今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒。
坂上君は宗教は何なの?
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
- 他の話が聞きたい
私と一緒だ。
私、神様信じてないもん。
そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
すごいでしょ、えへへ。
でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
お父さん、怒った後悩んでいたもん。
どうして会社では暗いんだって。
もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?
- 実はいる
- そんな人はいない
- 宗教の話から離れて
日本人って無宗教の人が多いから、宗教アレルギーって人が結構多いよね。坂上君もそういうクチなんだ。
シナリオ:愛と友情の狭間開始!
数年前のこと、山寺という女子生徒がいた。
なかなか良いルックスをしており、明るい性格で交友関係も広かった。
彼女には、田中というすごく仲のいい友達がいて、お互いのお弁当を交換して食べちゃうくらいだった。
「あー、その卵焼き超美味しそうじゃん?」
「ひとつあげるわ。じゃ、そっちの唐揚げ、もらっていいかしら?」
そんな風に毎日、山寺と田中はわいわいと仲良くしていた。
この二人はお互いに何でも理解し合って、嫌いなところなんて何もないってことはなく、山寺には田中のする話題で、どうしても好きになれないものがひとつだけあったの。
それはホラー映画だった。
田中はホラーの魅力に取り憑かれており、週に一度はレンタルビデオショップに行ってあれこれ借りて、時には深夜まで見ていた。
スプラッター系が特にお気に入りだったみたいで、もちろん新作映画があれば見に行き、山寺はそれに毎度のように誘われた。
「このゾンビ映画、すんごくリアルなメイクらしいの。楽しみだわ」
「へえ、最近の技術はすごいんだね」
田中が嬉々としてしゃべれば、山寺は適当に相槌を打っていたが、山寺は本当は大のホラー嫌いだった。
映画の上映中も、田中が目をキラキラさせて見ている隣で、山寺は冷や汗ダラダラと流していた。
山寺は、田中を悲しませたくないから、寝たふりなんかはできなかった。
「ホラーの話、もうやめてくんない?これからは映画にも付き合わせないで!」
何度も、そう言おうと思ったかわからない。だけど親友だから言えない。
そして田中は、山寺が本当は怖いのが大嫌いってこと、夢にも思っていなかった。だって今まで文句言われたことがないんだから。
本音と建て前は違っていたけれど、二人の日常はとりあえずバランスが取れていた。
田中はホラー以外にも普通に女の子らしい趣味はあったし、そっちでは山寺も気兼ねなく楽しめたから。
けどある日、その微妙なバランスが崩れる出来事が起こった。
山寺は、お気に入りの髪飾りを見ず知らずの男子に踏まれて壊されちゃって、怒っていた。
最近買ったばかりの髪飾りを、山寺は廊下で手に取ってうっとりと眺めていたんだけど、うっかり床に落としてしまい、運悪く踏まれてしまった。
もちろん文句を言ったんだけど、その男子ときたら「いきなり目の前に落す方が悪いだろ」なんて言ってろくに謝りをしなかった。
山寺はむらついていたが、男子相手にケンカして勝てるわけもなし、弁償してもらうこともできず、仕方なく引き下がるしかなかった。
そこへ田中がやってきて、いつものように悪気なく、「明日は土曜日だよね。また新作のホラー映画があるの。一緒に行かない?」と提案してきた。
田中は別の場所にいたので、山寺の髪飾りが壊された一件は知らなかった。
その時、山寺の心の中はどす黒く燃え上がった。自分がこんなに辛い思いをしているのに、なんて無神経なんだろうって。
山寺はとうとう我慢ならなくなって、かついてないほどの大声で怒鳴った。
「いい加減にしてよ!なんで気付いてくれないの。私、怖いのなんて大っ嫌いなの!幽霊もゾンビも殺人鬼も、もう見たくないの!だいたい私ら女子高生だよ。そんな暗い趣味はやめたらどうなの?もう私の前でホラーの話はしないで!」
山寺は今までため込んでか感情を、一気に爆発させた。
言いたいことを全部言い切った山寺は、息を切らしながら親友の目を見た。
「・・・ごめんね」
自分の趣味を正面きって拒否されて、ショックだった田中は、それだけしか言えなかった。
まだ昂った気持ちが収まらない山寺はそのまま田中と別れた。
山寺はさすがに次の日になると落ち着いたけど、しばらくは気まずくて田中と話もできなかった。
田中も田中で、一言もかけられない。
まるで見えない壁が彼女たちの間にできたようで、クラスメイトたちももうビックリで、あれだけ仲良かった親友同士にいったい何があったんだろうって。
山寺は田中と話す踏ん切りがなかなかつかなかったので、彼氏の岸谷に相談した。
岸谷は「勇気をもって話しかけろって。それでいいだろ」と簡単にアドバイスした。
その翌日、山寺は、登校すると真っ先に田中に近づき、「この前はちょっと言い過ぎだよ。ごめんね」と切り出すと、田中は笑ってはいないが、怒っている顔でもなく「うん」と小さく頷いた。
山寺はホッとして、「あの時は気が立っててさ、ついあんな乱暴なこと、ホントごめん。でももう水に流そうよ、ね?」と続けると、田中は「うん」と小さく頷いた。
山寺は最後にこう付け加えた。
「申し訳ないんだけさ、ホラー映画は勘弁っていうのは変わらないから。本当に大嫌いなんだ。これからは映画に誘ったりしないでね?他のならいいからさ」
「うん、誘わないよ」
田中と仲直りして心が楽になった次の日、山寺は同じクラス委員の男子の斎藤と図書室で仲良くしゃべりながら作業していた。
そこへ岸谷がやってきた。
岸谷はこめかみに青筋を浮かばせて、山寺に詰め寄った。
「なんだよ、その男は「
「え?同じクラス委員の人だけど」
「それだけじゃないだろう?今、すごく嬉しそうな顔をしてたじゃないか?俺といる時よりも!!」
「そんなわけないじゃん」
「なんだよその顔は!ひょっとして俺に飽きたから新しい男を探していたとかじゃないだろうな?」
「ちょっと待ってよ、そんなこと」
「いいか、俺以外の男と仲良くするなんて、絶対に許さねえからな!」
反論を一切聞く気がない岸谷は、猛然とその場を立ち去った。
山寺はボロボロと泣いてしまった。
岸谷の決定的な欠点は、めちゃくちゃ嫉妬深いことだった。他の男子といるなんて絶対に許さないっていう考えの持ち主だった。
山寺は岸谷をこれ以上怒らせるのは避けたい、と悩みぬき、納得してもらえるまで話し合おうと考えた。
次の日の放課後、山寺は田中にも協力してもらおうと思いついた。
「あのさ、彼氏のことでちょっと相談があるんだけど、聞いてくんない?」と山寺は気軽な口調で田中に相談を持ちかけた。
「そんな話は聞きたくないわ」
「あのね、本気でトラブってんるんだ。私一人だけじゃ解決できないかもしんないだよ」
「あなたの彼氏の話なんて、興味はないわ」
そう言って、田中は山寺に背中を向け、歩き去った。
そこへ岸谷がやってきた。
「おい!この前の男とまた話していただろう!」
確かに昼休み、斎藤がハンカチを落したから、山寺はそれを拾ってあげて、少し話をしたんだ。
岸谷は休み時間になるたびに山寺を監視しており、しっかりその場面を見ていたのだ。
「浮気するつもりなんだな?」
「いいかげんにしてよ、浮気なんてするわけないじゃん」
とうとう泣き出した山寺だったが、岸谷は矛を収めなかった。
「泣いてみせたってダメだ。そんな風にごまかそうとする女は一番嫌いだ!」
あれこれきついことを言った上で、もう二度とあいつとは話をするなって念を押して、岸谷は言ってしまった。
翌日、山寺はもう一度田中に頼みに行った。
「田中さん、あのさ、彼氏のことで相談が・・・」
「そんな話は聞きたくないわ」
「どうして?私たち親友じゃん」
「彼氏の話なんて聞きたくないわ」
「お願い!」
「聞きたくないわ」
山寺は気付いた。田中があのケンカのこと、本当は許してなかったんだって。ホラー趣味にケチをつけたことを田中はずっと根に持っていたって。
「そんなに、あの時のこと恨んでいるわけ?」
「それだけじゃないわ。あなたが嬉しそうにする彼氏の話、どれだけ辛い思いをしながら聞いていたかわかるかしら?デートの話を聞かされるたび、私はすごくみじめな気持ちになったわ」
そう、田中には彼氏はいなかった。内心、山寺のことが妬ましかったのだ。
「あなたの自慢話、すごく嫌だったわ。彼氏が街中でスカウトされたとか、でも彼女と一緒にいるほうがずっと言われて嬉しかったとか、そんなことを延々と!」
山寺は、田中がホラーの話を嬉々としてしゃべるように、以前から岸谷の話を得意げにしていたが、田中の恨みがましい気持ちに気付いてはいなかった。
「ごめんさない!ホラー映画にもいくらでも付き合うから!だから助けてよ!もう許して!」
「もう遅いわ」
それっきり田中は何も答えなかった。
彼氏の選び方や、彼氏への接し方も含めて、坂上君どう思う?
