今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?
興宮警察署事件調書:共通ルートから開始!
1日目 #1 東京からの帰り道
2日目 #1 登校
下校途中、レナと魅音から、雛見沢を一人で回れない圭一のために、明日、雛見沢を案内してあげると言われる。→「ヒマならな・・・」(「もちろん」ならコチラ)
魅音に何回も聞かれても「ヒマならな」としか答えなかった圭一は、レナには「ヒマだ」と答えて、「明日は二人っきりで出かけよう」と言った。
レナは、今日は早く帰ってお弁当の準備をするね、と言って圭一と魅音を置いて帰ってしまう。
3日目 #1 レナたちと散歩
レナと魅音とで雛見沢を案内してもらう圭一。
お昼は、梨花と沙都子も加わる。
そして、圭一と沙都子でおかずの争奪戦が勃発→ブロック(かわすなら、コチラ)
しかし、圭一は沙都子の肘鉄を眉間にくらい、気を失ってしまう。
10数分後に圭一が目覚めたときには、すでにおかずの大半は、みんなに食べられてしまっていた。
弁当を食べ終わり一息ついてから、沙都子からお弁当を作ったレナへの賛辞勝負を仕掛けられる圭一。
沙都子は、レナを萌え落とすことに成功し、レナからごほうびのリンゴのうさぎをゲット。
圭一は、誠意が一番、素直に「ありがとう」と言い、レナが心を込めて作ってくれたからおいしいかったと話す。(ここは、レナの好みの少女マンガチックになら、コチラ)
しかし、レナは、時間がなくて冷凍でゴメンと、逆に誤る。
圭一は、真心がしっかりと込められていれば、冷凍だって一流シェフにはかなわないくらいおいしい料理ができると熱弁をふるい、トドメに、レナは絶対にいいお嫁さんになると締める。
レナは、喜んでタッパーいっぱいのリンゴのうさぎをくれ、沙都子に完全勝利する。
と思ったら、沙都子の目配せで梨花が、自分が男だったらレナをお嫁さんにすると宣言し、レナが萌えて、圭一にあげたリンゴのうさぎを回収し、梨花に渡してしまうが、レナは、圭一の言葉が一番うれしかったといったので、今回の勝者は圭一に決定。
3日目 #2 レナとの帰り道
みんなと別れ、圭一はレナと家路につく。
途中で、レナから、寄り道しない?と聞かれて→「あ、しまったお袋の用事が・・・」(「ああ、いいぜ」ならコチラ)
圭一は、レナと別れ、母親に頼まれて買い物をするために、興宮のスーパーへ向かった。
スーパーで圭一が買い物をしていると、同じく買い物中の梨花に遭遇。
梨花から、買い物リストの内容と違うものを買っていると指摘されながら、買い物する圭一だった。
買い物が終わりスーパーを出たところで、梨花が財布を落とし、小銭をばら撒いてしまう。
すると梨花の周りに雛見沢の人たちが集まってきて、落っことした小銭を拾い集め始める。
梨花がお礼を言うと、雛見沢の人たちは、手を合わせて、ありがたや、ありがたやと答えている。
そこへ、フリーのカメラマンの富竹がやってくる。
富竹は、野鳥の撮影で、よく雛見沢に来ているとのこと。
富竹は、合ったばかりの圭一が、雛見沢に来たばかりの人間だと気づき、雛見沢の人間は連帯感がとても強く、梨花は特に雛見沢の人々の心のよりどころになっていると教えてくれる。
梨花が戻ってきたので、「可愛いと、得だよな~」と声をかける圭一。(「カリスマってやつですか」ならコチラ)
梨花が口をとがらせて、髪の毛が乱れるほど撫でるのは止めてほしい、と言うと、その可愛いしぐさに圭一と富竹は吹き出した。
富竹は、沙都子ちゃんも梨花ちゃんと同じくらい可愛いのになぁ、とつぶやいた。
富竹と梨花は知り合いのようで、お互いに「久しぶり」と挨拶した。
梨花は、今日は当番だから夕飯の買い物に来た、と言って買い物袋を振った。
富竹が、一度梨花の手料理が食べたい、と言うと、梨花は、当たり付きのフグ鍋をごちそうする、と答えた。
圭一は、梨花のやりとりを見ていて、レナの気持ちがよくわかるようになった。
富竹と別れた後、梨花は、さっきの買い物でおまけしてもらった、と言いながら、大判焼きを圭一に渡した。
梨花の足元には紙袋どっさりに詰め込まれた今川焼があった。
圭一は、梨花の予想以上の人気のすごさに気付き、驚く。
圭一が大判焼きを食べ終わると、梨花は、紙袋に目をやりながら、「というわけなんで」と切り出した。
圭一は、「わかりました」と返答するしかなく、荷物運びをするはめになった。
TIPS:荷物もち
梨花の先導で向かった先は、さっき昼食会を開いた古手神社だった。
圭一は、梨花の名字が古手であることに気付いて、ここが梨花の家であることを知った。
梨花が神社の子であるのはこの村では有名だったので、かえって話題にならなかったらしい。
梨花も神社も、この村では有名とのこと。
石段のそばに沙都子の自転車が止めてあるのに気づいた圭一は、沙都子が遊びに来ているのか?と尋ねると、梨花は、一緒に暮らしている、と答える。
沙都子の両親は?と圭一が思っていると、梨花は、お駄賃だ、と言ってみかんを一つ渡し、手を振りながら石段を上がっていった。
4日目 #1 部活への参加
魅音に誘われて、部活に参加することになった圭一。
部活の最終戦で、魅音は、圭一に一騎打ちを申し出る。勝ったほうが1位で、負けたほうがビリになるというものだ。
魅音は、自分の手札1枚と、ゲームにつかってなかったジョーカーを持ち、ジョーカーを当てろと言う。→読み取れ、魅音の動きを・・・!(非常に徹しろ、クールになれッ・・・!なら、コチラ)
魅音が、圭一の捨て札を拾って、ジョーカーの上に重ねたことに気付いた圭一は、自信を持ってジョーカーを指す。
しかし、魅音は、裏の裏をかいた。圭一がそう考えるだろうと読んで、自分の手札の上に捨て札を重ねていたのだ!
