今日のパラノマサイト FILE23 本所七不思議はどうかな?
午前1時台 志岐間邸応接間
利飛太が出て行ってから1時間以上経った。
新聞を調べる→読む→社会欄を見る
都市公害について書かれていた。
社会欄を見る。
辛くなるのでニュースもあまり見ないようにした。
社会欄を見る。
高校生少女の自殺の記事を読むと、駒形高校の白石美智代が1週間前に投身自殺をした、と書かれている。
考える。
修一の誘拐に関わっていた白石美智代は1週間前に自殺していた?
教師の城之内は、すでに死んでいる少女を恐れていた?
黒電話を調べる。
電話が鳴った!
黒電話を調べる→電話に出る
「はい、志岐間です」
午前2時台 駒形橋
春恵は利飛太に呼び出され、隅田川に架かる駒形橋に来ていた。
周囲を調べる。
文化/社会:駒形橋
隅田川を調べる。
「マダム、やばり地元の人にとっては、この隅田川は故郷のシンボルみたいな存在なのかい?」
「さあ、少なくとも、私はあまり好きじゃない」
「そうだったね」
「誘拐事件のあと、あの子はこの汚い皮で見つかった。こんな冷たく澱んだ水の中にひとりぼっちで。さぞ怖かったでしょうに。寒かったでしょうに。それから私、毎日この川のほとりに来て、お願いだから返してとただただ、祈り続けた。」
「昔から、川と言うものはこの世とあの世の境界だと言われていてね。それだけ、流れる水を超えるという行為には霊的に大きな意味があるそうだ。人々が江戸で暮らすようになった頃、中央に住む人たちにとって、この大きな隅田川の向こう岸というのは、まさに異世界だったらしいね。彼の地には、人々からの忌避的は感情が集まって渦を巻いていた。明暦の大火という大災害のあと、両国橋が架設され、本格的に本所開拓が行われたわけだが、その際、この地域は縦横に開削した人工河川で囲まれ、さらにいくつもの堀は割下水が張り巡らされた」
「それは、洪水を防ぐための治水だと習ったけど?」
「それもある。だが、大川の彼岸という異世界に渦巻く穢れや魑魅魍魎の類を、川で囲ったこの地区に閉じ込めて此岸ー即ち現世に現れないようにする。そんな意味合いが、密かにあったそうだよ」
「つまり、本所はあの世に近い場所とされていたってわけ?」
「だからこそ蘇りの秘術なんてものがここに眠り、そして、本所七不思議とその呪いが今なお残り続けている、というのはあるだろうね。そして今僕らが立っているここは川の真上。まさに、この世とあの世の境目だ。川に向かって祈りを伝えたマダムの行為も、あながちデタラメってわけじゃない」
「それって、慰め?」
「いいや、考察だ」
「そう、面白い話」
文化/社会:隅田川
隅田川を調べる。
「隅田川といったら、もうひとつ思い出す話があるのだけど。聞いてくれる?」
「もちろん」
「20年くらい前、私がまだ学生だった頃の話。その頃の隅田川は今よりもずっとずっと汚染がひどくてね、ゴミだらけで、ヘドロまみれで匂いもひどかったし。イヌやネコやハトの死骸なんかも、たくさん漂っていた。ある日、そんな大量のゴミに紛れて、行方不明だったクラスメイトの左手の一部が見つかったの」
「なに?」
「本当に、偶然の出来事で。偶々、人の手の形をした部分が見つかって。手のひら以外は腐って落ちてる状態だったんだけど、偶々、その子に特徴的な指の傷跡があったから身元が判明して。さらに骨が刃物で切断されているとわかって、これは殺人事件だってなって」
「それは、もしかして根島事件の話か?」
「あら、良く知っているのね。さすが。櫂さんはまだ小学生くらいだったはずでしょう?」
「さすがに知識として知っているだけだが、あの事件の被害者の少女はマダムのクラスメイトだったのか」
攻略情報:根島事件まとめ
人物リスト:根島吏周(ねじま ふみちか)