- かわいそう→エンディング20:壊れた友情
- 自業自得
- 答えられない
山寺はもう我慢できなかった。だから、岸谷と別れる決意をした。
そして、山寺は自分の考えを突き付けるため、岸谷を呼び出した。
「私、もうあなたの彼女でいられない」
「なんだって!」
「もう耐えられない。ほかの男子と話すな、なんて無理に決まってるじゃん。そこまで束縛されたくないよ。だから、別れる。さよなら!」と山寺は岸谷に背を向けた。
「そうか、やっぱりほかに好きな男ができたのか」
この期に及んで、まだ勘違いしているの?山寺は反論するのもバカらしくなって、無視しようと決めた。
「ほかの男に渡すくらいなら!」
その言葉に続いて、ドスっという音が背中からした。
振り向くと人が変わったようにすさまじい表情で睨みつける岸谷の姿が・・・
山寺が力なくうつふせに倒れると、岸谷はさらに馬乗りになって、ナイフを振りかざした。
「裏切者は殺してやる!」
必死にあがこうとする山寺だったが、とても逃げることは無理だった。
その時、山寺は、校舎の角に人影を見つけた。
「助けて・・・」
けど、信じられないものを見た。
霞んでいく視界の中に映るもの、それは、ビデオカメラだった。
口元の不気味な微笑みを浮かばせ、殺人シーンを収めようとする、悪魔のような顔の誰かが・・・
それから間もなく、山寺は死体で見つかった。とても苦しそうな、絶望した顔で死んでいた。
ちなみに岸谷は行方不明になった。
この事件は山寺のクラスに衝撃を与えた。
だけど、ただ一人、田中は悲しそうな顔を見せるわけでもなく、しかもお葬式の時に微笑んでいるのが目撃された。
田中はそこまで、親友だったはずの山寺を恨んでいた。
「山寺さんが殺される直前に見た、ビデオカメラを回している人物、これはたぶん田中さんじゃないのかな。というか、それしか考えられないよね。
実はさあ、山寺さんの殺害シーンが収められビデオ、今も校内のどこかにあるっているウワサだよ。
ねえ坂上君、次はそのビデオを探すっていう企画をやれば?これこそ最高のホラーじゃない!
そのビデオを見たら、山寺さんの呪いがかかって自分も殺されるとか、いろいろ言われているけどね。私としては、坂上君に新聞部魂を発揮してもらってビデオを探してほしいな」
福沢エンディング21:最高のホラービデオ
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒。
坂上君は宗教は何なの?
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
- 他の話が聞きたい
私と一緒だ。
私、神様信じてないもん。
そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
すごいでしょ、えへへ。
でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
お父さん、怒った後悩んでいたもん。
どうして会社では暗いんだって。
もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?
- 実はいる
- そんな人はいない
- 宗教の話から離れて
日本人って無宗教の人が多いから、宗教アレルギーって人が結構多いよね。坂上君もそういうクチなんだ。
シナリオ:愛と友情の狭間開始!
数年前のこと、山寺という女子生徒がいた。
なかなか良いルックスをしており、明るい性格で交友関係も広かった。
彼女には、田中というすごく仲のいい友達がいて、お互いのお弁当を交換して食べちゃうくらいだった。
「あー、その卵焼き超美味しそうじゃん?」
「ひとつあげるわ。じゃ、そっちの唐揚げ、もらっていいかしら?」
そんな風に毎日、山寺と田中はわいわいと仲良くしていた。
この二人はお互いに何でも理解し合って、嫌いなところなんて何もないってことはなく、山寺には田中のする話題で、どうしても好きになれないものがひとつだけあったの。
それはホラー映画だった。
田中はホラーの魅力に取り憑かれており、週に一度はレンタルビデオショップに行ってあれこれ借りて、時には深夜まで見ていた。
スプラッター系が特にお気に入りだったみたいで、もちろん新作映画があれば見に行き、山寺はそれに毎度のように誘われた。
「このゾンビ映画、すんごくリアルなメイクらしいの。楽しみだわ」
「へえ、最近の技術はすごいんだね」
田中が嬉々としてしゃべれば、山寺は適当に相槌を打っていたが、山寺は本当は大のホラー嫌いだった。
映画の上映中も、田中が目をキラキラさせて見ている隣で、山寺は冷や汗ダラダラと流していた。
山寺は、田中を悲しませたくないから、寝たふりなんかはできなかった。
「ホラーの話、もうやめてくんない?これからは映画にも付き合わせないで!」
何度も、そう言おうと思ったかわからない。だけど親友だから言えない。
そして田中は、山寺が本当は怖いのが大嫌いってこと、夢にも思っていなかった。だって今まで文句言われたことがないんだから。
本音と建て前は違っていたけれど、二人の日常はとりあえずバランスが取れていた。
田中はホラー以外にも普通に女の子らしい趣味はあったし、そっちでは山寺も気兼ねなく楽しめたから。
けどある日、その微妙なバランスが崩れる出来事が起こった。
山寺は、お気に入りの髪飾りを見ず知らずの男子に踏まれて壊されちゃって、怒っていた。
最近買ったばかりの髪飾りを、山寺は廊下で手に取ってうっとりと眺めていたんだけど、うっかり床に落としてしまい、運悪く踏まれてしまった。
もちろん文句を言ったんだけど、その男子ときたら「いきなり目の前に落す方が悪いだろ」なんて言ってろくに謝りをしなかった。
山寺はむらついていたが、男子相手にケンカして勝てるわけもなし、弁償してもらうこともできず、仕方なく引き下がるしかなかった。
そこへ田中がやってきて、いつものように悪気なく、「明日は土曜日だよね。また新作のホラー映画があるの。一緒に行かない?」と提案してきた。
田中は別の場所にいたので、山寺の髪飾りが壊された一件は知らなかった。
その時、山寺の心の中はどす黒く燃え上がった。自分がこんなに辛い思いをしているのに、なんて無神経なんだろうって。
山寺はとうとう我慢ならなくなって、かついてないほどの大声で怒鳴った。
「いい加減にしてよ!なんで気付いてくれないの。私、怖いのなんて大っ嫌いなの!幽霊もゾンビも殺人鬼も、もう見たくないの!だいたい私ら女子高生だよ。そんな暗い趣味はやめたらどうなの?もう私の前でホラーの話はしないで!」
山寺は今までため込んでか感情を、一気に爆発させた。
言いたいことを全部言い切った山寺は、息を切らしながら親友の目を見た。
「・・・ごめんね」
自分の趣味を正面きって拒否されて、ショックだった田中は、それだけしか言えなかった。
まだ昂った気持ちが収まらない山寺はそのまま田中と別れた。
山寺はさすがに次の日になると落ち着いたけど、しばらくは気まずくて田中と話もできなかった。
田中も田中で、一言もかけられない。
まるで見えない壁が彼女たちの間にできたようで、クラスメイトたちももうビックリで、あれだけ仲良かった親友同士にいったい何があったんだろうって。
山寺は田中と話す踏ん切りがなかなかつかなかったので、彼氏の岸谷に相談した。
岸谷は「勇気をもって話しかけろって。それでいいだろ」と簡単にアドバイスした。
その翌日、山寺は、登校すると真っ先に田中に近づき、「この前はちょっと言い過ぎだよ。ごめんね」と切り出すと、田中は笑ってはいないが、怒っている顔でもなく「うん」と小さく頷いた。
山寺はホッとして、「あの時は気が立っててさ、ついあんな乱暴なこと、ホントごめん。でももう水に流そうよ、ね?」と続けると、田中は「うん」と小さく頷いた。
山寺は最後にこう付け加えた。
「申し訳ないんだけさ、ホラー映画は勘弁っていうのは変わらないから。本当に大嫌いなんだ。これからは映画に誘ったりしないでね?他のならいいからさ」
「うん、誘わないよ」
田中と仲直りして心が楽になった次の日、山寺は同じクラス委員の男子の斎藤と図書室で仲良くしゃべりながら作業していた。
そこへ岸谷がやってきた。
岸谷はこめかみに青筋を浮かばせて、山寺に詰め寄った。
「なんだよ、その男は「
「え?同じクラス委員の人だけど」
「それだけじゃないだろう?今、すごく嬉しそうな顔をしてたじゃないか?俺といる時よりも!!」
「そんなわけないじゃん」
「なんだよその顔は!ひょっとして俺に飽きたから新しい男を探していたとかじゃないだろうな?」
「ちょっと待ってよ、そんなこと」
「いいか、俺以外の男と仲良くするなんて、絶対に許さねえからな!」
反論を一切聞く気がない岸谷は、猛然とその場を立ち去った。
山寺はボロボロと泣いてしまった。
岸谷の決定的な欠点は、めちゃくちゃ嫉妬深いことだった。他の男子といるなんて絶対に許さないっていう考えの持ち主だった。
山寺は岸谷をこれ以上怒らせるのは避けたい、と悩みぬき、納得してもらえるまで話し合おうと考えた。
次の日の放課後、山寺は田中にも協力してもらおうと思いついた。
「あのさ、彼氏のことでちょっと相談があるんだけど、聞いてくんない?」と山寺は気軽な口調で田中に相談を持ちかけた。
「そんな話は聞きたくないわ」
「あのね、本気でトラブってんるんだ。私一人だけじゃ解決できないかもしんないだよ」
「あなたの彼氏の話なんて、興味はないわ」
そう言って、田中は山寺に背中を向け、歩き去った。
そこへ岸谷がやってきた。
「おい!この前の男とまた話していただろう!」
確かに昼休み、斎藤がハンカチを落したから、山寺はそれを拾ってあげて、少し話をしたんだ。
岸谷は休み時間になるたびに山寺を監視しており、しっかりその場面を見ていたのだ。
「浮気するつもりなんだな?」
「いいかげんにしてよ、浮気なんてするわけないじゃん」
とうとう泣き出した山寺だったが、岸谷は矛を収めなかった。
「泣いてみせたってダメだ。そんな風にごまかそうとする女は一番嫌いだ!」
あれこれきついことを言った上で、もう二度とあいつとは話をするなって念を押して、岸谷は言ってしまった。
翌日、山寺はもう一度田中に頼みに行った。
「田中さん、あのさ、彼氏のことで相談が・・・」
「そんな話は聞きたくないわ」
「どうして?私たち親友じゃん」
「彼氏の話なんて聞きたくないわ」
「お願い!」
「聞きたくないわ」
山寺は気付いた。田中があのケンカのこと、本当は許してなかったんだって。ホラー趣味にケチをつけたことを田中はずっと根に持っていたって。
「そんなに、あの時のこと恨んでいるわけ?」
「それだけじゃないわ。あなたが嬉しそうにする彼氏の話、どれだけ辛い思いをしながら聞いていたかわかるかしら?デートの話を聞かされるたび、私はすごくみじめな気持ちになったわ」
そう、田中には彼氏はいなかった。内心、山寺のことが妬ましかったのだ。
「あなたの自慢話、すごく嫌だったわ。彼氏が街中でスカウトされたとか、でも彼女と一緒にいるほうがずっと言われて嬉しかったとか、そんなことを延々と!」
山寺は、田中がホラーの話を嬉々としてしゃべるように、以前から岸谷の話を得意げにしていたが、田中の恨みがましい気持ちに気付いてはいなかった。
「ごめんさない!ホラー映画にもいくらでも付き合うから!だから助けてよ!もう許して!」
「もう遅いわ」
それっきり田中は何も答えなかった。
彼氏の選び方や、彼氏への接し方も含めて、坂上君どう思う?