圭一は魅音に負けたが、入部は許可される。
そして、魅音が、極太の油性マジックを取り出した。
4日目 #2B 気晴らしに散歩
部活が終わるとレナは、宝探ししている場所でかぁいいものを見つけたとのことで、すっとんで帰っていったので、今日は圭一と魅音で下校することになった。
魅音は、宝探しの場所はゴミ山で、以前ダムの工事現場だった場所だ、と教えてくれた。
魅音は、あそこでは戦いがあったと話す。村長や村の有力者が方々に陳情し、いろんな政治家に根回しもしているうちに、計画が撤回されたとのこと。
殺人事件とかはなかったのかと、圭一が尋ねると、レナのときと同じように、なかっととぴしゃりと魅音に言い切られる。
4日目 時間つぶし
小銭をすべて回収したあと圭一は→…一緒に帰ろうか?と声をかけるが、沙都子は、「早くお帰りあそばせ」と返したので、圭一は「気を付けて帰れよ」と言った。
沙都子の自転車のかごがグラグラと揺れている。どうやら、自転車のかごの止め具が緩んでいるらしい。
見ていられなかった圭一は、家まで持っていってやる、と声を掛け、沙都子の買った野菜の袋を、自分の自転車のハンドルにぶら下げた。
並んで自転車を漕ぎながら、沙都子は圭一の表情をうかがっていた。
沙都子の自転車が急ブレーキをかけて急停止した。
沙都子の視線の先を追うと、そこはおもちゃ屋のショーウィンドウだった。
欲しいものでもあるのか?と圭一が尋ねると、沙都子は、何でもない、と答えて、再ぎ自転車を漕ぎだした。
並んで自転車を漕ぎながらいろんな話をしたふざけあったりしているうちに、沙都子の横顔が少しずつ明るく、そして朗らかになっていった。
TIPS:欲しいものは・・・
圭一は、沙都子に、誕生日はもうすぐだな、と話を振ったが、沙都子は、珍しく沈んだ声で言葉を濁した。
圭一は、プレゼントしてやるから、何がいい?と尋ねるが、沙都子は気乗りしないようだ。
沙都子は、誕生日は老いに向かって突き進んで行く、と言うと、圭一は、老けるんじゃなくて、大人になる、と訂正する。
5日目 #1 鬼ごっこ
5日目 #2 放課後
→6日目 #1 レナの家について
部活で、レナと勝負する圭一→や、やばい・・・レナは殺る気だ!(「勝て、圭一! お前は勝つ人間だ!!」はコチラ)
6日目 #2A 魅音と下校
→7日目 #1 魅音からの電話
圭一に着せ替え人形をくれる→交換を要求(レナに渡すならコチラ、選びなおすならコチラ)して、トランプをもらう。
8日目 #1 昨日の話
最初のお題目は夏休み→圭一は宿題(夏期講習ならコチラ、自由研究ならコチラ)と答える。
しかし、同じ答えがなかった。
次のお題目は、魚で、お寿司と答えた圭一と同じ答えはなかった。
次のお題目は、さくら→圭一は、口紅(金さんならコチラ、魔法少女ならコチラ)と答える。
新色が出たってTVで特集を組んでた有名な口紅の商品名である「Sakura」を圭一は書いたのに、同じ答えはなかった。
8日目 #2 罰ゲーム
8日目 パートナー選択→北条沙都子
トロフィー:カリ、ブロッコリ!をゲット!
