今日の忌火起草はどうかな?
部室に行くと健吾以外の部員がそろっていた。
弘樹は、黒い女を見たと話すが、みんなに信じてもらえず、部室を飛び出してしまう。
愛美だけが追いかけてきてくれて、黒い女の話はよくわからないが、弘樹のことは信じると、言ってくれる。
弘樹は、ビジョンを飲んで、黒い女の呪いにかかったと、愛美に打ち明ける。
弘樹は、黒い女について調べようと思い、正人が黒い女の絵を描いていたことを思い出す。
そこへ飛鳥から、ビジョンの成分がわかったから、いっしょに大学病院へ行こう、というメールが届く。
A:飛鳥と合流して大学病院へ向かうことにした
飛鳥といっしょに大学病院へ向かい、ビジョンの成分はヘンルーダという植物だと教えてもらう。
TIPS:飛鳥の交友関係
飛鳥の交友関係は広く浅い。和子もそのすべては把握していない。どういった経緯で知り合っうのか、医者から弁護士、マスコミ関係など幅広い職業の知り合いがいる、一度健吾がや正人がふざけて飛鳥の素行調査をしようとしたが、なぜかいつも知らない間にふらっといなくなってしまい結局なにもわからなかった。
ヘンルーダは万病に効くとされ、紀元前から使われている。ヒステリー症状にも効果があるという。
現在では、ヘンルーダを原料としてサプリメントがコンビニで売られている。
ヘンルーダには、フロクマリンという光増感作用をもたらす成分が含まれていおり、日焼け増進剤みたいなもので、ヘンルーダに触っただけで皮膚が荒れる人もいる。
つまりビジョンには、幻覚を起こすような成分は入っていないとのこと。
この薬は、イマビキ湯というのが本当の名前で、ビジョンは通称だと教えてくれる。
イマビキ湯は、ヘンルーダを煎じて作るのだが、その製法は江戸時代からあったらしい。それを戦後復刻して精神を癒す薬として錠剤にして売り出したが、その製薬会社はとっくに潰れているとのこと。なぜこの薬がいまだに流通しているのかは、謎だ。
大学に戻り、愛美と健吾に、ビジョンの成分について説明する弘樹。
爪が真っ黒になっている健吾は、正人のように死んでしまうとべそをかいている。
愛美は、ビジョンの成分には問題はないが、ビジョンがすべての引き金になっていると、言い出す。
図書館でビジョンやヘンルーダについて調べ始める弘樹だが、たいした情報はない。
そこで、イマビキ湯について調べることにした。
A:作られた時期はいつだった?
イマビキ湯を製造販売していたのは守矢堂という江戸時代から続く製薬会社だということがわかった。
関連記事を調べると、当地ではイマビキ草と呼ばれるヘンルーダを主原料にした漢方、イマビキ湯で財を成すと書かれていた。
守矢堂で調べると、守矢堂の社長夫人が焼死、殺人事件として捜査という記事が見つかり、亜美という女性の顔写真が出ていた。
亜美は、黒い女と同じ顔をしていた・・・
弘樹は、部活メンバーに連絡を取り、連絡のつかなかった和子以外は、図書館に集まってきた。
亜美の顔を見た健吾は、震えだす。
記事を読むと、イマビキ湯は亜美が開発した薬らしい。
事件現場の写真を見ると、それはキャンプ場近くのあの屋敷だった・・・そして、映画館での悪夢に出てきた釜のようなものも写っている。
香織が倒れたので、みんなで病院に連れて行くことになった。
香織を飛鳥の車に乗せようと駐車場へ行くと、和子がいた。
和子と飛鳥はケンカを始めるが、和子が飛鳥にキスして、蝉のようにしがみつき、飛鳥を車のフロントガラスに押し付けた。
見てはいけないと思い弘樹が視線をそらすと、メリメリという音が聞こえてきた。
二人を見ると、和子のあまりの圧力に、飛鳥が押し付けられたフロントガラスにひびが入り始めている。
飛鳥の口から黒い液体があふれ出してきているのを見て、弘樹は和子に体当たりをするが、和子は飛鳥から離れない。
和子の手を引っかくと、和子は力を緩める。
和子の爪を見ると、暗黒のような色をしていた。
飛鳥は懸命に液体を吐き出しているが、和子は、やっと飲んでくれたとつぶやいている。
和子は、ビジョンだと話す。
和子は、食事を作っても食べてくれないから、さびしくて不安だったと、言い出す。
突然、和子が、熱いと言いながら、爪をたてて、体中をかきむしり始め、和子の顔は血だらけになる。
和子は奇声を上げながら血の海となった駐車場に倒れる。
A:「飛鳥、逃げよう」