- かわいそう
- 自業自得
- 答えられない
切羽詰まった山寺は、斎藤に協力と頼んだ。本人に直接釈明してもらえばいいって、考えた。
田中と違って斎藤は快くOKしてくれたが、決定的にまずかった。
人目のつかないところで、待ち合わせの約束をして、山寺は斎藤を連れて岸谷と会った。
そうすると岸谷は顔を真っ赤にしてわめきたてた。
「くそぉ!俺と別れて、そいつと新しく付き合うって言いに来たんだな?」
「ちょっと待ってってば、この人は・・・」
「うるせえ!」
岸谷は胸元から、とても先端が鋭いナイフを取り出し、そのまま山寺に突っ込んでいった・・・
斎藤が止める暇もなく、ナイフは山寺の胸に吸い込まれていった。
「お前のせいだ、お前が悪いんだ」
信じがたい痛みと、流れ落ちる血を感じながら、山寺は地面に倒れ込む。
「どうして」
その言葉だけが、山寺の頭の中に渦巻いていた。
山寺は病院に運ばれて懸命な治療がされたけど、あっけなく死んでしまった。
岸谷はその後行方不明になり、警察が必死に捜索したけど今も見つかっていない。もう生きているとも思えないが。
数日後、山寺のお葬式が執り行われたが、田中はひっそりと笑っていた。
坂上君は誰が一番悪いと思う?
普通に考えれば山寺さんを殺した岸谷君だけど、田中さんもなかなかなでしょ?
どんなに助けを求められても耳を貸さず、彼女を見殺しにしたんだから。
しかもお葬式で笑っていたっていうから、異常だよね。
事件の直後から、田中さんは何か悪いものに取り憑かれていたのかもって噂されたんだよ。
ようするに悪霊だよ。
田中さんの場合、山寺さんに抱いたちょっとした憎しみが狙われたんだよ。
それで取り憑かれた田中さんは、人が変わったように山寺さんに冷たくしたの。
岸谷君も、その悪霊のせいで暴力の心が増幅していたんじゃない?悪霊は田中さんの意図を読み取って、岸谷君をも狂わせたの。そして、山寺さんは死に追いやられた・・・
でも案外悪霊とかは全然関係なくて、純粋な憎しみだけで、そういう風に豹変したのかも。
ねぇ坂上君、この話から言えることは何だと思う?
どんなに嫌な話だって、ちゃんと拒否しないで聞いたほうがいいってことなんだよ。
そもそもの発端は山寺さんじゃん?
彼女がホラーは大嫌いなんて言わなきゃ、あんな悲劇に見舞われることはなかったはずだし。
福沢エンディング20:壊れた友情
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下を選択。
岩下明美は3年A組の生徒。
いきなり人の裏切られたことがある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
今度は、人を裏切ったことはある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
岩下は、「人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。」と続けた。
そして、岩下は、「私の話を聞いて、本当に人を裏切ったことはないの?」と聞いてきた。
- ある
- ない
岩下に、「あなたの命の値段は、いくらなのかしら?」と聞かれる。
- 命の値段はつけられない→岩下エンディング05:知らぬが仏
- 自分の値段は人より高い→岩下エンディング03:命の値段
- 自分の値段は人より安い
去年、鳴神学園に塚田明という生物の先生がやってきた。
いつも口癖のように「命は尊いものです。価値は計り知れません。皆さん、命は大切にしてください」と教えを説いていた。
自分では、授業で動物を殺しているくせにそんな恥知らずなことを言っていた。
命の値段が計り知れないというのであれば、どうして動物を殺せるのだろう。どうして他の命を犠牲にしてまで人間は生きて行けるのだろう? まさか、人間の命だけは尊いと考えているのかしら。だとしたら、それは先生のエゴだ。
そんな塚田の教え子に中間正平という生徒がいた。
彼は塚田の教えを素晴らしいと感じて、命を大事にしようと思った。
でもそう思えば思うほど疑問が生じた。それは、本当に命は尊いのか。価値は計り知れないのか。そもそも命とはなんなのか。
価値が計り知れないといっても、命の価値がわからなければ、どれほど大切なものかわからない。価値がわからないものは、大切に思えない。
そうして中間は命の価値を知りたい、と強く思うようになっていった。
そして、中間は先生に「理科実験に使っている解剖用のカエルっていくらですか?」と聞いてみた。
先生は、「知り合いの業者から分けてもらっているから、タダみたいなもんだ」と答えた。
それは中間にとってショックな一言だった。
今まで命は尊く計り知れないと説かれていた命の値段がタダ。
その日のうちに、中間は「僕に生きている価値はありません」と一言だけ書かれた遺書を残して、自殺した。
塚本先生が答えた正直な一言が、一人の少年の命を絶った。
もちろん塚本先生に悪気なんてなかった。
でも、一人の命が消えたのは事実だ。
「ふふふ、言葉って怖いわね」
岩下エンディング04:価値のない命
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下を選択。
岩下明美は3年A組の生徒。
いきなり人の裏切られたことがある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
今度は、人を裏切ったことはある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
岩下は、「人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。」と続けた。
そして、岩下は、「私の話を聞いて、本当に人を裏切ったことはないの?」と聞いてきた。
- ある
- ない
岩下に、「あなたの命の値段は、いくらなのかしら?」と聞かれる。
- 命の値段はつけられない→岩下エンディング05:知らぬが仏
- 自分の値段は人より高い
- 自分の値段は人より安い
去年、鳴神学園に塚田明という生物の先生がやってきた。
いつも口癖のように「命は尊いものです。価値は計り知れません。皆さん、命は大切にしてください」と教えを説いていた。
自分では、授業で動物を殺しているくせにそんな恥知らずなことを言っていた。
命の値段が計り知れないというのであれば、どうして動物を殺せるのだろう。どうして他の命を犠牲にしてまで人間は生きて行けるのだろう? まさか、人間の命だけは尊いと考えているのかしら。だとしたら、それは先生のエゴだ。
そんな塚田の教え子に中間正平という生徒がいた。
彼は塚田の教えを素晴らしいと感じて、命を大事にしようと思った。
でもそう思えば思うほど疑問が生じた。それは、本当に命は尊いのか。価値は計り知れないのか。そもそも命とはなんなのか。
価値が計り知れないといっても、命の価値がわからなければ、どれほど大切なものかわからない。価値がわからないものは、大切に思えない。
そうして中間は命の価値を知りたい、と強く思うようになっていった。
そして、中間は先生に「先生の命の値段はいくらですか」と聞いてみた。
先生は、「馬鹿なことを聞くんじゃありません」と言って、中間を追い返した。
中間は何度も聞きに行ったが、その度に先生に追い返された。
ある日の放課後、中間はこっそりと先生のコーヒーに睡眠薬を入れて飲ませた。効果は覿面で先生はあっという間に眠ってしまった。
先生が目を覚ました時、声が出せないよう猿轡を噛まされて、理科室の椅子に後ろ手に縛られて座らされていた。
目の前にはとても申し訳なさそうな顔をした中間がおり、手にはカッターが握られていた。
「すみません、先生。命を大切にするために命というものを知りたいのです。先生の命の値段を知りたかったのですが、教えてもらえませんでした。この状況で教えてもらっても、先生は助かりたいから嘘を言うと思います、だから、僕は自分で調べることにします。
この前お母さんのお使いでスーパーに行った時、スーパーでは命に値段がついていることに気づきました。キャベツが103円、豚肉が100g157円、豆腐一丁で103円。みんな元は生きていたのに、死んだら値段が付くそうです。生きているうちは値段が付かない命も、死んだら値段が付くんですよ!」
中間は楽しそうに笑いながらそう言ったが、先生は中間が次に何をするかがわかってしまい、血の気が引いて行った。
「それでは実験を始めます」と中間は言って、カッターを先生の目玉に突き刺した。
先生の声にならない悲鳴が理科室に響いた。
「103円のカッターじゃ死なないから、先生は103円ではありません。じゃあ、次です」
そう言って中間は、コンパスを手にし、「いきまーす!」と言って、先生の額に突き刺した。
猿轡から声ではない声があふれたが、中間はおかまいなしだった。
「死なないな~、103円のコンパスじゃ死なないから、先生の命はもっと高いんですね、じゃあ、次です」
中間は彫刻刀、ノミ、錐、包丁を次々取り出して、先生に突き刺していった。
先生の顔はダーツの的みたいになっていて、血で真っ赤に染まった顔のあちこちから獲物が突起物のように生えていた。
それでも先生はかなり弱っていたが生きていた。
「先生、やっぱり先生の言う通り命って尊いですね。僕、感動しました。でも、このままじゃ命の値段がわかりません。これでわからなければ諦めます。これで最後です」と言って、中間は、先生の耳の穴に何かを突き刺した。
「ひぃーーーー!」と空気が抜けるような声を発して、先生はそのままこと切れてしまった。
「参ったな、まさかあれで先生が死んでしまうなんて。850本で103円だから、0.1円程度ですよ、先生の値段。先生、命が尊いなんて、嘘言っちゃ駄目ですよ。
でも、先生の命の値段がわかったし、オマケに先生が嘘つきだってことも、わかりましたら、実験は大成功です。ご協力、ありがとうございました」
動かなくなった先生に一礼して、中間はスキップしながら地下室を後にした。
先生の耳の中からポトリに何が落ちた。それは、中間が最後に刺した1本の爪楊枝だった。
この後、中間はこのことをレポートにまとめてみんなに配ったが、当然、あっという間に警察に没収された。
「いいこと、坂上君、嘘は吐いたことなないと言ったのだから、あなたはこれからも一生、正直者で居続けなさいね。そうでないと思わニところで、落とし穴に落ちるわよ、うふふふ」
岩下エンディング03:命の値段
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下を選択。
岩下明美は3年A組の生徒。
いきなり人の裏切られたことがある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
今度は、人を裏切ったことはある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
岩下は、「人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。」と続けた。
そして、岩下は、「私の話を聞いて、本当に人を裏切ったことはないの?」と聞いてきた。
- ある
- ない
岩下に、「あなたの命の値段は、いくらなのかしら?」と聞かれる。
- 命の値段はつけられない
- 自分の値段は人より高い
- 自分の値段は人より安い
去年、鳴神学園に塚田明という生物の先生がやってきた。
いつも口癖のように「命は尊いものです。価値は計り知れません。皆さん、命は大切にしてください」と教えを説いていた。
自分では、授業で動物を殺しているくせにそんな恥知らずなことを言っていた。
「動物は人間のために殺される。だから、感謝の気持ちを持って、動物に接するのです」と言うのだ。
命の値段が計り知れないというのであれば、どうして動物を殺せるのだろう。どうして他の命を犠牲にしてまで人間は生きて行けるのだろう?
