今回の月舘の殺人はどうかな?
屋敷で殺人を犯した日置は、通用口から幻夜の自分の部屋の窓から、凶器などを入れたリュックを投げ入れた。
その後、自分も窓から部屋に戻ろうとしたが、新雪のせいで窓によじ登れななった。
3時24分のヤオイ信号場通過の際の汽笛が鳴る中、空海は薬のせいで夢遊状態でトイレに行く。
同時刻、窓から幻夜に戻れなかった日置は、トイレの前の乗車口から幻夜に戻ろうとしていた。
日置が扉を開けて手を入れたとき、それを見た空海がパニックを起こし、乗車口の扉に体当たりする。
扉から突き落とされ日置だが、手に持っていたナイフが偶然自分の腹に刺さってしまう。
なんとか自分の部屋の窓から部屋に戻った日置は、腕時計を踏んで壊してしまう。
自分の腹からナイフを抜いた日置だが、そこで事切れてしまう・・・
日置が殺人を始めるようになったのは、持っていたストラップから推測するに、新幹線品川駅開業の時、ホーム転落事故がきっかけだろう。
自分の父親は鉄道オタクに殺された。迷惑な鉄道オタクは殺されてもいいんだ、と思うようになったのだ。
空海は、偶然とはいえ自分が日置を殺した、と泣き出すと、一行は、あのまま日置が幻夜に戻ってたら真っ先に空海が殺されたし、さらなる殺戮を未然に防いだヒロインだ、とほめたたえる。
中在家から、十蔵が死の間際に握り締めていた木製のプラレールは、十蔵が初めての小遣いで買ったもので、空海にクリスマスプレゼントに贈ろうをしていたことと、十蔵の遺言状はできており、空海が全財産を相続することになっている、と言われる。
一行は、空海に、帰りも一緒に鉄道に乗ろう、と言って、いろいろプランを立ててくれたので、空海も、乗ってみたい、と答える。
やがて警察が到着する。
一昨日発見された身元不明死体は、日置健太郎だった、とラジオが伝えている。
今回の月舘の殺人はどうかな?
母屋から渡り廊下に移動した一行。
渡り廊下の先にある扉には、電子錠が掛けられており、暗証番号を知っているのは、十蔵、執事、車掌の3人だけとのことで、犯人は屋敷での殺人を行ったあと、通用口が出た。
通用口のドアノブには血が付いており、鍵はかかっておらず、通用口をあけると幻夜がすぐそこに見える。
通用口から、幻夜のスタッフ室まで足跡が続いているが、それは幻夜に7時まで残っていた暗証番号を知らない乗員たちが屋敷に戻ってきたときのものだ。
目をこらすと通用口から、幻夜の寝台車の方に続く足跡を発見する。これが犯人のものだ。
屋敷で犯行を行ったあと、犯人は寝台車のドアから幻夜に戻ろうとしたが、入れなかった。その時刻はヤヲイ信号場で汽笛の鳴った3時24分だ、空海がつぶやく。
寝台車の手前の雪の下から、血痕が見つかる。
犯人は1時40分に日置を殺して、日置の部屋の窓から外に出る。
そして屋敷で十蔵と使用人たちを殺して、同じルートを戻ってきた。
しかし、寝台車のドアから入らなかったので、日置の部屋の開いたままになっている窓によじ登って、日置の部屋に戻った。
でも、日置の部屋は内側から鍵が掛かっていた。犯人はどうやって部屋の外から鍵をかけたのだろうか?
一行はもう一度日置の部屋に戻る。
空海は、日置の壊れた腕時計が、殺害時に壊れたのではなく、もともと止まっていた、と言い出す。
ピアノバーでの日置は、腕時計が止まっていたから外しており、ケータイで時間を見ていたのだ。
空海は、日置の車に乗せてもらった時、腕時計が20時10分のように見えたが、実は1時40分で止まっていた、と話す。
日置の殺害時刻が1時40分ではないとのことだが、その時刻に今福が聞いた物音はなんだったのだろう?
今福のもう一方の隣の部屋にいた杉津が、自分が扇風機を取り外しそうとして、椅子から転落したことを思い出して、その時の音だと、一行に話す。
杉津が2時に日置の部屋をノックしたときに返事がなかったのは、すでに死んでいたからではなくて、日置が部屋にいなかったからだ。
そう、屋敷で殺人を起こしたのは日置だ!
