今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?
井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外に何も興味がなかったから。
井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外で何があっても関係なかったから。
そしてあなたも幸せでした。 井戸の外で何があったか知らなかったから。
祟殺し編 #1 校舎裏にて・・・
知恵先生が梨花を呼んで、沙都子の欠席の理由を聞いている。
梨花は最初のうちは、沙都子は風邪をこじらせたと言っていたが、クラス中がそれは嘘であることを知っていた。なぜならば、梨花は毎日沙都子の分の弁当も持ってきていたからだ。
沙都子が欠席して、3日目だ。
圭一は、オヤシロさまの使いと言われている大石が現れてから世界が暗転してしまったようにしか思えなかった。
梨花は沙都子の事情を何かしっているが、話してくれない。
梨花はこうと決めたことは信じられないくらいガンコに曲げない性格なので、それを知っているみんなは、梨花を問い詰めるようにことはしなかった。
富田と岡村が、気になる噂を聞いた、と言って、圭一に話しかけてきた。
人目を避けて、校舎裏で3人で噂話を始める。
富田は、「うちのばあちゃんの話だと、昨日の昼に、うちの店に豆腐を買いに来たらしい。」と言った。
富田は、「絹ごし豆腐を1丁買っていったそうなんですが、ばあちゃんが言うには、おかしいと・・・」と続けた。
沙都子は梨花と二人暮らしで、そんなお金持ちというわけではない。
なので、二人は、いつも安い木綿豆腐しか買わない。一番高い絹ごし豆腐なんか買ったことはない、とのこと。
岡村が、「去年のオヤシロさまの祟りで怖くなって町に逃げた沙都子の叔父さんが帰ってきた。こいつ、ヤクザみたいな怖くて乱暴なヤツで。」と言った。
二人は自分の話が終わると下を向いてしまった。
岡村は、「沙都子が重病で寝たきりになってないことがわかっただけども、儲けもんだ。」と言うと、突然、「あ!アレ」と大声を出した。
圭一が振り返ると、沙都子がいたので、大急ぎで駆け寄った。
沙都子の笑顔はどことなく頼りなく、なんとなく血色も悪い。
圭一が、3日も休むから心配していた、と言うと、沙都子は、家の掃除をしたりしてた、と答えた。
間近で見る沙都子は、どこか弱弱しく、熱があるかのように顔が赤く、目もどこか焦点がぼけているようだ。
沙都子は、教室に入るないないや、みんなからの質問を受け、「本当にご迷惑をおかけしましたね」と言いながら、梨花の用意してくれた弁当をがっつき始めた。
沙都子が登校したことを知った知恵先生も教室にやってきて、「本当に心配してたんですからね!食べ終わったら職員室へ来るんですよ。いろいろとお話があります」と言った。
沙都子の様子を見たレナと魅音の様子がおかしいことに気付く圭一。
食べ終わった沙都子が職員室へ向かおうとすると、梨花も付き添っていった。
圭一は、仲間に隠し事はしない、と前置きして、さっき校舎裏で聞いた噂話を、レナと魅音に話した。
魅音は、沙都子の叔父が帰ってきたのは初日から知っていた、と話し始めた。
沙都子の叔父は、一緒に暮らしていた女性が失踪したせいで興宮に住めなくなり、雛見沢の自宅へ戻ってきた。
そして、あのバーベキューにあった日曜に、叔父と沙都子は鉢合わせしてしまった。
それで、無理やり家事をやらされている、という噂がある、とのこと。
それを聞いたレナは、「去年みたいに?意地悪な叔父さん夫婦のところで暮らしていた時みたいに?」と言った。
レナは、「1年前と違って、今は悟史がいない。」と言うと、魅音が、「悟史は妹思いのいい兄で、いつも沙都子をかばって、意地悪な叔父叔母のとばっちりが沙都子に被らないように盾になっていくれてた。」と言った。
家には意地悪な叔父と沙都子の二人っきりなのだ。
放課後、魅音が、久しぶりに全メンバーがそろったから大部活を始めよう、と言ったが、沙都子は首を横に振って、「いろいろしなければならないことがありますので」と謝り、手早く荷物をカバンに詰めて、廊下へ消えていった。
レナが、「そろそろ話してくれてもいいんじゃないかな?」と梨花に言ったが、梨花は黙っていた。