ルート:沙都子1 #1 弁当の話題
お昼にみんなの机を寄せ合い、みんなのお弁当を並べる。
魅音のお弁当は、品数がいっぱいの豪華弁当で、魅音は、昨夜うちで村長たちが酒盛りをしてた残りをちょっと詰めてきただけ、と話す。
魅音の盛り付けのセンスは良く、レナは、魅音は部屋もいつもキレイに片付いているし、みんなが思っているよりずっと几帳面で丁寧な人だ、と話す。
レナのお弁当は、カニかまのお花、リンゴのウサギ、ニンジンに花びらなど芸が凝っており、かぁいいお弁当だった。
梨花と沙都子の弁当は、夕べご近所さんにお肉を分けてもらったとのことで、ボリュームたっぷりの焼き肉弁当だが、ほうれん草のおひたしとか、ひじきの煮物とかおかずの品数も結構あった。
梨花は、こういう家庭料理が得意なのだ。
圭一は、デイキャンプで料理の真似事する程度で、自炊できるみんなのことをすごいと思った。
その瞬間、圭一は、今朝、母親から、両親とも仕事で東京へ行き、場合によっては何泊か泊まり込みになるかもなんで、その間自炊お願い、と言われて、自炊するから外食しない前提の少しのお金をもらったことを思い出した。
圭一は、デイキャンプのカレーしか作れないが、3食カレーはさすが無理だと思い、思わず、「3食カレーなんて食えるかよ!カレーなんて所詮はジャンクフード。栄養バランスなんかもカケラもない・・・」と叫んだ。
その瞬間、教室の扉が開き、廊下の向こうの職員室にいるはずの熱中カレーマニアで名高い知恵先生が顔を出し、「誰かカレーの悪口を言っていませんでしたか?」と聞いてきたので、部活メンバーは、ぶんぶんと顔を振って否定した。
空耳でしたか、と言って、知恵先生は、再び職員室へ戻っていった。
ほかの部活メンバーに、自炊をがんばるように言われて、圭一も、やればできるような気がしてきた。
カレー対決の時、梨花に料理を任せてニンジンの皮さえ剥かなかった沙都子だが、ご飯と味噌汁くらいは作れて、梨花と交代で自炊している、と言ったので、圭一は、自分の方が沙都子だけには負けない自信がある、と言い返し、ブロッコリーとカリフラワーの違いは?と、イジワルで質問した。
答えられなかった沙都子は泣き出してしまう。
魅音が、圭一がそこまで言うのなら沙都子よりマシなものが作れるよね、と煽ったので、圭一は、今夜は見事な晩飯を作って、残りを明日の弁当にしてくる、と大見得を切った。
そこで、魅音が、部活で明日のお弁当で勝負!もちろん罰ゲーム付き!と言い出し、圭一は、上等だぜ、と返した。
魅音は、明日のお弁当勝負に負けた人は、お昼休みに職員室で食事中の知恵先生の前で、カレーの悪口を言う、という恐ろしい罰ゲームを告げた。
帰り道、献立に悩む圭一に声を掛けるレナ。
レナは、明日圭一がお弁当を作ってこれたら大丈夫だ、と言った。がんばって作った手作りのお弁当に優劣なんかない、とのこと。
圭一は、明日の弁当のことより今夜の晩飯だ、と答えると、レナは、やっぱり料理自信なんかなかったんだ、と笑いながら言った。
レナは、無理そうだったら電話してきてもいいからね、と言ってくれたので、圭一は、どうしてもダメだったら電話する、と答えた。
圭一が、沙都子ってどの程度料理ができるんだ?と尋ねと、レナは、圭一よりはできる、との返事。
レナは、励ましの言葉と、料理の超初歩のアドバイスをいくつか残しながら、木立の向こうに消えていった。
ルート:沙都子1 #2 沙都子の手料理
「いざ、料理!」
台所の戸棚を漁る。・・・探すのは料理の本だ。
「・・・よし!これさえあれば!誰だってシェフの味が出せるじゃんよ~☆」
ページをめくるが、様々な専門用語に翻弄され、さっぱり作り方が見えてこない。
この小さじ3杯の小さじって、いったいどれのことなんだ?
それよりも、このあちこちに出てくる、お好みで適量にって表示!具体的にはどのくらいが適量なんだぁぁ!
さっと水切りして・・・さっと、ってどのくらいだよ!
水切りって、包丁で水滴でもちょん切るのかぁ?
「もっと初心者にやさしいマニュアルはないのかぁ!」
おかずは後回しにして、それよりもご飯だ。ご飯を炊かなきゃ始まらないよな。
よくデイキャンプで飯盒でご飯を炊いたもんな。お米をといで、水はこのくらい。で、どのスイッチだ?
このボタンかな?お、ランプがついた!
全自動炊飯器ははやり三種の神器だよな。
炊飯器のセットに気をよくした俺は、気を取り直して今度は味噌汁に挑むことにする。
デイキャンプでは味噌汁はいつもインスタントだったからな。
味噌をお湯で溶かすだけで何とかなるに違いない。
お湯を沸かして、味噌を入れて・・・あれ、量はどのくらいなんだ?
「人数とお好みで適量に・・・それなら適量に入れてやるさぁ!」
思い切り味噌の袋を握りつぶし、中身の半分ほどを鍋に入れてみる。
よし、これでご飯と味噌汁は(たぶん)大丈夫だ。次は、いよいよおかず。
俺に作れて、晩飯としての彩りもあって・・・う~ん。
そうだ、野菜炒めなんかはどうだ!
野菜なんて生でも食えるし、多少火が通ってなくても死ぬことな無さそうだ。
野菜は冷蔵庫の中に結構いろいろと入っていた。
野菜炒めってどんな野菜が入ってるんだっけ?
