今日の十角館の殺人はどうかな?
車は10号線を西に向かっていた。
赤いファミリアのハンドルを握るのは島田だ。
島田によれば、行方不明の庭師の吉川誠一の妻は政子という名で、今でも安心院の家に住んでいるとのことだった。午前中に住所を調べ出し、ついでに訪問のアポイントメントを取り付けておいたという。
宇佐郡へ向かう山越えの坂に差し掛かった頃
「そっちはどうだったのかな、コナン君」
「確認できなかった分もあるんですけど、例の三次会に参加した連中のところを全部にあの手紙は届いていると、そう考えてまず間違いないみたいです」
「で、そのうちの何人が島へ行ってるんだい」
「たぶん、途中で抜けた守須と僕以外の全員が・・・」
「やっぱり何かありそうだな、そいつは」
「僕もそう思います。もっとも守須がここにいたなら、もう少し慎重に構えて、それは話が逆なのかもしれないって言うんでしょうけど」
「話が逆?」
「つまりですね、あの時たまたま三次会にいたメンバーが、たまたま今島へ行っているというわけじゃない。もともと集まることの多いメンバーだからこそ、揃って三次会へも行くし島へも行くんだ。だから、手紙の件と連中の角島行きに特別な意味を見出すことは、一概にできないんじゃないか、ってふうに」
「はあん、微妙な論理だね」
「慎重派なんですよ、あいつは。根はとてもひたむきで一途な男なんです。だからその分、よけいに慎重であろうとする、みたいな」
「それにしちゃあ、昨夜はなかなか積極的は探偵ぶりだったな」
「そうでしたね。実は内心、ちょっと驚いてもいたんです。そもそも切れる男ではあるんですけど」
(とりあえずはアームチェア・ディテクティブを、か)
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