日置は、十蔵を襲った時に、幻夜の切符を見せたのだ。
それで十蔵は、「お前はまだ幻夜に乗っているはずだろうが」と言ったのだ。
そして日置は、十蔵の顔と、SL山口号の写真を見て、父親を突き落とした犯人が十蔵だと気づいて、「なんだおまえがあいつだったのか」と言ったのだ。
日置の荷物を調べると、血の付いた懐中電灯、靴、手袋、目出し帽、凶器を発見する。
それから脱ぎ捨てられた日置の上着から、連続殺人犯が現場に残していたカードが数枚と、幻夜の招待状が見つかる。
日置が、鉄道オタクにとって貴重なお宝を壊していることから、招待された日置とは別人だ。
本物の日置は、昨日発見された身元不明の死体だろう。
ニセモノは、十蔵たちを殺すために、本物から招待券を奪って殺し、本物に成りすまして幻夜に乗り込んだのだ。
じゃあ日置を殺したのは誰なのだろう?と一行を思っていると、空海が、「自分が殺したんです」と言い出す。
今回の月舘の殺人はどうかな?
犯人が鉄道オタクじゃないことが気づいた空海は、一行が本当に鉄道オタクかどうかエピソードを聞かせてもらう。
乗りテツの杉津は、全国の鉄道路線を踏破して、全駅を乗り降りするのは当たり前だが、駅の設備すべて使い切るルール(売店での購入、駅そばでの飲食、ベンチに寝転ぶ、公衆電話で実家にワン切り、コインロッカーやトイレや水飲み場の使用)も追加しているおかげで、今年のテツオブザイヤーを獲得し、幻夜に招待された、と話す。
テツオブザイヤーは、その1年にすぐれた実績を残した者のことで、毎年12月に十蔵から幻夜を含む鉄道館に招待されるのだ。
時刻表テツの沼尻は、時刻表を丸暗記しているだけでなく、JRダイヤの欠点を省いた理想のダイヤを考案し、それが次回のダイヤ改正時に一部正式採用たことで、今年のテツオブザイヤーに選ばれた、とのこと。
コレクションテツの今福は、切符コレクターだったが、そのうち券売機が欲しくなり、駅員に交渉するも断られたことから、なるべく金も使わず、他人に頭も下げないでコレクションを増やすというルールを設けたとのこと。最終電車のパンタグラフをはずして持ち去ろうとして、駅員に取り押さえられ、今年のテツオブザイヤーを獲得したとのこと。
撮りテツの中ノ郷は、山口線の駅に車を置いており、毎週末東京から新幹線で山口線へ行って、車で写真を撮りに来ている。通算2000日で、やっとテツオブザイヤーを獲得したとのこと。
模型テツの竜ヶ森は、両親と同居している30坪の一戸建てに実物に直して総延長500kmのNゲージを走らせていることで、テツオブザイヤーを獲得したとのこと。
鉄道考古学テツの日置は、話したことはないが、テツオブザイヤーに選ばれるくらいだから、現在最古の鉄道橋よりも古い鉄道橋を見つけたヤツだろう、と乗客たちは想像する。
空海は、乗客たちの非常識なエピソードを聞いて、中在家に、いくら相続の条件だとしても、そんな相手と結婚することができない、と告げると、中在家は、相続の条件は、空海が鉄道館を保存し管理することだけだ、と答える。
乗員や使用人たちは鉄道オタクほどではないが、コレクションを汚したり壊したりするような人間ではない、と言い張るが、幻夜は走っていないので、幻夜を抜け出し屋敷に出入りすることは充分可能だ。
その時、中在家の手帳から幻夜の切符が落ちる。
中在家も、幻夜に乗る予定だったのだ。
そして、空海は、昨夜見た夢は現実のことだったと確信し、事件の全貌が見えたため、一行を連れて幻夜に戻る。
今回の月舘の殺人はどうかな?
