チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 祟殺し編 #15 全ての破綻


 沙都子を背負った圭一は入り江診療所に辿り着くが、駐車場には3台くらいのパトカーが止まって回転灯を回している。
 近くの茂みに沙都子を下ろした圭一は、様子を見に行く。
 警官と、昨日監督が紅茶を入れるよう話をしていた医師が話し込んでいる。
 「じゃあ、最初に見つけたのは朝当番のあなただったと。どんな感じだったんです?」
 「事務室の所長席のソファーに座って、居眠りしているように見えました」
 「で、机の上に水差しと空き瓶になった睡眠薬があったんで、あなたはすぐに睡眠薬で自殺したんだと考えた?」
 「高熱と瞳孔の拡大に重度の意識障害も見られました。睡眠薬中毒の典型的な重症例だと思いましたので、ただちに対応に入りました」
 「警察も救急も呼ばずに?」
 「ここは病院で、私は医師ですよ!生命が危険な状態にあるなら、直ちに治療して同然です!呼吸が不正常だったの人工呼吸を施しました」
 「あーはいはい、いろいろ頑張ったけど、結局ダメだったと。通報は死んでから直ちに?」
 「はい、救うことができず、とても残念です」
 その時、パトカーの無線機がザーザーと鳴り、割れた機械的な声が聞こえてきた。
 「こちら本部こちら本部。小宮山さん、聞こえますか、どーぞー」
 「もしもし、小宮山です。睡眠薬での自殺みたいですね。遺書の類はなし」
 診療所で誰かが自殺したようだ。
 圭一が死ねと望んだら、その翌日に鷹野は死んだ。
 そして、圭一は、入江に死ねと昨日願った。
 「普段から睡眠薬を常用していたとかは?」
 「あまり知りません」
 「日頃、疲れたとか死にたいとか、そんなこと言ってました?」
 「入江先生は普段からああいう性格でしたから。とても、そんな風には・・・」
 自殺したのは入江だった!


 『俺が死ねと望めば人が死ぬ、そういう世界なんだ。なら大石は?もしも本当に俺に意思で死んだなら、あの男だってどうにかはっているはず』と圭一が思っていると、さらに無線が入ってきた。
 「そちらに応援が向かいました。課長から、そちらは応援に任せて大石車の捜索に戻れとのです」
 「了解しました!じゃあ、すみません。こっちに今、応援が来てるそうですから、現場はこのままにしておいてください」
 警官たちが、パトカーにそれぞれ分乗する。
 『大石車の捜索ってことは、あいつ、行方不明なのか!鷹野さん、監督、大石・・・俺が望むと、次の日には消える。俺の口から出た呪いの言葉は成就される』
 ぺた、という足音が聞こえた。
 しかも、それは一度だけでなく、ぺたぺたと背後から近寄ってきて、圭一の後ろに立った。


 「一体、何事なんですの」
 「うわあああ!沙都子か。脅かすなよ。具合はどうだ?」
 「まだ、頭が痛いですけど、いつまでもこんな格好で表にいられませんもの。それより、これは一体。何事なんですの。今、警察が話しているのを聞いてた限りじゃ・・・」
 「監督が自殺したらしい」
 「え・・・」
 「入江先生が睡眠薬で自殺した、ってそう聞いたよ」
 沙都子はその場に膝を突き、泣き崩れる。
 「嘘ですわ。あの監督が、自殺なんて、そんなの絶対に・・・」
 しばらくすると落ち着いたのか、沙都子は涙をぬぐいながら立ち上がった。
 罪悪感を覚える圭一は、沙都子に「すまない」と謝った。
 「どうして、謝りますの?」
 「俺、昨日、監督と、その・・・喧嘩して。お前なんか死んじまえって呪ったんだ。呪ったから本当に死んじゃって・・・」
 「圭一さんのせいではありませんわ。監督も大人ですもの。自分の命を捨てるに値する都合があって、悩んだ末に選んだんですもの。誰の所為でもありませんわ。・・・いつまでもこのままでいたくありませんわ。服が欲しい」


 沙都子は、自分の家に戻ろうとしたが、朝の通勤通学の時間になり、人が出歩いているのを見て、思いとどまった。
 「梨花の家に行きますわよ。私の服、あるはずですから」
 俯いたままの圭一に沙都子が声を掛ける。
 「どうしたんですの?監督はああ見えても大人なんですのよ?圭一さんと喧嘩したくらいで自殺するような人ではありませんわ。自分を責めるのはおよしなさいませ」
 「この数日おかしいんだ。一昨日の綿流しのお祭り、お前は途中で帰ったから行かなかったんだよな。そして、俺は祭りに行って、みんなと遊んだ」
 「らしいですわね。あの時は取り乱して申し訳ありませんでしたわね」
 「実は俺、祭りに行っていないと言ったら、信じるか?」
 「信じられるわけありませんわ」
 「信じられないだろ?信じられないは俺も同じなんだ。だって、俺は祭りに行っていないのに、俺が祭りに現れてみんなと遊んだ、って言うんだ。こんなの信じられるわけないだろ?」
 「それ、本気ですの?」
 「ああ。あの綿流しの夜から、おかしいんだ。いつの間にか、変な足音がぺたぺたと付いてくるようになって」
 「足音が、ぺたぺた?」
 「最初は気のせいだだと思ってたけど、ずっと付いてくるんだ。綿流しの日、俺は祭りに行かず、あることをしていたんだ。眠ったり意識がなくなったりしたことはなかった」
 「それはおかしいですわね。なら、どうやってお祭りで遊んだんですの?」
 「だから!俺は祭りには行ってないんだよ!!あ、ごめん。みんなが信じてくれないんで、つい」
 「圭一さんがそう言うなら、信じてあげますわ。それで?」
 「あの夜、鷹野さんに会ったんだ。それで、見下されたと思って、俺は心の中で念じたんだ。お前なんか死んじまえって」
 「鷹野さんって、どことなくそういう雰囲気がございますものね。その気持ち、わからなくもありませんでしてよ」
 「鷹野さんが死んだの、知ってるか?昨日の話だ。どこかで焼け死んだらしい」
 「それ、本当ですの?」
 「俺が死ねと願うと、次の日には死んでるんだ。それから警察の大石ってヤツも!さっき警察が話してるのを聞いたんだが、どうもあいる、行方不明になってるらしい。実は昨日、あいつにも、死んじまえって念じてたんだ」
 「それ、本当の話ですの」
 「嘘じゃない。俺だって信じたくないけど、本当の話なんだ!鷹野さんも監督も大石も、俺が死ねと念じたら、本当に死んでしまったんだ!」
 「をほ、をっほっほっほっほ!それは怖い話ですわね。圭一さんに、せめて嫌われないように気を付けませんと・・・」
 「それだけじゃない。もっと、おかしいこともあるんだ。それはお前の叔父なんだ」
 「叔父様の話は、やめて下さいましな」
 「昨日、居たんだろ?お前に家に」
 「あの人の話はやめて下さいます?」
 「ありえないんだ。あいつが、いるわけないんだ」
 「嫌!嫌あああ!」
 「あの男が綿流しの夜以降、いるわけがないんだ!だって!」
 「あの男のことはもう嫌なんですのおおおお!」
 「俺が殺したんだ!!!この手で!!!俺が綿流しの夜に、お前の叔父を殺したんだ。だからお前の家に帰ってくるなんてことは、ありえないんだ。でも、帰ってきてる!そんなことは、ありえてはいけないのだ!だから俺は、あの男を確かに殺したという証拠を確かめるために、埋めた死体を昨日、掘り返したんだ。だが、そこには死体はなかった。そして、何事もなかったかのように帰宅して、お前の前に!こんなことが、あっていいはずないだろ!お前も、俺のこと、頭が変になったって思ってるんだろうな」
 「圭一さんはきっと、偶然、呪った人が死んでしまったんで混乱してるだけに違いありませんわ。監督の自殺にショックを受けて、気が動転しているだけなんですのよ。今日はもう、学校を休んでおうちで休んだ方がよろしいと思いますわ」
 沙都子の顔に浮かぶ嫌悪感から、圭一とこれ以上一緒にいたくないがわかった。
 「沙都子をちゃんと診療所まで見送ったら、俺も帰る」
 「わたくしはもう本当に大丈夫なんですのよ!男の人に、いつまでもこんな姿を晒していたくないんですのよ!」


 境内の階段によろめき、転びそうになった沙都子に駆け寄った圭一だが、沙都子はすぐに圭一から飛びのいて離れる。
 階段を登り切った頃には、圭一は無視されていた。
 梨花の家は、町会の防災倉庫だ。
 境内にある集会所の裏をもう少し行くとあるとのこと。
 バサバサという鳥の羽ばたく力強い音が聞こえたので、振り向くとカラスだった。
 社の賽銭箱の辺りにカラスが何羽か群がっているのが見えた。
 圭一は、カラスの群がるそこへ駆け出した。
 圭一が猛然と迫るのに気づき、カラスたちは飛び去った。そして・・・
 「うわあああ!」
 沙都子が何事かとやってくる。
 梨花が、仰向けになって、大の字になって倒れていた。
 沙都子がその場に泣き崩れた。
 梨花は、腹を縦に引き裂かれていた・・・
 誰かがどこかで梨花を殺して、ここに運び、大の字に寝かせてから、腹を裂いたのだ。辺り一面は、赤黒い血の海・・・
 『俺は梨花ちゃんまで死ねなんて、願った覚えは一度だってないぞ』
 「俺じゃない、俺じゃない」
 圭一がよろよろと後退った時、新聞紙を踏みつけた。
 その新聞紙は、圭一が自分の鉈を包んでおいたものだった。
 沙都子を背負うため、圭一はずっと新聞紙を巻いた鉈をベルトに差していたのだ。その新聞紙が抜け落ちたのだ。
 新聞紙を拾ったとき、沙都子が信じられない形相をして硬直していた。
 「落ち着け沙都子。これは違うぞ。俺じゃない」
 「ひと・・ごろし・・・嫌ああああ!!」
 沙都子はヨロヨロと逃げ出した。
 「待ってくれ、沙都子!違うんだ!」
 沙都子の足取りは弱弱しかったので、圭一は追いついた。
 「鷹野さんを殺して、監督を殺して、大石さんも殺したんでございましょう?叔父様を殺そうとして、梨花まで!人殺しいいい!」
 「違う!俺じゃない!俺は殺してなんかいない!」
 「何を言ってるんですの?あなた、さっき自分で言ったじゃありませんの!死んでしまえって!それで、みんな死んでしまったんでしょう?」
 「俺は、死ねって思っただけで、別に・・・」
 「自分で何をしたか、記憶に残っていないんでございましょう?そんな人の話なんか信用できるわけありませんわ!人を殺した時の記憶が、欠落してるだけなんじゃありませんの?いや、記憶がないふりをしてるだけじゃありませんの?第一、その鉈は何なんですのよ!」
 「これは・・・」
 「ほらほら!圭一さんは、殺人鬼じゃありませんの!どうしてですの?一度は本当のにーにーかもしれないとまで思ったのに・・・」
 『少なくとも、沙都子の叔父を殺した!死体はないが、でも殺した!間違いなく!鷹野さんの死は除くとしても、監督と大石に限っては、完全に確信犯なのだ!俺は沙都子の言う通り、殺人鬼なんだろうか。この雛見沢では、ありえないという言葉こそ、ありえないんだった』


 沙都子はいつの間にか、泣きながらヨロヨロと歩いていた。
「どうして、こんなことになってしまったんですの・・・にーにーがいなくなって、ずっと寂しかったけど、圭一さんが転校して来てくれて、また、みんな明るくなって・・・楽しくなって、毎日が光っていたのに・・・どうして、こんなことに!」
 やがて沢のせせらぎが聞こえてきた。森が開け、吊り橋が姿を現した。
 沙都子は、フラフラと危なげに渡っていく。
 圭一も吊り橋に差し掛かった時、橋が大きく揺れ、沙都子はよろめいてその場に転んでしまった。
 「大丈夫か、沙都子!」
 「近寄らないで!この人殺し!どうして、こうなってしまったんですの?圭一さんのこと、大好きだったのに・・・」
 沙都子に近寄って手を差し出してやりたい圭一だが、これ以上近づくと沙都子は叫び出すので、もう近寄ることができない・・・
 「梨花ちゃんを殺したのは、俺じゃないんだ。それだけは絶対に・・・」
 「いい加減なことを言わないでほしいですわ!自分の記憶に自信が持てない人が、何を言ったって、どう信じればいいって言うんですの!!」
 「沙都子、信じてくれ。俺は人殺しじゃない」
 「では、その鉈は何なんですの?」
 「この鉈が怖いのか?じゃあ捨てるよ。それなら安心だろ?」
 圭一はそう言って、ベルトから鉈を抜き、橋から下の沢に落とした。
 「捨てたぞ。これで話を聞いてくれるな」
 「武器を捨てたくらいで、気を許しと思いまして?私を素手で絞め殺すなんて簡単でしょうに」
 「じゃあどうしたらいい。両手を頭の上に組んだらいいか?」
 「そうですわね。両手を頭の上に組んで、後ろを向いてくださいます?」
 圭一は快諾した。
 「これでいいか?俺の話を聞いてくれ」
 沙都子は、慎重に圭一の背中に近づいてきた。
 「圭一さんが悪くないのは、何となく、薄々わかっていましたわ」
 「え?」
 「多分、あなたは何か悪いものに乗り移られただけなんですの。圭一さんが、人殺しなんかするわけない。圭一さんの体を何か悪いものが乗っ取って、悪事に駆り立てただけ。あの人たちも、圭一さんと同じものに乗り移られていたのかもしれない」
 「沙都子?何の話だ?」
 「わかってるんですの。身に覚えがないわけじゃないんですのよ。何年も前のことですわ、祭具殿の屋根によじ登ったことがありますのよ。」


 沙都子は、境内でかくれんぼをしているとき、近寄ってはいけないと言われていた祭具殿の屋根によじ登り、身を隠した。
 そこで、沙都子は、通気窓の隙間から中に入れることを知ってしまう。
 沙都子にとって、祟りという言葉は充分怖いものだったが、未知の祭具殿の中への好奇心の方が強かった。
 通気窓のは外れかかった格子を外し、中に飛び降りた。
 が、期待外れのとてもつまらない倉庫であることを知った。
 外に出ようとしたが、扉は外から厳重に閉められて、内からは開けられない構造になっていた。
 外に出るには、入ってきた通気窓からしかない。だが、その通気窓は高く、とてもではないが、よじ登れそうになかった。
 天井にはたくさんの鳥かごみたいなものが鎖で吊るされていた。その吊ってある鎖は壁を伝い、垂れ下がっていた。
 やるしかない。
 鎖の束をよじ登る。そして、通気窓に手が届いた、という時、鎖の束を壁に固定したいた金具が飛び、鎖の束がものすごい音を立てながら暴れ狂ったが、沙都子は通気窓から屋根の上に抜けることができた。
 暴れた鎖の束の重みか何かで、他の金具を壊れ、吊ってあった大きな鳥かごのひとつが、ものすごい音を立てながら落下した。
 その下にオヤシロさまの御神体があり、片腕をもぎ取って、さらに周りの祭具を下敷きにした。
 その凄まじい音は境内にも聞こえたようで、何人かの子供たちが集まってきた。その中には梨花の姿もあった。
 そして、梨花の父親の神主さんも形相を変えて走ってきた。
 祭具殿に入れるカギの所在を知っているのは梨花だけなので、梨花の父親は、梨花がかくれんごでこの中に隠れていたずらしたからこうなったのだろう、と見ていて怖くなるくらい、すごい剣幕で梨花を叱り、梨花の背中を剥き出しにして、お祭り用の杖みたいなもので何度も打ち据えた。
 その時の、梨花の「ボクじゃないのです。ごめんなさい」という哀れな声が今でも耳から離れない。
 梨花は、身に覚えのない罪に、涙を流しながら歯を食いしばっていた。
 それから、世界がおかしくなった。


 「わかってるんですの、私には。これは、オヤシロさまの祟りだって。あの時、祭具殿を汚して、親友を見捨てた私への天罰だって」
 「オヤシロさまに祟り・・・」
 「父も母も濁流に消えた。意地悪だった叔母も死んだけど、誰よりも私を可愛がってくれたにーにーも私を捨てて家でしてしまった。そして、圭一さんが転校してきて、やっと楽しい毎日がやってきたと思ったのに、今度は圭一さんが憑りつかれて、梨花も殺されて・・・聞いたの、私!オヤシロさまは、本当に祟りを成すときは、本人をすぐに殺さないんだって!親しい人から順に殺して、みんな殺してから、最後に殺すんだって!だから圭一さんも祟りにやられて・・・きっと、今度はレナさんは魅音さんが祟られてしまうんですわ!そして、殺したり、殺されたり!もういや!嫌あああ!!!」
 圭一が振り返ろうとしたとき、ものすごい力で後ろから突き飛ばされた!
 バランスを崩した圭一は、沢へ転落と思いきや、最後の奇跡か、偶然にも一本のワイヤーを握る。
 圭一が沙都子を見ると、般若のような形相だった。
 「死んじゃえ、人殺し!!返してよ!にーにーを返してよ!梨花やお母さんを、圭一さんを返してよ!!うわあああ!」
 沙都子は絶叫しながら、橋をぐらぐらと揺らす。
 「私はお前なんかには負けないんですのよ!祟りなんかに負けてたまるもんですか!」
 「沙都子、これだけは聞いてくれ。俺のしたことは確かに褒められるものじゃない。だけど、お前に幸せになってほしくって、したことだったんだ。それだけは信じてくれ」
 「こいつ!最後の最後で、圭一さんのふりを!!」
 「お前に幸せになってさえもらえればよかった。俺たちは、駄目なんだ。お前が笑っていないと、駄目なんだ。だから俺が消えたら、笑ってくれ。俺が死ぬことで、新しい生活を迎えたなら、きっと笑ってくれ。それだけ約束してくれない」
 「しゃべるな!!圭一さんの口調でしゃべるな!!落ちろ!!落ちてしまえええええ!!!」
 落ちながら圭一は、こんな狂った雛見沢なんか死んじまえ、と思った。


 祟り殺し編END(終劇)


 気づくと、圭一は河原にうつ伏せになって倒れていた。
 全身のあちこちがものすごく痛い。
 自分の近くに子供が遊びで持ってきたのだろうか、車から取り外されたらしい壊れたシートがひっくり返っていた。
 うまい具合に下にあったお陰で、即死を免れたのかもしれない。
 日はまだ高く、あれからほんの1~2時間しか経っていないように見える。
 痛む体を引きずって、診療所を目指して歩き始める圭一。
 風もなく、空気もよどんでいる。さっきからずっと、卵を煮焦がしたような嫌な臭いがしつこく鼻を突く。
 そして今頃になって気づく。セミの声がないのだ。
 木々も精彩がない。木々は黄色くなり、路上には季節外れなたくさんの落ち葉を落としていた。路肩の雑草も、黄ばんだり茶けたりして勢いをなくしているし、小さな昆虫たちが何匹か、仰向けに転がっていた。
 この異臭はなんだろう。たくさんの虫の死骸と、季節外れの落ち葉を散らす木々。除草剤とか殺虫剤でも散布したのだろうか。
 さっきからこんなにも明るいのに誰とも行き会わない。
 学校の近くまで来たが、子供独特の騒ぎ声も奇声もない。ただただ静かだ。
 さらに学校へ近づくと、何台かのトラックのアイドリング音が聞こえてきた。
 そして、10人くらいの雨合羽の作業員がその荷台から荷下ろしをしていた。
 学校は営林署の建物を間借りしているので、営林署の人が作業しているんだな、と圭一は思った。
 トラックに積まれたカラフルな積み荷は、色とりどりのツギハギみたいな袋に入った結構大きなものだった。しかも重いものらしく、2人1組で運んでいる。
 いくつも何百も積み荷が、結構広い校舎全体にぎっしりと広がっていた。
 ぼーっと校庭前に突っ立ってた圭一に、雨合羽の人たちが気づいたようで、圭一を指さして盛んに言葉を掛け合っている。
 その時、後ろからトラックが2台やってきた。荷台にはシートがかぶせられているが、積み荷は満載であることがわかった。
 そのトラックが通り抜けるときに、ものすごい汚臭に鼻が曲がりそうになった圭一。
 それは蟹味噌を腐らせたような最低に臭いだった。
 その時、通り過ぎるトラックの横腹に書かれた白い文字の一部が目に飛び込んできた。
 陸上自衛隊・・・なんで、校庭に?
 「どこから入ってきた?」
 防毒マスクをかぶってボンベを背負った雨合羽の作業員に声を掛けられる圭一は、体中の痛みに顔をしかめている。
 「君は雛見沢の住民か?住所と名前は言えるか?」
 「ここに住んでますけど。名前は前原圭一です。住所は鹿骨市雛見沢村・・・」
 作業員は本部と連絡を取り始める。
 「本部、応答願います。402、生存者発見。場所は営林署入り口前。生存者は健在。全身に外傷は認められるも、生命に支障なし。自立歩行可能。これより保護し本部へ送致します」


 ジープに乗せられた圭一は、防毒マスクを付けられた。
 「あの、すみません。何かあったんですか?」
 「君はどこにいたんだ?何をしていたんだ?」
 「山に入ったところにある吊り橋から落っこちて、河原で多分気絶してました。今日が何曜日化もよくわからないです」
 「今日は昭和58年の6月22日、水曜日だ」
 圭一が沙都子に突き落とされたのは、21日の火曜日だった。
 つまり丸一日河原で気絶していたのか。
 「改めて聞くんですが、何があったんですか?」
 自衛隊員は答えてくれなかったが、ラジオを付けてくれた。


 6月21日から22日にかけての深夜。
 鹿骨市雛見沢村にて大規模な災害が発生。
 詳細はまだ究明されていないが、雛見沢村地区の某所から猛毒の火山性ガスが噴出。
 比重の重いガスがあふれ出し、ガス流となった。
 ガス流は沢沿いに下り、雛見沢地区の直撃。数時間かけて全地区を覆った。
 時刻は深夜午前2~4時。雛見沢村の全戸、全世帯が罹災。
 住民のほとんどは睡眠中で、災害に気づくことなく死亡したと推定。
 深夜の就寝中の大災害が、その発覚を遅れさせたのである。
 午前3時、興宮の新聞販売店が、朝刊を運ぶ車を雛見沢村の出張所に送っていた。
 いつもなら到着すると伝えてくれる事務連絡の電話が、その日に限りなかった。
 新聞販売店店主は電話を繰り返すが、応答がない。
 様子を見てくるように、長男を向かわせたが、これも音信不通になった。
 「この時点で警察か消防への連絡があったなら、事態はもっと改善されていた可能性が高いでしょう。少なくとも、村全滅という惨劇は免れた可能性があります」
 午前6時、雛見沢地区に近い住民から、卵の腐乱臭、めまい・吐き気・頭痛などを訴える119番通報が続々と入った。
 消防司令部は同様の通報が同時多発的に、限定された地域から発生したことから、化学薬品を積載したトラックなどの事故によるものではないかと推測、地元警察に通報した。
 午前6時半、雛見沢地区に巡回に向かった警邏車から、卵の腐乱臭を伝える連絡を最後に通信途絶。
 地元警察は致死性の高いガスによる広域災害の可能性があるとして、午前7時15分、県と県警本部に通報した。
 午前8時、知事は近県へ視察旅行中であったため、規定に従い県環境防災部長が臨時の本部長となり災害対策本部を設置したが、知事への連絡がつかず、その対応は遅れに遅れた。
 「議員待遇者との視察旅行は完全に親睦を目的としたもので、酒宴三昧だと噂されています。近い筋の話では、知事は徹夜で飲んだくれて、泥酔状態で就寝していたそうです。環境部長から電話があった時も泥酔していて、まったく取り合ってもらえなかったのだそうです」
 こうして行政は、知事が事態を把握し、酔いが醒めるまでの約1時間の間、情報収集に徹するのみとなってしまう。
 「県としても大災害を想定したマニュアルが用意されておらず、対応が常に後手に回ってしまったのが致命的でした」
 午前9時12分、県警本部の助言を受けて、県知事は自衛隊に災害派遣を要請。ガス防護の装備を持った化学防護隊は到着したときには、災害発生から実に8時間以上が経過していた。
 「とにかく深夜の就寝中というのが不運でした。同じ災害でも日中に起こっていれば、まったく違ったでしょう」
 雛見沢村地区の全世帯が全滅。犠牲者は1000人以上。
 自衛隊が現在被害状況を確認中だが、その結果さらに魏祭者数は増えるものと予想される。
 「スタジオにはゲストとして、火山性の災害にお詳しい地学博士の藤原先生に起こしいただいております。先生、このような恐ろしい毒ガスが突然湧き出すようなことはあるのでしょうか」
 「火口部に限定して申し上げれば、決して珍しいことではありません。火山大国日本にはたくさんの活火山がありますが、それらの火口部はいずれも危険はガスの噴出する危険性があり、一般登山者も火口部周辺には立ち入らないのが一般的です」
 「でも、雛見沢村を襲った卵の腐乱臭のするガスというのも、火口部では一般的なガスということですか?」
 「卵の腐乱臭という特徴から、おそらく火山ガスの中でも事故例の多い硫化水素によるものだと考えられます」
 「雛見沢村は火山の火口部とはまったく縁遠い場所にあるわけですが、そういった火口部でない場所にもその硫化水素が発生することがあるのでしょうか?」
 「外国の例で、温泉の地下のマグマ溜まりからガスが噴出したという記録があります。きわめて希少な例ですが、必ずしも火口部でなくても発生の可能性はあるということです」
 「先生、ありがとうございました。今、防衛庁から発表があった模様です。防衛庁の森川さん?」
 「先ほど防衛庁は雛見沢村ガス災害の主原因となった火山性ガスについて、陸上自衛隊化学学校での分析の結果、二酸化炭素と硫化水素の混合ガスによるものだったと発表しました」
 「森川さん、そのガスは以前として噴出を続け、周囲に拡大しているのでしょうか?」
 「現在、雛見沢村で救助活動に入っている自衛隊第9師団の報告として、ガスの濃度は徐々に薄まりつつある、これ以上の被害の拡大はないと発表しました。ですが、雛見沢地区は依然危険な状態にあることには変わりなく、今後も注意深く監視を続ける必要があるようです」


 『なんだよ、それ。全滅ってどういう意味だよ?』
 そう圭一が思っているうちに、前方に診療所が見えてきて、中から防毒マスクをつけた白衣の人たちが担架を持って走ってきた。
 「もう大丈夫だよ。歩けるかい?」
 「歩けます。いてて・・・」
 医者らしい人が無線機で圭一の様子を見ながら容態を連絡している。
 「外傷多数。骨折もしくは内臓損傷の可能性大。頭部に大きな裂傷。瞳孔正常、眼底に出血なくも脳内損傷の可能性は否定できず」
 その時、診療所の入り口から、担架に横たえられた人たちが、圭一とは入れ替わりに表へ出された。
 服装の雰囲気から、犠牲者だとわかる。
 2人の隊員が、まるで荷物みたいに、ひょいっとトラックの荷台に投げ上げる。
 トラックの荷台には、人の体が累々と積まれていた。
 その瞬間、学校の校庭に魚河岸のように並べられていたあの光景が蘇った・・・
 『こんな狂った雛見沢なんか、死んじまえ。俺の最期の願いが、またしてもかなった・・・俺が願って、祟って、それが次の日にかなうなら、明日の朝には俺を死なせてくれ』
 

 「意識が喪失したぞ!前原君、前原君」
 急に世界がどうでもよくなる。呼びかけにも興味は湧かなかった。
 「呼吸が停止したぞ!気道確保!人工呼吸!!もうこれ以上死者は御免だぞ!!死んでもいい命なんかないんだ!殺すな!」
 耳元で泣きながら怒鳴る男の声が聞こえる。
 沙都子を救うためでも、人の命を奪うのは、誤りだったのかもしれない。
 もし、この大惨事がそれへの代償なのだとしたら、そんなのってあんまりだろ、オヤシロさま。
 どうして、俺だけにバチを当ててくれなかったんだよ。
 そういえば、沙都子が言ってたよな。
 本当のオヤシロさまの祟りってのは、本人じゃなく、本人の親しかった人から殺していくんだって。
 最後にひとつだけ気が付いた。今日はもう、あのついてくる足音、一度もなかったんだな・・・・


 昭和58年6月22日未明。
 鹿骨市雛見沢村で、広域災害が発生。
 雛見沢地区水源地のひとつ、鬼ヶ淵沼より火山性ガス(硫化水素・二酸化炭素)が噴出し、村内全域を覆った。
 犠牲者1200余名。
 行方不明20余名。
 周辺自治体から約60万人が避難する空前の大災害となった。
 その後の調査により、鬼ヶ淵沼の直下にマグマ溜まりと温泉があることがわかり、そこより湧き出したガスが、災害の原因であると断定した。
 また、災害発生直後から、雛見沢村の伝承になぞらえてこの災害を祟りだと騒ぐ者が続出し、初期の混乱を煽り立てた。
 雛見沢村には、祟りがあると瘴気が湧き出して、村を滅ぼすとの伝承があったといい、学者からは過去にも同様のガス災害があり、それが伝承として残ったのではないかと指摘する声があがっている。
 一部の影規定週刊誌報道は、雛見沢村で数年間にわたり起こっていた連続怪死事件の延長にあるのではないかとし、オヤシロさまの祟り説を煽り立てた。
 また、災害を免れた雛見沢村住民の親類筋の人間たちが、災害後、体調不良を次々に訴え入院し、その一部が原因不明の病死を遂げたことも、それをさらに過激に煽り立てた。
 その上、オヤシロさまの祟りに憑りつかれたと自称する親類筋の何人かが奇怪な方法で自殺を遂げると、もう全国に波及する衝撃には歯止めがなくなっていた。
 真夜中に音もなく忍び寄り、人々を殺してしまう恐ろしい毒ガスの妄想は日本全国に飛び火し、不眠:呼吸困難・頭痛・めまいなどを訴える人間を続出させた。
 中には憑りつかれたと自称し、危行を行う者をいた。
 それらのほとんどが過激な報道による思い込みによるものだったが、後にこれらの雛見沢大災害に起因する精神疾患を雛見沢症候群と呼ぶまでに至る。
 さまざまな噂や憶測の的となった雛見沢村地区は現在、封鎖され、その上空の飛行も禁止されている。
 ガス濃度の低下により、一度は封鎖が解除されかけたが、同年秋に再びガスの噴出が確認され、再び周辺一帯は封鎖された。
 現地には、生活の痕跡を残したまま、朽ちるに任せた村が、こんこんと眠り続けているという話である。
 最終的な生存者は、雛見沢村に在住の男子学生、前原圭一さんのみ。
 救出時はガスによる呼吸困難で肺水腫を起こしかけていたが、必死の救命活動の結果、一命を取り留めた。
 現在は県内の総合病院に入院している。
 彼が雛見沢で何を見たのか。今日でも彼は、黙して語ろうとしない・・・


 平成15年晩夏
 大阪府内に住むある老夫婦が、8年前に死亡した息子の遺品を整理中に一本のカセットテープを発見した。
 夫婦の息子(47歳・事故当時)は、平成7年に釣り船の転覆事故により行方不明となった。
 故人は昭和50年代後半から平成元年まで、過激な写真週刊誌に記者として勤務していた経験ががり、この時の取材テープのひとつだと思われる。
 テープのラベルには、昭和58年11月28日・前原圭一と記されていた。
 昭和58年6月に発生した、かの雛見沢大災害の唯一の生存者、前原圭一の取材した際の録音テープだと思われる。
 大災害を生き残り、謎に包まれた6月21日の深夜を知る唯一の人間として、当時多くの関心が集まったが、公の場で肉声で語ることは一切なかった。ゆえに、このテープは極めて価値のあるものではないかと騒がれることになる。


 「じゃあ始めるね。まず最初の質問から。圭一くんは、あの大災害の夜、どこにいたのかな?」
 「吊り橋があるんですよ、山に入る少し前に。そこから落ちて気を失ってしました」
 「それは大災害の夜、つまり21日から22日にかけての深夜のこと?」
 「いいえ、21日の火曜日の朝です。それで、次の日の昼間に目を覚ましたわけですから、一日半はそこで気を失っていたと思います」
 「どうしてそんなところに?当日は平日で、しかも落ちた橋は君の家と学校からは大きく離れているようでね?」
 「・・・」
 「君が大災害の発生を事前に知っていて、村から逃げる途中に吊り橋から落ちたんかないかっていう声もあるんだけど?」
 「勝手なことを言わないでください」
 「気を悪くしないでね。次に圭一君が落ちたという吊り橋なんだけど、地図で言うとココだよね?」
 「多分。俺もあんまり行かないところなので自信はないですが」
 「そんなに行かないところにどうして平日の朝に行ったのか、疑問は尽きないけどなあ」
 「・・・」
 「君が気絶していたという河原なんだけど、実はそれはありえないという噂は知っているかい?」
 「また、ありえない・・・ですか?どうして、ありえないと?」
 「火山ガスが発生したのは鬼ヶ淵という沼なのは知っているよね?それで学者の先生が緻密な模型を使ってシミュレーションをしたら、興味深いことがわかったんだってさ」
 「・・・」
 「例の火山ガスってのは空気よりも重いらしくて、地形に沿って低いところへ流れこむ、水みたいな性質があるんんだってさ。それで発生源の鬼ヶ淵沼からそういうガスがむんしゅつし、どれくれいの時間をかけて村を覆うのかを実験がされんだ。そしたらさ、君が気絶していたという河原、流れ込むんだよ、ガスが。」
 「よく言っている意味がわからないんですが」
 「つまり、君が本当にこの河原で気絶していたなら、君は丸一晩、猛毒の火山ガスの中にいたことになるんだよ。だからつまり君がここで気絶していた可能性は否定されたわけさ」
 「・・・」
 「私はね、君がウソをついているんじゃないかなって思うんだ。君は大災害の時、安全なところに身を潜めていて、ガスが薄れた頃を見計らって村に現れて自衛隊の人に保護された」
 「別に、仮にそうだったとしても、俺は今更驚きませんけどね」
 「どういう意味だい?」


 この録音テープが本当に前原圭一を取材したものなのか、疑問視する声もある・・・


 「あんたもさっき言いましたよね。ありえないって。あの雛見沢では、ありえないことなんて、いくでも起こるんです。あそこじゃ。いないはずの場所に人がいる。死んだはずの人が生きてる。まさか、俺自身が、死んだはずなのに生きているってヤツを立証そようとはね。ははははは」


 真偽を確認するため、前原家の親戚筋にテープの声を確認してもらったが、録音状態が明瞭でなく、またかなりの時間が経っているため、確認した親類が声を思い出せず、前原圭一本人の声であるとの確証を得ることができなかった。


 「じゃあ圭一君。話を変えるよ。あの大災害が雛見沢連続怪死事件の5年目の祟りではないかという話については、どう思う?」
 「それはないですね。5年目の祟りは俺ですから」
 「え?何のこと?」
 「あんたの話に対する答えですよ」


 テープに記された11月28日という日付にも疑問が残っている。


 「言っても信じないでしょうけど、あの大災害は俺が起こしたんです。こんな村、丸ごと死んじまえって願ったから、起こったんです」
 「それは豪快な話だね」


 なぜなら前原圭一は災害から2か月たった8月某日の自殺未遂を期に、精神障害が指摘され、医療施設に移送されていた。


 「鷹野さんも俺が殺したし、監督も大石も俺が殺した。あの時の俺にはね、何か神がかり的は力が宿っていたんですよ。そう、例えるなら足音かな」
 「何ないそれ?」
 「あんた、足音も聞いたこともないんですか。ぺたぺた、ひたひた」


 施設は一切の取材を許さなかったため、昭和58年8月以降の日付でマスコミのテープに肉声が残されている可能性は、きわめて低いからである。


 「あんたも、今日からは歩いているとき、ふいに立ち止まってみると面白いですよ。自分がちゃんと立ち止まったにも拘わらず、足音がひとつ余計に聞こえたなら、気を付けたほうがいいですよ」
 「そ、そうだね、気を付けるようにするよ。ははは」
 「そんなに俺、面白いこと話してますか?」


 ただし記者は現役当時、非常に強引な取材法王で非難を浴びたことがあり、施設に不法侵入して前原圭一を強行取材した可能性も否めない。


 「あんた、さっきからへらへらと笑ってばかりですね、監督と同じだ。俺の事、話を聞いているふりをしながらその実、人のことを異常者扱いしている目だ」
 「そんなことはないよ、ははは」
 「いや、俺にはわかるんです。あんたの目は監督と同じだ」


 これは本当に前原圭一の肉声なのか?
 この録音テープの真偽は、未だに謎に包まれている。


 「あの日以来、もう足音は聞こえない。だから俺にはもう、あんな恐ろしい力はのこっていないだろうけど。今ここでもう一度、あんたの死を願ってみるよ。俺に不愉快な話ばかりするあんたの死を。今回は死に方も決めてみようかな。鷹野さんは焼け死にだったから、あんたは逆に水だ。水に溺れて死ぬってのはどうだい?」


 記者はこの取材から十数年後、平成7年8月に、テープ内の前原圭一の予告通り、水の事故、海難事故で命を落とすことになる。


 「絶好調だった当時の俺なら、次の朝までには必ず死んでる。さてあんたは、何日後に水で死ぬかな?はははははははははは。俺如キニ、祟リ殺サレルナ?はははははは」


 そして、前原圭一は、取材の翌々日の11月30日深夜、原因不明の高熱により急変した。
 「足音が、またひとつ余計に・・・」


 トロフィー:「祟殺し編」読了をゲット!


 PS3が壊れてセーブできない・・・
 ひぐらしのなく頃に奉を買う羽目になった!


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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 祟殺し編 #14 沙都子の家へ


 結局死体は出なかった。
 圭一は警察に捕まらずに済んだが、叔父を殺すのに失敗している。
 圭一は、沙都子が解放されるまで、叔父を殺し続けると決意を固める。
 朝になり行動を起こした圭一は、ひとつ余計な足音を聞く。
 圭一は、悟史が自分と一緒にいてくれたような安心感を覚える。
 もう一度叔父を殺すため、こっそり家を出た圭一は、物置から、完璧に殺せる凶器を探し始め、ぶっとい薪を叩き割るのに使う鉈を手にする。
 そして、それを古新聞で簡単に包んで、自転車の前かごに放り込んだ圭一は、雛見沢に来てからのかけがえのない日々を思い起こす。


 自転車をこいで沙都子の家の前までやってきた圭一は、自転車を置き、様子をうかがった。
 叔父のバイクはない。あれは圭一が沼に捨てたのだ。
 それとも死体がなかったように、バイクも沼に放り込まれてないことになっているのだろうか?
 それなら、叔父が町に出かけてまだ帰ってこないだけかもしれない。


 圭一がドアノブに手を掛けた。カギもチェーンもかっていない。
 どこからかテレビの音がする。
 圭一は、テレビの音がする食堂へ忍び込んだが、誰もいない。
 食卓を見ると、ご飯粒がカリカリに乾燥している。朝食ではなく、昨日の夕食か?
 食堂を出て、2階に上がる階段を見つけた圭一は、音を立てないようにそっと登って行った。
 いくつかの部屋を回り、中をうかがうが誰もいない。
 気配を探るため、床にへばりつき、耳をぴったりと押し当てると、食堂のテレビの音と、湯沸かし器か何かのうなる低い音だけが聞こえた。
 食堂に戻り、散らかった食事を見た圭一は、スーパーのお惣菜の包みに830620と印字されていることに気付く。
 1983年6月20日は昨日の日付だ。


 ふと湯沸かし器みたいな音が耳に付いた圭一は、それが風呂の湯沸かし器の音だと気づき、脱衣所の扉を開けた。
 沙都子が、脱衣所の床に倒れるような恰好で気を失っている。
 沙都子を抱き起してバスタオルの上に横たえたが、すごい熱だ。
 「大丈夫か、沙都子!聞こえるか?」
 「・・・け・・・いちさ・・・」
 「もう大丈夫だからな。必ず俺が、にーにーが助けてやるからな」
 沙都子は、うつろな目をかすかに開けて、圭一を見上げてぎこちなく微笑んだ。
 その痛々しさと憐憫を誘う表情を見た圭一は、感情が爆発し、雄たけびを上げながら叔父の部屋に飛び込み、鉈を叩きこんで破壊していく。
 完膚なきまでに破壊しつくしたところで、圭一は理性と取り戻した。
 とりあえず叔父はいないので、今は沙都子を何とかする方が先だ!


 脱衣所にいる沙都子のところに戻すと、沙都子は熱のためぐったりしている。
 とにかく医者に見せなければ。
 圭一は、バスタオルで沙都子を包み、背負って診療所に向かった走り出す。


 TIPS:照会要請


 興宮警察署司令センター通信記録
 6月20日20時8分
 「こちら興宮PS、感度良好でーす」
 「こちら大石、車両ナンバー照会をお願いします。鹿骨、はの4344」


 ナンバー照会
 鹿骨はの4344
 所有者コード6034344
 鹿骨市雛見沢村在住の一般人・前科なし
 車種:ステーションワゴン
 盗難届:無
 特記事項:特になし


 「興宮PSより大石車どうぞ。先ほどのナンバーが判明しました・・・大石車、応答願います。あれ?電波、悪いのかな・・・出ませんね」


 「大石さんが車両照会?誰の車だよ」と刑事が尋ねる。
 「村人の車ですね。至って平凡な」
 「大石さんが聞いてくるからには、只者じゃないんだろ?」
 「特記事項欄は完全に空欄ですね。S合指定もなし。減点もなしだし」
 「ハハハ。パッシングでもされて腹が立ったんじゃないの?」


 達成率:38.2%


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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 祟り殺し編 #13 生きている?


 圭一は昨日の出来事を思い返していた。
 沙都子の叔父を殺すため、下見をし、計画を練り、穴を掘った。
 そして夕方になって、学校まで行って電話であの男を呼び出した。
 そしてあの男を待ち受け、襲い掛かった。
 死体を埋める穴を掘るにはずいぶん苦労した。
 その帰りに鷹野さんに出会った。
 あの女との出会いさえなければ、全ては完ぺきだったのだ。
 鷹野さんはワカッテイタ。俺が人を殺し、それを埋めて、疲れ切りながら、帰る途中だとわかってた。
 「殺しとくんだった」
 あの時は仕方なかった。疲れてた。
 鷹野さんがいくら鋭い勘で推理しようとも、証拠はない。
 よし、なし、なしだ。全部忘れる。昨日の出来事も全部、夢!
 今は何時だろう。昼くらいだろうか。
 今からでも学校に行こう。取り戻した美地上をすぐにでも復帰するために、今からでもすぐに学校へ行こう。


 階下でお袋に、夕食に帰ってこれないときは必ず電話をしなさい、とお説教を食らった。
 適当に笑いながらあしらい、すっかり日の高くなった表に出た。
 もうすぐ昼休みが終わる、そんな時間だった。
 みんな俺のことを、たぶん心配しているだろう。祭りにもいかず、今日も登校せず。
 でも全部元通り。あの男が現れる前の生活に、全部戻る。


 校門が見えてくる。
 ちょうどその時、校長先生の振る昼休みの終わりを知らせる振鈴の音が聞こえてきた。
 ぺた。圭一が不意に足を止めたから、足音がひとつ余計だった。
 もちろん振り返っても誰もいない。
 昨日、鷹野さんを見送ってから聞いた、ひとつ多い足音。
 狂った夜だった昨夜の出来事なら、幻聴のひとつくらい大目に見ようとも思える。
 だが、その足音が、昨日までとは断絶されたはずの今日にも聞こえたなら?
 昨夜はまだ終わっていない。続いているのだ。まだ、狂った夜が、いつまでも。


 昇降口で、みんなの靴箱をざっと見渡してみた。
 北条沙都子、来ている。
 欠けているクラスメイトは見当たらない。
 脱いだ靴を下駄箱に突っ込み、上履きを取り出す。
 すのこに上がって通り過ぎようとした時、上履きが一足だけ残っているのに気づいた。
 北条悟史・・・
 去年、失踪してからずっと登校してこない悟史。
 「お前は登校できなかったが、俺はこうして登校できた。」と妙な親近感を感じる圭一。


 廊下を進み、いつもの教室を目指す。
 ふと、ある思いにとらわれる。
 「北条悟史は、綿流しの数日後の沙都子の誕生日に消えた。
 その日を越えても俺が居続けて見せなくては、悟史の二の舞を避けたとは言い切れない。
 俺はまだ、狂った夜の中に居続けている。」


 扉をガラリと開けると、教室にはまだ先生は来ていなかった。
 「おはよう諸君。出迎えご苦労であるぞよ」と圭一が挨拶すると、魅音が「おはよう、今朝も飛ばしてるね」と返事する。
 レナも「飛ばしてるね。まだお祭り気分が抜けていないのかもしれない。はぅ」と言い、梨花も「ボクの演舞、見ててくれましたですか?」と、祭りに行っていない圭一に話しかけてくる。
 レナと魅音は、「ちゃんと見てたよ」と言い出す。
 富田くんまでも、圭一に、射的屋対決の結果を聞いてくる。
 梨花が、富竹がビリだった、と答えると、岡村くんも圭一の方を見ながら、うんうんとうなずく。
 レナが、でっかいぬいぐるみをありがとう、と圭一に伝えるが、圭一には何の話だかさっぱり。
 圭一は、夕べの祭りには行っていない、と言おうとして呑み込む。
 みんなの話によると、昨日の綿流しのお祭りに、前原圭一は現れて、いつもの部活メンバーたちと一緒に騒ぎながら遊んで回った。そして射的屋にでっかいぬいぐるみがあるのを見つけ、みんなでそれを狙った。そして、圭一がコルク鉄砲は何丁も並べておいて、それを次々に撃って捨てるという大技で連射し、見事一番大きなぬいぐるみを打倒した。そして、その勝者の証で証であるぬいぐるみを、レナにプレゼントした。そこで、梨花の奉納演舞の時間になった。大勢の人ごみに揉まれ、仲間はばらばらになってしまったが、それぞれ梨花を応援できるポジションを陣取った。途中、奉納演舞を放ったらかしにして遊びに行こうと話しかけてきた詩音を断り、最期まで奉納演舞を見守った。
 自分じゃない前原圭一が昨日雛見沢にいて、自分が沙都子の叔父を殴り殺していた頃、みんなと楽しく祭りの夜を過ごしていたのだ!


 知恵先生がやってきて午後の授業が始まった。
 圭一は、レナに、「昨日はすごく疲れてて、いまいち記憶がないんだが、いつ頃みんな合流したっけ?」と尋ねる。
 言葉に詰まるレナの代わりに、魅音が、「境内でだよ。巫女さん姿の梨花ちゃんと楽しそうに話してた。」と答える。
 それを聞いたレナも、「うん。それにレナも加わって、お持ち帰り~って」と答える。
 絶対に祭りに行ってないし、梨花とも話していない圭一は、休み時間に梨花に昨日のことを確認すると、梨花は、「圭一と会ったのは、集会所から村長さんたちと出てきた時なのです。圭一は祭具殿の扉の前にいましたのですよ」と答えるが、圭一には祭具殿は知らない建物だった。
 もう一人の前原圭一って、いったい何者なんだ!


 放課後、さっさと帰ろうとする沙都子に、圭一は、部活をやらないか、と声を掛けが、沙都子は「放っておいてくださいまし」と答える。
 圭一は、「みんなで遊んだほうが楽しいのは沙都子だってよく知ってるだろ?沙都子だって昨日、みんなでお祭りで騒いで楽しかったろ?」と言うと、沙都子は、「私がお祭りで楽しく、いつ遊んだって言うんですの?」と答える。
 圭一が周囲を見渡すと、みんな俯いている。沙都子は、お祭りにはいかなかったのだ。
 レナが、沙都子は叔父が家で待っているから、と言って、神社の直前で帰ってしまい、神社にはいかなかった、と話す。
 沙都子は涙をこぼしながら、「私だって、部活がしないですわ!!みんなで楽しく大騒ぎして!!でも、今の私、そんなの!!」と叫ぶ。
 思わず圭一は、「帰ってこないんだろ?お前の叔父は」と尋ねると、「何を言っていますの、圭一さんは。昨日だって、私にいっぱい意地悪して!わぁぁぁl!!」と沙都子は泣き出した。
 「あいつが、いる?」
 「今朝だって、朝ごはんの時は起こせって言われたから起こしたのに、怒られた!わぁぁぁl!!!」
 梨花が沙都子に寄り添い、慰めの言葉を掛けるが、沙都子は梨花を突き飛ばした。
 「にーにー!早く帰ってきてよ。うわぁああ!!!」と沙都子は泣きながら廊下に出て行ってしまい、慌てて梨花が追いかけて行った。
 魅音が冷たい声で、「沙都子の叔父さんが帰ってこないって何?」と聞いてくる。
 「おかしいよね、今朝も沙都子ちゃんの叔父さんはいるんだよ?なのになんで帰って来ないなんで言うのかな?かな?」とレナも続ける。
 魅音が、「圭ちゃんは、沙都子の叔父さんがいると、何か都合が悪いことでもあるわけ?」と言うと、圭一は、沙都子の叔父なんか居ない方がいいに決まっている、と答える。
 魅音が、「私も居なくなった方がいいヤツだと思うけど、居るわけだし、仕方ないじゃない?」と言うと、レナが、「仕方がなければどうするのかな?」と続ける。
 圭一が、叔父殺しを口に出そうとした時、魅音が、「放っておきなよ、そのうち、解決しやうと思うし」と突き放したような発言をしたあと、「帰ろうよ、圭ちゃん」と声を掛けてくる。
 「今日は久しぶりレナ、宝探しに行くつもりなんだ。魅ぃちゃんも来るんだよ」
 「圭ちゃんも一緒に行こ、もちろん拒否権はないからね」


そのまま圭一は二人に連行されるみたいに下校することになった。
 魅音とはいつもの場所で別れて、圭一の家の近くでレナといったん別れる。
 「それじゃあ圭一くうん、レナすぐに迎えにいくから」
 「俺、実はちょっと用事があるんだ」
 「用事なら、なんで魅ぃちゃんがいるうちに言ってくれなかったの?魅ぃちゃんとはダム現場で待ち合わせてって言って別れちゃった後なのに」
 「ごめん、ちょっと言い出すタイミングを逃がしちゃって。あの、俺、頭が痛いんだよ。風邪かもしれない。だから病院で薬をもらって来たいんだよ」
 「なら、仕方ないね。診療所にいくなら、早く行った方がいいよ。あそこ、たまに早く閉まるから」
 「ありがとう、そうするよ」
 「必ず行くんだよ、病院」
 「ああ、ちゃんと行くよ。何なら明日、病院のレシートを持って行ってもいい」
 「必ずもらっておいてね。明日見るから」


 圭一は平穏の日常に戻りたくて、叔父を殺したのに、いつの間にか前原圭一がもう一人いるし、薄気味悪い足音は聞こえる地、レナたちの様子もおかしい。
 そして何よりあいつが生きている。


 圭一はレナが病院に行くかを見張っているかもしれないという恐怖感から、本当に病院に行くことにした。
 だが、その前に、忘れ物を取りに戻ったふりをして学校の教室に向かい、悟史のロッカーを確かめる。
 このロッカーの中にあった悟史のバットで犯行を行い、沼に捨てた。今、ロッカーの中にバットはないはずだ。
 もしここにバットがあったら、全部圭一の妄想だ。圭一は誰も殺してないし、祭りにも行った。
 勢いよくロッカーを開けると、バットはなかった・・・
 圭一は自分の頭がおかしくなったわけではなく、狂っているのは雛見沢のほうだ、と判断する。


 入江診療所に迎い、受付を済ませる。
 呼ばれて診察室に入ると、中には入江がいた。
 入江は医者だった。
 入江は圭一を診察し、「風邪ではないようですね。全身の擦り傷や切り傷の方が痛々しいくらいです。ほっとして、半そで半ズボンで藪の中にに入って遊びましたか?昨日のお祭りでははしゃぎ過ぎましたね」と言った。
 ここでも自分が祀りに出たことになっていたので、圭一は、「監督も行ったんですよね?お祭り」と尋ねる。
 「ええ、私、こう見えても綿流しの実行委員会の役員ですからね」
 「俺に合いましたか?」
 「実は私、本部テントでずーっと会長さんたちとお酒を飲んでいて、全然お祭りは見て回っていないんですよ。前原さんには合ってないと思います」
 入江はからからと笑いながら答える。その様子から、入江は自分の知っている世界の入江で、この異常な世界の入江じゃない、と判断する圭一。
 「あの、こんな話、きっと変だと思うんですけど。笑わないで聞いてほしいんです、俺と瓜二つな人間がいる、なんてありえますか?」
 「迷信ですが、世界には自分とまったく同じ顔をした人があと二人いる、なんて話を聞いたことがありますね。あとおとぎ話にも自分の分身が登場する話がいろいろとありますよ。ドイツのおとぎ話に出てくるドッペルのオバケなどは有名です」
 「ドッペルのオバケ?」
 「ええ、自分の姿に瓜二つなんだそうです。不幸の前触れなんでそうで、これに会ってしまうと近いうちに死んでしまう、みたいな話らしいです」
 「そのオバケが、雛見沢に出る、なんて話はありますか?」
 入江は自分がからかわれたものだと思ったらしく、大仰に笑ってみせたが、圭一が笑わなかったので、次第にその笑いは小さくなっていった。
 「何か気になることでもおありですか?」
 「俺、昨日はお祭りに行っていないんです」
 「そうでしたか、お祭りは来年もあります。その時、また」
 「そうじゃなくて、俺は祭りに行っていないのに、みんなが言うには、俺は祭りに居たらしいんですよ」
 「お話を整理しますね。つまり、前原くんは綿流しのお祭りに行ったけど、その記憶がない、ということですか?」
 「いえ、違うんです、監督。俺は本当に祭りに行ってないんです」
 「気を悪くしないでくださいよ前原さん。これまでに気づいたら見知らぬ場所にいたとこ、そういう記憶の欠落を経験されたことがありますか?」
 「ないです。それに記憶を失ったとかそういうのじゃない。だって、その祭りに時間には、別の用事を確かにやっていましたから」
 「その用事は間違いなく?大変失礼ですが、何かの思い込みではなくて?」
 「間違いありません」
 「お祭りの時間に、神社にいなくて、よそで別の用事をしていた。それをはっきりした形で証明できますか?」
 叔父を殺害したことを立証することになるので、圭一は答えることができない。
 「少し神経に昂りがあるようです。鎮静剤を注射して、少し目を瞑ってみませんか?」
 「俺は異常者じゃない!!!」と声を荒げる圭一。
 「気に障ったなら謝ります。ですからどうか、落ち着いて」
 「俺は絶対に祭りには行っていない!それは本当に間違いないんです!」
 「わかってますから、どうか落ち着いて深呼吸を」
 「あんたは全然わかっていない!!!」
 「わかっていますよ、前原さん。あなたは昨日お祭りにはこなかった。私は信じます」
 入江がカルテに何かを小さく書く。
 「あの時間に何をしていたのかを、全部話さないと信じませんか」
 「いいえ、信じますから、どうか座ってください」
  「俺が祭りの会場にいることはありえない。なぜなら、その時間に俺は、沙都子の叔父を、殺していたからです」
 「あなたが、沙都子ちゃんの叔父さんを?」
 「はい、俺が、昨日の夜、殺しました。沙都子を救う、もっとの直接的は方法だと考えるに至り、実行しました。だから、俺は、祭りに会場にいるわけがないんです」
 「その体中の傷は、その時に?」
 「そうです。沙都子の家を少し行ったところに、林道がありますよね?あそこで襲い、逃げるあいつを追い。町に至る一本道で殺すに至りました」
 「それは、本当に?」
 「本当です。悟史のバットで殴り殺しました。そのバットは、あいつが乗ってきたバイクと一緒に沼に捨てました。死体は、殺した場所に穴を掘り埋めました。全て、自分がひとりでやりました」
 「沙都子ちゃんの叔父はバイクで通りかかったんですね?それを期待して延々と待ち伏せを?」
 「電話で適当な嘘をしゃべって、あいつが出かけるように仕向けました」
 「あなたの家と沙都子ちゃんの家は離れています。電話をしてからでは、とても待ち伏せに間に合わないのでは?」
 「襲撃予定場所からもっとも近い電話として、学校の電話を使いました」
 「当日は日曜日で、学校には施錠がされていて入れないのでは?」
 「偶然、営林署の人が中に出入りしたんです。その隙に入りました」
 入江は、いくつか事件についての質問を繰り返し。圭一の発言に矛盾がないかを丹念に探した。
 「信じましょう。あなたが昨日したことは、夢とは思えない」
 「でも、クラスのみんなが、昨日、確かに俺が祭りにいたと言います」
 「あるわけがない。きっとクラスの皆さんはあなたによく似た誰かをあなたと見間違えたのでしょう」
 見間違いのわけはない。魅音たちは、前原圭一と一緒に遊んだと言っているのだ。
 入江が「罪の意識は、あるんですか?」と聞いてきた。
 「ありません。あいつのいなかった平穏な時間を取り戻すために行いました。あいつが現れる前、沙都子がいつも見せてくれていたあの笑顔が戻った時、ようやく全ては終わります」
 「犯行を誰かに目撃されたということは?」
 「ないと思います」
 「私は医者です。人間の命を奪うことを肯定する旨の発言はできません」と言ってから入江は、「沙都子ちゃんを救ってくれて、ありがとう」と言った。
 しばらくの間、男二人が涙を湛え合った。
 「でも、おかしいんです。確かに殺したはずなのに、あの男は、生きて家に帰ったらしいんです」
 「状況にもよりますが、気絶や仮死状態など、素人が見ると死んだようにしか見えない状態もいくつかあります。その可能性は?」
 「脈をとったはけではありませんが、確実に仕留めたと思います」
 「前原さんが襲った時の状況を再現してもらってもいいですか?」と入江は、近くにあったポスターを丸めて圭一に渡した。
 圭一は再現し、入江は打撃ぶちと状況から、叔父がとういう状態だったかを分析しようとしていた。
 「死んだかどうか自信が持てなかったので、倒れた後も何度か殴りつけました」
 「その時の反応は?」
 「初めは殴るたびに身体が跳ねるような感じがありましたが、やがて何の反応もなくなりました」
 「死んでいます、ほぼ間違いなく」
 「でも、沙都子は生きていると!」
 「これはとても恐ろしい想像なのですが、前原さんが殺した相手は別人である可能性は?」
 「え!そんなはずはない!監督といっしよに沙都子の家の前で酒瓶の袋を運んだ時、窓から顔を出した男がいたんじゃなですか。あいつですよね?」
 「ええ、あの男です」
 他人を殺したという最悪の可能性を否定するために、圭一は入江の知る叔父の特徴を、圭一が殺した男の特徴を徹底的に比べてみたが、特徴にすれ違いはない。
 入江のいう叔父の特徴は、間違いなく圭一が殺した男と一致する。
 「もっと絶対にあいつだと識別できる特徴はありませんか?」
 「沙都子ちゃんが昔、背中に虎だかの何だかの入れ墨がある、と言っていたようが気がします」
 この時、この事実を確かめるのにもう一つの方法があった。それは叔父本人と直接面会する方法だったが、圭一にとって、もう一度死体を掘り返し、その背中を見る羽ことよりもはるかに恐ろしいことだった。
 「一体、どういうことなのでしょう。前原さんはお祭りにも行かず、沙都子ちゃんの叔父さんを殺していたにも拘らず、お祭りにはあなたがいて、殺したはずの叔父さんも生きている」
 「さっぱりわからないです。まるで俺が悪い夢を見ていて、実は殺人なんて存在しなかったんじゃないかと思えてしまう。でも、事実なんです」
 「ちょっとこの話、もう少し真剣にやりましょう。ちょっと失礼して、紅茶でも入れてきてあげます。診療所も終わりの時間ですからね」


 監督が立ち上がり、廊下へ出て行った。時計は、もうじき6時を指そうとしていた。
 尿意を催した圭一が、お手洗いを借りようと診療室から出ようとした時、向こうの廊下の陰にいる入江と2人ほどの白衣を着た男の先生の姿を見えた。
 入江が何か指示しているので、聞き耳を立てる圭一。
 「睡眠導入剤を入れて。味はミルクと砂糖で胡麻化してください」
 「急激な眠気に、不信感を抱く可能性もあります。興奮状態に陥って暴れ出す可能性も」
 「その場合は取り押さえましょう」
 「山狗が一人、それに私たちを含めて3人です」
 「作り話か虚言の兆候があり、特に昨日の記憶が完全に混乱。虚実の区別の喪失。多重人格等の精神障害に酷似してます。先天的もしくは引っ越し前からそういう兆候があったのか。引っ越し前に精神科に通院例がないか調べたいところです。前原さんのご両親にも連絡しておいた方がよいですね。彼の自宅の電話番号を調べてください。」


 入江の裏切られた涙を流す圭一。
 そこへ局員が駆けてきて「大変です!鷹野さんが見つかりました!山中で焼死体で発見されたらしく・・・」と伝える。
 「一体どういうことですか?」
 「県警の発表では、他殺の可能性が極めて高いと」
 「リサさんが死に、鷹野さんが死に。一体、雛見沢には何が起こっているというんですか。まさか、これが今年のオヤシロさまの祟りだ、なんて言うんじゃないでしょうね」


 今度は看護師が、「入江先生、お電話です。興宮警察の大石さまです」と声を掛けてきた。
 「悪いタイミングですね。出ます出ます」と言いながら、入江は電話に出るためその場を去った。
 他の男達も紅茶の準備をするために湯沸かし室に向かった。


 圭一は診療室の窓を開け、顔を出して駐車場を見渡すが、人影はない。
 そっと這い出し窓を元のように閉め、自分の自転車に飛び乗り、家の前まで戻って来た。
 途中から飴が振り出し、びしょぬれになるも圭一は、叔父の死体を掘り出して入れ墨を確認し、狂っているのが自分か雛見沢かの決着をつけようと考える。
 物置からシャネルを取り出す。
 ランタンを持ち出そうとして、死体を埋めた場所に置いてきたことを思い出す。


 目的地の森についた圭一は、ランタンを見つけて、さっそく地面を掘り始める。
 多少穴が深くなった頃、圭一を取り囲む影絵が動いた。
 「大石・・・」
 「目上の人には、その後に『さん』もつけるとなおよろしいかと思いますよ。んっふっふっふ」
 大石だけでなく、雨合羽を着た男達5,6人はいた。
 「私たちのことは気にされず、どうぞ穴掘りをお続けになってください」
 取り囲む影絵たちの威圧感に負け、圭一は再びシャネルを泥中に突き刺す。
 次第にに地面に突き刺す手ごたえは固く、重くなっていく。圭一はあの夜、こんなにも深くは掘っていない。
 「いつまで、掘ればいいだよ」
 「最近の若い人は体力がありませんねぇ。おい」
 大石が合図すると、男たちがシャベルを一斉に引き抜き、圭一が掘った泥穴に下り、次々とシャベルを突き立て始めた。
 「あの穴を掘ると、何が出てくるんですかな?」と言いながら、大石は、泥水を掻き出すのに使っていたバケツを取り、泥水を汲んで圭一の顔にぶっかけた。
 その時、穴を掘っていた雨合羽の男が大石を呼んだ。
 「これをみてください」
 「何ですか、こりゃ」
 「たぶん、古い排水管ではないかと。あそこの用水路につながっているようです。大石さん、もうかなり手ごたえが固いです。これより深くってことは、ありえないと思います」
 「掘る場所を間違えました?」
 「いえ、始めのうちは明らかに掘り返す感触でした。ですが、このくらいを掘ったころから急に固くなりまして。たぶん、元々掘った穴よりも。深く掘り進んだのだと思います」
 「つまりなんですか。ここには穴があって、何もなくただそのまま埋め直された、と」


 あの男の死体はどこへ?
 俺は昨日何を?