飛鳥の手を引っ張るが、飛鳥はその場から動かない。
血まみれになった和子が立ち上がり、飛鳥は魅入られるように動かない。
あたしを捨てないで、とつぶやく和子に、飛鳥は近づいていく。
突然、二人を炎が包み、二人は抱き合ったまま黒コゲになっていった。
それを見た健吾は、半狂乱になって、その場から逃げ出す。
健吾を追いかける弘樹だが、健吾は弘樹の目の前で、トラックに轢かれる・・・
そのとき、弘樹の背中に何かがあてがわれる感触があった。
光の方向→百八怪談集№11
弘樹は夢の中で、あなたは誰?という、どこかで聞いたことのある女の声を聞く。
あの光の方向へ行ってはいけないと感じた弘樹は、目を覚ます。
弘樹が気が付くと、誰か知らない人の部屋におり、体がうまく動かない。
声をかけると、隣の部屋から、香織の声が聞こえてきた。
香織の話によると、弘樹は事故のショックで気を失ってしまい、近くにいた人にお願いして、ここまでつれてきてもらった、とのこと。
A:もうじき目が覚めて、すべて夢だったらいいのに。
隣の部屋から出てきた香織は、両手いっぱいに錠剤を握っており、それを水の入ったコップに入れる。
香織の両手は黒く焼け爛れており、香織はその皮膚が爪で引っかいて剥がし、さらにコップの中に入れていく。
香織は、弘樹にビジョンを飲ませたと打ち明ける。
お茶のペッドボトルに注射器で入れて、正人から渡してもらうようにしたと。
それから、合鍵の場所も知っていたから、ご飯にも細工し、部室においたチョコにも細工したし、厨房にいたのでお店のスープにも細工したと。
香織の話では、ビジョンは効果は男女では異なり、女は、黒い女は見ないが、好きな人にビジョンを飲ませたくなるとのこと。
香織は、小型のスタンガンを見せる。弘樹の体が動かないのは、これのせいだったのだ。
香織がビジョンの入ったコップを弘樹の唇に近づけるが、突然、香織の体から炎が立ちあがる。
弘樹は、何とか体を動かし、香織の部屋から脱出する。
香織の体から出た炎は、アパート全体にも燃え移り始めた。
弘樹は、愛美のケータイに電話するが、留守電になっていたので、愛美の自宅へ向かうことにする。
愛美の家に行き、インターホンを押すと、愛美が出てきてくれた。
愛美を確認すると、爪は真っ黒だった・・・・
愛美の部屋に入れてもらった弘樹は、サークルで残っているのは、自分たちだけだと告げる。
香織が弘樹にビジョンを飲ませようと細工したレストランのスープを、あのとき愛美も飲んだのだ。
ふと、大壷に火が焚かれる限り、地獄の炎から逃れる術はないという言葉を思い出した弘樹は、大壷の火を消せば亜美の呪いから逃げることが出来るかも?と気づく。
亜美の事件の記事に、大壷が写っており、今もあの屋敷で、大壷が釜として使われているかも?そして、屋敷にある大壷の火を消せば、呪いから逃れることができると、弘樹は愛美に伝える。
愛美は自分もいっしょに行くと言い出す。
B:愛美は本気で言っているのだろうか。
弘樹はそう言ったが、愛美の覚悟は本物だった。
二人で屋敷に行くことになった。
愛美の父親の車を借りて、キャンプ場へ向かう途中、愛美は、亜美がイマビキ湯を復刻させたのは、戦争で傷ついた夫を癒したかったからだろうと言い出す。
なんでそんなことを知っているんだ?と弘樹が問うと、愛美は、自分で調べたと答える。
ハンドルを握る愛美は、初めて行くキャンプ場なのに、カーナビを使わず運転している。
愛美は、イマビキ湯は長い間飲まないと効果が出ない薬だったため、亜美は即効性のある薬の開発を始めたが、夫が戦死したという知らせが届いた、と話し出す。
イマビキ草の別名は、悔恨のハーブだが、他に、神の恵みのハーブとも呼ばれていた。
亜美は薬の開発を続け、変わった漢方の製法を編み出した。それは、イマビキ草から神の恵みの力を生み出すというものだった。
夫が死んだことで亜美の心は壊れてしまい、亜美は自分の足を鎖で繋いで、調合室にこもりきりになった、と。
なんでそんな詳しい話しを知っているんだと、弘樹が疑問に思っているうちに、目的のキャンプ場についた。
キャンプ場の周りにはイマビキ草が咲き乱れている。
愛美は車に積んでいた懐中電灯を片手にどんどん進み、屋敷の玄関の扉を開け、中に入っていく。
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