中在家は、転落事故で亡くなった男性の名前が思い出せないが、小学校に上がる前くらいの息子がいた、と言い出す。
事故は19年前の1985年秋とのことで、息子は今25歳くらいなので、乗客の年齢を確認する。
杉津:30歳
沼尻:24歳
今福:35歳
竜ヶ森:23歳
中ノ郷:40歳(運転免許でも確認ずみ)
息子ではなく家族かも、ということで、小本も妻ではないかと疑われるが、足を捻挫しており犯行は不可能だった。
とにかく物的証拠を探すため、皆そろって屋敷を捜索することになるが、犯人は、屋敷内のすべてに部屋を見て回ったらしく、いたるところのドアノブに血がついている。
そして、返り血を洗ったらしく、トイレの洗面台が血で汚れていた。
さらに探索すると、犯人は、返り血がついたまま、そのへんを触ったらしく、展示していた客室乗員の制服も血で汚れており、憤慨する一行。
空海は、護身用に、と調理室から果物ナイフを取りに行き、一行とはぐれてしまう。
空海の背後に鈍器を振り上げた男が現れたため、空海は悲鳴をあげ、鞘のついたままの果物ナイフで応戦する。
空海の悲鳴で一行が駆けつけると、盗んだ乗車日付機を持った今福と鞘のついた果物ナイフを振り回す空海の姿があった。
今福は、明治時代の乗車日付機を見つけて、底に何か書いてあるか確認するために、持ち上げただけだ、と答える。
今までの犯行にはナイフが使われていることから、今福は犯人ではなさそう、と判断される。
廊下に貼ってあった、駅名票がナイフで傷つけられているのを発見する一行は、またもや憤慨する。
鉄道備品を汚したり傷つけることに平気なことから、犯人は鉄道オタクではない、と断言される。
今回の月舘の殺人はどうかな?
一行で推理していると、竜ヶ森がいないことに気づく。
竜ヶ森は、十蔵の死体があるジオラマ室で、プラネタリウムを付けて、Nゲージを走らせていた。
空海は、このジオラマが、十蔵が設定した幻夜の路線であることを教えられる。
十蔵の遺体が、木製のプラレールを握っていることに気づく一行。
十蔵は即死ではなく、犯人に刺されたあとまだ息があり、木製のプラレールを握って、犯人を示そうとしていたのだはないか?と考える一行。
犯人は、十蔵を刺したあと、わざわざ引きずってジオラマの上に乗せ、逆S字の書かれたカードを置いたのだ。
空海は、逆S字が、壁にかかっているSLやまぐち号の線路のSカーブの写真と同じものであることに気づく。
SLが旧客であることから、この写真が1985年の秋に撮影されたものであることが、一行にはわかった。
この日、中ノ郷は、この列車の写真を撮ろうとして、こことは撮影ポイントで場所取りをしていたが、三脚を捨てられたことを思い出す。
中ノ郷は、この写真の撮影場所は下り坂で汽車の煙が出ないので、普通は撮影場所に選ばれないはずだが、なぜか写っている汽車はきれいな煙が出ていることに気づき、十蔵が煙をムリヤリ出させていると言い出し、一行は十蔵の偉業に感銘を受ける。
中在家が、この撮影日に撮影ポイントで転落事故が起こり、男性が亡くなったため、十蔵が警察に事情を聞かれたことを思い出し、一行にそれを伝える。
そして、亡くなった男性には子供がいた、と教えてくれる。
犯人が言っていた「あいつ」は、この写真を撮影した十蔵だと気づく一行。
今回の月舘の殺人はどうかな?