 大石と男たちは圭一を無視して去っていった。


 TIPS:研究ノートⅡ


 オヤシロさまについて。
 オヤシロさまだが、どういう字で書くのかはあまり知られていない。
 すべての時代に共通するのは、名称の読みに必ず『オヤシロ』の4文字が入るということだけ。
 オヤシロさまと祀る高貴な血筋である古手家の人間には、オヤシロさまの地が流れているという。
 そして古手家に伝えられる伝説では、八代続いて第一子が女子ならが、八代目のその娘はオヤシロさまの生まれ変わりである、というのだ。
 この伝説に従うなら、オヤシロさまは『御八代さま』と書くのは正しいように思う。
 村中の年寄連中に、目に入れても痛くないくらいに甘やかされている少女、古手梨花。
 彼女がその八代目、『御八代さま』であるという噂がある。
 古手家の家系図はわからないが、少なくとも、過去2代の間、第一子が女子であることは私も確認している。
 雛見沢を見守る少女、古手梨花。
 彼女の加護を村が失ったなら、どうなるのか?
 再び、人食い鬼たちが跋扈する地獄が再現されるのか?


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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 祟殺し編 #7 沙都子の異常


 久しぶりに沙都子も加えての5人の弁当タイム。
 圭一が沙都子の頭を鷲掴みしてわしわしと撫でようとすると、沙都子は圭一の腕を叩き、バリバリと頭を掻き毟り始めた。
 頭を撫でられるのは嫌いだったっけ?と言いながら、圭一がもう一度沙都子の頭に手を近づけると、沙都子は嫌と叫びながら、汚らわしいものを投げ捨てるかのように圭一の手を乱暴に投げたため、圭一は椅子ごと後ろにひっくり返ってしまう。
 そして、沙都子は今食べたばかりのものを吐き出した。
 大丈夫か、と言いながら圭一が沙都子に近づくと、沙都子は圭一を両手で思い切り突き飛ばし、圭一は床に転げた。
 しばらく絶叫していた沙都子だったが、興奮の糸が緩むと、カタカタを震えながら謝罪の言葉を口にした。
 「ごめんさいごめんなさい、私知らないです私しらないです!違うから違うから・・・もう嫌ですやめてください許して・・・助けて・・・助けてぇえええ!怖いのやだ・・・痛いのやだ・・・わあああああ!!!」
 レナが圭一を後ろに引っ張り、「大丈夫だよ、沙都子ちゃん。もう怖いことなんかないよ。ほら、安心して。」と言いながら近づく。
 沙都子は、わあわあ泣きわめきながら、「やだやだやだ、あんなのやだ・・・にーにー、にーにー、助けて!」と叫んでいる。
 レナは、突然掃除用部入れを殴り、泣きじゃくる沙都子の背中を抱いて、「ごめんねごめんね、何もできなかった私たちを許して」と言って一緒に泣いた。
 圭一は、沙都子が壊れる前に助けなければならなかったことを悟る。
 しかし、知恵先生が教室に入ってきた途端、沙都子は何事もなかったような笑顔を浮かべた。
 知恵先生に事情を聴かれた沙都子は、レナとお弁当を巡って大暴れしただけ、と笑いながら答えた。
 魅音がぼつりと、私たちが無力だから、とつぶやく。
 それを聞いた圭一は、もう起こった事実は取り返せない。ならばこれ以上の悪化を阻止、不幸の連鎖を断ち切ることだ、と瞬時に判断し、沙都子の不幸の元凶である沙都子の叔父を抹殺しようと決意する。
 そして元通りの日常を取り戻すため、叔父を殺しても、自分は逮捕されないことを絶対目標として定めた。


 祟殺し編 #7 完璧な殺人とは


 放課後、魅音たちは綿流しの祭りの準備があると言って圭一を誘ったが、圭一は断り、家に帰った。
 圭一は、母親が推理小説好きなことを思い出し、母親に、一番よくできた完全犯罪のトリックについて聞いてみた。
 母親は、推理小説は解ける謎をいかに解くかの過程を楽しむものだから、解けない謎は推理小説の題材になりえない、と答えた。
 つまり、真の完全犯罪は物語にすらない、ということだ。
 母親は、圭一に物語の最低構成要素を尋ねてきた。
 起承転結、と圭一が答えると、正解だった。
 母親は、スタートの起がなかったら、そもそも物語は始まらない、と言い出す。
 「何も起こらないから事件にもならない。探偵もよばれないから推理もない。推理がないなら解決もない。これが究極の完全犯罪。つまり事件が発覚しなければいいだけの話。」とさらりと言った。
 それを聞いた圭一は、誰にも見つからずに殺し、誰にも見つからずに死体を処理できれは完全犯罪が成立することに気づく。
 叔父がいなくなっても、一度オヤシロ様の祟りを恐れて村を離れたことがあるので、また綿流しの夜を迎えて逃げ出してしまった、とみんなは思うに違いないし、嫌われ者だから、姿を消したところで、どこへ消えたかなんて誰も気にしない。


 圭一は自分の考えを整理するため、自転車で家を出た。
 圭一は、現実で入手可能な刃物のリーチが短すぎるので、自分に有利なリーチのある棒状の武器で叔父を撲殺しようと考え、学校の悟史のロッカーにおいてある金属バットを手に入れ、それを長年校庭に放置してある建設重機の影に隠した。


 祟殺し編 #9 魅音に電話


 次に圭一は死体の処理について考え始めた。
 沼に凶器や叔父の所持品を捨ててもいいが、死体は浮かび上がってくるかもしれないから、穴に埋めるのがいい、という結論に至った。
 死体処理用の穴はあらかじめ掘ってあった方がいいし、犯行予定地と死体処理の穴は近い方がいい。誰にも目撃されることなく、奇襲できるような隠れられる場所があって、すぐに死体処理の穴を掘ることができる場所を考えると、沙都子の叔父がどこへ行こうとしても必ず通る林の中を抜ける裏道が思いついた。
 この裏道は、沙都子の家とその並びの何軒かしか使わない。
 圭一は、犯行現場となる林の中で身を潜めながら、叔父をおびき出す方法を考え始める。
 警察とか病院とかを名乗り、沙都子の件で来いとだけ告げて電話を切れば、叔父は家を出るだろう。
 そのために、沙都子を祭りに連れ出すのに、魅音を利用することにする。魅音に、何としてでも沙都子を祭りに連れていけと焚きつければ、やってくれるはず。
 圭一は、死体処理の穴を掘る場所を探して、森の奥で何とか掘れる場所を見つけた。持ってきた園芸用のスコップではぜんぜん間に合いそうにないので、明日家からシャベルを持ってこようと思いながら帰宅する。


 そして、圭一は魅音の家に電話をし、いろいろ参っている沙都子を一夜だけ遊ばせるために、明日の綿流しのお祭りに連れて行ってほしい、と頼んだ。
 魅音は、どうして圭一が連れて行かないのか?と聞き返してきたので、圭一は、明日は用事があって祭りには行けないから、魅音が沙都子を祭りに連れて行ってほしい、と答えた。
 魅音は、泣きながら、「嫌だ、私なんかに押し付けられても困る。綿流しの夜だけって言って、結局ずっとだった。嘘つき・・・でもお相子かな、私、全然あなたとの約束守ってないから。あの子はずっとほったらかしだし。あれからずっと帰ってこないのに、あの子のことをもう一度押し付けるだめだけに、また電話をしてきたんですね。本当に、ずるい人・・・。悟史くんなんでしょ?」と言い出す。
 思わず圭一は、「何の話だ、魅音?」と問いかけると、魅音は我に返り、昔、今の電話にそっくりな電話を受けたことがあった、と言った。
 圭一は、去年の同じ日、悟史は魅音に沙都子を祭りに連れて行ってやってくれ、という電話をしたときに、魅音の「どうして悟史が連れて行かないのか?」という問いに、悟史は圭一を同じ答えをしたことに気付く。
 魅音は、さっきの電話のやり取りが、去年の内容とよく似ていたので、取り乱した、と言った。
 圭一は、悟史が去年自分と同じ電話して、その数日後の沙都子の誕生日の日に姿を消したのは、去年の叔母が撲殺された事件の真犯人だったからということに気付いてしまう。
 悟史は叔母を殺したが遺体が見つかってしまい事件になってしまった。沙都子の誕生日にプレゼントを買うか、逃亡するかの二択に迫られ、消えたのだ。
 そう考えた圭一は、自分の考えを魅音に伝えるが、魅音は、叔母殺しを自供した犯人は、雛見沢にまったく関係のない人物で、悟史の身代わりになって嘘をつくとは思えない、と言った。
 そして、魅音は、悟史が貯金を下ろした日に、沙都子のために買うと言っていたぬいぐるみが売れてショーケースからなくなっていたから、悟史が買ったのだろうから逃走資金なんてなかった、と言った。
 沙都子のためにぬいぐるみを買ったのに、沙都子の元には戻らず、逃走資金もない悟史は、どこへ行ってしまったのだろう。
 話題を変えるように魅音は、祭りの準備をしているときに、すでに沙都子を祭りに誘って叔父の許可はもらっている、と言った。
 二人して謝り合って、電話を切った。


 祟殺し編 #10 自分の道


 日曜日は、祭日和とはお世辞にも言えない曇天だった。
 テレビの天気予報は、夕方から夜半にかけて土砂降りになるかもしれないと警告していた。
 圭一は物置からシャベルを取り出し、誰にも合わずに犯行予定場所にたどり着いた。
 そして、死体処理用の穴を掘り始める。


 掘りながら圭一は、自分の人生について考え始めた。
 圭一は、昔から身体的に優れた方ではなかった。
 ある日、母親から塾を勧められ入塾テストを受けた結果、偏差値が61もあり、簡易式の知能検査でも非凡な数字が出たことを塾講師から告げられる。
 圭一は学校の成績は平均並みだったが、それは圭一が自身の生活に結びつかない内容の問題が興味が持てなかったから。
 圭一は、選抜と呼ばれる生徒が4人しかいないクラスに編入された。それはこの塾での最高位のクラスだった。
 勉強ができればできるほど、楽しくなったのは最初の内だけだった。
 命令されたことに従い、それを期待以上にこなしてみせると褒められる。それがうれしくて、そのサイクルを回して前に進むのが人生だと思っていた。
 そんな人生がいかに貧しいものかを知ったのは雛見沢に引っ越してきてからだった。


 転校初日、もう一度人生をやり直そうとする圭一自身の決意で、教室のドアを豪快に開けた瞬間、頭上に中に石を詰めた黒板消しが落ちてきたのだ。あれはびびった。かなり面食らった。
 学年も性別もバラバラな生徒がいる教室も、圭一が知る学校という場所とまったく雰囲気の違うところだった。その驚きは、日々を送るうちにますます増していった。
 その新鮮な驚きは、今日までの生活でも絶えることはない。ここへ来てから1日たりとも退屈だと思ったことはない。
 部活メンバーとのにぎやかな日々。
 弁当勝負で、沙都子の意外な面を知り、沙都子が気丈に振舞いながら、心のどこかでにーにーの帰りをずっと待っているという健気さを知り、圭一は沙都子のにーにーになってやろうと誓った。
 沙都子は口やかましいヤツだったが、世話見のいい妹だった。それは一見リードしているように見えて、それもまた沙都子なりの甘え方だったのだ。


 圭一が気が付くとかなり大きな穴が掘られていた。
 腕時計を見ると夕方前になっていた。


 祟殺し編 #11 呼び出し


 圭一は、学校に隠していた金属バットを手に入れ、電話を掛けようとしたが、学校は無人で鍵がかかって入れない。
 ちょうど営林署のおじさんがやってきて、鍵をあけて学校へ入っていき、校舎の向こう側の倉庫へ向かっていった。
 圭一はおじさんの開けた扉から学校へ入り、職員室へ忍び込む。
 しばらくすると、営林署のおじさんが戻ってきて、扉を閉めて施錠する音が聞こえてきた。
 窓から校庭をうかがうと、おじさんが校門へ向かうのが見えた。
 圭一は校長先生の机の上に置かれて受話器を取り、沙都子の自宅へ電話をかけた。
 鉄平が電話に出ると、圭一は興宮警察だと名乗り、沙都子を保護しているので、詳しい事情は直接会って説明するから、今すぐこちらへ来るように、と言って電話を切った。
 圭一は内側から鍵を開けて外に出たが、鍵を探す暇がなかったので、施錠できなかった。
 

 圭一は大急ぎで自転車をこいで林へ向かい、自転車を隠してから、茂みで待ち伏せする。
 バイクの音が聞こえてきた。
 姿を確認すると、沙都子の叔父だった。
 圭一は金属バットを手にして、バイクの叔父に体当たりした。
 バイクとともに地面に転がる叔父の後頭部に、圭一は金属バットを撃ち込み、あとは体中至るところを何度も打ちのめした。
 しかし叔父は立ち上がり、人気のない木立の奥へと逃げ込む。
 逃げ回る叔父を追いかけ、バットで殴りつける圭一。
 圭一の必殺の一撃を受けた叔父は、膝から崩れ落ちた。
 死んでいるのかを確認するため、圭一はさらにバットで殴りつけたが、叔父はもうかばおうとしなかった。


 雨が降り始め、あたりは真っ暗になっていた。
 ここがどこかがわからない圭一は、近くに見える街路灯を目指して道路に出ると、沙都子の家から信じられないくらい遠い場所にいることに気付いた。
 もう死体を掘った穴に埋めるのは不可能な距離だった。
 しかし、叔父が乗ってきたバイクが道に転がったままだ。
 死体は暗い森の中にあるので、今は放置してても見つかりそうにないが、バイクの処分と、穴の脇に放置しているシャベルの回収もしなくてはいけない。
 死体はここに埋めるしかない。


 ようやくバイクのところまで戻った圭一は、雨に打たれながら沼を目指してバイクを押して歩き出す。
 なんとか沼にたどり着いた圭一は、バイクのエンジンをかけ、沼にバイクを投げ落とし、ついでに金属バットも沼に投げ込んだ。


 やっと林に戻った圭一は、自分の自転車を回収したが、真っ暗な林ではどこに穴を掘ったかがわからずシャベルが回収できなかった。
 シャベルには名前は書いていないものの、外国製の特別なもので、発見されるとやっかいなことになるのが圭一には想像できたが、死体の処理を最優先とすることにした。
 まず家に戻り、物置からランタンと別なシャベルを取ってきて、叔父の死体を処分することにする。


 祟殺し編 #12 掘れ


 家に戻りシャベルとランタンを用意した圭一は、叔父の死体の元に戻った。
 ランタンを消し、雨でぬかるんだ地面にシャベルを突き立てる。
 自分の膝くらいまでの深さの穴が掘れたところで、叔父の死体を引きずって埋めた。
 そして、シャベルを片手に持ち、自転車にまたがり走りした圭一だが、バランスを崩しヨロヨロしている。
 そこへ前から車のヘッドライトが近づいてくるが、圭一はよけきれず、横転してしまう。
 車は、なんとか圭一の手前で止まってくれた。
 車から降りてきたのは鷹野だった。
 圭一は、ごまかすため、レナと宝探しに行ったときにダム現場に忘れてきたんですよ、と言ってシャベルを見せた。
 しかし、鷹野は、あっちから来たのに、ダム現場とは反対方向ね、と言い出す。
 鷹野を殺してしまおうと圭一が思った瞬間、それに気づいたのか鷹野は、そろそろどいてくれるかしら、と言った。
 圭一が起き上がろうとすると足首に激痛が走る。捻挫したようだ。
 鷹野は助手席のドアをあけて、肩を貸して圭一を車に乗せた。
 後部座席には、誰かの自転車がすでに積み込まれていた。
 圭一は、前原と書かれた自転車をこの場に残すことを嫌がり、鷹野に「ないと困るから」と言って後部座席に積み込んでもらった。
 ついでにシャベルも頼んで積み込んでもらった。


 前原屋敷に向かう途中、鷹野は、「死体、上手に埋められた?」と聞いてきた。
 鷹野は、「山奥に死体を埋めるときは、けっこう深く掘らないと野犬とかが臭いを嗅ぎつけて掘り返しちゃうことも多いのよ?野犬が咥えてきた人骨で事件が発覚なんて、けっこうないことじゃないのよ?」と言った。
 鷹野を殺してやろうと圭一が思っていると、鷹野は、「ボケもツッコミもなし?」と言い出す。質の悪い冗談のつもりだったのだ。
 この女、生かしてはおけない、と思いながら圭一は眠ってしまった。


 気が付くと前原屋敷の前だった。
 圭一は、後部座席から自転車を下ろし、鷹野に礼を言った。
 鷹野は、「二人っきりのドライブはナイショにしてね、特にジロウさんにはね」と言った。
 それで圭一は、後部座席の自転車が、以前富竹に会ったときに乗っていた自転車と同じものだと気づいた。
 圭一は、あれは富竹さんのですよね?と尋ねると、鷹野は、有り得ないじゃない、と答えた。
 富竹の自転車が鷹野の車に積んであるが、富竹本人が車に乗っていないのはおかしい。雛見沢で富竹とその自転車がバラバラに存在することはあり得ないから、あの自転車は富竹のものではなく自分のものだ、と鷹野は言い出す。
 鷹野は「私とあなたは今夜出会わなかった」と何度も繰り返して、圭一に念を押すように言った。
 瞬時に鷹野は自分と同類の人間だと理解した圭一は、「それでいいなら、そういうことでもいいです」と返事した。
 それを聞いた鷹野は「よかったわね、私がやさしい人で」と言って、踵を返し、車に乗り込んだ。
 鷹野の後姿を見ながら、「死ね」と呪いの言葉を浴びせる圭一。
 その圭一の後ろでなぜか足音が聞こえてきた。
 圭一が振り返るが誰もいなかった。


 Tips:地獄の業火


 救急情報センター:はいもしもし、救急ですか、消防ですか?
 通報者:えっと消防です!
 救急情報センター:火事ですか、事故ですか?
 通報者:たぶん火事だと思います。こちらは中部拘束の垣内サービスエリアなんですけど、裏の山からなんどかすっごい火と煙が上がっているのが見えるんですよ
 救急情報センター:わかりました。すぐに現場を確認しますので、そちら様のお名前とすぐに連絡のつく電話番号、それから火災現場の詳細な場所をお願いします


 消防司令部:消防司令部より通達。Gブロック西側山斜面にて不審火の通報あり。現場は不快森林地帯。周辺に民家はないが、延焼の可能性あり。直ちに現場を確認されたし。
 団員:こちらはGブロック第三消防分団です。通報の現場にさっき到着。ドラム缶がひとつ山中に放棄され、炎上しているのを確認しました。火は沈下しつつあり、延焼の可能性はなし。で、ドラム缶の中に人らしきものが灯油か何かで焼かれた、という感じで。その警察の人にも連絡した方がいいんじゃないかと思いまして・・・


 団員:間違えねぇよ!これ人だよ!!!



 Tips:5年目の犠牲者


 「今年の祟り、ってことっすかね」と熊谷がいうと、大石は、「毎年いろんな殺し方を見せてくれますが、今年は特に際立っていますねぇ」と答えた。
 大石は、自分で自分の喉を掻きむしって死んだのだから、鑑識が何か怪しげの薬物の検出をしてくれるはず、と言った。
 大石は、今年の犠牲者は北条鉄平だとふんで張り込んでいたのに、写真家の富竹ジロウが死んだのに驚いていた。
 大石は、沙都子が祭りに出かけたあと、鉄平がバイクで家を出たのを確認しているが、沙都子が戻ってきたが、鉄平が帰宅していないことに気付く。


 Tips:恨み帳?


 ご飯がくさいと言われた。
 くさいのは私がくさいからだと言われた。
 くさいのは私がお風呂に入っていないからだと言われた。
 お前はくさい人間だから、毎日3回お風呂に入れと言われた。
 きっとこいつも何かに乗り移られている。
 だってこれは、死んだあのとこが言っていたのと同じこと。
 あの男に乗り移っていたものと同じものが、こいつにも乗り移っているからだ。
 私の家の前に、突然の地震で大きな裂け目でもできあいだろうか。
 そうしたらあとはドンと突き落とすのみ。
 そのチャンスが訪れるまで、私は負けたりなんかしない。
 負けるもんか泣くもんか。
 あぁ、また誰かが謝りだす。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 祟り殺し編 #4 寝坊の朝


 翌朝、圭一が目を覚ますと10時を過ぎていた。完全に遅刻だ。
 自室を出て、階下に降りたが、両親の姿はなかった。
 たぶん、朝母親に起こされたが、二度寝してしまった。両親は圭一が登校したものと思い、出かけてしまったのだろう。
 圭一は学校へむかったが、最短距離で行く気にはなれず、一人で考える時間が欲しい、と思いながら、学校と反対側へ歩き出した。
 レナに連れられた何度か来たことがあるダム現場に圭一はたどり着いた。
 すると、圭一の後ろから自転車のベルが聞こえてきた。
 富竹で、神社への道を尋ねてきた。
 圭一は、口で説明するのが難しいから、と言って、富竹を連れていくことにした。


 道中、富竹は雛見沢の自然が貴重で、珍しい野鳥の宝庫であるかを延々に説明してくれた。
 富竹の後をついて神社の階段を上り、境内に入ると、女性が待っていた。
 富竹が、村の診療所に勤めている鷹野三四さんだよ、と紹介してくれた。
 鷹野もカメラを持っていたので、圭一は、二人は写真仲間?と尋ねると、鷹野は、「ジロウさんは素人の自分を手ほどきしてくれている」と答える。
 鷹野が、明後日は綿流しだ、と言うと、富竹は、明日の設営シーンからレンズに納めるつもりだ、と言った。
 圭一が、雛見沢の守り神オヤシロさまに感謝するため、古い布団を積み重ねて供養するお祭りでしたっけ?と話すと、鷹野はうなずきながら、「二度あることは三度ある。そして、もう四度あったのよ?五度めがないと言える方が何の根拠もない。」と言い出す。
 それを聞いた圭一は、綿流しのお祭りの日に、オヤシロさまの祟りと呼ばれる怪死が必ず起こり、鬼隠しと呼ばれる失踪が必ず起こることを思い出した。
 ダム工事の監督、賛成派の沙都子の両親、その叔母を殺したオヤシロさま。
 悟史は鬼隠しの被害者で、連続怪死事件の中では、北条の姓を持つものの占める割合が圧倒的だ。
 北条家は村人でありながら、ダムに賛成したという意味で、オヤシロさまは特に強く罰したということなのだろうか?
 圭一が、「沙都子の両親、叔母が祟り殺されたから、今度は叔父の番かな?叔父は一度は村を捨てて町へ逃げた人間だ。オヤシロさまは確か、村を捨てて逃げ出そうとするのは許さないはず。」と言い出すと、鷹野は、叔父が死ぬか消えるかする可能性は否めない、とクスクスと笑いながら答えた。
 笑いながらする話じゃない、と富竹が言うと、鷹野は、オヤシロさまの祟りは自分のライフワークだ、と言った。
 鷹野が突然、サンタクロースの正体は?と尋ねてきた。
 圭一が答えに詰まっていると、鷹野は、パパだ、と言った。
 それを聞いた圭一は、「ここは人間しかいない世界だから、人間の世で起こることはすべて人間の都合で人間が起こす」と言った。
 鷹野は、「人間の世で起こることはすべて人間の都合で人間が起こすなら、オヤシロさまは?」と再度圭一に尋ねた。
 圭一が答えられずにいると、富竹が、「鷹野さんはオヤシロ様の祟りをめぐる一連の連続怪死事件を、雛見沢の村人が何かの儀式に基づいて行っている人為的殺人事件でないかとみている」と言った。
 鷹野は、「民俗学的見地で解明したいので、雛見沢村が鬼ヶ淵村と呼ばれていた古代にまで遡らなければならない。鬼と血を交わらせたと信じる半人半鬼の仙人たちが・・・」としゃべりだそうとしたら、富竹が、いきなりそんな話をしても面くらうだけだ、と言って止める。
 しかし、圭一は続きが知りたくて、「犯人は誰だと思います?」と鷹野に尋ねる。
 鷹野は、「教える前に3つの誓いを守ってもらう。私が何を教えても、後悔しない。口外しない。私が言ったなんて絶対に言わない。」と答えたので、圭一はうなずいた。


 祟り殺し編 #5 お昼の登校


 圭一が学校についたのは、昼食が終わったくらいの時間だった。
 校庭で、女子生徒に沙都子のことを聞くと、今日も休みだったが、電話があったと先生が言ってた、と教えてくれる。
 先生は、風邪、と言っていたとのこと。


 教室に入ると、沙都子以外の部活メンバーが迎えてくれた。
 圭一が沙都子のことを尋ねると、レナが、風邪がぶり返したからまた休む、長引くかもしれない、と電話があった、と教えてくれる。
 お弁当を広げて食べようとしたら、知恵先生が教室にやってきて、魅音と圭一に、食事がすんだら職員室へ来るように、と告げたが、二人はそのまま職員室へ向かうことにする。
 しかし、その前に、沙都子のことについて見解を統一することにした。
 圭一は、沙都子があんなに頑張ろうとする理由を知っている、と話し出した。


 昔の沙都子はつらいことがあると兄の背中に隠れていたが、そのせいで兄が逃げたと思っている。だから、つらいことを自分一人で我慢すれは兄が帰ってくると思い込んでいるが、それは現実ではまったく無関係だ。
 沙都子は、誰の助けも喜ばない。それを尊重してやるのが正しいのだろうか?
 沙都子に恨まれることになろうが、沙都子の意志に拘らず助けるべき時があると思う。それが今じゃないかと思っている。


 圭一は、昨日沙都子の家に行き、見たこと感じたことをみんなに話すと、梨花は、「ここにいる誰よりも沙都子のことを考えている圭一にすべてを任す」と言った。
 最終的には魅音もレナをうなづいた。


 圭一と魅音が職員室に行くと、校長は研修会で不在で、知恵先生しかいなかった。
 知恵先生は、おかしな噂が流れている沙都子について知っていることを教えてほしい、と言った。
 圭一は、自分が話をする前に、まずは先生は噂が本当ならどうするつもりなのかを尋ねた。
 「まずは状況を確認するために家庭訪問」と知恵先生が答えると、圭一は、「叔父に怒鳴られて追い返させるかも」と言った。
 知恵先生は、「叔父と沙都子に会えたなら真意を聞いて、その事実が確認できたら、興宮の生活相談所に通報します。相談所の職員は必要に応じて警察官を同行させることができるので、恫喝には屈しません。」と言った。
 そして、知恵先生は電話をかけて、緊急で連絡したいことがあるから、と言って研修中の校長の呼び出そうとする。
 圭一は、噂は本当で、昨日実際に沙都子の家に行ってどうなっているのかを見た、と言った。
 知恵先生は、自分が何とかするからあとはまかせてほしい、と話していると、校長から折り返し電話がかかってきた。
 知恵先生と校長に向かって、圭一は、「今すぐ何とかしろ!様子見なんてことになったら、ただじゃ済まさないからな」と怒鳴りつけると、知恵先生は、魅音に圭一をつれて教室に戻るように言った。


 祟り殺し編 #6 魅音への・・・お願い


 昼休みの後、午後の授業はほとんど自習だった。
 たまに知恵先生は教室に戻ってきたが、すぐに職員室の電話が鳴り、長々と話をしていた。


 学校から帰ろうとする魅音に、圭一は、「お前のうちに寄ってもいいか?漫画を少しまとめ借りしたいんだけど。」と声を掛けると、圭一の真意に気付いたらしい魅音は了承してくれた。
 二人きりで話したいことがある。そういうことだ。


 魅音の家は広大だった。
 家自体はどことなく古臭い合掌造りだが、敷地の規模がとにかくでかい。
 魅音は客間の圭一を通すと、お手伝いさんにお茶を持って来させた。
 お手伝いがいることに驚く圭一に、魅音は、自分と祖母だけしか住んでいないから、自分だけじゃやっていけないので、と説明する。
 お手伝いさんは、5時になりましたので失礼します、といって帰っていった。
 お手伝いさんは、週に2,3回夕方まで、魅音の祖母の世話とか掃除の手伝いに来てくれており、3,4人がローテーションで入っているので、毎日誰かがいるとのこと。宴会などの人出が欲しいときは別途に呼んでいるとのこと。
 魅音は、「先に言っとくけど、家はお金持ちかもしれないけど、自分が自由にできるお金はまったくない」と告げた。
 圭一は、「魅音にかなり本気な話がある。仮に本当だったとしても、魅音はそれを認めてくれなくてもいい。だけど、最後まで俺の話は聞いてほしい。鬼ヶ淵村御三家筆頭家の次期頭首の園崎魅音に話がある。」と言い出すと、魅音は、圭一が大きな勘違いをしていて、話を聞いても何もかなえてあげられないから聞きたくないが、話すことで圭一の肩が少しでも軽くなるなら聞くよ、と答えた。


 オヤシロさまの祟りは正体不明で、なぜ起こるのかも不明。ここには解決しながらも、全体で見れは不可解な連続怪死、連続失踪事件。唯一共通することは、必ず村の仇敵が標的に選ばれる。
 あさっては綿流しだが、今年の祟りの犠牲者はもう決まっているのか?
 もしも今年の祟りのが沙都子の叔父じゃなかったなら、沙都子の叔父に変えてくれ。
 あいつは去年の祟りで叔母が死んだあと、沙都子を放り出して町に逃げていた。今年の祟りに選んでも不足はないはず。


 圭一がそう話すと、魅音は、「今年の祟りがあいつが死んでもたぶんみんな納得するね。雛見沢連続怪死事件、通称オヤシロさまの祟りは、園崎家が主導で御三家が起こしている村ぐるみの事件?」と静かに言った。
 圭一は、もしも祟りを決めている連中に渡りが付くなら、沙都子の叔父を祟りに選ぶように言ってほしいだけだ、と頼む。
 魅音は、「圭ちゃんは大きな勘違いをしている。オヤシロさまの祟りは、オヤシロさまの祟り。たとえ人間の起こした事件であったにせよ、それは園崎家とは、ましてや私とは何の関係もないよ。圭ちゃんの訴えは、私がかなえてあげたくても、かなえてあげられない。もしも私が御三家を操って毎年の犠牲者を選べる立場にあったなら、きっと圭ちゃん願いをかなえているよ。でも現実は違う。確かに園崎家はいろいろな意味で悪い噂を持って雛見沢を陰から支配している一族だけれども、連続怪死事件とは何の関係もない。ダム闘争では確かに少々過激な抵抗もしてけれど、それだけ。人殺しなんて大それたこと、絶対にやらないよ。無情にも沙都子の叔父はあさっての夜も超える。それを覚悟してね。圭ちゃんにそんな話を吹き込んだには三四さんかな。本人がひとりで楽しんでいる分にはいいけど、圭ちゃんを感化するのはいただけないな。そもそも今年も祟りがあるかどうかなんてわからないよ。」と言った。


 圭一は、不愉快な話をした、と謝って園崎家を後にした。


 TIPS:緊急


 昭和58年6月18日 北条沙都子に関する家庭問題について(緊急)
 標記の件につき、北条沙都子を緊急に保護すべきであると進言します。
 1家庭状況 先日雛見沢に戻った養父との生活上の問題は深刻で、相談所による火急の対応が必須だと考えられます。
 2興宮生活相談所の対応 昨日23日に担当職員が派遣されましたが、52年度のケースにより、身長策から継続指導の形をなりました。残念ながら相談所長は正しく状況を把握しているとは言えません。
 3当該児の状況 所見より、過去の事例とも照会しても問題を抱えている可能性が非常に高いと思われます。このまま放置することは、より深刻な状況を招く危険性があります。
 4鹿骨市役所生活指導部への申し立て 以上から北条沙都子への対応を緊急に行うべきであると進言します。緊急に関係各機関への調整を求めるものであります。


 TIPS:エ2-6第44号


 福児庶え2-3第44号
 昭和52年3月17日
 児童名:北条沙都子
 鹿骨市雛見沢在住
 (1)相談の経路
 本児より鹿骨市興宮の生活相談所に電話相談あり。
 (2)状況
 本児より、養父との生活に問題をきたしているという訴え。
 (3)家族構成
 養父、実母、兄、本児
 *養父と実母は昭和51年に入籍。本児は離婚した前夫との子。
 (4)興宮相談所の対応
 本日電話相談が入り、同日学校に電話で、本児の状況聞き取り。
 即時、担当職員が本児宅を訪問し、面談を行った。
 養父は真摯に指導を受け入れ、以後、生活相談所主催の講習会を受講することに同意した。
 助言指導とし、経過を観察することとする。
 (5)その他
 鹿骨市教育相談所で本児に対し数度のカウンセリングの結果、本児の養父への過度の不信、コミュニケーション不足が原因である可能性が高いことがわかった。
 当初訴えのあったような問題は実際には発生しておらず、本児が養父を遠ざけるため、虚偽の訴えをした様子。


 (以下は当時の担当者の鉛筆による走り書き)
 むしろ娘の方に問題があったようだ。
 女児の話はほとんどが作り話の花押性があると鹿骨市教育相談所の田中主査。
 今後は本児への指導を中心に行うこととなった。
 本児の話は真に受けすぎないように注意。


 翌朝、圭一はいつのようにレナと魅音とで登校する。
 魅音の叔母が雛見沢地区の民生委員をしているとのことで、魅音は、夕べ電話が聞いてみた、と話し出す。
 知恵先生があのあと直接興宮の生活相談所に電話して、担当の職員が昨夜のうちに訪問して、叔母にも、今後艇的にアプローチするようにと連絡があったが、沙都子がどうなったかは叔母も知らされていないとのこと。


 教室に駆け込むと沙都子が来ていた。
 沙都子は、呼んだの誰?夕べはとんだ騒ぎだった、と言い出す。
 欠席を心配した先生だ、と圭一が言うと、沙都子は、自分も叔父もとんだ迷惑だった。風邪が治ったから学校に来ただけ、と言った。
 叔父はどうなったのかを聞き出そうとしている圭一の襟首を梨花がひっぱり廊下へ連れ出した。
 梨花は、沙都子は「なんでもない」といって職員を追い返した、と告げた。
 梨花は、これが3回目だ、と話し始めた。


 沙都子と悟史の死んだ父は、母親の再婚相手で本当の父親ではない。
 悟史は素直な子で、新しい父をすぐに受け入れ、可愛がられた。
 しかし、沙都子は反抗的で嘘つきで、養父には全然好かれなかった。
 沙都子は叔父夫婦に預けられる以前の家族の時も、あまり良好な家族関係ではなかった。
 沙都子は、養父を陥れるのを目的に嘘の話を作って、自分で生活相談所に電話をした。
 いろいろと関係機関が調べた結果、養父と沙都子の心のすれ違いに原因があることがわかったが、それ以上に沙都子自身に問題があることがわかった。
 沙都子の母は再婚に至らずとも、内縁の夫と同棲することが何度かあり、沙都子は幼少期から少なくとも2,3人はお父さんと呼ばなければならない男との生活を強要されてきた。
 いつのころから、沙都子のいたずらがエスカレートするようになり、すぐバレすような嘘を平気でつき、そのたびに怒られたが、一行にそれらを改めようとはしなかった。 
 これは幼い沙都子が、母親を知らない男にとられまいとして取った自衛的な行為だったが、そのせいで、おととしの冬は、沙都子の嘘の可能性もあるから慎重にということになり、様子見になったのだ。
 夕べ、興宮の相談所の人が訪れた時、沙都子は問題を否定したが、相談所の人が今後も定期邸に訪問することになった。


 沙都子はまだ頑張っているから、もう少し見守ってあげよう、と梨花は話を終えた。


 TIPS:主婦撲殺事件担当課御中


 昭和57年7月18日
 興宮警察署捜査一課 高杉課長殿
 麻薬犯罪撲滅本部 鹿骨支部長 反町尚之
 秘匿捜査指定第168号事件について
 標記秘匿捜査事件(興宮警察署第168号、雛見沢村主婦撲殺事件)について関連すると思われる部分が、当本部担当事件の供述調書内に確認されたことを通達する。
 7月3日に麻薬取締法違反の現行犯で逮捕した当該容疑者への取り調べ中、標記事件の犯行をほのめかす供述があり、その中に犯人しか知りえない情報が含まれていることが明らかにとなった。
 よって、この供述調書(複写)を貴課に提供する用意がある。
 この供述調書が信頼できるなら、当該容疑者は標記事件の実行犯である可能性が極めて高い。
 なお、担当取調官はこの供述を受け、興宮警察署に事件の問い合わせをしたが、7月1日県警本部長発令の秘匿捜査指定(昭和57年総総管イ1-12)を対応した興宮署担当者が誤解し、担当取調官に対し、事件の存在を正しく説明しなかった。
 そのため、担当取調官は標記事件に関する供述を重要なものと認識せず、その結果現場確認などを怠り、今日まで放置するに至ったことを謝罪する。
 なお、当該容疑者は先日7月4日に、留置所内にて死亡したことを追記する。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 祟り殺し編 #3 圭一の考察


 家に帰った圭一は自室にこもり、沙都子のことを考える。
 自分の家は大きくて部屋はいくつか余っている。
 食費の問題は厳しいが、昼飯は仲間みんなでほんの少し多めに弁当を用意すればいい。
 だが、朝夕の食事は母親が用意するから、まず説得が必要だ。
 人間一人の月々の食費はいくらだろう?それを自分が負担すれば文句は言われない?
 助けは求めるが、基本的には自分一人で助ける。
 しかし、その前に両親の説得が大前提だ。
 仮に同情が得られたしても、どうして前原家が負担を全面的に受けなければならないのか?という話になるだろう。
 結局、自分一人の決意じゃ何も救えない。


 そう考えていると、母親が夕ご飯の支度ができた、と圭一を呼びにきた。
 両親と食事をとりながら、圭一は、両親に断る必要ないことに気付く。そう、隠れ住まえばいいのだ。
 その案で考えを進めている圭一。
 叔父が探しているから、沙都子は学校へは行かないほうがいい。
 両親は圭一のプライバシーを認めているので、圭一の不在を突いて自室に入るようなことなしない。だから、沙都子は部屋にこもっててくれれば大丈夫。
 部屋は2階にあるから、事前に階段の音で接近を察知でき、そのすきに押し入れに隠れるくらいはできるはず。
 学校へ行けない沙都子の昼ごはんは、圭一の弁当を回して、圭一は、みんなのお弁当を分けてもらう。
 問題は朝夕の食事だ。
 朝はガマンしてもらい、夜は、圭一の食欲が増したことにして大盛にしてもらい、何とかその一部を沙都子に与えればいい。


 試しに自室で食べたいと言って、皿を持って圭一が立ち上がると、両親は、食卓で食べるよう言った。
 これでは親の目を盗んで食事を持ち出すのは無理だ。


 食事を終わらせた圭一は、自室に戻って、沙都子の気持ちになって行動してみる。
 まず隠れるための押し入れを開けるが、立て付けが悪くて、ガタガタと音がした。
 これは工夫しだいで音を消せる。
 次に、圭一はトイレに行きたくなる。
 前原家のトイレは1階にしかない。
 トイレを家人に気付かせずに使用するなんて絶対に無理だ。
 考えれば考えるほど破綻し、自分の無力さが思い出させられる。
 明日、みんなにこの考えを発表しようと思いながら、睡魔に襲われる圭一。


 TIPS 事例31をゲット!


 昭和56年12月1日鹿骨市役所福祉部資料(閲覧不可・複写不可)
 事例31(11月20日)
 北条沙都子
 鹿骨市雛見沢在住
 (1)相談の経路 匿名で鹿骨市興宮の生活相談所に電話相談あり。
 (2)状況 女児が保護者である養父母との生活に問題をきたしているという訴え。
 (3)家族構成 養父、養母、兄、本児
 *昭和55年6月に本児の両親が事故により死亡し、父方の叔父(父の弟)宅に引き取られた。
 (4)興宮生活相談所の対応 匿名の電話相談が入り、同日、学校に電話で、本児の状況を聞き取り。翌日、担当職員が本児宅を訪問し、聞き取り。養父母は相談所の指導を受けることに同意。市の生活指導部に連絡した。助言指導とし、以降定期的に地域の当該職員が訪問指導することとなった。
 (走り書きのメモがホチキスで止められてる)
 前任の和田氏より関連情報あり。52年度のエ2-3の44号を参照すること。
 鹿骨市教育相談所の田中主査が詳しいので助言を求めること。


 TIPS 家庭教育のあり方をゲット!


 「家庭」とは、人間社会における最小単位である「個人」の次に小さい構成単位です。
 そして、人間が単なる動物ではなく、道徳や思慮分別を備えたいわゆる「社会的動物」として存在していくために必要とされるのが、「教育」であるとされています。
 社会における、集団生活に必要な行動様式は特別の場合を除き、生来の能力とされる「本能」だけでは決して学習できないのです。
 よって人間は、第三者、さしあたってはもっとも「個人」との距離が近い「社会」的な構成単位、「家族」よりそれらを習得します。これが、「教育」です。
 そして、文明社会においては、自らが受けた「教育」と同時に、自らがその分身である子供に対してどのような「教育」を与えたのかということも、多くの場合「個人」を評価する基準になります。
 以上のことを受けて、与える側である「親」は家庭において、受ける側である「子供」に教育を行うときは、どのようなことを心がければいいのか。
 それは古今東西永遠の課題ともされる非常に難しい問題ですが、基本的には「信賞必罰」の考え方が一般とされています。
 ただし、注意しなければならないのは「褒める」ときではなく、「叱る」ときなのです。
 叱りすぎると子供は委縮して思考を停止、あるいは自らの言動を否定されたと考えて、社会的行動を学習する前に本能的な自衛を志向し、それにより問題行動を誘発する危険性があります。
 その一方で、叱り方が軽すぎる場合は、子供がその誤った行動の重要度を取り間違えてしまって学習、あるいは記憶しないまま、時間を置いて再び同じ行動をする可能性が高まるでしょう。
 そのため、家庭教育において「叱る」ことは非常に難しく、また与える側の親にとっても過度のストレスを要する行為であります。
 ~洛京大学教育学部「家庭教育のあり方」序章より~

 TIPS 羊飼いはどうして嘘をついたのか?をゲット!


 日本ではイソップ寓話の名で有名な寓話集は、古代ギリシアの寓話作家アイソポス(英語表記でイソップ)によってつくられたものといわれています。
 その中でも有名な話のひとつが、「嘘をつく少年(別名:狼と羊飼い)」でしょう。


 単調な生活に退屈していた羊飼いの少年がある日、「狼が来た」といって大騒ぎする。それを聞いた大人たちは武器を手に駆け付け騒然とするが、実はそれは少年の嘘だった。
 徒労に終わった大人たちはかんかんに怒るが、少年はその大人たちの本能が面白くて、退屈しのぎとばかりに日をおいて再三再四と大騒ぎするようになる。
 最初のころはそのたびに駆け付けていた大人たちだったが、やがて少年の嘘に辟易して誰も駆け付けなくなった。
 そしてある日、羊を飼っていた牧場に今度は本当に狼が訪れる。驚いた少年は大人たちに助けを求めるが、彼らはまた嘘だと思ってそれを信じず、結局羊たちは食べられてしまった。


 この話の教訓として一般に知られているのは、「嘘をつくと信頼を失う」ということでしょう。
 が、この寓話が作られた当時の古代ギリシア・小アジアの国際情勢を考えた場合、別の考え方もあるのでは、と最近になって異説が持ち上がってきました。


 たとえば、「狼が来た」と少年が言った話の10回のうち、9回で嘘であったとしましょう。
 その場合、村の大人たちは10%の可能性だからといって、狼の襲来に備えないとするのは果たして正しい行動でしょうか。
 逆説的にとらえると、1回は必ず狼の襲来があるのです。
 100回のうち99回が嘘でも、本当の1回が最後に来るか、最初に来るかで体感的な確率、そして重要度は大きく異なります。そして、残念なことに多くの場合、それを知るのは結果が出たあとなのです。
 たとえ当初見積もられた確率は低くとも、常に最悪尾状況に備えておかなければ体感的な確率と損失は大きく変動する。つまりこの寓話に隠された教訓は、「備えあれば憂いなし」であったかもしれません。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外に何も興味がなかったから。
 井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外で何があっても関係なかったから。
 そしてあなたも幸せでした。 井戸の外で何があったか知らなかったから。


 祟殺し編 #1 校舎裏にて・・・


 知恵先生が梨花を呼んで、沙都子の欠席の理由を聞いている。
 梨花は最初のうちは、沙都子は風邪をこじらせたと言っていたが、クラス中がそれは嘘であることを知っていた。なぜならば、梨花は毎日沙都子の分の弁当も持ってきていたからだ。
 沙都子が欠席して、3日目だ。
 圭一は、オヤシロさまの使いと言われている大石が現れてから世界が暗転してしまったようにしか思えなかった。
 梨花は沙都子の事情を何かしっているが、話してくれない。
 梨花はこうと決めたことは信じられないくらいガンコに曲げない性格なので、それを知っているみんなは、梨花を問い詰めるようにことはしなかった。
 富田と岡村が、気になる噂を聞いた、と言って、圭一に話しかけてきた。


 人目を避けて、校舎裏で3人で噂話を始める。
 富田は、「うちのばあちゃんの話だと、昨日の昼に、うちの店に豆腐を買いに来たらしい。」と言った。
 富田は、「絹ごし豆腐を1丁買っていったそうなんですが、ばあちゃんが言うには、おかしいと・・・」と続けた。
 沙都子は梨花と二人暮らしで、そんなお金持ちというわけではない。
 なので、二人は、いつも安い木綿豆腐しか買わない。一番高い絹ごし豆腐なんか買ったことはない、とのこと。
 岡村が、「去年のオヤシロさまの祟りで怖くなって町に逃げた沙都子の叔父さんが帰ってきた。こいつ、ヤクザみたいな怖くて乱暴なヤツで。」と言った。
 二人は自分の話が終わると下を向いてしまった。
 岡村は、「沙都子が重病で寝たきりになってないことがわかっただけども、儲けもんだ。」と言うと、突然、「あ!アレ」と大声を出した。


 圭一が振り返ると、沙都子がいたので、大急ぎで駆け寄った。
 沙都子の笑顔はどことなく頼りなく、なんとなく血色も悪い。
 圭一が、3日も休むから心配していた、と言うと、沙都子は、家の掃除をしたりしてた、と答えた。
 間近で見る沙都子は、どこか弱弱しく、熱があるかのように顔が赤く、目もどこか焦点がぼけているようだ。
 沙都子は、教室に入るないないや、みんなからの質問を受け、「本当にご迷惑をおかけしましたね」と言いながら、梨花の用意してくれた弁当をがっつき始めた。
 沙都子が登校したことを知った知恵先生も教室にやってきて、「本当に心配してたんですからね!食べ終わったら職員室へ来るんですよ。いろいろとお話があります」と言った。


 沙都子の様子を見たレナと魅音の様子がおかしいことに気付く圭一。
 食べ終わった沙都子が職員室へ向かおうとすると、梨花も付き添っていった。
 圭一は、仲間に隠し事はしない、と前置きして、さっき校舎裏で聞いた噂話を、レナと魅音に話した。
 魅音は、沙都子の叔父が帰ってきたのは初日から知っていた、と話し始めた。


 沙都子の叔父は、一緒に暮らしていた女性が失踪したせいで興宮に住めなくなり、雛見沢の自宅へ戻ってきた。
 そして、あのバーベキューにあった日曜に、叔父と沙都子は鉢合わせしてしまった。
 それで、無理やり家事をやらされている、という噂がある、とのこと。


 それを聞いたレナは、「去年みたいに?意地悪な叔父さん夫婦のところで暮らしていた時みたいに?」と言った。
 レナは、「1年前と違って、今は悟史がいない。」と言うと、魅音が、「悟史は妹思いのいい兄で、いつも沙都子をかばって、意地悪な叔父叔母のとばっちりが沙都子に被らないように盾になっていくれてた。」と言った。
 家には意地悪な叔父と沙都子の二人っきりなのだ。


 放課後、魅音が、久しぶりに全メンバーがそろったから大部活を始めよう、と言ったが、沙都子は首を横に振って、「いろいろしなければならないことがありますので」と謝り、手早く荷物をカバンに詰めて、廊下へ消えていった。
 レナが、「そろそろ話してくれてもいいんじゃないかな?」と梨花に言ったが、梨花は黙っていた。
 魅音は、「前の時は夫婦喧嘩のとばっちりみたいなのがほとんどだったから、部活で時間をつぶして家にいる時間を極力減らすのもひとつの手だった。」と言った。
 圭一は、「こういうのって問題だろ?警察とかに通報できないのかよ?」というと、魅音は、「おととしの冬に興宮の相談所に通報したら、すぐに職員の人が来てくれて、沙都子と悟史に事情聴取してた。ついでに叔父夫婦にも。で、結果は様子見。それで、しばらくは毎週決まった日に担当の職員さんが訪問し、叔父夫婦も見張られいること気にして、目立つ行動はしなくなった。叔母のヤツが特にねちっこくて、沙都子は最後の方は呼吸するだけのボロ人形みたいだった。わかった?誰の目にも明らかな証拠がなかったらお手上げなんだよ!むしろ状況を悪化させかねない。あれは失敗だった・・・」と言った。
 圭一は、沙都子を助けるヒントになるかわしれないから、と言って、梨花は両親がいないのに一人暮らしを許されている理由を尋ねる。
 魅音が、村長である公由のおじいちゃんが梨花の保護者になっているから、と答える。
 圭一は、誰かが沙都子を保護すればいい、と言って、入江の名前を出すと、魅音は、独身は保護者になれない、と言い切る。
 圭一は、魅音の家に押し付けようとすると、レナが、そういう圭一の家はどうなの?と聞いてくる。
 圭一は我に返り、みんなに謝ると、魅音もレナも謝る。


 結局、去年の綿流しの夜に、薬物中毒者が意地悪な叔母を殴り殺して、沙都子は救われたのだ。本当に、ただの偶然で。


 祟殺し編 #2 沙都子の自宅へ・・・


 圭一は沙都子の本当の家をクラスメイトに聞いた。
 その家は、沙都子の実家であって、叔父夫婦の家だったわけじゃないそうだ。
 沙都子の家の前にやってきた圭一だったが、何もできず立っているだけだった。
 やがて車のクラクションが聞こえ、見てみると入江と助手席には沙都子がいた。
 車から降りた沙都子は、気だるそうな表情と力のない瞳の様子から、調子がよさそうに見えなかった。
 沙都子は、熱っぽかったから見てもらった、と言った。
 入江は、ただの夏風邪だと思うが、ついでがあったから、と言った。
 その時、家の窓がガラリと開いて、ガラの悪そうな男が現れ、「沙都子、家んドア開けっぱなしで出よったんな!」と怒鳴った。
 沙都子は、「ごめんさない、頭がぼおっとして、つい・・・ごめんさないごめんさないごめんなさい」とぺこぺこと何度も頭を下げて謝った。
 家の奥から、「鉄っちゃん、娘に厳しすぎや、もうちょいいたわらんと可哀想やで?」と声が聞こえたが、叔父は、「あんな娘にゃこのくらいで丁度いいんよ。甘やかすと親の言うことをなーんも聞かんやっちゃよ。」と答えた。
 叔父は、仲間たちと麻雀をしているようだ。
 沙都子は、叔父様の友達が来てて宴会をやっていて、夕食の用意をするように言われている、と言った。
 入江は、車のトランクから沙都子の乗ってきて自転車を取り出し、圭一に運ぶよううながした。
 圭一が家の勝手口まで自転車を運ぶと沙都子は、そこでいい、と言った。
 入江は、「お手伝いできそうなことがあったらいつでも言ってくださいね」と優しく言うと、沙都子は、気持ちだけでもうれしい、と答えた。
 圭一も、「力になれることがあったらいつでも力を貸すから、がんばれ」と言って、沙都子の手を握ると、沙都子の手のひらは異常なほど熱いことに気付き、「本当は寝てなきゃダメなんじゃないのか」と言ってしまい、激情がほとばしりそうになる。
 その時、「気持ちはわかりますから、今だけこらえてください」と言って入江が圭一の口を押さえつけたため、唸り声しか出なかった。
 沙都子は、ありがとうございます、と言って頭を下げたので、圭一は冷静になる。
 沙都子は、「本当のにーにーはいなくなってしまったけど、私には、圭一さんというにーにーがいてくれる」と言った。
 圭一は、「俺がにーにーだ。お前がつらいときは絶対に助けてやるから。にーにーがきっと助けてやるから。俺は絶対に逃げないからな。悟史みたいにお前を見捨てて逃げたりしない。」と言うと、沙都子の瞳から一筋の涙がこぼれた。
 そして、沙都子は嬉しそうに笑いながら、「さよなら、にーにー」と右手を振りながら言った。
 沙都子は、「今のにーにーので、力をもらいましたから、大丈夫。明日まで頑張れますから、今日はさよならでございますわよ。」と言った。
 入江が圭一を引きずっていき、沙都子は笑顔で手を振り、勝手口の向こうに消えた。


 悟史は家を出た。
 一番沙都子を守ってやらなければいけない時に、ここにいない。
 圭一は、「どうして悟史は今ここにいないんですか?」と言うと、入江は、「オヤシロさまの祟りがどうかと言われてますが、家出した、としか言えません」と答えた。


 沙都子が大きなぬいぐるみを欲しがっていたので、悟史はいろいろとアルバイトをしていたが、結局その貯金は沙都子の誕生日プレゼントのために使われなかった。悟史は家出し、警察が調べたところ、家出当日に貯金が本人によってすべて下ろされていることが判明した。
 悟史はその貯金を資金に東京のほうにいったんではないか、ということになったのだ。
 置いて行かれた沙都子は、自分は兄のお荷物だから捨てられた、と察した。
 大好きな兄に裏切られた沙都子だったが、周りの支えもあり笑顔を取り戻すことができた。
 沙都子は、悟史が帰ってきたときに、お荷物じゃなくなった自分を見てほしい、思い、涙ぐましい努力の結果、今の沙都子があるのだ。
 去年の綿流しのお祭りの夜に叔母が異常者に殺されて、その数日後の沙都子の誕生日に悟史は家出したのだ。


 圭一は、入江から、「あなたにしかできない助けがあるだろうから、自分の分まで沙都子の力になってほしい。」と頼まれる。
 そして、入江は、沙都子はそういう仕打ちに耐えるのを試練だと考えている、と言った。