もやし?キャベツ?ニラ?玉ねぎ?キュウリやレタスは入ってかな?
とりあえず、手あたり次第にまな板の上でザックザックとぶつ切りにし、それを中華鍋に放り込む。
いつの間にか中華鍋は野菜で山盛りだ。
次は、サラダ油だ。
サラダ油をどぼどぼ・・・並々と注いだ方が豪快だよな。おっと、溢れてしまったぞ。
では、火をつけよう。
ボン!中華鍋に並々と注いだサラダ油に引火して、炎が空高く!!
「俺ってひょっとして炎の料理人なんじゃあ・・・」
ドハデは炎の柱が天井を焦がし始めた頃、目の前の素敵なクッキングが、実は致命的な災害に至ろうとしていることにようやく気が付く・・・
あれ?ひょっとして、俺って、とんでもないことをしてる?
火勢が何だがどんどん強くなり・・・
「ぎゃああああああ!!!早く火を止めなさいですわー!」
誰かが圭一の後頭部を思いっきり叩いた。
何事かと振り向くと、沙都と梨花がいた。
唖然としている圭一を突き飛ばして、沙都子はガスを止め、梨花は布巾を水に浸し、それを広げて鍋にかけた。
どんどん布巾を濡らして、かけていく。それを何枚か重ねたところで、ようやく火は治まった。
危機一髪のところで大火災を免れ、3人でゼーゼーと肩で息をする。
「なんで俺のうちにいるんだ!」
「それを言うなら、圭一さんは放火の現行犯でございますのよ。もうすぐで大火事になるところだったではございません。」
「やっぱり、あれは火事になりかけてた?」
「当たり前でございませんの。天井が煤けてるではございません?」
ひょっとして俺って命を救われたのかも。
話を聞いてみると、俺が放火的料理に没頭していたので、沙都子と梨花が鳴らしてたチャイムに気付かなかったらしい。
でも、人の気配はするので、様子を見にあがってきたのだそうだ。
いつの間にか正座して、神妙に話を聞いている俺。
「すみませんでした。皆さんは命の恩人です。」
「素敵なディナーがどんなものかと来てみれば、案の定、このザマですし!」
「俺が夕食にどんなものを作るのか、見に来たってわけか。」
もう、こんなザマを見せちゃ、今更空威張りなんかできないよな。もう完全に降参だ。
「カレーの時は結構。がんばってましたのに。あの時の圭一さんはどこに行ってしまいましたの?」
「あの時は、後輩諸君に手伝ってもらって、ほかの班の鍋を丸ごと借りただけで、別に俺が料理したわけじゃ・・・」
「いくら部活とはいえ、とんでもない手を使いますのね。」
今は何も言い返すことができず、大人しくうなだれて見せる。
「ところで、この凄まじいお鍋、まさか味噌汁だなんて言わないでしょうね?」
凄まじい形相でお味噌たっぷりのどっぷりの鍋を凝視する沙都子。
やっぱり分量が間違ってたかな・・・
「味噌汁はともかく、ご飯はうまく炊けたはずだ。」
「炊けてないです。ほら、中身も全然お水なのです。」
「あれ?だって、ちゃんとスイッチを入れたらランプが点灯して・・・」
「これタイマーのボタンですのよ。朝食用にセットしてあるから、電源が入るのは明日の早朝でしてよ。」
「俺は結局、おかずは元より、味噌汁も、ご飯すらも?何も自炊できなかったってことかぁ!私は沙都子より料理のヘタッピなダメダメ男でございました!!!どうもすみませんでしたー!」
悶絶する俺。
それを見て満足そうに頭をなでる梨花。
そして勝ち誇ったように高笑いする沙都子。
俺様、完全敗北・・・
結局、俺は大口叩いて晩飯ひとつ満足に作れなかったわけだ。
このままじゃ今晩は晩飯抜き。明日の朝もメシ抜きだし、弁当だってなしだ。
親が帰ってくるのが何日後だが知らないが、このままじゃ間違いなく・・・
「飢え死にだぁ!もちろん明日の弁当もなし。そして、明日の罰ゲームも俺で決まり!ぎゃあああああ!」
梨花はこれ以上ないくらいの満面の笑顔で俺の頭をいつまでもなでなでしてくれていた。
その無様な姿を見て、すっかり呆れ、大きなため息を漏らす沙都子。
沙都子はベソをかいている俺を不機嫌そうに押しのけると、味噌汁の残骸の鍋を流しの三角コーナーに捨て、鍋を洗い出した。
「自分後片付けくらい俺がやるよ。」
自分の散らかした食器を沙都子に片付けてもらうことなんかない。
その時、梨花が俺の服を引っ張って言った。
「黙って見ているといいのですよ。」
沙都子は、鍋やら冷蔵庫の中身やらを漁り始めた。
沙都子ひとりを台所に残し、俺は梨花に引きずられて居間に戻ってきた。
「今日の沙都子は圭一を見返しに来たのですよ。復讐なのです。圭一にいっぱいいっぱい馬鹿にされましたですから。沙都子は、自分にもお料理がちゃんとできるところを圭一に見せたかったのですよ。」
音だけ聞いている限りでは、お皿を落とす音も、破裂音爆発音も聞こえてこない。
少なくともこの時点で、俺よりも料理は達者なことは証明されている。
つい、沙都子をいつものノリで売り言葉と買い言葉で挑発してしまったが言い過ぎだったようにも思う。
「圭一さん、お味噌はどこにしまってありますの?」
沙都子の怒鳴り声に飛び上がり、台所へ向かう。
沙都子が小言を言い、それに謝ったり相槌を打ったりしているうちに、台所は次第にいい匂いで満たされ始めた。
こうして見てると、沙都子もなかなかに料理達者じゃないか。
レナは梨花の芸術的手腕い比べるから霞んで見えるだけで、充分に及第点に値する腕は持っていることがわかる。
「食卓にお茶碗の用意をなさいませ。用意は3人分ですわよ。」
あせあせと食器棚から人数分の食器を出し、食堂に向かった。
戻るとテレビのバラエティ番組の笑い声が聞こえてきた。
梨花がソファーに寝そべりながらテレビを見てくつろいでいるのだった。
俺が食卓に食器を並べだすのに気づき、ぱたぱたとやってくる。
「沙都子がにーにーと一緒だったころみたいです。こんなに楽しそうな沙都子を見るのは、歩本当に久しぶりなのですよ。」
にーにー?