「ええ、それはもう、身の回りに走った衝撃たるや。だってね、身体のほかの部分も川に沈んでいるはずだって、汚泥のようは川底をさらったけど、結局一部しか発見できなかったの。ほとんど、腐って溶けて流されちゃったみたい。そのかわり川に潜って捜索した調査員が全員体調を崩したのだとか」
「それは気の毒な話だ、全方位で」
「つまりこの川の底は、誰も探さない場所だった。でね。当時は世の中がすごいスピードで変化していた。人も物もごちゃごちゃだった、混迷の時代。東京には、地方から上京したり近県から家出をしてきたりで若者が多く集まっていて。そのうち何人もの人が悪い人に攫われて、誰にも知られないまま行方不明になったという事例が多かったのだとか。もしね、人の死体を切り刻んで当時のこの川に投棄したとしたら、すぐ腐って腐臭も全然目立たず、ヘドロに埋もれまず見つからないだろうって」
「まさか?」
「クラスメイトの子を殺して切り裂いて捨てた犯人、根島吏周はその後、無事に逮捕されたけど。その様子から、きっと余罪はたくさんあっただろうって。ほかにも同じような目にあった子が何人もいたはず、って言われていた。でも、結局その証拠は見つからなかった。たぶん、この川の底。だから、汚れた川はもっと数多くの死体を吞み込んでいたはずで、そんな噂が広まって、みんなあまりこの川に近寄らなくなった。つまり、この川そのものがすでび充分穢れているの、っていう話。どう?」
「なるほど。どんなに見た目が浄化されようと、穢れが染みついた川に良い思い出なぞないわけだ。しかし、マダムはずいぶん根島事件に詳しいんだね」
「ええ。だってね、隅田川で左手の一部を見つけたの、私だったから。それがなければ根島の犯行が発覚することはなかっただろうって。検挙できたのが奇跡だったと、警察から感謝状をもらったりした。それが警察庁幹部だった父から唯一褒められた行い」
「そうか、犯人にとっては運がなかったわけだ」
「そうね。恨んでるかしらね」
左斜め後ろの柱の上に、なめどり#18を発見!
利飛太に話しかける→あなたの話から
「じゃあ、あなたの話からどうぞ」
「呪主を捜して七不思議とゆかりのある場所を巡ってみたところ、何人かそれっぽい人を見かけた。
まず錦糸堀公園の近くにいた長身の男。何も知らずに道を尋ねるフリをして接触してみたところ、逆にこちらを探るような問い返しをされたが無関係だと判断するとさっさと去っていったよ。呪いについて知ってそうな感じだったな。呪主の可能性は40%くらいだ。
南割下水通りで見かけた中年男性。この男は手に呪詛珠らしき物を握っていたからおそらく間違いない。明らかに挙動不審で、キョロキョロとターゲットを捜している感じだったから、積極的に滓魂を集めているのだろう。
続いて、両国橋付近にいた若い男女の二人組。この場所では青年のほうから「呪主か?」と声を掛けられたよ、僕が知らないと返事すると謝罪してまたこの付近で隠れて待つ様子だった。どうも協力者を捜しているような振る舞いだったな。ただこの二人の関係は、あまり協力しているようには思えなかったけどね。
あとは、道端で見かけた二人踏みの刑事。先日この近くの公園で死体が発見されたから、その事件の捜査をしているだけの可能性もあるけど、その事件現場は七不思議のゆかりの場所だ。呪いに巻き込まれた可能性はおおいにある。本庁の刑事がわざわざ来ているというところも、ややきな臭いところだ」
「なぜ見ただけで本庁の刑事だと?」
「なに、ちょっと知った顔だったんでね。とまぁ、なんとなく怪しそうだった人物はそんなところだな」
「ありがとう。さすがね。この短時間でそれだけの情報を」
「これでもプロフェッショナル探偵だからね。そう、略してプロタン、というったところか」
「まあ、プロタン。そんな恰好なのに目立たず行動できるのも、プロタンの成せる技?」
「ああ、僕くらいのプロタンになれば白い服での隠密行動もお茶の子さいさいだ」
「それはそうと、滓魂を集めていそうなのは、中年男性と男女のペアあたり?」
