今日の忌火起草はどうかな?
午前中の講義をサボって、正人の自殺現場へやってきた弘樹。
正人が飛び降りたと思われる場所には、花束が供えられていた。現場を良く見ると、花束の周りに焦げた跡が広がっていた。
正人は体に火をつけて飛び降りたらしい。
A:正人が近づくなと警告しているのかもしれない。
胸騒ぎがした弘樹は、逃げるようにそこから去った。
大学に到着すると昼休みになっていた。
弘樹が部室に入ると、イスに座った健吾の周りをみんなが囲んでいる。
健吾は、昨日から黒い女っぽいのが見えるようになった、と言いながら泣いている。
詳しい話を聞こうと思い、弘樹が聞き出すと、健吾は、部屋で一人でいると、黒い女があらわれて、「あなたは誰?」って聞いてくる、と話す。
健吾は続けて、黒い女を見るようになってから、爪が黒くなった、と言って、みんなに爪を見せる。
弘樹は、健吾にも自分と同じことが起こっていることを知る。
和子と香織は、黒い女なんて見たこと無い、と言っている。
弘樹は、和子に、ビジョンの味を尋ねると、焦げたような苦い味、と言われる。
弘樹も、知らない間に、ビジョンを飲んでいたらしい。というか、誰かに飲まされたのだ。
弘樹と健吾は、いっしょに構内を歩いているが、お互いに黙ったまま。
このままでは二人とも、正人と同じ運命を辿る可能性がある。
B:いや、思いつめすぎることで正人の二の舞になる。
弘樹が、健吾に思いつめるなと声を掛けるが、健吾は黙ったまま歩いてく。
正人のときと同じことを繰り返したくないと思った弘樹は、健吾のあとを追う。
健吾といっしょの帰り道、道端では小学生たちが遊んでいる。
子供達の爪を見ると、みんな黒い。
A:まさかこの子供たちもビジョンを・・・?
弘樹は子供たちの手をとって、爪を見ると、子供は爪を黒く塗っていただけだった。
どうして爪を黒く塗っているのかを弘樹が尋ねると、好きな子に気持ちが届くおなじないだとの返事。
おなじない→百八怪談№7
子供達は、「至高の快楽を得る代わりに、黒い女に骨まで焼かれるだろう」「大壷に火が焚かれる限り、地獄の炎から逃れる術はない」「残された刻を知りたくば、自らの爪に聞け」と、正人が話していた言葉を口にして、去っていく。
健吾と別れて弘樹がアパートに帰ってくると、ドアの前に愛美が立っている。
弘樹の部室での様子がおかしかったから、と愛美がいい、悩みがあるなら言ってね、と言って帰ろうとする。
弘樹は礼をいい、どうして?と尋ねると、愛美は、友達だから心配、と答えて、帰ってしまう。
弘樹が部屋の中に入ると、部屋の中が焦げ臭いことに気づく。
壁から床にかけて、人の姿をかたどった焦げ跡ができている。正人が飛び降りたビルの屋上にあった焦げ跡と同じだ。
焦げ跡の中から変な音が聞こえてきて、黒い腕が見えた。
そして、あなたは誰?という女の声が聞こえてきた。
弘樹には、正人の最後の電話の意味がわかった。正人は、この問いに答えるために、名乗ったのだ。
黒い焦げ跡から、黒い女が出てくる。目を合わせちゃいけないと思いながら、弘樹は視線をはずすことができない。
そこへ、ケータイが鳴り始める。
弘樹がケータイをとると、香織からだった。
弘樹が部屋の中を見ると、黒い女は消えていたが、壁にはうっすら黒い焦げ跡が残っていた。
弘樹が焦げ跡を触ると、炭を触ったように黒くなった。
あれは幻覚ではないのか?
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