まさか、人間の命だけは尊いと考えているのかしら。だとしたら、それは先生のエゴだ。
そんな塚田の教え子に中間正平という生徒がいた。
彼は塚田の教えを素晴らしいと感じて、命を大事にしようと思った。
でもそう思えば思うほど疑問が生じた。それは、本当に命は尊いのか。価値は計り知れないのか。そもそも命とはなんなのか。
価値が計り知れないといっても、命の価値がわからなければ、どれほど大切なものかわからない。価値がわからないものは、大切に思えない。
そうして中間は命の価値を知りたい、と強く思うようになっていった。
そして、中間は命の価値を知るために行動を起こした。
「あなたの命を売ってください」と書いたビラを学校中にばら撒いたのだ。
当然、職員室で大目玉をくらい、塚田から何時間も、命を粗末にするな、と説教をされた。
そんなある日、中間の元に早乙女弘樹という生徒が訪れて、「僕の命をいくらで買う?」と言ってきた。
命の値段がわからなくてあんなビラを撒いた中間は、答えることができず黙っていた。
すると早乙女は「命を売ってくれといいながら、買わないのはどういうつもりだ。買わないと殺す!」と言い出した。
それからというもの、早乙女は「命を買わなけれ殺す」と言いながら、中間を付け回した。
中間は泣きながら謝り続けたが、早乙女は許してくれなかった。
このままでは殺されると思った中間は、殺されるくらいなら自殺しようと思った。
そして、中間は、自室で首を吊ろうとロープの輪っかに首をかけようとした瞬間、命に値段はつけられないものだってことに気付いた。
自殺を思いとどまった中間は、命の値段を知ろうとした自分の愚かさに気づき、早乙女に言おうと決意した。
が、中間が早乙女を探すが、なかなか会えない。
そんなとき、中間は、数年前理科室で首を吊って死んだ少年の噂を耳にした。
少年の名前は早乙女弘樹。
数年前に自殺した生徒が中間を付け回していたのだ。
彼は命の尊さを教えるために、自分を付け回していたのだ、と知った中間は、それからというもの、本当に命を大事にし、生き生きと暮らしている。
「早乙女君は、中間君に命の尊さを教えようと思って現れたのかしら?本当は一人でいるのが寂しくて、道連れにしようとしたんじゃないのかしら。だって中間君は早乙女君のせいで自殺を考えていたんでしょ。そう考えたほうが自然じゃないかしら。あなた、命に値段はつけられない、と答えたわよね。嘘を吐かずにそんなことを思えるあなたなら、何が起こっても都合のいいように解釈できるかも。知らぬが仏、ふふ、いい言葉よね」
岩下エンディング05:知らぬが仏
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田を選択。
坂上君も楽しみにしていましたか
- 楽しみにしていた
- 特に気にしていない
- あまり乗り気でなかった
坂上君、どんな事件だと思いますか?
- リンチとかですか?→細田エンディング13:夜泣き石
- 自殺ですか?
殺されたのは赤ちゃんだったそうです。
その赤ちゃんは、その時在籍していた女子生徒の産んだ子供なんです。
実は望まない妊娠だったそうで、つまり無理矢理妊娠させられたってことなんです。
女子生徒は誰にも相談できず、ついには学校のトイレで出産して、その場で我が子を石で殴って殺したそうです。
もちろんすぐに彼女は警察に捕まりました。
けれど既に酷く精神を病んでいたその子は、そのまま病院に入院させられ、噂によるとその後自殺してしまったそうです。
それから数か月たったある日、校内で奇妙な噂が流れ始めました。
夜遅くになると例のトイレのあった部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえる、と。
その噂を聞いた学校中の人は、あの事件を思い出しました。どういうわけか先生たちすらその噂を信じる始末です。
だって、最初に赤ちゃんの泣き声を聞いたのは当直の先生だったのです。
その日当直の先生は、いつものように校内の見回りをしていました。
そして、あの部屋の前を通りかかったときにかすかな声を聞いたんです。
よく聞いてみると、赤ちゃんの泣き声そっくりです。
持ち前の正義感と教師という責任感で、先生は部屋の中を確認しにいきます。
部屋の中はガランとしており、人の影は見当たりません。
それにも関わらず赤ちゃんの泣き声はどんどん大きくなって、五月蠅いくらいでした。
声のする方向に明かりを向けると、そこには握りこぶしくらいの石が転がっていたんです。
確かにその石からはっきりと赤ちゃんの泣き声が聞こえてます。
たまらずその部屋と飛び出ようとしましたが、その時部屋の隅に蠢く何かを視界がとらえたのです。
そこにいるのは、生まれたての赤ちゃんです。
でも、それは本当の赤ちゃんではありません。
だって、頭が割れて顔が潰れているのに動いているのですから。
「ぎゃああああ」
思いっきり先生は叫び声を上げてその部屋から逃げ出しました。
そして、翌朝一番に退職届を出したそうです。
その時、当直の先生は大声であの部屋でも出来事を説明していたので、職員室に来ていた生徒にもしっかりと事の顛末が聞こえてました。
そしてあっという間に学校中で誰もがその話を耳にする事になります。
それからも当直の先生の間で、同様の体験をしたという話がひっきりなしに上がり、中には退職や当直を断る人が現れはじめました。
これには学校側も参ってしまい、お祓いを済ませた上、厳重に施錠して誰も入れないようにしてしました。その上、当直時にその場所に近づかなくてもいいという条件もつけました。
だから、今ではその場所やそこで何があったかを知っている人はほとんどいません。
けれども、今もその場所に近づくと赤ちゃんの泣き声が未だに聞こえてくる、これがこの学校に伝わる夜泣き石の話です。
僕はこの話が本当だと思っているんです。
その理由をお話しましょう。
僕のクラスに藤井さんという女の子がいました。もちろん仮名です。
彼女は優しい性格で、それでいて気さくで誰からも好かれる女子でした。
こんな僕にすら気軽に声を掛けてくれたんですから、それはもう女神みたいな人でした。
そんなある日、突如彼女に異変が起きました。
唐突に、赤ちゃんができた、と言い出したんです。
両親がすぐに病院に連れて行きましたが、妊娠なんかしてませんでした。
彼女の症状は、ストレスによる精神病の一種という診察の結果でした。
とりあえず登校するには問題なしとの診断が降りたので、それからも彼女は普通に登校し続けました。
時々、会話の中に、自分のお腹の中にいる赤ちゃんの話が混さる以外は、今までの彼女でしたから、問題はありません。
そんな日々の中、放課後、僕にクラスの女子が、相談がある、と声を掛けてきました。
彼女の名前は伊藤さんで、藤井さんの親友です。
伊藤さんが言うには、藤井さんが変わってしまったのには原因があるそうです。
「あの子ね、あんなことを言い出す少し前に、学校の中で赤ちゃんの泣き声が聞こえる、って言っていたの。細田君は、夜泣き石の話って知ってるかな?」
「うん、知ってるよ」
「あの子ね、あの部屋に入っちゃったみたいなの」
彼女が言うにはこうです。
藤井さんは、その日遅くまで学校に残っていたそうです。
荷物を纏めて帰ろうとすると、校内のどこからか赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。
彼女はその声のする場所を探しにいってしまいました。
優しい彼女のことですから、本当に赤ちゃんが危ない目にあっているかもしれないと思ったのでしょうね。
声のする方に歩いていくと、見覚えのない部屋の前へと辿り着きました。
確かに部屋の中から、赤ちゃんの泣き声が聞こえます。
そして彼女は部屋の中で見つけてしまったのです。
「その日のうちにあの子から電話がかかってきたの。あの子が言うには、赤ちゃんがいたって。だから連れてきたって。それで私は聞いたの。赤ちゃんはどこにいるの?って。そしたら、お腹の中に入れてきた、そのあの子は言ったの。それからはずっとあんな感じになっちゃって。私はこれって夜泣き石が関係しているんじゃないかなって思うの。それで、細田君って、そういう話に詳しいから、何か知らないかな?」
僕はその話は知っていますが対処法は知りません。
すると唐突に扉があいて、藤井さんが、伊藤さんに一緒に帰ろう、と声を掛けてきました。
「あ、ごめん、一緒に帰ろう」