 悟史は沙都子をかばい、沙都子は悟史に甘えてきていたが、それがトラウマになっているようだ。
 兄にもたれかかり過ぎたから、兄は自分を嫌ってしまった、と思った沙都子は、誰にも頼らずに自分の力だけで試練を乗り越えたい、そういう力を身につけなければ悟史は戻ってこない、と考えているのだ。
 あの家で悟史の帰りを待つことが、沙都子の生きる理由となっているのだ。


 圭一は、「本当に沙都子が危ないと感じたら、誰の意志を聞かずに行動します。その結果、沙都子は不快な思いをして、俺を恨むことがあるかもしれないけど、最終的にはそれが沙都子の幸せにつながると信じます。沙都子は俺の仲間だから。俺は沙都子のにーにーだから。」と言った。


 TIPS:研究ノート


 <北条家について>
 オヤシロさまの祟りによって。毎年2人ずつの犠牲者が出ており、4年続いているから犠牲者は8人いるわけだが、その半数が北条姓を持つことは特筆に値する。
 2年目の祟りである転落事故で、ダム推進派の北条氏本人が死に、その妻が失踪した。4年目の祟りでは、北条兄妹の養母である叔母が死に、北条氏の長男が失踪した。
 北条家は貧しい家庭で、北条氏の仕事も満帆とは言い難く、雛見沢ダム計画による立ち退きと高額な補償金の給付は、まさに渡りに船だったと言えるだろう。
 だが、ダム推進派は極めて少数だった。
 しかも園崎家が強力に地盤を固め、反ダムへの結束を強化し始めると、北条氏を除くすべてのダム推進派は反ダムへ鞍替えすることになり、北条氏は反ダム結束のためのスケープゴートにされたといってもいいだろう。
 結局、ダム計画は初めてのオヤシロさまの祟りである現場監督殺人事件を最後に瓦解する。
 だが、ダム計画に加担した仇敵への報復は今日でも続けられているのだ。
 ダム計画に加担した、もしくは当時にネガティブな評価を持つものを今日ほとんど残っていない。
 残る祟り候補がいるとすれば、去年の主婦撲殺事件の被害者の夫である北条鉄平、北条氏の娘の北条沙都子。
 奇しくも、残る候補者は2人だ。


 TIPS:大石席のメモ


 大石さんへ。
 捜査四課の重春課長からお電話がありました。
 例の王子川の惨殺死体の件は、やはりS号絡みだったらしいです。
 ウラは確認中ですが、ホトケがS号のカネを自分が用意した数十の架空口座の上限額いっぱいまで送金して、1億くらいはいったらしいです。
 背後には元S号の筋で3~4人の男が絡んでいるようです。
 数千万くらいを引き出して、すでに蒸発しています。
 ホトケはそのあたりを聞き出すために拷問され、以後の見せしめのために惨殺されたのはほぼ間違いないとのことです。
 蒸発した連中は、スゴ腕何人かに追跡させているらしいです。
 あと、親交のある周辺のマル暴に匿わないよう回状を回しています。
 北条鉄平がその一味のひとりであるというウラはいまだにとれていません。
 重春課長の見たところでは、何も知らされていないみたいです。
 北条鉄平は興宮のアパートを出て、雛見沢の元の家に戻った様子です。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 ルート 沙都子5 #1 沙都子欠席


 翌朝、圭一が学校へ行くと、沙都子と梨花の席には荷物がなく、登校してきてないようだった。
 ホームルームの時間になり知恵先生が教室へやってきたと同時に、梨花が教室へ駆け込んできた。
 梨花は、沙都子はちょっと遅れるかもしれないのです、と言った。


 ホームルームが終わり、1時限目が始まるまでのわずかな間に、圭一は、「沙都子はどうしたんだ?」と話しかけた。
 そこへ魅音がやってきて、「男の子には話せない事情がある」と言って圭一を席まで引っ張っていった。
 いっしょに住んでいる梨花が、沙都子が遅れるかもしれない、という曖昧な言い方をしたことに、圭一の不安を掻き立てた。


 圭一の様子に気付いたレナが、「今日はなんだか朝から元気ないよ?」と授業中にこっそり話しかけてきた。
 「昨日まで何も変なことなんか起きなくて、楽しかったんだ。思えばここ最近、不安だったんだ。毎日が楽しいからこそ、ある日ふっと、突然、真っ暗になってしまうんじゃないかって。」と圭一が話すと、レナは、頷いて、「楽しい事の裏側を時々恐れるよね。それってちょっぴり悲しいことだけど。でも、そのおかげで、私たちは楽しい毎日がずーっと続くように、努力することを覚えたんだよ。だから、圭一くんが楽しい日々がいつまでも続かないかもしれないって思うのは、決して悪い事じゃないと思うよ。例えば、明日突然火山が大爆発して、私達全員が死んじゃって、圭一くんだけが生き残ったとしたら、どう感じる?」
 「胸が張り裂けるだろうな。まず、泣くと思う。」
 「そしてこう思うんじゃないかな?こうなることが運命だったなら、昨日までの日を、もっともっと楽しく悔いなく過ごせばよかったって。楽しい毎日がいつか終わるものなら、それがいつかなんて誰にもわからない。だったら、たとえ明日そうなっても悔いがないように、精一杯楽しく生きるのが正解じゃないのかな。それに気づくのとても難しいこと。今日と同じ明日が訪れると信じ切っているから、今日できるころを明日に送る。でも圭一くんはそれに気づけた。それはとても素敵なことだと思う。だからその不安な気持ち、大切にしてもいいと思うの。明日には大災害でみんな死んじゃうかもしれない。だから今日、みんなにいっぱいやさしくしよう。本当に終末が訪れた時、後悔しないために。」
 「レナは実践してるのか?明日、みんなが死んじゃっても後悔しないようにさ。」
 「うん。レナは楽しい毎日がたった1日を境に終わってしまうことを知っているから。今日が楽しくても、明日も楽しい保証なんかないって知っているから。生きてるよ、精一杯。」
 「昨夜、沙都子の夢を見た気がするんだ、どんな夢だったかは思い出せないけど。朝からずっと不安で。」
 「沙都子ちゃんの元気な顔を見れたら安心するつもりだった、かな?じゃあ、沙都子ちゃんが来たら、やさしくしてあげることだね。楽しく過ごすことができるなら。」


 お昼の時間になったが、沙都子はいない。
 にも拘わらず、机の上には5人分の弁当箱が並んでいた。梨花が沙都子の分の弁当箱も用意したからだ。
 沙都子はお昼までには来るはずだったの?と魅音が尋ねたが、梨花の様子はおかしかった。
 みんなの不安な気持ちをかき消すように、レナが弁当箱の中から、大きなから揚げをつまんで口に放り込んだ。
 それをきっかけに、みんなは思い思いに弁当箱を突っつき始めた。
 沙都子はいないけれど、いつの間にか、いつものお昼のにぎやかさを取り戻した。


 ルート 沙都子5 #2 ボール取り


 みんなと楽しく談笑していると、富田と岡村が、圭一に話しかけてきた。
 ボールが2階の雨どいに引っ掛かったので、背の高い圭一なら何とかなるんじゃないか、ということらしい。
 圭一が、先輩にものを頼むなら何か見返りがあるんだろうな?と問うと、富田と岡村は、「授業中にいねむりできる権利を与えましょう。そうでなければ今後、いねむりをしたら先生に言いつけますから。」と答えた。
 圭一は、二人に降参して、ボールを取りに行くことになった。


 ボールは、見事に校舎2階の雨どいに引っ掛かっていた。
 圭一は竹棒で引っ掛かっていたボールを突っつくと、ボールは雨どいを転がり、校舎の裏手の方へ落ちていき、富田と岡村は、圭一に礼をいってから取りに行った。
 一人取り残された圭一は教室へ戻ろうとすると、突然話しかけられた。
 相手は、圭一が全く知らない中年男だった。
 相手が笑った瞬間、圭一はこの初対面の相手にはげしい嫌悪感を抱いた。
 男は、興宮警察署の大石だ、と名乗り、警察手帳を見せた。
 圭一は、昨日までいなかった男が現れたということは、今日が昨日までの日々と違う日であることになり、昨日までの楽しい日々が、昨日を境に終わってしまった、と感じた。
 大石は、「北条沙都子さんと呼んできたもらえませんか?」と圭一に頼んできた。
 何の用事があるのかを圭一が尋ねると、大石は、二三聞きたいことがある、と答えた。
 圭一は、「話がしたいだけなら、電話ですいべいいはないですか。日中、学校にまで押しかけてくるなんて明らかに異常です。」と言うと、大石は近くに走ってきた後輩たちに沙都子を呼んでくるよう、声を掛けだした。
 後輩は、沙都子は今日は休みだ、と返事すると、大石は笑いながら、後輩の肩を掴み、目線の高さまでしゃがみこんで、「ここにいるお兄さんはなんて名前か教えてくれませんか?ん?」と言った。
 「ほう、前原圭一さん、ですか。ひょっとして、例の前原屋敷の御曹司?お父さん、高名な芸術家さんなんですってね。どんな立派な絵を描かれるかは存じませんがね。お母さんも知的そうな方じゃないですか。高学歴って聞きましたよ?どこぞの女子大を出られているそうじゃないですか。ひょっとしてお母さん、良家のお嬢さんなんじゃないですか?な~んてウワサが立っているせいか、冷たい人だ、なんてウワサが立てられているなんてご存知で?町内会の会合、最初の1回以外は出てないでしょ。そういうのって、いけないんですよねぇ。こういう土地ではご近所付き合いを蔑ろになんかできませんよ。」
 大石は圭一の両肩をぐっとつかみ、「こういう土地ではね、敵は作らないほうが絶対にいいですよ?さもないと・・・思わぬところで不利益を受けるかもしれません。因果応報という言葉をありますよ?妙なところで買った恨みが、信じられないところで返ってくることがあるかもしれません。肩がだいぶ凝ってますねぇ。ちょっと揉んであげましょうか?」と言った。
 大石は、単に力が強いだけでなく、痛みを特に感じるツボみたいなのをよく知っているみたいで、圭一は痛みで背中が反り返りそうになった。
 「もうそれくらいになさってください。痛がってますよ。」と入江が声を掛けた。
 「先生のところにも、後でお伺いしようと思っていたんですよ?」
 「ええ、お望みとあればいくらでもお話を伺いますよ。でもその前に令状をお持ちになってください。職務質問と任意同行は拒否できますからね。」
 大石は突然笑い出し、圭一の肩を話すと、圭一は尻餅をついた。
 「大丈夫ですか前原くん!」と入江が言うと、大石は「ちょっと肩を揉んだだけじゃないですか。前原さんも大袈裟すぎですよ?」と言った。
 「とにかく保健室へ!」と入江は言って、圭一に肩を貸してくれた。
 「もう御用がないならお帰りを!今日のことは、署長さんに直接抗議しますからそのつもりでいてください。」と入江が言うと、大石は校門に止めてあった車へ向かっていった。
 入江は、「あいつは大石蔵人という刑事で、乱暴者で村中に嫌われている男です。」と言った。


 入江は迷うことなく圭一を保健室まで連れて行ってくれた。
 その騒ぎに気付いて、知恵先生と校長先生がやってきた。
 女子たちが説明しようとするのを入江が制して、「ちょっと転んでひねったみたいです。保健室をちょっとお借りしたします。」と言うと、「よろしくお願いしますぞ」と校長先生は深々とお辞儀した。
 保健室に入ると入江は、「患部を見せてもらえますか?」と言ったので、圭一はシャツをまくりあげて肩を見せたが、あざどころか爪の跡すらなかった。
 「それだけあいつが慣れている、ということですよ。今度会った時は、挑発しないことです。あいつを怒らせて得をすることは何もありませんからね。しかし、前原さんとあいつが喧嘩になるなんて。」
 「沙都子に用事があるとか言ってきて」と圭一が答えると、入江は黙って、救急箱からシップを取り出して貼りつけてくれた。
 「あの男はまだ沙都子ちゃんに付きまとうつもりなんでしょうか。」と入江は独り言のようにぽつりともらした。
 圭一が、「大石ってヤツ、たびたび沙都子のところへきてるんですか?」と言うと、入江は答えなかったが、否定しないことがそのまま答えとなっていた。
 「前原さんは、引っ越してきたばかりでしたね。オヤシロさまの祟りと沙都子ちゃんの話は、少しは聞いたことがありますか?」
 「沙都子の両親がダム計画の賛成派で、転落事故で死んだのは祟りだ、って話ですか?」
 確か家族で遊びに行った先の公園の展望台で事故が起こって、沙都子の両親は死んだ。そして兄と妹だけになって、梨花と一緒に・・・
 「ご両親が亡くなった沙都子ちゃんとお兄さんの悟史くんは、叔父夫婦宅に身を寄せることになりました。」
 両親が事故死して、悟史が家出して、沙都子だけが残って梨花と二人で暮らし始めた、ってのは知っているが、叔父夫婦に預けられた話は、圭一には初めて聞く話だった。
 「叔父というのは、沙都子ちゃんのお父さんの弟にあたる方なんですがね。残念なことに、夫婦揃って尊敬に値する方々ではありませんでした。沙都子ちゃんの両親がダムに賛成していたとばっちりで、叔父夫婦も村内ではとても肩身の狭い思いをしていましたからね。沙都子ちゃんたちを歓迎するはずもなかったんです。沙都子ちゃんたち兄妹にとって、とても辛い生活だったと聞き及んでいます。」
 叔父夫婦は保護者となると同時に、沙都子たちの家の全財産を吸い取ってしまい、沙都子と悟史は狭い部屋に押し込まれ、身も心を窮屈な生活を強いられた。
 もともと叔父夫婦は不仲でいつも喧嘩は絶えなかったという。その腹いせにとても言わんばかりに、沙都子や悟史の顔を見さえすれば、いつでも難癖をつけ、なじったり怒鳴ったり叩いたり、罰を称して食事を抜いたりした。
 「去年の綿流しのお祭りの夜にね、叔母が死んでしまったんです。異常者にバットか何かで殴り殺されて・・・綿流しの祭りの夜には、村の仇敵が祟りで死ぬと噂されてましたからね。この死も、単なる殺人事件としてだけでなく、オヤシロさまの祟りではないかと村中で囁かれました。」
 その何日か後に、これとは別件で逮捕されていた男が余罪として自供し事件は解決した。
 「叔父だって雛見沢の人間ですからね。オヤシロさまの祟りを大層怖がり、逃げ出して雲隠れしてしまったそうです。聞いた話では、興宮あたりの昵懇な仲の女性宅へ転がり込んでいるとかで。誰も兄妹をいじめる者はいなくなるはずだったんですが、まるでそのあとを継ぐように、大石が執拗に現れるようになったんです。オヤシロさまの祟りを巡る一連の事件はみんな解決しているのに、あいつだけがそれを認めていないんです。あいつが近づく人間には必ず何か良からぬことが起こると言われています。雛見沢では、大石のことをオヤシロさまの・・・」
 その時、扉が開き、魅音がかけこんできた。その後ろにはクラスメートたちもいた。
 みんなが一斉にしゃべりだし騒がしくしたため、知恵先生がやってきて、魅音にみんなを連れて保健室から出るように言った。
 みんながいなくなってから、圭一が、「さっきみんなが来る直前、何か言ってましたよね。」と聞くと、入江は、「オヤシロさまの使いですよ」と答えた。
 「前原さんは雛見沢で毎年綿流しの夜に起こる、雛見沢村連続怪死事件、通称『オヤシロさまの祟り』のことはご存知ですか?」
 6月のお祭りの日に必ず誰かが1人死んで、さらに誰かが1人神隠し(この辺りでは鬼隠しと呼ぶらしい)に遭うという。
 「いつのころからか、大石のことをオヤシロさまの使いと呼ぶようになりました。」
 「なぜですか?」
 「あの男がその年の祟りの犠牲者を決めている、と噂されているからです。」
 6月になると大石が頻繁に雛見沢に訪れるようになる。
 「亡くなったり、消えたりする人たちの多くが、あの男の執拗な訪問を受けているからです。」
 4年前の祟りと噂される殺人事件の犠牲者は事件の直前、何度も大石と接触していたことが知られている。
 3年前の犠牲者である沙都子両親。転落事故が起こる直前、大石が何度か自宅を訪れていたらしい。
 2年前の失踪者である梨花の母親も、失踪直前にはやはり、大石に過剰な接触を受けていたことが知られている。
 1年前の失踪者である沙都子の兄の悟史も、失踪直前に何度も大石の接触を受けていたとか・・・
 そして、今年、その大石は、沙都子への接触を求めてきた?
 「沙都子、今日、欠席したじゃないですか」と圭一が言うと、入江は初耳だったようで「え、そうなんですか?」と言った。
 「では失礼します。」と言って、入江は保健室を出、職員室の方へ向かっていった。


 どうしたんだろう、沙都子・・・


 TIPS:雨どいは・・・


 授業も終わり、元気よく下級生たちは校庭を突っ切って駆け出してゆく。それを見送りながら、知恵先生は出口のそばにしゃがみこんだ。
 手には柄つきの亀の子ダワシと試験管を洗うようなブラシを持っていた。
 「雨どいの掃除ですか?」と魅音が尋ねる。
 「ええ、今朝の天気予報で、近いうちに大雨が来るって言ってましたから。今のうちに掃除しておこうって思ったんですけど、中がすごいことになってますねぇ~。」
 「こりゃひどい、豪雨なんて降ったら、あっという間に溢れちゃいますよ。」
 「一度業者さんに来てもらったほうがいいかしら。」
 「これくらいなら私達で何とかしますよ。何人か連れてきて、屋根の上に上って・・・」
 「いけません。万一落ちたら怪我をしますよ。」
 「それに業者さんを呼ぶなら、むしろ雨どいの出口を増やしてほしいですね。ここが詰まっただけで、全部の雨どいが役立たずになるんだから。」
 「確かに、このひとつで校舎屋根の雨水を流すのは、構造上問題がありますね。一度校長先生に掛け合ってみます。」
 「でも、きっと予算でないだろうなぁ。あ、もし良かったら町会に寄贈させましょうか?」
 「せっかくですけど、学校の問題は学校内で解決しないと、ね。」
 「先生は、ホント真面目だな~!それじゃ、雨どいの掃除はいつにしますか?」
 「明日、ホームルームで話し合いましょう。よろしくお願いしますね、委員長。」

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 ルート 沙都子4 #1 バーベキュー


 今日は雛見沢ファイターズの戦勝祝賀会、バーベキューパーティの日だ。
 圭一は、部活メンバー一同が会す以上、早食い大食い系の何らかの勝負が行われる可能性を考えて、朝飯は抜いてある。
 いつもの待ち合わせ場所には、レナの姿があり、少し遅れて魅音も合流した。
 バーベキュー会場は、梨花の古手神社の境内でだった。
 神社への階段の前で自転車を乗り捨て、階段を一段飛ばしに駆け上がり、境内にたどり着くと、雛見沢ファイターズの面々と父母が集まっていて、早々とバーベキューの支度を始めていた。
 もちろん、そこには沙都子と梨花の姿もあった。
 沙都子は圭一の姿を見るなり、憎まれ口を叩くが、圭一は即座に言い返して沙都子を泣かせる。
 かあいいモードになった沙都子は、レナに圭一にいじめられたことを訴えて、代わりに圭一を殴ってもらう。


 大人たちの要領がいいので、バーベキューの準備はすぐに完了した。
 プレートに垂らされたサラダ油がジュウと音を立てると大きな歓声が上がり、入江が肉の乗った大皿を持ってくるとさらに歓声が上がった。
 入江は、本当に奮発したんですよ、と言っている。
 沙都子は、三流のお肉じゃ、昨日の私の大活躍をねぎらうには値しませんでしてよ?と言うと、レナは、今日の主賓は沙都子に違いない、と答える。
 圭一も、最後のホームランを打ったのは沙都子だ、と同意する。
 梨花が、沙都子は運動神経はいいほうだ、と言うと、魅音は、突出している、と訂正する。
 おだてられて高笑いしている隙に、お肉が略奪されていることに気付かない沙都子が、無性に可愛らしい。
 富田と岡村が、ぎっしりの野菜や肉が串刺しにされた鉄串が並べられたでっかいバーベキュープレートを運んできた。
 串焼きだけは火力が必要なので、向こうの大型プレートでまとめて焼いていたのだ。
 各自に、鉄串とジュースの紙コップが手渡される。
 入江がビールの注がれた紙コップを持って、ビールケースの上に登壇し、乾杯の音頭を取った。
 「かんぱ~い」のあと、全員、串刺し肉にかぶりつく。あとは、昨日の互いの活躍をたたえ合っての大賑わいだった。
 沙都子は梨花を従え、昨日のホームランについてたっぷり自慢話にふけっていた。
 沙都子はいつも以上に饒舌で、ご満悦な様子だった。
 入江が、楽しそうですね、と圭一と同じように沙都子を遠くに眺めながら、話しかけてきた。
 「沙都子ちゃんの笑顔を見てると、なんだか心が洗われる気がしません?」と入江は言ったが、圭一は同意すると恥ずかしい気がしたので、「あいつの笑顔じゃ皿一枚ろくに洗えないと思う」と答えた。
 入江は、「それを聞いたら沙都子ちゃんは怒るんでしょうね。でもそんな彼女もとってもキュートなんですよ。」と言った。
 圭一が、「監督は、沙都子のこと、気に入っているみたいですね」と尋ねると、「大好きです。彼女がもっと大きくなったら、求婚しようと思っています。」と入江は言い切った。
 入江の答えに驚愕する圭一を見て、入江は、「驚かれました?ひょっとして、沙都子ちゃんのこと、狙っています?それは困ります。私はもう何十年も前から狙っているんですよ?」と言った。
 かろうじて圭一は、「何十年も前には、沙都子は生まれていない・・・」と言った。
 その後、入江は、昨日の圭一の活躍について過剰なくらいの誉め言葉をくれた。
 話をするうちに圭一は、入江が、突然言い出す問題発言を除けば、とても落ち着きのある、決して悪い人じゃないことだけはわかった。
 圭一は、「正直、沙都子にホームランを打てるなんて思わなかったです。」と言うと、入江は、「沙都子ちゃんのお兄さんは、どちらと言うと大人しい文系のタイプでした。きっと沙都子ちゃんは、その反対の才能に恵まれていたんでしょう。」と話し始めた。


 沙都子の兄の北条悟史は、雛見沢ファイターズで活躍したいたが、転校してしまった、と入江は言ったが、圭一は、悟史が家出したことを知っていたので、圭一は、「兄貴だけ転校したんでしたっけ?」と言ってしまう。
 入江は、これからする話は内緒ですよ、と断ってから、話し始めた。


 3年前、沙都子一家は旅行に出かけ、雨上がりの自然公園の遊歩道を散歩していた。
 展望台の柵の金具が老朽化し、昨日までの大雨で何かが緩んでいたのか、沙都子の両親は、沙都子の目の前で、柵ごと転落した。
 下は昨日までの大雨で増水した川が流れており、濁流となっていた。
 入江は何も言わなかったが、圭一には沙都子の両親の死は感じられた。


 入江は、「沙都子ちゃんは古手さんと一緒に暮らしてます。二人ともご両親がいなくて心細い日もあったでしょうが、助け合いながら生活しているようです。親の庇護なく生きていくっていうのは、あの年ごろには辛いことだと思います。古手さんは、特に村のお年寄りに慕われていますから、この村にいる限り、生きていくのにそんなに不自由はないでしょう。でも、それは古手さんだけの特別な事情で、沙都子ちゃんも同じというわけではありません。」と言った。
 圭一は、沙都子が毎日元気そうに笑っているから、沙都子が生活にどれだけの苦労をしているかまったく想像できていなかったことに気付く。
 入江は、内緒の話で沙都子を養子に迎えようと思ったことがあるが、法律では既婚者でないから養子は取れないと決まっているから、無理だった、と言った。
 それを聞いた圭一は、入江は、突拍子もないことを言っているようだが、真剣に沙都子という一人の女の子の幸せを願っているだけだ、ということに気付いた。
 入江は、沙都子の今の生活は決して幸福なものではないが、ほんの少しでも和らげてあげたいと思っている。と言った。
 それを聞いた圭一は、「沙都子は幸せですよ」と断言した。
 「こんなにも沙都子の幸せも願う人間が、こんなに身近にいて、不幸なわけありません。」と圭一は力強く告げた。
 それを聞いた入江は、感謝の言葉を述べ、沙都子には内緒にするように言った。(入江の養子話を聞いた沙都子は、こんなスケベ男なんか、誰がパパと呼ぶものですか!と憤慨しそうだから、とのこと)
 入江が、「あの子にはいつまでも笑っていてほしいんです」と言うと、圭一も、「俺も同じことを考えています。」と言った。
 入江は、私たちは仲間だから、絶対に沙都子を泣かせたりしない、と約束しよう、と言い出したので、圭一も同意し、あとは互いに何もしゃべらず、沙都子がみんなとはしゃいでいるのを眺めているだけだった。


 しばらくして圭一が、入江に、もし沙都子を養子にできたらどうするのかを尋ねた。
 魅音の声が聞こえてきて、「私のことをご主人様と呼ばせて、優しく可憐なメイドにします」と言った。
 さらに魅音は、「沙都子を自分専属の『ぷりちー』なメイドにするってはっきり言いました。」と言った。
 魅音が戦勝祝勝会に来ているのが理由を知らない圭一に向かって、魅音は、自分は雛見沢ファイターズのマネージャー、しかも1年さぼっている幽霊マネージャーだ、と言った。
 入江は、詩音が来ないと試合に華がないから、試合くらい昔みたいに応援に来てほしい、と言うと、詩音は、圭一が雛見沢ファイターズに移籍するなら考える、と即答する。
 そこへ魅音が現れて、我が部のホープを引き抜かないで、と言い出す。
 レナも、圭一は部活の期待の新人だから、トレードもダメ、と言い切る。
 魅音は、部活をするから、と言って圭一を引っ張っていく。


 ルート 沙都子4 #2 悟史の話


 今日のゲームは脱落方式で、負けた人間からゲームを抜けバーベキューの後片付けをしていた。
 爆死した圭一を姿を思い出し、大爆笑の詩音。
 圭一は、沙都子と共同戦線を張ってたのだが、裏切られて最下位になったのだ。
 そこへ入江が様子を見に来る。
 詩音は、嫌がっているフリのジェスチャーで、本当は罰ゲームを口実に得られる貴重な経験に興奮を隠せないだけだ、と説明する。
 それを聞いて入江は、苦境を受け入れなければならないときは、厳しい指導を受けているメイドであると想像すればいい、とアドバイスをくれる。
 そして、入江は、圭一は力持ちみたいだから、プレートを水場に持って行って、洗ってほしい、と頼んできた。
 圭一は、蛇口が一つしかない集会所の脇の水場で洗い始めるがうまくいかない。
 そこへ詩音が、スポンジとクレンザーを持ってきてくれる。
 「昨日の試合、圭ちゃんが大活躍したそうじゃないですか」と詩音が聞いてきたので、圭一は、「褒めるならホームランを決めた沙都子の方だろ。あいつ、運動神経よかったんだな。」と答える。
 詩音は、悟史とは大違いで、運動神経は妹に全部取られた、と遠くを見るような目で語った。
 詩音が悟史のことを知っているとは、圭一には意外だった。


 「転校・・・したんだよな?」と圭一が言うと、詩音は、「転校?誰がそんなこと言ったんですか?」と聞き返してくる。
 圭一が、誰かから転校したって聞いた、と言うと、詩音は、「その誰かって誰ですか?転校届が出されてわけですか?それを誰かが見た?それとも聞いた?」とぎょっとするくらいの目つきを険しくして聞いてきた。
 圭一が、目がマジだぞ、と指摘すると、詩音は元の涼しい表情に戻り、「すみません、でも、よく知りもしないで悟史くんのことを、転校とか言わないでください、本当に、お願いしますね。」と言った。
 圭一は、「ごめん、なんとなく転校と聞かされて、そうだと信じていたんだよ。じゃあ、実際は違うのか?」と言うと、詩音は踵を返して去っていった。


 入江がみんなを集めて閉会の挨拶をした。
 結局ゲームは、魅音の華麗な優勝で幕を下ろしたらしい。
 部活メンバーは、圭一の罰ゲームの興味津々だが、ここで時間となり、沙都子と梨花とはここで別れ、圭一たちは家路につくことにする。


 魅音が、6月なのに今年は梅雨とか全然なくて、いきなり夏みたいな感じだけど、週明けから大雨注意とか言っていたから、綿流しにぶつからなきゃいいのに、と言って、圭一に同意を求めたが、考え事をしていた圭一は、返事がやや遅れた。
 圭一は、悟史のことを転校した、と言って、詩音に怒られたことが、釈然としていなかったため、ストレートにその思いが口から出てしまう。
 「沙都子の兄の悟史って、どうしたんだっけ。引っ越したんだっけ?」
 レナは、転校した、と答えたので、詩音が言ったように圭一も、「転校って誰がそんなこと言ったんだよ?本当に転校したなら、転校届とかが学校に提出されるはずだろ?でも、実際には出てないんじゃないのか?」と返した。
 魅音もレナも、目を大きく見開いて言葉を失っていた。
 やがて魅音が、「別に隠そうとか騙そうとか、そういうつもりじゃないのをわかってほしいんだけど・・・悟史は、転校したわけじゃないんだよ。」と観念して言った。
 レナが、「帰ってこないの。」と毅然としてはっきりと言った。
 「ある日から家に帰ってこないの。」とレナが言ったので、圭一は、悟史はどこへ行ったのかを尋ねた。
 レナは、知らない、と冷たく答えた。
 魅音が、「ある日を境に、悟史は家に帰ってこなかった。村中みんなで探したし、警察も方々探してくれた。それで、家出じゃないかって話になってさ。警察の調べでは、悟史はバイトでこつこつとお金を貯めてて貯金とかしてたんだけど、それをいなくなった日に全部下ろしてたのがわかったんだよ。で、名古屋駅だかで、悟史によく似た人物が目撃されたとかで・・・」と言った。
 レナは、「そんなのは嘘だと思う。悟史くんは家出じゃない。」ときっぱりと断じた。
 魅音がやめなよと言っているのに、レナは、これはオヤシロさまの祟りだ、と言い切った。


 悟史は消える前、レナに、誰かに見張られている、後を付けられている、家の中までついてくる、寝るとき枕元に立って見下ろしている、と言っていたとのこと。
 それはオヤシロさまの祟りの前兆で、悟史は心のどこかで雛見沢を捨てて逃げ出そうという気持ちがあったのを、オヤシロサマが許さなかったのだ。
 オヤシロサマは、雛見沢の守り神で、雛見沢を捨てて逃げ出そうとする人を絶対に許さない。
 レナは謝ったが、悟史は謝らなかっただろうから、オヤシロさまの祟りにあってしまった。
 オヤシロさまの祟りは信じようと信じまいと、確かに!


 だんだんヒートアップするレナの頭を、怒りがありありと浮かんでいる魅音が引っ叩いた。
 憮然とした顔のレナだったが、しばらくすると元の落ち着きある表情に戻っていた。


 一言も口をきかず、いつもの魅音との分かれ道に差し掛かった時、魅音が、「圭ちゃん、マンガ貸すって約束したじゃない?よかったら寄ってく?」と言った。
 魅音が圭一と二人っきりで話すための方便だと気付いたのかどうかわからないが、レナは、先に帰ると言ってくれたので、レナと別れて、圭一は魅音と歩きながら話をした。
 魅音は、悟史の話はあまり触れない方がいい話だからしなかっただけで、別にかくしてわかじゃない、と言った。
 圭一は、悟史の話を話題にすること自体が不謹慎で、興味を持つこと自体がいけないことだと理解したが、みんながむきになるのが気になって仕方がなく、うっかり口にしてしまった。
 「もう二度と聞かないから、正直なとこを教えてくれないか。一体、悟史に何があったんだ。」
 しばらくしてから、魅音は、オヤシロさまの祟りについて聞いたことある?と言った。


 オヤシロさまは、今日バーベキューをした神社で祀られている雛見沢の守り神で、何年か前にダム工事で雛見沢が水没することになって、工事関係者が死んだとか何とかで、それがオヤシロさまの祟りってことになっている。
 悟史の死んだ両親は、ダムの誘致派のリーダー格だった。
 国はダム工事に伴って多額の補償金を用意したいたから、そのお金が欲しくて、ダム計画に賛成してた人たちも結構いたのだ。
 悟史の両親は、運悪く、オヤシロさまを祀るお祭りの日に事故死したため、オヤシロさまの祟りにあったんじゃないか、ってことになった。
 で、悟史の家出までオヤシロさまの祟りにされてしまった。


 「沙都子にとって、両親の事故も、悟史の家出も、オヤシロさまの祟りも、愉快な話じゃないのはわかるでしょ?だから、沙都子の家族の話には触れないことにしてる。悟史のことは、転校したって誤魔化すことにしてる。その辺の事情を汲み取ってもらえるよね。」
 圭一は軽はずみなことを聞いたと謝り、元来た道を戻ろうとすると、魅音は、「沙都子にだけじゃなく、レナの前でも悟史の話は慎んでくれるかな。さっきのでわかったと思うけど、レナって、オヤシロさまの祟りの話だけは、笑いごとで済まないんだよ。」と言った。
 どうしてレナはマジになるんだろう、と圭一が聞くと、魅音は、内緒の話でもらしてら絶交だ、と言って話し始めた。


 レナは、オヤシロさまの祟りにあったことがある、と言っていた。
 それを聞いた魅音は、被害妄想過剰な何かの思い込みだと思っているが、レナはそう言っているし、そう信じていており、茶化すとかなり怒る。
 できれば、レナのためにも沙都子のためにも、この話題に二度と触れるべきじゃない。


 そう言うと魅音は、手を振りながら去っていった。
 帰り道、圭一は、沙都子の笑顔を望みながら、好奇心にあっさり負け、暗部に面白半分で踏み込もうとした浅はかな自分を情けなく思った。
 野球大会やバーベキュー大会で大盛り上がりして、すごく楽しかったのに、わざわざその楽しかった時間を打ち消すようなことをしてしまい、明日からはこんな不愉快なことは絶対にしないようにしよう、と強く思った。


 TIPS:沙都子のトラップ講座(上級)


 のどかな昼休み、廊下からものすごい音が聞こえてきたので、廊下に飛び出すと、水入りバケツを逆さに頭にかぶった入江の姿があった。
 入江は、とても涼しそうに挨拶をした。
 いちいち子供のいたずらに腹を立てない大人な態度に感服する圭一。
 入江は、「こういうのは考え方ひとつで腹立たしくも愉快にもなるんです。要は受け止め方ひとつなんです。」と言った。
 圭一が、あんな目にあってもクールにいられる秘訣をご教授願いたい、と言うと、入江は語りだした。


 明治から続く古式ゆかしい旧家があり、そこには大勢の使用人としてメイドさんが雇われているとします。
 大きな家ですから、ベテランのお局様と化したメイド長から、新米のぴちぴちとしたメイドさんまでがたくさんいるのです。
 新米メイドたちはそのぴちぴちさと初々しさで、御主人様の寵愛を一身に!でも先輩メイドたちには許せないです。
 ことあるごとに難癖をつけ、虐め抜くのです。
 ホラ、まだこんなに埃が残っていますよ!もう一度なりなおし!バシャーン!
 バケツを逆さにぶっかえられるメイドさん。びしょ濡れのメイドさんが、泣きそうになりながら、それでも健気に、はぁはあ!


 沙都子を見つけた入江は、「沙都子さん、これは何ザマス!まだ埃が残ってるザマスよ!お仕置きザマス!」と言って、沙都子を摘まみ上げてお尻をペチンペチンと叩き始めた。
 圭一は、沙都子がこの顛末まで読めないのを不思議がるが、レナは、これが沙都子の望んだ結末だ、と言い切る。
 レナが言うには、人にイタズラしたら絶対に相手は怒って追いかけてくる、そういうのもコミュニケーションの一つとのこと。イタズラばかりしてる人は、かまってもらいたくて仕方がない寂しがり屋だから、沙都子のワナにかかったら、怒ったり笑ったりして、沙都子を追いかけて、とのこと。


 沙都子はトラップ哲学を得意げに語りながら、裏山を凶悪なトラップ地獄に改造していた。
 レナの言う通り、沙都子のトラップが人に構ってもらいたいおいう思いの裏返しなら、この裏山中に無数に仕掛けられたものは全部、そういう思いの結晶だということになる、と圭一は思った。


 TIPS:検死所見コピー


 検死の結果、被害者は以下に従い殺害されたと思われる。
 (1)拘束具で全身を拘束:抵抗時にできたと思われる傷痕から、全身を固定するもので拘束を受けたものと推定。特に、両手各指の関節に擦過傷が集中している。
 (2)複数の擦過傷および切傷が存在:上記から推測して、直接的な加害者は複数名存在したものと推定。
 (3)両手の指に複数の貫通した刺創:上記の刺創は釘のような細長い形状によるものと推定。
 (4)その他に遺体状況:腹部に致命傷と思われるものが複数存在。殺害者の激しい憎悪的感情、および見せしめの意図がうかがえる。
 (5)現場:王子川3号暗渠にて発見された際、遺体は重りとともに沈められていた。複数の成人男性が実行犯として関与している可能性が高い。


 大石さんへ、頼まれていた、例の王子川惨殺死体の検死所見コピーです。
 重春課長はS号じゃないかと見ているみたいです。


 TIPS:東三局


 「出ましたね、ロン。中ドラ3、満貫です。」
 得意げに笑う大石と悪態をつく仲間たちは、牌の山を崩してまた積み上げる。
 小宮山「例のドブ川惨殺死体のホトケは割れましたか?」
 大石「間宮リナ、本名は律子。」と言った。
 熊谷「鹿骨フラワーロードにある、ブルー・マーメイドってキャバクラに勤めていたみたいです。」
 鑑識「確か園崎系の若頭の店じゃろ」
 小宮山「S号関連かぁ。難航しそうなヤマだなぁ」
 熊谷「噂じゃホトケさん、園崎の上納金に手を付けちゃったらしいっす。」
 鑑識「裏に男がいそうじゃの。」
 大石「どうせもう死んでますよ、死体がまだ出ないだけで。」
 熊谷「女の同居人、生きているみたいですよ。」
 大石「生きてる?じゃ、これから死ぬんでしょうね。」
 熊谷「そのヒモなんですがね、北条鉄平なんですよ、あの。」
 大石「北条鉄平。去年、雛見沢で起こった主婦撲殺事件のホトケのご主人ですよ。事件のあと、姿を消したって聞いてましたけど、今どこに?」
 熊谷「女のアパートに同居してたんすがね、女が自分を捨てたと思ったみたいで、あちこちを探し回ってるらしいっす。」

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 興宮警察署事件調書:共通ルートから開始!


 1日目 #1 東京からの帰り道

 2日目 #1 登校
 →「ヒマならな・・・」(「もちろん」ならコチラ

 3日目 #1 レナたちと散歩
 →ブロックかわすなら、コチラ
 →誠意が一番、素直に「ありがとう」ここは、レナの好みの少女マンガチックになら、コチラ

 3日目 #2 レナとの帰り道
 →「あ、しまったお袋の用事が・・・」(「ああ、いいぜ」ならコチラ
 →「可愛いと、得だよな~」(「カリスマってやつですか」ならコチラ

 4日目 #1 部活への参加
 →読み取れ、魅音の動きを・・・!非常に徹しろ、クールになれッ・・・!なら、コチラ

 4日目 #2B 気晴らしに散歩

 4日目 時間つぶし
 →…一緒に帰ろうか?

 5日目 #1 鬼ごっこ

 5日目 #2 放課後
→6日目 #1 レナの家について
 →や、やばい・・・レナは殺る気だ!「勝て、圭一! お前は勝つ人間だ!!」はコチラ

 6日目 #2A 魅音と下校
→7日目 #1 魅音からの電話
  
 →交換を要求レナに渡すならコチラ選びなおすならコチラ)して、トランプをもらう。

 8日目 #1 昨日の話
 →宿題夏期講習ならコチラ自由研究ならコチラ
 →口紅金さんならコチラ魔法少女ならコチラ

 8日目 #2 罰ゲーム

 8日目 パートナー選択→北条沙都子

 ルート:沙都子1 #1 弁当の話題
→ルート:沙都子1 #2 沙都子の手料理
→ルート:沙都子2 #1 弁当対決

 →また、作ってくれるか?うまかったぜ、沙都子ならコチラ


 圭一が、野菜炒めが食べたい、と言うと、沙都子は、頑張ればできないことはない、と答えた。
 それを聞いていた梨花は、上手に作れますよ、沙都子の野菜炒めは大好きなのです、と言った。
 圭一は、学校の帰りに買い物に行こう、と誘うと、沙都子は了承する。


 職員室で今日もカレー弁当を食べている知恵先生に声をかける圭一、沙都子、梨花。
 沙都子が、「や~い、や~い、カレー独身貴族、ニンニク臭いぞ」とはやし立てた瞬間、職員室の室温が氷点下レベルに下降した・・・


 ルート 沙都子2 #2 兄妹の食卓


 結局、沙都子は圭一の買い物の付き合ってくれた。
 梨花は、沙都子に気を遣ったようで、用事があると言って買い物に来なかったが、梨花のいない沙都子はこれまで以上に得意げで饒舌だった。
 二人の自転車の前かごにはレジ袋いっぱいの買い物が詰め込まれていたが、何だかとてもうれしいものがはちきれんばかり詰まっているように見え、とても幸せな気持ちがする。
 圭一が、うちのお袋のメニューには野菜炒めってないから、中華屋で外食するときしか食べられないんで、楽しみだ、と話すと、沙都子は、今日は毒別においしいのをご披露してさしあげましてよ、と答える。
 圭一はいつもの憎まれ口をたたかずに、沙都子ならきっと、うまい野菜炒めを作ってくれる、と返すと、沙都子は一瞬どもったが、楽しみにしてあそばせ!と言った。
 お互いに小さく挑発し合って、何かにケチをつけて盛り上がる関係だったのが、少しずつ変わっている、と圭一は感じた。
 昨日、梨花から、兄の悟史が帰らないのを沙都子が寂しがって、圭一にその姿を重ねている、と聞いたからだろう。
 だから、圭一の振る舞いが悟史に似ていくにつれ、沙都子も、兄妹が仲良く暮らしていたころの沙都子に戻っているのだ。
 この沙都子が本当の沙都子であることに気付いた圭一だが、同時に自分は沙都子の兄にはなれないことにも気づく。
 いつか終わる平穏だと知っているが、圭一が微笑みかけている限り、沙都子から笑顔が絶えることはないだろう。だから、圭一がこうしている限り、絶対にこの平穏が終わったりしない。
 悟史が帰ってくるその日まで、自分が悟史の代わりをしっかり務めてやればいい、と思った圭一は、悟史になろうではなく、沙都子の兄の代わりになろう、と決心する。


 沙都子の作った野菜炒めを食べて、大絶賛する圭一。
 結局、食べてるのはほとんど圭一だけで、沙都子は圭一がうまそうに食うのを、幸せそうな笑顔で眺めているだけだった。
 その様子を見て、圭一もとても幸せそうだった。


 食事の途中で、圭一がトイレに行くと、中にあったヒモに足を引っかけてしまう。
 その瞬間、やかんやタライが圭一目掛けて、飛んできた・・・
 沙都子はゲラゲラと笑っている。
 圭一は、こんなにもやさしく、ゆったりした時間を過ごすのは初めてだった。
 本当に何の掛値もなく、ただただやさしい時間。
 一人っ子の圭一が、初めて味わう兄妹の感覚だった。
 こんな日々がずっと続くなら、俺はなんでもするし、悪いことはなんだろうと一切しない。そのための努力をするし、そのための我慢をする。だから、天の神様、こんな時間がいつまでも、ずっと続いてほしいというささやかな夢を、せめてかなえてくれないかな・・・と、圭一が思っていると電話が鳴りだした。
 圭一が取ると、圭一の母親で、自炊できない圭一の身を心配して電話してきたのだった。
 今日の晩御飯を自慢したくて仕方がなかった圭一は、上機嫌で母親に報告すると、母親は、明日の昼か夜に帰る、と告げた。
 それを聞いた圭一は、終わらないでほしいと思っていた平穏があっさりと終わり、つまらない気持ちになった。
 あいまいな顔で受話器を置いた圭一を見て、沙都子は、電話の内容を理解したようだ。
 両親が明日帰ってくる、と圭一が言うと、明日の夕食は家族で水入らずの食卓を囲みなさいませ!と答えた。
 圭一が、明日から無味乾燥な食卓かと思うとなんだか寂しい、と言うと、沙都子は、家族みんなで囲む食卓が一番楽しいに決まってますわ、と答えた。
 沙都子は、2日間でしたけど、とても楽しいお夕食を取らせていただきました、と言ったので、圭一は、今度は俺が沙都子の家に遊びに行くよ、と返した。


 昨日同様、沙都子は、帰りは送ってくれなくてもいい、と言ったが、今日は梨花がいないため、圭一は、学校の近くまで送る、と言った。
 沙都子は、「にーにー」と言ってから、恥ずかしそうな表情になり、兄みたいに見えた、と言った。
 圭一は、沙都子にはまだまだにーにーが必要であることを実感した。


 沙都子は、本当のにーにーとは全然違うんですけども、そういうところが似てますの、と言った。
 似ているとにーにーを思い出して寂しくならないのか?と圭一が尋ねると、沙都子は、圭一さんがにーにーの代わりになってくれるので、寂しくなんてありませんわ、と答えた。
 そして、沙都子は、梨花が、にーにーの代わりになってくれと、圭一に頼んだのかを聞いてきたので、圭一は、「考えすぎだよ、バカ。俺は前原圭一で、北条悟史じゃない。そんなくだらない話をもういいだろう。」と言って沙都子の頭をワシワシと掴んだ。


 ルート 沙都子3 #1 放課後の集い


 圭一は、両親が帰ってきたが、栄養剤臭がプンプンして目も充血しており、どうも丸二晩哲也で相当の修羅場だった、と報告する。
 圭一の父親は画家で、展示してある水彩画やアクリル画は何枚か見たことがあるが、どうもそれ以外には仕事をしているとしか思えない。
 父親のアトリエは立入厳禁のため、実際はどんな仕事をしているか、圭一を知らないのだ。
 魅音が、「意中のキャラは攻略できなのかなぁ?両親不在はギャルゲー主人公の基本だしねぇ!」と言うと、梨花が、「好感度をいっぱい稼いで、ちゃんとフラグが立ちましたですよ」と答える。


 今日は土曜日。
 雛見沢の学校では、お弁当を持ってきて、お昼を食べて、校内や校庭で遊んでいく生徒がとても多いのだ。
 魅音がせっかく誘ってくれたのに、圭一にはお昼に仕事があったので、それが終わってから合流する、と答えた。


 今日は家族そろって、お仕事の日だ。
 圭一の父親の仕事の関係で、出版社の人たちを10人くらい呼んでのホームパーティなのだ。
 圭一は父親がどんな絵を書くのかを知らなかったので、出版社の人にこっそり、「親父って、そんなにすごい画家なんですか?」と聞いてみた。
 すると、「それはもう、本当に素晴らしい作家さんですよ!!購入制限はないし、ファンサービスはするし、ファンレターには必ずお返事をくれるし!世間のニーズもちゃんと汲み取って研究熱心!!靴下は脱がしたら脱退にNG!それはメガネや制服だって同じなんですよ!そこを前原先生はよく理解している!イベントは参加ごとに必ず壁で大行列だし。」と返事された。
 圭一は、「絵ってのは、壁に飾るもんじゃないんですか??」と聞くと、「初めは誰もが島中から始めるんです、そして島角、大通りの島角と階段を登って、そして至る頂点が壁なんです!!!あなたも、ぜひ前原先生と合体で出展できるような大作家になってくださいね」 と言われる。
 (圭一の父親って同人作家らしい)


 その時、母親から、友達からの電話と言われて、部屋を抜け出す圭一。
 電話は、沙都子からだった。
 沙都子は、「今日は部活ではなく、実戦ですのよ!このままでは負けてしまうのでございますわ!」と言った。
 それを聞いた圭一は、すぐに加勢に行く、と答えて、沙都子から聞いた興宮小学校のグラウンドへ行くことになった。
 沙都子は、金属バットと言っていたが、圭一は、父親からゴルフクラブを借りて、自転車にまたがり、目的地へ向かう。
 途中で圭一は梨花に会い、目的地まで案内してもらう。
 梨花は、「始めはこちらが優勢だったのですが、途中から向こうが助っ人を入れてきて、ばったばったと討ち取られましたのです。」と言った。
 梨花から、圭一以外の部活メンバーは全員参加していることを聞いた圭一は、部活メンバー総がかり勝てない相手のこと尋ねると、梨花は、敵は正統派なのですよ、と答えた。
 ゴルフクラブを手にした圭一を見て、どうしてゴルフクラブなのかを梨花に聞かれた圭一は、バットのほうがいいかと思ったが家になかったので、ゴルフクラブを持ってきた、と答えた。


 助っ人に来た圭一を見て、入江(診療所の先生)は、「本当に助っ人になってくれるんですか?相手はあの強豪校のエース、左腕の亀田くんですよ?甲子園クラスの投手を打ち崩せるなんて、いったいどんな助っ人なんです?」と言い出す。
 あの弾丸直球の異名を持つ左腕の亀田を討ち取れるピンチヒッターだって!地方予選でノーヒットノーランを次々に打ち立てた、無敗の魔人投手・・・プロのスカウトがすでのマークしている超高校級ピッチャーを討ち取れるだと?そんなスラッガーが県下にいたのか?おい、あっちのスカウト部長が腰を上げたぞ!フルネームは前原圭一、すぐにデータベースを調べて本社に履歴を送れ!
 「どれが前原圭一だ!写真写真!」
 沙都子を先頭に、大勢のスポーツ記者たちがごっついカメラを構えて、噂の前原圭一の姿を探す。
 颯爽と現れたピンチヒッター前原圭一の手には、ゴルフクラブ・・・
 圭一は、野球の試合なら始めからそう言え!!!!と絶叫した。


 試合の方は、9回の裏でツーアウト。6対7で、雛見沢チームが負けている。
 雛見沢ファイターズ対興宮タイタンズは、学校の因縁試合で、今日、たまたまチームに欠員が出たというので、部活メンバーが急遽乱入することになった。
 魅音が登場するたびに、走者一掃の大ホームランが飛び出し、序盤は圧勝していた。
 たまたま今日の試合を見物していた亀田は、小さい頃に興宮タイタンズにいたので、昔のチームが劣勢になったため、飛び入りでリリーフ登板することになった。
 雛見沢ファイターズのメンバーは、みんなうちの学校の生徒(雛見沢には学校は一つしかない)で、富田と岡村もいた。
 客席に二人の横断幕が挙げられており、今日がデビュー戦だったのだ。
 圭一は、野球らしく見えれば手段は問わないな?と部活メンバーに確認すると、みんなは、そうだ、と答えた。
 梨花が、カメラがずらりといるからズルができないのです、と言った。
 ちなみに次の打者は魅音で、その次は沙都子だ。魅音が出塁して、沙都子がサヨナラホームランを打つパターンだが、沙都子がホームランを打てるとは思えない。だから圭一が呼ばれたのだ。
 沙都子は圭一に、計画を耳打ちし、魅音が、自分の代わりに圭一が代打に出ることを審判に告げた。


 ルート 沙都子3 #2 野球の助っ人


 すべての状況が沙都子が計算したとおりにお膳立てされているようにすら見える。
 圭一がやってきて長いタイムになって、敵ピッチャーの亀田がトイレ休憩を取ることすらも、計算されたことのように感じられた。
 いや、沙都子のことだから、ひょっとすると、今この時間に作用するように何かを飲ませたかもしれない。
 そして、トイレという隔離環境に敵を閉じ込めたところから、作戦は始まるのだ。
 敵ピッチャーの亀田は、小便器の前で呑気に用を足している。
 圭一も何食わぬ顔でトイレに入り、亀田の隣に立つ。
 「誰かと思えば、大ピンチヒッター様じゃないか」
 だが、圭一はちっとも悔しくはならない。ここに立った時点で、すでにゲームセット。試合は「我がチームの逆転勝ち」で決定したからだ。


 圭一の問いかけに、亀田はしばらく声を失っていた。
 圭一は、「もう一度だけ言う。俺たちを勝たせろ」と言うと、亀田は「馬鹿も休み休み言え!お前正気かぁ?誰がお前らを勝たせるもんか!」と困惑の様子を隠さずに答えた。
 同じ場所にいたくないという顔をして足早にトイレを立ち去ろうとしている亀田に向かって、圭一は、「君にとって勝利は何だ?」と問いかけた。
 亀田は、「尊く絶対的で至上目的だ!それはほかの何にも代えられない!どんな脅しにも買収にも、勝利を放棄させるような対価は存在しない!」と答えた。
 すると圭一は、「ならば聞くべきじゃないのか?それほど尊い勝利を放棄させるに値するどんな対価が提供されるのかを!!」と言った。
 亀田は「そんなもの存在するわけがない」と言いながら足を止めた。
 圭一は、亀田が、魅惑的条件に期待していることに気付いて、さらに攻める!
 「君は雑誌のインタビューに、好物は焼肉で、嫌いなものは甘い物だと答えたらしいが、それはウソじゃないのかい?例えば、君が焼肉食い放題に行ったとすると、君が皿に盛ってくるのは肉じゃない、食い放題のプリンやゼリーやケーキなのだ!!」
 それを聞いた亀田は一気に青くなる。彼が焼肉食い放題の店で、デザートばかり山盛り食べているのはすでに部活の知るところだ。そして、そのことを恥ずかしがっているのもすでに承知。
 まさか亀田も鹿骨市のチェーン展開しているあの焼き肉店が、園崎一族の店だなんて知らないだろう。
 圭一は、「まるで無垢な穢れを知らぬ少女を連想させる可愛いデザートを、ニキビだらけの欲望丸出しのスポーツ刈りが、汚し、蹂躙し、しゃぶりつくしているだけ!」と言い切ると、「もうダメだぁ!知られてしまったぁぁぁぁ!!!もう生きていけない、死ぬしか・・・こんな変なことを考えてデザートを食べているのは世界で俺けだけだぁぁぁ。俺はさわやかなスポーツマンのふりをした隠れすけべなんだ。」と亀田は泣き崩れる。
 圭一は、亀田の肩を熱くたたきながら、「男がすけべで何が悪い。だがそれを認めるか否かで、男の器は天と地の差を持つのだ!自分を誇りに思え!俺はお前に感銘を受けたのだ。デザートはただ単に食後に食べる甘い物、それは間違っていた。お前がそれを教えてくれたんだ。お前に出会ったお陰で、明日から同じデザートを一味も二味も違った味わい方ができるようになるだろう。」と力説し、ケーキ盛り合わせを少女たちに見立てながら、熱く語った。
 そして、圭一は静かに、「俺たちを勝たせろ」と言うと、亀田は、トイレの床の上で土下座し、「俺が間違ってました!あなたみたいな人に出会ったのは初めてです。」と言った。
 圭一は、「俺と一緒に俺たちの世界を認めるんだ」と攻めると、亀田は泣き出し、二人で握手を交わす。のちにエンジェルモートのデザート食い放題デーに出入り禁止を食らうまでになる伝説の男が誕生した瞬間であった。
 「とりあえず、試合は今話した通りの手筈で頼むぜ」と圭一は言って、トイレを後にしようとすると、亀田が名前を聞いてきた。
 「俺の名は、前原圭一。いや、俺のことはKと呼べ」と言って、圭一はトイレを後にした。


 圭一が「交渉は成功、エンジェルモートでデザート食い放題で妥結した。」と報告すると、魅音が、「了解、手配しとく」と答える。


 その後、試合を再開。
 圭一は、魅音の代打としてバッターボックスに入った。
 圭一は、亀田の投げる剛速球を前に、余裕の顔で挑発を始める。
 やがて、カウントがフルカウントになった。
 この過剰な演出は、全て沙都子による脚色。亀田が負けてもおかしくない雰囲気を創り出そうとしていた。
 圭一はファーボールで出塁し、二人は、「Kさん、バッチリ筋書きどおりですよね?」「でかした亀田くん、この調子で次のバッターも頼むぞ!」「早く食べ放題に来ましょうよ!」と悪の笑いを浮かべながら、心の声で会話する。


 次の打席は沙都子だったが、沙都子はこれまでの打席はすべて大振りの三振だった。
 亀田は、「お前ごときに本気で投げても仕方がないから、一球を下投げでのんびり投げやる。1発くらいヒットを打って、自慢できるタネにさせてやる」と言った。当然、これも沙都子の筋書き通り。
 予告通り、亀田はキャッチボールのようなのんびりした球を投げた。
 そう、今日の凡退はすべてこの打席のための布石。
 沙都子の放った特大アーチが校舎屋上へ消えていった。
 「沙都子、お前、野球、得意なんだろ」と圭一が尋ねると、沙都子は、八重歯を見せるくらいににやりと笑った。
 圭一は、沙都子は昼休みとかに富田達に誘われて野球をしていたことを、思い出した。誘われるんだから、弱くはないだろう。
 沙都子は、「ワナは一つ。それも最後の最後で、本当にさりげないくらいで充分なんでしてよ。」と言った。
 圭一と沙都子が順にホームベースを踏み、見事にサヨナラ勝ちだ!仲間たちが祝福して迎えてくれた。
 魅音が、よくぞ亀田を口説き落とした!と圭一を褒めると、梨花が、口先の魔術師だ、と言った。


 ゲームが終わり、審判をしていた入江もやってくる。
 魅音が、「監督、約束覚えている?」と聞くと、入江は、「仕方ありませんねぇ」と言って頭をかく。
 それを聞いたレナが、「明日はバーベキュー大会だよ」と告げると、みんなが踊りだす。
 話のわからない圭一に、沙都子は、今日の試合に勝てたら、高級お肉いっぱいのバーベキュー大会を振舞う約束になっていた、と説明してくれる。
 圭一は、入江から、明日のバーキュー大会と雛見沢ファイターズへの参加を勧められる。
 入江は圭一と握手しながら、「すべすべなおててですね」と言って手を撫でてくる。
 さらに入江は、「当家のメイドたちにも、これくらいの肌のお手入れはするように厳命しなくてはいけないですねぇ」とオリジナル魔空間を漂い妄想うっとりでつぶやいている。
 レナは、「監督はちょっと変わっている人だけど、とっても面白い人だよ」と説明する。


 TIPS:沙都子のトラップ講座(中級)


 富田と岡村が体育倉庫へ歩いていくのが見えた。
 次の体育の授業でコートラインを引くのに使う石灰の袋を出すためだ。
 今日は二人が当番なのだが、倉庫には恐るべきトラップが待ち受けているだ・・・
 圭一は、「トラップって仕掛けた側から見ると本当にハラハラするなぁ」と言うと、沙都子は、その醍醐味がわかるなら素質がある、と答えた。