「にーにーは兄々です。沙都子のお兄さんなのですよ。悟史と言いますです。」
北条悟史?少なくとも、うちの学校にはいないヤツだ。
「悟史って言うのか、沙都子の兄貴は。初めて聞いたな。」
「悟史と一緒にいるときに沙都子は、いつもこんな風で楽しそうだったのですよ。」
「今は沙都子とは別居なのか?」
悟史って結構年上で、とっとと独立して遠方で一人ぐらしでもしているに違いない。
「沙都子は、悟史と仲はよかったみたいだな。」
「はい。とても仲良しな兄妹だったです。」
梨花が言うには、大人しくて少し頼りない兄を、口やかましく支える沙都子、という関係だったらしい。
「今日、圭一のところへ来たのだって、沙都子が言い出したのですよ。」
圭一さんみたいに頼りないのに夕食が作れるわけがない。行って作ってあげなければって。
「放っておけなかったのですよ。」
今だけはおとなしく、頼りなく沙都子に世話を焼かれる兄であろうと思った。沙都子の苦労をねぎらえる言葉をかけてやろうと純粋にそう思った。
「圭一さん、おしゃもじがどこにあるかわかりませんんでしてよ!」
台所に駆け込み、引き出しからしゃもじを出して沙都子に差し出す。
「さぁ、出来上がりでしてよ。ではご飯にしましょうですわね。」
沙都子はガス台の火を止め、味噌汁の鍋を運び始める。
湯気を上げるご飯に味噌汁。それから数品のおかず。食卓の上には実に手堅い家庭的な夕食が並べられていた。
「では、いただきますですわよ。」
「いただきま~す!」
沙都子の号令で、俺も梨花も大きな声でいただきますをする。
「俺、沙都子のことを侮っていたよ。完全に敗北だ。」
「少しは見直しまして?」
「お見それしやしたー。」
素直に負けを認めると、沙都子はようやく表情を柔らかくし、いつもそうするように大きな声で上機嫌で笑った。
炊飯器で作っているとはいえ、水加減が違うのか、いつものお袋のご飯とは少し違った。だが、沙都子の個性が感じられて、いつもよりおいしく感じる。
味噌汁も少し濃いめだったが、充分においしいものだった。
派手さこそないが、おかずも充分にうまい。
「おかずもよくできているよ、沙都子も決して料理は下手じゃないぞ。」
俺があまりに素直にほめるので、沙都子はかえって面食らったようだった。
「おかずはお惣菜屋さんで買ったものを温めただけですし、これとこれは缶詰を開けただけですし。自分でちゃんと作ったのは、ご飯と味噌汁だけなんですのよ。」
ちょっと照れたような顔で、恥ずかしそうに言う沙都子。
「うちのお袋だって、出来合いのお惣菜は使うし缶詰だって使うよ。そんなので恥ずかしがるころはないだろう。これは立派な夕食だよ。」
「まぁ、私にもそこそこのお料理ができることがわかっていただけたのでしたら、それで充分ですよね。」
あれ?こいつ、今ちょっと照れなかったか?