「うんうん、早く帰ってご飯を食べようよ。もうお腹ペコペコ。やっぱり赤ちゃんが私の栄養を取ってちゃってるのかな?」
「そうだね。細田君、ごめん、私そろそろ帰るね」
「あのね、せっかくだから二人に教えてあげるね。私の赤ちゃんそろそろ外に出たいって言っているの。生まれてきたら二人とも仲良くしてあげてね」
その時僕は見たんです。
藤井さんのお腹のあたりからにょきっと生えた頭の潰れた赤ちゃんを。
もぞもぞと動きながら僕と目が合った瞬間に嬉しそうに笑った気がします。
そのまま彼女は笑顔のまま僕に挨拶して教室から出て行きました。
伊藤さんも藤井さんについていこうとしていたので、僕は引き止めてこう言いました。
「藤井さんをできるだけ早く説得して、お寺か神社で見てもらったほうがいいですよ」
伊藤さんはうなずいて、藤井さんの後を追いました。
僕があの時見た赤ちゃんの姿、あれはかなりタチの悪いものです。霊感が少ししかない僕でも、危険だってことはわかりました。
でも、できるだけ早くっていうのは僕の間違いでした。あの時、今すぐって言えばよかったんです。
翌朝、ホームルームが始まる前に、藤井さんが教壇の前に立って、「今から私の赤ちゃんが生まれるの。みんな祝福してあげてね」と皆に呼びかけた。
よく見ると彼女の右手には包丁が握られています。
「今から出してあげるね、私の赤ちゃん」
藤井さんは右手の包丁を大きく振りかぶり、自分のお腹へと振り下ろした。
彼女のお腹から勢いよくあふれ出す真っ赤な血が足元に大きな水たまりを作るころ、ようやくクラスの中から悲鳴が上がりました。
藤井さんは自分のお腹を突き刺した包丁で大きく切り開くと、今度は自分の手でその切り口からお腹の中に手を入れて何かを探ろうとしているようでした。
伊藤さんが泣きながらそんな彼女にすがりついています。
藤井さんは自分の中から手を引っこ抜くと、自分を抱きしめる伊藤さんに手を差し出してこう言いました。
「ほら、生まれたよ・・・私の赤ちゃん・・・」
苦しみ耐えながら慈愛に満ちた表情で優しくそう囁くと彼女はぱったりと倒れ、白目を剥いて何度か短く痙攣した後に動かなくなりました。
藤井さんの手に握られていたのは、彼女の血に塗れててらてらと赤く光る石です。
僕は自分の意識がだんだん遠くなるを感じました。
意識が消える直前に嬉しそうな赤ちゃんの笑い声が聞こえた気がします。
僕はそのまま数日入院したあと、他のクラスメイトといっしょに退院しました。
けど中にはまだ退院できないクラスメイトもいました。その中には伊藤さんの姿もあります。
一応、この事件はストレスに悩んだ藤井さんの自殺ということで片が付きました。
僕は思うんですよ。彼女が部屋で見つけたのはきっと夜泣き石だったんだって。
そして殺された赤ちゃんの生への執念が彼女を狂わせた。
狂ってしまった藤井さんは、その場で石を飲み込んでそれを赤ちゃんだと信じ込み、最後にとり殺されてしまったんじゃないでしょうか。
え?あの部屋の噂はどうなったって?
あれ以来赤ん坊の泣き声は聞こえることはなくなったみたいです。
でもね、今度は違う噂が流行り出したんです。
夜、廊下を頭の潰れた赤ん坊が歩き回るって噂が。
これは僕の推測ですけど、あの赤ん坊は藤井さんによってあの部屋から解放された。けれど魂はまだ彷徨っているんじゃないかなって。
赤ちゃんはまた生まれたがっていて、生まれるために次の獲物を探して夜な夜な徘徊しているんじゃないかって。
細田エンディング14:生まれるモノ
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田を選択。
坂上君も楽しみにしていましたか
- 楽しみにしていた
- 特に気にしていない
- あまり乗り気でなかった
細田友晴は2年G組に生徒だ。
細田は、自分がデブだという自覚があるが、ダイエットをしてもどうしても食べたり、汗っかきですぐに喉が渇いてしまい、お茶よりもおいしいジュースを飲んでしまうため、どうしても痩せられないとのこと。
小学生の頃から太っており、細田なのにデブと言われ続けていた。
夜になると泣く石、いわゆる夜泣き石がトイレにあった。
みんなは知らないが、そのトイレは今では倉庫に改装され、校内にひっそりと存在している。
今、使われていない理由はなぜでしょう?
何年か前にそのトイレで事件があったからです。
坂上君、どんな事件だと思いますか?
- リンチとかですか?
- 自殺ですか?
放課後遅くまで残っていた女子を無理やり連れ込み乱暴して、その上で殺したんです。
発見された遺体は、全身打撲の痕に、声を出せないよう喉が潰され、四肢のいくつかは骨折させられており、あらぬ方向に曲がっており、顔面は執拗に殴られ誰との判別がつかなかった。
幸いにも犯人はすぐに捕まった。
近所の橋の下に住む浮浪者で、たまたま学校に忍び込んだ際、一人でいた女子生徒を、ということだったらしいです。
その事件があってしばらくして、そのトイレで不可思議な現象が起きるという噂になった。
学校側も事件があった現場のため封鎖していたのだが、中から人の気配がし、女の人の泣き声が聞こえるというものだった。
殺された彼女が幽霊となって、憎しみと悲しみの泣き声を上げているのだ、と誰もが信じた。
そんな噂が広がりだすと、怖いもの見たさに近づく者が出てきた。
仮に佐々木とでもしておきましょう。
佐々木は噂の真実を突き止めようと、放課後夜遅くまで学校に一人で残ることにした。
校内から人の気配がなくなった頃、彼は例のトイレに向かった。
自分の足音に混じって、女の人の泣き声が聞こえてきた。
噂は本当だった。じゃあトイレの中には彼女の幽霊がいるんだろうか?
そんな疑問を確かめるために歩みを進めていった。
ガムテープで留められたブルーシートをのけてトイレの中に入ると無人だったが、女の人の悲しい呻き声だけが聞こえる。
しばらくトイレを調べていた佐々木は、床に握りこぶし程度の大きさの石が落ちていることに気付いた。
黒い石にまるで赤いペンキか何かをかけたように見える。
女の人のすすり泣く声は、この石から聞こえてきているような気がする。
恐怖に襲われた佐々木は、なさけない声を上げながら出口に向かって駆けだしたが、足がもつれて転んでしまった。
起き上がった佐々木は、背中に突き刺さるような視線を感じたが、怖くて振り向けない。
しかし、横にある洗面台の鏡をふと覗いてしまうと、鏡に映る自分の姿と、それに寄り添うにように立つ女子の姿が見えた。
鏡の中の少女は、制服は破れ、ところどころに血がついている。
髪はぼさぼさに乱れ、顔は見えない。
どこからかびちゃびちゃという音が聞こえる。
それは彼女の顔面から顎に伝い、滴り落ちる血の音でした。
女子生徒は、徐々に彼の傍らへと近づき、すぐ背後までせまった。
そして女は彼の耳元であの石と同じ声を発した。
佐々木は逃げ出したが、鏡の中の女子生徒は、佐々木の背中に飛びつき、ろくろっ首のように首を長く伸ばし、彼の眼前に顔を突き出した。
その顔には目と口はなく、本来ある場所はぽっかりと虚ろな闇が広がっていた。
佐々木はそのまま気を失ってしまった。
翌日、そのトイレで倒れていた佐々木は先生に発見された。
幸い心身ともに異常はなく、ほどなくして学校に通えるようになった。
彼はその時の出来事を皆に話したので、その噂は学校中に広まった。
そして、その後まもなくして佐々木が亡くなった。
例のトイレで首つり自殺をしていたのだ。
もう誰も例のトイレに近づこうとしません。
彼の自殺で幕が下りたかのようにと思われた。
しかし、遠くない時期に同様の事件が立て続けに3人に起こった。
その全員が、死の直前に佐々木と同じような体験をした、と皆に話をしていた。
学校側も無視するわけにはいかず、急遽例のトイレを倉庫に改装し、誰も近づけないように厳重に施錠した。
こうしてその場所は誰にも知られないように、ひっそりと校内に存在し続けた。
でも、それにも関わらず、同様な事件が何度も起きているそうだ。
まるであの声に呼ばれたかのように、誰もしないはずのあの部屋へと辿り着き、最後には佐々木と同じ末路をたどったとのこと。
全部壊してしまえばいいと思うが、工事をするたびに機材の不調や作業員の体調不良が必ず起きたらしいし、何なら死人も出たそうだ。
こうしてあの部屋と石は、未だに存在しており、夜ごと哀れな生贄を求めて泣き声を発している。
坂上君は僕の話を信じますか?