 富田が体育倉庫の錠前をガチャガチャやっていると、岡村が扉の一部を指さし、何かに気付いたらしく扉から遠のいた。
 沙都子は、二人が入口のトラップに気付くのは計算済みで、次にどういう行動に出るかも、もちろん計算済み、と言った。
 沙都子は、二人は扉の不審な仕掛けに気付くと、裏の窓を外して入ろうとする、と言った。
 そして、沙都子の予告通りに裏の窓に向かった二人が窓から忍び込もうとした瞬間、窓から石灰の白い粉が爆風のように吹き出した!
 全身真っ白けの二人を見た沙都子は爆笑しながら、この瞬間がたまりませんわね、と言った。
 沙都子は、「トラップの第一歩は相手の観察から始まりますよの?相手の行動パターンを読み、相手ならこの時、こう動く、というのを綿密に読み切るんですの!そうすれば必要最低限の仕掛けで最大の効果が狙えるトラップが仕掛けられますのよ。」と言った。
 そういえば、土壇場の最後の一手を読むことに関しては、沙都子には天性の才能がある、って魅音が言っていたことを思い出す圭一。
 「みんな俺が読まれているから、引っかかってわけか?」と圭一が尋ねると、沙都子はうなづきながら、「だから、ある日突然、いつもと違うクセやパターンになってしまったら、掛からなくなってしまうわけですわ」と答えた。
 読み切っていると言われて面白くない圭一は、「沙都子の読みが当たるがどうか試してみろ」と言った。
 教室に戻った沙都子は、ノートを千切り、裏に何かを書いた3枚のカードを作った。当然、圭一には何が書いてあるかわからない。
 沙都子は、「この中の1枚を引いて、ハズレを引かなければ圭一の勝ちですわ」と言って、3枚のカードを差し出した。
 ハズレは引かなければ圭一の勝ちということは、ハズレを引かせれば沙都子の勝ちということだ。つまり、絶対に圭一にハズレをひかせる方法は何だ?
 その時、魅音ならきっとこうするだろうというひらめきが浮かんだ圭一は、沙都子の手から3枚まとめて奪った。
 沙都子は絶対に圭一にハズレを引かせたいということは、3枚ともハズレだ!ということに、圭一は気付く。
 圭一がカードを裏返すと、それぞれに「ハ」「ズ」「レ」と書かれていた。
 沙都子は、「1枚しか取らなかったらハズレにならなかったということですわ」と言った。
 沙都子は、圭一が3枚まとめて引くことを読んでいたのだ!
 その時、沙都子の頭に石灰の粉がかけられた。
 真っ白けの富田と岡村が、石灰の粉を持って、沙都子に復讐に来ていた。
 沙都子は、こういう結末になることまでは読めなかったようだ・・・

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 ルート:沙都子2 #1 弁当対決


 魅音がお昼の始まりを宣言する。
 今日は梨花と沙都子は別々にお弁当を作ったとのこと。
 圭一の今日のお弁当は全部、昨夜の沙都子のお膳立てだ。
 昨夜、沙都子が圭一のところに作りに来てくれたことは内緒にしたほうがいいかな?このお弁当が自力で作ったものじゃないとバレたら、その時点で罰ゲーム確定だ。と圭一と考えている。
 レナが、今日のお弁当勝負の勝敗をどうやってつけるのかを尋ねると、沙都子と梨花が、圭一もちゃんと作ってきたから引き分けだ、と答える。
 ところが魅音は、公開審査だ、と言って、クラスに号令をかける。
 「5人のお弁当を採点してもらうよ!ベスト3までを紙に書いて投票すること!」
 魅音が重箱のような弁当箱のフタを開けて見せると、お節料理みたいな純日本風の弁当だった。
 思わず圭一は、「どこかの仕出し弁当の中身を移し替えただけに違いない」と言ってしまうが、レナが、滅多に本気にならないが、魅音が本気になればこれくらい作れる、とフォローする。
 魅音は、時間と材料があるなら満漢全席だった再現できるらしい。
 次はレナのお弁当で、卵とそぼろの二色が美しいそぼろ弁当だった。おかずも丁寧に作られていて品数も豊富だった。いつも以上に手間がかけられているけど、それは肩肘を張ったものでない、実にさり気ないものだ。魅音の弁当と違い、家庭的な温かさがある。
 続いて、沙都子と梨花が公開する。二人は、ゆうべ圭一の家の夕食をとったのに、よくお弁当を用意できたものだ。
 二人の弁当は、魅音の芸術性、レナの完璧さに比べると明らかに見劣るが、精一杯感を伝わっくる。
 圭一が、よく今日のお弁当を用意できたもんだ、と感心しながら言うと、沙都子が耳打ちする。
 沙都子と梨花は、今日のお弁当を用意できなかったので、富田と岡村に弁当をわけてもらうという大技に出たのだった。
 何を条件に買収された?と圭一が問い詰めると、水やり当番を代わってもらうくらいで、弁当を半分なんか・・・と答える富田と岡村。
 それを見て沙都子が、圭一から学ばせてもらったワザだ、と答える。
 いよいよ圭一のお弁当だ。昨夜の晩飯を詰めてきただけ、しかも圭一が作った飯ですらない。
 みんなは、圭一にしては頑張って方だ、と言うが、魅音だけは、採点結果を集計する前に、何か申し開きがあるなら聞いておく。ここで何かを訴えることで、わずかな得点加算が望めるかも、といやらしそうにゲテゲテと笑った。
 それとは対照的に、沙都子の笑顔はどことなくぎこちなくなっていく。
 そうだ、この弁当は、昨夜のおかずを詰めてきたもの。つまりは、沙都子が作った弁当も同然なのだ。
 しかし、沙都子は、「こんなお惣菜屋さんで買ってきたようなおかず、本当に幻滅もいいころでしてよ?」と言い、魅音も、「これなんか缶詰を開けてだけで、こっちのキュウリは包丁が通ってなくて綺麗に切れてないし。包丁とか全然扱ったことないでしょ?経験不足が明らかなんだよね。」と話す。
 圭一は、「弁当箱に食い物を詰めるなんて初めての経験だし、多少見栄えが悪いのは仕方が・・」と言い訳すると、魅音が富田と岡村に解説を頼む。
 富田と岡村は、圭一のお弁当の致命的な欠点は彩りだ、と指摘する。
 圭一の弁当は、黒白を除くと、暗緑色しか残っていない。
 沙都子と梨花に買収されている富田と岡村は、ここでも彼女たちを勝たそうとして、「おかずも心のこもらないお惣菜や缶詰ばかりで、お弁当の三大要素の愛・心・味のうち、2つも欠けている。」と言い出す。
 「罰ゲームは圭一さんで決まりですのよ!」と沙都子は憎々し気に笑って見せるが、圭一にはとてもそう見えない。
 自分が作ったのも同然の弁当をけなされたことを知っている圭一は、沙都子の笑顔がどれだけ痛ましいものかよくわかった。
 この弁当ほど心のこまったものなどあるものか、昨日作ってくれた料理がこのままけなされて終わってなるものか、と圭一は奮起する!
 「俺の弁当の敗因は心がないからだな。心の定義はなんだ。苦労か?努力か?ならば俺の手に残ろこの火傷は何の評価になるんだ?」
 昨日の火事騒ぎの時の火傷痕が、いかにも料理にすごく苦労した風に見えてグッドだ。
 「俺は、昨日、大見得を切ったのが情けなるくらに料理は下手だ。だが逃げなかった。戦った。そしてこの成果を出した。それは心じゃないのか?」
 「レナは認めてあげたいな。挑戦する心が評価されなかったら、誰も前に進めない。」とレナが言うと、クラスの女子がうなづき始める。
 富田と岡村が買収された分働こうと、「心だけで料理が決まるんだったら、この世にコックはいらない!」「心を込めて頑張りましたと言って消し炭を持ってきたら、お金払います?」と言い出す。
 「たとえ真っ黒なハンバーグが出来てたにせよ、それを作ってくれた母親の苦労をしるなら、俺は食う!」
 「そもそもお弁当というのは愛情を食事のカタチとして昇華させたもので、それは相手に伝わって初めて意味があるんです。前原さんのお弁当からは伝わりません。」と富田と岡村が言うと、クラスの女子から大ブーイングが来る。
 「確かに稚拙なところは多いかもしれないけど、このお弁当には心がこもっていると思うな。」と助け舟を出すレナ。
 圭一が、「今日の自分の弁当とコンビニ弁当を並べたら、その評価はどちらも同じものですか?どんなにひどい手作り弁当であっても、ただ買ってきただけのコンビニ弁当とでは比べ物にならないほどの心が込められている。手作りのよる心はちゃんと受け手に伝わっているのです。」と言うと、女子から大拍手が来た。一部の男子も認めかけている。
 続いて圭一は、岡村の弁当をみんなに見せる。
 岡村の弁当は半分しか入ってなく、中身は梨花のお弁当と全く同じものだった。
 圭一は、梨花の弁当は岡村の盗品だから、そんなものに心がこもっているわけない。本来このお弁当は、岡村の母親から息子にたくされたものだから、弁当箱に詰まった心は岡村にしか受け取れない。それを割り込んで奪ったら、もうそれに心はない!と言った。
 魅音は、「今日の勝負は何が大前提なのか?それは前原圭一が自炊できるか否かが問題になり、その成果を計るために催されたものだったならば、この勝負の大前提は自炊。すなわり手作りであるか否かだよね!それを怠ったとなると、失格ってことになるのかな?というわけで、今日のビリは古手梨花!」と宣言した。
 沙都子が、「こんなひどい弁当でビリを免れましたのね。」と言ったので、圭一は、沙都子の頭を乱暴につかみ、わしわしと撫でてやりながら、「この弁当のどこにビリになる要素があるってんだ。この弁当はうわべだけじゃなく、いろんな味にあふれているんだぜ。俺はうまかった!だから詰めてきた。本当にまずかったら、食パンと牛乳パックを持って登校してくる!」と言った。
 二人のやりとりを見ているレナは全部知ってたって顔で笑っている。
 「いつ頃から俺が作ったんじゃないって気づいてた?」
 「火傷を見せてくれた時かな?お弁当に油でいためるおかずなんか入ってないし。」
 「とにかく誰が何と言おうと、俺は今日の弁当を気に入ってるんだ。今日ばかりは誰にも分けないからな!」
 そんなやりとりをしていると、沙都子は、実は富田から弁当を分けてもらった、と告白し、魅音が、沙都子にも罰ゲームを宣告した。
 沙都子は梨花のお使いに付き合うかのような気さくさで、教室を後にした。
 「俺も白状するぞ!今日の弁当は俺が作ったんじゃない!俺も同じだ!だから行ってくるぞ!罰ゲーム。」と宣言し、廊下に出る圭一。
 沙都子から、自分と梨花でうまくやるから、大人しく相槌を打つように、と言われる圭一。
 沙都子に向かって圭一は、うまかったぜ、沙都子、と声をかけた。


 職員室の扉を開けると、知恵先生はレトルトカレーを食べていた。
 沙都子が、「や~い、や~い、カレー独身貴族、ニンニク臭いぞ」とはやし立てた瞬間、職員室の室温が氷点下レベルに下降した・・・
 沙都子と梨花は、とっくに圭一の目の前から消えていた。
 その後のことは、思い出したくもない・・・
 素敵すぎる体験をして教室に戻った圭一を、みんなは生暖かく出迎えてくれた。


 先に戻った沙都子と梨花が、事のあらましを魅音とレナに説明したようだ。
 魅音が、今日、ヘルプに行ってあげようか、と言ってくれるが、沙都子が複雑な表情を見せるたので、レナと梨花が、魅音に空気を読むよう、諭す。


 TIPS:沙都子のトラップ講座(初級)


 圭一「沙都子ならこの山で籠城して、一個師団相手くらいなら充分にあしらえるに違いない。」
 魅音「沙都子はとある国の特殊部隊に招聘されてトラップの訓練教官をやってたんだ。」
 レナ「そんなヘンな話はいいから、誰か助けて!」
 魅音は脱出不可能のやたら細い落とし穴にはまり、首だけを地上にのぞかせていた。
 レナは頭からすっぽりブリキのバケツをかぶり、それが脱げなくてもがいている。
 圭一の体はぐるぐるの簀巻き状態で、地上から2mくらいに吊り上げられていた。


 そもそもの発端は、都会育ちの圭一が自然に親しんでないとか何とかで、山へ散策に行こうなんて話からだった。
 沙都子が、「裏山ならお任せですわよ。山が丸ごと、私と梨花の遊び場なんですもの。」と言ったので、二人の道案内でハイキングに行くことになったのだ。


 最初のうちは村の中じゃ絶対に味わえない大自然は眺望、新鮮な空気を満喫できたが、途中からおかしくなり始めた!
 沙都子が、ここからは自分が歩いた足跡の通りに歩くように指示した。
 レナが、凧糸のようなものを引っ張ると、竹槍の束がドカドカと降り注いだ!
 沙都子と梨花が言うには、小学校低学年のころ、トラップ作りが沙都子的に大ブレイクして、この山の至るところに仕掛けて回ったらしいのだ。
 そして、沙都子たちの姿をちょっと見失った途端に、3人まとめ仲良くトラップに絡めとられたというワケだ・・・


 ルート:綿流しA #1 村祭り

 
 あなたの見たいものは、なんですか?
 私がそれを見せてあげましょう。
 あなたの聞きたいことは、なんですか?
 私がそれを教えてあげましょう。
 だけど、期待はしないでください。
 目と耳を閉じているあなたにはきっと無駄なことだから。

 
→盥回し編へ。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 興宮警察署事件調書:共通ルートから開始!


 1日目 #1 東京からの帰り道

 2日目 #1 登校

 下校途中、レナと魅音から、雛見沢を一人で回れない圭一のために、明日、雛見沢を案内してあげると言われる。→「ヒマならな・・・」(「もちろん」ならコチラ
 魅音に何回も聞かれても「ヒマならな」としか答えなかった圭一は、レナには「ヒマだ」と答えて、「明日は二人っきりで出かけよう」と言った。
 レナは、今日は早く帰ってお弁当の準備をするね、と言って圭一と魅音を置いて帰ってしまう。



 3日目 #1 レナたちと散歩

 レナと魅音とで雛見沢を案内してもらう圭一。
 お昼は、梨花と沙都子も加わる。
 そして、圭一と沙都子でおかずの争奪戦が勃発→ブロックかわすなら、コチラ
 しかし、圭一は沙都子の肘鉄を眉間にくらい、気を失ってしまう。
 10数分後に圭一が目覚めたときには、すでにおかずの大半は、みんなに食べられてしまっていた。
 弁当を食べ終わり一息ついてから、沙都子からお弁当を作ったレナへの賛辞勝負を仕掛けられる圭一。
 沙都子は、レナを萌え落とすことに成功し、レナからごほうびのリンゴのうさぎをゲット。
 圭一は、誠意が一番、素直に「ありがとう」と言い、レナが心を込めて作ってくれたからおいしいかったと話す。(ここは、レナの好みの少女マンガチックになら、コチラ
 しかし、レナは、時間がなくて冷凍でゴメンと、逆に誤る。
 圭一は、真心がしっかりと込められていれば、冷凍だって一流シェフにはかなわないくらいおいしい料理ができると熱弁をふるい、トドメに、レナは絶対にいいお嫁さんになると締める。
 レナは、喜んでタッパーいっぱいのリンゴのうさぎをくれ、沙都子に完全勝利する。
 と思ったら、沙都子の目配せで梨花が、自分が男だったらレナをお嫁さんにすると宣言し、レナが萌えて、圭一にあげたリンゴのうさぎを回収し、梨花に渡してしまうが、レナは、圭一の言葉が一番うれしかったといったので、今回の勝者は圭一に決定。


 3日目 #2 レナとの帰り道

 みんなと別れ、圭一はレナと家路につく。
 途中で、レナから、寄り道しない?と聞かれて→「あ、しまったお袋の用事が・・・」(「ああ、いいぜ」ならコチラ
 圭一は、レナと別れ、母親に頼まれて買い物をするために、興宮のスーパーへ向かった。
 スーパーで圭一が買い物をしていると、同じく買い物中の梨花に遭遇。
 梨花から、買い物リストの内容と違うものを買っていると指摘されながら、買い物する圭一だった。
 買い物が終わりスーパーを出たところで、梨花が財布を落とし、小銭をばら撒いてしまう。
 すると梨花の周りに雛見沢の人たちが集まってきて、落っことした小銭を拾い集め始める。
 梨花がお礼を言うと、雛見沢の人たちは、手を合わせて、ありがたや、ありがたやと答えている。
 そこへ、フリーのカメラマンの富竹がやってくる。
 富竹は、野鳥の撮影で、よく雛見沢に来ているとのこと。
 富竹は、合ったばかりの圭一が、雛見沢に来たばかりの人間だと気づき、雛見沢の人間は連帯感がとても強く、梨花は特に雛見沢の人々の心のよりどころになっていると教えてくれる。
 梨花が戻ってきたので、「可愛いと、得だよな~」と声をかける圭一。(「カリスマってやつですか」ならコチラ
 梨花が口をとがらせて、髪の毛が乱れるほど撫でるのは止めてほしい、と言うと、その可愛いしぐさに圭一と富竹は吹き出した。
 富竹は、沙都子ちゃんも梨花ちゃんと同じくらい可愛いのになぁ、とつぶやいた。
 富竹と梨花は知り合いのようで、お互いに「久しぶり」と挨拶した。
 梨花は、今日は当番だから夕飯の買い物に来た、と言って買い物袋を振った。
 富竹が、一度梨花の手料理が食べたい、と言うと、梨花は、当たり付きのフグ鍋をごちそうする、と答えた。
 圭一は、梨花のやりとりを見ていて、レナの気持ちがよくわかるようになった。
 富竹と別れた後、梨花は、さっきの買い物でおまけしてもらった、と言いながら、大判焼きを圭一に渡した。
 梨花の足元には紙袋どっさりに詰め込まれた今川焼があった。
 圭一は、梨花の予想以上の人気のすごさに気付き、驚く。
 圭一が大判焼きを食べ終わると、梨花は、紙袋に目をやりながら、「というわけなんで」と切り出した。
 圭一は、「わかりました」と返答するしかなく、荷物運びをするはめになった。


 TIPS:荷物もち


 梨花の先導で向かった先は、さっき昼食会を開いた古手神社だった。
 圭一は、梨花の名字が古手であることに気付いて、ここが梨花の家であることを知った。
 梨花が神社の子であるのはこの村では有名だったので、かえって話題にならなかったらしい。
 梨花も神社も、この村では有名とのこと。
 石段のそばに沙都子の自転車が止めてあるのに気づいた圭一は、沙都子が遊びに来ているのか?と尋ねると、梨花は、一緒に暮らしている、と答える。
 沙都子の両親は?と圭一が思っていると、梨花は、お駄賃だ、と言ってみかんを一つ渡し、手を振りながら石段を上がっていった。


 4日目 #1 部活への参加
 
 魅音に誘われて、部活に参加することになった圭一。
 部活の最終戦で、魅音は、圭一に一騎打ちを申し出る。勝ったほうが1位で、負けたほうがビリになるというものだ。
 魅音は、自分の手札1枚と、ゲームにつかってなかったジョーカーを持ち、ジョーカーを当てろと言う。→読み取れ、魅音の動きを・・・!非常に徹しろ、クールになれッ・・・!なら、コチラ
 魅音が、圭一の捨て札を拾って、ジョーカーの上に重ねたことに気付いた圭一は、自信を持ってジョーカーを指す。
 しかし、魅音は、裏の裏をかいた。圭一がそう考えるだろうと読んで、自分の手札の上に捨て札を重ねていたのだ!
 圭一は魅音に負けたが、入部は許可される。
 そして、魅音が、極太の油性マジックを取り出した。


 4日目 #2B 気晴らしに散歩


 部活が終わるとレナは、宝探ししている場所でかぁいいものを見つけたとのことで、すっとんで帰っていったので、今日は圭一と魅音で下校することになった。
 魅音は、宝探しの場所はゴミ山で、以前ダムの工事現場だった場所だ、と教えてくれた。
 魅音は、あそこでは戦いがあったと話す。村長や村の有力者が方々に陳情し、いろんな政治家に根回しもしているうちに、計画が撤回されたとのこと。
 殺人事件とかはなかったのかと、圭一が尋ねると、レナのときと同じように、なかっととぴしゃりと魅音に言い切られる。


 4日目 時間つぶし


 小銭をすべて回収したあと圭一は→…一緒に帰ろうか?と声をかけるが、沙都子は、「早くお帰りあそばせ」と返したので、圭一は「気を付けて帰れよ」と言った。
 沙都子の自転車のかごがグラグラと揺れている。どうやら、自転車のかごの止め具が緩んでいるらしい。
 見ていられなかった圭一は、家まで持っていってやる、と声を掛け、沙都子の買った野菜の袋を、自分の自転車のハンドルにぶら下げた。
 並んで自転車を漕ぎながら、沙都子は圭一の表情をうかがっていた。
 沙都子の自転車が急ブレーキをかけて急停止した。
 沙都子の視線の先を追うと、そこはおもちゃ屋のショーウィンドウだった。
 欲しいものでもあるのか?と圭一が尋ねると、沙都子は、何でもない、と答えて、再ぎ自転車を漕ぎだした。
 並んで自転車を漕ぎながらいろんな話をしたふざけあったりしているうちに、沙都子の横顔が少しずつ明るく、そして朗らかになっていった。


 TIPS:欲しいものは・・・


 圭一は、沙都子に、誕生日はもうすぐだな、と話を振ったが、沙都子は、珍しく沈んだ声で言葉を濁した。
 圭一は、プレゼントしてやるから、何がいい?と尋ねるが、沙都子は気乗りしないようだ。
 沙都子は、誕生日は老いに向かって突き進んで行く、と言うと、圭一は、老けるんじゃなくて、大人になる、と訂正する。


 5日目 #1 鬼ごっこ


 5日目 #2 放課後
→6日目 #1 レナの家について


 部活で、レナと勝負する圭一→や、やばい・・・レナは殺る気だ!「勝て、圭一! お前は勝つ人間だ!!」はコチラ


 6日目 #2A 魅音と下校
→7日目 #1 魅音からの電話
  


 圭一に着せ替え人形をくれる→交換を要求レナに渡すならコチラ選びなおすならコチラ)して、トランプをもらう。


 8日目 #1 昨日の話

  
 最初のお題目は夏休み→圭一は宿題夏期講習ならコチラ自由研究ならコチラ)と答える。
 しかし、同じ答えがなかった。
 次のお題目は、魚で、お寿司と答えた圭一と同じ答えはなかった。
 次のお題目は、さくら→圭一は、口紅金さんならコチラ魔法少女ならコチラ)と答える。
 新色が出たってTVで特集を組んでた有名な口紅の商品名である「Sakura」を圭一は書いたのに、同じ答えはなかった。


 8日目 #2 罰ゲーム


 8日目 パートナー選択→北条沙都子


 トロフィー:カリ、ブロッコリ!をゲット!


 ルート:沙都子1 #1 弁当の話題


 お昼にみんなの机を寄せ合い、みんなのお弁当を並べる。
 魅音のお弁当は、品数がいっぱいの豪華弁当で、魅音は、昨夜うちで村長たちが酒盛りをしてた残りをちょっと詰めてきただけ、と話す。
 魅音の盛り付けのセンスは良く、レナは、魅音は部屋もいつもキレイに片付いているし、みんなが思っているよりずっと几帳面で丁寧な人だ、と話す。
 レナのお弁当は、カニかまのお花、リンゴのウサギ、ニンジンに花びらなど芸が凝っており、かぁいいお弁当だった。
 梨花と沙都子の弁当は、夕べご近所さんにお肉を分けてもらったとのことで、ボリュームたっぷりの焼き肉弁当だが、ほうれん草のおひたしとか、ひじきの煮物とかおかずの品数も結構あった。
 梨花は、こういう家庭料理が得意なのだ。
 圭一は、デイキャンプで料理の真似事する程度で、自炊できるみんなのことをすごいと思った。
 その瞬間、圭一は、今朝、母親から、両親とも仕事で東京へ行き、場合によっては何泊か泊まり込みになるかもなんで、その間自炊お願い、と言われて、自炊するから外食しない前提の少しのお金をもらったことを思い出した。
 圭一は、デイキャンプのカレーしか作れないが、3食カレーはさすが無理だと思い、思わず、「3食カレーなんて食えるかよ!カレーなんて所詮はジャンクフード。栄養バランスなんかもカケラもない・・・」と叫んだ。
 その瞬間、教室の扉が開き、廊下の向こうの職員室にいるはずの熱中カレーマニアで名高い知恵先生が顔を出し、「誰かカレーの悪口を言っていませんでしたか?」と聞いてきたので、部活メンバーは、ぶんぶんと顔を振って否定した。
 空耳でしたか、と言って、知恵先生は、再び職員室へ戻っていった。
 ほかの部活メンバーに、自炊をがんばるように言われて、圭一も、やればできるような気がしてきた。
 カレー対決の時、梨花に料理を任せてニンジンの皮さえ剥かなかった沙都子だが、ご飯と味噌汁くらいは作れて、梨花と交代で自炊している、と言ったので、圭一は、自分の方が沙都子だけには負けない自信がある、と言い返し、ブロッコリーとカリフラワーの違いは?と、イジワルで質問した。
 答えられなかった沙都子は泣き出してしまう。
 魅音が、圭一がそこまで言うのなら沙都子よりマシなものが作れるよね、と煽ったので、圭一は、今夜は見事な晩飯を作って、残りを明日の弁当にしてくる、と大見得を切った。
 そこで、魅音が、部活で明日のお弁当で勝負!もちろん罰ゲーム付き!と言い出し、圭一は、上等だぜ、と返した。
 魅音は、明日のお弁当勝負に負けた人は、お昼休みに職員室で食事中の知恵先生の前で、カレーの悪口を言う、という恐ろしい罰ゲームを告げた。


 帰り道、献立に悩む圭一に声を掛けるレナ。
 レナは、明日圭一がお弁当を作ってこれたら大丈夫だ、と言った。がんばって作った手作りのお弁当に優劣なんかない、とのこと。
 圭一は、明日の弁当のことより今夜の晩飯だ、と答えると、レナは、やっぱり料理自信なんかなかったんだ、と笑いながら言った。
 レナは、無理そうだったら電話してきてもいいからね、と言ってくれたので、圭一は、どうしてもダメだったら電話する、と答えた。
 圭一が、沙都子ってどの程度料理ができるんだ?と尋ねと、レナは、圭一よりはできる、との返事。
 レナは、励ましの言葉と、料理の超初歩のアドバイスをいくつか残しながら、木立の向こうに消えていった。


 ルート:沙都子1 #2 沙都子の手料理


「いざ、料理!」
 台所の戸棚を漁る。・・・探すのは料理の本だ。
 「・・・よし!これさえあれば!誰だってシェフの味が出せるじゃんよ~☆」
 ページをめくるが、様々な専門用語に翻弄され、さっぱり作り方が見えてこない。
 この小さじ3杯の小さじって、いったいどれのことなんだ?
 それよりも、このあちこちに出てくる、お好みで適量にって表示!具体的にはどのくらいが適量なんだぁぁ!
 さっと水切りして・・・さっと、ってどのくらいだよ!
 水切りって、包丁で水滴でもちょん切るのかぁ?
 「もっと初心者にやさしいマニュアルはないのかぁ!」
 おかずは後回しにして、それよりもご飯だ。ご飯を炊かなきゃ始まらないよな。
 よくデイキャンプで飯盒でご飯を炊いたもんな。お米をといで、水はこのくらい。で、どのスイッチだ?
 このボタンかな?お、ランプがついた!
 全自動炊飯器ははやり三種の神器だよな。
 炊飯器のセットに気をよくした俺は、気を取り直して今度は味噌汁に挑むことにする。
 デイキャンプでは味噌汁はいつもインスタントだったからな。
 味噌をお湯で溶かすだけで何とかなるに違いない。
 お湯を沸かして、味噌を入れて・・・あれ、量はどのくらいなんだ?
 「人数とお好みで適量に・・・それなら適量に入れてやるさぁ!」
 思い切り味噌の袋を握りつぶし、中身の半分ほどを鍋に入れてみる。
 よし、これでご飯と味噌汁は(たぶん)大丈夫だ。次は、いよいよおかず。
 俺に作れて、晩飯としての彩りもあって・・・う~ん。
 そうだ、野菜炒めなんかはどうだ!
 野菜なんて生でも食えるし、多少火が通ってなくても死ぬことな無さそうだ。
 野菜は冷蔵庫の中に結構いろいろと入っていた。
 野菜炒めってどんな野菜が入ってるんだっけ?
 もやし?キャベツ?ニラ?玉ねぎ?キュウリやレタスは入ってかな?
 とりあえず、手あたり次第にまな板の上でザックザックとぶつ切りにし、それを中華鍋に放り込む。
 いつの間にか中華鍋は野菜で山盛りだ。
 次は、サラダ油だ。
 サラダ油をどぼどぼ・・・並々と注いだ方が豪快だよな。おっと、溢れてしまったぞ。
 では、火をつけよう。
 ボン!中華鍋に並々と注いだサラダ油に引火して、炎が空高く!!
 「俺ってひょっとして炎の料理人なんじゃあ・・・」
 ドハデは炎の柱が天井を焦がし始めた頃、目の前の素敵なクッキングが、実は致命的な災害に至ろうとしていることにようやく気が付く・・・
 あれ?ひょっとして、俺って、とんでもないことをしてる?
 火勢が何だがどんどん強くなり・・・
 「ぎゃああああああ!!!早く火を止めなさいですわー!」
 誰かが圭一の後頭部を思いっきり叩いた。
 何事かと振り向くと、沙都と梨花がいた。
 唖然としている圭一を突き飛ばして、沙都子はガスを止め、梨花は布巾を水に浸し、それを広げて鍋にかけた。
 どんどん布巾を濡らして、かけていく。それを何枚か重ねたところで、ようやく火は治まった。
 危機一髪のところで大火災を免れ、3人でゼーゼーと肩で息をする。
 「なんで俺のうちにいるんだ!」
 「それを言うなら、圭一さんは放火の現行犯でございますのよ。もうすぐで大火事になるところだったではございません。」
 「やっぱり、あれは火事になりかけてた?」
 「当たり前でございませんの。天井が煤けてるではございません?」
 ひょっとして俺って命を救われたのかも。
 話を聞いてみると、俺が放火的料理に没頭していたので、沙都子と梨花が鳴らしてたチャイムに気付かなかったらしい。
 でも、人の気配はするので、様子を見にあがってきたのだそうだ。
 いつの間にか正座して、神妙に話を聞いている俺。
 「すみませんでした。皆さんは命の恩人です。」
 「素敵なディナーがどんなものかと来てみれば、案の定、このザマですし!」
 「俺が夕食にどんなものを作るのか、見に来たってわけか。」
 もう、こんなザマを見せちゃ、今更空威張りなんかできないよな。もう完全に降参だ。
 「カレーの時は結構。がんばってましたのに。あの時の圭一さんはどこに行ってしまいましたの?」
 「あの時は、後輩諸君に手伝ってもらって、ほかの班の鍋を丸ごと借りただけで、別に俺が料理したわけじゃ・・・」
 「いくら部活とはいえ、とんでもない手を使いますのね。」
 今は何も言い返すことができず、大人しくうなだれて見せる。
 「ところで、この凄まじいお鍋、まさか味噌汁だなんて言わないでしょうね?」
 凄まじい形相でお味噌たっぷりのどっぷりの鍋を凝視する沙都子。
 やっぱり分量が間違ってたかな・・・
 「味噌汁はともかく、ご飯はうまく炊けたはずだ。」
 「炊けてないです。ほら、中身も全然お水なのです。」
 「あれ?だって、ちゃんとスイッチを入れたらランプが点灯して・・・」
 「これタイマーのボタンですのよ。朝食用にセットしてあるから、電源が入るのは明日の早朝でしてよ。」
 「俺は結局、おかずは元より、味噌汁も、ご飯すらも?何も自炊できなかったってことかぁ!私は沙都子より料理のヘタッピなダメダメ男でございました!!!どうもすみませんでしたー!」
 悶絶する俺。
 それを見て満足そうに頭をなでる梨花。
 そして勝ち誇ったように高笑いする沙都子。
 俺様、完全敗北・・・
 結局、俺は大口叩いて晩飯ひとつ満足に作れなかったわけだ。
 このままじゃ今晩は晩飯抜き。明日の朝もメシ抜きだし、弁当だってなしだ。
 親が帰ってくるのが何日後だが知らないが、このままじゃ間違いなく・・・
 「飢え死にだぁ!もちろん明日の弁当もなし。そして、明日の罰ゲームも俺で決まり!ぎゃあああああ!」
 梨花はこれ以上ないくらいの満面の笑顔で俺の頭をいつまでもなでなでしてくれていた。
 その無様な姿を見て、すっかり呆れ、大きなため息を漏らす沙都子。
 沙都子はベソをかいている俺を不機嫌そうに押しのけると、味噌汁の残骸の鍋を流しの三角コーナーに捨て、鍋を洗い出した。
 「自分後片付けくらい俺がやるよ。」
 自分の散らかした食器を沙都子に片付けてもらうことなんかない。
 その時、梨花が俺の服を引っ張って言った。
 「黙って見ているといいのですよ。」
 沙都子は、鍋やら冷蔵庫の中身やらを漁り始めた。
 沙都子ひとりを台所に残し、俺は梨花に引きずられて居間に戻ってきた。
 「今日の沙都子は圭一を見返しに来たのですよ。復讐なのです。圭一にいっぱいいっぱい馬鹿にされましたですから。沙都子は、自分にもお料理がちゃんとできるところを圭一に見せたかったのですよ。」
 音だけ聞いている限りでは、お皿を落とす音も、破裂音爆発音も聞こえてこない。
 少なくともこの時点で、俺よりも料理は達者なことは証明されている。
 つい、沙都子をいつものノリで売り言葉と買い言葉で挑発してしまったが言い過ぎだったようにも思う。
 「圭一さん、お味噌はどこにしまってありますの?」
 沙都子の怒鳴り声に飛び上がり、台所へ向かう。
 沙都子が小言を言い、それに謝ったり相槌を打ったりしているうちに、台所は次第にいい匂いで満たされ始めた。
 こうして見てると、沙都子もなかなかに料理達者じゃないか。
 レナは梨花の芸術的手腕い比べるから霞んで見えるだけで、充分に及第点に値する腕は持っていることがわかる。
 「食卓にお茶碗の用意をなさいませ。用意は3人分ですわよ。」
 あせあせと食器棚から人数分の食器を出し、食堂に向かった。
 戻るとテレビのバラエティ番組の笑い声が聞こえてきた。
 梨花がソファーに寝そべりながらテレビを見てくつろいでいるのだった。
 俺が食卓に食器を並べだすのに気づき、ぱたぱたとやってくる。
 「沙都子がにーにーと一緒だったころみたいです。こんなに楽しそうな沙都子を見るのは、歩本当に久しぶりなのですよ。」
 にーにー?
 「にーにーは兄々です。沙都子のお兄さんなのですよ。悟史と言いますです。」
 北条悟史?少なくとも、うちの学校にはいないヤツだ。
 「悟史って言うのか、沙都子の兄貴は。初めて聞いたな。」
 「悟史と一緒にいるときに沙都子は、いつもこんな風で楽しそうだったのですよ。」
 「今は沙都子とは別居なのか?」
 悟史って結構年上で、とっとと独立して遠方で一人ぐらしでもしているに違いない。
 「沙都子は、悟史と仲はよかったみたいだな。」
 「はい。とても仲良しな兄妹だったです。」
 梨花が言うには、大人しくて少し頼りない兄を、口やかましく支える沙都子、という関係だったらしい。
 「今日、圭一のところへ来たのだって、沙都子が言い出したのですよ。」
 圭一さんみたいに頼りないのに夕食が作れるわけがない。行って作ってあげなければって。
 「放っておけなかったのですよ。」
 今だけはおとなしく、頼りなく沙都子に世話を焼かれる兄であろうと思った。沙都子の苦労をねぎらえる言葉をかけてやろうと純粋にそう思った。
 「圭一さん、おしゃもじがどこにあるかわかりませんんでしてよ!」
 台所に駆け込み、引き出しからしゃもじを出して沙都子に差し出す。
 「さぁ、出来上がりでしてよ。ではご飯にしましょうですわね。」
 沙都子はガス台の火を止め、味噌汁の鍋を運び始める。


 湯気を上げるご飯に味噌汁。それから数品のおかず。食卓の上には実に手堅い家庭的な夕食が並べられていた。
 「では、いただきますですわよ。」 
 「いただきま~す!」
 沙都子の号令で、俺も梨花も大きな声でいただきますをする。
 「俺、沙都子のことを侮っていたよ。完全に敗北だ。」
 「少しは見直しまして?」
 「お見それしやしたー。」
 素直に負けを認めると、沙都子はようやく表情を柔らかくし、いつもそうするように大きな声で上機嫌で笑った。
 炊飯器で作っているとはいえ、水加減が違うのか、いつものお袋のご飯とは少し違った。だが、沙都子の個性が感じられて、いつもよりおいしく感じる。
 味噌汁も少し濃いめだったが、充分においしいものだった。
 派手さこそないが、おかずも充分にうまい。
 「おかずもよくできているよ、沙都子も決して料理は下手じゃないぞ。」
 俺があまりに素直にほめるので、沙都子はかえって面食らったようだった。
 「おかずはお惣菜屋さんで買ったものを温めただけですし、これとこれは缶詰を開けただけですし。自分でちゃんと作ったのは、ご飯と味噌汁だけなんですのよ。」
 ちょっと照れたような顔で、恥ずかしそうに言う沙都子。
 「うちのお袋だって、出来合いのお惣菜は使うし缶詰だって使うよ。そんなので恥ずかしがるころはないだろう。これは立派な夕食だよ。」
 「まぁ、私にもそこそこのお料理ができることがわかっていただけたのでしたら、それで充分ですよね。」
 あれ?こいつ、今ちょっと照れなかったか?
 自分の対応が決して間違ってなかったことに気付き、ちょっと嬉しくなった。
 「こうしてご飯を食べていると、悟史と一緒にご飯を食べてるみたいで楽しいのです。」
 「懐かしいですよね。一体今頃、どこでどうしてるやら。」
 その様子から、沙都子は悟史とはもうずいぶん長くあっていないような印象を受ける。
 「悟史ってのは私のにーにー、じゃなくて兄なのですのよ。あんなに生活力がない人に家出なんて甲斐性があったなんてびっくりでございますけど。まぁそのうち、ひょっこり帰ってくるに決まってますわ。」
 「悟史はああ見えてもとても我慢強い人なのですよ。沙都子が思っているよりもずっと我慢強いのです。」
 沙都子も梨花も、今でも悟史のことが好きで、きっと帰ってくると信じて、待っている。
 会ったことはないけれど、悟史という男が、すごくいいヤツだったことだけはわかった。
 沙都子の頭をわしわしと乱暴に撫でてやる。
 「俺、沙都子のこと誤解してたよ。お前がこんなにしっかり者だなんて思わなかった。うん、沙都子はしっかり者、うんうん。俺に合わせてふざけてただけなんだよな。えらい、えらい。」
 俺はようやくすごく当たり前のことに気付くのだ。
 「笑いながら食べる食事っておいしいよな。」
 「笑いはご飯をおいしくするのです。」
 「失礼ですわね!ご飯がおいしいのは私の料理がおいしいからに決まってますわよ!」
 家族と過ごすのとはまったく違う、だけれどもどこか懐かしい団らんのひと時だった。
 「沙都子は兄貴に会いたいか?」
 「会いたいか、と言われれば、もちろん会いたいに決まってますわね。もうすぐで1年になるますもの。少しでも生活力を身に着けて逞しくなって帰ってきてくれれば、私の負担も軽くなるわけですし。」
 沙都子はこんなにも健気に逞しく生きている。なぁ悟史、お前の妹って、こんなにもがんばってお前の留守を守ってくれてるじゃないか。いい加減、早く帰ってきてやれよ。


 「沙都子、そろそろお片付けしないとお眠になる時間なのです。」
 「あ、まだ食器を洗っていませんでしたわ。」
 「いいよ、それくらい俺がやっておくよ。メシを御馳走になって、食器まで洗わせるわけにはいかないよ。」
 「慣れない人が洗うと、お皿とか洗剤で滑って落としちゃいますわよ。」
 「圭一だって、お皿くらい洗えますですよ。」
 「安心しろ、皿くらいきっちりと洗ってみせるぞ。安心して帰れ。ってゆうか、こんな時間じゃ、沙都子たちだけに帰らせられないよな。家まで送るよ。」
 「私たちを送った後、一人で家に帰るには圭一さんではありませんの。夜道で迷ったら大変ですわよ。」
 結局、見送りは不要ということになり、沙都子と梨花を門のところまで送る。
 「今日は本当にありがとうな。」
 「本当、来てよかったですわ。」
 もう一度感謝を込めて、頭を下げる。
 「そうそうご飯とおかずの残りをタッパーに詰めておきましたから、明日はそれをお弁当になさいませ。あと、明日の朝食は、食パンとジャムがいいですわね。イチゴジャムとピーナツバターが冷蔵庫にありましたわ。あと粉末ココアが食器棚の上の戸の中に。」
 このころになって、一見不機嫌そうに沙都子が、実は梨花の言うように、とても上機嫌げあることに気付く。口やかましくとも、とてもうれしそうな沙都子に。
 「では、おやすみなさいなのですよ。」
 「寝る前にはちゃんと歯を磨くんですのよ。」
 「わかったよ沙都子。」
 「いつもより早めに起きないと、朝食やお弁当の支度ができませんわよ。何なら少し早いくらいの時間に目覚まし代わりに電話してさしあげましょうか?」
 「そこまでしてくれなくても大丈夫だよ。目覚まし時計を少し早めにセットしておくことにする。ありがとな、いろいろと気にしてくれて。」
 沙都子は、おやすみの挨拶を残すと、自転車にまたがり真っ暗な夜道に消えていった。
 梨花もそれについていこうとし、何かを思い出して戻ってきた。
 「今日の圭一は百点満点でした。沙都子もきっと、にーにーが帰ってきたような気がして。とても楽しかったと思いますです。たまに沙都子のお小言に付き合ってあげてほしいのですよ。」
 「悟史の代わりになってやれって言うことか?」
 梨花は何も言わず、にぱ~☆と笑った。
 「俺が悟史だった絶対に家出なんかしないぞ。」
 「悟史には悟史なりの事情があったのです。きっと。」
 「早く帰ってくるといいな。俺じゃ本物のにーにーの代役をいつまでも務まらないぜ?」
 「大丈夫ですよ。今日の圭一は悟史そっくりだったのです。またお願いしますのですよ。」
 「梨花~」
 ずっと向こうの外灯の下で、沙都子が自転車を止め、いつまでもついてこない友人を呼んでいる。
 「おやすみなさいのです。」
 「ああ、お休み。」
 「ボクでは悟史の代わりをできませんが、圭一ならできます、これで、ボクの心の荷が一つ下りましたのですよ。」
 それだけを言い残し、梨花に自転車が走り出す。沙都子の自転車も並んで走り出し、2人の自転車はあっという間に見えなくなった。


 トロフィー:とある奇跡の積み重ねをゲット!
 プレイ時間100時間を超えたのねw


 ルート:沙都子2 #1 弁当対決


 魅音がお昼の始まりを宣言する。
 今日は梨花と沙都子は別々にお弁当を作ったとのこと。
 圭一の今日のお弁当は全部、昨夜の沙都子のお膳立てだ。
 昨夜、沙都子が圭一のところに作りに来てくれたことは内緒にしたほうがいいかな?このお弁当が自力で作ったものじゃないとバレたら、その時点で罰ゲーム確定だ。と圭一と考えている。
 レナが、今日のお弁当勝負の勝敗をどうやってつけるのかを尋ねると、沙都子と梨花が、圭一もちゃんと作ってきたから引き分けだ、と答える。
 ところが魅音は、公開審査だ、と言って、クラスに号令をかける。
 「5人のお弁当を採点してもらうよ!ベスト3までを紙に書いて投票すること!」
 魅音が重箱のような弁当箱のフタを開けて見せると、お節料理みたいな純日本風の弁当だった。
 思わず圭一は、「どこかの仕出し弁当の中身を移し替えただけに違いない」と言ってしまうが、レナが、滅多に本気にならないが、魅音が本気になればこれくらい作れる、とフォローする。
 魅音は、時間と材料があるなら満漢全席だった再現できるらしい。
 次はレナのお弁当で、卵とそぼろの二色が美しいそぼろ弁当だった。おかずも丁寧に作られていて品数も豊富だった。いつも以上に手間がかけられているけど、それは肩肘を張ったものでない、実にさり気ないものだ。魅音の弁当と違い、家庭的な温かさがある。
 続いて、沙都子と梨花が公開する。二人は、ゆうべ圭一の家の夕食をとったのに、よくお弁当を用意できたものだ。
 二人の弁当は、魅音の芸術性、レナの完璧さに比べると明らかに見劣るが、精一杯感を伝わっくる。
 圭一が、よく今日のお弁当を用意できたもんだ、と感心しながら言うと、沙都子が耳打ちする。
 沙都子と梨花は、今日のお弁当を用意できなかったので、富田と岡村に弁当をわけてもらうという大技に出たのだった。
 何を条件に買収された?と圭一が問い詰めると、水やり当番を代わってもらうくらいで、弁当を半分なんか・・・と答える富田と岡村。
 それを見て沙都子が、圭一から学ばせてもらったワザだ、と答える。
 いよいよ圭一のお弁当だ。昨夜の晩飯を詰めてきただけ、しかも圭一が作った飯ですらない。
 みんなは、圭一にしては頑張って方だ、と言うが、魅音だけは、採点結果を集計する前に、何か申し開きがあるなら聞いておく。ここで何かを訴えることで、わずかな得点加算が望めるかも、といやらしそうにゲテゲテと笑った。
 それとは対照的に、沙都子の笑顔はどことなくぎこちなくなっていく。
 そうだ、この弁当は、昨夜のおかずを詰めてきたもの。つまりは、沙都子が作った弁当も同然なのだ。
 しかし、沙都子は、「こんなお惣菜屋さんで買ってきたようなおかず、本当に幻滅もいいころでしてよ?」と言い、魅音も、「これなんか缶詰を開けてだけで、こっちのキュウリは包丁が通ってなくて綺麗に切れてないし。包丁とか全然扱ったことないでしょ?経験不足が明らかなんだよね。」と話す。
 圭一は、「弁当箱に食い物を詰めるなんて初めての経験だし、多少見栄えが悪いのは仕方が・・」と言い訳すると、魅音が富田と岡村に解説を頼む。
 富田と岡村は、圭一のお弁当の致命的な欠点は彩りだ、と指摘する。
 圭一の弁当は、黒白を除くと、暗緑色しか残っていない。
 沙都子と梨花に買収されている富田と岡村は、ここでも彼女たちを勝たそうとして、「おかずも心のこもらないお惣菜や缶詰ばかりで、お弁当の三大要素の愛・心・味のうち、2つも欠けている。」と言い出す。
 「罰ゲームは圭一さんで決まりですのよ!」と沙都子は憎々し気に笑って見せるが、圭一にはとてもそう見えない。
 自分が作ったのも同然の弁当をけなされたことを知っている圭一は、沙都子の笑顔がどれだけ痛ましいものかよくわかった。
 この弁当ほど心のこまったものなどあるものか、昨日作ってくれた料理がこのままけなされて終わってなるものか、と圭一は奮起する!
 「俺の弁当の敗因は心がないからだな。心の定義はなんだ。苦労か?努力か?ならば俺の手に残ろこの火傷は何の評価になるんだ?」
 昨日の火事騒ぎの時の火傷痕が、いかにも料理にすごく苦労した風に見えてグッドだ。
 「俺は、昨日、大見得を切ったのが情けなるくらに料理は下手だ。だが逃げなかった。戦った。そしてこの成果を出した。それは心じゃないのか?」
 「レナは認めてあげたいな。挑戦する心が評価されなかったら、誰も前に進めない。」とレナが言うと、クラスの女子がうなづき始める。
 富田と岡村が買収された分働こうと、「心だけで料理が決まるんだったら、この世にコックはいらない!」「心を込めて頑張りましたと言って消し炭を持ってきたら、お金払います?」と言い出す。
 「たとえ真っ黒なハンバーグが出来てたにせよ、それを作ってくれた母親の苦労をしるなら、俺は食う!」
 「そもそもお弁当というのは愛情を食事のカタチとして昇華させたもので、それは相手に伝わって初めて意味があるんです。前原さんのお弁当からは伝わりません。」と富田と岡村が言うと、クラスの女子から大ブーイングが来る。
 「確かに稚拙なところは多いかもしれないけど、このお弁当には心がこもっていると思うな。」と助け舟を出すレナ。
 圭一が、「今日の自分の弁当とコンビニ弁当を並べたら、その評価はどちらも同じものですか?どんなにひどい手作り弁当であっても、ただ買ってきただけのコンビニ弁当とでは比べ物にならないほどの心が込められている。手作りのよる心はちゃんと受け手に伝わっているのです。」と言うと、女子から大拍手が来た。一部の男子も認めかけている。
 続いて圭一は、岡村の弁当をみんなに見せる。
 岡村の弁当は半分しか入ってなく、中身は梨花のお弁当と全く同じものだった。
 圭一は、梨花の弁当は岡村の盗品だから、そんなものに心がこもっているわけない。本来このお弁当は、岡村の母親から息子にたくされたものだから、弁当箱に詰まった心は岡村にしか受け取れない。それを割り込んで奪ったら、もうそれに心はない!と言った。
 魅音は、「今日の勝負は何が大前提なのか?それは前原圭一が自炊できるか否かが問題になり、その成果を計るために催されたものだったならば、この勝負の大前提は自炊。すなわり手作りであるか否かだよね!それを怠ったとなると、失格ってことになるのかな?というわけで、今日のビリは古手梨花!」と宣言した。
 沙都子が、「こんなひどい弁当でビリを免れましたのね。」と言ったので、圭一は、沙都子の頭を乱暴につかみ、わしわしと撫でてやりながら、「この弁当のどこにビリになる要素があるってんだ。この弁当はうわべだけじゃなく、いろんな味にあふれているんだぜ。俺はうまかった!だから詰めてきた。本当にまずかったら、食パンと牛乳パックを持って登校してくる!」と言った。
 二人のやりとりを見ているレナは全部知ってたって顔で笑っている。
 「いつ頃から俺が作ったんじゃないって気づいてた?」
 「火傷を見せてくれた時かな?お弁当に油でいためるおかずなんか入ってないし。」
 「とにかく誰が何と言おうと、俺は今日の弁当を気に入ってるんだ。今日ばかりは誰にも分けないからな!」
 そんなやりとりをしていると、沙都子は、実は富田から弁当を分けてもらった、と告白し、魅音が、沙都子にも罰ゲームを宣告した。
 沙都子は梨花のお使いに付き合うかのような気さくさで、教室を後にした。
 「俺も白状するぞ!今日の弁当は俺が作ったんじゃない!俺も同じだ!だから行ってくるぞ!罰ゲーム。」と宣言し、廊下に出る圭一。
 沙都子から、自分と梨花でうまくやるから、大人しく相槌を打つように、と言われる圭一。
 沙都子に向かって圭一は、うまかったぜ、沙都子、と声をかけた。


 職員室の扉を開けると、知恵先生はレトルトカレーを食べていた。
 沙都子が、「や~い、や~い、カレー独身貴族、ニンニク臭いぞ」とはやし立てた瞬間、職員室の室温が氷点下レベルに下降した・・・
 沙都子と梨花は、とっくに圭一の目の前から消えていた。
 その後のことは、思い出したくもない・・・
 素敵すぎる体験をして教室に戻った圭一を、みんなは生暖かく出迎えてくれた。


 先に戻った沙都子と梨花が、事のあらましを魅音とレナに説明したようだ。
 魅音が、今日、ヘルプに行ってあげようか、と言ってくれるが、沙都子が複雑な表情を見せるたので、レナと梨花が、魅音に空気を読むよう、諭す。


 TIPS:沙都子のトラップ講座(初級)


 圭一「沙都子ならこの山で籠城して、一個師団相手くらいなら充分にあしらえるに違いない。」
 魅音「沙都子はとある国の特殊部隊に招聘されてトラップの訓練教官をやってたんだ。」
 レナ「そんなヘンな話はいいから、誰か助けて!」
 魅音は脱出不可能のやたら細い落とし穴にはまり、首だけを地上にのぞかせていた。
 レナは頭からすっぽりブリキのバケツをかぶり、それが脱げなくてもがいている。
 圭一の体はぐるぐるの簀巻き状態で、地上から2mくらいに吊り上げられていた。


 そもそもの発端は、都会育ちの圭一が自然に親しんでないとか何とかで、山へ散策に行こうなんて話からだった。
 沙都子が、「裏山ならお任せですわよ。山が丸ごと、私と梨花の遊び場なんですもの。」と言ったので、二人の道案内でハイキングに行くことになったのだ。


 最初のうちは村の中じゃ絶対に味わえない大自然は眺望、新鮮な空気を満喫できたが、途中からおかしくなり始めた!
 沙都子が、ここからは自分が歩いた足跡の通りに歩くように指示した。
 レナが、凧糸のようなものを引っ張ると、竹槍の束がドカドカと降り注いだ!
 沙都子と梨花が言うには、小学校低学年のころ、トラップ作りが沙都子的に大ブレイクして、この山の至るところに仕掛けて回ったらしいのだ。
 そして、沙都子たちの姿をちょっと見失った途端に、3人まとめ仲良くトラップに絡めとられたというワケだ・・・


 ルート:綿流しA #1 村祭り

 
 あなたの見たいものは、なんですか?
 私がそれを見せてあげましょう。
 あなたの聞きたいことは、なんですか?
 私がそれを教えてあげましょう。
 だけど、期待はしないでください。
 目と耳を閉じているあなたにはきっと無駄なことだから。

 
→盥回し編へ。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな? 


 7日目 #1 魅音からの電話

  魅音からの電話で、街のおもちゃ屋のイベントで、一般人にまじって部活をすることになった圭一たち。
 あらゆる手段を用い、部活メンバー全員が決勝に残ったが、多くの人間に勝負を見てもらいたいと魅音が言い出し、いったん決勝は魅音が預かり、後日、日時とゲームを発表することになった。  魅音は、さっき叔父さんから特売日でレジが足りないとヘルプの電話があったから、今からバイトに行くと話す。
 お店のマスターが、イベントを盛り上げてくれたお礼にと、圭一に着せ替え人形をくれる。しかし、魅音だけは、身内だからという理由でお礼はなしだった。
 男の持つものではないと思った圭一は→選びなおすレナに渡す場合はコチラ交換を要求する場合はコチラ魅音に渡す場合はコチラ
 どうせならみんなでわいわい遊べるものの方がいいと判断した圭一は、おじさんに交換してほしい、と頼んだ。
 圭一が店の入口に吊るされていたモデルガンに目が行くと、魅音は、最近入った最新式だけど、めっちゃ高いから誰も買わない、と教えてくれる。
 レナが、魅音もこんなの持っていなかった?と聞くと、魅音は、私のはもっと高いやつだよ、と答えた。
 沙都子が、同じ鉄砲でも水鉄砲のほうがみんなと楽しく遊べる、と言った。
 やがておじさんがカードゲームを持ってきた。
 それを見た沙都子は、小さいころ、よくにーにとこのゲームで遊んだ、と言い出す。
 魅音が、このカードゲームを部活の備品にしようと言うと、みんなも賛成する。
 魅音は、バイトに遅れちゃう、と言って去っていく。
 雛見沢への帰り道、互いの戦果を称えあう圭一、レナ、梨花、沙都子。


 TIPS:秘密のオーダー


 魅音はおじさんに「バイト代から払うから、ちょっと調達してほしい」と頼んでいる。
 魅音が指さしたおもちゃのカタログをページを見るや、おじさんは驚いた表情になり、「何に使う気なんだい?まさか強盗を・・・」と言った。
 魅音は、お金に困ってない、と全否定する。
 おじさんは、女の子が欲しがるもんじゃないと思うけど、と言うと、魅音は、ハジキとドスはカチコミの花、と笑って答える。
 おじさんは、問屋に問い合わせてみるけど、輸入品の上特注みたいだから、いつ手に入るかまでは保証できない、と言った。
 魅音は、来たるべき決戦の秘密兵器にするつもりだから、できるだけ早く頼む、と言った。


 8日目 #1 昨日の話 
興宮警察署事件調書:鬼隠し編 後編
興宮警察署事件調書:鬼隠し編 END

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 7日目 #1 魅音からの電話

  魅音からの電話で、街のおもちゃ屋のイベントで、一般人にまじって部活をすることになった圭一たち。
 あらゆる手段を用い、部活メンバー全員が決勝に残ったが、多くの人間に勝負を見てもらいたいと魅音が言い出し、いったん決勝は魅音が預かり、後日、日時とゲームを発表することになった。  魅音は、さっき叔父さんから特売日でレジが足りないとヘルプの電話があったから、今からバイトに行くと話す。
 お店のマスターが、イベントを盛り上げてくれたお礼にと、圭一に着せ替え人形をくれる。しかし、魅音だけは、身内だからという理由でお礼はなしだった。
 男の持つものではないと思った圭一は→魅音に渡すレナに渡す場合はコチラ交換を要求する場合はコチラ
 魅音は、圭一の申し出があまりにも想定外の出来事だったのだろうか、しどろもどろになって頬を赤らめながら、ぶんぶんを手を振った。
 「あたしには似合わないっていうか、変だよ!」という魅音に、圭一は「花より団子タイプだけど」と答える。
 そう言いながらでも、魅音は人形が欲しくないわけではなさそうだ。
 その証拠に、恥ずかしさを誤魔化すように笑ってみせてはいるものの、チラチラと人形に視線を送っている。
 ここはひとつ、芝居を打ってやるか!と圭一は決心する。
 「魅音がいらないっているなら、あのお兄さんたちにやるか?」
 あっちのほうにはソッチ系のお兄さんたちがいて、フィギュアを食い入るように見ている。
 何もあげなくてもいいんじゃないの、と魅音が反対したので、「じゃあ魅音がもらうか?」と圭一が聞くと、そうじゃなくて・・・と魅音と言う。
 仕方がないので、圭一は、「部活の備品にしよう!教室に飾っておくから、部活メンバーはお持ち帰り自由ってことで。」と提案すると、魅音は賛成してくれる。
 魅音は、備品の管理よろしく、と言ってバイトへ向かった。
 雛見沢への帰り道、互いの戦果を称えあう圭一、レナ、梨花、沙都子。


 TIPS:素直になれなくて


 とっても嬉しかった。
 なのに、素直になれない自分に、あとから自己嫌悪になった。
 怒ってないかな。やっぱり、明日は謝ったほうがいいんだろうか。
 でも、もし怒っていなかったら、変に思われるだけかも。
 それにして、こんなことをくよくよ考えるなんて、いつもの私らしくない。
 最近、なんだか変な気持ちだ。
 これって、どうしてなのかな?


