チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10


 3人目は細田を選択。


 坂上君も楽しみにしていましたか
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気でなかった
 風間と岩下の話をきいていなければ、シナリオ:夜泣き石開始!
 坂上君、どんな事件だと思いますか?

  1. リンチとかですか?→細田エンディング13:夜泣き石
  2. 自殺ですか?
 いえ、その事件は殺人事件だったそうです。
 殺されたのは赤ちゃんだったそうです。
 その赤ちゃんは、その時在籍していた女子生徒の産んだ子供なんです。
 実は望まない妊娠だったそうで、つまり無理矢理妊娠させられたってことなんです。
 女子生徒は誰にも相談できず、ついには学校のトイレで出産して、その場で我が子を石で殴って殺したそうです。
 もちろんすぐに彼女は警察に捕まりました。
 けれど既に酷く精神を病んでいたその子は、そのまま病院に入院させられ、噂によるとその後自殺してしまったそうです。


 それから数か月たったある日、校内で奇妙な噂が流れ始めました。
 夜遅くになると例のトイレのあった部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえる、と。
 その噂を聞いた学校中の人は、あの事件を思い出しました。どういうわけか先生たちすらその噂を信じる始末です。
 だって、最初に赤ちゃんの泣き声を聞いたのは当直の先生だったのです。
 その日当直の先生は、いつものように校内の見回りをしていました。
 そして、あの部屋の前を通りかかったときにかすかな声を聞いたんです。
 よく聞いてみると、赤ちゃんの泣き声そっくりです。
 持ち前の正義感と教師という責任感で、先生は部屋の中を確認しにいきます。
 部屋の中はガランとしており、人の影は見当たりません。
 それにも関わらず赤ちゃんの泣き声はどんどん大きくなって、五月蠅いくらいでした。
 声のする方向に明かりを向けると、そこには握りこぶしくらいの石が転がっていたんです。
 確かにその石からはっきりと赤ちゃんの泣き声が聞こえてます。
 たまらずその部屋と飛び出ようとしましたが、その時部屋の隅に蠢く何かを視界がとらえたのです。
 そこにいるのは、生まれたての赤ちゃんです。
 でも、それは本当の赤ちゃんではありません。
 だって、頭が割れて顔が潰れているのに動いているのですから。
 「ぎゃああああ」
 思いっきり先生は叫び声を上げてその部屋から逃げ出しました。
 そして、翌朝一番に退職届を出したそうです。
 その時、当直の先生は大声であの部屋でも出来事を説明していたので、職員室に来ていた生徒にもしっかりと事の顛末が聞こえてました。
 そしてあっという間に学校中で誰もがその話を耳にする事になります。
 それからも当直の先生の間で、同様の体験をしたという話がひっきりなしに上がり、中には退職や当直を断る人が現れはじめました。
 これには学校側も参ってしまい、お祓いを済ませた上、厳重に施錠して誰も入れないようにしてしました。その上、当直時にその場所に近づかなくてもいいという条件もつけました。
 だから、今ではその場所やそこで何があったかを知っている人はほとんどいません。
 けれども、今もその場所に近づくと赤ちゃんの泣き声が未だに聞こえてくる、これがこの学校に伝わる夜泣き石の話です。


 僕はこの話が本当だと思っているんです。
 その理由をお話しましょう。
 僕のクラスに藤井さんという女の子がいました。もちろん仮名です。
 彼女は優しい性格で、それでいて気さくで誰からも好かれる女子でした。
 こんな僕にすら気軽に声を掛けてくれたんですから、それはもう女神みたいな人でした。
 そんなある日、突如彼女に異変が起きました。
 唐突に、赤ちゃんができた、と言い出したんです。
 両親がすぐに病院に連れて行きましたが、妊娠なんかしてませんでした。
 彼女の症状は、ストレスによる精神病の一種という診察の結果でした。
 とりあえず登校するには問題なしとの診断が降りたので、それからも彼女は普通に登校し続けました。
 時々、会話の中に、自分のお腹の中にいる赤ちゃんの話が混さる以外は、今までの彼女でしたから、問題はありません。
 そんな日々の中、放課後、僕にクラスの女子が、相談がある、と声を掛けてきました。
 彼女の名前は伊藤さんで、藤井さんの親友です。
 伊藤さんが言うには、藤井さんが変わってしまったのには原因があるそうです。
 「あの子ね、あんなことを言い出す少し前に、学校の中で赤ちゃんの泣き声が聞こえる、って言っていたの。細田君は、夜泣き石の話って知ってるかな?」
 「うん、知ってるよ」
 「あの子ね、あの部屋に入っちゃったみたいなの」


 彼女が言うにはこうです。
 藤井さんは、その日遅くまで学校に残っていたそうです。
 荷物を纏めて帰ろうとすると、校内のどこからか赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。
 彼女はその声のする場所を探しにいってしまいました。
 優しい彼女のことですから、本当に赤ちゃんが危ない目にあっているかもしれないと思ったのでしょうね。
 声のする方に歩いていくと、見覚えのない部屋の前へと辿り着きました。
 確かに部屋の中から、赤ちゃんの泣き声が聞こえます。
 そして彼女は部屋の中で見つけてしまったのです。