隣の家まで5~6kmあるとのことだが、料理人兼ピアニストが、エゾシカ狩で山歩きに慣れているから、と言って名乗りを上げる。
犯人で逃走する可能性があるかもしれないが、空海が了承して、連絡を取りにいってもらう。
残った一行で、事件の検証を始める。
犯人は、まず幻夜で1時40分に日置を殺害。
その後、日置の部屋の窓から外に出て、屋敷に侵入。
そして、電話線を切り、屋敷内で十蔵と使用人たちを殺害。
十蔵殺害時刻が3時という証言から、犯人は遅く見積もって4時までに幻夜に戻ってきた。
一行にアリバイを聞く。
乗客たちは、23時33分に越冠を通過してしばらくして、解散し、1時までには皆寝台車に戻ったこと、バーテンダーが証言する。
沼尻:解散後、一人で自室におり、ダイヤを考えていた。
杉津:車内をうろうろした楽しんでおり、2時に日置の部屋をノックしたが返事はなかった。車掌と4時の定時巡回の時出会っている。その後、自室に戻ったら、うっかり眠ってしまい、目覚めたときに大騒ぎした。
今福:1時40分ごろ、自室で日置の部屋からの物音を聞いたあと、人目を避けながら備品回収と言う名目で盗みをしていた。
竜ヶ森:車内で採寸をしていたが誰に会わなかった
中ノ郷:1時30分ごろ食堂車を通って、荷物室に行き、そこで30分ほど過ごしてから、また食堂車を通って自室に戻った。その際、食堂車でサービスマンとバーテンダーに会った。
サービスマンとバーテンダー:料理人兼ピアニストもいっしょに食堂車で夜食を食べていたが、料理人兼ピアニストは途中コーヒーを淹れに10分ほど中座した。
機関士と機関助士:ずっといっしょに機関室にいた。
車掌:基本車掌室におり、2時の定時巡回をしているところをピアノバー室で盗みをしている今福に見られていた。4時の定時巡回では杉津に会った。
次は動機について一行で考えてみる。
首都圏連続殺人事件として報道されている被害者は、5人とも鉄道オタク。
日置は、幻夜に招待されるほどの鉄道オタク。
十蔵は、キングオブテツと呼ばれている重度の鉄道オタク。
使用人たちも、十蔵に使えている以上ある程度は鉄道に詳しくなっているはず。
被害者が鉄道オタクばかりのことから、犯人は、大雑把だが鉄道オタク全員へ恨みがあるのでは?と考えられた。
杉津が、新幹線品川駅開業の時、鉄道オタクの子供が、線路に突き落とされる瞬間を見た、と話す。
今回の月舘の殺人はどうかな?
十蔵が倒れている鉄道ジオラマが、突然ガタガタと音を鳴らしながら揺れ出し、ジオラマの下から、メイドの小本が這い出てくる。
一行は、唯一の生存者の小本から、月舘で何が起こったかを聞き出す。
昨晩、小本が調理室から2階にいる十蔵の部屋にミルクを届けた帰り、さっき入れ違いで十蔵の部屋から出て行った執事の室木が血まみれで、犯人に廊下を引きずられていく場面に遭遇する。
当時足を捻挫して走ることができない小本は、そのまま十蔵の部屋に引き返す。
犯人も十蔵の部屋に入って来たので、小本は思わずジオラマの下に隠れる。
その時、隣の部屋にいた十蔵が出てきて、犯人に遭遇する。
十蔵は「なんで今ここにいる!お前はまだ幻夜の乗っているはずだろうが!」と犯人に声を掛けた瞬間、犯人に刺殺されてしまう。
犯人は、床に倒れている十蔵をわざわざジオラマの上に乗せ、Nゲージを動かしながら、「轢死体だ!」と言って笑いだす。
それから、犯人は、何かに気づいて「なんだ、お前だったのか」と言いながら、部屋を出て行き、その瞬間、小本は意識を失った。
月舘到着時間になったため、幻夜の乗員たちが、月舘に戻ってくる。
十蔵の発言から、犯人は幻夜に乗っている人物であることが判明。
一行は、小本にさらに昨夜の状況を聞き出す。
犯人は目出し帽をかぶっており顔は見えなかった。
時刻は、ちょうど時計が鳴ったところで、午前3時だったとのこと。
十蔵の設定では、日置が殺された1時40分は、1時34分の留津の通過直後で、十蔵が殺された3時は、2時40分に上下越を通過し、3時24分にヤヲイ信号機に着くまで間とのこと。
空海は、中在家から、この屋敷は十蔵の鉄道趣味に埋め尽くされており、鉄道館と呼ばれていることと、24歳だったみずほがパイロットとの結婚を反対されたことで家出したことを、教えてもらう。
空海は、サービスマンから、寝台車の洗面所に忘れていたと言われて、腕時計を渡されたことで、昨夜見た夢は現実であったことに気づく。
今回の月舘の殺人はどうかな?
