今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?
祟り殺し編 #4 寝坊の朝
翌朝、圭一が目を覚ますと10時を過ぎていた。完全に遅刻だ。
自室を出て、階下に降りたが、両親の姿はなかった。
たぶん、朝母親に起こされたが、二度寝してしまった。両親は圭一が登校したものと思い、出かけてしまったのだろう。
圭一は学校へむかったが、最短距離で行く気にはなれず、一人で考える時間が欲しい、と思いながら、学校と反対側へ歩き出した。
レナに連れられた何度か来たことがあるダム現場に圭一はたどり着いた。
すると、圭一の後ろから自転車のベルが聞こえてきた。
富竹で、神社への道を尋ねてきた。
圭一は、口で説明するのが難しいから、と言って、富竹を連れていくことにした。
道中、富竹は雛見沢の自然が貴重で、珍しい野鳥の宝庫であるかを延々に説明してくれた。
富竹の後をついて神社の階段を上り、境内に入ると、女性が待っていた。
富竹が、村の診療所に勤めている鷹野三四さんだよ、と紹介してくれた。
鷹野もカメラを持っていたので、圭一は、二人は写真仲間?と尋ねると、鷹野は、「ジロウさんは素人の自分を手ほどきしてくれている」と答える。
鷹野が、明後日は綿流しだ、と言うと、富竹は、明日の設営シーンからレンズに納めるつもりだ、と言った。
圭一が、雛見沢の守り神オヤシロさまに感謝するため、古い布団を積み重ねて供養するお祭りでしたっけ?と話すと、鷹野はうなずきながら、「二度あることは三度ある。そして、もう四度あったのよ?五度めがないと言える方が何の根拠もない。」と言い出す。
それを聞いた圭一は、綿流しのお祭りの日に、オヤシロさまの祟りと呼ばれる怪死が必ず起こり、鬼隠しと呼ばれる失踪が必ず起こることを思い出した。
ダム工事の監督、賛成派の沙都子の両親、その叔母を殺したオヤシロさま。
悟史は鬼隠しの被害者で、連続怪死事件の中では、北条の姓を持つものの占める割合が圧倒的だ。
北条家は村人でありながら、ダムに賛成したという意味で、オヤシロさまは特に強く罰したということなのだろうか?
圭一が、「沙都子の両親、叔母が祟り殺されたから、今度は叔父の番かな?叔父は一度は村を捨てて町へ逃げた人間だ。オヤシロさまは確か、村を捨てて逃げ出そうとするのは許さないはず。」と言い出すと、鷹野は、叔父が死ぬか消えるかする可能性は否めない、とクスクスと笑いながら答えた。
笑いながらする話じゃない、と富竹が言うと、鷹野は、オヤシロさまの祟りは自分のライフワークだ、と言った。
鷹野が突然、サンタクロースの正体は?と尋ねてきた。
圭一が答えに詰まっていると、鷹野は、パパだ、と言った。
それを聞いた圭一は、「ここは人間しかいない世界だから、人間の世で起こることはすべて人間の都合で人間が起こす」と言った。
鷹野は、「人間の世で起こることはすべて人間の都合で人間が起こすなら、オヤシロさまは?」と再度圭一に尋ねた。
圭一が答えられずにいると、富竹が、「鷹野さんはオヤシロ様の祟りをめぐる一連の連続怪死事件を、雛見沢の村人が何かの儀式に基づいて行っている人為的殺人事件でないかとみている」と言った。
鷹野は、「民俗学的見地で解明したいので、雛見沢村が鬼ヶ淵村と呼ばれていた古代にまで遡らなければならない。鬼と血を交わらせたと信じる半人半鬼の仙人たちが・・・」としゃべりだそうとしたら、富竹が、いきなりそんな話をしても面くらうだけだ、と言って止める。
しかし、圭一は続きが知りたくて、「犯人は誰だと思います?」と鷹野に尋ねる。
鷹野は、「教える前に3つの誓いを守ってもらう。私が何を教えても、後悔しない。口外しない。私が言ったなんて絶対に言わない。」と答えたので、圭一はうなずいた。
祟り殺し編 #5 お昼の登校
圭一が学校についたのは、昼食が終わったくらいの時間だった。
校庭で、女子生徒に沙都子のことを聞くと、今日も休みだったが、電話があったと先生が言ってた、と教えてくれる。
先生は、風邪、と言っていたとのこと。
教室に入ると、沙都子以外の部活メンバーが迎えてくれた。
圭一が沙都子のことを尋ねると、レナが、風邪がぶり返したからまた休む、長引くかもしれない、と電話があった、と教えてくれる。
お弁当を広げて食べようとしたら、知恵先生が教室にやってきて、魅音と圭一に、食事がすんだら職員室へ来るように、と告げたが、二人はそのまま職員室へ向かうことにする。
しかし、その前に、沙都子のことについて見解を統一することにした。
圭一は、沙都子があんなに頑張ろうとする理由を知っている、と話し出した。
昔の沙都子はつらいことがあると兄の背中に隠れていたが、そのせいで兄が逃げたと思っている。だから、つらいことを自分一人で我慢すれは兄が帰ってくると思い込んでいるが、それは現実ではまったく無関係だ。
沙都子は、誰の助けも喜ばない。それを尊重してやるのが正しいのだろうか?
