今日の予言者育成学園Fortune Tellers Academyはどうかな?
神託召喚で、アマルバドル、ゴンドラがA→S、クレン、スルデバートがA→SSに進化して、称号:クレン推し、スルデバート推しをゲット!
午後の魔術実習室では、マルセイユ先生の授業が行われていた。
「この世のありとあらゆる物質は、量の差こそあれど魔力を帯びています。ほとんどの物質の魔力は微量ですが、アメジストのように顕著な魔力を持つ物質も存在します。」
「黒魔術の基本は、魔力量保存の法則です。すなわち、こちらの世界の魔力を異界へ送り、同僚の魔力の物を呼び出す、ということです。」
さっそく実習することになり、黒火焚きと呼ばれる儀式が始まった。
自らの指先を針で刺し、あふれた血の1滴を、机の上んお魔法陣シートに垂らすと、生徒の持つ魔力に反応して、魔法陣の上に異界に黒い炎が現れる、というものだ。
見事に黒火焚きを成功させる生徒は、一人も現れなかった。
マルセイユ先生は、黒火焚きを初めてできる人は、せいぜい年に1人か2人で、黒魔術は最高難度の魔術だから、できなくても落胆する必要はない、と話した。
リンリは、痛いのが苦手らしく、自分の指を針で刺すのが怖い、と話す。
その隣にいたレンヤは、キラキラと輝く黒火を出現させていた。
レンヤの集中力が切れると、黒火はすぐに消える。
ココは、実習に参加する気がないようで、窓際から動かない。
主人公が話しかけると、自分は正義の魔法少女を目指しているので、黒魔術は必要ないし、黒魔術は黒い魔法使いの術だから大嫌いだ、とココは答えた。
レンヤだけが目立つのを許せなかった男子生徒が、アスタロトを召喚し始める。
彼の名前はハンクで、アマチュア黒魔術部、通称アマ黒部に勧誘されたことがあるとのこと。
ハンクの魔法陣から、黒い炎が吹き上げて天井をこがし、焦げ跡から黒い虫が湧いて出た!
大量に発生した黒い虫は、カサカサと音を立てながらたちまち拡散していった。
生徒たちの悲鳴が教室内に充満し、マルセイユ先生はすでに逃げ出していた。
黒魔術の失敗から生まれる地獄の黒虫GKBで、嚙まれると生命力を吸われる、とレンヤが大声で叫んだ。
ハンクは、レンヤの足元にすがりつきながら、どうしたらいいか聞いてくる。
その時、甲高い雄たけびが響き渡り、皆が声の方に向くと、天井にオレンジ色をした悪魔が貼りついていた。
リンリが、図鑑でみたことがある下級悪魔のウコバクだ、という。
ウコバクは、教室中に散らばった黒虫を拾い集めて、片手に持ったフライパンの上に放り投げて、サッと炒めた。
いやな香ばしさが教室中に広がると、ウコバクは、フライパンから直接黒虫を口の中へ流し込み、むしゃむしゃとかみ砕きながら、カラカラと笑った。
やがてウコバクは、満腹の腹をなでながら横になった。
すると強力な力が、ウコバクの体を引っ張り、ウコバクは魔法陣の中へ吸い込まれていった。
魔法陣を持っていたのはココだった。
ココは、知らないったら知らない、黒魔術なんて大嫌い、と叫んで教室から出て行ってしまう。
チカから、ちょっと前にココが、お母さまとつぶやきながら肩を震わせているところを見た、と言われる。
魔術実習室の一件以来、ミスリサ部にスゴ腕黒魔術少女がいる、というウワサが学園中い広まっていた。
ある日、ミスリサ部に、アマ黒部の部長のキースが、ココに会いに来た。
ココが面会を拒否したので、チカは、ココはいない、と言って面会を断った。
キースは、ココに、アマ黒部への入部してほしいので、一度部室へ見学に来て、と伝えてほしい、とチカに頼んで帰る。
キースはそれから1週間、ココに会おうとミスリサ部へ通ったが、一度もココに会えなかった。
