今日のひぐらしのなく頃に奉はどうかな?
沙都子と梨花も帰り、魅音とも別れ、圭一はレナと夕方の空気を楽しみながら家路につく。
「圭一くんも今日は付き合ってくれてありがとう」
「楽しかった。まだ家に帰るのが惜しいくらいだぜ」
「じゃあさ、ちょっとだけ寄り道してもいいかな?かな?」
「遠いのか?」
「ちょっと歩くけど、すぐ済むから」
そこは荒涼とした工事現場跡のように見えた。
沢を臨む斜面には粗大ゴミの山がぶちまけられていた。きっと不法投棄だろう。
「何があるかな~何があるかな!」
「レナの用は、あのゴミの山かよ?」
「レナにとっては宝の山だもん、わくわくわくわく」
「おい待てよ。うわったたた・・・」
「いいよ圭一君はそこにいて!すぐ済むから」
レナは付いて行こうとする圭一を軽く制して、ぴょんぴょんと跳ねるかのような足取りで、ゴミ山の向こうに消えていった。
ほどよい疲れが圭一にちょっとした眠気を誘っていた。
その時、突然、砂利を踏む音と人の気配がし、圭一は驚いて振り返った。
そこにはいかにもカメラマン風体の男が、圭一に向けてカメラを覗いていた。
日焼けした体格のいい体つき。なのにどこか頼りなさそうな、なんとも曖昧な雰囲気。
「おっと、びっくりした!」
「驚いたのはこっちですよ」
「ごめんごめん、君は雛見沢の人かい?僕は富竹。フリーのカメラマンさ。雛見沢にはたまに来るんだ」
「写真てのは被写体に断ってから撮るのが礼儀なんじゃないんすかね」
「ごめんごめん、メインは野鳥の撮影でね。断った例がないんだよ。いやいや、本人の許可を取らずにファインダーを覗いたことを謝るよ」
「圭一君、待たせてごめんね」とレナがゴミの山から顔を覗かせて手を振っている。
「彼女はあんなところで何をしているんだい?」
「昔起こった、殺人事件の死体でも探してるんじゃないですか?」
「嫌な事件だったね。まだ見つかってないんだろう?」
「圭一君、お待たせ」
「馬に蹴られる前に退散するかな」と言いながら、富竹は、夕闇へ溶け込むように去って行った。
「掘り出し物は見つかったか?」
「あのね、あったの!ランディくん人形!」
「ファーストフード店の前に必ず置いてある、あの等身大人形の?」
「そう!かぁいい。お持ち帰りしたい☆」
「あれはゴミだろ?お持ち帰りしたきゃしてもいいんだぜ?」
「他の山の下敷きになってるの。簡単には掘り出せないし、あそこ、灯りがないからすぐ暗くなっちゃうし」
「俺も手伝ってやるよ。今日のうまかった弁当の恩返しってことでさ」
「はぅ、ありがとう」
「なぁ、レナ。あそこで昔、なんかあったのか?」
「ダムの工事をやってたんだってね」
「例えばさ、工事中になにかあったとか」
「知らない。実はね、去年までよそに住んでたの」
それは返答というよりも、拒否に近い響きを含んでいた。
「え、レナも転校生だったのか?」
「だからね、それ以前のことはよく知らないの。ごめんね☆」
よく知らないし、話題にもしたくない。そういう含みが感じられた。
TIPS:ダム現場の怪奇殺人
昭和54年6月25日朝刊より
鹿骨市興宮所は6月23日深夜、建設作業員5名を殺人の容疑で逮捕し、逃走した主犯格のけんせつ作業員1名を全国に指名手配した。
調べによると6容疑者は6月22日午後9時ごろ、雛見沢ダム建設現場内の作業事務所にて、上司である現場監督を集団で暴行して殺害し、そのまま逃走した疑い。
6月23日午前8時ごろ、鹿骨市内の病院から警察へ、「建設現場の監督を殺害したことをほのめかす男性がいる」との通報があり、警察官が駆け付けて事情を聞いたところ、事件を自供。供述通りの場所から遺体の一部が発見されたため、同日午後、殺人の容疑で逮捕した。
他の容疑者も即日逮捕されたが、主犯格の作業員は逃亡中。警察は行方を追っている。
動機について
「酒盛りをとがめられ口論になり、カッとなって殺した」などと供述しているが、それぞれ自供に食い違いも多く、さらに追及するという。
TIPS達成率:2.1%
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音楽鑑賞:暗鬼の影
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