沙都子に恨まれることになろうが、沙都子の意志に拘らず助けるべき時があると思う。それが今じゃないかと思っている。
圭一は、昨日沙都子の家に行き、見たこと感じたことをみんなに話すと、梨花は、「ここにいる誰よりも沙都子のことを考えている圭一にすべてを任す」と言った。
最終的には魅音もレナをうなづいた。
圭一と魅音が職員室に行くと、校長は研修会で不在で、知恵先生しかいなかった。
知恵先生は、おかしな噂が流れている沙都子について知っていることを教えてほしい、と言った。
圭一は、自分が話をする前に、まずは先生は噂が本当ならどうするつもりなのかを尋ねた。
「まずは状況を確認するために家庭訪問」と知恵先生が答えると、圭一は、「叔父に怒鳴られて追い返させるかも」と言った。
知恵先生は、「叔父と沙都子に会えたなら真意を聞いて、その事実が確認できたら、興宮の生活相談所に通報します。相談所の職員は必要に応じて警察官を同行させることができるので、恫喝には屈しません。」と言った。
そして、知恵先生は電話をかけて、緊急で連絡したいことがあるから、と言って研修中の校長の呼び出そうとする。
圭一は、噂は本当で、昨日実際に沙都子の家に行ってどうなっているのかを見た、と言った。
知恵先生は、自分が何とかするからあとはまかせてほしい、と話していると、校長から折り返し電話がかかってきた。
知恵先生と校長に向かって、圭一は、「今すぐ何とかしろ!様子見なんてことになったら、ただじゃ済まさないからな」と怒鳴りつけると、知恵先生は、魅音に圭一をつれて教室に戻るように言った。
祟り殺し編 #6 魅音への・・・お願い
昼休みの後、午後の授業はほとんど自習だった。
たまに知恵先生は教室に戻ってきたが、すぐに職員室の電話が鳴り、長々と話をしていた。
学校から帰ろうとする魅音に、圭一は、「お前のうちに寄ってもいいか?漫画を少しまとめ借りしたいんだけど。」と声を掛けると、圭一の真意に気付いたらしい魅音は了承してくれた。
二人きりで話したいことがある。そういうことだ。
魅音の家は広大だった。
家自体はどことなく古臭い合掌造りだが、敷地の規模がとにかくでかい。
魅音は客間の圭一を通すと、お手伝いさんにお茶を持って来させた。
お手伝いがいることに驚く圭一に、魅音は、自分と祖母だけしか住んでいないから、自分だけじゃやっていけないので、と説明する。
お手伝いさんは、5時になりましたので失礼します、といって帰っていった。
お手伝いさんは、週に2,3回夕方まで、魅音の祖母の世話とか掃除の手伝いに来てくれており、3,4人がローテーションで入っているので、毎日誰かがいるとのこと。宴会などの人出が欲しいときは別途に呼んでいるとのこと。
魅音は、「先に言っとくけど、家はお金持ちかもしれないけど、自分が自由にできるお金はまったくない」と告げた。
圭一は、「魅音にかなり本気な話がある。仮に本当だったとしても、魅音はそれを認めてくれなくてもいい。だけど、最後まで俺の話は聞いてほしい。鬼ヶ淵村御三家筆頭家の次期頭首の園崎魅音に話がある。」と言い出すと、魅音は、圭一が大きな勘違いをしていて、話を聞いても何もかなえてあげられないから聞きたくないが、話すことで圭一の肩が少しでも軽くなるなら聞くよ、と答えた。
オヤシロさまの祟りは正体不明で、なぜ起こるのかも不明。ここには解決しながらも、全体で見れは不可解な連続怪死、連続失踪事件。唯一共通することは、必ず村の仇敵が標的に選ばれる。
あさっては綿流しだが、今年の祟りの犠牲者はもう決まっているのか?