入部の断りを入れに、ココと主人公は、グレゴアの白い森にあるアマ黒部の部室へやってきた。
部長のキースが、新入生のハンクと、第2学年のビルとサイモンを紹介する。アマ黒部はたった4人だった。
ココは、黒魔術なんてできないから、入部をあきらめてほしい、と訴える。
キースは、ハンクから教材の魔法陣シートから悪魔を呼び出したと聞いた、これはプロの黒魔術師でも容易じゃないことだ、と話す。
ココは、虫が嫌いだから、火事場の馬鹿力だった、と答える。
キースは、それが素晴らしい才能の証拠だ、というと、ココは、黒魔術は大嫌いだから、絶対にやりたくない、と答える。
それを聞いたキースは、ココの気持ちがわかったので、入部をあきらめるから、最後に話だけ聞いてほしい、と言い出す。
昔、黒魔術こそ最高の魔術だともてはやされた時代、黒魔術の研究が進めば、いずれほかのどんな魔術よりも低コストで安全な魔法が使えるようになる、と誰もが予感していたが、ある事件を潮目にして、情勢はたった一夜で変わってしまった。
それが、シュガートレント王国の滅亡だった。
シュガートレント王国とは、かつて黒魔術によって栄華を極めた魔法王国で、その国家規模は、このミシアレシア魔法国最盛期のおよそ8倍だったが、たった一夜にして消滅した。
原因は不明とされているが、おそらく黒魔術の強大すぎる力に溺れ、破滅したらしい。
その日から、黒魔術は忌避すべき危険な術と認定され、すべての研究機関は閉鎖され、今では、一部の専門家だけが扱う稀少魔術となり果ててしまった。
キースは、「黒魔術はその強力さゆえに危険性をはらんでいるのは事実だが、危険だから排除するというのは、あまりにも短絡的・一方的すぎる考え方だ。進化を重ね、安全性が確立されれば、黒魔術は人類の幸福に寄与するはずに違いない。自分は無力な学生の身だから、今はただ、己の信念だけは貫いて、黒魔術の火を絶やしてしまわぬよう貢献したい。」と涙をこぼしながら言った。
隣で聞いていたハンクも涙を流していた。
主人公も思わず聞き入ってしまっていた。
ココは、全身を震わせていた。その顔は怒りの形相で真っ赤になっていた。
ココは、黒魔術は大嫌いだが、それよりも嫌いなのは、あなたたちみたいなおバカさんが世界一大嫌い!!!と、大声で言い放つと、アマ黒部の部室から出て行った。
4日後、主人公とレンヤは、アマ黒部に部室の扉を叩いていた。
扉を開けたのは部長のキースだった。
レンヤは強引に部室の中に入ると、部員4人がそろっていた。
レンヤは、隠していることがあるなら、さっさと打ち明けた方が身のためだ、と言い放つ。
キースは、どうしてガサ入れみたいな真似をされなくてはいけないのか、と抗議の声をあげる。
本当にキースは知らなそうなので、レンヤは、昨日からココの姿が見えなくなったので探している、と打ち明けると、キースは、あの日から、ココに接触してない、と答える。
ミスリサ部では、テオが、ココに行きそうな場所を考えていたが、何も思い浮かばなかった。
それを見ていたランディは、テオなら考えるよりもまず足で探すんじゃないのか?と声をかけると、テオは、言い返すことができなかった。
そこへオルフィが戻ってきて、旧校舎を探したが、ココは見つからなかった、と報告する。
それを聞いたリンリは、これで一通り確認できるところは一通り見たことになるのに、見つからないのは・・・と言いうと、チカが、誘拐だ、と断言する。
チカは、ココがわんぐるを置いてどこかに行ってしまうなんてありえない、と言い出す。
レンヤと主人公も、部室に戻ってきて、アマ黒部は関係ない、と報告する。
その時、どいつもこいつも使えんわい、と低い声がした。
声の方を向くと、わんぐるが立ち上がって、こっちを見ていた!
