今日の十角館の殺人はどうかな?
第一の被害者
第二の被害者
第三の被害者
第四の被害者
探偵
殺人犯人
幅5センチ、長さ15センチほどの乳白色のプラスチック板が7枚、各々に赤い文字が記されている。
着替えを済ませているのは女性2人だけで、他の5人の男は皆バジャマに何かを引っかけた格好だった。
「うまい冗談だな。誰の仕業だい」とエラリイが一同に問いかけた。
「当のエラリィさんじゃないんですか」
「僕じゃないね、ルルウ。カーかアガサだろう」
「俺は知らんぜ」
「あたしもよ。ヴァンじゃないわよね」
「知らないよ」とヴァンは首を振った。
「アガサが見つけたの?」
「違うわ。最初に見つけたのはオルツィよ。まさかオルツィじゃないでしょ」
「知りません」
一同の視線がポウに集まった。
「言っとくが俺も知らんぞ」
気まずい沈黙の中で、7人は互いに顔を見合わせた。
やがてエラリイが真顔で口を切った。
「本当に名乗り出る者はいないのかい」
6人はいずれも、自分じゃないと否定した。
エラリイは横髪を掻き上げ、「犯人と呼んでもいいね?そいつが僕らの中にいるのは間違いない。名乗り出る者がいないということは、邪な考えを持つ人間が一人、もしくは複数名、この中に潜んでいるってことだな」と言った。
「邪な考えっていうのは?」とアガサが聞くと、
「わかるもんか。何か良からぬことを企んでいるって意味さ」とエラリイが答える。
カーが皮肉たっぷりに唇をゆがめ、「はっきり言やあいいだろうが。こいつはつまり殺人の予告だと」と言うと、エラリイは大声で
「先走るな、カー」と言って、カーを睨みつける。
そして、エラリイは、カードを扱うような手つきでプレートを揃えて、「とにかくこれはしまっておこう」と言って、食器棚の空いた引き出しを探し出すと、その中にプレートを放り込んだ。
「身づくろいしてこよう」と言ってエラリイが自分の部屋に消えると、男たち4人は各自の部屋へ、アガサとオルツィはアガサの部屋へと引き上げた。
3月27日木曜日。こうして彼らの2日目は始まったのである。
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