もしも今年の祟りのが沙都子の叔父じゃなかったなら、沙都子の叔父に変えてくれ。
あいつは去年の祟りで叔母が死んだあと、沙都子を放り出して町に逃げていた。今年の祟りに選んでも不足はないはず。
圭一がそう話すと、魅音は、「今年の祟りがあいつが死んでもたぶんみんな納得するね。雛見沢連続怪死事件、通称オヤシロさまの祟りは、園崎家が主導で御三家が起こしている村ぐるみの事件?」と静かに言った。
圭一は、もしも祟りを決めている連中に渡りが付くなら、沙都子の叔父を祟りに選ぶように言ってほしいだけだ、と頼む。
魅音は、「圭ちゃんは大きな勘違いをしている。オヤシロさまの祟りは、オヤシロさまの祟り。たとえ人間の起こした事件であったにせよ、それは園崎家とは、ましてや私とは何の関係もないよ。圭ちゃんの訴えは、私がかなえてあげたくても、かなえてあげられない。もしも私が御三家を操って毎年の犠牲者を選べる立場にあったなら、きっと圭ちゃん願いをかなえているよ。でも現実は違う。確かに園崎家はいろいろな意味で悪い噂を持って雛見沢を陰から支配している一族だけれども、連続怪死事件とは何の関係もない。ダム闘争では確かに少々過激な抵抗もしてけれど、それだけ。人殺しなんて大それたこと、絶対にやらないよ。無情にも沙都子の叔父はあさっての夜も超える。それを覚悟してね。圭ちゃんにそんな話を吹き込んだには三四さんかな。本人がひとりで楽しんでいる分にはいいけど、圭ちゃんを感化するのはいただけないな。そもそも今年も祟りがあるかどうかなんてわからないよ。」と言った。
圭一は、不愉快な話をした、と謝って園崎家を後にした。
TIPS:緊急
昭和58年6月18日 北条沙都子に関する家庭問題について(緊急)
標記の件につき、北条沙都子を緊急に保護すべきであると進言します。
1家庭状況 先日雛見沢に戻った養父との生活上の問題は深刻で、相談所による火急の対応が必須だと考えられます。
2興宮生活相談所の対応 昨日23日に担当職員が派遣されましたが、52年度のケースにより、身長策から継続指導の形をなりました。残念ながら相談所長は正しく状況を把握しているとは言えません。
3当該児の状況 所見より、過去の事例とも照会しても問題を抱えている可能性が非常に高いと思われます。このまま放置することは、より深刻な状況を招く危険性があります。
4鹿骨市役所生活指導部への申し立て 以上から北条沙都子への対応を緊急に行うべきであると進言します。緊急に関係各機関への調整を求めるものであります。
TIPS:エ2-6第44号
福児庶え2-3第44号
昭和52年3月17日
児童名:北条沙都子
鹿骨市雛見沢在住
(1)相談の経路
本児より鹿骨市興宮の生活相談所に電話相談あり。
(2)状況
本児より、養父との生活に問題をきたしているという訴え。
(3)家族構成
養父、実母、兄、本児
*養父と実母は昭和51年に入籍。本児は離婚した前夫との子。
(4)興宮相談所の対応
本日電話相談が入り、同日学校に電話で、本児の状況聞き取り。
即時、担当職員が本児宅を訪問し、面談を行った。
養父は真摯に指導を受け入れ、以後、生活相談所主催の講習会を受講することに同意した。
助言指導とし、経過を観察することとする。
(5)その他
鹿骨市教育相談所で本児に対し数度のカウンセリングの結果、本児の養父への過度の不信、コミュニケーション不足が原因である可能性が高いことがわかった。
当初訴えのあったような問題は実際には発生しておらず、本児が養父を遠ざけるため、虚偽の訴えをした様子。
(以下は当時の担当者の鉛筆による走り書き)
むしろ娘の方に問題があったようだ。
女児の話はほとんどが作り話の花押性があると鹿骨市教育相談所の田中主査。
今後は本児への指導を中心に行うこととなった。