あまりの予想外の出来事に言葉を失った部員に構わず、わんぐるは、一人でしゃべり始めた。
「あのコが、わしを置いて一人でどこかに行くはずなかろう。つまり、ココの行方不明には、何者かの黒い陰謀が介在しているに、決まっている。」
その時、わんぐるの体は激しく吹き飛び、壁に打ち付けられた。
みなが呆気にとられていると、床の上に野球のボールが跳ねた。
お前はいったい誰だ?と、ボールを投げたレンヤが尋ねた。
わんぐるは、絶対に正体を明かすなと言われているが、そうも言ってられない、と言って、自分はココのパパだ、と告白する。
わんぐるは、こんな姿なのは深い理由があるが、今はその話をしている時間はない。まずはココを見つけ出すことが先決だ、と話す。
わんぐるは、レンヤの報告は虚偽だ、と言い出す。
レンヤが抗議すると、わんぐるは、キースは、あれから何度もココに接触していた、と答える。
どうやら、キースはココに恋慕の感情を抱いたらしい、とわんぐるが説明する。
わんぐるは、今よりこの部室をココちゃん捜索本部とし、アマ黒部を徹底的に調べ上げる、と宣言する。
ミスリサ部の部員は、アマ黒部の部員を尾行した。
チカとオルフィはハンクを尾行したが、何もあやしいところはなかった。
テオとランディはキースを尾行したが、キースは必死にココを探していて、何か事情を知っている人間の行動に思えなかった。
主人公とリンリはビルとサイモンを尾行してが、二人とも中庭のベンチで時間を過ぎるのを待っていただけだった。
夕方になり、ビルとサイモンはアマ黒部の部室に入ったのを見て、二人が、あの二人は何しに学園に来てるのか?と思った瞬間、窓からビルとサイモンの姿が見えなくなった。
いそいで部室の中に入ると、二人の姿はなかったが、床にはうっすらと円環状の光が浮かんでおり、静かに消えていった。
転送魔法陣だ、とわんぐるが説明を始める。
魔法陣には多様な使い方があって、魔力作用の位相をつなぎ合わせることで、離れた空間距離をゼロにしてしまうことも可能だ、と。
わんぐるは、あの部室は見せかけて、真のアジトが別にあるなら、緊急度レベルを上げる必要がある、と言い出す。
レンヤが、何もするつもりだ?と尋ねると、わんぐるは、国家総動員令発令だ、と答え、目の中がぐるぐると輝きだす。
わんぐるの体の中から、ざわざと声が聞こえだした。
「国王陛下、ワタクシ、執務長官のディビットでございます」
「この由々しき事態、そなたなら如何に解決する」
「ココ姫のお命が懸かっております故、ことは慎重に進めるのが肝要と存じます。まずはキース殿を進物により懐柔し、情報を引き出す作戦がよろしいかと」
わんぐるは一人で語り、一人でうなずいた。
「ちんたらやってたら、そっちの方が姫様の命に関わらあ」
「ボルドー将軍まで来てくれたか」
「ワタクシめに妙案がございます」
「我が国最高の策略家とささやかれるレンディ女史知恵を借りられるには心強い。して、その妙案とはいかなるものじゃ。」
一人芝居を続けるわんぐるを、呆然と見つめている部員たちだった。
椅子に縛り付けられて怯えるハンクを見下ろしながら、わんぐるは威圧的に、「鬼のボルドーと呼ばれた相手に口をわらねえとはな。おい、メイケルを呼べ。」と言った。
「軍事参謀メイケル参上いたしました。」
「ここにいる強情な坊やの口を割らせるために、俺は何をすればいい?」
「今ならグリニッジ拷問官の手が空いております。」
わんぐるが光る眼を見せると、ハンクは震え上がり、言うから勘弁してくれよ、と言った。
ココ姫をさらったのは、アマ黒部の仕業か?という質問に、「違う、オイラは知らない!」とハンクは答えた。
