探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件のプレイ開始!
7月3日 癸生川探偵事務所
フリーのシナリオライターの生王正生(いくるみ まさお)は、友人の癸生川(きぶかわ)がやっている探偵事務所を訪ねると、癸生川の助手の白鷺洲伊綱(さぎしま いづな)が迎えてくれる。
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伊綱「紅茶を淹れながらテレビを見ていたんですよ」
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マンションの一室を改装して作った探偵事務所だ。応接セットの向かいに小さなテレビが置かれている。
調べる→テレビ
昼の報道番組が映っている。
アナウンサー「昨日午後未明、OLの笠見由紀乃さん22歳が自宅で死んでいるを、訪れた友人が発見し、110番しました。死因は極度の緊張状態から来る心臓マヒと見られており、笠見さんがテレビゲームをプレイした状態のまま倒れていたことから、警察当局ではそのゲームに何らかの原因があるのではないかと見て・・・」
話す→報道
伊綱「22歳といったら、私と同い年ですね。私はゲームはあまりしないのですが、ゲームってそんなに緊張するものなんですか?」
生王「そうでもないと思うけど、もともと心臓が悪かったんじゃないかな?」
伊綱「そういえば以前スロットで777を出した人が、興奮のあまりショック死した事件がまりましたね」
話す→報道
生王「しかしこんな事件が起こると、決まってゲーム業界が槍玉に上げられるのがどうもね」
伊綱「生王さん、今はゲーム関係のお仕事をされてるんでしたっけ?」
癸生川「ええい、うるさいぞ君達!眠れないではないか。伊綱君、紅茶を1杯頼むよ」
伊綱「あ、はい」
癸生川凌介(きぶかわ りょうすけ)は生王の友人であり探偵で、一風変わった男であるが数多くの難事件を解決に導いている。
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生王「すまない、寝ていたのかい?」
癸生川「ゲームをしていたに決まってるだろう」
生王「さっき、眠れないって言ってなかった?」
癸生川「僕は寝ながらだってゲームをすることができるんだ」
生王「それってゲームしながら寝てるだけなんじゃ?」
癸生川「それは少し違う。なぜならゲームはキチンと進んでいるからだ」
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癸生川「これがなかなか面白くて気が付いたらこんな時間だ。さあ共に仮面を被り幻想の世界へと旅立とうではないか!」
生王「なんのゲームをやって・・・」
癸生川「そんなことはこの際どうでもいい。僕は眠いぞ。ひと眠りするので夜まで起こさないでくれたまえ!」
伊綱「はい、紅茶です。って、いないじゃないですか!」
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伊綱「あ、ごめんなさい、誰か来たみたいなので、ちょっと失礼」
伊綱「どうぞ、こちらへ」
砂永「こりゃどうも。私、砂永(すなが)と申します」
砂永は名刺を取り出した。
伊綱「紅茶をどうぞ。探偵は取り込み中なので、私たちがお話を伺います」
砂永「ある調査をお願いしたいのです」
調べる→名刺
砂永の名刺には、株式会社クロッシュ 営業部長 砂永光二と書かれている。
クロッシュと言えば、誰もが知っている大手のゲームソフトメーカーだ。
話す→依頼内容
砂永「実は、先日当社の社員の村崎という男が自宅で亡くなっているのが発見されまして、昨日警察から過労による自殺だと判断されたのです。幸いニュースで取り上げられたりしていないので騒ぎにはなっていませんが・・・過労自殺者が出たとなれば遺族に賠償金を支払わなければなりません。それに万一漏洩した際の企業イメージの悪化だけは何としても免れたいので、あなた方に調査をお願いしたいのです」
話す→依頼内容
伊綱「仮に遺族から訴訟されることがあったとしても、裁判で過労自殺が認められるのは極めて困難だというのが現状です。そんな事実がないんでしたら、問題はないと思うのですが?」
話す→依頼内容
砂永「確かに自殺するほど忙しかったわけではありません。しかし、彼が自殺する理由というのが、どうにも考えられないのです。もしも、彼が何者かに殺害されたのだとすれば、会社が彼に掛けていた保険金が下ります。またメインプログラマとして活躍していた彼を失った会社の損失は大きいので、犯人に損害賠償を請求することもできるのです」
あくまで会社の利が優先のようだ。
話す→依頼内容
砂永「というわけなのですが、お引き受けいただけますか?」
伊綱「しかしそういうことは、本来警察とか保険屋の領分ですよね」
話す→村崎の事
砂永「彼の死因は服毒による中毒死とだけしか聞いていないので、詳しいことはわからないのですが、少なくとも事故ではありえない毒物だったのだそうです。死亡推定時刻は6月26日水曜日午前3時ごろと聞いています」
話す→村崎の事
砂永「村崎君は西河谷地区のマンションに一人暮らしでした」
話す→村崎の事
砂永「彼は我が社の大プロジェクトのメインプログラマとして、これからの活躍を期待されていただけに誠に残念です。そうそう、村崎君については私よりも彼の同僚に聞いたほうがいいでしょう」
話す→会社の事
砂永「ご存じかと思いますが、当社はゲーム開発を主な業務としております」
話す→会社の事
砂永「有名なタイトルでは、アルファ・ジェネシスというRPGのシリーズを出しております」
伊綱「アルジェですか!」
砂永「はい。村崎君は、それの新作のメインプログラマでした」
伊綱「アルジェの新作を作っているんですか!」
砂永「本来なら社外秘なのですが・・・」
なんか伊綱が盛り上がってきている。
話す→依頼内容
伊綱「わかりました!お引き受けします」
生王「早っ!」
砂永「ありがとうございます」
伊綱「ただし、ですが・・・捜査にあたってアルジェの新作の情報が必要になってくるかもしれません。その場合はすべて隠さずに教えていただけますか」
砂永「確かに何が関係しているのかわからないですので。了解いたしました」
生王「ゲームの話はしないんじゃなかったの?」
伊綱「あまり、って言ったじゃないですか。アルジェだけは別なんですよ♪」
砂永「では、よろしくお願いいたします」
伊綱「お任せください、くふふ」
今回の仮面幻想殺人事件は幕を開けたのだった。
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