 8日目 #1 昨日の話

 今日の部活は、シンパシーだ。お題目を決め、みんなで連想する言葉を書いて、同じ答えを書いた人が2人だと2点、5人全員なら5点入るっていうゲームとのこと。つまり、みんなと同じ答えになるように考えるゲームなのだ。
 今回の罰ゲームは、圭一提案の荷物運びに決まり、1位の荷物をビリが家に運ぶことになった。  しかし、それだけではつまらないということになり、メイド服着用でという条件が追加される。もちろん圭一でも着用可能なXLサイズも用意してある。
 最初のお題目は夏休み→圭一は自由研究と答える。
 しかし、圭一と同じ答えはなかった。
 次のお題目は、魚で、お寿司と答えた圭一と同じ答えはなかった。
 次のお題目は、さくら→圭一は、魔法少女と答える。
 圭一と同じ答えはない上、圭一の答えを見たみんなはドン引きしている。
 圭一は、さくらと言ったら魔法少女のデフォのカラーだ、と力説するが、魅音に、圭一は骨の髄までオヤジだ、と一蹴されてしまう。


 8日目 #2 罰ゲーム  


 結局圭一がビリで、メイド服で魅音の家まで荷物持ちをした(日ごろの行いが良かったせいか、家に帰るまで誰にも会わずにすんだ)。
 圭一が家に帰って風呂から上がると、母親から、頭痛がして夕食の支度ができないので、父親といっしょに外で食べてきてといわれる。
 父親は、駅前のエンジェルモートというファミレスに、圭一を連れて行く。
 なんとここのウェイトレスは、バニーガールとメイドさんとフリフリな衣装を足して割ったようなコスプレで接客していた!
 新米ウェイトレスを見て→・・・あれ?あれは・・・か・・・可愛い・・・ならコチラ
 父親がトイレに立ち、一人残された圭一の前に、新米ウェイトレスがデザートを持ってきた。  圭一が新米ウェイトレスを良く見ると、髪形は違う(魅音はポニーテール、ウェイトレスはハーフアップ)が、魅音にそっくりだったので、思わず圭一は、魅音!と声を掛けた。
 圭一は、ウェイトレス姿の魅音に、日ごろの恨みを込めて、「恥ずかしい格好」「見えそうで見えない」などセクハラな言葉攻めすると、新米ウェイトレスは、魅音の妹の園崎詩音だと名乗る。  詩音は、魅音から圭一のことを聞いているので、初対面な気がしなかったと話す。
 圭一は、魅音が、いつもの自分とは違う詩音というかわいらしいキャラを作ってウェイトレスとしてバイトしているので、これ以上つっこんではいけないと思い、詩音として会話を続ける。


 8日目 パートーナー選択→園崎魅音


 ルート:魅音 #1 カレー勝負
→ルート:魅音 #2 下校
→ルート:魅音2 #1 梨花の練習
 


 午後の授業、昨日の昼飯抜きの反動から、昼ごはんを食べ過ぎて気持ち悪くなっている圭一。  魅音は、圭一に、いつもご飯一粒を残さずきれいに食べてると指摘すると、作ってくれた人に感謝して食べてるからと答える圭一。
 それを聞いた魅音は、圭一は見かけによらず律儀だというと、レナも同感する。
 雑談の声が大きすぎて、知恵先生に怒られる魅音。
 レナは、人は見かけによらない、見かけとは逆が真かもと言い出す。
 それを聞いた圭一は、沙都子にもしおらしい面があるのかと尋ねると、レナは、沙都子には内緒だが、ちょっと前までは甘えんぼだったと答える。
 圭一は、そういえば見た目可愛らしい梨花の中身が狸だということに気づく。
 レナは、梨花は大人になったら、男を振り回す小悪魔のような女性になると断言する。
 圭一は、がさつで計算高くてずる賢い魅音はどうだろうとレナに聞いてみる。→魅音にも、女の子らしさがあるってことだぞ?
 レナは、最近魅音はちょっと女の子っぽくなった、と答える。
 それを聞いた圭一は、学校じゃみんなのリーダーとして男勝りに振舞っているが、エンジェルモートであった魅音は、普段の魅音からは想像もつかない雰囲気だったことや、自分が空腹だと言ったら、バイトに行く前に弁当を作ってくれたことを思い出し、やっぱり魅音は女の子で守ってあげなきゃって思わされた。
 レナは、魅音が急に女の子らしくなったわけは、圭一が気付かないと、と言って去っていった。


 下校時、家の鍵をなくしたことに気づく圭一。
 魅音に特徴を聞かれて、夏休みの宿題に作らされた青いオットセイのキーホルダーが付いていると答える圭一。
 魅音はそれを聞くとなにやら思い出した様子。→・・・知ってるのか?
 魅音は、一昨日エンジェルモートで圭一が食事をした晩に、店でオットセイのキーホルダーの付いたカギの落し物があったと詩音が言ってた、と答える。


 帰宅後、圭一はカギを返しにもらいにエンジェルモートへ向かった。
 駐輪場へ自転車を止めていると、バイクがこけ、その所有者だろう不良3人組が、バイクの近くにいた詩音に凄んでいた。
 圭一は、たまたま近くを通りかかった富田と岡村に頭を下げて、頼み事をする。
 半泣きの詩音の前に圭一が立つと、詩音は小さく誰かの名前をつぶやく。
 不良たちが、詩音の体で支払ってもらう、と言い出したので、思わず圭一は不良たちを殴ってしまう。
 その時、富田と岡村が、大勢の人たちを連れて戻ってきた。
 それを見た不良たちは、さっさと逃げてしまう。
 圭一が詩音を見ると、詩音はぽーっとしたまま圭一を見つめていた。
 やっと我に返った詩音は、ありがとう圭ちゃん、お礼にお茶でもおごります、と言った。
 詩音が圭一の腕にしがみついたので、胸が当たって圭一はドキドキする。


 ルート:魅音2 #2B エンジェルモートにて


 エンジェルモートの制服に着替えた詩音が、アイスコーヒーを2つ持ってきた。
 詩音は、レジでこのチケットを渡せば、無料になる、と言った。
 アイスコーヒーをうまそうに飲んでいる圭一に、詩音は、「さっきは本当にありがとう、圭ちゃんは意外と強いんですね」とうっとりとした目で見つめながら言った。
 圭一は、怖かったけど、ほかならぬ詩音のピンチだから張り切ってみた、と答える。
 圭一が、「ピンチの時は俺を呼べばいいよ。助けにいってやるよ。」と言うと、詩音は、指切りげんまん、と言って小指を差し出したので、圭一は小指を絡めた。
 詩音は、「指切りげんまん、ウソついたら、脳みそダラダラいわす」と言いながら指切りをした。


 詩音は、自分と魅音が共にピンチで崖にぶら下がってて、一人だけ助けるならどっちを助ける?と聞いてきた。
 圭一は、どっちも助けたいが、と言いながら→魅音だ、と答えた。
 詩音が、どうして?と尋ねたので、圭一は、魅音は俺の仲間だから、と答えた。
 困ったときに真っ先に助け合うのは、仲間として当然だ、と圭一を言った。
 それに、魅音を助けたら、そのあと二人がかりで詩音を助けることができる、と続ける圭一。


 圭一はさっき富田に助っ人を頼んだら、子供たちだけじゃなく大人も混じっていたことを思い出し、雛見沢の人は本当に結束しているんだな、と言った。
 詩音は、雛見沢は昔から廃村の危機に逢うたびに、結束して戦って存続を勝ち取ってきたと話す。10年くらい前の雛見沢ダム計画のときも、みんなで団結して中止させたとのこと。
 詩音が生まれる前からダムの話はあったのだが、いつのまにか巨大ダムの計画に発展して、雛見沢どころかさらに上流の村まで水没することになってしまい、住民運動が始まった。
 土地の強制収用が始まる頃、機動隊と小競り合い目立つようになり、詩音も殴られてケガをしたとのこと。
 詩音の祖母が激怒して、全面戦争になり、ダム建設中止の仮処分を裁判所に申請、世論を見方につけるため雛見沢の生態系がいかに貴重なものであるかをアピール、ダム建設派の知事の罷免要求などを行い始めた。
 そして、マスコミと連携し、機動隊の暴力行為をすっぱ抜き、住民闘争を踏みにじる政府をテーマに特番を組ませ全国放映させ、機動隊を封印させた。
 連日のように署名活動やデモで運動をアピールし、とうとうダム計画を無期限凍結すると国に発表させることに成功した。


 家に戻って夕食をとったあと、圭一のところに詩音から電話がかかってくる。
 明日、夏の新デザートコンテスト=新作デザートの味見があり、圭一をモニター当選者として登録しておくから参加して欲しいと、詩音から誘われる。当然、無料で食べ放題とのこと。
 詩音は、明日のバイトは短時間なので、バイトが終わったあと、散歩に付き合って欲しいと話し、圭一が了承して電話を終える。


 TIPS:クロークにて


 詩音と先輩ウェイトレスの会話。
 詩音のピンチに駆けつけた圭一の話で盛り上がる。


 ルート:魅音3 #1 ちょっとしたラッキー


 レナは、魅音は最近うれしそうにしていると、言い出すが、圭一は、知らなかったと答える。  レナは、魅音が機嫌が良いとレナも嬉しいと話す。
 「そうだな・・・」と圭一が答えると、レナは、圭一に、「魅ぃちゃんのこと、どうしてなのか本当に知らないのか?」と聞いてきた。
 本当に知らない、と圭一が答えると、レナはため息をつきながら、「魅ぃちゃんって前途多難で、ちょっぴりかわいそう」と言った。
 どういう意味かと圭一が尋ねても、レナは、何も知らない、と質問をかわした。


 ルート:魅音4 #1 デザートフェスタ


 デザートフェスタに行った圭一は、詩音が転んで、お客にオーダーをぶちまけていたところに遭遇する。
 お客は生クリームでベトベトになっているにもかかわらず、なぜか嬉しそうに、フキフキしろと言いだし、周りの客もフキフキコールを始めだす。
 先輩ウェイトレスは、詩音はわざと足を引っ掛けられたと話す。最近、わざと衣服を汚させて絡んでくる客が多いのだと。
 圭一は「ピンチの時は俺を呼べばいいよ。助けにいってやるよ。」と詩音に言ったことを思い出して立ち上がるが、武道か何かやっているらしいオタクに、逆に投げ飛ばされしまう。
 圭一は、あと3人呼べることを思い出し、店の電話を借りて、レナ、沙都子、梨花を呼び出し、ここでバイトしている魅音の妹の詩音がさっきここでやられたことと、自分の不甲斐無さを伝えて、詩音の護衛と敵勢力=詩音にちょっかいと出そうとするやつらの殲滅を頼む。
 3人の活躍で、圭一たちは大勝利。


 ルート:魅音4 #2 レナの助言


 部屋の片付け中だった梨花と沙都子は、圭一の用事が済んだので帰り、レナと二人きりになった圭一。
 レナ・・・なに笑ってるんだ?
 そう思っている圭一のところへ、詩音が4人分のコーヒーを運んでくる。
 照れているらしく詩音は素っ気無い態度で礼を言うと2人分のコーヒーを置いて、厨房へ戻っていく。
 レナは、詩音のことを、双子というよりは、もう一人の魅音みたいだと言い出す。
 圭一が、魅音はいつまで双子のフリを続けるんだろう?とつぶやくと、レナは、圭一は、魅音と詩音が同じ人物だと思っている?と聞いてきた。
 そうだ、と圭一が答えると、レナは、どうして、魅音は詩音のフリをしてるんだろう?と尋ねてきた。
 恥ずかしいから、と圭一が答えると、なんで恥ずかしいのかな?とレナは続けて聞いてきた。
 圭一が、魅音が女の子らしい恰好なんて似合わないと思っているから、と答えると、レナも同意する。
 そして、魅音がかわいそう、とレナがため息をつきながら言った。
 圭一が困り果てた顔をしていると、レナは、圭一が気付かないと意味がない、と言うので、圭一は、それが気付けないから困っている、と大声で言ってしまう。
 レナは、ヒントだけなら、と言って、魅音が詩音のフリをするのはどんな時?と言って、帰ってしまった。
 圭一は、バイトの時だと思ったが、ほかに魅音が詩音のフリをすることはあったか思い当たらなかった。


 バイトが終わり、私服に着替えた詩音が、圭一のところへやってくる。
 店の外にでてブラブラと歩きながら話す詩音と圭一。
 突然、詩音が指を差すと、その先には→あれは・・・魅音にあげようとした人形?
 そこは、見覚えのあるおもちゃ屋のショーウィンドウだった。この前部活をやったおもちゃ屋だ。
 詩音は、かわいいと言うが、圭一にはわからない。
 詩音は、どの人形が一番かわいいかを聞いてきた。
 詩音は、人形とかぬいぐるみとかを嫌いな女の子はそんなにいないと話す。魅音でさえかわいいと言っていたとも。
 圭一は、イベントを盛り上げたお礼に圭一がもらった人形が、これだと思い出す。マスターからお駄賃代わりにもらったが、魅音だけ身内ってことでもらい損ねて、圭一がもらった分を魅音に渡そうとしたら断られたのだった。
 その時は部活の備品ということで、持ち帰り自由で教室の隅に飾って、今も置いているはず。
 詩音は、やっぱりあれが一番だ、と言う。
 圭一は、あの時、魅音が一番欲しそうな顔をしていたことに気付き、いつまでもとぼけたふりをしている詩音に、教室にあるんだからいつでも持って帰ればいいじゃないか、と言ってしまう。
 しばらくして、詩音は、自分のじゃないから持って帰れるわけない、とつぶやいた。
 圭一は、魅音にあげようとして恥ずかしがって受け取ってもらえなかったあの人形は、誰のものでもないことに気付く。誰も持ち帰れないなら、渡していないにと同じことだ。魅音の手に渡らなければ、教室に飾っていても何の意味もない。
 圭一は、激しい後悔の念に襲われた。
 あの時、強引にでも魅音に渡せばよかった。
 魅音は部活のリーダーである以上、一番備品の人形を持って帰りにくい立場にあった。
 魅音自身に渡さなかったことが、そもそもの失敗だった。
 レナが、誰かのせいで最近魅音が女の子らしい面を出すようになったと言ってたが、それは圭一が気付けばよかったのだ。
 あの時、圭一から人形をもらいたかった魅音は、自然に女の子としてふるまえるように、詩音というキャラを作ってなりきった。それは、圭一に女の子としての魅音を分かってほしかったのだ。
 圭一は、「あの人形、欲しかったんだろ?」と声をかけると、詩音は、「欲しいと言ったら、勝ってくれますか?」と答えた。
 圭一は、今日までのお礼ってことで、どれでも買ってやる、と言うと、詩音は、「私は魅音じゃなくて詩音」と答えた。
 それで、圭一は、詩音に買ってやる、と言いなおすと、詩音は、あの人形を指さした。
 詩音は、「今日、誰も助けてくれなかったのに、圭ちゃんに嫌なお客から助けてもらって、本当にうれしかった。あの時の圭ちゃんは、かっこよかったです。」と言った。
 人形を買いに店の中に入ろうとした圭一は違和感に気付いて、「お前、誰だ?」と言ってしまう。
 圭一は、女の子らしく振舞いたいときに、魅音は詩音のフリをするが、同じ人間だから魅音に変わりない、と思っていた。しかし、今、目の前にいる人間は、魅音とは何かが違う。というか、魅音らしくない。
 詩音が、どうして魅音じゃないって思うのかを聞いてきたが、圭一は、勘だ、としか言えなかった。
 詩音の瞳には、魅音が一度も見せたことのない醒めた光が宿っていた。
 詩音は圭一を置いて店の中に入り、ショーウィンドウにある人形が欲しい、と告げると、店の奥から、エプロンを付けた魅音が出てくる!
 詩音は、魅音に、圭一とデート中だと告げる。
 圭一は、今まで、詩音のことを魅音が別キャラを演じているだけと思っていたのに、本当に魅音とは別人だと気づいて大慌て。
 詩音は、魅音に向かって、圭ちゃんから詩音へのプレゼントなんでギフト包装にしてほしい、と頼む。
 魅音は、どうして圭一が詩音にプレゼントするのかを聞いてきたので、圭一は正直に、さっきまで詩音のことを魅音だと思っていた、と答えが、詩音は、今までのお礼だって言ってた、と水を差す。
 詩音は、圭一にお弁当を届けたのは詩音で、魅音はそんなことしないよね?と言い出すと、魅音は、パニックになりながら、知らない、と連呼する。
 詩音は、昨日までのことは全部詩音だった、と言い切る。
 魅音と詩音は、お互いに自分の名前を騙るな、と言いあっていた。


 TIPS:魅音と詩音のちがいは・・・


 魅音は、圭一がどうして詩音との違いに気付いたかを尋ねた。
 圭一は、魅音らしさが出てた、と答えると、魅音は、例えばどんな?と聞き返した。
 圭一は、エンジェルモートでは魅音だと感じたが、おもちゃ屋では魅音じゃないとひらめくようにわかった。
 どうしてなのか今でもわからないが、あえて言うなら言動の端にあった、本当に些細な違和感だったかもしれない。
 詩音に腕を組まれた時に違うと感じたから、腕に伝わる胸のボリュームで、そう感じたのかも、と圭一は答えると、魅音は怒り出した。


 ルート:魅音5 #1 別々の昼食


 放課後→とほほ、散々だよ


 レナと魅音が先に帰り、沙都子と梨花が職員室に呼ばれたので、圭一は一人で帰ることになった。
 校門のところに見た目は詩音の中身は魅音が立っていた。
 魅音は、詩音のかっこなら普通に謝れるかなと思って、と言い出す。
 圭一は、「悪かったのは俺のほうだから、謝ることなんてない。けど、もう詩音のかっこなんてするな。」と言った。
 圭一は、魅音のままでも笑ったりしないから、と言うと、魅音は赤くなった。
 可愛かったぜ、と圭一が言うと、魅音はぼーっとしていた。
 「魅音だから男っぽく、詩音だから女の子らしくじゃないよな。魅音も詩音も一人の女の子だから。今度から、魅音・女の子バージョンもありだぜ。どっちも魅音としてからかってやる。」と圭一が告げると、魅音はとびきりの笑顔でうなずいた。
 圭一は、魅音が元気を取り戻して、自分のよさに気付いてくれたことが、うれしかった。


 ルート:綿流しB #1 祭りの手伝い

 祭りの準備が終わり、大人たちは酒盛りをしている。未成年の圭一は、それを遠くで見ながらボーッとしていると、詩音がお疲れさまと言いながら、麦茶の入ったコップを圭一に差し出す。
 詩音は、仲直りの麦茶だから、機嫌を直してと言う。
 詩音にもらった麦茶を一気に飲む圭一。
 その時、麦茶の入ったコップを2つ持った魅音が現れる→さんきゅー、魅音。・・・そんなに飲むのか?ならコチラ

 「俺に麦茶を持ってきてくれたんだよな、サンキュー、魅音」と圭一は言って、魅音の手から麦茶を奪い取った。
 そして、圭一は、魅音って意外と気がきくな、と言って両手に持った麦茶をあおった。
 さっき詩音がくれた麦茶と合わせて通算3杯目で、圭一のお腹はいっぱいだ。
 魅音は、1杯は自分のだったんだけど、とつぶやく。


 鷹野と富竹、大石がやってきたので、話をする圭一。


 興宮警察署事件調書:綿流し編 その3
興宮警察署事件調書:綿流し編 その4
興宮警察署事件調書:綿流し編 その5

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?




 綿流し編 END(エピローグ)

 鹿骨市内の大学病院に入院している圭一の個室に大石が見舞いに来る。
 大石と圭一は、付き添いの母親をしばらくの間退出させ、二人っきりで話を始める。
 圭一の大けがのせいで、引っ越しが遅れることになってしまったが、両親は雛見沢の家を出て、新しい引っ越し先で生活している。
 圭一も搬送可能な状態まで回復したら、引っ越し先の病院に転院する予定だ。
 圭一が魅音に刺された夜、詩音はベランダから落ちて死んだが、魅音の仕業以外には考えられない。
 大石も、圭一の意見に同意する。
 そして、園崎家の地下の隠し井戸が見つかり、失踪者全員の遺体をその井戸の底で発見した、と大石は告げた。
 井戸の底からは、失踪者全員の遺体だけではなく、死後10年以上経過したと思われる人骨も最低3人分見つかった、と大石は続ける。
 大石はさらに、梨花が糖尿病でインスリンの注射を常用していたか、と圭一に尋ねる。
 梨花のスカートのポケットから注射器が見つかったが、破損していたため薬物は特定できなかった。醤油をもらいに行くついでに注射器を持っていくのは変だ、と。
 また、村のマスコットだった梨花の盲信していた年寄りたちと、殺してしまった園崎家とで、騒然としているらしい、と大石は圭一に教えてくれた。


 母親がドアをノックして、圭一の様子をうかがう。
 圭一はあと少しと答えて、母親を追い返すが、大石が見舞いを切り上げようとし始める。
 圭一が、魅音が今どうしているのかを大石に尋ねると、大石は、詩音は誰に殺されたのか?と経圭一を刺したのは誰か?を尋ねてくる。
 圭一は、どちらも魅音だ、と答える。
 大石は、詩音殺しの犯人が魅音だという根拠は隣人の男の証言によるもので、この隣人は、暴力団員で詩音のボディーガードで、園崎姉妹が幼い内から親身になっていた、と話し出す。


 この男は、隣の部屋のから聞こえてきた騒ぎは、姉妹が同居してた頃によく聞いた姉妹喧嘩の騒ぎに間違いなかった、と証言した。
 魅音と詩音が罵り合う声が聞こえ、取っ組み合いをする大騒ぎが聞こえてきたが、初めは錯乱による幻覚だと思い放っておいた。このような大騒ぎは、当時は毎晩あることだった。
 しかし、いつになく長いので、鎮静剤を与えようと思い部屋を訪れ、管理人に鍵を持ってこさせるまでの間に騒ぎが収まり、一応様子だけ見ようと思い、呼び出しに反応がないのを確認の上、開錠に踏み切った。
 それで、部屋がぐちゃぐちゃ、ベランダには詩音が突き落とされていたので、魅音の犯行に違いない、と。


 男の証言は壁越しに聞いたもので、このマンションは組の関係で住人はほとんどいない、騒ぎを聞いたものは彼らだけで、魅音を目撃した者は誰一人いない、と大石が話した。
 つまり、詩音は亡くなっているため、圭一があの晩魅音を目撃した唯一の人間になる、と大石が言った。
 もう一度確認するが、圭一は魅音に刺されたんだね?と大石が尋ねる。
 もちろん、と圭一が答えると、大石は、魅音も井戸の底から見つかった、と告げる。


 あの日、圭一を気絶させた後、魅音は、井戸の隠し通路から逃げ出そうとしてハシゴを降りる途中に足を踏み外し、井戸の底まで転落して、首の骨を折って死亡したと見られる。
 検死の結果、間違いなくあの日に死亡したものと確認された、と。
 さらに、鷹野は絞殺されてから焼かれたのだが、県警の初期の検死結果では死後24時間経過だったので、つじつまが合わないから、当日死亡と改ざんしたらしい。
 この死後24時間という検死結果は、うちの鑑識は、かなり信頼できると言っている。


 圭一は、綿流しの前日と当日に、鷹野に会っているし、大石も祭り前日に会っているが、死後24時間が正しければ、祭りの前日の晩には、鷹野はもう死んでいることになっているはずで、祭具殿に忍び込んだとき、すでに鷹野は亡くなっていることになるのだ。


 大石は、今回の事件は死人が歩き回りすぎだ、と言って、大石は病室を出ていく。


 大石が部屋から出ていき、圭一は、事件はまだまだ続いている、と思っていると、鮮血をこびりつかせた腕がベッドの下から生えてきた!
 圭一は幻だと思ったが、魅音の声がする。
 「
もし今日以降、私の姿があったとしても、それは私の姿をした鬼だ。」
 魅音はハシゴから落ちた時にケガをしたのか、何本かの指の爪は、ぱっくりと開いて剥げかけていた。
 その腕が、ベッドの上をまさぐり、圭一の腕を探す。
 圭一は、「例えば、今日ここで俺が死んじゃうんだよ。だけども、明日以降もここにいて、普通に生活してみせるんだよ。で、あとでそれが大石のヤツにわかって、またしても死亡日時が合わないって、大騒ぎするんだよ。鷹野さんに、魅音、そして俺で3人目。な、面白いんだろ?・・・あんまり面白くなかった?」と話す。
 魅音の血塗れの腕が、圭一の手首を探り当て、爪の剥がれた指で、爪を立てるようにぎゅっと握りしめて・・・
 痛い、と圭一が叫ぶ。
 迎えに来たよ、と魅音が言う。
 手首を振りほどこうにも、信じられないくらいの力で締め付けられ、振りほどくことができない。
 握られているのは、片手の手首だけのはずなのに、なぜか全身が動かない。
 左手の小指の先端に、歪な釘の手触りがする。
 額を割った魅音が、血をこびりつかせて、にやりと笑いながら、目の前に・・・
 何も終わっていない・・・この事件は何も終わってなんかない。・・・まだ続いている。誰かこの事件を終わらせてください。それだけが、俺の望みです・・・
 魅音は、「あの時、一つかなえてあげたでしょ?今度はダメ。」と笑った。
 魅音は、圭一の小指の先端に当てられた釘をぐっと押さえつけ、もう片手に握られた金槌が大きく振り上げられ・・・
 トロフィー:綿流しをゲット!


 TIPS:事件報告


 昭和58年6月。
 鹿骨市雛見沢で、連続失踪事件が発生した。
 容疑者は、園崎魅音。
 容疑者は、6月19日から21日までの間に雛見沢住人5人(園崎お魎、園崎詩音、公由喜一郎、古手梨花、北条沙都子)を拉致監禁して殺害した疑い。
 事件は当初、情報不足のため初動捜査で遅れをとったが、偶然的、電撃的に解決した。
 23日午前中、園崎邸を巡回していた警邏車両は邸内よりの悲鳴を聞き、緊急措置として邸内へ突入。
 失踪中の容疑者の妹(園崎詩音)とクラスメイト2名(前原恵一、竜宮礼奈)を保護した。
 容疑者は現場より逃走する。
 失踪者たちを殺害しと思われる園崎邸内の離れ地下奥、秘密部屋からは、失踪者4人(園崎お魎、公由喜一郎、古手梨花、北条沙都子)の毛髪、皮膚片、血液などを発見。
 秘密部屋内で失踪者たちが暴行を受けたものと断定した。
 ただし、その遺体は依然、発見されていない。
 監禁されていたクラスメイトの証言から、現場となった園崎邸内の離れ地下にあるものと見て捜索を続けているが、容疑者の逃亡ルート共々、発見には至っていない。
 また、ほのめかしたとされる近年の連続怪死事件への関与も捜査が続けられるが、園崎魅音が直接または間接的に関わったという証拠は発見されていない。
 事件の動機は今もなお不明な点が多く、また園崎家、雛見沢村住人の極度な非協力もあり、その解明には膨大な時間を要することが予想される。
 地域に詳しい地元警察の見解では、雛見沢村内の信仰に対する冒涜行為を巡る内部懲罰、リンチ事件ではないかと見ている。
 地域性に根差した特殊な事件であることは間違いなく、県警本部は慎重な捜査を命じた。
 容疑者の妹で、もっとも監禁期間が長いと思われる失踪者(園崎詩音)から重要な手がかりを得られるのではないかと期待したが、事件後、精神に重度の後遺症を患い、今日まで正常な事情聴取に応じられる精神状態にない。
 精神科医は、ショックによる一過性のものと診断したが、その回復の目処は今日でも立っていない。


 お疲れさま会(綿流し編)追加!


 圭一が刺されのはなぜだろう?綿流しでは、祭具殿に入ってせいだと考えられているが、鬼隠しでは、祭具殿には入っていないが命を狙われたのだが。
 圭一は、殺されるような悪い事を何かやったらしい。
 ほかのシナリオと圭一の共通項が見つけられれば、全体の事件を解くカギになりそうだ。

 

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 綿流し編 #8 レナの推理

 翌朝、圭一は朝食の席で、3時まで梨花と沙都子を探していたと、母親に話す。
 レナが家まで迎えに来てくれたので、一緒に学校へ向う。
 魅音は二日連続徹夜で捜索をしていたので、さすがに今日はいない。


 教室に入ると、知恵先生と校長が入ってきた。
 校長は、梨花と沙都子が行方不明になったことを告げると、教室のあちこちから嗚咽が聞こえだす。
 知恵先生は、しばらく登下校は保護者同伴か、保護者の都合がつきにくい生徒は集団登下校になると、告げる。


 お昼の時間になるが、メンバーは圭一とレナだけだった。
 レナは、夕べ圭一がいなくなっている間に、婦人会の人たちと一緒に味噌汁の炊き出しを手伝っていたときに聞いた話を始める。
 警察のほうは、学校が終わって梨花と沙都子が自転車に乗って遊びに行ったことから、興宮で行方不明になったと結論づけたらしい。
 それを聞いた圭一は、あの日、自分が梨花に祭具殿に忍び込んだと打ち明けたあと、そんな重要な話を聞いた梨花が遊びに行くはず無いと思った。
 レナは、二人は雛見沢で行方不明になったと言い出し、お弁当箱を洗いに教室を出る。
 レナを追いかけて、圭一もお弁当箱を持って教室を出て、二人は生徒の来ない裏の水飲み場へ行き、お弁当箱を洗い始める。
 他の生徒の気配がないことを確認してから、レナは婦人会の人たちからいろいろ話を聞いたと話し始める。
 富田豆腐店のおばあちゃんから、昨日、学校の帰り道の沙都子が豆腐を買っていったことを、レナは聞きだした。
 昨日、梨花の家に入ったとき、ガス台にお鍋がかけてあって、中に豆腐が半丁くらい入った味噌汁が入っていて、残りの半分の豆腐は、冷蔵庫に中にあり、冷奴にするつもりで、お皿に開けてラップがかけてあった、とレナは圭一に伝える。
 お味噌汁の豆腐は、最後の最後に入れるから、料理をしていた人間は夕飯の直前まであの場所で料理をしていたはず。
 三角コーナーのゴミを見たらすごくぶきっちょだったので、夕飯を作っていたのは沙都子だろう、と。
 つまり、沙都子は、遊びに行かず、夕食の準備をしていたのだ。
 レナは、炊飯釜の中を見たら、2人分のご飯が炊けていたし、冷蔵庫の中には、冷奴のほか、夕飯用に作ったおかずが何皿かあってみんなラップがされていたと、続ける。
 沙都子は直前まで、梨花と2人で夕食をとるつもりだったが、夕食を食べる前に何かがあって、夕食を翌朝に回すことにしたようだ。
 レナは、冷奴を食べるつもりなのに、醤油の小瓶が空っぽだったことに気付き、流しの下にあるだろう醤油の大瓶を探したが、見つからなかったと話し、レナは自分の推理を話し始める。


 夕食の準備をしていた沙都子は、味噌汁に豆腐を入れて、もうすぐ夕食というところで、醤油が切れていることに気付いた。
 手の開いている梨花が、醤油の大瓶を持って、自転車に乗り、ご近所へ醤油を分けてもらいに行った。
 梨花が戻ってこないので、沙都子は醤油を分けてもらいにいった家へ電話をかけた。
 そこで、「食事の用意があるから、沙都子ちゃんもいらっしゃい。梨花ちゃんももう食べているよ。」と言われて、沙都子は、夕飯にラップをかけて冷蔵庫にしまい、自転車に乗って梨花のいる家に向った。


 梨花は、沙都子が夕飯の準備がほぼ出来ているのを知っているから、他所で夕食を食べるはずはないし、普通の家では、余分な人数分の食事の支度はしないだろうから、自分の推理はおかしいと言って、レナは話を終え教室に戻っていく。


 TIPS:スクラップ帳よりⅩ

 <秘められた鬼について>
 自らに鬼の血が流れると信じている雛見沢において、鬼という字はとても神聖に扱われている。
 名前に鬼の字を使うことは、公由家と園崎家の当主だけに許された特権だったらしい。
 園崎家の現当主の名前は、園崎お魎で、跡継ぎは園崎魅音。
 後を継げなかったお魎の実の娘で、魅音の実母である園崎茜は、勘当前は蒐だった。
 ちなみに村長は喜一郎だが、キ=鬼の意味するものであると考えられる。
 また公由家の公由は、鬼の字を分解して作ったものだろう。
 古手家は、代々神職で、吉凶を占う占い師だったことから、占手の名に鬼の角を加えて、古手にしたと考えられる。
 園崎家は、綿流しの儀式を取り仕切る一族だったので、儀式の内容をそのまま苗字にしたものと思われる。
 崎=裂きの読み替えで、園は、複雑な内容物から構成されるもの=生物の暗示であろう。


 TIPS:請求却下

 大石は、雛見沢の事件は、4人が祭具殿の中で消されるくらいの何かを見たからだと思っているので、祭具殿と園崎家への捜査令状を請求しているが、高杉課長は無理だと言い張る。
 そこへ園崎県議がやってきて、古手神社への捜査令状を請求している件にたいへん怒っており、高杉課長を恫喝する。


 集団下校中、最後になったレナと圭一の前に、大石が現れる。
  レナを帰し、大石に促されて、車に乗り込んだ圭一は、捜査がどうなっているか聞くと、大石は、富竹と鷹野の事件は、進展なしと答える。
 富竹が、自分の喉を掻き破って死んだことの説明がつかないので、何らかの薬物中毒を疑っているが検出されなかったとのこと。
 鷹野の焼死死体は検死が困難で、首を絞められたあとガソリンをかけられたらしいが、管轄が隣の県警なので、情報が入ってこないとのこと。
 富竹の犯行時間はお祭りが終わった直後で、鷹野のほうはあやふやだが、おそらく富竹と同時刻に殺害され山中に遺棄されたと考えられている。
 続いて村長の事件。
 村長が失踪した日の足取りは、朝一に、誰にも内緒で。痔の治療を受けに診察予約を入れていた鹿骨市内の大学病院の肛門科へ出かけ、午後1時ごろに診察を終えて病院内のレストランで軽食をとったことは、財布の中のレシートで確認済み。その後、夕方神社の集会所で会合の予定に間に合うよう帰ろうとしたが、電車で人身事故があって帰宅が遅れ、会合の直前に帰宅し、大慌てで会合に向ったのを家族が目撃。会合は、御三家と町会の主要役員が集り、今年も起こってしまった連続怪死事件の対応について協議してたらしい。その帰り道で、村長は行方不明になった。


 それを聞いた圭一は、あの日、村長の行動は、集会所に姿を現すまでは秘密で、当然連絡がとれなかったことに気付く。
 ところが、詩音は村長に祭具殿に入ったことを打ち明けたと、電話で言っていた。
 詩音は、あの日の朝、はじめて事件を知った。
 同じ日、村長は内緒で朝一で病院へ行き、電車の事故で帰宅が遅れ、帰宅直後に集会所へ向い、夜遅くまで会合をしていた。解散後から村長の目撃情報はない。
 いったい詩音は、いつ村長に打ち明けることができたのだ?


 大石から、祭具殿に4人で忍び込んだことはわかっているが、そこで何があったと聞かれる。
 圭一は、何もなかったと答えるが、祭具殿に忍び込んだことは認めてしまう。
 そこで、圭一は、昔の拷問道具がたくさんしまってあったと答える。
 大石は、祭具殿に何か秘密があると思って捜査令状を請求したが、妨害工作があったので、実際に入った圭一に聞くしかないと話すが、圭一は、拷問道具だけだったと答える。
 大石は、圭一だけが無事で、圭一以外が被害に遭うのは、どんな違いがあるのかを知りたいと言い出す。
 詩音は、富竹たちが殺された翌日に失踪したと、大石は告げる。
 それを聞いた圭一は驚く!毎晩、自分に電話をかけてきたのは誰なんだ?


 詩音は、その日の気分で親類の家を泊まり歩いており、学校もよく休むため、所在不明が当たり前だったので、失踪したことに気付くのに時間がかかってしまったと、大石は話す。
 綿流しの翌日、圭一が図書館で大石と会ったとき、詩音もいたが、あれが最後の目撃とのことで、あの日から、エンジェルモートでのバイトは、無断欠勤していると、大石が教えてくれる。
 しかし、その晩も、その翌日である昨日も、詩音からの電話を圭一は受けた。一体誰からの電話だったんだ?


 綿流し編 #9 自宅にひとり

 両親が出かけており、自宅に一人でいる圭一。
 時刻は夜の10時。詩音は失踪しているのに、また詩音からの電話がかかってくるのだろうか?
 詩音そっくりにしゃべれる人間は、魅音しかいない。
 そう思っていると電話が掛かってくる。
 電話を取るかどうかを考えていた圭一だが、次の犠牲者は自分のはずだから、相手を探るために電話をとった。
 電話の相手は、詩音だと名乗る。
 詩音は、しばらく電話を取ってもらえなかったことから、圭一のほかに誰もいないことに気付き、それを指摘する。
 圭一は否定し、逆に、梨花と沙都子の件を知っているかを尋ねると、詩音はあの後どうなったのか教えてほしいと答える。
 圭一は、二人は見つからなかったと答えると、詩音は、圭一に気を落とさないようにと、気遣う言葉をかけてくれるが、圭一は、その言葉を信じることはできない。
 圭一は、村長はさらわれた後どうなったかを、詩音に尋ねると、詩音は、殺されちゃったと思うと即答する。
 詩音は、人間をさらってその状態を維持するのは難しいから、人質にでもしない限り、用が済んだら殺しちゃうだろうと、説明する。
 ということは、梨花も沙都子も殺されているのだと、詩音が言っているのに気付いた圭一は、嘔吐感が込み上げてきた。
 自分がみんなを殺したのも同然だと知った圭一は、涙を流しながら絶叫する。
 詩音は、次に狙われるのは自分たちだから、しっかりしろ、と圭一に声をかける。
 圭一は、ダム闘争はとっくに終わっているのに、いまだに綿流しの夜に、失踪と殺人が繰り返されるには何故だ、と詩音に詰問すると、詩音も、自分だってそれを知りたいと、大声で返す。
 詩音は、村の何者かが、オヤシロさまの祟りを利用して、綿流しのたびに殺人と失踪を繰り返しており、今年は鷹野と富竹が犠牲になった、と言い出す。
 圭一は、なぜ今年は、村長や梨花や、祭具殿のことは知らない沙都子まで、犠牲にならないといけないんだ、と詩音に尋ねると、詩音は、何がなんだかわからないと言って、泣き出す。
 詩音は、祭具殿に忍び込んでからすべてが変わってしまった、と言い出し、詩音は話し始める。
 あの夜、鷹野たちが死んですぐに、次は自分と圭一が狙われる立場になったことに気付いた詩音は、助けてもらおうと村長に祭具殿に入ったことを打ち明けた。
 村長はにっこり笑いながら、詩音が反省しているなら、鬼隠しになんてならないと答えた、と。
 それを聞いた圭一は、ふと疑問が沸き、詩音に、村長が痔をわずらっており通院していることを知っているか、と尋ねると、詩音は、村長の様子から、痔なのは知っていたが、病院のことは知らないと答える。
 つまり、詩音は、村長がどこの病院に行ってのかを知らないのだから、病院に押しかけて打ち明けてはいなし、当然、途中の電車で村長と詩音が出会うはずもない。つまり、詩音が村長に打ち明ける機会があるのは、村長が病院から戻ってきたからのはずだが、電車が遅れて、会合の時間ギリギリ戻ってきた村長には、詩音の打ち明け話を聞く時間はなかった。
 圭一は、詩音に、いつ、どこで村長に打ち明けたかを尋ねるが、詩音は嗚咽をもらすだけ。
 圭一は、思い切って、村長が失踪した日は、詩音が村長に打ち明け話をする機会はなかったはずだ、と話し始める。
 村長は、朝一で、誰にも言わずに大学病院へ痔の診察に出かけが、詩音はさっき病院のことは知らないと答えたから、詩音は、村長とは病院から戻ってくるまで接触できない。
 しかも、電車が遅れたので、村長が戻ってきたのは、会合が始める直前で、打ち明ける時間はなかった。
 詩音自身も、図書館に行った日以来、バイトを欠勤し、誰にも目撃されていない、つまり詩音は、綿流しの翌日に失踪している、と大石が判断している、と圭一は、詩音に伝える。
 そして、圭一は、詩音が村長に会ったなら、それは村長が会合を終えた後、失踪する直後もしくは失踪後にしかありえない、と話すと、電話の向こうから狂ったような笑い声を聞こえてきて、電話が切れた。


 TIPS:スクラップ帳よりⅨ


 <双子の忌避について>
 鬼ヶ淵村の御三家は当主跡継ぎに双子が生まれることを嫌い、文献では、双子が生まれたなら直ちに間引くべしと記されている。
 それを思うと、園崎魅音と詩音の双子がこの世に生を受けていること自体興味深い。
 もっともこの双子は公平に扱われず、跡継ぎの魅音は別格の扱いを受けているそうだ。
 聞くところによると、魅音と詩音は酷似した外見を持ちながらも、才能のほとんどは魅音が持つと聞くが、私の知る両者のイメージではそんな偏りは感じられない。
 伝承では、園崎家の当主は「鬼を継ぐ」と称して、背中に立派な鬼の刺青を彫るという。しきたりに従い、魅音にはこの刺青が入れられている可能性が極めて高い。
 伝え聞く話では、現当主のお魎の背中にも、立派な鬼の刺青が入れられているそうである。


 TIPS:雀荘「鈴」


 貸し切りの雀荘に現れた大石を待っていたのは、大石の部下たちだったが、どの卓にも麻雀牌は出ていない。
 大石は、署長が園崎系議員の恫喝に屈したので、近日中に、鷹野殺しは隣の県警に譲り、村長たちの失踪は行方不明扱いで生活科に委ねるようで、請求した令状がすべて却下された、と部下たちに報告する。
 そして、大石自身も、来週から警視庁への研修命令が出ており、その後は余った有給を伊豆で消化しろと言われた、と続ける。
 さらに大石は、退職金が惜しい方は、席ははずせと言ってから、各自に手元の資料を確認して、監視カメラの所在と死角を叩き込むように命令し、部下たちに役割を伝える。


 綿流し編 #10 隠しごと


 翌朝の朝食の席で、両親から、同じ学校の生徒が行方不明になっているから、しばらく休めば、と言われる圭一。
 今日は木曜日で、綿流しのお祭りから4日しか経っていない。
 あの時、強く断っていれば、こんなことにならなかったのに、と圭一が思っていると、玄関のチャイムが鳴った。
 レナが迎えに来たので、両親に気を使ってくれてありがとう、と声をかけて、席を立つ圭一。
 圭一は、迎えてに来てくれたレナに、しばらく学校を休む、と告げる。
 レナは、圭一に引け目を感じることはない、と答えて、大事な連絡が書いてあるから、と言って、回覧板を手渡す。
 回覧板のトップの紙には、村長と梨花と沙都子の失踪を告げ、情報を求める内容が書かれている。
 圭一は、レナに、あの晩のことを問い詰めないんだと話すと、レナは、圭一たちが祭具殿に忍び込んだことについて、魅音がすごく怒っていた、と答える。
 レナは、圭一たちが祭具殿に忍び込んだことより、それを隠していたことに怒っているだろう、という。
 そして、レナは、圭一のほうから魅音に謝るべきだ、と指摘し、もし圭一が早くに罪を認めていれば、梨花と沙都子はいなくならなかったのか?と聞いてくる。
 圭一がうなずくと、レナが平手で圭一の頬を殴り、圭一の手から回覧板が落ちて、挟まっていた紙が散らばる。
 誰も圭一を叱らないと思うから、代わりに自分が圭一を叱る、とレナは宣言し、「悪いことをするのはとてもいけないことだけど、それを認めて謝らないことは、もっともっと悪いことだ」と圭一を諭す。
 それを聞いた圭一は、自分が悪かったと謝る。
 レナは、もう時間だから行くよ、と声をかける。
 圭一は、散らばった紙を集めていて、ふとある文面に目が留まる。
 「本場仕込みのお醤油たくさんあります。お気軽に園崎までどうぞ。」
 書かれた文面を詳しく読んでみると、秋田で高級醤油の仕込みをしている遠縁がたくさんの樽に入った醤油を送ってくれたが、使いきれそうにないので、お裾分けを希望する人は、容器を持って気軽にお越しください、という内容だった。
 圭一は、レナに向かって、知っていたのか?と尋ねると、うなずくレナ。
 レナは、醤油の大瓶がなかった時点で、魅音を疑っていたのだ。
 梨花は、醤油の大瓶を持って、魅音の家に行って、消された。
 魅音の家に行ったまま梨花が戻ってこないので、沙都子は、魅音に電話し、呼び出されたのだ。
 村長が出ていた会合には、園崎家の跡取りとして魅音も出ていて、帰ろうとする村長を、家に誘って消したのだ。
 詩音は、家族だから予定は筒抜けだし、バイト先のエンジェルモートも園崎一族の経営だ。
 圭一は、今から魅音のところへ謝りにいって、すべてを終わりにしてもらう、と告げると、レナは、自分もいっしょに行く、と言い出す。
 圭一がレナといっしょに玄関を出ると、外に停まっていた車の中から大石が出てくる。
 大石が警察の人間だと知ったレナは、すべてを話す気になり、圭一といっしょに大石の車に乗り込む。



 圭一とレナがすべて話し終えると、熊谷から、魅音から学校を休むと連絡があった、と無線が入る。
 それを聞いた圭一は、大石がとっくに魅音を疑っていたことに気付く。
 レナは、令状がとれない大石が、圭一をたきつけて魅音のところへ向かわせて、圭一に何かあったら踏み込むつもりだろう、と指摘するが、大石は笑って流す。
 レナは、今から自分たちが行って、魅音を自首させる、と大石に告げ、自分たちに何かあったらそれを口実に踏み込んでほしいから、犯人を取り逃がさないように魅音の家を包囲してほしいと、交渉する。
 大石は了承し、熊谷に指令を送る。


 綿流し編 #11 鬼を継ぐ者


 いつも魅音と待ち合わせる場所で、車から降ろされる圭一とレナ。
 園崎本家の自宅周辺には監視カメラをかなり配置しているから、ここまでだ、と大石は言い、死角に何人か待機させているし、指向性マイクで中をうかがっているので、大きな悲鳴を上げればすぐにかけつける、と言った。
 道を進むと、路肩には金網がされ、金網の上は手前で折り返され、槍のように鋭く伸びている。さらに、その槍には有刺鉄線が巻き付けてある。
 金網にはところどころ看板をくくりつけてあり、園崎家私有地につき立入厳禁!と書かれている。
 レナは、基本的には園崎本家には魅音とお婆ちゃんの二人しか住んでいないから、誰も監視カメラで見張っていないが、魅音の父親がヤクザの大物なので、一族が集まるときは機能しているみたいだ、と話す。
 やがて二人の目の前に、大きな門が現れた。
 ブザーを鳴らしてだいぶしてから、門の向こうから砂利を踏みしめる足音が聞こえてきた。
 カンヌキが開けられ、門が細く開かれると、隙間から魅音の姿が見えた。


 魅音に案内され、本家に通される二人。
 はじめは雑談で、明るく盛り上がっていたが、圭一が、「別にお茶を飲みに来たわけじゃない」と言ってしまったことで、みんなから笑みが消える。
 圭一は、綿流しの晩、入ってはいけない場所と知りつつ、ちょっとした探検のつもりで祭具殿に入ってすまなかった、と、魅音に話して、土下座する。
 魅音は、圭一が悪いことをしたと思ったならそれでいい、と答える。
 魅音の態度が不真面目そうに見えて、それを不快に思ったレナは、全部話そう、と圭一に促す。
 それで、圭一は、魅音に、おととい、梨花と沙都子をここへ呼んだかを尋ねると、魅音は、覚えがない、と答える。
 レナが、根拠があると言い、夕食前、梨花が醤油の大瓶を持って、お裾分けしてもらいに来たはず、と続ける。
 梨花の家には冷ややっこがあるの醤油がなく、流しの下にあるはずの醤油の大瓶も瓶ごとなかった。回覧板には、園崎家で醤油のお裾分けをする、と書いてたから、と。
 冷蔵庫には2人分の夕食が、手つかずでラップに包まれて残っていたから、本当は、梨花で終わるはずだったのに、沙都子が、梨花がそちらへ行っているかを魅音に電話で確認したため、梨花の行方を知る沙都子も、食事を作りすぎたので食べに来ない?梨花はもう食べてるよ、とか言って誘い出した、とレナが断言すると、魅音は狂ったように笑いながら、参ったと言う。
 圭一が、警察はとっくに魅音を疑っており、今も大石の部下が踏み込もうと様子をうかがっている、と話す。
 魅音は姿勢を正して正座しなおし、畳に両手を突きお辞儀して、「園崎本家当主跡継ぎ、魅音でございます」と名乗り、私にお話しできることでしたら、包み隠さずお話ししたいと存じます、と言い出す。
 レナが、どうして、こんなことを?と尋ねると、魅音が答え始める。


 雛見沢村が、かつて鬼ヶ淵村と呼ばれていたころ、ご先祖様たちは、鬼の血を引く誇り高き仙人たちで、麓の村々の人たちは、彼らを崇め敬っていたが、明治になり、鬼ヶ淵村の名称は一方的に雛見沢村に改められると、鬼ヶ淵村の不可侵性は失われてしまった。
 雛見沢に迷い込めば鬼隠しにあうから、近づくな、などの根も葉もない中傷により、かつて仙人と崇められた村人たちは奇異な目で見下されるようになり、鬼ヶ淵村出身だとわかるだけで、就職を断られたり、縁談を反故にされたり、不当な扱いを受けるようになってしまった。
 しかし終戦後、闇市で大きな活躍をして富を築き上げた者が現れた。それが魅音の祖父で、お魎の夫の園崎宗平だった。
 宗平は、中国大陸に出兵した際、食糧倉庫の管理をしていたが、撤退時に軍の缶詰をごっそりと盗み出し、それを闇市で高値で売りさばいて大きな富を得たのだった。
 宗平は、その富の全額をお魎に託し、お魎は、すたれた雛見沢を復興させよう、村人すべては家族であり、この富は共有の財産である、と宣言した。
 雛見沢という固い結束で結ばれた巨大な家族が、次々と事業を成功させ、次々と勢力を拡大していき、その中心となった園崎家は、雛見沢復興の名士として、長く讃えられることとなった。
 しかし、昭和30年ごろ、宗平の上官だったと名乗る男が、宗平の調達した缶詰は食材を用いたものではなかった、と告白し、「缶詰疑惑」が起きた。
 宗平のいた部隊は、戦地での困難な食糧調達に関する具体的な手法の研究を行っていた。それは、住人からの略奪から、見慣れる昆虫動植物の料理方法と言ったものまで、とても広義で、通常は食しないものを食材として扱う方法を研究していた。
 晩年まで宗平は、世間の風評を否定し続けていたので、真偽は今も不明だが、缶詰疑惑により、再び村人たちはさげすまれるようになってしまった。
 お魎は、一人に石を投げられたら、二人で石を投げ返せ、と村の子供に言い聞かせ、雛見沢の人々は連帯し、一人が受けた不当な差別を全員が受けたものとして戦い、ようやく雛見沢にも平和が戻った。


 雛見沢村を再び鬼ヶ淵村のように、崇められるに足る神聖な存在に、は鬼ヶ淵村の末裔の悲願であり、園崎本家の鬼を継ぐ者の宿命だと、魅音が話すと、鬼を継ぐ者?と圭一が尋ねる。
 魅音は、園崎本家は、代々当主の名に鬼の一字を加える習慣があることと、体にも鬼が刻まれている、と答えながら服を脱ごうするので、レナが、見せる必要はない、と止める。
 そのやりとりで、圭一は、魅音の体に、鬼を継いだことを示す消せない印があることに気づく。

 魅音が、この5年間の連続事件には、自分が直接関わったものもあるし、間接的に関わったものもあるが、すべての中心に自分がいた、と言うと、レナが、仲間だった梨花と沙都子を殺したのは魅音だ、批判すると、魅音は話し始める。


 梨花も祭具殿を守るという古手家の役目を負っていたが、カンヌキが重いので軽いものに代えたいと言い出し、村長が梨花に同調し何かあったら責任を取ると言ったため、付け替えに反対だった魅音も強く言えず、結局は安っぽい南京錠に付け替えらえた。
 綿流しの晩に祭具殿に賊が忍び込んだことは、祭りの最中の魅音の耳に入っており、その日のうちに4人の賊に手が下されることになった、と同時に、祭具殿に賊を許した古手家の梨花と公由家の村長にも責任を問わなければいけなくなった。


 それを聞いた圭一は、自分のせいで、梨花と沙都子が殺されたことに気づき、泣き出す。
 魅音は、本来は自分が園崎家の歴史を投げだしても、仲間を救うべきで、二人を殺したのは自分だ、と圭一を慰める。
 レナは、魅音は自分の意志で圭一だけを殺さなかった、と話すと、魅音は、魅音のほうに殺したくない理由があったんだろう、といってごまかす。
 レナが魅音に自首を勧めると、魅音は、もうここに戻ってこれないから、最後にわがままを聞いてほしい、と言い出し、30分だけでいいから、圭一と二人きりにしてほしい、と頼む。
 圭一が了承すると、魅音は圭一を連れて玄関へ向かう。


 綿流し編 #12 拷問


 玄関にきた圭一に向かって、顔を真っ赤にさせた魅音は、腕、組んでもいいかな?と聞いてくる。
 圭一が了承すると、ほくほく顔で、圭一の腕をとる魅音。
 魅音は、詩音も圭一のことが好きだったみたい、と言い出す。


 魅音は、森の中へ圭一を誘う。
 突然、魅音は、詩音はまだ生きている、誰よりもむごたらしい死に方をさせてやろうとずっと考えて閉じ込めておいた、と言い出す。
 そして、私の罪のすべてを見てほしいから、来て、と話す。
 魅音は、圭一が見ないことを選んだなら、私の手ですべてを終わらせるから、ここで待っていて、と続ける。
 魅音が自殺するかもしれないと思った圭一は、魅音についていくことに決める。


 森の奥にトンネルがあり、中から鼻を突く異臭がしている。
 魅音がトンネルの扉についていた鍵を外し、扉を開けると、中からおびただしい羽虫が飛び出てきて、死臭がした。
 中に入ると、魅音は、圭一に、祭具殿の中の拷問道具は、鬼ヶ淵村の厳しい戒律を守るために作られ、戒律を破った者を見せしめにむごたらし殺して見せる道具だった、と話し出す。


 本来は見せしめの儀式である綿流しは、御三家が取り仕切っていたが、時代の変化によって行うことが困難になった。
 だから、園崎家は、現代でも綿流しの儀が行えるように秘密の場所を作った。


 そういって、魅音は大扉を開くと、中は現在の祭具殿だった。
 ここにあるものは、よく手入れされ、今すぐに使用できる状態に維持されていた。
 部屋自体、血が飛び散ることを予見しているのか、壁も床もタイル張りになっていて、ゆるい傾斜の先には排水溝まで設けられ、壁際にはとぐろをまいたゴムホースが蛇口に取り付けられていた。


 大昔の当主の書き物によると、血の飛沫ってのは、犠牲者に負担をかけない割にはインパクトがある。綿流しは見せしめのショーだから、自分のご先祖様は、様々なショーを考案してた、と魅音が言うと、圭一は、秘密部屋の奥が、畳敷きの座敷になっており、隅には座布団の山があることに気づく。
 魅音は、鑑賞席だと言ってから、「みんなここで私が殺した。見てくれる観客はいなかったけど、綿流しを上手にやって見せた。」と打ち明ける。
 魅音は、向こうを指さして、牢屋だと言うので、圭一は、詩音はそこにいるのか?と尋ねると、魅音はうなずく。


 魅音が言う牢屋へ、二人が行くと、大空洞の中に格子の入った小部屋が設けられていた。
 圭一は、みんなはどこに?と尋ねると、魅音は、虫が湧くのが嫌だったから、死体は井戸に捨てた、と答える。
 その時、牢屋の一つから、音が聞こえてきた。
 圭一が、詩音なのか?と声をかけると、圭ちゃん?と答えが返ってきた。
 圭一が近寄ると、牢屋の中に詩音がいた。
 詩音、と圭一が呼びかけると、詩音は、圭一の後ろにいる魅音に気づいて絶叫を上げる。
 詩音は、もう誰の死を見るのも嫌!私が憎いなら早く殺して、殺して!と半狂乱になりながら
叫んでいる。
 魅音は、あんたは殺さない、と言いながら笑いだす。
 それを聞いた詩音は、圭ちゃんを殺さないで、殺すなら私を!と絶叫する。
 魅音は、「そんなに死にたければ、この男を殺した後に、古式に則り、四肢の先端からゆっくりとひき肉にしてやる。あの肉挽き機はあんたのためにとっておいてあるから。それとも、それで圭ちゃんをミンチにして見せたほうが、面白いかな?」と言い放つ。
 詩音が、圭ちゃん、逃げて、と絶叫し、圭一が魅音のほうを振り返ると、魅音は残酷な笑みを浮かべて笑っていた。
 と、思った瞬間、圭一は意識は遠くなった。


 詩音は、「魅音姉さま、お願いです。私をどういう風に殺しても構いませんから、どうか圭ちゃんだけでも、見逃してあげてください。」と哀れな声で、かつて小馬鹿にしていた姉に平服し、許しを請ていた。
 それを冷淡に見下ろす魅音の顔には、明らかに愉悦の笑みが浮かんでいた。
 「姉らしいこと、何にもしてやれなかったし、あんたがあまりにも面白い声で泣くものだから、何だか聞いてやってもいい気がしてきた」と、魅音が言うと、詩音は、ありがとうございます、と礼を述べる。
 そして、魅音は、「これまでのことを謝ってみせたら、これまでのことをすっかり水に流してあげてもいい。そうしたら、圭ちゃんだけは見逃してあげなくもないよ。」と言い出す。
 詩音は土下座するように這いつくばり、弱々しい声で謝罪の言葉を口にし始めた。
 魅音は、これ以上ないくらい愉快な顔をして聞いていたにも拘わらず、不服だ、と告げ、「そんなので、私の積年の怨み辛みが償えると思っているわけ?こんなんじゃ駄目だね。やっぱり圭ちゃんから、挽き肉だ。」と宣言する。
 それを聞いた詩音は、もう一度だけ!!!と絶叫する。
 魅音は、一度だけ心に届く謝罪の仕方を教えてあげるが、一言一句でも間違えたらアウト、と
提案する。


 二人のやりとりを聞いていた圭一は、すこしずつ自分の体の自由を取り戻しつつあることを感じ、また自分が知っている魅音が、こんな人間の尊厳を踏みにじって楽しむような卑劣な人間であるはずはない、と思い、魅音と詩音が入れ替わったのではないか?と疑問を持つ。
 「園崎詩音は、魅音姉さまの足元にも及ばないくらい、醜く情け知らずな愚か者でございます。身の程をわきまえず、お姉さまに働いた数々の無礼を思えば、生意気だったこれまでを反省し、一生魅音姉さまに忠誠を誓います。」と、泣きながら謝罪する詩音を見て、魅音は大笑いながら、「圭ちゃんの悲鳴をたっぷり聞かせた後に、ちゃんとあんたは殺してあげる。」と言って、圭一を秘密部屋に引きずっていく。