アマ黒部には隠しアジトがあるな?という質問に、アマ黒部には代々受け継がれてきた隠し空間があるが、あれはアジトではなく、儀式の場所だ、とハンクは答えた。
霊峰ラグム山頂にある悪魔アバドンを祀った神殿で、昔は修業のために使われていたらしいが、今は誰もつかっていないし、あちこち崩れかけて危険だから近づくなとキースに言われている、とのこと。
ビルとサイモンがそこへ行った理由は?とわんぐるが聞くと、ハンクは、先輩たちの考えていることなんて、わかりっこない!と泣き叫ぶ。
ハンクは、ビルとサイモンは、アマ黒部を廃部にしないために、キースが連れてきただけど、話したことないどころか、声すら聞いたことがない、と打ち明ける。
わんぐるとミスリサ部の部員たちがアマ黒部を訪れると、キース、ビル、サイモンがいた。
わんぐるが、隠しアジトまで案内しろ!と告げると、ぬいぐるみがしゃべることにおどろくキースだったが、ビルとサイモンがそのアバドン神殿でココを見た、と言い出す。
口下手な二人に代わって自分が話すと言って、キースは話しだす。
キースが二人をアバドン神殿へ向かわせてココを探させていたら、ココが巨大魔法陣の前にいるところを発見した。
ココが魔法陣に近づくと、長年眠っていた魔法陣が目覚めた。
ココは、真っ赤に輝く魔法陣の中を覗き込むと、吸い込まれるように沈んでいった、と。
アマ黒部の4人が輪になり呪文を唱えると、部室の真ん中に輝く魔法陣が現れた。
4人とわんぐるは、魔法陣の中へと飛び込んだ。
ミスリサ部員たちも躊躇しながら、魔法陣の中へと飛び込む。
魔法陣を潜り抜けた先は、まるでこの世の終わりのような赤い空に囲まれた山の頂だった。
切り立った場所に古い神殿が立っており、そこへ向かって走るアマ黒部の4人とわんぐるに姿が見えたので、ミスリサ部員たちも後を追った。
アバドン神殿の大広間には巨大な台座があり、その上にまるで火口のような大きな魔法陣が描かれていた。
キースが魔法陣を調べると、魔法陣は眠っており、「魔法陣が眠っているので、助けようがない」と言い出す。
特殊部隊のシャーロット隊長を呼べ、とわんぐるが言うと、シャーロット、参上いたしました!と声が聞こえてきた。
魔法陣の中に落ちた人間を救出するにはどうするのが最適だ、とわんぐるが尋ねると、シャーロットの答えは、ロープに体をくくりつけた者が対象者を抱えて帰る、という原始的なものだった。
この方法の注意点は、魔法陣の中で戦っても勝ち目はない、すぐにロープで戻せば助かる場合もあるが、ほとんどの場合は・・・とのこと。
わんぐるは、志願する者がいなければ自分が入るが、我こそはと名乗り出る勇気ある者はおるか!と言うと、ココのためなら自分が、と言って真っ先にキースが手を挙げた。
キースは、魔法陣は眠ったままなので物理的に入ることができない、と言い出すと、わんぐるは、ココが近づいたときに魔法陣が目覚めたのはなぜ?と問いかけると、キースは、ココが大きな魔力を持っていたので、その魔力に反応した、と答える。
それを聞いたわんぐるは、気をためるようにゆっくり息を吸うと、全身が次第に白い光に包まれ
た。
わんぐるが、力を開放するように息を吐きだすと、魔法陣は発火したかのように真っ赤な光を空に吹き上げた。
「キース君、あとは頼むぞ!必ずや、ココを連れ帰ってくれ」
その時、山頂の空気を割くように、耳に障る甲高い笑い声が響いた。
笑っていたのは、ビルとサイモンだった。
サイモンが魔法陣の向かい側を指さすと、宙に浮かぶ魔法球の中で眠るココの姿があった。
わんぐるは、フードを脱いで顔を見せろ、と言うと、二人はフードを脱いで顔を見せるが、二人の顔は真っ赤で鼻はひどくとがっていた。
わんぐるは、黒魔術で呼び出されて元の世界への帰り方がわからなくなった迷い悪魔だ、と言
う。