幻夜の運転室では、機関士と機関助士の二人は、まだ運転していた。
十蔵の設定では幻夜は途中下車禁止なのだ。
寝台室では、バーテンダーと料理人兼ピアニストが寒さに震えていた。
サービスマンがドアを開けて、アライグマの餌付けをしているせいだ。
十蔵の設定に反しているので、サービスマンのやっていることは十蔵にバレた場合クビになる可能性がある。
同じころ、月舘に月舘家の顧問弁護士の中在家が到着する。
中在家はセルシオを諦めて、一度家に戻って別の車に乗りなおしてきたのだ。
みんなは状況を知らない中在家に、幻夜で日置、月舘で十蔵と2人の使用人が殺されていることを告げる。
そして、犯人は、首都圏で去年から起こっている連続殺人の犯人だろう、と告げる。
一行は、屋敷に他に電話がないかを探しへ始めると、料理人と魚沼と執事の室木の死体を発見する。
屋敷にはメイドがいるので、そのメイドが見つからない。
屋敷内の電話線はすべて切られており、ケータイも圏外、そして大雪のため外に連絡を取ることができない・・・
当然、犯人も外に出ていけるはずもなく、この屋敷にまだいるはず。
7時になり、幻夜が月舘の到着する時間となった。
竜ゲ森は、鉄道ジオラマの上に仰向けに倒れている十蔵の死体にぶつかり続けるNゲージに気づき、スイッチを切る。
今回の月舘の殺人はどうかな?
冒頭で、SLの写真撮影トラブルで崖から落とされた父親は、頭から出血していた。
幻夜を降りて屋敷の中に入った空海は、事情がさっぱり呑み込めない。
車掌から、ここが月舘だ、と言われて、空海は、母親の旧姓が月舘であることを思い出す。
さらに車掌から、ここが空海の祖父の月舘十蔵(つきだて じゅうぞう)の屋敷だ、とも教えられる。
事情が呑み込めない空海は、乗客たちから、幻夜が運転試験装置を使って、車輪は動いているが、列車はその場から動いていない状況を作り出していた、と教えられる。
そして、幻夜には十蔵が決めた設定があり、乗客・乗員はそれに沿って、旅をしていたとのこと。
十蔵に話に行った車掌から、屋敷に誰もおらず、屋敷の電話線も切られている、と言われる。
空海は、乗客たちから、乗員は全員、十蔵の家の使用人だと教えられる。
そして、稚瀬布の駅員は、実は料理人兼ピアニストだった、とも教えられる。
屋敷の中に列車やシートなど鉄道ファン垂涎の品々が展示しているため、乗客たちは各々屋敷内を見学し始めるが、使用人2名の死体を発見する。
やがて2階で、十蔵の死体も発見される。
今回の月舘の殺人はどうかな?
首都圏連続殺人の犯人のサインを発見したことで、探偵をしている日置が犯人の何かを掴んでいたせいで殺されたのでは?と思われた。
さらに日置の部屋を調べると、日置の部屋の鍵と、1時40分で止まっている腕時計を発見した。
それを見た今福は、1時40分くらいに隣の日置の部屋で大きな音がした、と言い出す。
杉津も、一番端の部屋の間取りが違うでの、部屋を見せてもらおうと、2時ごろ日置の部屋をノックしたが、返事がなかった、と話す。
空海は、密室殺人だと気づき、車掌にカギのことを尋ねると、マスターキーは車掌が持っており、他に合鍵はない、と答える。
空海が、車内に犯人にいるかもしれないので、点検したほうがいい、と言い出すと、他の乗客たちは、車内見学ができる、とはしゃぎ始める。
ピアノバー車、ブルマン車、個室、食堂車、厨房を点検すると、空海は、料理人がどこかで見たような気がする。
バーテンダーが、ピアニスト兼料理人だと教えてくれるが、空海は、他でも見たような気がしてならない。
荷物室、調理準備室、キューポラ、工作室と、点検していくが、乗客たちは写真を撮って大はしゃぎ。
荷物室では、サービスマンが、あらいぐまのエサを窓からばら撒いており、車掌に、ルール違反だと注意される。
先頭の機関車は行き来ができないため、列車無線で確認するが、別に異常はない、との返事だった。
現在、幻夜に乗っているのは、乗客6名と乗員6名の計12名だ。
乗員
車掌:川俣孝夫
機関士:宮田一郎
機関助士:添田二郎
サービスマン:三国信一
バーテンダー:唐津勘助
ピアニスト兼料理人:倉吉修
後ろの車両に戻ると、乗客たちはスタッフ室を見たいと言い出しので、見学させてもらう。
すべての車両を見たが、誰も隠れていなかった。
あとは、寝台車の個室だけ。
4号室:竜ヶ森→Nゲージを走らせていた
5号室:沼尻→ダイヤグラムを書き留めるための方眼紙に、空海と俺のラブ♡ダイヤを書いていた
6号室:中ノ郷→写真整理中で、写真が散らばっていた。奥さんの写真もあったが、趣味のせいで離婚された、とのこと。
7号室:空海→代表として車掌だけに見てもらうが、特に問題はない。
8号室:杉津→洗濯物を乾かそうとして、ムリヤリ天井に付いてた扇風機を下に向けたため、扇風機が外れかけていた。
9号室:今福→列車の備品の盗品が発見されたので、車掌に没収された。
10号室:被害者の日置
サービスマンが、月舘にまったく連絡がつかないと、車掌に連絡してきたため、幻夜を降りることになる。
走行中の列車から、どうやって降りるのかと空海が心配するが、最後尾のドアを開けると、屋敷の玄関に続いていた。
今回の月舘の殺人はどうかな?