魅音は、「前の時は夫婦喧嘩のとばっちりみたいなのがほとんどだったから、部活で時間をつぶして家にいる時間を極力減らすのもひとつの手だった。」と言った。
圭一は、「こういうのって問題だろ?警察とかに通報できないのかよ?」というと、魅音は、「おととしの冬に興宮の相談所に通報したら、すぐに職員の人が来てくれて、沙都子と悟史に事情聴取してた。ついでに叔父夫婦にも。で、結果は様子見。それで、しばらくは毎週決まった日に担当の職員さんが訪問し、叔父夫婦も見張られいること気にして、目立つ行動はしなくなった。叔母のヤツが特にねちっこくて、沙都子は最後の方は呼吸するだけのボロ人形みたいだった。わかった?誰の目にも明らかな証拠がなかったらお手上げなんだよ!むしろ状況を悪化させかねない。あれは失敗だった・・・」と言った。
圭一は、沙都子を助けるヒントになるかわしれないから、と言って、梨花は両親がいないのに一人暮らしを許されている理由を尋ねる。
魅音が、村長である公由のおじいちゃんが梨花の保護者になっているから、と答える。
圭一は、誰かが沙都子を保護すればいい、と言って、入江の名前を出すと、魅音は、独身は保護者になれない、と言い切る。
圭一は、魅音の家に押し付けようとすると、レナが、そういう圭一の家はどうなの?と聞いてくる。
圭一は我に返り、みんなに謝ると、魅音もレナも謝る。
結局、去年の綿流しの夜に、薬物中毒者が意地悪な叔母を殴り殺して、沙都子は救われたのだ。本当に、ただの偶然で。
祟殺し編 #2 沙都子の自宅へ・・・
圭一は沙都子の本当の家をクラスメイトに聞いた。
その家は、沙都子の実家であって、叔父夫婦の家だったわけじゃないそうだ。
沙都子の家の前にやってきた圭一だったが、何もできず立っているだけだった。
やがて車のクラクションが聞こえ、見てみると入江と助手席には沙都子がいた。
車から降りた沙都子は、気だるそうな表情と力のない瞳の様子から、調子がよさそうに見えなかった。
沙都子は、熱っぽかったから見てもらった、と言った。
入江は、ただの夏風邪だと思うが、ついでがあったから、と言った。
その時、家の窓がガラリと開いて、ガラの悪そうな男が現れ、「沙都子、家んドア開けっぱなしで出よったんな!」と怒鳴った。
沙都子は、「ごめんさない、頭がぼおっとして、つい・・・ごめんさないごめんさないごめんなさい」とぺこぺこと何度も頭を下げて謝った。
家の奥から、「鉄っちゃん、娘に厳しすぎや、もうちょいいたわらんと可哀想やで?」と声が聞こえたが、叔父は、「あんな娘にゃこのくらいで丁度いいんよ。甘やかすと親の言うことをなーんも聞かんやっちゃよ。」と答えた。
叔父は、仲間たちと麻雀をしているようだ。
沙都子は、叔父様の友達が来てて宴会をやっていて、夕食の用意をするように言われている、と言った。
入江は、車のトランクから沙都子の乗ってきて自転車を取り出し、圭一に運ぶよううながした。
圭一が家の勝手口まで自転車を運ぶと沙都子は、そこでいい、と言った。
入江は、「お手伝いできそうなことがあったらいつでも言ってくださいね」と優しく言うと、沙都子は、気持ちだけでもうれしい、と答えた。
圭一も、「力になれることがあったらいつでも力を貸すから、がんばれ」と言って、沙都子の手を握ると、沙都子の手のひらは異常なほど熱いことに気付き、「本当は寝てなきゃダメなんじゃないのか」と言ってしまい、激情がほとばしりそうになる。
その時、「気持ちはわかりますから、今だけこらえてください」と言って入江が圭一の口を押さえつけたため、唸り声しか出なかった。
沙都子は、ありがとうございます、と言って頭を下げたので、圭一は冷静になる。
沙都子は、「本当のにーにーはいなくなってしまったけど、私には、圭一さんというにーにーがいてくれる」と言った。
圭一は、「俺がにーにーだ。お前がつらいときは絶対に助けてやるから。にーにーがきっと助けてやるから。俺は絶対に逃げないからな。悟史みたいにお前を見捨てて逃げたりしない。」と言うと、沙都子の瞳から一筋の涙がこぼれた。
そして、沙都子は嬉しそうに笑いながら、「さよなら、にーにー」と右手を振りながら言った。
沙都子は、「今のにーにーので、力をもらいましたから、大丈夫。明日まで頑張れますから、今日はさよならでございますわよ。」と言った。
入江が圭一を引きずっていき、沙都子は笑顔で手を振り、勝手口の向こうに消えた。
悟史は家を出た。