わんぐるが、奈落の王アバドンを呼び出す魂胆か?と尋ねると、二人は、うなずき、黒魔術の基本は魔力量保存の法則で、アバドン様をお招きするには、それに見合った対価が必要だ、と話す。
二人が、ココが眠る魔法球に向かって呪文を唱えると、魔法球がはじけ、ココは巨大な魔法陣の中へ落ちて行った。
ココが目が覚めると、近くにかすかな光の漏れる小さな窓があったので、移動して覗き込んだ。
窓の向こうには、8歳のころの自分と、記憶の中よりも少し若い母の姿があった。
きれいな刺繍のワンピースを着た自分は、お城のバルコニーに立っていた。
母に何をしているかを聞かれたココが、なんでもありませんと答えると、母は、「叔父様にいただいた風船を飛ばしてしまったの?」と尋ねてきた。
「はい、強い風に吹かれて、うっかり手を放してしまいました」
「でも、泣いたりしないのですね」
「はい、自分のせいですから」と、ココが寂しく答えると、母は、ふふっと笑いながら「心根が強くて、いつもオトナであろうと務めているけど、私はその強さが心配。いつか無理しすぎてしまんじゃないか・・・そんな気がしてね」
そういわれると、ココはあいまいにほほ笑んだ。
母は、「最近、ココがどんな大人になるのかと考えているの」と言い出し、「将来の夢はある?」とココに聞いてきた。
「他国の人に感心されるような礼儀を知る素敵なプリンセスになりたいです」
母は、楽しそうに笑いながら、「それが本当の夢なら、それでもいいだけどね。これだけは知っていて。王族として空気を読まなきゃいけない日も多いけど、人生はそればかりじゃないよ。だから立派な姫であろうとするあまり、無理だけはしないでね。」と言った。
返事に困ったココは、「お母さまは小さかった頃、なりたい夢はありましたか?」と尋ねると、母は微笑みながら、「悪と戦う魔法少女になりたかったな」と答えた。
わんぐるは、「ココは我が王国の最後の光で、その身には奈落の王アバドンの対価として余るほどの強大な魔力を秘めている。アバドンが来てしまうと、世界は闇に閉ざされ、アルカナは今よりも猛り狂うじゃろう。そんな事態だけはどうしても避けねばならない。」と話した。
それを聞いたチカは、わんぐるとココっていったいなんなの?と言い出すと、わんぐるは、自分の正体は、かつて黒魔術で栄華を極めたシュガートレント王国の国王のロロで、ココは、その国の姫だ、と打ち明ける。
わんぐるは、シュガートレント王国が滅亡した理由は、黒魔術の強大すぎる力に溺れたためという話は、真実ではない、と言い出す。
シュガートレント王国は、忠実なる家臣と良識まる魔導士の支えられ、平和な日々を送っていた
が、堕天使長ルシファーが到来した。
ルシファーが一歩足を踏み入れれは、この世界は死者の世界に変貌を遂げる。
危機を察知したシュガートレントの民は、国家総力を結集して封印の黒魔術を敢行し、堕天使長を封じるための器の生成に取り組んだ。
そのために払った犠牲は、計り知れないほど大きかった。
黒魔術は成功し、堕天使長ルシファーは封印の器の中で眠りにつき、世界は救われたが、一度解き放った術を止めるだけの力は残っておらず、暴走した封印の術により、王国はたった一夜で消滅した・・・
破滅の間際、ロロは最後の力でココだけの命を護った。
混乱の最中、ココは散りゆく魂を必死にかき集め、腕に抱くぬいぐるみを依り代とし、その中に封じ込めた。
ロロたちが、このわんぐるの中で生き延びているのは、そういうわけだった。
魔法陣の中から、大きな右腕が現れると、ビルとサイモンは、狂喜して魔法陣の周りを跳ね回る。
奈落の王アバドンが、巨大な魔法陣から顔を半分だけだし、周囲の様子を窺うように眼球をギョロリと動かした。