4:31
空海は自室のベッドの上で目覚めた。
通路では、杉津が、途中で寝てしまって後悔の雄たけびをあげていた。
その声で、中ノ郷と沼尻が起きて自室から出てくる。
続いて、今福が、寒いと言って自室から飛び出てくる。
冷気は10号室の日置の部屋から流れてきているようだ。
ドアをノックするが日置はいないらしく、返事がないし、ドアに鍵はかかったまま。
車掌を呼び、日置の部屋のドアを開けてもらうと、部屋の窓が割れて雪が吹き込んでおり、ベッドの上の血だまりの中で日置が死んでいた・・・
車掌と獣医の今福で、日置の死亡を確認する。
杉津が、部屋の中を確認すると、連続殺人事件の現場に落ちていたものと同じカードを発見する。
今回の月舘の殺人はどうかな?
日置が花婿候補じゃないと知った空海は、気落ちして次の駅で降りる、と言い出すが、車掌から、幻夜はノンストップの特別急行なので途中下車は許されない、と言われてしまう。
その時、日置がケータイを見ながら、23時20分だ、と告げる。
日置のケータイについている新幹線のストラップを見た乗客たちは、2003年10月1日の東海道新幹線の品川駅開業のイベントの記念品であることに気づき、指摘する。
日置は、鉄道考古学テツだった。
鉄道談議に花が咲いているうち、数年前に山口線の旧客で事故があった話と、有狩トンネルの話と、ヤヲイ信号機の話になる。
ヤヲイ信号機の話は怪談話だった。ヤヲイ信号機は見通しの悪い無人踏切のため汽笛吹鳴標識があり、汽笛がボエーッとなる場所なのだが、そこで死んだおばあさんが、列車にずっと付いてきて窓から中を覗き込んで、青白い手を窓にかけて、というところで、怪談嫌いの空海が泣き出してしまう。
空海は自室に戻ってしまい、場が白けてしまったので、乗客たちも自室に戻る。
12月26日 日曜日
1:17になったが、母親が死んでから不眠気味の空海は眠れず、常用している睡眠薬を飲む。
風邪薬と睡眠薬の併用のせいか、空海は、トイレに行く途中に、子供の時に名前でいじられた思い出(空海なので、クウカイお経を読めと言われた)や、ヤヲイ信号機の窓から覗き込むおばあさんの幻覚や、父親が死んだときの思い出が見えだす。
汽笛がなった時、乗車口の扉が開き、手が車内に入ってきたため、パニックになった空海は扉に体当たりすると、相手は悲鳴を上げる。
空海が正気に戻ると、自室のベッドの上だった。
今回の月舘の殺人はどうかな?