自分の対応が決して間違ってなかったことに気付き、ちょっと嬉しくなった。
「こうしてご飯を食べていると、悟史と一緒にご飯を食べてるみたいで楽しいのです。」
「懐かしいですよね。一体今頃、どこでどうしてるやら。」
その様子から、沙都子は悟史とはもうずいぶん長くあっていないような印象を受ける。
「悟史ってのは私のにーにー、じゃなくて兄なのですのよ。あんなに生活力がない人に家出なんて甲斐性があったなんてびっくりでございますけど。まぁそのうち、ひょっこり帰ってくるに決まってますわ。」
「悟史はああ見えてもとても我慢強い人なのですよ。沙都子が思っているよりもずっと我慢強いのです。」
沙都子も梨花も、今でも悟史のことが好きで、きっと帰ってくると信じて、待っている。
会ったことはないけれど、悟史という男が、すごくいいヤツだったことだけはわかった。
沙都子の頭をわしわしと乱暴に撫でてやる。
「俺、沙都子のこと誤解してたよ。お前がこんなにしっかり者だなんて思わなかった。うん、沙都子はしっかり者、うんうん。俺に合わせてふざけてただけなんだよな。えらい、えらい。」
俺はようやくすごく当たり前のことに気付くのだ。
「笑いながら食べる食事っておいしいよな。」
「笑いはご飯をおいしくするのです。」
「失礼ですわね!ご飯がおいしいのは私の料理がおいしいからに決まってますわよ!」
家族と過ごすのとはまったく違う、だけれどもどこか懐かしい団らんのひと時だった。
「沙都子は兄貴に会いたいか?」
「会いたいか、と言われれば、もちろん会いたいに決まってますわね。もうすぐで1年になるますもの。少しでも生活力を身に着けて逞しくなって帰ってきてくれれば、私の負担も軽くなるわけですし。」
沙都子はこんなにも健気に逞しく生きている。なぁ悟史、お前の妹って、こんなにもがんばってお前の留守を守ってくれてるじゃないか。いい加減、早く帰ってきてやれよ。
「沙都子、そろそろお片付けしないとお眠になる時間なのです。」
「あ、まだ食器を洗っていませんでしたわ。」
「いいよ、それくらい俺がやっておくよ。メシを御馳走になって、食器まで洗わせるわけにはいかないよ。」
「慣れない人が洗うと、お皿とか洗剤で滑って落としちゃいますわよ。」
「圭一だって、お皿くらい洗えますですよ。」
「安心しろ、皿くらいきっちりと洗ってみせるぞ。安心して帰れ。ってゆうか、こんな時間じゃ、沙都子たちだけに帰らせられないよな。家まで送るよ。」
「私たちを送った後、一人で家に帰るには圭一さんではありませんの。夜道で迷ったら大変ですわよ。」
結局、見送りは不要ということになり、沙都子と梨花を門のところまで送る。
「今日は本当にありがとうな。」
「本当、来てよかったですわ。」
もう一度感謝を込めて、頭を下げる。
「そうそうご飯とおかずの残りをタッパーに詰めておきましたから、明日はそれをお弁当になさいませ。あと、明日の朝食は、食パンとジャムがいいですわね。イチゴジャムとピーナツバターが冷蔵庫にありましたわ。あと粉末ココアが食器棚の上の戸の中に。」
このころになって、一見不機嫌そうに沙都子が、実は梨花の言うように、とても上機嫌げあることに気付く。口やかましくとも、とてもうれしそうな沙都子に。
「では、おやすみなさいなのですよ。」
「寝る前にはちゃんと歯を磨くんですのよ。」
「わかったよ沙都子。」
「いつもより早めに起きないと、朝食やお弁当の支度ができませんわよ。何なら少し早いくらいの時間に目覚まし代わりに電話してさしあげましょうか?」
「そこまでしてくれなくても大丈夫だよ。目覚まし時計を少し早めにセットしておくことにする。ありがとな、いろいろと気にしてくれて。」
沙都子は、おやすみの挨拶を残すと、自転車にまたがり真っ暗な夜道に消えていった。
梨花もそれについていこうとし、何かを思い出して戻ってきた。
「今日の圭一は百点満点でした。沙都子もきっと、にーにーが帰ってきたような気がして。とても楽しかったと思いますです。たまに沙都子のお小言に付き合ってあげてほしいのですよ。」
「悟史の代わりになってやれって言うことか?」
梨花は何も言わず、にぱ~☆と笑った。
「俺が悟史だった絶対に家出なんかしないぞ。」
「悟史には悟史なりの事情があったのです。きっと。」
「早く帰ってくるといいな。俺じゃ本物のにーにーの代役をいつまでも務まらないぜ?」
「大丈夫ですよ。今日の圭一は悟史そっくりだったのです。またお願いしますのですよ。」
「梨花~」
ずっと向こうの外灯の下で、沙都子が自転車を止め、いつまでもついてこない友人を呼んでいる。
「おやすみなさいのです。」
「ああ、お休み。」
「ボクでは悟史の代わりをできませんが、圭一ならできます、これで、ボクの心の荷が一つ下りましたのですよ。」
それだけを言い残し、梨花に自転車が走り出す。沙都子の自転車も並んで走り出し、2人の自転車はあっという間に見えなくなった。
トロフィー:とある奇跡の積み重ねをゲット!