 圭一は、大の字に拘束台に縛り付けられ、指ばかりが厳重に、蝶番でぎりぎりと締め付けられて固定される。
 殺さないで、という詩音の絶叫がずっと聞こえてきている。
 いい加減にしろ、と圭一が魅音に話しかけると、魅音は、詩音に自分のせいで死ぬ大勢の人の悲鳴をたっぷりと聞かせてから殺す、と言い出す。
 圭一は、お前は園崎魅音であるはずがない、と言うと、魅音は、自分は誰なわけ?と聞いてくる。
 圭一が、「鬼だ。お前は魅音じゃない。俺の最高の友人だった魅音を返せ!」と答えると、魅音は、笑い転げながら、「魅音に殺されようとしている瞬間に、目の前にいる私を否定するんだ?」と言う。
 圭一は、「お前が魅音だと認めない。魅音を返せ、鬼め。」と大声で言うが、魅音は笑うばかり。
 圭一は、「がんばれ魅音、こんな鬼畜生に負けるな!戦え!」と叫ぶと、興奮が冷めた魅音が、一つだけ教えてあげる、と話し出す。


 私の中に鬼が宿ったのはずいぶん前で、その鬼は私を蝕み凶行に駆り立てようとしたが、理性で押さえつけた。
 鬼はおさまり、鬼はどこかへ行ってしまったと思い込んでいたが、私の中で眠っていただけだった。
 その鬼は、ある小さなことをきっかけにまた目覚めてしまった。
 それは何に原因があったと思う?
 あんたが全てを狂わせてしまった元凶、あのとき、あんたがもらった人形を躊躇なく私に渡していたなら、全ては狂いださなかったかもしれない。
 あんたが魅音を泣かさなかった、私は起きなくて済んだのに。


 日曜日におもちゃ屋で部活をしたときにもらった人形?
 俺のあの日の間違いが全てを狂わせてしまった?
 レナに教えられて魅音に謝ったが、あれは詩音だった。
 俺は今日まで魅音に一言も謝っていなかった。


 後悔し涙を流す圭一の左の小指に、魅音は五寸釘の先端を当てた。
 「それで魅音の鬼が治まるなら、気のすむようにやってくれ。俺が傷つけた魅音の痛みに比べれば、こんなの大したことじゃないんだろう?その代わりに二つ約束しろ」と、圭一は話し出す。


 一つは、俺を気が済むまで痛めつけたら、詩音はゆるしてやれ。祭具殿に忍び込んだ罪には、それで充分に見合う仕打ちをしたはずだ。
 もう一つは、気が済んだら、お前は消えて、その体を魅音に返してやってくれ。
 三つめは、俺を殺すな、と。


 それを聞いた魅音は、「私は鬼だから、約束を守らないよ。」と答え、金づちを置き、圭一の頬をやさしく撫でた。
 そして、魅音は「三つめの願いだけは聞いてもいい。一つ目の願いの詩音を救うことは、鬼が殺してしまうので、無理。二つ目の願いのこの体を魅音に返すことも、今日を境に魅音が戻ってくることはないから、無理。もし今日以降、私の姿があったとしても、それは私の姿をした鬼だ。」と告げる。
 地下祭具殿の鉄扉に大勢が体当たりしている音が聞こえてきた。
 帰りが遅いから、レナが大石を呼んだのだ。
 魅音は、スタンガンを圭一に見せる。さっき圭一がくらったのは、これだったのだ。
 魅音が再び圭一にスタンガンを押し付けると、圭一は意識を失う。


 綿流し編 #13 終劇

 昭和58年6月、鹿骨市雛見沢村で、連続失踪事件が発生した。
 容疑者は、園崎魅音。
 容疑者は、6月19日から21日までの間に、雛見沢村住人5人(園崎お魎、園崎詩音、公由喜一郎、古手梨花、北条沙都子)を拉致、監禁して殺害した疑い。
 23日午前中、園崎邸前を巡回していた警邏車両は邸内より悲鳴を聞き、緊急措置として邸内へ突入。
 失踪中の容疑者の妹(園崎詩音)とクラスメイト2名(前原圭一・竜宮礼奈)を保護した。
 容疑者は現場より逃走する。
 失踪者たちを殺害したと思われる園崎邸内の離れ地下奥、秘密部屋からは、失踪者4人(園崎お魎・公由喜一郎・古手梨花・北条沙都子)の毛髪、皮膚片、血液などを発見し、秘密部屋屋内で失踪者たちが暴行を受けたものと断定した。
 ただし、その遺体は依然、発見されていない。保護されたクラスメイトの証言から、現場となった園崎邸内の離れ地下にあるものと見て捜索を続けているが、容疑者の逃亡ルート共々、発見には未だ至っていない。
 また、ほのめかしたとされる近年の連続怪死事件への関与も捜査が続けられているが、園崎魅音が直接または間接的に関わったという証拠は発見されていない。
 事件の動機には今もなお不明な点が多く、また園崎家、雛見沢村住民の極度の非協力もあり、その解明には膨大な時間を要することが予想される。
 地域に詳しい地元警察の見解では、雛見沢村内の信仰に対する冒涜行為を巡る内部懲罰、リンチ事件ではないかとみている。
 地域性に根差した特殊な事件であることは間違いなく、県警本部は慎重な捜査を命じた。
 容疑者の妹で、もっとも監禁期間の長いと思われる失踪者(園崎詩音)から重要な手掛かりを得られるのではないかと期待したが、事件後、精神に重度の後遺症を患い、今日まで正常な事情聴取に応じられる精神状態にない。精神科医は、ショックによる一過性のものと診断したが、その回復の目処じゃ今日でも立っていない。


 圭一は、レナが呼んでくれた大石たちによって救い出された。
 外傷は、スタンガンを受けたときにできた、小さな火傷の痕くらいだ。
 圭一は、病院で検査を受けながら、大石に質問を受けたが、何を聞かれて、どう答えたかは
あまり記憶に残っていない。
 魅音は、まだ捕まっていない。外へつながる隠し通路があったらしい。
 詩音は無事に警察に保護されたが、心には大きな傷を負っており、見る影がみんな魅音に見えてしまうらしく、鹿骨市内の某所に引きこもっているが、魅音がやってくると恐れて、所在を転々と変えているらしく、正確な所在は実家ですら知りかねていた。
 警察は今も園崎家の地下祭具殿を調べているが、ほかの犠牲者たちの遺体が見つからない。
 圭一の自宅には、連日、魅音と詩音の両親が大勢の子分を連れて謝罪に来て、圭一の両親がいくら断っても、毎日慰謝料と称して百万円の札束を積んでいった。
 慰謝料が二千万を超えたとき、手紙の入った封筒も渡され、両親は二晩話し込んで引っ越しを決めた。
 園崎家が必死に隠していた事件も、雑誌社にすっぱ抜かれ、芋づる式に近年の連続怪死事件が取り上げられ、テレビのワイドショーは連日このニュースを取り上げた。
 事件から解放されて、圭一が最初にいったのは、あのおもちゃ屋だった。
 展示品以外はすべて売り切れてしまい、展示品は売らないと一度断られたが、圭一が例の事件の生存者Aだとわかると、すぐに承諾してくれた。
 圭一は、いつでも渡せるよう机の上にあの人形を置いて、機会を待っている。


 深夜2時、自宅で布団に入っていた圭一は、窓に小石がぶつけられる音に気づく。
 カーテンの隙間から外をうかがうと、魅音だった。
 圭一は、寝間着の上に上着を羽織って、あの人形を手に取り、表へ飛び出す。
 苦しそうな表情をする魅音は、ここにはもういられないから、最後にお話ししたかった、と話し
だす。
「今日までがんばってきたけど、自分でもわかるの。もう限界。私のお迎えは、もうすぐ後ろまで来てる。」と話す魅音に、あの人形を渡そうとする圭一だが、魅音に腹を包丁で刺されてしまう。
 狂ったように笑いながら、魅音は、「全部できた!私が殺したいヤツは、これで全員!」と言うのを聞きながら、圭一の意識はなくなっていく。


 昭和58年6月28日、鹿骨市雛見沢村で、傷害事件が発生。
 被害者は先の連続失踪事件の被害者でもある前原圭一。
 午前2時ごろ、自宅を訪れた先の事件の容疑者(園崎魅音)に腹部を刃物のようなもので刺されて重傷。
 起きだしてきた家人に発見され、診療所に搬送。一命をとりとめた。
 犯人は逃走。


 同日推定同時刻、鹿骨市上一色のマンションで、転落事件が発生。
 被害者は先の連続失踪事件の被害者でもある園崎詩音。
 同日深夜、被害者が何者かと大喧嘩するような騒動を隣人が聞き管理人に通報。
 管理人が合鍵を使って室内に入り、8階のベランダから転落死した被害者を発見した。
 室内は荒れ果て、争った形跡のようにも見えた。
 隣人は園崎家に古くから出入りのある人間で、当時の騒動を姉妹喧嘩そっくりで、互いに罵り合う声を聞いたと証言する。
 先に事件による容疑者による、同日に発生した雛見沢村での障害事件との関連性があるとみて、室内を徹底的に捜索したが、被害者以外の人間がいたことを示す痕跡を発見することができなかった。
 被害者は真下にある植樹帯の植え込みに落下。首の骨を折り即死。着衣には乱れはあり、取っ組み合いをした形跡にも見られた。
 だが、事件後の被害者の特殊な精神状態から、錯乱による自殺ではないかともみられている。
 自殺と事件の両面から、慎重な捜査が行われている。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 綿流し編 #1 お祭り一色

 祭りに行く圭一は、レナと魅音とで待ち合わせ。
 昨日、会わずじまいのまま帰ってしまったことを謝る魅音と、待たせたことを謝る圭一。
 梨花は巫女の務めがあり、沙都子もそのお供ということで、すでに神社で準備中とのこと。


 神社で、沙都子と巫女装束の梨花と合流する。
 部活メンバーで、目の前にあった屋台のたこ焼きを食べるが、魅音が食べたたこ焼き以外にはタコが入っていなかった。
 それぞれタコなしたこ焼きについて感想を言うが、率直なコメントすぎて、客がいなくなってしまう・・・
 屋台の親父がにらみつけるので、圭一が、値段の高い明石のタコをすべてのたこ焼きに入れて、1舟8個400円で売るのは無理だから、1個だけ明石のタコを入れて売っている本物の明石のたこ焼き屋だと演説すると、たこ焼屋の前に行列ができる。
 圭一の演説を聞いた屋台のおやじたちが、うちもも頼んでくるので、部活メンバーたちは演説をはじめ、それを聞いたギャラリーたちは、屋台に並び始める。
 魅音が、金魚すくいの屋台で演説をするが、「実においしそう」と言い出す。
 と思ったら、詩音だった。
 詩音は、自分もいっしょに行きたいと言うが、魅音が拒否したので、詩音は去っていく。


 屋台めぐりをするうちに、大太鼓の音が聞こえてきた。
 いよいよ梨花の出番だ。
 梨花の演舞を見るため、祭壇の前の行くが、圭一はみんなとはぐれてしまう。
 演舞が始まり、梨花は、祭事用の大きな鍬を抱えて、祭壇に積み上げている布団の山に近づく。
 梨花は重そうに祭事用の鍬を振っているが、圭一のいる場所からよく見えない。
 そのとき、詩音が圭一に声をかけてきたので、詩音がとっておきの場所を教えてくれると思った圭一は、詩音のあとを付いて行く。
 詩音は境内の裏に圭一を連れて行くが、演舞など見えない。
 圭一が、梨花の演舞が見える場所に案内してくれるんじゃ?と尋ねると、詩音は、そんな約束はしていないとばっさり。
 そして、詩音が暗がりの茂みの向こうを指差すと、その先には、鷹野と富竹がいた。
 鷹野と富竹は、あたりをうかがいながら、倉庫のような木造の建物の入口にしゃがみこんでいたが、圭一と詩音の気配に気づき声をかけてきた。
 見つかってしまった圭一と詩音は、二人の前に姿を見せてあいさつをする。
 詩音は、南京錠をいじって何をしてたとかと質問すると、ドロボウしようとしてるわけじゃないと答える鷹野。
 詩音は、古手家とほんの一握りの人間しか入ることを許されない開かずの祭具殿で何をしていたのか?と追い討ちをかける。
 鷹野は、祭具殿は祭具をしまっている倉庫だが、ここは祭具を祀っている神殿だと言う。梨花が今、奉納演舞で使っている祭事用の鍬も、この中にしまわれていたことと、古手家の人間以外は不浄を持ち込むから立ち入り禁止の不可侵領域、すなわち聖域だと話す。
 鷹野は趣味で雛見沢の伝承を研究していて、この中には研究の答えが詰まっていると話す。
 富竹が南京錠は解除すると、鷹野は、圭一と詩音に、いっしょに見学しない?と声をかけてくる。
 圭一は入ったらまずいと言うが、詩音は、自分は園崎の人間だから、中にあるものは想像がついており、ぜひ圭一に見てもらいたいと答える。
 富竹も、入口で見張っているので、いっしょに見てきてごらんと言ってくれたので、圭一はちょっとだけと言いながら中に入る。


 中は真っ暗だったが、鷹野が用意してきたランタンをともすとかなり狭い前室であることがわかった。
 前室の奥の重い扉を開けると、祭具殿の正面一番奥のご神体が、圭一たちを見下ろしていた。
 鷹野は、雛見沢の守り神のオヤシロさまだと教えてくれる。
 祭具殿の中には祭具が並べられていたが、祭事的な芸術的な形のものはなく、圭一にとっては退屈なものばかりだった。
 そんな圭一の様子に気づいた鷹野は、おとぎ話を話し始める。


 昔々、ある山奥の村に底なしの深い深い沼があって、地の底の鬼の国=地獄につながっていた。その名を、鬼が淵という。
 ある日のこと、地の底から鬼たちが次々に現れ、村人達に容赦なく襲い掛かった。
 村が滅びるのを待つしかないと諦めたとき、オヤシロさまが降臨した。
 オヤシロさまの力は鬼たちと比べ物にならず、鬼たちは戦うまでもなく、その威光の前に平伏する。
 オヤシロさまは、元の鬼の国へ帰るように諭したが、鬼たちは、自分たちは地獄を追放された鬼だからどうしても帰れないと拒んだ。
 事情を知った村人たちも、鬼を気の毒に思い、鬼たちと一緒に住むことに決めた。
 生活の場を与えてもらった恩返しとして、鬼達は、自分達の持つ様々な力や秘法を村人に授けた。
 オヤシロさまはその微笑ましい交流を喜んで、村人と分け隔てなく暮らせるよう、鬼達に人間の姿を与えた。そして、自らも地上に留まり、末永く両者の交流を見守ることにした。
 その後、人と鬼の混血が進み、もう何の区別もなくなった。
 鬼の持つ様々な知識を持った人間たちは、仙人と呼ばれる存在で、自らの力が異端であることを十分に理解し、ふもとの人々に崇めれれながらひっそりと隠れるように暮らした。


 雛見沢の人間は、鬼の血を引いていると、魅音は言うと、何かを気にした風にあたりを見渡し、何の変化もないことを確認し、何事もなかったかのように振舞う。


 鷹野が話を続ける。
 村人たちに半分鬼の血が流れているが、人食い鬼の血だと言われている。
 その血は、今でも村人たちに脈々と流れていて、時折、その血が眠りを覚ますと言われている。
 鬼の血を引く者たちは、周期的に狩猟者としての本能が目覚め、獲物を求めて人里に姿を現し、その際に行われるが鬼隠し=鬼たちによる誘拐行為。
 鬼隠しは、オヤシロさまも了承しており、オヤシロさまが決めた生贄以外は、誰もさらわなかった。
 生贄をさらってきた夜には、綿流しの儀式が行われた。


 詩音が、臓物のことをワタって言うよねと、圭一に確認する。
 綿流しの本来の意味は、腸(ワタ)流しだった・・・
 鷹野は、梨花が奉納演舞を使っていた祭事用の鍬は、田畑を耕す鍬ではないと話し、梨花はあのあとの奉納演舞で、鍬で祭壇の布団からワタを取り出し、沢に流すと教えてくれる。
 圭一は、祭具殿の中にあるさっきまで何の興味もなかった道具の意味を理解し、恐怖する。
 天井を見ると、檻がぶら下げられている。
 詩音は、鷹野が、雛見沢の暗黒時代の風習が現代にも残っているんじゃないかと思って、研究していると言い、鷹野は否定せず、圭一に、オヤシロさまの祟りにあうか生贄にされちゃうから、内緒にしてほしいと頼む。


 鷹野はスクラップ帳を開き、新聞記事のコピーを圭一に見せる。
 明治の終り頃、旧名鬼が淵村で、惨殺死体が発見された。
 死体の身元は不明というか、とても身元が確認できるような状態ではなかった。
 そして、鷹野は、終戦直後の缶詰疑惑について話し始めようとすると、扉が開き、富竹が演舞が終わって、みんな沢のほうに降りていったと教えてくれる。
 鷹野は急いで、カメラを取り出し撮影を始めたので、鷹野を祭具殿に残して、圭一と詩音は、外に出る。


 富竹に感想を聞かれて、圭一は、留守番をしていればよかったと答え、詩音は、実物は迫力があったと答える。
 富竹は、ドタンバタンと飛び跳ねるような音が聞こえていたから、鷹野が何か壊していないか心配だと話す。
 フィルムがなくなったと言って、鷹野が外に出てくる。
 富竹は、予備のフィルムはもうないと答えたので、鷹野は諦めて、扉を閉め、元通りに南京錠を施す。


 石段を降りていくと沢が一望できた。
 石段の下でワタを千切ってもらい、それに願掛けしてから、沢に流している様子がここからでもよくわかる。
 鷹野は、綿流しをするから、富竹に撮影してほしいと話して、圭一たちと別れる。
 詩音は、圭一のことを魅音が探してるだろうから、綿流しに行ってきてと言う。
 そして、詩音は、魅音は嫉妬深いから、今夜のことは秘密にしておいてと、圭一に頼む。それだけじゃなく、今夜起こるかもしれなオヤシロさまの祟りの最有力候補は、この4人だからと。
 詩音は別れ際に、ドタンバタンっていうあの音は何だったんでしょうと言い出すが、圭一は、そんな音は聞いていないので、何も聞いていないと答える。
 詩音は、鷹野が祭具殿で昔話を始めた頃から、子供が跳ねているようなドタンバタンという音が聞こえていたと話す。
 詩音は、圭一と鷹野にはまったく聞こえない音を一人、ずーっと聞いていたらしい。
 すると突然詩音は、ウソですよと笑い飛ばし、別れ際のセリフを言いながら逃げるように去っていった。
 詩音の言っていた音は、富竹も聞こえていたし、ウソではなさそうだ。
 と思っていたら、梨花に声をかけられる圭一。
 梨花といっしょに魅音とレナもいる。
 みんなはぐれてしまい、あとは沙都子だけとのこと。
 梨花に、演舞は最後まで見た?と聞かれて、ミスもなくて、最後までがんばったなと、圭一が答えると、レナが、あんなのはミスのうちに入らないと、フォローする。
 ウソがバレたとあせる圭一に、魅音は、綿流しはやった?と尋ねてくる。
 これ以上のウソはムリだと判断した圭一は、正直にまだだと答える。
 魅音は、圭一の手を引っ張って、石段を降り始める。そして、詩音に合わなかった?と聞いてくる。
 圭一は、魅音と詩音はそっくりだから、詩音に会ったかどうかわからないと答えるが、内心ヒヤヒヤ。


 TIPS:後夜祭

 深夜の署内。
 県外で焼死体が見つかり、歯形照合の用意を指示する大石。
 今年はいつものパターンとは違い、消す気はなく見せしめの意味があるようだが、雛見沢の近くでやらなかったのが謎だと、大石が言い出す。


 綿流し編 #2 ドタンバタン

 夕べは、子供が跳ねるようなドタンバタンという音の話が頭にまとわりついて、なかなか眠れなかった圭一は、通学のときに、レナから、目が赤いと指摘される。
 いつもの待ち合わせ場所に行くが、魅音はまだ来ていなかった。
 5分だけ待とうと圭一がレナに声をかけると、魅音が走ってくる。
 魅音の顔を見て、レナが魅音の額に手を当てる。そして、熱があると言い出す。
 魅音は、大丈夫と言って、ムリに元気そうに見せる。
 時計を見ると遅刻寸前。3人は猛ダッシュで学校へ向かう。


 授業中、あまりにも眠そうにしていた圭一は、知恵先生に見つかって、顔を洗ってこいと言われてしまう。
 校庭の流しの蛇口をひねった圭一は、魅音に声をかけられる。
 魅音は、夕べ、お祭りのあと、親族の宴会に巻き込まれて徹夜したのが、体調不良の原因だと打ち明ける。そして、頭痛がするので、早退してきたと話す。
 教室の戻ろうとする圭一に、魅音は、夕べ、富竹と鷹野に会わなかった?と尋ねる。
 あいまいに返事する圭一に対し、さらに魅音は、夕べ、詩音に会わなかった?と聞いてくる。
 圭一は、夕べ答えたとおり、会ったかどうかわかないと答えるが、魅音に、4人で祭具殿に忍び込んだことがバレてると察する。
 魅音は、富竹、鷹野、詩音、圭一の4人を悪く言っている人たちがいるから、聞いてみただけと言う。
 圭一は、夕べは3人と一緒じゃなかったと答えると、魅音は、圭一は何も悪いことには加わってないって、みんなに伝えておくと言って、帰っていく。
 圭一が、みんなって誰?って、魅音に聞こうとすると、知恵先生が、圭一を呼びに来たので、聞けなくなってしまう。


 圭一が家に帰ると、母親から、図書館へ本を返しに行ってほしいと頼まれる。
 そこへ、詩音から圭一宛の電話がかかってくる。
 詩音が圭一と話をしたいというので、圭一は、直接会って話をするついでに図書館を案内してほしいと提案する。
 詩音は、それでいいが、自分は本家じゃなく興宮に住んでいるので、待ち合わせ場所は駅にしてほしいと答え、圭一が了承し、電話を終える。


 待ち合わせ場所で詩音に会うが、詩音も寝不足のようだ。


 詩音の案内で鹿骨市立図書館へ向かい、さっそく母親が借りていた本を返却する圭一。
 休憩コーナーで、詩音からいろいろと園崎家について聞かされる圭一。
 魅音は園崎家の本家、詩音は興宮の家に別れて住んでいる。
 魅音は、跡取りだから、現当主である祖母と一緒に住んでいて、いろいろと当主としての修行をさせられているらしい。
 園崎家は雛見沢の旧家だったのが、戦後にいろいろな事業で成功して大きく勢力を伸ばしたとのこと。
 園崎家は、親族全体で助け合う土壌があり、ひとりの親族の事業を助けるために、親族全体が様々なバックアップをし、税法上のドラブルを潜り抜け、豊富な資金力で次々と親類は事業に成功していった。
 興宮では、例のおもちゃ屋や、エンジェルモートも、魅音も親類が経営している。
 特に金融・不動産関係には強く、商工会議所の役員の何割かは園崎家の親類が就いており、市会議員や県会議員もいる。


 そこへ大石が現れる。
 詩音は、バイトの時間だと言って、圭一と肝心な話をしないまま去っていく。
 大石に自販機のジュースを奢られた圭一は、大石の話に付き合わされるハメになる。
 大石は、園崎家は、この地域一体を牛耳っている暴力団だと言い出す。魅音・詩音の父親は、関東でも有名な暴力団グループの大幹部で、詩音の自宅は、高い塀に有刺鉄線と監視カメラで守られた典型的な暴力団の組長宅だと。
 そして、大石は、魅音は暴力団組織もひっくるめた園崎家そのものを継ぐと、圭一に話す。
 ようするに園崎家は、雛見沢から興宮までを牛耳る大一族で、魅音はその跡取りで、一族全体に強い影響力を持つのだ。


 大石は、魅音の友達としてではなく、圭一個人としての話が聞きたいと言い出し、夕べ、富竹と鷹野に会ったか?と聞いてくる。
 圭一は、よく覚えていないと答えるが、大石は、もう一度同じ質問をしてくる。
 圭一は、さっきと同じで、よく覚えていないと答える。
 大石は、さらに、夕べ詩音に会ったか?と尋ねてくる。
 圭一は、ビビりながら、魅音にそっくりだから、会ったかどうかわからないと答える。
 閉館のアナウンスとBGMが流れ、大石の部下が、大石を迎えにきて、やっと圭一は解放されたと思った瞬間、大石は、圭一に、夕べ石段のところで4人で楽しそうに歩いてるところを見たと告げ、去っていく。


 TIPS:スクラップ帳よりⅥ

 綿流しの意義について

 生贄を狩り、それを饗す宴、綿流し。
 有力者たちが自分たちの都合のいいよう組み上げた戒律を厳守させるために催した、見せしめの処刑だった可能性が出てきた。
 鬼ヶ淵村を実効支配してきたのは御三家と呼ばれてる3つの旧家だ。
 この御三家の研究なくして、鬼ヶ淵村の真実には迫れまい。


 TIPS:スクラップ帳よりⅦ

 御三家について

 御三家は鬼ヶ淵村を実効支配してきた公由家、古手家、園崎家という3つの旧家で、いずれも現存している。
 御三家は、鬼ヶ淵沼から現れた鬼の血をもっとも濃く残すと伝えられている。
 公由家→御三家の筆頭家として大きな力を持っていたらしいが、今日にあっては御三家をリードするほどではない。現村長の公由喜一郎は、この家の出身。公選制が導入されるまで、自動的に公由家が代々村長に就任してきたのは、古い体制の名残だと思われる。もっとも対抗馬が出ないため、戦後の公選制導入後も公由家が村長に就くことは変わっていない。
 古手家→古代から信仰の中心となり、オヤシロさまを祀る唯一の神社を守ってきた一族。オヤシロさまの声を代弁する唯一の存在として、長くあがめられてきたが、戦争で分家筋がほとんど絶え、今では本家のみとなっている。その本家も、現在では古手梨花を残すのみたので、この代でつぶれるかもしれない。古手家の女子を尊ぶ古い習慣があるらしく、梨花は、年寄り連中にあがめられている様子。
 園崎家→鬼ヶ淵村の戒律を守るある種の警察官的な役割を担ったと伝えられている。御三家の中では比較的弱い立場であったことが、御三家の末番に数えられることから見てとれる。もっとも、今日の園崎家は隆盛を極め、御三家内における立場は完全に逆転している。今や雛見沢を牛耳っているとまで言えるだろう。御三家で合議することが名残となっているだけで、村内の取り決めは事実上、現当主の園崎お魎がひとりで決めていると言っていい。


 綿流し編 #3 詩音からの電話

 家に戻り、夕ご飯を食べた圭一のところに、詩音からの電話がかかってくる。
 圭一は、詩音から、昨日の綿流しのお祭りの晩、4人で祭具殿に中に入った後、それぞれ別れてから、富竹と鷹野にまた会ったかと聞かれる。
 詩音は、自分は会っていないと話すと、圭一も、会っていないと答える。
 お互い、他の人間といっしょにいたから、証言もある。
 圭一の答えを聞いた詩音は、夕べ、鷹野と富竹が死んだと言い出す。鷹野は焼死体で、富竹は自殺みたいな感じで見つかったとのこと。
 詩音は、今朝、父親が電話で親類と話しているのを聞いて、その情報を知ったと話す。
 夕べの深夜、お祭りの警備を終えて帰る途中の警察の車が、興宮への道への途中で、倒れている富竹を見つけた。警察の検視結果では、富竹の死因は、自分の爪で喉をかきむしっての自殺。
 鷹野の死体は、隣の県の山中で見つかった。深夜の山中で火があがっているのを通報され、駆けつけた消防署員が発見した。検視の結果、半裸女性の焼死体と判明。歯形の照合の結果、鷹野と確認された。死因は特定されていないが、下着姿で周囲に衣服がないことから、他殺の可能性が濃厚だが、灯油缶が転がっていたので、焼身自殺の線もあるとのこと。
 詩音は、自分達は祟られるのに十分な資格があるから、あれはオヤシロさまの祟りだと言い出すが、死体が2つ見つかったから、オヤシロさまの祟りにしては少しおかしいと話す。
 例年の祟りでは、一人が死んで、一人が消えるのだが、今年は2人死んでいる。ということは、生贄は2人分ということになり、これから2人が失踪するはず、と詩音は話す。
 それを聞いた圭一は、祭具殿に入った鷹野と富竹が死んだのだから、失踪するのは、詩音と圭一になるはずだと、気づいてしまう。
 事件が報道されていないので、圭一は、事件が本当に起きたのか疑うが、詩音は、雛見沢のマイナスイメージになるという理由で、去年から、事件が起こっても警察がマスコミに漏らさず、秘密処理になったと答える。一応、警察は捜査をしているが、秘匿捜査扱いとのこと。
 つまり、綿流しの夜に誰が死んでも、公にならないのだ。
 詩音は、雛見沢では、毎年、綿流しの夜に、オヤシロさまの祟りということにして、誰かを殺してもいい土壌が作り上げられいると言い出す。
 連続事件なら、警察も本腰を入れるだろうが、たまたま毎年、綿流しの晩に不幸なことが起こっているだけ。最初の事件では、犯人が特定され、最後の一人は逃亡中だが、他は逮捕され、事件の全容は解明され、事件は解決した。2年目の誘致派夫婦の事故死は、他殺の可能性は見つからず、純粋な事故死で決着し解決した。3年目の神主の病死は、医師が看取っているし、検死もし、他殺ではないと結論になり、解決した。4年目の誘致派夫婦の弟夫婦の妻の殺害は、犯人は雛見沢の祟りを再現したと自供したが、獄中で事故死し、解決した。
 祟りにあうかもしれない恐怖に押しつぶされる圭一は、自分は興味なんかぜんぜんなく、詩音が中に入ろうと言い出しただけと、詩音に怒りをぶつけると、詩音は電話を切ってしまう。
 電話が切れ、少し冷静になった圭一は、詩音に謝るため、電話をかけなおそうとしたが、興宮にすむ詩音の電話番号を知らないことに気づく。
 夕べは詩音に会わなかったと、魅音に言った手前、魅音に詩音の電話番号を聞けるはずもない圭一。
 圭一が、詩音が電話をかけなおしてくれるよう祈っていると、電話がかかってくる。
 すぐに圭一が電話に出ると、公由と名乗る年配の女性から、おじいちゃんを探していると言わる。圭一は、家には誰も来てないと答えると、女性は丁寧に礼を述べて電話を切る。
 結局、その後、詩音からの電話はなかった。


 TIPS:深夜の電話

 公由家では、おじいちゃん=村長を探す電話を掛けまくっているが、いまだに見つかっていない。
 そこへ魅音から電話がかかってくるが、そちらもぜんぜんとのこと。
 魅音は、お魎が、綿流しの直後だから慎重に扱ったほうがいいので、今から青年団を召集して捜索し、それでも見つからなければ、明朝、警察に通報するといっていると、話す。


 綿流し編 #4 昼時の噂話

 一晩中、詩音からの電話を待っていた圭一は、寝不足のまま学校へ行く。
 魅音も調子が悪そうなので、聞いてみたら、3時に寝たから寝不足との返事。
 それを聞いたレナは、村長がまだ見つかってないの、と尋ねる。
 村長は年をとってはいるが、ボケてはいないとのこと。
 教室に入ってきた知恵先生が、村長が夕べから家に戻っていないが、誰か見かけましたか?と聞いてきた。
 生徒の何人かが目撃情報を話すが、たいした情報ではなかった。


 昼休み、生徒達の噂話を総合すると、昨日の夕方、村長は会合で神社の集会所に出かけ、日が落ちたに頃会合が終わり、村長は家に帰っていったが、村長が帰る途中を見たものは誰もいなかった。村長はおなかがすいていたから、寄り道せずまっすぐに家に帰ったはずだが、村長は家に帰ってこなかった。夕べ青年団で捜索したが、村長は見つからず、今も警察といっしょに捜索しているとのこと。
 生徒の一人が、悟史がいなくなったのも去年の今頃だったと言い出す。
 それを聞いた別の生徒が、悟史のときも、村中で探したんだけど、見つからなかったと、答える。
 さらに圭一が聞き耳を立てると、悟史は鬼隠しではなく、貯金を全部下ろして、家出したことがわかった。
 お手洗いに立った魅音は、いつまでたっても教室に戻ってこない。レナが、魅音は夕べ村長を探す手伝いをしてたから、どこかで昼寝をしていると、教えてくれる。
 レナは、村長は、小さい頃の魅音をすごくかわいがってくれてたと、魅音がよく話していたと言い出す。


 圭一は、日直が自分だと思い出して、職員室前の花壇の水遣りに出かける。
 圭一がジョーロに水を汲んでいると、営林署の職員から、倉庫裏の菜園にも水をやってほしいと言われる。
 倉庫裏の菜園は、カレーの具しか栽培していないため、カレー菜園と呼ばれてている知恵先生の私物菜園だ。
 倉庫裏に行くと、転んだらしく、土で汚れて涙目の梨花がいた。
 梨花は圭一にしがみついて、お祭りの晩に何か悪いことをしたのかと、聞いてくる。
 圭一は、梨花が祭具殿のことを知っていて聞いてきてると気づくが、認めることができなくて、悪いことの覚えが多すぎて見当がつかないと、はぐらかす。
 梨花は、忘れてくださいと言って、圭一を解放し、走り去っていく。
 圭一が、梨花ちゃんと声をかけると、梨花は戻ってて、圭一に語りだす。


 前から祭具殿の中を探検してみたいと思っていたネコがいたが、梨花が意地悪をして見せてあげなかった。とうとうガマンできなくなったネコは、お祭りの晩に祭具殿の中に入り込んだ。祭具殿の中は、ネコが怖がるものがたくさんあったので、ネコはびっくり仰天して逃げ出して、がたが震えている。


 圭一は、ネコとは自分のことだと思い、梨花に、ネコはこれからどうしたらいいか、と訪ねる。
 梨花は、ネコだから、にゃーにゃー鳴いているだけで大丈夫だと、答える。
 圭一は、ネコが忍び込んだのを、犬が見ていたので、鳴いてるだけではダメだと言い出す。犬は、ネコのところへやってきて、忍び込んだだろうと聞いてくる、と。
 梨花は、ネコはボクが守ると答える。ネコはとても怖がっているが、本当はそんなに大変なことではなく、犬が勘違いしているだけ、とのこと。
 梨花は、ネコは心配のしすぎ。ちょっと大変だけどボクが何とかする。ボクががんばらないと犬も大変なことになると、言い出す。そして、圭一には関係のないことだから、富竹と鷹野のことはきれいさっぱりと忘れると良いと、言い切る。
 圭一が、詩音について聞いてみると、梨花は、妹が悪いことをしたので、姉は怒っており、機嫌が悪いから、しばらくの間、そってしておいてあげて、と言われる。
 最後に、梨花は、村長を噛んだ勘違いした犬が、ネコに噛み付こうとしたら、知らせてと話す。村長を噛んだ理由がわからないが、噛むならネコのほうが先だろうとも、話す。


 TIPS:スクラップ帳よりⅧ

 <現在の御三家について>
 今日では、事実上、園崎家の独裁となっており、古代からの威光を維持し、鬼ヶ淵村と呼ばれた時代からの数々の伝統を色濃く受け継いでいる。
 確認されている中でもっとも新しい綿流しだと思われる明治末期の事件も、園崎家主導で行われたと考えられる。
 明治以降、園崎家は雛見沢村を牽引すべく、強いリーダーシップを発揮している。
 数年前のダム闘争では、反対同盟の会長職に公由家が就いたが。これはあくまでも名目上で、実際には園崎家が影のリーダーとして君臨していた。
 公に出来る抵抗運動は公由家主導で行い、公にできない抵抗運動を園崎家が行ったのではないかと囁かれている。
 ダム騒動中に報じられた不穏な事件の数々(有名な建設省幹部の子息誘拐事件他)も園崎家が行ったと、雛見沢ですら囁かれているくらいだ。
 加えて、近年続発している連続怪死事件についても、園崎家のの暗躍があったのではないかと言われている。
 連続怪死事件は、紛れもなく、古式ゆかしい綿流しの再来である。本来の綿流しを、ただの村祭りに落ちぶれた綿流しを当日に行うことで、村人たちに鬼ヶ淵村の戒律を思い出させようとしているに違いない。
 古手神社の祭具殿を暴くことができたなら、次は園崎家に研究対象を絞ろうと思う。
 園崎家周辺は監視カメラで守られるほどの厳重ぶりだが、私は当主跡継ぎの魅音・詩音の姉妹とは面識がある。次ぎなる研究の突破口としてつなげていきたい。


 綿流し編 #5 詩音の電話

  圭一が家で休んでいると、詩音から電話がかかってくる。
 開口一番、夕べのことを圭一が謝ると、魅音は許すと言ってくれて、夕べの続きの話を始める。
 祭具殿に忍び込んだことは思ったよりタブーなので、犯人たちは首謀格の鷹野と富竹を殺したあと、詩音と圭一を狙うだろうと。
 だから、お互いに何か気になることがあったら報告し合おうと詩音は提案し、最近、誰かに監視されているようだと話し始める。
 圭一は、自分のほうは大丈夫と答える。
 それから、魅音から綿流しの夜の所在について聞かれたと話す詩音に、自分もだと答える圭一。二人とも「行ってない」とごまかしたことを伝え合う。
 綿流しの晩以降、魅音の様子がおかしい、と詩音が言うので、用心することにする圭一。
 圭一のほうは、詩音に、図書館で大石に問い詰められた時の話を伝える。大石は4人が一緒にいたところを見ていたようだと。
 圭一は、警察には本当のことを言おうと、詩音に提案するが、詩音は、大石が一連の連続怪死事件を、園崎本家が中心になった村ぐるみの犯行だと疑っていると話す。
 ダム闘争のとき、神主があまりに日和見だったので、園崎本家が首謀格となって決起し、水面下では、さまざまな違法行為な抵抗活動(夜中に建設現場に忍び込んで窃盗や破壊をしたり、工事を認可した役人への脅迫や子供の誘拐)を行っていたらしい。
 ヤクザの大物である父親を持つ魅音も、若いモンを連れて違法な抵抗運動で活躍し、何度も補導されたが、当時は子供だったので、大事にはならなかったとのこと。
 詩音は、魅音に気をつけるよう圭一に言い、警察を味方に付けるのは自分達に有利に働くから、大石に必要な情報を与えてもいいと話す。
 詩音から、父親の電話を盗み聞きして知ったが、村長が行方不明なのか?と聞かれて、夕べの会合のあと行方不明になり、村中捜索したがいまだに見つかっていないと答える圭一。
 それを聞いた詩音は泣き出し、昨日、自分が村長に祭具殿に忍び込んだことを打ち明けたからだと言い出す。
 詩音は泣きじゃくりながら、知ったから殺されてしまったと叫んでいる。
 パニックを起こしている詩音は、犯人は、自分達を一思いに殺さず、親しい人たちから順々と殺していって、散々悲しい思いをさせた後殺すつもりだと、言い出す。
 錯乱した詩音の声を聞き、怯えた圭一は、自分も梨花に打ち明けたと告白し、梨花のことが心配だから安否確認したいと言って、詩音との電話を切る。


 TIPS:4人だけの罪に終わらない?

 大石と熊谷がおでん屋で飲みながら話をしている。
 情報を伏せているにもかかわらず、雛見沢中で、鷹野と富竹の死は、祭具殿に踏み入ったためオヤシロさまの怒りに触れたため、とウワサになっている。
 そして、踏み入った人間はまだ2人おり、それは詩音と圭一で、その2人にもオヤシロさまの祟りがあるかもしれないと、囁かれている。
 そして、去年までは、重そうなカンヌキで大金庫みたいに厳重な施錠だったのだが、今年からは安っぽい南京錠ひとつだけの簡単な施錠になったため、簡単に賊の侵入を許してしまった、というウワサが流れている。梨花が重い施錠を嫌い、村長に相談して、簡単な南京錠に付け替えたと。
 大石は、村長の次は梨花が危ないと予想し、神社に張り込みをするよう伝える。


 綿流し編 #6 梨花ちゃんの安否

 詩音からの電話を切り、学校の連絡網を調べて、梨花の電話番号を探して、さっそく電話する圭一。
 午後11時前だが、梨花は入浴中なのか、電話に出てくれない。
 その後30分くらい何度も電話するが、まったく出ない。
 仕方がないので、直接梨花の家に行こうとする圭一だが、住所を知らなかった。
 なので、レナに電話すると、不機嫌な声の父親が出たが、レナにかわってくれた。
 レナに梨花の家の場所を聞くと、古手神社境内の集会所の裏手の2階建ての倉庫小屋だと教えてくれた。
 レナは、圭一がこんな時間に梨花の家の場所を聞いてきたことに、何かを感じ取ったようで、どうして今こんなことを聞くのかと尋ねてくる。
 圭一は、梨花が危ない気がすると答える。
 レナは、梨花の家は狭いから、梨花が寝ていても、沙都子もいるし、2人とも電話の音に気付かないわけはない、と話す。
 レナは、2人が電話に出ないのは絶対におかしいから、自分も梨花の家に行くと言い出し、魅音に連絡してから、圭一の家で待ち合わせすることになった。


 こんな時間に家を出ると家族にとがめられるので、だまって家を出て、レナを迎えに行く圭一だが、レナに合った瞬間怒られる。
 昨日、村長が行方不明になり、今、梨花と沙都子がいなくなったかもしれない状況で、圭一が深夜に一人で外にいることが、無用心すぎるとのこと。
 そして、もし自分たちまでいなくなった時のことも考えて、家族に絶対に行き先を告げろと迫られ、圭一はレナと連れて家にトンボ帰りすることになった。


 その後、魅音も合流し、3人で、梨花の家がある古手神社に向かう。
 神社につくと、レナが、梨花と沙都子の自転車がいつもの場所にないと言い出す。
 集会所裏の倉庫小屋の前に行くが、灯りが消えている。
 レナが家の中に向かって声を掛けるが、返事はない。
 魅音がシャッターを両手でバンバン叩くが、やはり返事はない。
 玄関は鍵がかかっていたので、ハシゴで2階に上がり、鍵のかかっていない窓を探す圭一。
 その間に、レナは、本宅を見てくると言って、走っていく。
 本宅は、梨花が両親といっしょに住んでいた家だが、両親のことを思い出してつらいとのことで、梨花がこっちで暮らすようになり、今は本宅のほうは誰も住んでいないとのこと。
 梨花の両親はすでに亡くなっており、沙都子の両親も崖から落ちて亡くなり、兄の悟史も去年失踪してしまって、それ以来、2人はいっしょに暮らしていると、魅音が教えてくれた。
 魅音が突然、沙都子は、オヤシロさまの祟りを一身に受けた呪われた子だと、言い出す。


 転落死したのは、沙都子を味噌っかす扱いしてた冷たい両親だけで、沙都子一人助かった。
 引き取り先で沙都子をいじめてた叔母は、綿流しの夜に異常者に滅多打ちにされた殺された。
 沙都子をいつもかばっていた悟史も、沙都子の誕生日に突然消えてしまった。
 警察は悟史を家出扱いしたが、悟史は逃げ出すような人間じゃない。いちも一生懸命で、誰の力も借りずコツコツと一人懸命に努力する人だった。
 たった1人の妹のために身を粉にしてがんばってたのに、消されてしまった可愛そうな悟史。
 沙都子に近づけば、祟りで死ぬか消えるか。
 梨花が消えたのも、きっと沙都子のせいに違いない。


 魅音は、うわごとのように聞き取れない言葉を繰り返している。
 わなわなと肩を震わせ、その震えがハシゴを伝わって圭一にも直接伝わり、足場がぐらぐらと震えている。
 そのとき、レナを先頭に4,5人の大人たちが駆けつけてきた。
 圭一は、助かったと思いながら、ハシゴから飛び降りた。
 レナは、鍵を借りてきたと話し、鍵束を試し始める。
 ここは、元々は町会の防災倉庫だったので、シャッターの鍵は村長の家が預かっていたとのこと。
 鍵が合い、シャッターが開くと、レナが灯りのスイッチを探し当て、中に飛び込んでいく。
 全部の部屋を調べたが、2人はいない。
 魅音が、2人が他所の家にお邪魔して眠り込んでしまっている場合も考えられるので、近所の家を調べようと言い出し、大人たちに当たってもらう家を指示し始める。
 そして、魅音は、ここから電話で片っ端から心当たりに問い合わせしてみるとのこと。
 圭一はレナといっしょに手がかりを探し始める。
 そうこうしているうちに、魅音が呼び出した大人たちが家の外に集まり始めたので、魅音は、話をしてくると言うので、圭一とレナもいっしょに家の外へ出る。
 魅音が事情を説明すると、大人たちは2人を探すため、四方へ散っていき、圭一もそれに続く。


 TIPS:スクラップ帳よりⅨ

 <園崎家について>
 戦後、急激な勢力を広げたのが園崎家である。
 その当時の当主が、今日でもその座にある園崎お魎である。
 園崎お魎は。今日では当時の片鱗を見ることもかなわないが、歴代当主の中で最高と讃えられる名当主だったらしい。
 すでに高齢で、週に何回かの習い事に出かける以外が自宅で静かに過ごしており、セレモニー的なものは跡継ぎである魅音に委ねていることが多いようである。
 (当主の跡継ぎが娘ではなく、孫娘である魅音なのかは、娘夫婦の勘当騒ぎが絡んでいるとウワサされている)
 園崎魅音という奔放な娘に、まだ次代当主としての貫禄は見られない。
 だが、園崎家の血を引き、鬼の名を許される以上、過去の当主たちと同様油断ならぬ人物であるに違いあるまい。


 TIPS:園崎家の老当主は?

 大石、熊谷、小宮山が、園崎お魎について話をしている。
 綿流しの開会式でした挨拶が、お魎の最後の目撃情報で、その後すぐに帰宅したらしい。
 毎週月曜に集会所で大正琴を習っているのだが、今週は休みだったらしい。
 お魎の居場所が、警察にはわからないので、明日、市役所を装って電話を掛けてみることになった。
 綿流しの晩以来、目撃情報がないお魎について、魅音は、体調を崩して寝込んでいると話しているが、すでにもう・・・と大石は疑っている。


 綿流し編 #7 御三家の話

 村を見下ろせる高台で、村のあちこちに灯りがつくのを見て、祭具殿に入ってことを激しく後悔し、地面をかきむしる圭一。
 それに気付いたレナは、圭一の背中を撫でてくれる。
 レナは、警察も来たし、1時を回ったから、子供たちはもう解散しろと言われた、と圭一に伝える。
 圭一は、自分のせいで消えてしまったとつぶやくが、レナに聞こえてしまう。
 レナは、オヤシロさまの祟りで自分も消えてしまうかも、と圭一が思っているけど、自分は絶対に消えたりしない、と言い出す。
 それを聞いた圭一は、絶対にレナは消えないでくれと願い、泣き出す。
 レナは、婦人会の人がお味噌汁の炊き出しをしているから、飲みにいこう、と圭一を誘う。
 みんなのとこへ行き、魅音に状況を尋ねると、手がかりは全然ないとの返事。しかも、2人が自転車に乗ってどこかへ行ったらしいのだが、誰にも目撃されていなかった。
 そこへ、何人かの警官を従えた大石が現れる。
 大石は、圭一とレナに向かって、ワゴン車で来たので自転車ごと家まで送ろうと言い、レナは、送ってもらうほうが安全だと言って、了承する。
 圭一は、大石の車に乗り込んだ途端、眠ってしまう。


 大石にほっぺたをぴたぴたと叩かれて、圭一は目を覚ます。
 レナはすでに家に送ってもらったらしく、車内は、大石と圭一だけになっていた。
 大石は、お祭りの晩、圭一といっしょにいた鷹野と富竹は亡くなったと話し出すが、すでに知っていた圭一は驚かない。
 大石は続けて、鷹野と富竹が祟りにあった理由は、入ってはいけない禁断の建物に入ってからだと言われており、村長や梨花もその入っていけない祭具殿の鍵を簡易なもの付け替えたせいで賊に忍び込まれたため祟りにあったという噂があると話す。
 続いて大石は、圭一に御三家について話し始める。
 雛見沢の御三家は、公由家、園崎家、古手家の3つで、大昔から、村の決め事は御三家が合議して決めていたといわれている。(公由家は村長の家で、園崎家は魅音の家、古手家は梨花の家。)
 ダム闘争で反ダムの旗頭になった園崎家は、雛見沢を牛耳るトップに躍り出たが、今でも重要な村の方針は、御三家で合議して決めているとのこと。
 古手家は梨花一人だけなので、事実上、まったく勢力は持っていないが、梨花個人に求心力があるようで、お年寄りには妄信する人間が多いとのこと。
 大石は、御三家の人間が相次いで消されていると、圭一に話し、公由家と古手家の当主が消えたので、次は園崎家の当主が消えるのでは?と言い出す。
 当主はお魎だが、事実上の当主権限は魅音に移行しているらしい。つまり、大石は、魅音が消えるかも?と言っているのだ。
 大石は、綿流しの夜から、連日事件が起こっており。明日の晩も何かが起こるかもしれない。それを未然にふせぐには、圭一の協力が必要だと話して、圭一を解放する。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 ルート:魅音 #1 カレー勝負


 トロフィー:ボキャ貧は辛いわぁをゲット!


 今日は半日かけて家庭科の授業だ。みんなでカレーライスを作り、校舎として間借りさせてもらっている営林署の皆さんに食べてもらおうという企画なのだが、上級生は一人ずつカレーを作り、採点されるのだ。
 知恵先生は、カレーの鬼だから、採点は厳しいらしい。秘伝のカレーを研究するために、毎年インドに旅行しているくらいで、ウワサでは、3食カレーライスで、たまに他のものを食べるときでもカレー味だそうだ。
 それを聞いた圭一が、栄養が偏っているとつぶやいた瞬間、調理道具一式が圭一の足元めがけて飛んできた・・・遠くで知恵先生がこっちを見て微笑んでいる。
 魅音は、料理勝負だと宣言すると、知恵先生と校長先生がやってきて、自分たちと営林署の人間5人とで採点すると言い出す。
 レナは、もちろん料理上手で、カレーも得意だ。
 同じ学年の沙都子と梨花は、低学年なので同学年みんなといっしょに作るとのこと。梨花も、料理上手だ。
 まずはご飯。圭一は、父親がデイキャンプ好きのため、飯ごう炊飯は完璧。
 さてカレーのほうだが、レナと梨花の包丁さばきは完璧。
 そして、意外にも魅音の包丁さばきも完璧だった。
 魅音は祖母仕込みで、裁縫からお華にお琴、銃器から無線機、ヘリの操縦までできるとのこと。
 圭一はといえば、ジャガイモの皮はうまくむけない・・・
 圭一は野菜一式をかかえて、その場をあとにする。そして、先日のおもちゃ屋イベントと義兄弟の契りを結んだ下級生の富田と岡村に、圭一が勝てば、梨花と沙都子の作ったカレー、しかも食べかけのものをスプーンも付けて食べさせてやると持ちかけて、下級生の所属する班の料理上手な女子がむいた野菜と交換する。
 圭一があたりを見渡すと、レナは完璧な技でカレーを煮込み、梨花は隠し味のリンゴを投入、魅音は家から持ってきたハンバーグやらスパイスやらでゴージャスに仕上げようとしていた。
 圭一は材料の持ち込みの対し異議を申し立てるが、知恵先生は、おいしいカレーができればなんでもOKといって、却下する。
 苦戦する圭一だが、富田と岡村が、自分達下級生の班で作ったカレー鍋を持ってきて、圭一の鍋とすり替えてくれる。(富田と岡村は、日直3回交代という条件で、同じ班の女子を説得して、カレー鍋を持ってきた)
 あとは、鍋をガス台にかけて煮込むだけ。
 沙都子から、梨花が圭一を呼んでいると言われて、圭一が梨花のところへ行くと、梨花はラクガキしていた。しばらく見ていた圭一が、用は何?と尋ねると、用は終わったと答える梨花。
 あわてて戻った圭一は、自分の鍋の前に沙都子がいるのを発見。
 圭一の鍋の周囲には、お皿やスプーンなどが不安定に並べられている。と思ったら、順次ドミ倒しで倒れていき、最後にフライパンが圭一のカレー鍋をひっくり返し、校庭にカレーがぶちまけられる・・・
 そして、レナのカレーと、魅音のご飯には、大量の塩が入れられ味が変えられていた・・・料理ができない沙都子をノーマークにしていた結果だ。
 審査が始まった。
 レナの塩カレーを食べた審査員たちは顔をしかめる。
 梨花のカレーは評判が良かったが、営林署の一人がニンジンが嫌いだと言い出す。
 すかさず名札を見た梨花が、名前を呼び、ニンジンを残してはいけないと諭すと、涙をこぼしながらニンジンを食べ始める。梨花がお代わりを薦めると、「お母ちゃん」と泣きながらそれも食べる。梨花のカレーは、お袋の味だったのだ。
 そこへ魅音が完璧に盛り付けたサラダ付きのハンバーグカレー(ハンバーグはてこね、ドレッシングは自家製)を持ってくる。
 知恵先生は、魅音のカレーに百点をつける。
 魅音は圭一の飯ごうからご飯を取って、自分のカレーに使ったのだ。魅音は、勝負を最後まで諦めなかったのだ。
 圭一は勝負に勝つために必死で考えて、秘策を思いつき、魅音のしょっぱいご飯をもらい、レナにお茶を用意してもらう。
 圭一は、沙都子と梨花に一騎打ちを申し込み、圭一が百点を取れたら、沙都子と梨花のカレーをもらうことを了承させる。
 圭一はカレーをぶちまけたと言って、塩おにぎりとお茶を審査員に出す。
 カレーに食べ飽きた審査員には、おにぎりが一番だ。
 しかし、カレー勝負なのにおにぎりの点数はつけられないと審査員が言い出す。
 すると圭一は、カレーもおにぎりもお米をおいしく食べるための知恵で、同じ米食文化の結晶だと力説する。
 魅音も、食文化は決められたルールに縛られるものではない、カレーもおにぎりも同じ日本の文化だと、援護してくれる。
 知恵先生は、お鍋をひっくり返したことで減点20、最後までがんばったので20点プラスで、百点をつけてくれる。
 圭一は百点をとったので、梨花のカレーを半分もらい、後輩に渡す。
 その後、怒気を纏った知恵先生に呼び出された圭一は、神聖な料理であるカレーとおにぎりを同一扱いするなんで許せないといわれ、長々とカレー談義を聞かされるはめに・・・


 ルート:魅音 #2 下校

 結局、おにぎりは校長先生に食べられしまい、昼食抜きの圭一は、空腹でフラフラになりながら、レナと魅音とで下校する。
 魅音が今日もバイトだと言うので、ウェイトレスは大変だと返す圭一だが、魅音は自分はおもちゃ屋の店番で、ウェイトレスは詩音だと答える。
 レナは詩音のことは知らないらしく、詩音って誰?と聞いてくる。
 圭一は、魅音の双子の妹で、性格は違うけど外見は瓜二つだと答える。
 魅音は、自分はやさしくて思慮深いが、詩音は冷めてておっかないと付け加える。
 それを聞いた圭一は、生まれたときに、魅音の女の子らしい部分は、詩音に全部言ってしまったとちゃかす。
 レナは、詩音に会ったことはないし、そもそも詩音がいることを魅音から聞いたこともないと言い出す。
 魅音は、詩音は興宮の実家に住んでて、あんまり仲がよくないので、雛見沢には来ないと答える。
 そして、バイトに遅れるからと言って、魅音は、一方的に会話を打ち切って、レナと圭一を置いて走って帰ってしまう。


 空腹でフラフラになりながら家にたどり着いた圭一。すると、玄関のチャイムが鳴って扉が開くと、そこには詩音が立っていた。
 詩音は、魅音から圭一がお昼抜きだと聞かされたので、差し入れを持ってきたと話し、お弁当箱を圭一に渡す。
 そして、詩音は、今からバイトだと言って、あっさり帰ってしまう。
 魅音ならおかずの何らかの細工がされていそうだが、詩音作の弁当は、細工は何もされておらず、おいしかった。


 TIPS:ごちそうさま

 翌日、学校で、圭一は昨日のお弁当箱を魅音に返し、ごちそうさまと礼を言うと、魅音の顔は真っ赤になる。
 魅音が「どうだった?」と聞いてきたので、圭一は、「うまかった」と答えると、魅音は自分のことのように気持ちよさそうに笑う。
 魅音が弁当箱をしまおうとすると、カラカラと音がする。
 魅音が弁当箱を開けると、中にきれいな包み紙で包まれた飴が入っていた。
 圭一は、母親にお礼に入れておけと言われたからと答える。
 魅音は、陶酔しきった顔で、ありがとうとつぶやく。
 圭一は、それは詩音にあげるものだと言うと、魅音は残念そうな顔をしながら、弁当箱をしまう。


 ルート:魅音2 #1 梨花の練習

 今日の4時間目は体育の授業。この学校では、最初に準備体操をすれば、あとは生徒たちの自由時間になる。
 さっそく魅音が部活タイムを宣言するが、梨花が不参加を表明し、部活は中止になる。
 梨花は、今度の日曜日に行われる綿流しの練習をするといって。沙都子といっしょに校舎裏へ向かう。
 話がまったくわかない圭一に、魅音とレナが、梨花が綿流しの巫女役となり、奉納の演舞をするから、その練習だと教えてくれる。
 綿流しのお祭りは、冬の間にお世話になった布団に感謝し、巫女が供養して、最後に川に流す祭りとのこと。
 巫女は、祭事用の大きな鍬を持って演舞するのだが、梨花にはとても重たいものらしい。祭事用の神聖な鍬のため、落としたら大事になるとのこと。
 圭一が練習しているところを応援したいと言うと、レナと魅音から、梨花は努力しているとこを人に見せるのが好きじゃないから、そっとしといてあげてと言われる。


 午後の授業、昨日の昼飯抜きの反動から、昼ごはんを食べ過ぎて気持ち悪くなっている圭一。
 魅音は、圭一に、いつもご飯一粒を残さずきれいに食べてると指摘すると、作ってくれた人に感謝して食べてるからと答える圭一。
 それを聞いた魅音は、圭一は見かけによらず律儀だというと、レナも同感する。
 雑談の声が大きすぎて、知恵先生に怒られる魅音。
 レナは、人は見かけによらない、見かけとは逆が真かもと言い出す。
 それを聞いた圭一は、沙都子にもしおらしい面があるのかと尋ねると、レナは、沙都子には内緒だが、ちょっと前までは甘えんぼだったと答える。
 圭一は、そういえば見た目可愛らしい梨花の中身が狸だということに気づく。
 レナは、梨花は大人になったら、男を振り回す小悪魔のような女性になると断言する。
 圭一は、がさつで計算高くてずる賢い魅音はどうだろうとレナに聞いてみる。→魅音は、気のいい仲間だってことだぞ?
 レナは、魅音は女の子だけと男の子みたいに振舞っているが、本当はすっごく女の子らしいと答える。そして、レナは、魅音はみんなのリーダーとしてがんばっているけど、本当はとってもかわいい女の子で、圭一には忘れて欲しくないと話す。
 それを聞いた圭一は、詩音のことを思い出す。
 最後に圭一は、レナも見かけによらないのかと尋ねると、レナは自分はどう見えてるのかと逆に聞き返してくる。
 圭一は、自分ににとってレナは、ときどき悪ふざけがすぎるが、基本的におしとやかで親切でやさしい理想的な女の子だと答えると、レナは嬉しいと喜ぶ。
 レナは、逆ならどうなの?と聞いてくるので、圭一は、逆でもレナはレナだと答える。