- 信じる
- 信じない→上の選択肢と同じエンディングへ。
この夜泣き石の話は本当なんだ。実際にその部屋にいったことがあるんだ。
その日はクラスメイトの掃除当番を代わったり、先生からの用事を頼まれたりして、帰るのが随分と遅くなってしまった。
気がついたら校内には宿直の先生ぐらいしかいなかったと思う。
暗い廊下を歩いていると、どこからともなく例の泣き声が聞こえてきた。
夜泣き石の話をしっていたので、耳を塞いで、全速力で走りだした。
無我夢中で走って、ふと気が付くと玄関とはまったく違うところにいる。
玄関に向かって歩き出すと、だんだん声が大きくなってきて、その扉の前にたどり着いた。
佐々木の末路を知っているので、入っては駄目だと頭では思っているのに、何かに乗り移られたように、身体は勝手に動き部屋の扉を開けてしまった。
部屋の中を見ると、床には夜泣き石が落ちており、例の泣き声がそこから聞こえる。
部屋に入ろうとすると、何かが弾ける音がした。
左腕を見ると、つけていたはずの祖母の形見の数珠がはじけ飛んでいた。
腕から部屋の中に視線を戻すと、部屋中びっしりと埋め尽くすたくさんの制服を着た人影と、その中心にいる女性生徒がゆっくりと顔を上げた。
彼女たちは、目と口のところにぽっかりと穴が開いている。
そして、一斉に泣き声を上げた。
僕は悲鳴をあげて、気を失ってしまった。
目を覚ますと知らない天井が見えた。
悲鳴を聞いた当直の先生に助けられたのだ。
あの人影は、夜泣き石に関わって、あそこで命を落とした人たちで、未だにあそこにとどまっているのだろう。
あの女子生徒は、あそこで殺された女子生徒で、未だにあそこにとどまって世界を憎み続けているのかもしれない。
夜泣き石は彼女の怨念そのものじゃないだろうか。
なぜ自分が助かったのかはよくわかりません。
それとも助かったと思い込んでいるだけかもしれません。
だって今も夜になると僕を呼ぶあの泣き声が聞こえるんです。
細田エンディング13:夜泣き石
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択!
風間望は3年生。
いきなり500円を要求してくる。
- は?
- 1円ならありますが
- 500円硬貨でいいですか?
- 持っていても渡しません
風間は素直に500円硬貨を受け取り、500円硬貨にちなんだ話を始める。
美術準備室には鏡があり、午後5時ぴったりに昭和55年の500円硬貨をその鏡の前で掲げると何か不思議なことが起こるという噂がある。
それである男子生徒がそれを試そうとした。
午前5時ちょうどに鏡の前で500円硬貨を掲げると、鏡には自分の腕以外に数えきれないくらい500円硬貨を持った手が映っていた。
風間が「これで話は終わりだ」と言うので、坂上が「まさか合わせ鏡じゃ?」と問いただすと、風間は黙ってしまった。
しばらくして、風間は、「美術室の鏡は確かに合わせ鏡だけど、重要なのはそこじゃない。それを見た時は本当に怖かった」と言った。
機嫌を損ねた風間は、ここで話を終わらせてしまった。
風間エンディング10:五百円硬貨
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択。
荒井は2年B組の生徒だ。
怖い話はお好きなんですか?
- 好き
- 人並程度
- 嫌い
荒井は、日野に頼まれてここへやってきたのだが、乗り気ではない、と言い出す。
荒井は、みんなで集まって怪談話をするような俗世間的なことは嫌いという憎らしいとい言い切る。
霊を馬鹿にして、勝手に呪われて、それで周りに迷惑をかける人間と同じ空気を吸うことがやりきれないが、この鳴神学園は、霊を馬鹿にしていると、それ相応の罰が下る、と言って笑う荒井。
どうして、この鳴神学園を選んだのですか?
- 自分の意志で
- 親の意志で
高校生にもなって自分で進路を決めることができない坂上にぴったりな話をしよう、といって荒井は話し始める。
誕生日プレゼント
一度は見てみたいけどなかなか見ることができない光景、何か一つ見ることができるなら、何を望みますか?
- 自分の身体の中
- 自分の未来
- 過去の歴史の名場面
- 殺人の現場
荒井が1年生だった頃、さっきと同じ質問をクラスメイトの佐伯裕也にしたところ、「人が死ぬところがみたい」と言われた。
荒井が、どういう風に死ぬところが見たいのかを尋ねると、佐伯は「人が高いところから落ちて、死ぬところがみたい」と答えた。
荒井が、「転落死ですか?人が地面に衝突して、ただの肉塊になる場面が見たいのですか?」と尋ねると、佐伯は「そんなグロテスクな死体は見たくない。僕は、そんな瞬間に自分が何を考えるかを知りたいんだ。」と答えた。
「これから地面に衝突して死ぬというほんの数秒間。その瞬間を見たとき、自分は何を思うんだろう?怖くなるかもしれないし、何も思わないかもしれない。あるいは今日の晩御飯のメニューについて考えているかもしれない。そんなことを想像するとドキドキしてこないかい?」と嬉しそうに話した佐伯。
荒井は、そう話した佐伯に興味を持ち、自分の中で佐伯は特別な存在となっていった。
今、新聞部の窓から見える10階建てのビルは、佐伯と会話した頃は建設作業中だった。
窓際の席だった佐伯は、毎日建設中のビルを見ながら、「あそこで作業している人が、目の前で落ちてこないかな?」と思っていた。
ある日、佐伯の父親が、そのビルの建設に携わることになった。
佐伯の父親は、建設関係の仕事をしており別の現場で働いていたが、そちらの仕事が終わったため、応援要員として回されたのだった。
夕食の時、父親からその話を聞かされた佐伯は、あのビルから誰かが落ちるところが見られるかもしれない、と考えて微笑みが浮かべていた。
翌日の朝食、佐伯は父親の食事に睡眠薬を入れたが、父親は気付かず食べて、出勤した。
佐伯の方は、睡眠薬の効果で父親がうっかり安全帯を付け忘れ、ふらついて、自分が見ている前であのビルから落ちるかもしれない、と1日中ドキドキしながら、教室の窓からビルを見てたい。
荒井は、まさか父親に睡眠薬を盛ったとは思っておらず、佐伯が今日もまたビルから人が落ちるのを楽しみに待っているな、と思いながら佐伯の姿を見ていた。
結局その日は、父親は転落しなかったので、佐伯は落ち込んでいたが、ビルの完成に3か月かかると父親から聞いていたので、根気よく待ち続けることにした。
それから来る日も来る日も、佐伯は少しずつ量を増やしながら睡眠薬を父親に盛り、ビルを眺めていたが、父親は転落しなかった。
1カ月ほど経ち、佐伯の我慢が限界に達しようとした時、佐伯はある行動をとった。
- ひたすら機会を狙った→荒井エンディング003:狂気の実験
- 実験台を変えた
佐伯はいつまでたっても結果の出ない父親を使っての実験を見限って、新たな被害者を探すことにしたが、そう簡単に代わりの人物が見つかるわけはなかった。
またその頃佐伯は、投身自殺の描写が登場する本やビデオをかたっぱしから目を通すうちに、自分の興味が投身自殺を観察する側から、実際に行う側へ移行してしまっていた。
彼は屋上の手すりに身体をもたせ掛け、地面を見つめながら、何もない空に身体をゆだねたら、どんな解放感が得られるのだろうか。また、大地にたたきつけられる瞬間、自分の身体はどんな暴力的な衝撃にさらされるのだろうか、とその一瞬を思い描いては、興奮に打ち震えていた。
ついにある日、佐伯は自らの転落の衝撃を味わうことにし、父親が働いている工事現場の屋上を選んだ。
佐伯は家族と夕食をとったあと、こっそり家を抜け出し、工事現場の屋上へ向かい、飛び降りた。
飛び降りた瞬間、佐伯は何を思ったのだろうか?
- 何も思い浮かばなかった→荒井エンド004:僕の珍しい玩具
- 親への感謝
走馬灯のように記憶が次々と思い出されていく。
その時「裕也!」という声がし、目の前に手が差し出されたが、その手を取ることなくなく奈落の底に落ちて行った。
佐伯の身体は重力に引かれて地面に落ちていき、鈍い音を立てて砕け散った。
佐伯は求めてやまなかった答えを手に入れることができた。
よく墜落死は途中で気を失うから楽に死ねると言われているが、この場合、佐伯が最後まで最後まで気を失わず一度しか口にすることを許されない甘い果実をたっぷり堪能したことを祈らずにはいられない。
佐伯に手を伸ばした人物は、彼の父親だった。
父親は深夜に家を出て行った佐伯の後をこっそりつけて、身を投げる佐伯に手を伸ばしたが命を救うことはできなかった。
「これは俺が犯した罪の報いなのだろうか・・・」
実は父親も佐伯と同じ年頃に似たようなことを思っていたのだ。
そう人間が死に瀕した瞬間に目にして、自分は何を考えるのか。
父親が高校生だった頃、駅のホームで何気なく電車を待っていると、一人の男が歩いてきた。
その男は酒に酔っているのかフラフラと危なっかしい足取りで、そんなとろこにいるとは気づかずにホームの端を歩いていた。
運悪くホームに電車が入ってきて運転手が警笛を鳴らしたが、男は驚いて線路に転落してしまった。
目にしたこともない地獄絵図が父親の目の前に繰り広げられた。
父親は一部始終を見ていただけだったが、その時頭の中に声が響いた。
「お前には教えることができたはずだ」
父親はそれが罪悪感だということに気づいた。
その後父親は結婚し、佐伯が生まれたが、まさか自分の息子が、自分と同じ他人の不幸を望む血を受け継いでいたとは思わなかった。
翌朝、工事現場では2体の墜落死体が見つかった。
佐伯とその父親で、どちらも原型をとどめないほどに潰れ、その肉片がどちらのものかわからなくなっていたそうだ。
荒井エンディング05:因果は巡る
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択。
荒井は2年B組の生徒だ。
怖い話はお好きなんですか?