プレイ時間100時間を超えたのねw
ルート:沙都子2 #1 弁当対決
魅音がお昼の始まりを宣言する。
今日は梨花と沙都子は別々にお弁当を作ったとのこと。
圭一の今日のお弁当は全部、昨夜の沙都子のお膳立てだ。
昨夜、沙都子が圭一のところに作りに来てくれたことは内緒にしたほうがいいかな?このお弁当が自力で作ったものじゃないとバレたら、その時点で罰ゲーム確定だ。と圭一と考えている。
レナが、今日のお弁当勝負の勝敗をどうやってつけるのかを尋ねると、沙都子と梨花が、圭一もちゃんと作ってきたから引き分けだ、と答える。
ところが魅音は、公開審査だ、と言って、クラスに号令をかける。
「5人のお弁当を採点してもらうよ!ベスト3までを紙に書いて投票すること!」
魅音が重箱のような弁当箱のフタを開けて見せると、お節料理みたいな純日本風の弁当だった。
思わず圭一は、「どこかの仕出し弁当の中身を移し替えただけに違いない」と言ってしまうが、レナが、滅多に本気にならないが、魅音が本気になればこれくらい作れる、とフォローする。
魅音は、時間と材料があるなら満漢全席だった再現できるらしい。
次はレナのお弁当で、卵とそぼろの二色が美しいそぼろ弁当だった。おかずも丁寧に作られていて品数も豊富だった。いつも以上に手間がかけられているけど、それは肩肘を張ったものでない、実にさり気ないものだ。魅音の弁当と違い、家庭的な温かさがある。
続いて、沙都子と梨花が公開する。二人は、ゆうべ圭一の家の夕食をとったのに、よくお弁当を用意できたものだ。
二人の弁当は、魅音の芸術性、レナの完璧さに比べると明らかに見劣るが、精一杯感を伝わっくる。
圭一が、よく今日のお弁当を用意できたもんだ、と感心しながら言うと、沙都子が耳打ちする。
沙都子と梨花は、今日のお弁当を用意できなかったので、富田と岡村に弁当をわけてもらうという大技に出たのだった。
何を条件に買収された?と圭一が問い詰めると、水やり当番を代わってもらうくらいで、弁当を半分なんか・・・と答える富田と岡村。
それを見て沙都子が、圭一から学ばせてもらったワザだ、と答える。
いよいよ圭一のお弁当だ。昨夜の晩飯を詰めてきただけ、しかも圭一が作った飯ですらない。
みんなは、圭一にしては頑張って方だ、と言うが、魅音だけは、採点結果を集計する前に、何か申し開きがあるなら聞いておく。ここで何かを訴えることで、わずかな得点加算が望めるかも、といやらしそうにゲテゲテと笑った。
それとは対照的に、沙都子の笑顔はどことなくぎこちなくなっていく。
そうだ、この弁当は、昨夜のおかずを詰めてきたもの。つまりは、沙都子が作った弁当も同然なのだ。
しかし、沙都子は、「こんなお惣菜屋さんで買ってきたようなおかず、本当に幻滅もいいころでしてよ?」と言い、魅音も、「これなんか缶詰を開けてだけで、こっちのキュウリは包丁が通ってなくて綺麗に切れてないし。包丁とか全然扱ったことないでしょ?経験不足が明らかなんだよね。」と話す。
圭一は、「弁当箱に食い物を詰めるなんて初めての経験だし、多少見栄えが悪いのは仕方が・・」と言い訳すると、魅音が富田と岡村に解説を頼む。
富田と岡村は、圭一のお弁当の致命的な欠点は彩りだ、と指摘する。
圭一の弁当は、黒白を除くと、暗緑色しか残っていない。
沙都子と梨花に買収されている富田と岡村は、ここでも彼女たちを勝たそうとして、「おかずも心のこもらないお惣菜や缶詰ばかりで、お弁当の三大要素の愛・心・味のうち、2つも欠けている。」と言い出す。
「罰ゲームは圭一さんで決まりですのよ!」と沙都子は憎々し気に笑って見せるが、圭一にはとてもそう見えない。
自分が作ったのも同然の弁当をけなされたことを知っている圭一は、沙都子の笑顔がどれだけ痛ましいものかよくわかった。
この弁当ほど心のこまったものなどあるものか、昨日作ってくれた料理がこのままけなされて終わってなるものか、と圭一は奮起する!