 下校時、家の鍵をなくしたことに気づく圭一。
 魅音に特徴を聞かれて、夏休みの宿題に作らされた青いオットセイのキーホルダーが付いていると答える圭一。
 魅音はそれを聞くとなにやら思い出した様子。→・・・見たのか?
 魅音は、一昨日エンジェルモートで圭一が食事をした晩に、店でオットセイのキーホルダーの付いたカギの落し物があったと詩音が言ってた、と答える。


 帰宅後、圭一はカギを返しにもらいにエンジェルモートへ向かうが、停めてあったバイクを不注意で蹴っ飛ばしてしまい、3台こかしてしまう・・・
 すぐそばにいたバイクの持ち主である不良に見つかり、取り囲まれる圭一。
 そこへ詩音が現れ、「失せな」と声をかける。それは、圭一が一度も見たこともない恐ろしい形相の魅音だった。
 魅音の周りには、敵意に満ちた年齢・性別がバラバラな人たちが集まり始め、周囲を取り囲む。
 圭一がよく見ると見知った顔も交じっている。雛見沢の人たちが集まっているのだ。
 20人ほどの人間が集まったところで、警官たちがやってくる。
 それを見た詩音は、恐喝の現行犯を捕まえてと訴える。
 不良たちは、警官に引きずられてバトカーの中に消える。
 警官たちのリーダーらしき刑事は、集まってくれた人々に軽く一礼すると、詩音は、「ご苦労様です、大石刑事」と声をかける。
 二言三言会話して、パトカーは去っていく。
 それを確認した詩音が指をパチンと鳴らすと、みんながいっせいに笑い出し、圭一に声をかけて去っていく。
 詩音は、魅音からオットセイのカギの落とし主が圭一だと聞いたと話す。


 ルート:魅音2 #2A エンジェルモートにて


 エンジェルモートに入った圭一は、制服に着替えた詩音から、アイスコーヒーをおごってもらう。
 圭一が詩音に礼を言うと、詩音は、自分がピンチになったらきっと助けに来てと答える。
 圭一は、もちろんだと約束する。
 詩音は、おなかがすいたと言って、圭一にも食べる?と声をかける。
 圭一は遠慮なく頂くと答えると、ホットケーキを2つ注文する詩音。
 圭一が、バイト中でそれはまずいんでは?と言うと、詩音は、不良に絡まれているところを圭一に助けられたと叔父さん=エンジェルモートの店長に伝えたら、ねぎらってあげろと言われたと答える。
 ホットケーキを食べながら詩音と他愛のない会話をするうちに、詩音は女の子だなと思う圭一。
 詩音は、魅音と圭一がノンセクシャルな関係で仲が良いので、うらやましいと言い出す。
 そして、詩音は、詩音と魅音がピンチで崖にぶら下がっているとしたら、一人だけ助けるならどっち?と、圭一に尋ねる。
 詩音だと圭一が答える。そもそも魅音ならそんなピンチに陥らないと思うし、自分でなんとかできるろう。
 詩音がさっきの出来事に話題を戻し、雛見沢の人間はみんな結束していると話す。一人の敵は全員の敵だと。
 詩音は、雛見沢は昔から廃村の危機に逢うたびに、結束して戦って存続を勝ち取ってきたと話す。10年くらい前の雛見沢ダム計画のときも、みんなで団結して中止させたとのこと。
 詩音が生まれる前からダムの話はあったのだが、いつのまにか巨大ダムの計画に発展して、雛見沢どころかさらに上流の村まで水没することになってしまい、住民運動が始まった。
 土地の強制収用が始まる頃、機動隊と小競り合い目立つようになり、詩音も殴られてケガをしたとのこと。
 詩音の祖母が激怒して、全面戦争になり、ダム建設中止の仮処分を裁判所に申請、世論を見方につけるため雛見沢の生態系がいかに貴重なものであるかをアピール、ダム建設派の知事の罷免要求などを行い始めた。
 そして、マスコミと連携し、機動隊の暴力行為をすっぱ抜き、住民闘争を踏みにじる政府をテーマに特番を組ませ全国放映させ、機動隊を封印させた。
 連日のように署名活動やデモで運動をアピールし、とうとうダム計画を無期限凍結すると国に発表させることに成功した。


 家に戻って夕食をとったあと、圭一のところに詩音から電話がかかってくる。
 明日、夏の新デザートコンテスト=新作デザートの味見があり、圭一をモニター当選者として登録しておくから参加して欲しいと、詩音から誘われる。当然、無料で食べ放題とのこと。
 詩音は、明日のバイトは短時間なので、バイトが終わったあと、散歩に付き合って欲しいと話し、圭一が了承して電話を終える。


 TIPS:三人組の顛末

 警察署につれ行かれた3人組の不良に、大石は、地元の人間じゃないから知らなかっただろうが、雛見沢の人間に手出しするなと忠告する。1人をいじめたら、村中が総出でやってくるからと。
 さらに大石は、雛見沢の人間ににらまれたら、鬼隠しにあって、跡形もなく忽然と消えてしまうと続ける。
 そして、大石は、不良たちに、バイクを取りにさっきの場所に戻ったら、袋叩きにあうと忠告するが、不良は拒否する。
 盗難バイクだと気づいた大石は、署員を呼び不良たちを取り囲む。


 ルート:魅音3 #1 ちょっとしたラッキー

 今日は詩音とデザート食い放題のため、部活はなし。
 圭一はウキウキしており、レナになんだかうれしそうと指摘される、
 決められた人しか入店できなさそうなので、レナには、「ちょっとしたラッキーでさ、明日報告してやるよ」と答える。
 魅音は、二ヶ月前にエンジェルモートの三角くじに当たったのか?と聞いてくる。
 圭一は、転校してくる前じゃないかと突っ込むと、魅音は、デザートフェスタじゃないんだと言う。
 レナがよくわからなさそうにしているので、魅音は昨日詩音から聞いた内容をレナに説明し、クジ当選者以外は入店できない貸切デーだと付け加える。
 圭一は、魅音にだけ聞こえるように礼を言うが、魅音は何?と小首をかしげる。
 魅音は、今日のバイトはハードなんだと言って、去っていく。
 レナは、魅音は最近うれしそうにしていると、言い出すが、圭一は、知らなかったと答える。
 レナは、魅音が機嫌が良いとレナも嬉しいと話す。
 「・・・そうか?」と圭一が答えると、レナは、魅音は最近すごく傷つけられたと話し始める。初めは気にしてないふりをしてたけど、だんだん腫れてきて、とうとう痛みがこらえきれなくなったので、夜中に目を覚まして、泣きながらレナに電話をしてきたと。
 何の話かと圭一がレナに聞き返すと、レナは、何もしらないとはぐらかし、とうとう圭一が聞きなおすことができなかった。


 ルート:魅音4 #1 デザートフェスタ

 圭一がデザートフェスタに着くと、招待客ではない男たちに囲まれる。
 彼らは、チケット1枚で4人入店できるので、自分達をお供にしてくれと頼んでくるが、それを無視して店内に逃げ込む圭一。
 名前を告げて店内に案内してもらうと詩音がやってきたので、さっそく礼を言う圭一。
 詩音は、仕事が終わったら一緒に遊びにいきましょうと言って、厨房へ戻る。
 しばらくすると、ガシャーンという盛大な音が響いた。
 振り返ると詩音が転んで、お客にオーダーをぶちまけていた。
 お客は生クリームでベトベトになっているにもかかわらず、なぜか嬉しそうに、フキフキしろと言いだし、周りの客もフキフキコールを始めだす。
 先輩ウェイトレスは、詩音はわざと足を引っ掛けられたと話す。最近、わざと衣服を汚させて絡んでくる客が多いのだと。
 圭一は詩音に助けられたことを思い出し、あのときの恩を返すべく、立ち上がる。
 しかし、オタクは何かの武道をやっているらしく、逆に圭一のほうが吹っ飛ばされる。
 圭一が気づくと、自分の席に寝かされており、詩音が謝っている。
 詩音が持っているおしぼりには、生クリームが付いていた。
 圭一は、あと3人呼べることを思い出し、店の電話を借りて、レナ、沙都子、梨花を呼び出す。
 圭一は、ここでバイトしている魅音の妹の詩音がさっきここでやられたことと、自分の不甲斐無さを、3人に話し、詩音の護衛と敵勢力=詩音にちょっかいと出そうとするやつらの殲滅を頼む。
 そして、3人への報酬は、今食べているデザート。全責任は圭一が取るので、手加減はなしで。
 詩音がオーダーのパフェを運んでいる。レナは、かぁいい詩音の制服に釘付けで、背後をぴったり護衛している。
 オタクどもが詩音の足を引っ掛けようと足を出してくるが、レナは、「おいたはメッ!」といいながら電光石火な早業を使い、オタクども足に攻撃を加える。
 詩音がオーダーのため店内を何往復かするころには、足や手にアザを作った連中が悶絶していた。
 続いて、アザを作った連中どもへ、沙都子の手の入ったデザートが一斉同時に配られる。
 沙都子のデザートを食べた男たちは、腹を押さえながら席を立ち、トイレへ殺到する。沙都子は下剤を仕込んだらしい。
 圭一が様子を見に行くと、トイレに通じる狭い通路は男たちでひしめき合っている。なんとすべての便器に故障中の紙が張られ、蛇口の栓がはずされている。
 男達は最後の手段で、女子トイレに向かうが、そこには梨花がいた。
 男どもは梨花に事情を説明すると、梨花は外のトイレに案内するといって、のんびりと外へ連れ出そうとする。
 外に出る扉の前で圭一が、チケットに途中退店無効の記載があると告げる。つまり、いったん店の外に出たら、二度と戻れないのだ。
 悪態をつき始める男たちを見て、怖い人たちの案内はしたくないと言い出す梨花。
 それを聞いた男達は、態度を変えておとなしく梨花について店外へ出て行く。
 圭一たちの完全勝利!!!
 自分のために、圭一たちが仕返しをしたことに気づいた詩音は顔を真っ赤にしながら厨房へ逃げる。詩音はみんなには感謝しているが、みんなの前でお礼を言うのが恥ずかしいらしい。
 お店のスタッフや、紳士的なお客さんたちも、拍手で称えてくれる。
 ずいぶん時間が経ってから梨花が戻ってきた。梨花はヘンな道を通ってトイレに案内したので、帰り道で迷子になったらしい。
 後日、新聞で、飛騨山中で行方不明男性10人を保護の記事を見つけた圭一。男性たちは、鹿骨市から徒歩でトイレにやってきたと主張しているが、保護された場所と100キロ以上離れていると書かれおり、改めて梨花の恐ろしさを知る圭一。


 ルート:魅音4 #2 レナの助言

 部屋の片付け中だった梨花と沙都子は、圭一の用事が済んだので帰り、レナと二人きりになった圭一。
 レナ・・・なに怒っているんだ?
 そう思っている圭一のところへ、詩音が4人分のコーヒーを運んでくる。
 照れているらしく詩音は素っ気無い態度で礼を言うと2人分のコーヒーを置いて、厨房へ戻っていく。
 レナは、詩音のことを、双子というよりは、もう一人の魅音みたいだと言い出す。
 圭一は、外見はそっくりだけど中身は違うと言うと、レナは、中身もそっくりだと言い返す。
 圭一は、レナに再度、魅音が傷つけられた話を聞いてみるが、とぼけるレナ。どうやら、圭一が魅音を傷つけたと言っているのだ。
 どの出来事かは分からない圭一は、悪気はなかったと話すと、レナも同意する。
 どうやらレナは、圭一が何気なくしたことで魅音が傷つけられて、それに圭一が気が付かないことに怒っているのだ。
 圭一は、自分に落ち度があるなら、はっきり言ってほしいとレナに伝えるが、レナは、圭一には落ち度はなく、魅音がずるいのかもしれないが、こういうのは自分で気づかなきゃと、ぴしゃりと言い切る。
 圭一が頼むと、レナは、ヒントだと前置きして、詩音が髪を上げて結んだら魅音と見分けが付かないが、魅音が髪をほどいたら詩音と見分けがつかない?と聞いてくる。
 圭一は、見分けが付かないと答えると、レナは、双子の妹の話はウソで、あれは詩音のフリをした魅音だったら?と聞いてくる。
 圭一は、何のためにそんなことをするんだと聞き返すと、レナは、そこを考えろと言って席を立つ。
 レナは、なかったことにして圭一が忘れてしまったもいいが、同じ女の子としては、圭一が自分で気づいて自分で謝りに来て欲しいものだと言って、帰ってしまう。


 バイトが終わり、私服に着替えた詩音が、圭一のところへやってくる。
 圭一は、さっそく感謝の言葉を述べる。
 店の外に出て、ブラブラ歩き出すと、詩音は自己紹介を始める。詩音は、魅音とは外見がそっくりだが、魅音は大雑把で暑苦しいが、自分は几帳面で涼しい人間だと話す。
 圭一は、魅音が自分のことを何と言っているか聞きだすと、詩音は、お気に入りだがら、やられたとかやり返したとこ男の子みたいな話ばかりいろいろ教えてくれたと答える。
 詩音は、圭一をつれていろんな店の商品を見て回る。
 突然詩音が腕を組んできたので、おどろく圭一。
 恥ずかしいのかと詩音に聞かれて、強がってわざと腕を出す圭一。すると詩音は、圭一の腕に組み付いてくる。
 詩音のイタズラっぽい笑い方があまりにも魅音にそっくりなので、圭一は、詩音に、魅音が詩音のフリをしているのか?と尋ねると、詩音は、圭一は魅音と詩音の区別は付いていると答える。
 詩音に、もし魅音が腕を組んできたらどう思うと聞かれた圭一は、関節技をかけられそうでドキドキすると答える。
 それを聞いた詩音は、男の子と腕を組んでドキドキさせないなんて、女の子失格だと言い出す。そして、魅音はぶきっちょだから、女の子したいのか男の子がしたいのか中途半端だと続ける。
 詩音が魅音に対して辛らつだと圭一が言うと、詩音は、魅音のどことなく甘えたところが好きじゃないと答える。
 二人はあんまり仲良くないのかと圭一が尋ねると、そこそこ仲良くやっているが、姉妹として許せないところはいろいろあると答える。
 突然、詩音が指を差すと、その先には→あれは・・・レナにあげた人形?があった。
 そこは、見覚えのあるおもちゃ屋のショーウィンドウだった。この前部活をやったおもちゃ屋だ。
 詩音は、かわいいと言うが、圭一にはわからない。
 詩音は、人形とかぬいぐるみとかを嫌いな女の子はそんなにいないと話す。魅音でさえかわいいと言っていたとも。
 圭一は、イベントを盛り上げたお礼に圭一がもらった人形が、これだと思い出す。そして、魅音が実は照れ隠しでいろいろ言っていたが、うらやましそうにみんなの後ろから見ていたことに今気づいた!
 圭一は、最初は何ももらっていない魅音に人形を譲ろうとしたが、結局レナに渡し、その時、魅音にあげようと思ったが、ちょっと違うと思って、レナに渡したと、弁明したことも思い出す。
 その時、魅音が、どうして男に生まれなかったんだろうと、明るく笑って答えたので、圭一は、魅音を傷つけたことに気が付かなかったのだ。
 それと、詩音のことをレナにはじめて話したときも、圭一は、生まれたときに、魅音の女の子らしい部分は、詩音に全部言ってしまったとちゃかしたことを思い出した。
 そして、レナも、魅音はみんなのリーダーとしてがんばっているけど、本当はとってもかわいい女の子で、圭一には忘れて欲しくないと話していたことも思い出す。
 魅音は、あのとき、圭一から人形をもらいたかったのだ。魅音だから圭一から人形をもらえないと知った魅音は、詩音というキャラを作り上げたのだ。
 詩音が人形がほしいと言うので、魅音のために買ってやると答える圭一。
 詩音は、自分は詩音だと言い張るので、圭一は、詩音に買ってやると言いなおす。
 店に入り、人形が欲しいと告げると、店の奥から、エプロンを付けた魅音が出てくる!
 圭一と詩音が腕を組んでいるのを見て驚く魅音。
 詩音は、魅音に、圭一とデート中だと告げる。
 圭一は、今まで、詩音のことを魅音が別キャラを演じているだけと思っていたのに、本当に魅音とは別人だと気づいて大慌て。
 詩音は、魅音に、魅音のお気に入りの圭一がどんな人か知りたくで、デザーフェスタのチケットを都合したと話し出す。圭一は、嫌なお客に絡まれているところを助けてくれたと続ける。
 本当に詩音は、詩音だったのだ。
 詩音は、魅音に、あの人形を大好きになった人から初めてもらうプレゼントだから、ちゃんと包んで欲しいと頼む。


 TIPS:初めましてじゃないです

 詩音の家の人がワゴン車で迎えに着たので、自転車ごと車に押し込まれた圭一。
 「初めましてじゃないです」と言う詩音は、魅音以上の役者だった。
 詩音は、昔を服を取替えっこしただけで、誰も見破れず、いろいろと騙したと話す。
 それを聞いた運転手の葛西は、深いため息をつく。
 別れ際に葛西は、圭一に、しばらく災難があると思うが、そのうちに飽きるので、それかで辛抱くださいと告げる。それは、詩音が、魅音並に迷惑をかけると言っているようなものだった。


 ルート:魅音5 #1 別々の昼食

 翌日、魅音は圭一と目が合うとどこかへ行ってしまい、見かねたレナが介護していた。
 圭一はレナに呼び出されて、魅音が昨日までの数日間はなかったことにするから、圭一もなかったことにしてほしいと言われる。そして、今日は部活もなにもないから、今日だけは一人で下校してほしい、明日からは元通りだからと、レナは言った。
 レナは魅音にずっと付きっ切りで、圭一と魅音はお互いに意識しないように振舞い、お昼も圭一一人で、魅音はレナと二人っきりで食べた。
 梨花が圭一を慰めてくれるが、沙都子がそれをちゃかし、結局、バタバタになってしまう。


 放課後→はぁ、帰ろう・・・
 
 
 ルート:綿流しB #1 祭りの手伝い

 梨花が明日の綿流しのお祭りの予行練習があるとのことで、今日の部活はなし。
 下校途中、圭一は、祭りはどこでやるのかを尋ねると、魅音は、以前お散歩したときに行った古手神社だと教えてくれる。神社には立派な集会所があり、公共施設なような雰囲気があるとのこと。
 祭りの設営には男手がいるとのことで、町から魅音の親類が大勢手伝いに来るという話を聞いた圭一は、設営の手伝いを飛び入りだけどしたいと伝え、了承される。
 どうやら魅音は、昨日1日で完全に立ち直ったようだ。


 さっそく着替えて神社に向かった圭一。
 神社には大勢の人が集まり、祭りの準備をしている。
 魅音を探してキョロキョロしてる圭一に、校長が声をかけてくる。校長に促されて、テントの設営をしている人のところへ行き、圭一は手伝いに来たことを告げ、あいさつする。
 テント設営は初めての圭一に、大人たちは、上機嫌でいろいろ教えてくれる。
 その後、たっぷり手伝いをし、女衆から麦茶をもらって休憩中の圭一は、社のほうに人だかりができてるに気づく。よく見ると巫女姿の梨花が、じいさんたちとセレモニーの段取りをしていた。
 梨花にがんばれと圭一が声をかけると、スマイルを返す梨花。
 圭一に麦茶を運んでくれた女衆は、ありがたやと言いながら、梨花の姿を拝んでいる。
 そういえば、ここは古出神社で、梨花の苗字も古出だと圭一は気づく。
 すると横で休憩した男が、梨花は古出一族の人間で、古出一族はオヤシロさまをお祀りする由緒正しい一族だと教えてくれる。梨花は、一昨年、神主だった父親が亡くなってから、祭事を引き継いだとのこと。
 手伝いの途中で、圭一は同じく手伝いをしている魅音とすれ違い、お互いにがんばれと声をかけあう。


 祭りの準備が終わり、大人たちは酒盛りをしている。未成年の圭一は、それを遠くで見ながらボーッとしていると、詩音がお疲れさまと言いながら、麦茶の入ったコップを圭一に差し出す。
 詩音は、仲直りの麦茶だから、機嫌を直してと言う。
 詩音にもらった麦茶を一気に飲む圭一。
 その時、麦茶の入ったコップを2つ持った魅音が現れる。
 「お姉は、クラスメイトの男の子に甲斐甲斐しく麦茶を持ってくるわけない」と詩音に断言された魅音は真っ赤になりながら、紙コップを隠そうとし、喉が渇いたから2杯飲もうと思ったと言い出す。
 それを聞いた詩音がイッキコールをしたので、魅音は、麦茶を2杯とも飲み干す。
 詩音に頭が上がらない魅音を見て驚く圭一。
 その時、シャッター音が聞こえてきた。
 カメラマンの富竹と、連れの女性が挨拶してきた。圭一以外は、顔見知りのようだ。
 女性は、診療所の看護師をやっている鷹野三四とのこと。
 魅音を鼻であしらう詩音を見て、エンジェルモートで弱弱しくしていのは、演技だと疑う圭一。詩音のほうが、魅音よりずっと役者は上のようだ。
 鷹野は、魅音と詩音は昔はもっとそっくりで、両親でもわからなかったと話す。
 そこへ大石刑事もやってきて、みんなに軽く挨拶する。
 大石の去り際に、詩音が「今年はみんなの手を煩わせない綿流しにしたい」と言うと、鷹野は嬉しそうな顔をし、富竹は「君も好きだね」とあきれたように言う。
 富竹が、オヤシロさまの祟りと言い出すと、魅音が圭一の手を引っ張り、お菓子をもらいにテントへ行こうと誘う。
 詩音が、「今年は誰が死んで、誰が消えるんでしょうね」と言い出し、思わず詩音に聞き返す圭一。
 魅音は圭一に教えたくないようしているが、圭一は、除け者なんて気分が悪い、知っているなら教えてくれと言い出したので、魅音は圭一の手を離し、一人でテントに向かう。


 富竹が、ダム工事について話し始める。
 数年前に、雛見沢が丸ごと水没する巨大ダムの計画が発表され、それに反対するため住民運動が結成され、国との激しい戦いを繰り広げた。
 雛見沢の住人は持てる力を全て振り絞って、村一丸となって戦い、国の背策を跳ね返した。
 その雛見沢の人たちが結束して旗揚げした反対同盟の事務所は、この神社の集会所だった。村人は、雛見沢の守り神であるオヤシロさまを祀る神社に本陣を置くことで必勝を祈願したとのこと。
 続いて、鷹野がオヤシロさまについて話し始める。
 オヤシロさまは、雛見沢に伝わる古い神様で、神聖なこの地が俗世に汚されることがないよう守り続けてきたと伝えられている。
 オヤシロさま崇拝は、一種の選民思想(自分達は優れた民族、神に選ばれた特別な民族だとするナショナリズム的な思想)の表れとのこと。
 大昔の雛見沢の人たちは、自分達は人間とは異なる格の違う存在だと強く信じており、下界との交流を格が落ちるとして忌み嫌っていた。だから、村に下界の人間が来ると不純が交じってオヤシロさまのバチが当たると強く信じ、何者を近寄せなかった。
 そして、4年前、ダム計画の反対運動をしている最中、雛見沢ダムの建設現場の監督が殺されバラバラにされるという事件が起こった。
 その翌年、雛見沢の住人でありながらダム推進派グループを結成した男が、旅行先でガケから落ちて死んだ。雛見沢中から敵視されていた人物なので、警察も念入りに調べたが、事故と断定さてた。
 さらにその翌年、この神社の神主が原因不明の病で急死した。この神主は、ダム反対運動とは距離を起きたがっていたため、当時の村人の中には怒りを抱く人もおり、神主が死んだとき、年寄り連中は、オヤシロさまの祟りだと言っていたとのこと。
 そして、これらの事件や事故は、毎年、綿流しのお祭りの晩に起こった。
 さらに翌年、つまり去年は、事故死したダム推進派のリーダー格の男の弟の妻が、撲殺死体で発見された。この事件の犯人は捕まっている。
 オヤシロさまの祟りだと信じる人が増え、不信心者にはバチがあたるかもとのことで、近年、祭りへの参加者が増えたとのこと。
 話を聞き終えた圭一は、祟りではないと思っているが、信じる人の気持ちもわかると答える。
 鷹野は、祟りでもなく、偶然でもないないのに、毎年人が死ぬってことは、人の意思が働いているとしか考えられないと言い出す。
 大石は、犯人は雛見沢の人間だと見ているとのこと。
 そして、詩音は、雛見沢の人間にはわかる、雛見沢の人間尾犯行だという証拠あると言い出す。それは、必ず1人が死んで、もう1人が消えるからと。
 雛見沢の古い古い伝統にひとつに、オヤシロさまの怒りを鎮めるために、生贄を捧げたというのがある、と鷹野が話し始める。簀巻きにされて、底なし沼に生きたまま三日三晩をかけてじわじわと沈めたと。
 鷹野は、郷土史とか民間伝承が趣味で、独学で調べたとのこと。
 富竹は、過去の事件では、必ず1人が死ぬほかにほう1人が消えていると話す。
 最初のダム現場の監督の殺人事件では、複数犯の最後の1人がいまだに逮捕されていない。
 次の年のダム推進派のリーダー格の男の事故死では、いっしょに落ちた奥さんの遺体が発見されていない。
 その翌年の神主の病死のときは、神主が死んだ晩に、神主の妻が「死んでオヤシロさまのお怒りを鎮めに参ります」という内容の遺書を残して、底無し沼で入水自殺したが、遺体は発見されていない。
 その翌年のダム推進派の男の弟の妻の殺人事件のときは、被害者の義理の甥の北条悟史という詩音と同じ年の男の子が消えたとのこと。
 詩音は、誰かがオヤシロさまの祟りという名で1人目を殺し、誰かがその生贄として2人目をさらっていると言い出す。
 魅音は雛見沢のことが好きだから、圭一に悪いイメージを持たせまいとして、オヤシロさまの祟りには話さなかったが、詩音は、雛見沢のことが嫌いなようで、雛見沢の人間が犯人だと強く確信している。
 鷹野は、自分は探偵になるつもりはないと言い切る。古式ゆかしい残酷な風習やおとぎ話に興味があって、知的好奇心で面白がっているだけだと。
 明日は一体誰が死んで、誰が消えるのかしら?と、微笑みながら話す鷹野。


 話が終わったので、圭一は魅音が待つテントに行くが、魅音はすでに親族と帰ってしまったと言われる。


 TIPS:スクラップ帳よりⅠ

 オヤシロさまの祟りについて

 古代鬼ヶ淵村では、オヤシロさまの怒り(祟り)は何よりも恐れられていた。
 だが、オヤシロさまが怒ると最終的にどうのような神罰(祟り)が下されるのかは記述が少ない。
 伝聞から調べる限りでは、「地獄の釜が開く」「鬼が溢れ出す」「地獄の瘴気が溢れ出し、村人たちことごとく逃れることも叶わず、息絶えるなり」といった、村の全滅を想起させる物騒なものが目立つ。
 オヤシロさまの怒りに触れる条件=鬼ヶ淵村における禁忌といえるだろう。
 この禁忌を犯す行為が行われたとき、オヤシロさまは怒ったと称され、その怒りを鎮めるために生贄の儀式が行われたと考えられる。


 TIPS:スクラップ帳よりⅡ

 生贄の儀式について

 儀式は、神聖な沼である鬼ヶ淵沼に言えk煮を沈めることで成立した。
 鬼ヶ淵村の儀式で特徴的なのは、生贄を三日三晩もの長い時間をかけてゆっくりと沈める点にある。
 生け煮を沈めて殺すことよりも、沈める(鎮める)行為に重きが置かれていたと考えられるが、その方法は知る限り文献には載せられていない。
 私の想像では、丸太等で巨大なイカダを組み、そこへ処刑台を設え、縄で生贄を吊り上げ、時の刻みに合わせて少しずつ沼へ沈めて行ったのではないかと思う。
 だがそうだとするのならば、その儀式に使った祭具は神聖なものとして崇められ、どこかに祀られていてもおかしくない。


 TIPS:スクラップ帳よりⅢ

 儀式の祭具について

 古代の宗教儀式に用いられた儀式道具は祭具と呼ばれ、その一部が今日も古手神社や御三家の蔵に祀られている。
 だが、それらの確認できる祭具はいずれも装飾的なものばかりで、鬼ヶ淵村の暗部を司る儀式にしようされたと思われるものは何一つない。
 鬼隠しの夜の宴に使った祭具も、生贄の儀式に使った祭具も、人知れずそれらは祀られ、現存しているに違いない。
 それがどこに祀られているか、九分見当はついている。
 これまでは堅牢だった施錠が、今年からどういうわけか低廉な安っぽい南京錠に変わったのだ。あの程度の錠前なら、彼なら何とかできるかもしれない。
 だが、集会所が遠くないということもあり、常に人の気配の絶えない場所でもある。
 雛見沢中の全ての村人の死角となる夜が、もうすぐやってくる。


 TIPS:いよいよお祭り

 明日がいよいよ綿流し。
 大石は、警備の準備にあたる刑事たちに、犯罪の抑止のために任務を全うするようにと訓示をたれる。
 大石は、今年も必ず事件が起きて、誰かが死んで、誰かが消えると言い出し、課長に注意されるが、大石は、起こった何かに迅速かつ徹底的にどこまでも食いついていくこと、オヤシロさまの祟りのバケの皮を完璧に引っぺがす!と気勢を上げる。


 TIPS:スクラップ帳よりⅣ

 綿流しについて

 綿流しの儀は今でこそ、毎年6月に行われる村祭りだが、その原点を紐解くと、実に血生臭い儀式にたどり着く。
 本来、綿流しは、一定周期に基づき、オヤシロさまの信託を得て生贄を選び出し、それを村ぐるみで狩り(鬼隠し)、儀式めいた方法で饗するう宴であった。
 古代の鬼が淵村の住人は自分達が妖しの力を持つ仙人で、人間よりも高貴な存在であると固く信じ、それを内外に認めさせていた。
 以下は仮説だが、綿流しの儀を、閉鎖環境である鬼が淵村の内側に何らかの不満が募った場合のはけ口や、目を逸らすための目的で開かれた、政治的なイベントとも考えられないだろうか。
 こうした目的で主に開催されていたとするならば、儀式の不定期性にも説明がつきやすい。


 TIPS:スクラップ帳よりⅤ

 なぜ祭具はこれほどまでに必要なのか

 祭具の具体的な形状についての記述はほとんど見つらない。
 一部の文献では、綿流しの儀に用いた祭具だけでも二百を数えると記されている。
 ここでぶつかる疑問は、なぜ多種多様なものが必要だったかという点だ。
 綿流しの儀は、鬼隠しによって狩ってきた生贄を饗すものだ。
 そのための解体道具や拘束道具が考えられるが、それでも二百を越えるとは多すぎる。
 基本的に道具の進化は、ある到達点への模索である。
 時代と共に多様化する文化のひとつに娯楽がある。
 娯楽に使用する道具は時間と共に進化し、多様化する。
 一般的な道具とは違い、到達点に至ることはすなわり行き詰まり(マンネリ)であり、次なる到達点を求め、いくつもの亜種にも分裂する。
 では二百を越えると伝えられる祭具にも、娯楽性が宿っているとは考えられないか。
 もちろんこれも仮説だが、生贄を捧げる過程が一種の娯楽(見世物)として扱われていたのではないだろうか。
 観客を飽きさせないために、様々な斬新で興味を引く祭具(解体道具)が歴代の御三家当主たちによって、次々開発されていった。そう考えられなくもない。
 あの祭具殿の中に、それらが全て祀られているのは間違いない。


あなたの乾きを癒せない。
真実を欲するあなたがそれを認めないから。

あなたの乾きを癒せない。
あなたの期待する真実が存在しないから。

それでもあなたの渇きを癒したい。
あなたを砂漠に放り出したのはわたしなのだから。

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 興宮警察署事件調書:共通ルートから開始!


 1日目 #1 東京からの帰り道

 2日目 #1 登校

 下校途中、レナと魅音から、雛見沢を一人で回れない圭一のために、明日、雛見沢を案内してあげると言われる。→「もちろん


 3日目 #1 レナたちと散歩

 レナと魅音とで雛見沢を案内してもらう圭一。
 お昼は、梨花と沙都子も加わる。
 そして、圭一と沙都子でおかずの争奪戦が勃発→ブロック
 しかし、圭一は沙都子の肘鉄を眉間にくらい、気を失ってしまう。
 10数分後に圭一が目覚めたときには、すでにおかずの大半は、みんなに食べられてしまっていた。
 弁当を食べ終わり一息ついてから、沙都子からお弁当を作ったレナへの賛辞勝負を仕掛けられる圭一。
 沙都子は、レナを萌え落とすことに成功し、レナからごほうびのリンゴのうさぎをゲット。
 圭一は、誠意が一番、素直に「ありがとう」と言い、レナが心を込めて作ってくれたからおいしいかったと話す。
 しかし、レナは、時間がなくて冷凍でゴメンと、逆に誤る。
 圭一は、真心がしっかりと込められていれば、冷凍だって一流シェフにはかなわないくらいおいしい料理ができると熱弁をふるい、トドメに、レナは絶対にいいお嫁さんになると締める。
 レナは、喜んでタッパーいっぱいのリンゴのうさぎをくれ、沙都子に完全勝利する。
 と思ったら、沙都子の目配せで梨花が、自分が男だったらレナをお嫁さんにすると宣言し、レナが萌えて、圭一にあげたリンゴのうさぎを回収し、梨花に渡してしまうが、レナは、圭一の言葉が一番うれしかったといったので、今回の勝者は圭一に決定。


 3日目 #2 レナとの帰り道

 みんなと別れ、圭一はレナと家路につく。
 途中で、レナから、寄り道しない?と聞かれて→「あ、しまったお袋の用事が・・・
 圭一は、レナと別れ、母親に頼まれて買い物をするために、興宮のスーパーへ向かった。
 スーパーで圭一が買い物をしていると、同じく買い物中の梨花に遭遇。
 梨花から、買い物リストの内容と違うものを買っていると指摘されながら、買い物する圭一だった。
 買い物が終わりスーパーを出たところで、梨花が財布を落とし、小銭をばら撒いてしまう。
 すると梨花の周りに雛見沢の人たちが集まってきて、落っことした小銭を拾い集め始める。
 梨花がお礼を言うと、雛見沢の人たちは、手を合わせて、ありがたや、ありがたやと答えている。
 そこへ、フリーのカメラマンの富竹がやってくる。
 富竹は、野鳥の撮影で、よく雛見沢に来ているとのこと。
 富竹は、合ったばかりの圭一が、雛見沢に来たばかりの人間だと気づき、雛見沢の人間は連帯感がとても強く、梨花は特に雛見沢の人々の心のよりどころになっていると教えてくれる。
 梨花が戻ってきたので、「カリスマってやつですか」と声をかける圭一。
 梨花はカリスマの意味がわからないようなので、圭一は、自分の力を超えたものを持っていて、自然と心惹かれるような能力をもっていると説明する。
 富竹は、梨花はオヤシロさまの生まれ変わりと言われていると言い出す。
 圭一がオヤシロさま?って聞き返そうとすると、梨花はさっきの買い物でおまけしてもらった大判焼きを圭一と富竹に渡す。
 圭一が、オヤシロさま?と口にすると、梨花は強い口調で、もうすぐ閉店だと言い、富竹は二人に別れを告げて閉店間際の商店に駆け込んでいく。
 圭一が梨花にオヤシロさまのことを尋ねると、梨花はよくわからないと答えたので、圭一はそれ以上聞けなくなってしまう。


 4日目 #1 部活への参加
 
 魅音に誘われて、部活に参加することになった圭一。
 部活の最終戦で、魅音は、圭一に一騎打ちを申し出る。勝ったほうが1位で、負けたほうがビリになるというものだ。
 魅音は、自分の手札1枚と、ゲームにつかってなかったジョーカーを持ち、ジョーカーを当てろと言う。→非常に徹しろ、クールになれッ・・・!
 魅音が、圭一の捨て札を拾って、左手のカードの上に重ねたことに気付いた圭一は、自信を持ってジョーカーは左と答える・・
 と思わせて、ジョーカーは右手だと答える圭一。
 魅音の右手のカードを裏返すとジョーカーで、圭一は魅音に勝った!
 圭一は、魅音の顔に落書きするのはちょっとと重い、罰ゲームを荷物持ちに変更する。


 4日目 #2D 気晴らしに散歩

 レナは、宝探しをすると言って先に帰ってしまったので、圭一は魅音と帰ることにする。
 魅音は、レナの宝探しの場所は、不法投棄のゴミ山で、以前はダムの工事現場で、いろいろあったと話し出す。
 魅音は、ダムの工事現場で戦いがあったことを教えてくれる。村長や村の有力者が方々に陳情し、いろんな政治家に根回しもしているうちに、計画が撤回されたとのこと。
 殺人事件とかはなかったのかと、圭一が尋ねると、なかっととぴしゃりと魅音に言い切られる。


 TIPS:面白いヤツ

 魅音は、圭一に初めて会ったとき、都会っ子の男子にどう接しようかと思っていたが、圭一と少し話しただけで、見かけによらず話しやすく、ユーモアもあって、面白い男の子で、絶対に気が合うと確信できた。
 それで、仲良しグループに誘ってみたら、意外にもすんなり入ってきたし、部活のゲームにもノリ良くついてくるどころが、カウンターパンチを繰り出してくる高い順応力は予想を超えていた。
 明日からはもっと愉快でにぎやかになりそうだ。


 4日目 #3 時間つぶし
 
 圭一が家に帰ると、父親がアイデアに詰まってイライラしていた。
 父親の八つ当たりが圭一にきたので、外に出て散歩に行くことにする圭一。→商店街に買い物へ
 圭一は、商店街の八百屋で買い物している沙都子を見つけるが、ブロッコリーがどれか悩んでいるようだった。
 圭一は、キャベツと言ってレタス、カリフラワーと言ってブロッコリー、アスパラガスと言ってオクラを、沙都子の買い物カゴに突っ込む。
 オクラに気づいた沙都子に、俺のジョークをわかってる?とあおる圭一。
 沙都子は、買い物カゴの中身を棚に戻すが、ブロッコリーを買うかどうか悩みだす。
 時間がかかりすぎて八百屋のおばさんに、そのブロッコリーを買うのか?と催促された沙都子は、ブロッコリーがこれだとわかり安心して買うことにする。
 あわてている沙都子は、財布を落としてしまい、小銭をばら撒いてしまう。
 通行人は、小銭を拾おうとするのだが、落とし主が沙都子だと気づくとなぜか素通りしてしまう。
 圭一は、そういえば、沙都子は村人からあまり挨拶されていないことに気づく。
 小銭をすべて回収したあと圭一は→…じゃあな、沙都子。と声をかけ、別れる。


 その後、圭一は富竹に出会ったので、この前聞けなかったオヤシロさまについて聞いてみる。
 富竹は、村の人間ではないので、あまり詳しくは知らないがと前置きして話し出す。
 オヤシロさまは、雛見沢の守り神で、村人の信仰は厚く、村人はオヤシロさまを中心に団結している。
 ダム建設の折、オヤシロさまへの信仰を柱に、村人は心を一つにして戦った。
 そして、富竹はあんな事件があったと言うので、圭一は何があったかを尋ねると。富竹は、バラバラ殺人だと教えてくれる。
 被害者はダム建設の現場監督。
 粗暴な現場監督に鬱憤がたまったっ作業員たちが、現場監督を滅多打ちにして惨殺し、斧で遺体を6つに分割した。
 事件のことを聞いたことがないと話す圭一に、富竹は、仲間が、村を嫌いにならないよう、来たばかりの圭一に気を遣って話を聞かせないようにしていたのではと答える。


 5日目 #1 鬼ごっこ
 
 5日目 #2 放課後

 今日の授業が終わった→・・・帰ってゴロ寝しよ。
 家に帰った圭一は、母親からお使いを頼まれる。カップラーメンの買い置きが切れたので、箱ごと纏め買いしてきてとのこと。
 圭一はセブンスマートに到着→まずはラーメン。
 圭一は、特大カップ豚骨ショウガ味を選択し、レジに向かおうとすると、レナと魅音に声をかけられる。
 レナはカップ麺は体に良くないと話すが、圭一はラーメンへの思いを披露する。
 そこへ魅音の知り合いの公由夏美が声をかけてくる。夏美は村長の親戚で、去年まで興宮に住んでいて、興宮の学校に通っていた。学校が創立記念日で休みだったので、祖母を連れて里帰り中で、今晩帰るが、お祭りにはまた戻ってくる予定とのこと。
 買い物を終えると、レナは買いすぎて、荷物が自転車のカゴに載らない状態だったので、圭一は半分荷物を自分の自転車に積んで、レナの家に向かうことになった。


 6日目 #1 レナの家について

 翌日、教室では、いつものメンバーが、圭一に竜宮家についての感想を聞いてくる。
 竜宮家は、すでに建っていた家を改修したものらしかったが、庭には未知のオブジェク(ケーキ屋のベロ出し人形、薬局前の首振りカエル、デパート屋上の空飛ぶゾウさんなど)が並んでいた。その中には、郵便ポストまであった・・・
 うまかったぜ、晩ゴハン
 圭一は、夕べレナにお土産でもらった漬物がおいしかったことを思い出し、うまかったことと礼を言う。
 魅音と沙都子は、圭一とレナを冷やかす。
 そこへ、祭りの実行委員である梨花が、職員室から戻ってきた。
 村祭りの綿流しのお祭りのことを知らない圭一に、みんなは説明してくれる。綿流しとは、痛んで使えなくなった布団とかどてらに感謝して、供養しながら沢に流すお祭りとのこと。
 当然、魅音は、お祭り当日は部員達で、露店巡りをしながら部活をするつもりだ。
 さっそく本日の部活開始。
 魅音の持ってきた新品のトランプによる大貧民。みんなでトランプを改めて、仕掛けがないことを確認する。
 そして、本日の罰ゲームは、各自が罰ゲームの内容をメモに書き、最下位がそれを引くというもの。当然、「何もなし」は禁止だ。(魅音は、「何もなし」とメモに書き、そのメモの角を折って、目印にしていたが、バレた)
 初戦で負けたのは魅音で、「校長の頭をなでる」というメモを引く。
 校長は薄い頭を気にしているが、武道の達人とのこと。
 魅音はさっそく校長のところへ行くが、なにやら破壊音が聞こえてきた。
 しばらくして、ヨタヨタとした足取りで魅音が戻ってきて、「撫でた」と言って倒れこむ。
 とりあえず生きているので、ゲーム続行だ。
 次のゲームに負けたのはレナだった。そして、レナが引いたメモには「メイドさん口調でしゃべる」と書かれていた。
 「ご主人様ぁ」を連発するレナを見て、興奮する圭一。
 次もレナが負け、メモには「上下1枚ずつ脱衣」と書かれていた。
 レナは制服を脱ぐが、下に体操服を着ていた。
 次に負けたのは沙都子で、メモには「妹口調でしゃべる」と書かれていた。
 また魅音が負けて、メモには「女子スクール水着に着替える」と書かれていた。
 またレナが負けて、罰ゲームは「1位にひざまくら」で、圭一は体操服姿のレナに生ひざまくらをしてもらう。
 また沙都子が負けて、罰ゲームは「1位にご奉仕」で、圭一は沙都子に肩をもんでもらう。
 圭一以外の4人は共同戦線を張って、圭一と勝負を続けるが、とうとう梨花も負けてしまう。
 梨花への罰ゲームは、「猫耳・鈴付き首輪・しっぽ付き装備」だった。
 猫コスの梨花を見て、レナはかぁいい状態になり、梨花をお持ち帰りしたいと言い出す。
 それを見た沙都子は、レナが圭一を倒せたらお持ち帰りしていいと言うと、レナは大興奮。→勝て、圭一! お前は勝つ人間だ!!
 圭一はレナに、圭一が勝ったら、レナにそれ以上の報酬を与えると持ちかける。梨花に加えて、沙都子もお持ち帰りできると。
 さらに、ランディくん人形をゴミ山から掘り出した恩も持ち出す圭一。
 それを聞いたレナは混乱し、圭一に負けてしまう。
 レナが引いたメモには、「勝者の言うことをひとつ聞く」と書かれていた。
 圭一は、レナに、ランディくん人形の貸しはチャラにしろ=つまり、あのときの恩でいつまでも引っ張るつもりはない、と告げる。
 それでは圭一は何も得をしていないとレナが話すと、圭一はレナに、梨花を圭一好みのメイドに仕立て上げろと命令し、嬉々として従うレナ。


 TIPS:楽しい部活

 ハイテンションのレナと沙都子と梨花は、さっきの部活の圭一の活躍について話しており、圭一はレナキラーと命名される。
 レナは、梨花と沙都子をお持ち帰りできることで、テンションが上がりまくっているが、当の二人は恐怖で震え上がっている。


 6日目 #2B 魅音と下校
 
 レナは勝負には負けたが梨花と沙都子をゲットすることができ、二人をつれてホクホクしながら下校した。
 圭一は、魅音と下校し、途中で富竹に会う。富竹は祭りの写真を取りに来たと話し、宿に戻っていく。
 魅音は、富竹は年に2,3回来て、季節の風景や野鳥を撮影していると教えてくれる。


 7日目 #1 魅音からの電話
 
 魅音からの電話で、街のおもちゃ屋のイベントで、一般人にまじって部活をすることになった圭一たち。
 あらゆる手段を用い、部活メンバー全員が決勝に残ったが、多くの人間に勝負を見てもらいたいと魅音が言い出し、いったん決勝は魅音が預かり、後日、日時とゲームを発表することになった。
 魅音は、さっき叔父さんから特売日でレジが足りないとヘルプの電話があったから、今からバイトに行くと話す。
 お店のマスターが、イベントを盛り上げてくれたお礼にと、圭一に着せ替え人形をくれる。しかし、魅音だけは、身内だからという理由でお礼はなしだった。
 男の持つものではないと思った圭一は→レナに渡す
 圭一は、魅音にあげようと思ったが、ちょっと違うと思って、レナに渡したと、弁明すると、魅音は、どうして男に生まれなかったんだろうと、明るく笑って答え、急いでバイトに向かう。
 雛見沢への帰り道、互いの戦果を称えあう圭一、レナ、梨花、沙都子。


 TIPS:後悔の日記

 (前2ページほどが破り捨てられている。)
 明日は、笑顔ではじめよう。
 私は私らしく、今までどおりでいいんだから。


 8日目 #1 昨日の話
  
 今日の部活は、シンパシーだ。お題目を決め、みんなで連想する言葉を書いて、同じ答えを書いた人が2人だと2点、5人全員なら5点入るっていうゲームとのこと。つまり、みんなと同じ答えになるように考えるゲームなのだ。
 今回の罰ゲームは、圭一提案の荷物運びに決まり、1位の荷物をビリが家に運ぶことになった。
 しかし、それだけではつまらないということになり、メイド服着用でという条件が追加される。もちろん圭一でも着用可能なXLサイズも用意してある。
 最初のお題目は夏休み→圭一は夏期講習と答える。
 しかし、同じ答えがなかった。
 次のお題目は、魚で、お寿司と答えた圭一と同じ答えはなかった。
 次のお題目は、さくら→圭一は、金さんと答える。
 みんなもよく知っている時代劇のヒーローを選んだのに、圭一と同じ答えはなかった。


 8日目 #2 罰ゲーム
 
 結局圭一がビリで、メイド服で魅音の家まで荷物持ちをした(日ごろの行いが良かったせいか、家に帰るまで誰にも会わずにすんだ)。
 圭一が家に帰って風呂から上がると、母親から、頭痛がして夕食の支度ができないので、父親といっしょに外で食べてきてといわれる。
 父親は、駅前のエンジェルモートというファミレスに、圭一を連れて行く。
 なんとここのウェイトレスは、バニーガールとメイドさんとフリフリな衣装を足して割ったようなコスプレで接客していた!
 新米ウェイトレスを見て→こ・・・これは?
 父親がトイレに立ち、一人残された圭一の前に、さっきの新米ウェイトレスがデザートを持ってきた。
 圭一が新米ウェイトレスを良く見ると、髪形は違う(魅音はポニーテール、ウェイトレスはハーフアップ)が、魅音にそっくりだった!
 圭一は、ウェイトレス姿の魅音に、日ごろの恨みを込めて、「恥ずかしい格好」「見えそうで見えない」などセクハラな言葉攻めすると、新米ウェイトレスは、魅音の妹の園崎詩音だと名乗る。
 詩音は、魅音から圭一のことを聞いているので、初対面な気がしなかったと話す。
 圭一は、魅音が、いつもの自分とは違う詩音というかわいらしいキャラを作ってウェイトレスとしてバイトしているので、これ以上つっこんではいけないと思い、詩音として会話を続ける。


 8日目 パートーナー選択→園崎魅音

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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 鬼隠し編 END

 興宮署にいる大石に、公衆電話から外線がかかってくる。
 圭一からの電話だったが、圭一は混乱し、完全に冷静さを失っていた。
 大石は、すぐに警官を向かわせると告げるが、圭一はムリだと答える。
 大石は、同僚にメモで指示し、圭一のいる電話ボックスにパトカーを向かわせるが、5分かかるとの返事。
 雛見沢の駐在に連絡してが、提示巡回の時間で、連絡不能とのこと。
 電話の向こうで、圭一が咳き込むのが聞こえる。
 圭一は、オヤシロさまはいますと話す。
 そして、影みたいにぴったりくっついて、ずーっと付けて来て、今すぐ後ろにいると言い出す。
 やがてばりばりとかきむしる音が聞こえ、何かがぶつかる音がした。圭一が受話器を落としたのだ。
 電話の向こうから、うなりと嘔吐と、異音が聞こえる。
 圭一は、繰り返し何かをつぶやいている。
 10円が切れたのか、突然電話が切れた。
 大石は、圭一が、ごめんなさいと繰り返しつぶやいていたのを、聞き取った。


 昭和58年6月。鹿骨市の寒村、雛見沢で女子生徒殺人事件が発生。
 容疑者は、雛見沢在住の前原圭一(報道では少年Aと記載)。
 容疑者は、自宅にクラスメイトの女子2名(竜宮礼奈、園崎魅音)を呼び寄せ、金属バットで撲殺。
 犯行現場は、自宅2階の容疑者の自室で、室内は凄まじい返り血に彩られていた。
 また、犯行現場とは別に、玄関、居間、台所でも荒らされた形跡が認められた。
 玄関では、靴箱と壁に激しい打撲の痕跡。凶器のバットによるものと断定したが、痕跡に血液反応が出なかったことから、犯行以前に破壊したものと断定。被害者の逃走を阻止するため、容疑者が威圧行為を行った可能性がある。
 居間では、じゅうたんが剥がされ、投げ捨てられていたが、その真意は不明。
 台所では、ゴミ袋が破かれ、その中身が床にばら撒かれていた。ゴミは周囲に飛散し、容疑者のものと思われる手形も発見された。容疑者は、何らかの理由で、ゴミを出し、それを掌で叩いたものと考えられるが、その真意は不明。
 冷蔵庫に貼り付けたメモには「針はなかった?」と記されていが、意味不明。
 念のためにゴミを探すが、針は発見できず。
 引越し以来、開放したままのガレージのシャッターは閉じられ、容疑者の諮問が検出されたが、その真意は不明。
 容疑者は、犯行現場から逃走したが、警邏中の警察官(雛見沢駐在所)が電話ボックス内で倒れているのを発見する。
 発見時、容疑者は意識不明の重体で、直ちに村内の診療所に搬送し、手当てをしたが、意識は戻らず、24時間後に死亡。
 検視の結果、直接の死因は出血性ショック死。自らの爪で、喉を引き裂き、その結果の出血で死に至ったと断定。
 先週に発生した富竹事件の異常な死に方との酷似に、警察は関連性があるものとして捜査を開始する。(ただし地元からの強い要望により非公開捜査)
 異常な死に方に何らかの薬物の使用を疑うが、富竹事件と同様に一切検出されない。
 当社は衝動的は突発的犯行と断定していたが、容疑者の犯行直前の奇行が次々と露呈するに従い、その方針は変更されることとなる。
 親しかったグループとの離縁、孤立、意味不明の言動。
 犯行数日前からは金属バットを持ち歩くようになっていた。
 攻撃的な言動、独り言は、学校でもしばしば見られ、クラスメイトが実際にその一部を聞いている。
 犯行の前々日には、両親に自らの死をほのめかす発言もしていた。
 警察は、これらの状況から、この事件が突発的なものでなく、数日前から予定された計画的犯行の可能性があるとして捜査を開始する。
 その後、容疑者の自室から、直筆のメモが発見された。
 メモはB5の大学ノートを半分に裂いたもの2枚で構成され、壁時計の裏に貼り付けられていた。


 私、前原圭一は命を狙われています。
 なぜ、誰に、命を狙われているのかはわかりません。
 ただひとる分かることは、オヤシロさまの祟りと関係があるということです。
 レナと魅音は犯人の一味。他にも大人が4.5人以上。白いワゴン車を所有。


 ~ページの破れ目~


 どうしてこんなことになったのか、私にはわかりません。これをあなたが読んだなら、そのとき、私は死んでいるでしょう。死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。 前原圭一


 容疑者が、何らかの事件に巻き込まれていた可能性があるとして、再び捜査方針を転換したが、その後なんの手がかりもつかめず、メモそのものの信憑性が疑われるようになり、事件は文字通り迷宮入りの様相となった。
 しかし、後年、そのメモにひとつの不審点が浮上した。
 2枚のメモは元はB5の1ページに書かれたものを、何者かが真ん中の数行を削除するために破り捨てたのではないか・・・というのだ。
 削除されたのは2~3行で、削除した人物は容疑者以外である可能性が高い。
 また、時計裏に付着していた大量のテープ跡から、メモ以外にも何かが貼りつけられていたのはないかとの憶測も出た。
 第一発見者は、刑事の大石で、任意で事情聴取をしたが、メモの破損については否定する。


 トロフィー:鬼隠しをゲット!


 TIPS:悟史って誰?

 圭一が、魅音に悟史について尋ねると、魅音は、沙都子の様子を伺いつつ、口実を作って圭一を教室の外に連れ出す。
 誰から悟史のことを聞いたのかと魅音に問い詰められた圭一は、推理カードゲームに知らない名前が書いてあったからと答える。
 魅音は、悟史は沙都子の兄で、とても仲の良い兄妹だったが、家出なのか事件なのかわからないが、去年から行方不明だと、圭一に打ち明ける。
 沙都子が気にするから、なるべる悟史の名前は出さないようにと、魅音は忠告する。
 なんで自分に隠していたのかと圭一が尋ねると、たまたまだと答えた魅音。そして、この話はもう終わりと、ぴしゃりと打ち切って、教室に戻っていった。


 TIPS:レナの過去

 レナについて知っていることを教えてほしいと、あの手この手で看護婦を説得し、話を聞きだした大石。
 レナは、生まれ故郷の雛見沢を引っ越してから、村の守り神であるオヤシロさまの祟りが、自分と両親に降りかかってきたと話したという。
 レナは、祟りのせいで一家が不幸になってしまったから、自分達は雛見沢に帰らなければいけないと、叫んで暴れまわったそうだ。
 妄執にしたは切実でリアルと感じたため、父親と医師との相談の結果、レナは雛見沢に戻ることになった。
 そのとき、大石の横を走りぬけた車がクラクションを鳴らして、止まった。
 車から降りてきた女性を見た大石は、巴ちゃんと声をかける。
 南井巴は、県警のエリート警部補(来月警部に昇進予定)だが、大石を迎えに来たと話す。
 巴の妹のまどかが、大石の知人で、その伝で知り合いになったのだ。
 巴は、来月の昇進と同時に、妹の婚約者(父親ほど年が離れた署長)がいる県に移動になるとのこと。
 巴の妹のまどかは、お水の花道を飾ったきた子で、大石とはそっち系の店で知り合った。
 巴は、大石に頼まれて、レナが転校してくる前の学校で起こした傷害事件について調べてくれていた。


 ある日の放課後、レナは男子生徒3人とプール倉庫脇でいつものようにたむろって話をしていた。
 そのとき、レナに変化が起きた!
 いきなり金属バットを手に、仲間達を次々と殴り倒したレナは、校舎に向かった。
 そして、教室の窓ガラスを次々と割っていったのだった。
 何分もしないうちに教師たちがやったきて、レナを取り押さえた。


 お疲れさま会(鬼隠し編)追加!

 鬼隠し編は、誰もが通るお話しで、プロローグの位置づけとのこと。レナをパートナーにしたお話だが、他のメンバーをパートナーにしたお話もある。


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 今日のひぐらしのなく頃に粋はどうかな?


