今日の428 ~封鎖された渋谷で~はどうかな?
タマ編 11:00
今日のバイト代が絶対に必要で、ネコの着ぐるみのバイトをしている乙女のタマは、ダイエット飲料のバーニンング・ハンマーの試供品を配っていた。
TIPS:試供品
化粧品や薬品の品質・効果をためしてもうらうために、企業が無料で配布する完成済みの商品のこと。一般的にはお試しやサンプルと呼ばれたりする。街頭で無料配布する以外に、店で販売する商品に別の商品の試供品を付けることもある。商品を買わずに試供品だけを持ち去る行為は犯罪なので、してはいけません。
「痩せる、痩せる、飲むだけで、ゲキヤセ間違いないでーす!」
自分でも胡散臭いと思いながら、声をかけるタマ。
TIPS:胡散臭い
怪しかったり疑わしかったりすること。ついでに言うと「胡散」は何百年前にはハイになる成分が入っていて、当時のぺるしゃではこれがいろんな料理に使われていたようだ。
目の前を二人の男が通り過ぎようとしている。
A:左のサラリーマンに押し付けた
B:右の薄汚い格好の男に押し付けた
男は目を逸らして、ポケットに試供品を突っ込んで去っていった。
もう一人のバイトのニワトリは、「本日午後1時より、野金ビルにて即売会を行います」を言いながら、意外と手渡しに成功していた。
時計を見ると11時過ぎ。即売会の会場に移動する準備をしなければならない。
「そんなに余ったの?」と女性の声のニワトリが声を掛けてきた。
「あんたさぁ、ちゃんと相手を見てる?女の子グループとか、ヒマそうなおばさんとか、そういうとこ狙っていかないと。しょうがないなぁ、余ったの全部、私によこしなさい。配り切れなかったのバレないように、残ったの全部飲んでいてあげる。」
「すみません、助かります」と言いながら、深々と頭を下げるタマ。
ニワトリとタマは、センター街にある野金ビルへと向かった。
TIPS:野金ビル
渋谷区宇田川町の商店街、渋谷センター街にある雑居ビルのこと。ダイエット食品の即売会の他に、外資系の警備会社日本セルコム、IT業界の老舗渋谷オンネット(SON)、ゲーム開発会社心大交易社、月刊誌カガクの逆襲を発行する逆襲研究者など、いろんなテナントが入っている。
午後からはダイエット飲料バーニング・ハンマーの即売会が行われる。
このアルバイトは日給1万円だが、即売会でバーニング・ハンマーが100個以上売れれば、さらに1万円上乗せという約束になっている。
そのためには絶対に100個売るしかない。私はすぐにでも2万円必要だった。
古ぼけた雑居ビルの一室がバーニング・ハンマーの即売会場だった。
すでに椅子が50席ほど並べてある。
客席の先方にステージが作られており、タマはここでバーニング・ハンマーを試飲し、効果を説明するのだ。
タマとニワトリはお弁当が置いてある控室へと向かった。
ニワトリの背中のファスナーを下ろすと、中からまるまるとした卵のような女の火とが出てきた。
タマも、ファスナーを下ろしてもらおうと女性に頼むが、ファスナーが壊れていて脱げない・・・
女性は、大杉知里子、通称チリと名乗った。
チリは、タマがお弁当を食べれらないことに気付き、自分が食べてあげる、と言い出して、食べ始めた。
タマは、背中のファスナーが壊れていても、頭の被り物を脱げるのでは?と思い立つ。
A:思い切り被り物を両手で引っ張った
B:激しく頭を前後に揺さぶった
C:チリに頭の分をはずしてもらうよう頼んだ
いくら引っ張っても取れない。
どこかにぶつけたようで、後頭部に鈍い痛みを感じた。
チリは、体の部分とくっついているから頭を取れない、と告げた。
チリは、自分の持っていたストロー付きのペットボトルにお茶を注いでくれて、タマに手渡した。
タマはそれでお茶を飲むことができ、生き返った心地に浸る。
チリは、自作のプロテインジュースを入れていた、と話す。
TIPS:プロテイン
Protein。タンパク質という意味だが、日本ではタンパク質を主成分とし、ビタミンやミネラルを加えた粉末状の栄養補助食品を指すことが多い。牛乳などに溶かして飲む。食事の代わりにコップ1杯飲むのがプロテインダイエット。お茶の代わりに飲んでいたら基本的に太ってしまう。
チリは、「いろいろ試しているけど、今のところはダイエットにはプロテインが一番ね。だけどこれは、インチキ商品ね」と、バーニング・ハンマーに目をやりながら言った。
「身体の脂肪は運動で燃焼されるの」
TIPS:燃焼
脂肪燃焼には、ゆっくりした速度であまり力を使わない有酸素運動が適している。20分ほど運動を続けていると、血中の糖分が燃焼し、脳から脂肪を血中に送り込む指令がでる。それで脂肪は燃焼する。ゼエゼエと息が切れるような無酸素運動では効果がない。
「だから、食べながら痩せるなんてありえないのよ。だけど仕事は仕事だから、どんなインチキ商品でも、売れって言われたら売るけどね」
「待ってください!必ず返しますから!」
突然、悲鳴のような声がドアの外から聞こえてきた。
間違いなく雇い主である柳下純一の声だった。
チリと並んでドアを開け、外の様子を覗き見ると、ガラの悪い男2人の前で、柳下が土下座をしていた。
「もう少し待ってください。これ売れたら返しますから」
柳下の手元にあるのはバーニング・ハンマーだった。
どう見ても借金取りと債務者のやり取りだった。
TIPS:債務者
一定の給付行為を他社(債権者)に行わなければならない義務を負った人のこと。ふつうは借金を背負った人間に対して使用される。
襟首を掴まれた柳下が床を引きずられていく。
残されたチリはすでに荷物を片付け始めていた。
「じゃあね、お疲れ様」と言って、チリはそそくさと会場から去っていった。
誰もいない会場に一人残されたタマは、途方にくれるばかりだった。
BAD END No.11 バイト終了
会場に突然やってきた借金取りたちが、社長の柳下を連れ去ってしまい、バイト代がもらえなくなってしまった。少し前の時間、誰かが借金取りたちに即売会場である野金ビルの場所を教えなければ、柳下が捕まることもなかったかもしれない。ある人物の11:15の行動を変えてみよう。
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