わんぐるの体が大きく脈動し、その背中が見る見るうちに膨張し始めた。
わんぐるは苦しそうに、器が壊れてしまう、世界が終わる、と話す。
ココはロロに、「器とは何ですか?」と尋ねると、「正気を失った堕天使長を鎮めることなど誰にもできん。できることは動きを封じることのみ。そのためには、シュガートレント王国が持つ最大の魔力を封印の器にせねばならん。世界を護るためにはそれしかないのだ。」と言われる。
ココは、首を左右に振りながら、「どうして、それがお母さまなのですか!」と、泣き叫ぶ。
わんぐるの全身から、ピンク色の光があふれだし、次第に女性の形へと姿を変えた。
その大きさは見上げるほどで、魔法陣から顔を出したアバドンよりも一回り大きく見えた。
光の女性は大きくあくびをすると、ビルとサイモンに目を留めた。
そして、二人に近づき、両手に一人ずつ持って、まるで苦しむのを楽しむかのように少しずつ力を入れる。
悶え苦しむビルとサイモンは、握りつぶされ、地面に落ちると煙となって消え去った。
光の女性は、魔法陣に近づくと、アバドンの頭を鷲掴みにし、全身の力で魔法陣の奥へと押し込んだ。
這い上がろうとするアバドンは、激しい雄たけびを上げると、光の女性の腕をつかんで魔法陣の中へと引きずり込んだ。
2体の姿が魔法陣の中に消えると、何かが折れるバキバキといす音が神殿内に響き渡った。
数分後、激しく振動していた魔法陣は鎮まり、音も途絶えた。
そして、中から姿を現したのは、光の女性の方だった。
瞼越しに光を感じ、薄目を開けたココは、自分が母に抱かれていることに気付いた。
母は優しく微笑みながら、「やっと会えた。お別れも何も言えなくて、ごめんね。ずっと気に病んでいたよ。」と言う。
ココは首を左右に振りながら、「ココちゃん、会いたかったですの。ずっとずっとお母さまに。」と言った。
「そのしゃべり方、私は、とても好き。きっとそれが本当のあなたなのね。首のキズはもう痛まない?」
「大丈夫、ココちゃん、ちっとも痛くないですの。」
「それを聞けて安心したよ。大好きなココ、こんな時代だけど、必ず未来はあるから。いいお友達ができたね。みんなと仲良くね。」
ココが涙ながらにうなずくと、母を包んでいた光は、ゆっくりと消えていった。
次に目を開くと、アマ黒部の部室だった。
ココの目覚めに歓喜するミスリサ部の声が聞こえる。
わんぐるが、「状況が状況だったから、正体を明かさざるを得なかった、勘弁してくれ。」と謝ってきた。
ココは、わんぐるを抱きしめながら、「そんなことはどうでもいいの。ココちゃんは、お母さまに会えたんですの。」と、これまでの出来事がすべて取るに足らないことだったと思えるほどの、周りを明るく照らす笑顔で言った。
「それが幸運じゃったな。こんなことでもなければ、アレに意識が戻ることもなかっただろう。ケガの功名というやつじゃ。」
キースが、「シュガートレント王国のことも知らずに、祖国を侮辱する言葉を口にして申し訳ありません。なんとお詫びを申し上げてよいのか・・・」と言うと、ココは、「もういいですの。ココちゃんも謝るですの。あなたがココちゃんのために、一生懸命だったこと、ちゃんと見ていたのですの。だから、世界一大嫌いって言ったことは、撤回するですの。」
ココは、ニコりと微笑みながら、「あなたのおかげでお母さまに会えたんですの。だから、大嫌いから普通の人に格上げですの。」と言って、キースの手を両手で握りしめた。
そして、「ココちゃんは、黒魔術は嫌いじゃないけど、アマ黒部には絶対に入らないんですの。ココちゃんは、ミスリサ部が大好きだからなんですの。」と言った。
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