本児の話は真に受けすぎないように注意。
翌朝、圭一はいつのようにレナと魅音とで登校する。
魅音の叔母が雛見沢地区の民生委員をしているとのことで、魅音は、夕べ電話が聞いてみた、と話し出す。
知恵先生があのあと直接興宮の生活相談所に電話して、担当の職員が昨夜のうちに訪問して、叔母にも、今後艇的にアプローチするようにと連絡があったが、沙都子がどうなったかは叔母も知らされていないとのこと。
教室に駆け込むと沙都子が来ていた。
沙都子は、呼んだの誰?夕べはとんだ騒ぎだった、と言い出す。
欠席を心配した先生だ、と圭一が言うと、沙都子は、自分も叔父もとんだ迷惑だった。風邪が治ったから学校に来ただけ、と言った。
叔父はどうなったのかを聞き出そうとしている圭一の襟首を梨花がひっぱり廊下へ連れ出した。
梨花は、沙都子は「なんでもない」といって職員を追い返した、と告げた。
梨花は、これが3回目だ、と話し始めた。
沙都子と悟史の死んだ父は、母親の再婚相手で本当の父親ではない。
悟史は素直な子で、新しい父をすぐに受け入れ、可愛がられた。
しかし、沙都子は反抗的で嘘つきで、養父には全然好かれなかった。
沙都子は叔父夫婦に預けられる以前の家族の時も、あまり良好な家族関係ではなかった。
沙都子は、養父を陥れるのを目的に嘘の話を作って、自分で生活相談所に電話をした。
いろいろと関係機関が調べた結果、養父と沙都子の心のすれ違いに原因があることがわかったが、それ以上に沙都子自身に問題があることがわかった。
沙都子の母は再婚に至らずとも、内縁の夫と同棲することが何度かあり、沙都子は幼少期から少なくとも2,3人はお父さんと呼ばなければならない男との生活を強要されてきた。
いつのころから、沙都子のいたずらがエスカレートするようになり、すぐバレすような嘘を平気でつき、そのたびに怒られたが、一行にそれらを改めようとはしなかった。
これは幼い沙都子が、母親を知らない男にとられまいとして取った自衛的な行為だったが、そのせいで、おととしの冬は、沙都子の嘘の可能性もあるから慎重にということになり、様子見になったのだ。
夕べ、興宮の相談所の人が訪れた時、沙都子は問題を否定したが、相談所の人が今後も定期邸に訪問することになった。
沙都子はまだ頑張っているから、もう少し見守ってあげよう、と梨花は話を終えた。
TIPS:主婦撲殺事件担当課御中
昭和57年7月18日
興宮警察署捜査一課 高杉課長殿
麻薬犯罪撲滅本部 鹿骨支部長 反町尚之
秘匿捜査指定第168号事件について
標記秘匿捜査事件(興宮警察署第168号、雛見沢村主婦撲殺事件)について関連すると思われる部分が、当本部担当事件の供述調書内に確認されたことを通達する。
7月3日に麻薬取締法違反の現行犯で逮捕した当該容疑者への取り調べ中、標記事件の犯行をほのめかす供述があり、その中に犯人しか知りえない情報が含まれていることが明らかにとなった。
よって、この供述調書(複写)を貴課に提供する用意がある。
この供述調書が信頼できるなら、当該容疑者は標記事件の実行犯である可能性が極めて高い。
なお、担当取調官はこの供述を受け、興宮警察署に事件の問い合わせをしたが、7月1日県警本部長発令の秘匿捜査指定(昭和57年総総管イ1-12)を対応した興宮署担当者が誤解し、担当取調官に対し、事件の存在を正しく説明しなかった。
そのため、担当取調官は標記事件に関する供述を重要なものと認識せず、その結果現場確認などを怠り、今日まで放置するに至ったことを謝罪する。
なお、当該容疑者は先日7月4日に、留置所内にて死亡したことを追記する。
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