 「その日のうちにあの子から電話がかかってきたの。あの子が言うには、赤ちゃんがいたって。だから連れてきたって。それで私は聞いたの。赤ちゃんはどこにいるの?って。そしたら、お腹の中に入れてきた、そのあの子は言ったの。それからはずっとあんな感じになっちゃって。私はこれって夜泣き石が関係しているんじゃないかなって思うの。それで、細田君って、そういう話に詳しいから、何か知らないかな?」
 僕はその話は知っていますが対処法は知りません。
 すると唐突に扉があいて、藤井さんが、伊藤さんに一緒に帰ろう、と声を掛けてきました。
 「あ、ごめん、一緒に帰ろう」
 「うんうん、早く帰ってご飯を食べようよ。もうお腹ペコペコ。やっぱり赤ちゃんが私の栄養を取ってちゃってるのかな?」
 「そうだね。細田君、ごめん、私そろそろ帰るね」
 「あのね、せっかくだから二人に教えてあげるね。私の赤ちゃんそろそろ外に出たいって言っているの。生まれてきたら二人とも仲良くしてあげてね」


 その時僕は見たんです。
 藤井さんのお腹のあたりからにょきっと生えた頭の潰れた赤ちゃんを。
 もぞもぞと動きながら僕と目が合った瞬間に嬉しそうに笑った気がします。
 そのまま彼女は笑顔のまま僕に挨拶して教室から出て行きました。
 伊藤さんも藤井さんについていこうとしていたので、僕は引き止めてこう言いました。
 「藤井さんをできるだけ早く説得して、お寺か神社で見てもらったほうがいいですよ」
 伊藤さんはうなずいて、藤井さんの後を追いました。
 僕があの時見た赤ちゃんの姿、あれはかなりタチの悪いものです。霊感が少ししかない僕でも、危険だってことはわかりました。
 でも、できるだけ早くっていうのは僕の間違いでした。あの時、今すぐって言えばよかったんです。


 翌朝、ホームルームが始まる前に、藤井さんが教壇の前に立って、「今から私の赤ちゃんが生まれるの。みんな祝福してあげてね」と皆に呼びかけた。
 よく見ると彼女の右手には包丁が握られています。
 「今から出してあげるね、私の赤ちゃん」
 藤井さんは右手の包丁を大きく振りかぶり、自分のお腹へと振り下ろした。
 彼女のお腹から勢いよくあふれ出す真っ赤な血が足元に大きな水たまりを作るころ、ようやくクラスの中から悲鳴が上がりました。
 藤井さんは自分のお腹を突き刺した包丁で大きく切り開くと、今度は自分の手でその切り口からお腹の中に手を入れて何かを探ろうとしているようでした。
 伊藤さんが泣きながらそんな彼女にすがりついています。
 藤井さんは自分の中から手を引っこ抜くと、自分を抱きしめる伊藤さんに手を差し出してこう言いました。
 「ほら、生まれたよ・・・私の赤ちゃん・・・」
 苦しみ耐えながら慈愛に満ちた表情で優しくそう囁くと彼女はぱったりと倒れ、白目を剥いて何度か短く痙攣した後に動かなくなりました。
 藤井さんの手に握られていたのは、彼女の血に塗れててらてらと赤く光る石です。
 僕は自分の意識がだんだん遠くなるを感じました。
 意識が消える直前に嬉しそうな赤ちゃんの笑い声が聞こえた気がします。


 僕はそのまま数日入院したあと、他のクラスメイトといっしょに退院しました。
 けど中にはまだ退院できないクラスメイトもいました。その中には伊藤さんの姿もあります。
 一応、この事件はストレスに悩んだ藤井さんの自殺ということで片が付きました。
 僕は思うんですよ。彼女が部屋で見つけたのはきっと夜泣き石だったんだって。
 そして殺された赤ちゃんの生への執念が彼女を狂わせた。
 狂ってしまった藤井さんは、その場で石を飲み込んでそれを赤ちゃんだと信じ込み、最後にとり殺されてしまったんじゃないでしょうか。
 え?あの部屋の噂はどうなったって?
 あれ以来赤ん坊の泣き声は聞こえることはなくなったみたいです。
 でもね、今度は違う噂が流行り出したんです。
 夜、廊下を頭の潰れた赤ん坊が歩き回るって噂が。
 これは僕の推測ですけど、あの赤ん坊は藤井さんによってあの部屋から解放された。けれど魂はまだ彷徨っているんじゃないかなって。
 赤ちゃんはまた生まれたがっていて、生まれるために次の獲物を探して夜な夜な徘徊しているんじゃないかって。


 細田エンディング14:生まれるモノ

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