
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
1週目クリア
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目の岩下のシナリオ:窓枠の中で→エンディング№310~313を見る
3人目は風間のシナリオ:下半身ババア→エンディング№168・169を見る
4人目は荒井のシナリオ:いみぐい村→エンディング№74・75を見る
5人目は細田のシナリオ:トイレの恋→エンディング№270~272見る
6人目は新堂のシナリオ:吉田ババア→エンディング№001~005を見る
7話目はシナリオ:うしろの正面:エンディング№426~431を見る
2週目開始!
倉田のシナリオ:呪われたロッカー→エンディング№376~383を見る
1人目は岩下のシナリオ:ポプリ→エンディング№213~217を見る
2人目は細田のシナリオ:サトリサマ→エンディング№262~265を見る
3人目は福沢のシナリオ:彼と彼女の秘密→エンディング№140~142、144・145を見る(143は後で見る予定)
4人目は風間のシナリオ:ひとり七不思議→エンディング№181~187を見る
5人目は新堂のシナリオ:ゲーム実況怪談→エンディング№53・54を見る
6人目は荒井を選択!
荒井昭二は2年B組の生徒。
「よくある七不思議の話をしても面白くないでしょう?そうは思いませんか?」
- よくある七不思議で結構です
- そうですね→シナリオ:いみぐい村
- 友達の話はどうですか?
「よくある、という意味で趣味の話でもしましょうか。僕ね、映画が大好きなんですよ。極はね、フランス映画が好きなんです。
坂上君はフランス映画はお好きですか?」
- 好きです
- 嫌いです
銀幕の中に人は住んでいる。そんな絵空事のような話、信じてみたいと思いますか?」
- 信じられない
- 信じてみたい
映画は人間が撮った動く写真であり、その面白さはそれを撮った人間の才能に比例する。語句がこれから話すのは、そんな映画の話なんですよ」
荒井のクラスに時田安男という男がいたが、無類の映画好きだった。
映画愛好者のことは敬意をこめてシネマディクトと呼ばれており、荒井は自身のことをシネマディトだと思っていたが、時田には負けていた。
映画に関しては、時田は生き字引だった。
将来の夢が映画監督だった時田は、学校に映画関係のクラブがないことをとても残念に思っており、1年生の時に、自分で映画同好会を作ってしまった。
映画好きな人間は結構いるもので、20人ほどが集まった。
撮影用の機材にほとんどは時田が持ってきて、集まったみんなで、役割を決めることになった。
「あなたなら、何をやりたいですか?」
- 役者
- 監督
- 脚本
- なんでもいい
集まった連中は、皆役者をやりたった。学園祭で自主製作映画を上映しても騒がれるのは役者で、映画の出来は二の次だ。
もちろん時田は、監督に手をあげ、誰も反対せずこころよく了承した。
人気がないのは照明や録音などの裏方で、それは空いている役者が兼任するという形でみんなを納得させた。
それぞれの役割が決まり、記念すべき第一回作品の撮影が開始された。
時田が撮ろうとしたのは、『ミイラ人間と美女』というタイトルのホラー映画だった。
時田は一生懸命だったが、最初は面白がってやる気を見せていた連中は次第に飽きてきて、興味のないことや荷が重い作業はしたがらなくなっていった。
シナリオも時田が書き、内容はエジプトから運ばれてきたミイラが復活して、昔自分が使えていた王女の生まれ変わりが捜す、というものだった。
それでも、どうにかこうにか撮影は終了し、時田は自室のパソコンで編集作業を行っていた。
時田は、ふと一つのカットを見て首を傾げた。
ミイラ男が暗闇の中で、王女の生まれ変わりを探して、のそのそと歩き回るシーンだったのだが、時田の撮影時と記憶とも絵コンテとも違うものになっていた。
「確か遠くからの遠景でミイラを撮ったのに、ミイラがアップで映ってる」
そこには、ミイラの顔がはっきりと映っていたが、自分が施したメイクアップよりもずっとグロテスクでリアルなものだった。
(撮影中は我を忘れて撮影することが多い。だから、きっと撮影したに違いない)
そう自分に言い聞かせて、そのカットを使用した。
しかし次の日、ほかのシーンを見ていると、また自分が撮った覚えのないカットを発見した。
そのシーンは、謎の連続殺人事件を調べていた刑事がミイラ男に殺されるシーンだった。
実際のシーンは簡単なもので、ミイラに襲われて刑事が逃げる。その刑事の首にミイラの手が伸びて画面が真っ暗になす。そして、刑事の叫び声。あとはミイラ男の血まみれの手のアップ、というものだった。
