アタシが白石美智代と面識あると知って頼んできたらしい」
「白石さん、警察の人にも相談できない事情があったの?」
「おうちもちょっと複雑だったからね、あの子」
「白石はセンコーにされてたコトも何も言わずに黙ってたらしい。そりゃ言いにくいだろ、んなコト。まして自分に弱味があるんじゃサツにはな。だからアタシも白石のことは何も明かさなかった」
「美智代ちゃん、何があなたをそんなに縛り付けたの?」
「吉見は白石美智代のことだけじゃなく、そいつが持ってたお守りも気にしていた。しかし、白石が死んじまったからその行方がわからなくなった。だから同じガッコで面識のあったアタシにそれを探しだしてほしい、ってコトだった」
「そのふたつのお守りって特殊なもの?なんで奥田さんに預けたのかな?」
「さあな。中を見たら薄汚い変な板きれが入っているだけだったけど。でもあの吉見の態度からするとなんか重要なシロモノっぽかったけどな。しかもご丁寧に『もしこの先オレの身に何かあったらそのふたつのお守りを警視庁のナカゴシってヤツに渡してくれ』なんてことを言われてたからよ。今にして思えば、吉見は自分の身に何かある予感があったんだろうな」
「えっ、ナカゴシ?」
「ミヲちゃん知ってるの?」
「あ、いや、なんとなく、聞いたことある、ような・・・」
「ホントにいるんだ。じゃあそこは安心した。とにかく死んじまったヤツからの頼み事じゃ無下にもできねえって思ったワケだ。」
「奥田さん、そのお守りって、ちょっと見せてもらってもいい?」
「悪いけどまだあんたらをそこまで信用できてないから。今のアタシにとってはそのくらい大事なモノなんでね」
「そっか」
奥田に昨夜の教室でのことを聞く。
「じゃあ、昨夜奥田さんは白石さんが持っていたお守りを探して?」
「ああ。で、アタシが知っている白石と今深い関係にある人物はまずセンコーだった。昨日の昼間、ガッコでセンコーに白石のお守りに心当たりがないか聞いたら、『今は話せないから夜中にこっそり学校に来い』とか意味不明はこと抜かしてよ。ご丁寧にガッコの裏門のカギの番号まで教えてくれたよ」
「私たち、正門の乗り越えて入ったけどそんな方法が」
「で、夜中に教室で会ったわけだが、なんかハナシの要領を得ない状態が続いててよ。『お前本当は白石だな!』とかワケわからんことを言い出して、『お前さえいなければ!お前が悪いんだ!』みたいなことを口走りながら、アタシを無理やり押さえつけて息を荒くしながら迫ってきたんだ」
「大丈夫だったの?」
「ああ、ちょうどそのタイミングで暗い教室にあんたらが入ってきたから、それでセンコーがビビッてるうちにアタシはトンズラしたってわけだ」
「危なかったね」
「だから、まあ、あんたらのおかげで助かったよ。ありがとな。ただお守りの情報は何も得られなかったから、骨折り損だったけどよ。その後、あんたらの行動が気になったんで学校の近くには潜んでたけどな。だから逆崎とオッサンが話してるのとか、黒鈴があとから出てくるのも見てたよ」
「そうなんだ」
「そしたら、センコーが出てきたくたばるトコも見ちまったってワケだ」
「奥田さんは、白石さんのお守りを探していたってわけだね」
奥田に昨夜の教室でのことを聞く。
「センコーの誘いに素直に応じちまったのは自分でも軽率だったと思ってるよ。無事で済んだのはラッキーだった」
奥田に城之内の死について聞く。
「城之内先生は白石さんに殺される、みたいなことを言ってたようだけど、実際白石さんが城之内先生のことを恨む理由はあったってことだよね」
「まさか本当に化けて出たとか?」
「強い恨みや未練を抱いて死んだ人が地縛霊や浮遊霊になる可能性は確かにあるけど、ただ生者を呪い殺すとかふつうは無理。一般人の霊じゃそこまでの力はないから。でもその無念を強く訴えたいがために近しい人に取り憑いたりすることはあるかも」
「じゃあ、もし美智代ちゃんがこっくりさんの言う通り不慮の事故死だったとしたら、きっとそれなりに無念はあったよね。あの子が生きることを諦めてなかったのなら、どんな境遇でも簡単に諦めるような子じゃない、と思っていたけど」
「アタシは知らねーけど、確かに自殺するほど思いつめてる感じじゃなかったな」
「そっか」
「アタシから話せるのはこんくらいんだな。もういいか?タシもまだお守りを探さないといけねーからよ」
「うん、ありがとう、奥田さん」
「あんたらさ、もし白石美智代のお守りのコトで何かわかったら」
「うん、必ず奥田さんに教えるよ」
「サンキュ」
「あ、連絡先聞いといてもいい?普段どこにいることが多いの?」
「普段は家にゃいなくてダチんトコに世話になってるからよ。コレがそこの電話番号だ」
「ありがとう、奥田ちゃんの話があるときはここに連絡するね。あとね、奥田ちゃんって案外話しやすいんだね。実はちょっと怖かったけど安心した」
「知らねーよ。テメーらが勝手に避けてるだけだろ。それじゃあな。あんたらは死ぬなよ」
「うん、気を付けるよ」
「城之内先生はやっぱり呪いで殺された感じだね。つまりあの学校には呪主はいた。しかも複数人」
「複数人?」
「私たちが校舎内で遭遇した呪影と城之内先生を殺した呪いは違う気がする。あの時学校にいたのは私たち以外では、城之内先生、奥田さん、あとやっこちゃんが会った葦宮のおっちゃん。この3人の誰かだろうと思ってたけど、もうひとり制服を着たおさげ髪の子を奥田さんが目撃している」
「その奥田ちゃんは、話した感じだと呪主ではなさそうだったよね。城之内先生はなんか怪しい気がするな。先生だとすると殺されちゃったのも呪主だったから、って理由があるし。」
「うん、だから複数人」
「そっか、先生を呪い殺した呪主が別にいるってことか。そうなるとその謎の人影か、葦宮のおっちゃんが?」
「うん、注意しておいていいと思う。でも先生が相手を白石さんだと思ってたのと人影の話はちょっと気になるよね。まさか本当に白石さんがいたとは考えにくいけど」
「あ!そういえば、昨夜校門のところで新石先生も見かけたよ。非常勤の」
「え、そうなの?蘇りの秘術を調べていた張本人だから今回の呪いと関係してる可能性は高いね」
「葦宮のおっちゃんと新石先生は要注意ってとこか、呪主がみんな敵対的じゃないと思いたいけども」
「とりあえずこれからだけど、私、今回の本所七不思議の呪いの霊夜祭を誰がどうやって発生させたのかを突き止めたい。きっと根源を断たないと解決しないと思うから」
「そうだよね。そうなると?えっと・・・」
「一度新石先生と話がしたいな。絶対に何か知っているはずだから。昼間なら危険も少ないと思うし、ちょっと探してみようと思うけど」
「わかった、手伝うよ。でも休校になっちゃったからな、先生どこにいるんだろう」
「知ってそうな人がいるとこ当たってみよう」
場所移動→駒形高校
午前9時
駒形高校正門前