一番沙都子を守ってやらなければいけない時に、ここにいない。
圭一は、「どうして悟史は今ここにいないんですか?」と言うと、入江は、「オヤシロさまの祟りがどうかと言われてますが、家出した、としか言えません」と答えた。
沙都子が大きなぬいぐるみを欲しがっていたので、悟史はいろいろとアルバイトをしていたが、結局その貯金は沙都子の誕生日プレゼントのために使われなかった。悟史は家出し、警察が調べたところ、家出当日に貯金が本人によってすべて下ろされていることが判明した。
悟史はその貯金を資金に東京のほうにいったんではないか、ということになったのだ。
置いて行かれた沙都子は、自分は兄のお荷物だから捨てられた、と察した。
大好きな兄に裏切られた沙都子だったが、周りの支えもあり笑顔を取り戻すことができた。
沙都子は、悟史が帰ってきたときに、お荷物じゃなくなった自分を見てほしい、思い、涙ぐましい努力の結果、今の沙都子があるのだ。
去年の綿流しのお祭りの夜に叔母が異常者に殺されて、その数日後の沙都子の誕生日に悟史は家出したのだ。
圭一は、入江から、「あなたにしかできない助けがあるだろうから、自分の分まで沙都子の力になってほしい。」と頼まれる。
そして、入江は、沙都子はそういう仕打ちに耐えるのを試練だと考えている、と言った。
悟史は沙都子をかばい、沙都子は悟史に甘えてきていたが、それがトラウマになっているようだ。
兄にもたれかかり過ぎたから、兄は自分を嫌ってしまった、と思った沙都子は、誰にも頼らずに自分の力だけで試練を乗り越えたい、そういう力を身につけなければ悟史は戻ってこない、と考えているのだ。
あの家で悟史の帰りを待つことが、沙都子の生きる理由となっているのだ。
圭一は、「本当に沙都子が危ないと感じたら、誰の意志を聞かずに行動します。その結果、沙都子は不快な思いをして、俺を恨むことがあるかもしれないけど、最終的にはそれが沙都子の幸せにつながると信じます。沙都子は俺の仲間だから。俺は沙都子のにーにーだから。」と言った。
TIPS:研究ノート
<北条家について>
オヤシロさまの祟りによって。毎年2人ずつの犠牲者が出ており、4年続いているから犠牲者は8人いるわけだが、その半数が北条姓を持つことは特筆に値する。
2年目の祟りである転落事故で、ダム推進派の北条氏本人が死に、その妻が失踪した。4年目の祟りでは、北条兄妹の養母である叔母が死に、北条氏の長男が失踪した。
北条家は貧しい家庭で、北条氏の仕事も満帆とは言い難く、雛見沢ダム計画による立ち退きと高額な補償金の給付は、まさに渡りに船だったと言えるだろう。
だが、ダム推進派は極めて少数だった。
しかも園崎家が強力に地盤を固め、反ダムへの結束を強化し始めると、北条氏を除くすべてのダム推進派は反ダムへ鞍替えすることになり、北条氏は反ダム結束のためのスケープゴートにされたといってもいいだろう。
結局、ダム計画は初めてのオヤシロさまの祟りである現場監督殺人事件を最後に瓦解する。
だが、ダム計画に加担した仇敵への報復は今日でも続けられているのだ。
ダム計画に加担した、もしくは当時にネガティブな評価を持つものを今日ほとんど残っていない。
残る祟り候補がいるとすれば、去年の主婦撲殺事件の被害者の夫である北条鉄平、北条氏の娘の北条沙都子。
奇しくも、残る候補者は2人だ。
TIPS:大石席のメモ
大石さんへ。
捜査四課の重春課長からお電話がありました。
例の王子川の惨殺死体の件は、やはりS号絡みだったらしいです。
ウラは確認中ですが、ホトケがS号のカネを自分が用意した数十の架空口座の上限額いっぱいまで送金して、1億くらいはいったらしいです。
背後には元S号の筋で3~4人の男が絡んでいるようです。
数千万くらいを引き出して、すでに蒸発しています。
ホトケはそのあたりを聞き出すために拷問され、以後の見せしめのために惨殺されたのはほぼ間違いないとのことです。
蒸発した連中は、スゴ腕何人かに追跡させているらしいです。
あと、親交のある周辺のマル暴に匿わないよう回状を回しています。
北条鉄平がその一味のひとりであるというウラはいまだにとれていません。
重春課長の見たところでは、何も知らされていないみたいです。
北条鉄平は興宮のアパートを出て、雛見沢の元の家に戻った様子です。
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