それなのに、そのフィルムには、はっきりと刑事がミイラに殺されていくシーンが映っていた。両手をねじ切られ、首がぐるりと180度回転し、苦悶の表情を浮かべて絶命する、というリアルな描写だった。
しかも、刑事役の役者は演技が下手で出番を削られたのにもかかわらず、画面では迫真の演技。
撮った覚えはないが、時田はためらくことなくそのシーンも編集し本編に取り込んだ。
その次の日、刑事役をやった生徒が、首をねじ切られて殺された。
その時の状況を聞いた時田は耳を疑った。まるで、あのシーンにそっくりだった。
犯人はわからなかった。殺害時に被害者は自分の部屋で寝ていたが、誰も忍び込んだ形跡はないし、部屋が荒らされた様子もなかった。
時田は恐ろしくなってしまった。これがミイラの呪いだったとしたら・・・
でも、時田は死ぬほど映画が好きだったので、歴史に残る傑作を自分が撮らなければならないと思い、編集を続けた。
その日見たフィルムは、王女の生まれ変わりのヒロインが柩の中に閉じ込められるシーンだった。
シナリオでは、ミイラに襲われて気を失ったヒロインを、ミイラが抱いて柩に入れるとい簡単なものだったが、フィルムでは、ミイラがヒロインの内臓が潰れるほどの強さで抱きしめ、ヒロインは泣き叫び、血を吐いたが、ミイラはそのまま抱きしめて潰し、肉塊と化したヒロインとともに柩に眠るものになっていた。
「僕は最高のホラーと撮ってしまった」
時田は自己満足の頂点を極め、感嘆のため息をもらした。
その次の日、王女を演じたヒロインの惨殺死体が発見された。
侵入者に形跡が全くない自室で、死体は巨大な重機で押しつぶされたよう肉団子と化し、頭だけが転がっていた。
その日の放課後、時田がこの映画がどれほどリアルな作品かと話してくれたので、期待した荒井は時田の家に行った。
時田は、編集ソフトを操作し、数あるカットの中からワンシーンを選んだ。
「まだ、これは編集してないな。今日はこれを見てみようか」
何度もNGが出されて、同じシーンが次々と繰り返されていた。
突然、時田が叫んだ。
「あ!僕が映っている。止めなきゃ!」
焦った時田は必死に編集ソフトを止めようと何度もマウスをクリックしているが、指が震えているのかうまく操作ができないように見えた。
「止まらないよ!」
画面には、時田とミイラ男が映っていた。
「殺されちゃう!早く止めないと僕はミイラに殺されてしまうんだ!この映画で襲われた奴らは、みんな本当に死んでしまうんだよ!」
この映画の秘密を打ち明けてくれた時田は、パソコンのコンセントを引き抜いたが、パソコンは動いている。
突然、何もない空間から包帯を巻かれた手が付き出され、時田の首を絞め上げた。そして、ミイラ男の全身が現れた。
時田の断末魔が部屋中に響き渡った。
時田の頭は、ミイラの手に鷲掴みにされ握りつぶされた。
荒井がふと我に返ったとき、もうミイラの姿はなく、頭を潰された時田の死体だけが残されていた。
そして、コンセントは抜けているのに編集用のモンターには同じ状態で死んでいる時田が映し出され、その画像で停止していた。
間もなくしてモニターは停止し、荒井は逃げるように、家から飛び出した。
その後、時田の死体が呆気んされるとすぐ警察が立ち入り、一連の殺人事件と絡めて捜査が始まった。
荒井も事情聴取を受けたが、時田の家に行ったことは知られていなかったので、簡単な事情聴取で済んだ。
現場にあったフィルムは、編集済みのものも未編集のものもすべて警察が持って行った。
それから数カ月後、映画同好会は解散することになり、解散式の日の時田が撮影した『ミイラ人間の美女』を視聴覚教室で一部の関係者にだけ公開することになった。
証拠として警察に持って行かれたフィルムだったが、事件とは関係なしということで返却されており、同好会の有志が時田の供養ということで完成させたのだ。
その会に荒井も呼ばれた。
映画はわずか10分程度のショートムービーだったが、時田の最初にして最後の最高傑作だった。しかし、それはあくまでも高校生が家庭用ビデオカメラで初めて撮った自主製作映画として。
時田が話してくれた残虐シーンはなかった。
「もちろん、時田君が実際に殺されたあのシーンもありませんでした。
映画といおうものは、時に撮影していないシーンが挿入されることもあるそうです。それは芸術の神からの贈り物なのか、それとも悪魔のいたずらなのか。あなたはどっちだと思います。ヒヒヒヒ」
エンディング№058:ミイラ男と美女
エンディング数 73/657 達成度11%
キャラクター図鑑 55/122 達成度45%
時田安男
イラストギャラリー 46/283 達成度16%
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