今日の四ツ目神 -再会-はどうかな?
9月、真依は着田中学校の帰り道に、進路希望調査の紙を溜息をつきながら眺めていたが、やがて鞄のしまい込む。
真依は、近所のスーパーに寄り、夕食の買い出しをすませ、自宅のアパートに向かった。
角を曲がれば自宅というところで、誰かが言い争う声が聞こえてきた→立ち止まって聞き耳を立てる
「もう帰ってくれ」「関係ない」という声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声に思わず、真依は、「お父さん」と声を掛けると、父の誠は、驚いた顔をして真依を見る。
誠と言い争っていた人物が、真依の方へ振り向く。
眼鏡をかけた穏和そうな顔立ちの男性で、「驚いたな。誠に娘?」とつぶやく。
誠が「おまには関係ないだろう」と言うと、男性は「兄だろう?誠の娘なら私にも関係あると思うよ。」と答え、真依に向かって、「私は、相良修二、誠の兄だ。君の伯父にあたるね。はじめまして、真依さん。」と言った。
真依も「はじめまして」と挨拶を返すと、誠は「真依、聞かなくていい。家とは絶縁している。」と言い、修二に向かって「いいからもう帰ってくれ!誘いにはのらない!」と声を荒げた。
真依は、普段寡黙な誠がこんなに激昂しているのを初めて見た。
修二は冷静に、「誠が目の敵にしていた父と母は亡くなった。昔とは違う。もう大丈夫なんだよ。総一兄さんだって、誠が来てくれるのを待っているはずだ。よくよく考えることだ。誠の気持ちだけではなく、その子の気持ちも。」と言い残して、修二は帰っていった。
誠は青ざめ眉間に深いシワを寄せ、「すまん、まだ何も聞かないでくれ」と言って、真依が持っていたスーパーに袋をつかんで、アパートの二階へと上がっていった。
真依は、誠と東京のアパートで暮らしている。
母親や祖父母、親戚などは知らない。
生きているのか、死んでいるのか、なぜ父子家庭なのかも。
幼い真依が一度だけ誠に、「どうしてお母さんがいないの?」と尋ねたことがあるが、誠は、つらそうな顔をしただけで答えてくれなかったため、それ以降、自分の家族について聞けなかったのだ。
気まずい雰囲気で夕食を作り、急いで口の中にかきこむ真依。
探索開始!
写真立てを調べると、真依が赤子の頃の唯一の写真で、半分が破れている。破れている理由は知らない。
破れた赤ちゃんの写真をゲット。
誠を調べると、厳しい顔をして黙り込んでいる。
食卓を調べると、誠の箸はまったく進んでいない。
テレビ台の下の写真を調べると、誠のギャラリーカード1(41歳。真依の父親で東京で二人暮らしをしている。小さな工場の自動車整備士として働いている。)をゲット。
テレビを調べると、野球中継が流れているが、誠は真剣には観ていないようだ。
気まずい空気のまま真依が自分の食器を片付けていると、誠が、さっきのことを謝ってくる→一体何の話だったの?
誠は、「もう真依も知るべきだろうな」と言って話し出す。
修二は、誠の実の兄で、修二の父は5年前、母は去年亡くなったことを伝えに来て、墓参りしに実家に来ないか、と言われたとのこと。
総一は、長男で、誠と修二の兄だが、すでに亡くなっているとのこと。
誠は、真依に、墓参りに行きたいか?と聞いてきた→行ってみたい
真依は、「私だったら、もし死んじゃった時にお父さんが会いに来てくれなかったら、寂しい」と言うと、誠も、そうだな、と頷いく。
早々に寝入った父親の横で、真依は、いろいろと考える。
自分が進路を決められないのは、自分と言う存在が曖昧だからかもしれない。過去と家族と自分を知れば、将来が見えてくるかもしれない。高校進学が父の金銭的負担になるのではないか、自分の存在が父の再婚や幸せを妨げしまっているのではないか、と考える自分が嫌いだった。そんな自分が変えられるかもしれない。いや変えたい!
それから1週間ほどして、誠が、「秋分の日の祝日は予定を空けておけよ。あと次の日の金曜日は学校を休むことになるがいいか?俺も休みをとる。」と言い出した。
墓参りにいくからとのことで、正装の制服も忘れずに、とのこと。
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