- 好き
- 人並程度
- 嫌い
荒井は、日野に頼まれてここへやってきたのだが、乗り気ではない、と言い出す。
荒井は、みんなで集まって怪談話をするような俗世間的なことは嫌いという憎らしいとい言い切る。
霊を馬鹿にして、勝手に呪われて、それで周りに迷惑をかける人間と同じ空気を吸うことがやりきれないが、この鳴神学園は、霊を馬鹿にしていると、それ相応の罰が下る、と言って笑う荒井。
どうして、この鳴神学園を選んだのですか?
- 自分の意志で
- 親の意志で
高校生にもなって自分で進路を決めることができない坂上にぴったりな話をしよう、といって荒井は話し始める。
誕生日プレゼント
一度は見てみたいけどなかなか見ることができない光景、何か一つ見ることができるなら、何を望みますか?
- 自分の身体の中
- 自分の未来
- 過去の歴史の名場面
- 殺人の現場
荒井が1年生だった頃、さっきと同じ質問をクラスメイトの佐伯裕也にしたところ、「人が死ぬところがみたい」と言われた。
荒井が、どういう風に死ぬところが見たいのかを尋ねると、佐伯は「人が高いところから落ちて、死ぬところがみたい」と答えた。
荒井が、「転落死ですか?人が地面に衝突して、ただの肉塊になる場面が見たいのですか?」と尋ねると、佐伯は「そんなグロテスクな死体は見たくない。僕は、そんな瞬間に自分が何を考えるかを知りたいんだ。」と答えた。
「これから地面に衝突して死ぬというほんの数秒間。その瞬間を見たとき、自分は何を思うんだろう?怖くなるかもしれないし、何も思わないかもしれない。あるいは今日の晩御飯のメニューについて考えているかもしれない。そんなことを想像するとドキドキしてこないかい?」と嬉しそうに話した佐伯。
荒井は、そう話した佐伯に興味を持ち、自分の中で佐伯は特別な存在となっていった。
今、新聞部の窓から見える10階建てのビルは、佐伯と会話した頃は建設作業中だった。
窓際の席だった佐伯は、毎日建設中のビルを見ながら、「あそこで作業している人が、目の前で落ちてこないかな?」と思っていた。
ある日、佐伯の父親が、そのビルの建設に携わることになった。
佐伯の父親は、建設関係の仕事をしており別の現場で働いていたが、そちらの仕事が終わったため、応援要員として回されたのだった。
夕食の時、父親からその話を聞かされた佐伯は、あのビルから誰かが落ちるところが見られるかもしれない、と考えて微笑みが浮かべていた。
翌日の朝食、佐伯は父親の食事に睡眠薬を入れたが、父親は気付かず食べて、出勤した。
佐伯の方は、睡眠薬の効果で父親がうっかり安全帯を付け忘れ、ふらついて、自分が見ている前であのビルから落ちるかもしれない、と1日中ドキドキしながら、教室の窓からビルを見てたい。
荒井は、まさか父親に睡眠薬を盛ったとは思っておらず、佐伯が今日もまたビルから人が落ちるのを楽しみに待っているな、と思いながら佐伯の姿を見ていた。
結局その日は、父親は転落しなかったので、佐伯は落ち込んでいたが、ビルの完成に3か月かかると父親から聞いていたので、根気よく待ち続けることにした。
それから来る日も来る日も、佐伯は少しずつ量を増やしながら睡眠薬を父親に盛り、ビルを眺めていたが、父親は転落しなかった。
1カ月ほど経ち、佐伯の我慢が限界に達しようとした時、佐伯はある行動をとった。
- ひたすら機会を狙った→荒井エンディング003:狂気の実験
- 実験台を変えた
佐伯はいつまでたっても結果の出ない父親を使っての実験を見限って、新たな被害者を探すことにしたが、そう簡単に代わりの人物が見つかるわけはなかった。
またその頃佐伯は、投身自殺の描写が登場する本やビデオをかたっぱしから目を通すうちに、自分の興味が投身自殺を観察する側から、実際に行う側へ移行してしまっていた。
彼は屋上の手すりに身体をもたせ掛け、地面を見つめながら、何もない空に身体をゆだねたら、どんな解放感が得られるのだろうか。また、大地にたたきつけられる瞬間、自分の身体はどんな暴力的な衝撃にさらされるのだろうか、とその一瞬を思い描いては、興奮に打ち震えていた。
ついにある日、佐伯は自らの転落の衝撃を味わうことにし、父親が働いている工事現場の屋上を選んだ。
佐伯は家族と夕食をとったあと、こっそり家を抜け出し、工事現場の屋上へ向かい、飛び降りた。
飛び降りた瞬間、佐伯は何を思ったのだろうか?
- 何も思い浮かばなかった
- 親への感謝
落ちる瞬間、佐伯は無の状態だった。
その時、「裕也」という声が聞こえ、目の前に手が差し出さた。
佐伯の胸に去来した感情は、「生きたい」というものだった。
そして、佐伯がその手を掴むと、その手はかろうじて落下の危機から救った。
その手の持ち主は、佐伯の父親だった。
「父さん!」
「馬鹿なことはするな、裕也」と父親は佐伯の身体を引き上げようとした。
片腕で高校生を引き上げるのはかなり大変でしたが、父親は佐伯の身体を屋上まで引き上げることができた。
肩をさする父親の姿を見て、佐伯は父親に駆け寄り、背中をさすった。
「父さん、ごめんなさい」と泣きじゃくりながら言う言葉は、心からの後悔の声だった。
それ以来、佐伯は転落死の話をするのを辞めてしまった。
荒井は、そんな佐伯を見てガッカリしてしまった。
歪んだ残虐性を秘めた人材が、肉親の情に触れたぐらいで大人しくなってしまうなんて、と憤慨している荒井は、ことあるごとに佐伯に話しかけて、狂気を再び呼び起こそうとそそのかしている。
佐伯はモンスターの卵で、これからもっと特異な行動をして、荒井の心臓を凍り付くほど震え上がらせてくれなきゃいけないとのこと。
荒井エンディング004:僕の珍しい玩具
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択。
荒井は2年B組の生徒だ。
怖い話はお好きなんですか?
- 好き
- 人並程度
- 嫌い
荒井は、日野に頼まれてここへやってきたのだが、乗り気ではない、と言い出す。
荒井は、みんなで集まって怪談話をするような俗世間的なことは嫌いという憎らしいとい言い切る。
霊を馬鹿にして、勝手に呪われて、それで周りに迷惑をかける人間と同じ空気を吸うことがやりきれないが、この鳴神学園は、霊を馬鹿にしていると、それ相応の罰が下る、と言って笑う荒井。
どうして、この鳴神学園を選んだのですか?
- 自分の意志で
- 親の意志で
高校生にもなって自分で進路を決めることができない坂上にぴったりな話をしよう、といって荒井は話し始める。
誕生日プレゼント
一度は見てみたいけどなかなか見ることができない光景、何か一つ見ることができるなら、何を望みますか?