6人の男性客の中から、結婚相手を選ばないといけないと思い込んでいる空海だが、彼らの態度はサイテーだった・・・
杉津はパンが大好物とのことで、食事で出されたパンを持ち帰ろうと、袋にパンパンに詰め込んでる。
竜ヶ森はイチゴタルトの皮が嫌いとのことで、イチゴタルトをグチャグチャに崩して中のイチゴだけほじくり返して食べている。
今福は記念に、とティースプーンを盗んでポケットに入れている。
沼尻は猫舌とのことで、食後のホットコーヒーに氷をぶち込んで飲んでいる。
中ノ郷はメニューをじっくり見ているわりに、頼むのは結局ジュースだ。
特に欠点のない日置を結婚相手に決めようした空海は、友人に相談するためケータイを掛けようとするが、圏外だった。
風邪気味の空海は、風邪薬を飲む。
食事が済むと、男性客はピアノバー車へ移動する。
風邪気味の空海は早めに寝ようと個室に向かうが、個室の手前がピアノバー車だったので、男性客に捕まってしまい、バーでみんなと雑談する羽目になってしまう。
空海は、ピアノバー車に置いてある本がミステリー本ばかりであることに気づく。
バーテンダーが、自分の趣味だ、と言うと、乗客たちは、最近起こっている首都圏連続殺人事件について雑談を始める。
首都圏連続殺人事件は、去年から起こっている無差別殺人事件で、昨日発見された人を含めて、被害者は5名。
中ノ郷が、2番目の被害者が『踏切番長』だというと、本名だからわからなかったが、男性客の間を含め鉄道マニアの中でかなりの有名人だった。
それを聞いた沼尻は、3番目の被害者が、使用済み通学定期券収集の第一人者だ、と話し、続いて、杉津も、最初の被害者が、車両配色百科を自費出版した人物だ、と話した。
男性客は、もしかして、被害者は「テツ(鉄道マニアというか鉄道オタク)」繋がりの連続殺人では?と言い出す。
連続殺人というからには、事件には何らかの共通点があるのでは?と、バーテンダーが言うと、日置が、警察は発表していないが、毎回死体のそばにカードが残されている、と教えてくれると、無線傍受をしている警察マニアの友人から同じことを聞いた、と杉津が、カードに書かれた模様を、コースターの裏に書いて皆に見せてくれる。
それは「S」を逆さにした「乙」みたいな模様だった。
みんなで、模様は何を意味しているのだろう、と推理しあっている、杉津がグラスをこかして、グラスの中身を沼尻にぶっかけてしまい、殴りあいに発展しそうになる。
みんなで二人をなだめるが、今度は、杉津が沼尻の時刻表に指が当たったところ、新品だったせいで紙で指を切り、もめごとが再燃してしまう・・・
そして、今福がジュースを飲んだところ、突然吐き始める・・・
毒入り!とみんなが驚いていると、中ノ森が持病の薬を間違えて今福のグラスの入れてしまったことが判明。
また、竜ヶ森がメジャーでそこらへんを測定中に、偶然メジャーが中ノ森の首に絡まり、首を絞めてしまう・・・
そして、今福がまたもや備品を盗もうとしていたので、みんなで取り押さえて盗品を出させると、出るわ出るわ・・・なぜかネジも盗んでいる。
今福がネジを外したせいで、ピアノバー車のドアが外れて空海の方に倒れてくる。
日置が手を引っ張ってくれたので、空海は無事だったが、逃げ遅れた杉津が下敷きになってしまう。
幸いケガのなかった杉津は激怒して、今福に向かっていく。
男性客が無茶苦茶過ぎて、空海は、日置となら結婚してもいいな、と内心思うが、日置は、自分は資格がない、と言い出す。
日置が自分の結婚相手候補ではなく、祖父が雇った自分のボディガードだった、と思い込んだ空海は落ち込んでしまう。
今回の月舘の殺人はどうかな?
生まれた初めて列車に乗った空海は、日置から、幻夜の車両はオリエント急行で、それを引っ張ってるのは蒸気機関車のD51、と説明を受けるが、空海には何こっちゃかわからない・・・
車内アナウンスで、終点の月舘到着は明朝7時の予定と聞いた空海は、列車で10時間以上かかるってことは、月舘は北海道のどのへんにあるのだろう?と疑問に思う。
車内を歩く空海と日置は、車掌と出会い、検札のあと個室の鍵をもらう。
空海は7号室で、日置は10号室だ。
車掌から、21時30分から食堂車でディナーがあると言われる。
幻夜号の車両編成
先頭:D51+荷物車+食堂車+ブルマン車+ピアノバー車+寝台車+スタッフ車
空海は個室に戻り、祖父から送られたドレスに着替えてから、食堂車に向かうと、タキシードを着た男性6名がすでに座っていた。
サービスマンから、「みなさま、お揃いですね」と声を掛けられたことで、空海は、この列車には7名しか乗客がいないことに驚く。
日置が、縁が会って幻夜に乗り合わせたのだから、自己紹介をしましょう、と言い出す。
①日置健太郎 26歳 探偵事務所勤務 千葉在住
②今福健至(いまふく けんじ) 35歳 獣医 独身 埼玉県大宮市在住
③中ノ郷清(なかのごう きよし) 40歳 機器メーカーエンジニア 東京在住
④杉津治彦(すいず はるひこ) 30歳 フリーター 独身 京都在住
⑤沼尻孝一(ぬまじり こういち) 24歳 市職員 独身 新潟在住
⑥竜ヶ森集(りゅうがもり しゅう) 23歳 一応大学に籍は残っている大学生 鎌倉在住
⑦雁ヶ谷空海 18歳 高校3年生 沖縄在住
雑談の最中に、空海が列車に初めて乗ったことを知った他の乗客は、どうして幻夜に?と驚愕する。
その剣幕に恐怖した空海は、思わず、祖父が切符を買ってくれた、と白状してしまうが、みんなも、祖父から幻夜に招待された、と口々に言い出す。
それを聞いた空海は、祖父が、7人を招待するために列車を貸し切りにできるほどのお金持ちだと知る。
そして、中在家から相続には条件があると聞かされていた空海は、この6人の男性の中から結婚相手を選ぶものだと思い込んでしまう。
久しぶりのミステリーを読みたくなって、漫画の月舘の殺人の読書開始!