「いずれにせよ、まだ奪うには早いだろう。思ったより呪主同士の接触は多くなさそうだったね。ほかにも呪主はいるだろうし、まずは目星といったところだ。これから呪い殺された人が発見されれば、もっと騒ぎになる。状況がごちゃっとしてくれは奪うチャンスも出てくるだろう」
利飛太に話しかける。
「私の話をしても?」
「ああ、どうしたんだい?」
「あのね、白石美智代って子、いたでしょう?」
「ああ、誘拐事件の日に修一少年と一緒にしたという女学生だね」
「そう、その子だけど、もう、死んでるんですって」
「なに!」
「先週この近くで自殺した学生が、白石美智代という名前だった」
「確かに、自殺があった。そうか、名前までは把握していなかった。この自殺によってあの城之内という教師の気持ちが動いたのか?呪い殺される、と言っていたのは、死者の怨念、ということだったのか」
「その子に話を聞けないとなると話がふりだしに戻っちゃった?」
「いや、あの教師、何かを知っていた隠している。少なくとも、白石美智代の自殺の原因に城之内自身が関係していると思っている。だからこそ、自分が死者に呪い殺されると恐れたのだろう」
「ふうん」
「そこに、誘拐事件が絡んでいる可能性は高い。マダムはわかるかい?城之内教諭が何を隠していたのか」→なんとなく
「そうね、なんとなくだけど」→城之内教諭は→白石美智代を→脅迫していた
「城之内恐怖は白石美智代を脅迫していた?」
「違う?」
「そうだ、僕もそう思う。誘拐事件を目撃した城之内恐怖はそれをネタに、白石嬢を脅迫していた可能性がある。バラされたくなければ言うことを聞け、と。だから、目撃したことを隠していたし、追い詰めすぎて自殺した、と考えた」
「最低ね」
「まだ推論だ。とにかく、あの城之内という教諭にはもう少し話を聞いてみる必要があるな」
利飛太に話しかける。
「どうかした?」
「いや、根島事件からもう20年が経っているのか、って思ってね」
「そうね」
「いたずらに不安を煽りたいわけじゃないので、雑学として聞いてもらいたいのだが。先例的には無期懲役者でも、初犯ならが20年も経てば仮出獄が認められていることが多い。もちろん服役中の態度で改悛の情と更生意欲が認められた場合の話だが」
「へえ、そう、よく知っているのね。でもそんな前科があったら社会復帰するのは難しそう」
「最近は仮出獄者への住居や仕事の斡旋も行われているようだね」
「そうなんだ」
「もちろん保護観察に付されるので定期的に面談などは行われているが、無用な偏見を避けるため責任者以外には前科は隠しておくことになっている。さらに名前が大々的に出てしまった犯罪者は通名での業務を認めることもあるらしい」
「まあ、それじゃあ、まるで、あの根島吏周が、実はすでに人知れず仮出獄を果たしていて、名前を変えてこの社会のどこかに紛れているかもしれない、ってこと?」
「まあ、その通りだ。実は数か月前、昔のある大事件の犯人が仮出獄したという話を関係筋から耳にしてね。それが根島吏周かどうかまではわからないが、ただ、それを今思い出したっていうだけの話だ」
「そうなのね、怖い話。なぜならね、私も思い出したから」
「何をだい?」
「少し前、駒形高校を通りかかったときに、見掛けたの。そこで働いていた職員でなんとなく、根島吏周を思い出させる男を」
「なに?」
「20年も経っててかなり人相も変わってたし、なにより、当時よりも体重が30キロは減っている感じだったから気のせいかと思ってた。でも、もしかしたら、そうなのかもね。それで、このあとはどうするの?」
「まだ見えていない呪主の動向が気になるところだね。ひとまず、この隅田川は本所七不思議のエリアから少し外れている。おそらく呪主もここまでは来まい、だろうから、少し考える時間をもらいたい」
「そう、わかった」
中断する
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