- 自分の身体の中
- 自分の未来
- 過去の歴史の名場面
- 殺人の現場
荒井が1年生だった頃、さっきと同じ質問をクラスメイトの佐伯裕也にしたところ、「人が死ぬところがみたい」と言われた。
荒井が、どういう風に死ぬところが見たいのかを尋ねると、佐伯は「人が高いところから落ちて、死ぬところがみたい」と答えた。
荒井が、「転落死ですか?人が地面に衝突して、ただの肉塊になる場面が見たいのですか?」と尋ねると、佐伯は「そんなグロテスクな死体は見たくない。僕は、そんな瞬間に自分が何を考えるかを知りたいんだ。」と答えた。
「これから地面に衝突して死ぬというほんの数秒間。その瞬間を見たとき、自分は何を思うんだろう?怖くなるかもしれないし、何も思わないかもしれない。あるいは今日の晩御飯のメニューについて考えているかもしれない。そんなことを想像するとドキドキしてこないかい?」と嬉しそうに話した佐伯。
荒井は、そう話した佐伯に興味を持ち、自分の中で佐伯は特別な存在となっていった。
今、新聞部の窓から見える10階建てのビルは、佐伯と会話した頃は建設作業中だった。
窓際の席だった佐伯は、毎日建設中のビルを見ながら、「あそこで作業している人が、目の前で落ちてこないかな?」と思っていた。
ある日、佐伯の父親が、そのビルの建設に携わることになった。
佐伯の父親は、建設関係の仕事をしており別の現場で働いていたが、そちらの仕事が終わったため、応援要員として回されたのだった。
夕食の時、父親からその話を聞かされた佐伯は、あのビルから誰かが落ちるところが見られるかもしれない、と考えて微笑みが浮かべていた。
翌日の朝食、佐伯は父親の食事に睡眠薬を入れたが、父親は気付かず食べて、出勤した。
佐伯の方は、睡眠薬の効果で父親がうっかり安全帯を付け忘れ、ふらついて、自分が見ている前であのビルから落ちるかもしれない、と1日中ドキドキしながら、教室の窓からビルを見てたい。
荒井は、まさか父親に睡眠薬を盛ったとは思っておらず、佐伯が今日もまたビルから人が落ちるのを楽しみに待っているな、と思いながら佐伯の姿を見ていた。
結局その日は、父親は転落しなかったので、佐伯は落ち込んでいたが、ビルの完成に3か月かかると父親から聞いていたので、根気よく待ち続けることにした。
それから来る日も来る日も、佐伯は少しずつ量を増やしながら睡眠薬を父親に盛り、ビルを眺めていたが、父親は転落しなかった。
1カ月ほど経ち、佐伯の我慢が限界に達しようとした時、佐伯はある行動をとった。
- ひたすら機会を狙った
- 実験台を変えた
佐伯は根気よく父親に睡眠薬を盛り続けた。
ある日の朝、父親はまったく気づかずに睡眠薬入りの食事を食べながら、佐伯に、「今日は裕也の誕生日だから、裕也が喜ぶものをプレゼントしてやろう」と言い出した。
佐伯は、「誕生日で喜ぶ歳でもないから」と言って、断ったが、父親は「絶対に喜ぶプレゼdントだ」と引き下がらない。
佐伯は、「本当に欲しい物がわかるの?自分が本当に欲しいのは、目の前にいる父親の命、ビルから落ちる瞬間だよ」と叫びそうになるのを押さえた。
父親は、「プレゼントは今はないんだ。今日中に用意しておくから、学校から帰ったら机の上を見てくれ」と話すと、母親が、「昔は一家でバースデーパーティーをしてたのよね」と懐かしそうに話した。
それを聞いた佐伯は、その光景を思い出し、自分が欲しかった物をプレゼントしてくれてた父親を殺そうとしていることに罪悪感を覚えたが、今までよりもさらに高揚感も感じていた。
学校へ行き教室でビルから人が落ちないかと見ていた佐伯は、ビルの最上階の端っこにいる作業員の姿を見つけた。
ここからは顔は見えないが、佐伯にはなぜかその作業員が、自分の父親のように思えた。
「落ちろ、落ちろ、落ちろ!」と佐伯が強く念じていると、ふらついた作業員が、そのまま落下していった。
佐伯が見ている場所からは、落下地点は見えなかったが、佐伯の頭の中では父親がグチャグチャになって壊れた人形のようになっている姿が見えた。
佐伯は、自分が盛った睡眠薬のせいで父親が目の前と落ちて死んだ、と叫びそうになったが、睡眠薬を使ったため事件性が疑われては困ると考え、気分が悪くなった、と告げて早退した。
荒井はビルから人が転落したと思っていないので、早退する佐伯が青ざめいてたがなぜか興奮してたように見えてた。
佐伯が家に帰ると、のんびりした口調で母親が出迎えてくれた。
佐伯は、部屋で休むと言って、ベッドに寝転んだが、父親の無残な光景が頭の中から消えない。
ふと部屋の中を見渡すと、机の上に手紙が置いてあった。
これが父親が今朝言っていたプレゼントかと思うと、佐伯の目から涙があふれる。
封筒を開けて、手紙を読むと、最近仕事中の眠気がひどいため、佐伯の部屋を調べたら睡眠薬のビンを見つけたので、自分の食事に睡眠薬を仕込んでいることに気付いていた、と書かれていた。
オレが、裕也の教室から見えるあのビルに現場に行くようになってから仕事中の眠気を感じるようになったので、最初は仕事が失敗するよう仕向けているかと思っていたが、よくよく考えると、オレがビルから転落するところが見たいことに気付いた。
なぜそう思ったのかというと、それはオレも、それくらいの年齢に、工事現場で働いているヤツが目の前で落ちてこないかな、と思っていたことがあったから。
でも、オレは頭の中で思っていただけで、裕也は実際にそうなるよう実行している。
一番ショックだったのは、裕也にとってオレは、好きでも嫌いでもない無関心な存在で、裕也の目的を叶えるのに一番都合のいい相手だから睡眠薬を飲ませた、と知ったことだ。
裕也は、自分の目的のために躊躇なく人の命を奪う。その対象は誰でも構わない。それがとても恐ろしい。
どうしたら裕也に人の命の尊さをわからせてやれるのかを考えたが、何をやってもわかってはくれないんじゃないかと思ったり、例え裕也が「わかった」と返事してもそれを信じることができない。
今オレができるただ一つのことは、裕也の誕生日にあのビルから飛び降りることで、人の命の意味を伝えようと思う。これが誕生日プレゼントだ。
これを見て裕也が何を思うかはわからない。
願わくば、オレの死をもって、どうか命の尊さに気付いてほしい。
これがオレからお前にできる最後の贈り物だ。
どうか人の痛みをわかることのできる優しい大人になってください。
16年間裕也の父親だった男の最後の願いです。
佐伯は、「僕が望んだのは、こんなことじゃない」と力なくつぶやいた。
人が目の前で転落死するとき、自分が何を考えるのかずっと知りたくて、父親に睡眠薬を飲ませて殺そうとしていた。やっとその答えを知ることができた。
父親がビルから落ちていくのを見て、地面に激突するまで数秒間ずっと思っていたのは、「死なないで!ごめんなさい!死なないで、父さん!」だった。
廊下から「お父さんが、お父さんが」と母親の悲痛な叫びが聞こえてきたが、佐伯の耳には届いていなかった。
事故後しばらく佐伯は学校を休んでいたが、久しぶりに登校したときにこの話を荒井に打ち明けてきたとのこと。
人が死ぬ瞬間に自分が何を考えるかを知りたいという狂気の実験。佐伯は身をもってその結果を知ることになったのです。そう考えると、彼の父親の死も無駄ではなかったのではないでしょうか。
荒井エンディング003:狂気の実験
アパシー学校であった怖い話1995特別編のプレイ開始!
新聞部部長の一言で、今度の学校新聞は学校の七不思議の特集をすることになった。
長年使われていなかった旧校舎もこの夏休みに取り壊されることにあり、今やるのはベストな企画で、反対する者は誰もいなかった。
「はい、その企画、私に担当させてください」と元気よく手を挙げたのは、主人公の坂上と同じ1年生の倉田さんだった。
誰も反対しなかったので、倉田さんがこの企画の担当に決まった。
本当は自分も記事を書きたかったと思っていると、日野先輩が声を掛けてくれたが、何でもないですと返事する坂上。
結局、坂上はこの企画では何の担当にも当たらなかった。
その帰り道、日野先輩に声を掛けられる。
「倉田には別の企画を任せた。やっぱり七不思議の企画はお前が担当した方がいいと思ってな。坂上、お前、まだ記事らしい記事を書いたことないだろ。だから、この企画、お前に任せる。しっかりやれよ!」
「でも、先輩、僕なんてまだ新人ですし、学校の怖い話といってもあんまりよく知らないので、きちんと務まるかどうか」と遠慮がちに答える主人公。
「坂上、新人だからって遠慮なんかしてたら、いつまでたっても記事は書けないぞ。お前はもっと貪欲になるんだ、坂上。それとも、お前、怖い話が苦手なのか?」
図星だが、「いえ、そんなわけでは・・・」と否定する坂上。
「怖い話が苦手なら苦手でも問題はないんだよ。むしろそっちの方が記事に面白みが出ると思うぞ」
「はい、一生懸命やってみます」
「よし、その意気だ。でも、やってみますじゃだめだ」
「すみません、一生懸命やります!」
「上等、上等。怖い話をするやつは俺のほうで頼んでおくから安心しろ。あと、当日俺もついていてやるから、そんなに心配そうな顔はするなよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、頼んだぞ」
日野先輩はまだ部室の片づけが残っていると言って、手を振りながら校舎に戻っていった。
当日、放課後。
日野先輩は、どうしてもはずせない用事が入ってしまい、残念ながら集会に参加することができなくなったため、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。
この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
そこへ「危ないですよ」と知らない女の子が声を掛けてきたので、思わず「ごめん」と謝る坂上。
女の子は「この辺りには悪い気が立ち込めている。だから注意するようにってお婆ちゃんが言っているんです」と言って、軽く会釈して去っていった。
新聞部の部室の扉を開けると、真ん中の大きなテーブルを囲むように6人の男女が静かに座っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男子生徒から声を掛けられる。
「あ、すいません。違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。今日は新聞部の先輩の日野さんといっしょに皆さんのお話を伺うようにと言われています。どうぞよろしくお願いします」
「ったくよう、いつまで待たせるんだ、7人目は!」と、足を投げ出すように座っている男子生徒が機嫌悪そうに言った。
「私、待たされるのが嫌いなの。始めるなら早くして頂戴」と、隣の髪の長い女子生徒が、不機嫌そうに顔を歪ませた。
「ねえねえ、これ以上待ってしょうがないし、もう始めちゃったら?」と。テーブルを挟んで向かい側にいる女子生徒が言った。
「確かにこのまま7人目を待っていてもしょうがないですし、会を始めさせて頂きたいと思いますが、どうでしょうか?」と、坂上が言った。
「別にボクは構わないけど」と一人が言うと、他のみんなもゆっくりと頷いた。
「ありがとうございます。では会を始めたいと思います」
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