汽車を見に来た親子が、写真を撮るため場所取りをしていた鉄オタたちとトラブルになり、父親が崖から突き落とされてしまう・・・
子供が父親の安否を心配している横で、鉄オタたちは夢中で、汽車の写真を撮り続けていた。
沖縄の那覇で暮らしている高校生の雁ヶ谷空海(かりがや そらみ)は、両親を亡くして天涯孤独の身の上だ。
空海の母親のみずほが異常に電車を嫌っており、空海が友達とモノレールに乗って遊びに行く予定があったり、修学旅行で電車に乗る予定があったりすると、母親は仮病を使って、母親の看病という名目で空海の予定を潰していた。
おかげで、空海は生まれてから一度も電車やモノレールに乗ったことがないのだ。
空海の母親が死んでから2か月経った頃、空海の家に、北海道から弁護士の中在家(なかざいけ)が訪ねてくる。
みずほは空海に身寄りはいないといっていたが、実はみずほの父親が生きていたのだ。
中在家から、財産相続の件で空海に相談したいことがあるので、北海道に来てほしい、と祖父が言っていると告げられる。
中在家は、相続には条件があり、話を聞いた上で受けるかどうか決めてほしい、と続けた。
中在家が、祖父と会う時に一緒についていってあげる、と言ってくれたので、空海は了承する。
空海は飛行機で新千歳空港に向かうが、飛行機に乗るのが初めてだったので、なかなか到着ロビーに現れず、出迎えに来た中在家をやきもきさせてしまう。
やっと合流できた空海は、中在家が運転するセルシオに乗って、祖父の家に向かう。
後ろの座席には、ディナーの時に着るように、と祖父がドレスを用意してくれていた。
車中、空海が中在家に母親と祖父の確執を尋ねると、事業で成功していた祖父の興味は家庭の外にあったため、みずほは家を出て東京へ行き、そこで結婚し、夫の死後に沖縄に移り住んだ、と教えてくれる。
空海は、中在家に祖父のことを教えてほしい、と頼むが、「高名な方なので調べると記事なども出てくるが、先入観を持たずに会い来てほしいとの希望があるので」と断られてしまう。
時計が19時50分を示すと、中在家が、このまでは20時40分発の列車に間に合わない、と焦り出す。
空海が時間通りに来なかったことと、大雪のせいで運転が慎重になっていることで、時間が押しているのだ。
あせって運転する中在家は、急に飛び出してきたアライグマを避けようとして、道路横の雪に車が突っ込んでスタックしてしまう。
そこへ偶然車が通りかかったので、中在家は運転手の青年に、稚瀬布(チセップ)20時40分発なので、空海を連れて行ってほしい、と頼む。
青年は、ゲンヤ号に自分も乗るから、と言って、空海を車に乗せてくれる。
青年は日置健太郎(ひおき けんたろう)と名乗り、空海からは大学生くらいに見えた。
空海が青年を観察すると、結婚指輪はしておらず、ケータイに新幹線のストラップを付けており子供っぽい印象だったが、腕時計は趣味がいいものだった。
カーステレオからは、8時10分のニュースが流れており、昨日、また連続殺人の被害者が発見された、と報道されていた。
稚瀬布駅についた空海と日置は、切符を車掌に見せる。
空海が生まれて初めて手にした切符には「幻夜乗車券 12月25日20時40分 乗車駅稚瀬布→下車駅月舘 5号車7番」と書かれていた。
- HOME -