「俺の弁当の敗因は心がないからだな。心の定義はなんだ。苦労か?努力か?ならば俺の手に残ろこの火傷は何の評価になるんだ?」
昨日の火事騒ぎの時の火傷痕が、いかにも料理にすごく苦労した風に見えてグッドだ。
「俺は、昨日、大見得を切ったのが情けなるくらに料理は下手だ。だが逃げなかった。戦った。そしてこの成果を出した。それは心じゃないのか?」
「レナは認めてあげたいな。挑戦する心が評価されなかったら、誰も前に進めない。」とレナが言うと、クラスの女子がうなづき始める。
富田と岡村が買収された分働こうと、「心だけで料理が決まるんだったら、この世にコックはいらない!」「心を込めて頑張りましたと言って消し炭を持ってきたら、お金払います?」と言い出す。
「たとえ真っ黒なハンバーグが出来てたにせよ、それを作ってくれた母親の苦労をしるなら、俺は食う!」
「そもそもお弁当というのは愛情を食事のカタチとして昇華させたもので、それは相手に伝わって初めて意味があるんです。前原さんのお弁当からは伝わりません。」と富田と岡村が言うと、クラスの女子から大ブーイングが来る。
「確かに稚拙なところは多いかもしれないけど、このお弁当には心がこもっていると思うな。」と助け舟を出すレナ。
圭一が、「今日の自分の弁当とコンビニ弁当を並べたら、その評価はどちらも同じものですか?どんなにひどい手作り弁当であっても、ただ買ってきただけのコンビニ弁当とでは比べ物にならないほどの心が込められている。手作りのよる心はちゃんと受け手に伝わっているのです。」と言うと、女子から大拍手が来た。一部の男子も認めかけている。
続いて圭一は、岡村の弁当をみんなに見せる。
岡村の弁当は半分しか入ってなく、中身は梨花のお弁当と全く同じものだった。
圭一は、梨花の弁当は岡村の盗品だから、そんなものに心がこもっているわけない。本来このお弁当は、岡村の母親から息子にたくされたものだから、弁当箱に詰まった心は岡村にしか受け取れない。それを割り込んで奪ったら、もうそれに心はない!と言った。
魅音は、「今日の勝負は何が大前提なのか?それは前原圭一が自炊できるか否かが問題になり、その成果を計るために催されたものだったならば、この勝負の大前提は自炊。すなわり手作りであるか否かだよね!それを怠ったとなると、失格ってことになるのかな?というわけで、今日のビリは古手梨花!」と宣言した。
沙都子が、「こんなひどい弁当でビリを免れましたのね。」と言ったので、圭一は、沙都子の頭を乱暴につかみ、わしわしと撫でてやりながら、「この弁当のどこにビリになる要素があるってんだ。この弁当はうわべだけじゃなく、いろんな味にあふれているんだぜ。俺はうまかった!だから詰めてきた。本当にまずかったら、食パンと牛乳パックを持って登校してくる!」と言った。
二人のやりとりを見ているレナは全部知ってたって顔で笑っている。
「いつ頃から俺が作ったんじゃないって気づいてた?」
「火傷を見せてくれた時かな?お弁当に油でいためるおかずなんか入ってないし。」
「とにかく誰が何と言おうと、俺は今日の弁当を気に入ってるんだ。今日ばかりは誰にも分けないからな!」
そんなやりとりをしていると、沙都子は、実は富田から弁当を分けてもらった、と告白し、魅音が、沙都子にも罰ゲームを宣告した。
沙都子は梨花のお使いに付き合うかのような気さくさで、教室を後にした。
「俺も白状するぞ!今日の弁当は俺が作ったんじゃない!俺も同じだ!だから行ってくるぞ!罰ゲーム。」と宣言し、廊下に出る圭一。
沙都子から、自分と梨花でうまくやるから、大人しく相槌を打つように、と言われる圭一。
沙都子に向かって圭一は、うまかったぜ、沙都子、と声をかけた。
職員室の扉を開けると、知恵先生はレトルトカレーを食べていた。
沙都子が、「や~い、や~い、カレー独身貴族、ニンニク臭いぞ」とはやし立てた瞬間、職員室の室温が氷点下レベルに下降した・・・
沙都子と梨花は、とっくに圭一の目の前から消えていた。
その後のことは、思い出したくもない・・・
素敵すぎる体験をして教室に戻った圭一を、みんなは生暖かく出迎えてくれた。
先に戻った沙都子と梨花が、事のあらましを魅音とレナに説明したようだ。
魅音が、今日、ヘルプに行ってあげようか、と言ってくれるが、沙都子が複雑な表情を見せるたので、レナと梨花が、魅音に空気を読むよう、諭す。
TIPS:沙都子のトラップ講座(初級)
圭一「沙都子ならこの山で籠城して、一個師団相手くらいなら充分にあしらえるに違いない。」
魅音「沙都子はとある国の特殊部隊に招聘されてトラップの訓練教官をやってたんだ。」
レナ「そんなヘンな話はいいから、誰か助けて!」
魅音は脱出不可能のやたら細い落とし穴にはまり、首だけを地上にのぞかせていた。
レナは頭からすっぽりブリキのバケツをかぶり、それが脱げなくてもがいている。
圭一の体はぐるぐるの簀巻き状態で、地上から2mくらいに吊り上げられていた。
そもそもの発端は、都会育ちの圭一が自然に親しんでないとか何とかで、山へ散策に行こうなんて話からだった。
沙都子が、「裏山ならお任せですわよ。山が丸ごと、私と梨花の遊び場なんですもの。」と言ったので、二人の道案内でハイキングに行くことになったのだ。
最初のうちは村の中じゃ絶対に味わえない大自然は眺望、新鮮な空気を満喫できたが、途中からおかしくなり始めた!
沙都子が、ここからは自分が歩いた足跡の通りに歩くように指示した。
レナが、凧糸のようなものを引っ張ると、竹槍の束がドカドカと降り注いだ!
沙都子と梨花が言うには、小学校低学年のころ、トラップ作りが沙都子的に大ブレイクして、この山の至るところに仕掛けて回ったらしいのだ。
そして、沙都子たちの姿をちょっと見失った途端に、3人まとめ仲良くトラップに絡めとられたというワケだ・・・
ルート:綿流しA #1 村祭り
あなたの見たいものは、なんですか?
私がそれを見せてあげましょう。
あなたの聞きたいことは、なんですか?
私がそれを教えてあげましょう。
だけど、期待はしないでください。
目と耳を閉じているあなたにはきっと無駄なことだから。
→盥回し編へ。
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