 鬼隠し編 #1 沢のほとりにて


 沢でぼんやりとしていた圭一は、いつの間にかレナとはぐれていた。
 しばらく待っていると、女性を連れた富竹に声を掛けられる圭一だが、女性の名前が思い出せない。
 圭一は、雛見沢に馴染めたつもりでいるが、出合った人の顔や、雛見沢の過去の出来事を知らないので、知っておきたいと話すと、富竹は、自分緒知っている範囲で教えると言ってくれる。


 ダム工事については、あまり詳しくはないが新聞で読んだ範囲でとのこと。
 7,8年くらい前に、ダムの計画が決まり、この雛見沢からずっと上流の谷河内辺りまでが全部沈むことになった。当然、雛見沢では反対運動が起こった。
 裁判にもなったし議会でも取り上げられたが、そのうち、いろいろな不祥事や汚職が発覚して、工事中止が決まった。


 バラバラ殺人については、事件当時、富竹は雛見沢にいたので、よく覚えているとのこと。
 4年前の綿流しの日に起こり、ダム計画に終止符を打った事件だった。
 ダム工事の現場の人たちでケンカがあり、被害者を殺してしまった。発覚を恐れた加害者6人は、被害者の遺体を6分割にし、それぞれが遺体を隠したが、6人の犯人のうち5人は自首し、残った一人は逃亡中で、彼の隠した右腕部分は、まだ見つかっていない。
 圭一が以前に拾った週刊誌で読んだ内容と同じだった。
 当時は、若い人たちはそうは思わなかったみたいだが、お年寄りたちはオヤシロさまの祟りだと、疑わなかったらしい。
 しかし、今では、若い人にも、オヤシロさまの祟りだと信じる人が結構いると、女性が付け加える。


 その後、毎年綿流しの日になると誰かが死ぬと、富竹は告げる。
 バラバラ殺人の翌年の綿流しの日、雛見沢の住人だが、ダム誘致派の男が、旅行先で、崖下の濁流に転落して死亡し、その妻は死体もあがっていない。
 当時、お年寄りたちは、オヤシロさまの祟りだと囁きあったいたらしい。
 さらに翌年の綿流しの晩、この古手神社の神主が、原因不明で急死し、その妻は、その晩のうちに沼に入水自殺したとのこと。
 村人たちは、オヤシロさまのお怒りを鎮めきれなかったとうわさしてたとのこと。
 さらに翌年の綿流しの晩、綿流しのお祭りに参加しなかった近所の主婦=2年前に転落死したダム誘致派の男の弟嫁が撲殺体で発見された。弟本人は、うわさを気にして引っ越してしまったとのこと。


 ということは、その翌年の綿流しの晩、つまり今晩、また誰かが殺されるのか?
 当然、雛見沢の人間はみなそう思い、今年の綿流しに参加しないと、オヤシロさまの怒りに触れると、ウワサしているとのこと。


 富竹は、バラバラ殺人は、酒の上の口論が原因で、犯人は全員捕まっているわけではないが判明しているし、誘致派夫婦の転落は、他殺じゃなく事故、神主は祭りの過労に体調不良が重なり急死で、神主の妻は、死んでオヤシロさまのお怒りを鎮めるという遺書を残していた。主婦殺しの犯人は、捕まっており、雛見沢の祟り騒ぎを面白がって再現したと自供しているとのことで、綿流しの日に起こったことすべては、祟りとは関係ない出来事だと話す。


 連れの女性と別れたあと、圭一は部活のメンバーと再会する。
 そして、さっそく射的の結果が発表され、ビリは富竹に決まる。
 魅音たちは、罰ゲームとして、油性マジックで、富竹の着ているシャツに、メッセージを書いていく。
 富竹は、次に来るときは、これを着て来ると約束する。


 富竹は、さっきの女性といっしょに帰っていく。


 TIPS:古手神社の神主の病死

 古手神社の神主が、不調を訴え病院で手当を受け、一時回復したが、深夜に容態が急変、死亡した。
 関係者の話では、当日開催されていた祭りの準備などで相当の心労があったと言う。
 神主の死亡直後、妻が遺書をのこして行方不明になった。


 鬼隠し編 #2 部活再開

 翌朝、教室に入るなり、圭一は、水を張ったバケツに足を突っ込んでしまう。沙都子のトラップだ。いつも通りの日常のはじまりだ。
 知恵先生から、お祭りの取材で記者が雛見沢に来ているが、取材を受けても、曖昧なことやいい加減ことは言わないようにと言われる。
 放課後の部活は、推理ゲームに決まる。事件の犯人と凶器と犯行現場の3つを当てられた人が勝ちというものだ。
 犯人、凶器、犯行現場のカードをそれぞれ1枚抜き、それが正解となる。残ったカードをシャッフルして、みんなで等分し、お互いに手持ちのカードの質問をして、抜かれたカードが何かを探るゲームなのだ。つまり、誰も持っていないカードが正解だ。
 正解がわかったら挙手し、ゲームが終了。答え合わせをし、正解なら1ポイント、はずれならマイナス1ポイント。
 本日の罰ゲームは、使いっぱしり。みんなからお使いを頼まれて、それを買いに走るのだ。
 初めてプレイする圭一は、コツが掴めない。
 トイレ休憩と言って、教室を出た圭一は、目配せしてレナを教室の外に連れ出す。
 レナもものゲームは苦手で全敗とのこと。
 圭一とレナは勝つために、カードを配った直後、他のメンバーが手元に集中している隙に、互いのカードを公開し合うことにした。


 打ち合わせしたのがバレないように、先にレナを教室に返したところ、知恵先生に呼ばれる圭一。
 圭一にお客が来ているとのことで、さっそく出向くと、中年のおっさん=オープニングで独り言を言ってた刑事が待ち受けていた。
 男は、自分の車ならクーラーが効いているといって、圭一を後部座席に座らせる。
 男は、写真を見せながら、シャツに圭一たちの署名が入っていたと話す。
 圭一が写真を見ると、富竹が写っている。
 男は、もう1枚の写真を見せる。
 そこには、夕べあった富竹の連れの女性が写っていた。
 最後にあったのはいつかと男に聞かれ、綿流しのお祭りの晩に、いっしょに話をしたと答える圭一。
 男が刑事であることに気付いた圭一は、富竹と女性の身に何かあったと気付く。
 刑事は、圭一にオヤシロさまについて知っているかと尋ねると、圭一は、毎年、綿流しの日に事件が起きていると富竹から教えてもらったと答える。
 刑事は、富竹が夕べ、綿流しの当日に死んだと告げる。
 第一発見者は、祭りの警備を終えて帰還中の警察で、時刻は24時5分前。富竹は、血まみれで道路に突っ伏しており、富竹の喉は、自分の爪で引き裂かれていた。つまり、富竹は、自分の爪で力いっぱい喉を掻き毟ったのだ。
 薬物を疑ったが、検出できなかった。
 富竹は、亡くなる直前、極度の興奮状態であったことがわかった。周囲の状況から、富竹は、自分の喉を掻き毟り血まみれになりながら、角材を手に振り回していたらしい。
 富竹の体には、本人によらない外傷があり、何者かに暴行を受けた可能性があった。
 つまり、富竹は、何者かに取り囲まれ襲われた。興奮状態で逃げ惑い、落ちていた角材を拾い抵抗を試み、その最中に錯乱し、自分の喉を掻き毟り、絶命した・・・
 死亡推定時刻は、21~23時ごろで、圭一と別れてからすぐの出来事とのこと。
 富竹の連れの女性は、夕べは自宅に帰っておらず、今も行方不明で、事件に巻き込まれた可能性が高いとのこと。
 刑事は、村人はオヤシロさまの祟りだと言って何も話してくれないので、雛見沢の人間でなく、祟りを信じていない圭一に話を聞きに来たと打ち明ける。このままでは、富竹は、綿流しの儀式のときに、無神経にカメラをバシャバシャやってたから、オヤシロさまの怒りに触れたということになってしまうとのこと。
 刑事は、不確かなことでも何でもいいから、圭一が知ったら教えて欲しいと、電話番号を書いたメモを渡す。
 そして、ここでの会話は他言無用で、特に魅音と梨花には絶対内緒にするよう、圭一に頼む。雛見沢で起こった一連の事件は、村ぐるみで引き起こされている可能性があるからとのこと。
 毎年、綿流しの日に、村の仇敵が死ぬということは、雛見沢に関係があるということだ。最初の年はダム工事の監督で、次はダム誘致派の村人が、被害者だった。その次の年の被害者の神主は、ダム騒動当時、積極的に行動しなかったため、一部の村人から反感を買っていた。
 その次の年の被害者の主婦は、誘致派の村人の弟の嫁で、今年の被害者の富竹は、ダム工事とは関係ないよそ者で、年々、敵対度は希薄になっているようだ。
 刑事は、村の敵でなく、よそ者というだけの理由で犠牲になりつつあり、来年は、圭一のような引っ越してきたばかりの人かもしれないと言い出す。
 刑事は、園崎家は、ダム騒動時、抵抗運動の旗頭で、過激だった。そして、魅音も、ダム抵抗運動時に補導歴があると話す。
 刑事は、祟りを盲信する村人を心配させたくないから内緒で、言うと、圭一は納得し、みんなには秘密にすると答える。
 刑事は、興宮署の大石だと名乗り、圭一を解放する。


 教室に戻った圭一は、先生に職員室に呼ばれてて遅くなったと謝る。
 遅くなったので、次が最後のゲームになる。
 レナがマイナス1点のビリで、圭一は0点でその次だ。
 最終戦は、罰ゲームをレナが一人か、圭一とレナが二人でやるかを決めるものとなった。
 打ち合わせ通り、レナと圭一は互いのカードをこっそりと見せ合うがが、圭一は正解がわからない・・・
 レナが挙手し、答えを告げると、正解だった。
 罰ゲームは、レナと圭一の二人で受けることになった。
 1位の魅音は、自分の買い物リストとお金をレナと圭一に渡す。魅音は、自分のお使いを二人にやらせるつもりだ。


 TIPS:無線記録

 富竹発見時の無線記録で、大石がしゃべっている。
 
 
 TIPS:犯人は4人以上?

 鑑識は、富竹の死は、自分で喉を掻き破った出血性ショック死で、爪の間に本人の皮膚片が残っているし、傷跡も一致すると、大石に告げる。
 富竹の爪ははがれ、体には無数のアザがあるので、複数人に囲まれて暴行を受けたのは明白だ。
 分泌物から、富竹は極度の興奮状態にあったのは間違いない。
 富竹が握っていた角材からは、何も出なかったため、犯人を殴っていないことがわかった。
 富竹の体つきから、生前に何かのスポーツを嗜んでいたらしく、身体能力が高かったと思われるが、角材で一度も殴れなかったことが疑問だ。
 大石は、4人なら何と富竹を襲えると想像する。
 
 
 TIPS:捜査メモ

 富竹ジロウはペンネーム?
 鹿骨市の安ホテルに滞在し、折りたたみ自転車で行動。免許の類はなし。
 自転車は、現場から300m離れた林道脇に放置。
 祭り当日は、失踪中の鷹野三四と一緒に、会場におり、9時ごろに警官に目撃されており、その後は不明。
 雛見沢には5,6年前から、季節ごとに1週間ほど滞在。
 野鳥専門のフリーカメラマン。
 遺品のフィルムには、不審物なし。
 財布が取られていないことから、単なる暴行?
 財布の内容物から、生活基盤は、東京~千葉?
 都内の住民基本台帳に、富竹ジロウの同姓同名なし。
 歯型から都内歯科へ照合。
 顔写真の送付、警視庁へ。
 各雑誌社に富竹ジロウ問い合わせ。


 鷹野三四
 入江診療所勤務の看護婦。
 趣味の野鳥撮影で、富竹と親しい。
 自宅は興宮で、独身。
 富竹と共に、祭り会場で目撃され、その後行方不明。
 誘拐?容疑者?
 富竹を殺す動機がない。痴情のもつれ?


 鬼隠し編 #3 放課後

 夕べ遅くまで起きていた圭一は、眠くて眠くて仕方がない。
 昨日の大石の話がちらつき寝付けなかったのだ。
 昼寝をしようと圭一が机に突っ伏したところ、部活のメンバーは起こすのがかわいそうだというって、圭一の席から離れる。
 そして、小さな声で、魅音が、「綿流しの晩に失踪したらしい」と話し始める。
 圭一は寝たふりをしながら、みんなの会話の盗み聞きする。
 魅音は、彼女が祟りにあったのか、オニカクシにあったのかはわからないと言う。
 そして、今年は、何が起こっても騒ぎにしないで穏便に片付けると、事前に警察と話が付いているとも話す。
 レナが、もう一人いるんだよねと尋ねると、魅音は、オヤシロさまならねと答える。
 さらにレナは、次は自分の番だと言い出すが、魅音は否定し、二人とも黙ってしまう。
 圭一は、二人の会話から、富竹の連れの女性は、綿流し以降、オニカクシ=神隠しにあい消息不明。オヤシロさまの祟りは、必ず犠牲者が2人出る。そして、祟りと鬼隠しは別のもので、必ず対になって起こる現象であることを知る。
 そして、レナは何か見に覚えがあり、オヤシロさまの祟りの標的になる確率が高いことを知っている。


 放課後、魅音は、店の手伝いに行くから部活はなしと宣言し、教室を出て行く。
 圭一は、大石のせいで昨日ろくに遊べなかった推理ゲームで遊びたいと思い、ロッカーの中から推理ゲームを探し始める。
 ところが、他のメンバーは、みんなでそろって遊びたいと言い出したので、今日の部活はなしになる。
 せっかく出した推理カードを片付けようとした圭一は、「悟志」と書かれたカードを見つける。
 この学校には悟志という名前の生徒はいないので、圭一は、悟志はこの学校から転校していった生徒なのかと、レナに尋ねる。
 レナは、去年、レナが転校してきたときに、悟志は入れ替わりで転校していった生徒だから、よく知らないと答えるが、圭一は、その答えに疎外感を覚える。
 レナも自分と同じ転校生だから、自分のこの気持ちを理解してもらえるかと思った圭一は、レナに、転校してきた当時の話を聞いてみる。
 レナは、人の名前も村の中もぜんぜんわからなくて、心細かったと答える。
 そして、レナが転校したきた当時は、部活はまだなく、放課後にみんなで残ってゲーム大会をやり始めたのがきっかけで、部活ができたと教えてくれる。
 圭一は、レナに、みんなは自分に嘘や隠し事をしてると訴えるが、レナは否定し、逆に、圭一こそ、レナたちに嘘や隠し事をしてないかな?と聞いてくる。
 みんなが、圭一にオヤシロさまの祟りのことを隠すように、自分が、富竹の事件のことを内緒にするのは、おあいこだと思った圭一は、「してない」とレナに答えるが、レナは「嘘だよ」と即答する。
 レナは、昨日圭一は職員室に呼ばれたと言っていたが、本当は、校門のところの車の中で、知らないおじさんと話をしていたと言い出す。
 レナに、誰と何の話をしていたのかと問い詰められ、知らない人とみんなとは関係のない話をしていたと答える圭一。
 「嘘だ」と絶叫するレナ。そして、圭一に内緒や隠し事があるように、レナたちにだってあるとやさしく諭すが、竜宮レナの姿をした誰かに恐怖する圭一。


 鬼隠し編 #4 本屋からの電話

 家に帰り、自室でさっきのレナに似た誰かについて考えていた圭一は、母親に、本屋からの電話だと声をかけられる。
 電話の主は、大石で、気を遣って、本屋だと言ったとのこと。
 圭一は、話を聞かれたくなかったので、子機をもって、自室に戻った。
 大石が、昨日渡した電話番号は古い番号だったので、新しい番号を教えると言うので、圭一は、それを書き留める。
 生まれも育ちも興宮だと話す大石に、圭一は、鬼隠しについて尋ねると、人が鬼にさらわれてこつ然といなくなってしまうことで、神隠しと同じ意味だと答える。
 大石は、雛見沢は昔、鬼の住む里と呼ばれて恐れらていたと教えてくれる。この鬼は、里におりて、人をさらって食い散らかしていたとのこと。この鬼が人をさらってしまうことが、鬼隠しとのこと。
 圭一は、オヤシロさまの祟りなら祟りと鬼隠しが必ず一緒に起こると伝えると、大石は初めて聞いたと答える。
 大石は、最初の事件の逃走中の犯人は、実は鬼隠しにあったのではと言い出す。翌年の誘致派夫婦の事故は、妻の死体が上がっていないので、行方不明扱い。3年目の神主の妻は、沼で入水自殺したらしいが、死体が上がってないので、これも行方不明扱い。今年は、富竹の連れの女性が行方不明。いずれも鬼隠しと呼ばれても不思議ではない。
 毎年、1人行方不明になっていることを知った大石は、去年の主婦撲殺事件で、犯人逮捕後、被害者宅の子供が行方不明になったことを思い出すが、主婦撲殺犯は拘置所内で先割れスプーンを喉に詰まらせて死亡したため、もう確かめようがないと話す。
 圭一と大石は、過去5年間、必ず死者と行方不明者が1人ずつ出ている事実に驚く。
 行方不明者は、1年目はダムの作業員、2年目は誘致派の男の妻、3年目は神主の妻、4年目は被害者宅の子供、5年目は交際相手?特に、つながりはなさそうだ。
 大石は、4年目に行方不明になった子供は、北条悟志という名前で、圭一の1つ上で去年まで圭一と同じ学校に通っていたと、教えてくれる。
 圭一は、すっかりオヤシロさまの祟り信じて、おびえてしまい、レナが次は自分の番だと言っていたと大石に話してしまう。
 それを聞いた大石は、レナについて調べると話す。
 そのとき、部屋の扉をノックする音が聞こえてきたので、電話を切ることにする。
 扉を開けると、2人分のお菓子と紅茶の乗せたお盆持った圭一の父親が立っており、レナが遊びに来てたから、お茶を持ってきたと言う。
 父親は、1時間くらい前にレナが2階に上がったのを見たと話す。
 圭一は電話に夢中で、まったく気付いてなかったが、レナは、ずっと圭一の部屋の前の廊下に立っていて、大石との電話を聞いていたのだ。


 TIPS:本部長通達

 雛見沢で起こる事件の影響で、地域住民の生活が脅かされているため、①秘匿捜査指定②情報の非開示③関係各機関緒への報道自粛要請を通達する


 TIPS:自殺を誘発するクスリは?

 大石は自殺を誘発させるクスリについて鑑識に尋ねると、自殺したくなる精神状態を誘発することはできると答えが返ってくる。たとえば、鬱状態から躁状態に転じたとき。
 鑑識は、薬によらなくても異常な精神状態に陥る可能性があると答える。富竹は犯人に囲まれて命の危険にさらされたことで、極度の緊張が続き、分泌異常が重なり、さらに打ち所が悪くて脳に障害が起こり自虐行動に走った可能性があると話す。


 TIPS:脅迫

 園崎県議と園崎市議、雛見沢の村長が興宮署にやってきた。
 その夜、大石は、高杉課長から、署長のところに議員が怒鳴り込んできたと教えられる。
 雛見沢事件の捜査の仕方で、大石を指名して陳情してきたとのこと。
 高杉は、来年定年退職する大石に、署長が退職時特別昇給を見直すかもと言っていたと話す。
 興宮署では、退職直前に特別昇格させて、給料を昇給させることで、退職金を水増しする慣習があるのだ。


 TIPS:元気ないね。

 レナと魅音は、最近圭一の元気がないことについて話している。
 魅音は、圭一が車で話していた相手が、大石だと気付いていた。そして、レナに、大石はオヤシロさまの使いだと話す。
 大石が雛見沢に来ると、必ず鬼隠しが起こるからだそうだ。
 一昨年、梨花の母親が入水したとき、その直前に尋問していたのが、大石だった。
 去年、悟志が転校する前にも来ていた。
 そして、今年は圭一に会いに来た。ということは、圭一は・・・


 TIPS:二重人格???

 TVでは多重人格についての特集をやっている。
 多重人格とは、複数の人格を持つことによる逃避と考えられている。精神を守るために脳が行う防御行動のひとつとのこと。広義でいえば、現実逃避も一種の多重人格。
 幼少期の育児体験が大きく作用しているとのこと。


 鬼隠し編 #5 入江診療所

 圭一は倦怠感と頭痛に襲われていた。
 夕べ、部屋の前に立つ誰かの気配のせいで、眠れなかったのだ。
 待ち合わせの時間を10分ほど過ぎた頃、レナが家まで迎えに来るが、今日は学校を休むと母親に伝え、そのまま圭一は眠り込む。
 圭一が起きたら、両親は仕事で出かけており、病院にいくようにとメモが置いてあった。
 圭一は、入江診療所へ行き、診察してもらうと、風邪だと診断され、3日分の薬をもらう。
 待合室の老人たちが、鬼隠しかもしれないし、東京のカメラマンと駆け落ちしたかもと話している。どうやら行方不明になった富竹の連れの女性は、ここの看護婦で鷹野という名前らしい。
 診療所からの帰り道、圭一は、車に乗った大石に出会い、いっしょにお昼を食べることになった。
 車の中で、大石は、幻覚作用のある薬を調べているが、富竹からは検出できなかったと話す。
 大石は、富竹は死ぬ前に暴行を受けていたことから、祟りではなく、人間が事件に関わっていると断言する。
 大石は駅前のレストランに圭一を連れて行く。
 大石は、自分の母親に昔話を聞いてきたといって、話し始める。
 雛見沢は、昔は鬼ヶ淵と呼ばれていた。その名前は、神主の妻が入水した沼の名前として、今も残っており、その沼の底は、鬼たちの住む国とつながっていると言われていた。
 そして、鬼たちは仙人でもあり、不治の病にかかった村人を鬼ヶ淵に運んで治してもらったそうだが、治した代償に連れ来た人間を食べるのだそうだ。逃げしたりすると、鬼ヶ淵の住人、つまり鬼が全員で追いかけてきて、捕まえて食べてしまったとのこと。
 大石の母親は、鬼の狩りのときは、絶対に邪魔をしてはいけない=獲物の人を助けたり、匿ったりしてはいけないと言っていたとのこと。鬼の狩りを邪魔しないかぎり、村人たちには危害を加えないルールとのこと。
 大石は、去年失踪した悟志の友達である、圭一の友達を調べたと話す。
 1年目の被害者の現場監督は、事件の前に、魅音と何度か取っ組み合いをしていた。
 2年目の被害者である誘致派の夫婦の娘は沙都子で、事件当時現場にいた。
 3年目の被害者である神主夫婦の娘は梨花。
 4年目の被害者である主婦は、沙都子の義理の叔母で、両親のいない沙都子を預かっていた。
 そして、4年目に失踪した北条悟志は、沙都子の兄。
 被害者たちは、なぜか圭一の友達とつながっている・・・
 レナは、去年まで茨城に住んでいたが、引越しの少し前に学校中のガラスを割って回り、3日間の謹慎処分を受けていた。その後、レナは、神経科に通院し、投薬とカウンセリングを受けていた。レナは、カウンセリングの際、オヤシロさまが夜な夜な自宅にやってきて、枕元に立って自分を見下ろしていると言っていたことが、カルテに記録されているとのこと。
 そして、大石は、竜宮家は元は雛見沢の住人で、レナが小学校へ上がるときに村を出たと付け加える。
 今年の被害者である富竹は、圭一たちとお祭りを楽しんだ仲だった。
 大石は、今年で定年で、母親の意向でここを離れる予定なので、在職中に、事件を解決したいと圭一に打ち明ける。そして、圭一が危ないことと、署長から事件を蒸し返さないように言われていることを伝える。


 鬼隠し編 #6 レナと魅音のお見舞い

 家に帰ると電話が鳴っている。圭一がとると魅音からのお見舞いの電話だった。魅音の祖母が山ほどおはぎを作ったからおすそ分けに持っていくとのこと。
 10分もしないうちにチャイムが鳴り、魅音とレナが、魅音の祖母が作ったおはぎを届けに来た。
 レナは、自分の作ったおはぎも混じってるが圭一に見つけられるかな?と話す。
 それが今日の部活をさぼった圭一への宿題だと、魅音が続ける。
 そして、魅音は、突然、圭一に、「お昼何食べた?」と問い詰める。
 大石といっしょだったことを勘繰られていると感じる圭一は、「表で食べた」と短く答えるが、魅音は圭一がレストランで食事したことを知っているかのように、「渋いおじさまとご一緒だったみたいだけど誰?」と続ける。
 圭一は、みんなの話をしてないと答える。
 魅音は、全てをお見通しってことを忘れないでくれれはいいと言って、レナといっしょに玄関を後にする。
 二人が出て行って、玄関の扉を閉じかけた瞬間、扉がぐいっと開き、扉の隙間から魅音の片目が覗き、「明日、学校休んじゃ嫌だよ?」と圭一に声をかけ、二人は帰っていった。
 玄関の扉のカギをかけ、冷静になれと自分に言い聞かせる圭一。
 魅音が、自分と大石が昼飯を食っていたのを知っているのは、お店に雛見沢の人がいて、魅音に伝えたのだろう。
 圭一は、大石が変な話を自分に聞かせてから、だんだんとみんながおかしくなったことに気づく。へんな好奇心を出して、綿流しの晩に富竹に過去の事件を聞いたのがいけなかったのだろう。そうだ、みんなが自分のために隠してくれていることを、よそ者の富竹が圭一にしゃべったから・・・
 大石も、自分にみんなを疑わせるようなことをいったよそ者だ。
 富竹も大石もよそ者で、オヤシロさまの祟りにあって死ぬべきだ。
 悪いのは好奇心を抑えきれなかった自分の方だ。みんなは悪くない。


 気をとりなおした圭一が包みをあけると、中には、漉し餡のおはぎが5つ入っており、包みの左端からAから順にアルファベットが書き込まれている。
 おはぎをよく見ると、ひとつだけ、ひじょうに丁寧に作られているのに気づく圭一。レナの手作りおはぎは、このEだ。
 まず、魅音の祖母のおはぎを一つ食べる圭一。
 続いてレナのおはぎを食べると、舌に何か触った。
 とりあえず指でつまんで取り出したモノを見た圭一は、食べかけのおはぎを壁に投げつける。
 おはぎの中に、裁縫針のような何かが入っていたのだった。
 残ったおはぎも壁に叩きつけ、圭一は、自室に戻って布団の中にもぐりこみ、殺されてたまるかよと叫ぶ。


 鬼隠し編 #7 足音

 ひた、ひたと殺したような足音が、圭一の部屋の前で止まる。
 勢いよく跳ね起きた圭一は、布団を、扉を開けた母親に投げつける。
 外は朝になっている。
 母親は、圭一がおはぎを壁に投げつけたことを咎める。
 圭一は、昨日のおはぎは、魅音やレナからの脅迫だと解釈した。
 圭一がいそいで学校へいく支度をしているとレナが迎えに来る。
 二人で待ち合わせ場所に行くと、近所の人が、魅音は二人が遅いから先に行ったと教えてくれる。
 突然、レナは、圭一に、昨日のおはぎはちゃんと食べたかと聞いてきた。
 私達の意思は伝わった?と言っていると解釈した圭一は、躊躇しながら、うまかったと返事する。
 さらにレナは、全部食べた?と聞いてきた。
 裁縫針は飲まずに済んだの?と聞いていてるのと感じた圭一は、全部は食べ切れなくて、まだ残っていると言い逃れする。
 すっかり圭一は、オヤシロさまの祟りを信じてしまい、前の学校でガラスを割って回ったレナのことを、オヤシロさまに取り憑かれただけと思い込み、人間であれ祟りであれ、自分は殺されてたまるかと妄想する。


 教室の扉を開けた瞬間、チョークの粉だらけの黒板消しが圭一の頭の上に落ちてきた。沙都子のトラップだ。
 しかし、圭一の反応は薄い。
 レナが、圭一はまだ本調子じゃないと言い訳する。
 魅音に、宿題のことを聞かれるが、食欲がなくて全部食べていないと答える圭一。


 鬼隠し編 #8 作戦会議の授業中

 授業中、圭一は、自分が置かれている理不尽な状態について考えてみる。
 自分は、レナや魅音にとって好ましくないことを知る人間になってしまい、昨日のおはぎは、その警告だ。
 そして、命を狙われているという自覚がある。
 と思ったら、今日の授業は終わってしまった。
 体調が悪いと言い訳した圭一は、一人でさっさと帰る。


 家に帰った圭一は、自分には味方が誰一人いないことに気づき、両親に打ち明けて味方になったもらおうと思ったが、きっと圭一の話は信じてもらえないだろうし、逆に余計なことを知らされた両親も被害者になりうる。だから、両親には何も知らせないことにする。
 大石は、現在の圭一の状況を理解している唯一の人間だが、町に住んでいるため、緊急時に連絡しても駆けつけるまで30分はかかる。
 いざというときのため、学校にある金属バットを、素振りの真似をして、いつも持っておこうと思いつく圭一。
 それと、圭一の身に何かあったとき、大石が捜査しやすいよう日記をつけることにした。
 圭一はノート1ページを破いて、メモを書いてみた。


 私、前原圭一は命を狙われています。
 なぜ、誰に、命を狙われているのかはわかりません。
 ただひとる分かることは、オヤシロさまの祟りと関係があるということです。


 圭一は、そのメモを折りたたんで、壁掛け時計の裏に、テープで貼り付けた。
 そして、両親に、もしも自分が死んだら、自分の部屋の時計を棺に入れてくれと頼んで、自室に戻る。


 鬼隠し編 #9 たったひとりの登校

 翌朝、誰よりも早く起きた圭一は、ひとりで登校するため、いつもより早い時間に家を出る。
 途中で、車のクラクションを鳴らされ、圭一が振り向くと。大型のワゴン車が圭一のほうへ向かってきた。
 サイドミラーが圭一の肩に当たり、圭一は路肩の泥田に叩き込まれる。
 停車したワゴン車は、田んぼから起き上がった泥だらけになった圭一を見ると、急発進で逃げ去る。
 ひき逃げされかけた圭一は、さらに警戒を強める。
 学校へ付いた圭一は、教室に生徒たちのロッカーを端から開けていく。
 とあるロッカーを開けると、金属バットと、野球チームのユニフォームが入ってるのを見つける圭一。
 そこへ、梨花と沙都子が教室に入ってくる。
 泥だけな圭一は、二人の前で着替えを始めたため、梨花と沙都子は教室の外に出て行こうとする。
 梨花は、廊下にでる前に、圭一に向かって、「そのバット、なくさないで下さいね、です」と声をかける。
 着替えをすませた圭一は、さっきの金属バットを持ち、校庭で素振りを始める。


 終業時刻になり、みんなは部活を始めようとしているが、圭一は今日も直帰するつもりだ。
 レナは、女の子と一緒に遊ぶのは嫌だった?と聞いてくる。
 そういうわけじゃねぇよと言って、教室を出て行く圭一。


 学校からの帰り道、圭一は、後ろからぴたりと自分をつけてくる足音に気づき、後ろを振り返るが誰もいない。
 警戒しながら木陰に近づいた圭一は、レナを見つける。
 どうどうと自分といっしょに下校せず、自分を尾行するようなまねをしたレナに対して、ついてくるなと怒鳴る圭一だが、レナは、家が同じ方向だからと答える。
 圭一は、レナに先に歩けと怒鳴るが、レナは、圭一といっしょに帰りたいと答える。
 バットを振り回す圭一の態度を見て、レナは、圭一の前を歩き出す。
 そして、圭一のほうへ振り返って、どうしてバットなんか持っているのかなと尋ねる。
 圭一は、突然、野球がしたくなったと答えるが、レナは、おかしいと言い出し、「どうしてバットまで悟史くんと同じなの?」と、圭一に尋ねる。
 悟史は、圭一の席を去年まで使っていた生徒で、去年のオヤシロさまの祟りで鬼隠しにあったと思われている。同居する叔母が、綿流しの晩に祟りに便乗した異常者によって殺されて、そのしばらくの後に、行方不明になったのだ。
 バットの柄の部分に張られたテープには、北条悟史と書かれている。
 悟史のものとは知らなかったが、誰も使っていなかったから借りたと、答える圭一。
 レナは、悟史は野球なんか好きじゃないくせに、野球チームに入ってたが、ある日、突然バットを持ち歩き始め、圭一のように一人で登校するようになり、圭一みたい素振りの練習を始めたと、言い出す。
 そしてレナは、悟史は転校したと、冷たく告げ、圭一も転校しないよね?と尋ねる。


 鬼隠し編 #10 謝罪の言葉

 気づくと圭一は自宅の玄関前にいた。
 玄関の鍵を開けて、家の中に入った途端、自分にぴったりとくっついて入ってきたヤツの気配を感じる。
 恐怖で後ろを振り向けない圭一は、どなたですか?と声をかけると、若い女の声が聞こえた。
 圭一は後ろを振り返るが、誰もいない。
 圭一は、手に持ったバットを振り回す。
 玄関の靴箱を破壊したところで、気配が消えた。
 しばらくして家の電話が鳴った。
 圭一が電話をとると母親からだった。
 圭一は、買出しの要請かと思い、この前買いだめした豚骨ショウガ味のカップラーメンを夕食にするから、買出しの必要はないと話すが、母親の用事はその件ではなく、圭一の両親は急な仕事で、今、東京におり、帰るのは明晩との連絡だった。
 両親不在を知られないように、車がないことが見えないようガレージをシャッターを下ろし、家中の灯りをつけて、洗濯物や郵便を取り込み、戸締りを確認うる圭一。
 そこへ、近所の人から母親あての電話がかかってきたので、今は電話に出られないとごまかす圭一。
 電話をきると、すぐに次の電話がかかってくる。
 今度は大石からだ。
 子機に持ち替えて、圭一は自室に戻る。
 圭一は、自分の命が狙われているようだと、大石に打ち明け、一昨日、大石と会ったその夜、魅音とレナから、大石と昼食を食ったことを質され、もらったお見舞いのおはぎの中に針が入っていたと話す。
 針が脅迫の証拠になると大石が言うので、圭一はおはぎを壁に投げつけた居間へ行くが、母親がきれいに掃除した後だった。
 壁の近くのじゅうたんをはがして、調べたが、針は見つからない。
 おはぎを捨てただろうゴミ袋も、中をぶちまけて調べてみるが、針は見つからない。
 母親が帰ってきたら尋ねようと思い、圭一は、冷蔵庫に「針はなかった?」と書いたメモを貼り付け、自室に戻る。
 針は見つからなかったと報告し、ついでに、今朝、ひき逃げにあったと大石に伝える圭一だが、白いワゴン車というだけで、ナンバープレートは覚えていない。
 次に圭一は、レナが去年行方不明になった悟史のことを何か知っているようだとも話す。レナは、圭一と悟史はそっくりで、このまま行くと同じ運命を辿る=転校するみたいなことを言ったと。
 この際、ついでにレナをことを聞こうと思った圭一だったが、玄関のチャイムが鳴ったため、大石に待ってもらうことにする。


 時計を見ると午後7時。来訪するには遅い時間だ。
 チェーンをしたまま玄関の扉を開けて確認すると、外にいたのはレナだった。
 レナは、圭一の夕食を心配して、お惣菜を詰めた重箱と、味噌汁、ご飯、お漬物を持ってきたと話すが、なぜ母親が不在で圭一が夕食を食べられないことをレナが知っているのかという疑問がわいてくる圭一。
 母親が今夕食を作っているから、レナからはもらえないと断る圭一。
 それを聞いたレナは、どうして圭一は嘘をつくのか?と問いただす。
 嘘じゃないという圭一に、「嘘たよ!」と一喝するレナ。どうやらレナは、圭一の両親不在であることを知っているようだ。
 そして、レナは、圭一の夕食が、豚骨ショウガ味のカップラーメンだと告げる。
 なんでそんなことを知っているのかと、恐怖を覚える圭一。
 レナは、圭一の後ろをずっとくっついていたから、セブンスマートで買ったことを知ってると言い出し、そのときの様子を話し始める。
 一緒にごはんを食べようとレナは言って、扉の隙間に手をかける。
 「帰れ」と絶叫した圭一は、ドアノブを一気に引っ張り、ドアを閉めようとするが、レナの指が邪魔でしまらない。
 痛いとレナはうめくが、圭一はますます力を入れてドアを閉めようとする。
 レナはごめんさないと謝罪を繰り返すが、圭一はドアノブを引っ張り続ける。
 やがて、レナの指がドアの隙間から抜け、ドアが勢いよく閉まり、その向こうで、レナがしりもちをついた音がした。
 圭一はカギをかけ、謝罪を繰り返すレナを放置して、一気に自室に駆け込み、大石との電話を続ける。


 圭一は、大石に、今レナが来たことと、レナが怪しいと告げ、レナのことを教えてほしいと頼む。
 他言無用でと言った大石は、レナは連続怪死事件の捜査線上に浮上したことはないので、個人で調べたためウラがとれていないと前置きする。
 圭一が大石から聞いたことは、レナは、大昔、雛見沢に住んでいたが、小学校に上がるとき、茨城に引っ越した。やがて校内のガラスを割って回り、医師の診察を受けたときに、オヤシロさまがと告白した。
 大石は、レナが学校のガラスを割った事件は、被害届が出されていないので、正式は事件ではないが、被害者の一人は片目に後遺症が残すぐらい殴られているのに、関係者一同、口が重いので、表沙汰になるのを望まない何者かがいろいろ根回ししたのだろうと話す。


 突然、雷雨が振ってきたので、窓を閉めようと外を見た圭一は、雷雨の中、カサもささずに門のところに立ち尽くす全身すぶ濡れのレナを見つける。レナは、圭一の部屋を見つめている。
 レナの口の動きは、ごめんさないと繰り返しているようだ。


 TIPS:セブンスマートにて

 セブンスマートは、市内にある酒類食料品の安売量販店。
 圭一は、色とりどりのカップ麺をどっさりカートに乗せるが、父親は、箱で選んで来いと言う。
 圭一は、豚骨ショウガ味の大盛カップの箱を見つけ、カートに乗せ掛ける。
 終わってしまった時間の世界を振り返ることはできないので、圭一はこの時間の気配をさらに鋭くするが、レナを見つけることはできない。が、確かに後ろに影の気配があった。
 圭一が走るのとまったく同じように、ぺたぺたという素足のような足音が、圭一の後ろをつけていた。


 鬼隠し編 #11 クールになれ

 結局、一晩中、金属バットを抱きながら座り込んでいた圭一は、朝になったので、窓から外を覗いてみた。さすがにレナの姿はない。
 クールになれと自分に言い聞かせた圭一は、証拠を集めるために登校することにする。
 昨日泥だらけになった制服は、洗濯機に突っ込んだままのため、圭一はジャージで登校だ。
 校庭で素振りをする圭一は、手に包帯をまいて登校してきたレナと目があったが、挨拶しない。レナは、台所でケガをしたとみんなに説明している。
 魅音が素振りをしている圭一に近づいてきて、悪いけど、素振りを今日で止めて欲しいと言い出す。
 誰にも迷惑をかけてないし、大きなお世話だと反論する圭一に、魅音は、人のバットだと答える。
 圭一は、転校生の忘れ物で、本人が取りに来るまで借りてるだけと反論し、妹は転校せず、兄だけ転校するって変わっているなと、魅音に揺さぶりをかける。
 北条悟史は、沙都子の兄で、去年、鬼隠しにあって消えたと続ける圭一は、レナから、失踪直前の悟史と同じだ、と言われたと告げる。
 そして、圭一は、これはオヤシロさまの祟りにあう前兆か?と、魅音に尋ねるが、魅音は自分は信じていないが、レナはやばいくらいに信じているから、オヤシロさまの話はうかつにするなと忠告する。
 魅音は、悟史のマネは絶対にやめてと話すが、圭一は、みんなが隠しているから、悟史のことは何も知らないと答える。
 そして、連続怪死事件のことを隠して、除け者にしたことを責める圭一は、仲間は隠し事をしないもんだ、ダム現場で事件はなかったと嘘を言った魅音は、仲間じゃないと言い出す。
 おはぎのことを聞いてみると、魅音は、自分が仕込んだと打ち明ける。
 圭一は、魅音は仲間じゃないから、自分のことは放っておいてくれと言い放ち、魅音たちが警察に疑われていると宣戦布告し、魅音がダム騒動のときに、警察沙汰になったことも自分は知っていると告げる。
 泣いている魅音を置いて、圭一が教室に戻ろうとすると、魅音は、全部バラしたのは、あの野郎かと、涙を流しながらつぶやく。
 そして、あのとき、殺しとくんだったなと続ける。


 今日一日誰からも声をかけられなかった圭一は、授業が終わると一人で、下校する。
 今日も誰かが、圭一の後ろを付いてきている。
 木陰から、尾行者を覗き込むと、レナだった。レナは、右手に鉈を持っている。
 レナは、宝探しのための鉈で、ダム現場で、新しいかぁいいの見つけたから、発掘すると話す。
 レナが圭一についてくるので、道を変える圭一だが、それでもレナは付いて来る。
 レナは、圭一が話したいことがあるはずだと言い出したので、ないと圭一は即答すると、レナは、「嘘だ」と絶叫する!
 レナは、悟史のときとは違うから、今度こそ相談に乗ってあげられると言い出す。
 レナは、悟史も悩んでいたが、レナは相談に乗ってあげることができずに悲しかった。悟史が転校したときに、すごく後悔した。それで、今度悟史みたいに悩んでいる人に会えたら、助けようと思ったと話す。
 圭一は、連続怪死事件の犯人は誰かとレナに尋ねると、レナは、ニンゲンの犯人なんかいない、全てはオヤシロさまが決めることと、答える。
 そして、レナは、オヤシロさまはいると断言し、許してもらえるまでずっとついてくると話す。
 レナは、自分のとこへもオヤシロさまが来たから、転校して、雛見沢にもどったと話す。そして、圭一のところにも、オヤシロさまが来ていると言い出す。


 圭一は、夕べ、大石から聞いたレナの話を思い出す。
 レナは、学校でガラスを割ったとき、金属バットで男子生徒3人ほど殴り、一人に片目に後遺症を残すほどの大怪我を負わせた。
 被害者が告発しなかったため、傷害事件にならなかった。
 大石は、被害者全員に話を聞こうとしたが、レナが転校した今でも怯えて教えてくれなかった。
 事件当日の放課後、レナは、親しい男子生徒3人とプール倉庫のあたりで、いつものようにたむろって話をしていたが、理由はわからないが、突然、倉庫脇にあった野球部のバットに手に取り、3人を次々に殴り倒し、そのあと、校舎に向かい教室のガラスを次々と割っていったが、教師たちに取り押さえられた。
 被害者3人は、あのとき、レナは突然人が変わったと言っている。
 被害者達は、誰も訴えず、学校は、事件の存在自体を否定したが、事件当日、病院に3人の生徒が担ぎ込まれたのはカルテに残っており、事実とのこと。
 レナは、事件のあと謹慎処分を受け休学し、神経科医のカウンセリングを受ける。
 主治医は口が堅かったので、看護婦からいろいろ聞き出したところ、レナは、主治医に、雛見沢を棄てた人は、必ずオヤシロさまに追われる、そして、自分のところにも、オヤシロさまが来たと話していたとのこと。
 レナは、雛見沢に帰らなきゃいけないと話しており、オヤシロさまは、雛見沢の守り神で、雛見沢を棄てて出て行こうとするとバチを当てるとも、言っていたとのこと。
 大石は、雛見沢には、レナの話していた通り、里を棄てると、オヤシロさまのバチが当たるという迷信があると教えてくれる。鬼ヶ淵の鬼も、俗世に出て行かないよう、オヤシロさまに厳しく見張られていたとのこと。
 つまりオヤシロさまは、この地を外界から隔離しようとする監視者なのだ。


 圭一は、レナを両手で突き飛ばして、脱兎のごとく逃げ出す。
 圭一は、ダム現場にたどり着いていた。
 向こうから村人らしき2人が歩いてきているが、様子が変だ。
 圭一が走り出すと、2人が追いかけてきた。
 圭一が逃げながらバットを振り回すと、追跡者の一人に当たり、転倒する。
 転倒した男にバットを振り下ろそうとすると、男が間合いに飛び込んできて、圭一の腹部を殴る。
 男は、さらに圭一の腹部にパンチを浴びせ、圭一の背後に回り、首をロックする。
 意識を失う圭一。


 圭一が気が付くと、そこは自室の布団の上で、枕元にレナが座っている。
 レナは、医者を呼んだから、もう大丈夫と話す。
 レナは、ダム現場に行ったら、圭一が倒れていたが、圭一は自分で歩けると言うので、肩を貸して家まで連れ帰ったと、話すが、圭一は、まったく覚えていない。
 圭一は、二人組みの男のことをレナに尋ねるが、レナは、いなかったと答える。
 トイレに行きたいと言って、レナを部屋に残して、圭一は、大石に連絡するため、電話のある居間へ向かう。
 そのとき、玄関のチャイムが鳴る。
 医者が来たと思い、圭一は無防備に玄関を開けるが、来訪者は魅音だった。
 魅音は、レナから、圭一が倒れたと連絡をもらったので、様子を見に来たと話す。
 魅音とレナに追い立てられるように布団の中に押し込められた圭一は、大石と連絡がとれそうにない。
 魅音は、レナに、監督に連絡したのかと確認すると、レナはすぐ来ると言っていたと、答える。
 監督って誰?と思う圭一に対し、魅音は、圭一が野球に興味あると知ったら、監督が喜ぶと話している。
 そして、二人して、監督が来る前に、おはぎの宿題の罰ゲームをしようと言い出す。
 レナが圭一の後ろに回り、圭一が動かないよう羽交い絞めする。
 魅音がポケットをまさぐると、小さな注射器が出てくる。そして、富竹と同じ目にあってもらうと、魅音は宣言する。
 圭一は、富竹が、自分の爪で喉を引っかいて死んだが、体からは薬物は検出されなかったことを思い出す。


 鬼隠し編 #12 ごめんさない

 圭一が我に帰ると、魅音とレナが血溜まりの中で倒れている。
 圭一の右手には、二人の血がべっとりと付いた金属バットが握られている。
 圭一は、二人を殴り殺したのが、自分だと悟る。
 レナと魅音が、富竹と同じ症状を起こさせる注射を圭一に打とうとしたので、圭一はレナを投げ飛ばし、魅音の腹を蹴った。そして、机の横にあった悟史のバットを握った圭一は、二人に何度もバットを叩きつけたのだ。
 圭一は、医者に他に監督も、ここへやってくることを思い出す。
 外で話し声が聞こえたので、圭一が窓から外の覗いてみると、門のところに4,5人の男が群がっている。
 ダム現場で圭一に襲い掛かった男によく似た雰囲気の男たちで、白衣の男も混じっている。
 あきらかに医者に変装して、玄関を開けさせる係りのようだ。
 そして、男達の後ろには、圭一をひき殺そうとしたあの白いワゴン車があった。
 圭一は、時計の裏に隠したメモを剥がそうとして、破いていしまうが、「レナと魅音は犯人の一味」と、書き加える。
 続いて、「他にも大人が4.5人以上。白いワゴン車を所有。4年前の殺人事件の被害者をもう一度よく調べてください。生きています。富竹の死は未知の薬物によるもの。証拠の注射器はこれです。」と書いて、証拠の注射器を、テープで時計の裏に貼り付ける。
 玄関のチャイムが鳴り、圭一は、さらに書き加える。
「どうしてこんなことになったのか、私にはわかりません。これをあなたが読んだなら、そのとき、私は死んでいるでしょう。死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。」
 書き終えたメモを時計の裏に貼り付け、時計を元の位置に戻す。
 チャイムが鳴り響く玄関から、自分の靴を鷲掴み、勝手口から外に出た圭一は、すぐに男達に見つかってしまう。
 背後に誰かがぴたっと張り付いている気配を感じながら、ひたすら全力で走る圭一。

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 ひぐらしのなく頃に粋のプレイ開始!


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 トロフィー:惨劇に挑めをゲット!

 もうじき退職する大石刑事が、雛見沢連続怪死・失踪事件関連のファイルを開き、回想する。
 鹿骨市雛見沢地区は、人口2000人程度の集落だが、公的な権威がほとんど通用せず、伝統的に力を持った御三家と呼ばれる名家が事実上支配する、古く排他的な土地だった。そしてオヤシロさまなる土着の神を敬う民間信仰が住民の間に語り継がれ、不信心者にくだされるという祟りが近年、続けざまに起こっていた。
 しかし、いまではその集落の存在はなかったものとされて、わずかに残された人々も各地に散り散りとなっている。
 その発端となったのが、ここにまとめて数々の事件だった。


 1日目 #1 東京からの帰り道

 昭和58年6月

 男が独り言をつぶやきながらなんかをぶん殴って、血が噴き出すシーン・・・


 圭一は、先月まで住んでいた東京で行われていた親類の葬儀から、雛見沢に戻って来る。


 2日目 #1 登校

 学校へ向かう圭一は、いつもの待ち合わせ場所でクラスメイトの竜宮レナと合流する。
 さっそく今朝の朝食で食べた漬物の礼をする圭一。漬物は、レナの母親ではなくて、レナ本人た漬けたもので、おいしかった。
 次の待ち合わせ場所で、上級生でクラスのリーダー役の園崎魅音と合流する。魅音は、ゲーム愛好家で、さまざまなゲームを収集しており、魅音の部屋はゲームの博物館状態らしい。
 圭一の通う学校は、クラスが一つしかない。年齢学年ばらばらの生徒たち30人くらいが、ひとつのクラスで勉強している。
 教室の扉の前で、引き戸の上に仕掛けられた黒板消しのトラップに気付く圭一。
 北条沙都子は、圭一の転校初日から、トラップを仕掛けてきた下級生。
 沙都子の手口を思い出し周囲を良く見ると、引き手に画鋲が貼り付けられているのを発見する。
 しかし、本当のトラップは足元に仕掛けられていたが、魅音の指示で何とか回避するが、少し痛める圭一。
 「痛いの、痛いの、飛んでけ」と圭一の頭を撫でるのは、沙都子と同い年の梨花。
 圭一は沙都子に謝るようせまるが、沙都子は泣き出してしまう。それを見ていたレナは「かぁいい」と言って、お持ち帰りしたそうにしている。
 担任の先生は一人だけで、学年の違う生徒たちの面倒を見ているため、上級生は自習状態。そのため、レナや魅音は、圭一より勉強が遅れていたため、圭一が二人の勉強を見るはめになった。
 圭一は、レナ、魅音、沙都子、梨花といっしょに昼食をとる。全員のお弁当を真ん中に置き、自由におかずをとって食べるのだ。
 沙都子のお弁当は、梨花が作っているため、沙都子と梨花のお弁当の内容は同じだ。
 レナは、梨花よりも料理上手のため、みんなはレナのお弁当に進んで箸を伸ばす。
 沙都子は、ブロコッリーとカリフラワーの区別が付かないレベル・・・
 下校途中、レナと魅音から、雛見沢を一人で回れない圭一のために、明日、雛見沢を案内してあげると言われる。→「もちろん


 TIPS:うちって学年混在?

 レナは7月生まれ、圭一は4月生まれ。圭一は今は魅音と同じ年齢。
 学年混在の理由は、教室が足りないから。学校は営林署の建物を間借りしている。
 本当の学校は老朽化で廃校になって、生徒たちは興宮の学校に通うことになったが、遠くて通いたくない生徒は、ここ仮校舎に通っているとのこと。


 TIPS:うちって制服自由?

 この学校では、相応しい服であれは私服でもOK。他の生徒たちは、おそろいの町の学校の制服を着ている。レナたちは、全国の学校の制服を仕入れている魅音の親類の古着商から、取り寄せてもらっているとのこと。


 TIPS:前原屋敷

 圭一の家は、すっごく大きいので、建築中から、前原屋敷と呼ばれており、どんなお金持ちが来るのかうわさになっていた。
 圭一の家が広いのは、画家である父親のアトリエや作業場があるからと、過去の作品を飾る場所を広くとったためで、家族が生活する部分は全体の三分の一ほど。それと、自宅で個展を開くことも考えて、来客用のスペースも確保したためで、圭一の家は経済的には一般人レベル。


 3日目 #1レナたちと散歩

 翌日の日曜日、圭一は、魅音とレナに雛見沢を案内してもらうため、待ち合わせ場所に行くと、二人はもう着いていた。
 レナはボストンバッグぱんぱんに弁当箱を詰め込んで持参していた。5kgくらいありそうだ。
 雛見沢の案内というより圭一のお披露目のような散歩だった。出会う人は、皆、圭一のことを知っていた。魅音いわく、雛見沢の人間は、皆顔見知りとのことで、名前とプロフィールは知れ渡っている。
 見晴らしのいい場所でお昼にしようとのことで、階段を上りきった先にある古手神社へ。
 もうじきここでお祭りがあるとのこと。綿流しは、冬の終わりを喜ぶお祭りなので、6月に行われるとのこと。
 シートの上に弁当箱を広げていると、梨花と沙都子がやってくる。
 5人でレナのお弁当を食べることになった。
 圭一と沙都子でおかずの争奪戦が勃発→かわす
 圭一がおかずを奪おうとした沙都子をかわしたため、沙都子が弁当箱の一つに顔から突っ込み、泣いてしまう。
 弁当を食べ終わり一息ついてから、沙都子からお弁当を作ったレナへの賛辞勝負を仕掛けられる圭一。
 沙都子は、レナを萌え落とすことに成功し、レナからごほうびのリンゴのうさぎをゲット。
 圭一は、ここは、レナの好みの少女マンガチックにとクサい台詞を吐き、周囲を凍らせるが、レナは、喜んでタッパーいっぱいのリンゴのうさぎをくれ、沙都子に完全勝利する。
 と思ったら、梨花がリンゴのうさぎがかわいそうで食べれないと言い出し、レナが萌えて、圭一にあげたリンゴのうさぎを回収し、梨花に渡したため、圭一は負けてしまう。


 3日目 #2 レナとの帰り道

 みんなと別れ、圭一はレナと家路につく。
 途中で、レナから、寄り道しない?と聞かれて→「ああ、いいぜ

 レナに連れられて工事現場跡に来た圭一。そこは不法投棄による粗大ゴミの山だった。
 レナは、嬉しそうに宝の山だと言い出し、新しいゴミの山に向かう。
 それを追おうとする圭一だが、転んでしまい、レナにそこで待っているように言われる。
 そこへカメラマン風体の男が現れ、カメラを圭一に向ける。
 男は、フリーカメラマンの富竹だと、圭一に名乗る。そして、野鳥の撮影をしに、時々、雛見沢に来ていると話す。
 そこへ、ゴミの山から、レナが姿を現す。
 富竹に、レナが何をしているのかと聞かれて→「死体でも捜してんじゃないですか?」と答える圭一。
 すると、富竹は、まだ見つかっていないんだろとつぶやいて、去っていく。
 レナは、ランディくん人形(この世界のカーネル・サンダース人形)を見つけたと喜んでいるが、他の山の下敷きになっており簡単に掘り出せないともは話す。
 圭一は、弁当のお礼に手伝いと申し出る。
 そして、あの場所で何かあったのかを、レナに尋ねる圭一。
 レナは、詳しくは知らないが、ダムの工事をやっていたと答える。
 さらに圭一が突っ込んで聞き出そうとすると、レナはいやにはっきりした声で、拒否に近い響きで、知らないと答える。
 レナは、去年までよそに住んでいたので、それ以前のことはよく知らないと謝る。


 TIPS:ダム現場の怪奇殺人

 昭和54年6月26日朝刊より
 鹿骨市興宮署は、6月23日深夜、建設作業員5名を殺人の容疑で逮捕し、逃走した主犯格の建設作業員1名を全国に指名手配した。調べによると、6容疑者は、6月22日午後9時ごろ、雛見沢ダム建設現場内の作業事務所にて、上司である現場監督を手段で暴行して殺害し、そのまま逃走した疑い。
 6月23日午前8時ごろ、鹿骨市内の病院から、警察へ、殺人をほのめかす男性がいるとの通報があり、警察官が駆けつけ事情を聞いたところ、事件を自供。供述通りの場所から遺体の一部が発見されたため、同日午後、殺人の容疑で逮捕した。
 他の容疑者も即時逮捕されたが、主犯格の作業員は逃亡中。警察は行方を追っている。


 4日目 #1 部活への参加

 圭一は魅音から、ゴミ山は何年か前に中止になったダムの工事現場だったと教えてもらう。
 雛見沢が丸ごとダム湖に沈むことになり、抵抗運動が起きたとのこと。
 いつものメンバーが集まったところで、魅音が、圭一を新たな部員として我らの部活動に加えたいと発言し、他の3人は賛成を示す。
 何の部活かと圭一が尋ねると、みんなでゲームして遊ぶ部活との答え。ようするに、魅音の趣味、ゲーム収集をフル活用した部活で、日ごと魅音の所有する様々なゲームを遊び、その日によって、一番勝った者に賞があったり、一番負けた者に罰ゲームがあったりするらしい。
 会則第一条:狙うは1位のみ!ということで、いい加減なプレイは許されない。
 会則第二条:そのためにはあらゆる努力をすることが義務付けられている。つまり、どんな手段を使ってもいいらしい。
 さっそく入部試験開始。誰にでも分かるゲームとのことで、ジジ抜きだ。そして、今回は、ビリに顔面らくがきの刑となった。
 圭一以外のメンバーは、真剣にカードを見つめている。
 圭一は、カードにつけられた傷で、カードを見分けていることに気付く。
 魅音は、圭一の手札をすべて見切っており、その内容を圭一に告げる。
 そして、梨花はジジである中央に伏せてあるカードの内容を告げる。
 沙都子が一番に上がる。そして、圭一の手札を見切っているレナは、圭一の手札から、自分の上がりのカードを引き、2番目に上がる。結果は当然、圭一はビリだった。
 梨花に励まされて冷静になった圭一は、カードをよく見ると、カードにつけられた傷が特徴的で、暗記できそうなことに気付き、自分の手札のカードの傷を相手に見せないよう工夫する。そして、カードについてのヒントを聞き漏らさないようにし、カードを選ぶときの相手の微妙な反応も参考にする。さらに、カードにわざとキズをつけて、他のカードに偽装してみせた!
 圭一のカード偽装に魅音がひっかかるが、すでに時は遅く、魅音が1位で、圭一のビリは確定していた。
 魅音は、圭一に一騎打ちを申し出る。勝ったほうが1位で、負けたほうがビリになるというものだ。
 魅音は、自分の手札1枚と、ゲームにつかってなかったジョーカーを持ち、ジョーカーを当てろと言う。→読み取れ、魅音の動きを・・・・!
 魅音が、圭一の捨て札を拾って、ジョーカーの上に重ねたことに気付いた圭一は、自信を持ってジョーカーを指す。
 しかし、魅音は、裏の裏をかいた。圭一がそう考えるだろうと読んで、自分の手札の上に捨て札を重ねていたのだ!
 圭一は魅音に負けたが、入部は許可される。
 そして、魅音が、極太の油性マジックを取り出した。


 4日目 #2A 気晴らしに散歩

 レナは、ランディ君人形を掘り出しに行くらしく、速攻で帰ったため、圭一は珍しく魅音と下校する。
 圭一が、魅音にダム工事現場で昔あったことを尋ねると、戦いがあったと答える。村長や村の有力者が方々に陳情し、いろんな政治家に根回しもしているうちに、計画が撤回されたとのこと。
 殺人事件とかはなかったのかと、圭一が尋ねると、レナのときと同じように、なかっととぴしゃりと魅音に言い切られる。


 4日目 #3 時間つぶし

 圭一が家に帰ると、父親がアイデアに詰まってイライラしていた。
 父親の八つ当たりが圭一にきたので、外に出て散歩に行くことにする圭一。→宝探しへ
 圭一は、レナの宝探しを手伝いに、ダム工事現場へ。
 ゴミ山で奮戦しているレナを発見し、声をかける圭一。
 ランディ君人形は、複雑に絡み合った木材や建材に閉じ込められている。
 圭一は。レナに下がるように言い、手でゴミを取り除くが、たいして進まない。
 圭一が休憩するため、斜面に寝転ぶと、レナが、家が近いから麦茶を持ってくるので、待っててと声をかける。
 レナが家に戻っている間→ちょっと休憩・・・
 圭一は、ヒモで束ねられて捨てられていた週刊誌の束を漁り目次に目を通すと、雛見沢ダムで悪夢の惨劇!報復・バラバラ殺人!という見出しを発見する。
 記事を読むと、犯人達は被害者を滅多打ちにして惨殺し、さらに鉈で遺体を6つに分割と書かれていた!
 そこへ手に鉈を持ったレナが現れたため、驚きのあまり大声をあげる圭一。
 物置から鉈を持ってきたと話すレナ。
 もうすぐ日が落ちそうだったので、続きは明日することにして、鉈は明日借りるよと圭一は、レナに声をかける。
 圭一は週刊誌をレナに内緒で持ち帰った。


 TIPS:週刊誌の特集記事

 雛見沢ダムで悪夢の惨劇!
 6月22日、鹿骨市の雛見沢ダム建設現場で起こった血も凍る凄惨な殺人事件。
 初めは殺すつもりはなかったのでしょう。ですが被害者がシャベルを振り回して抵抗を始めると、加害者達もいっせいに得物を手にし、一気に殺し合いにエスカレートしたものです、と捜査関係者は語る。
 被害者は、日ごろから粗暴な振る舞いで容疑者たちを酷使していた現場監督。
 加害者たちは、自らの罪深さに恐れおののき、警察に出頭しようと言い出す者もいたが、リーダー格の作業員だけは、死体を隠そうを提案した。
 最後まで加担に抵抗した作業員のひとりが、乱闘時の傷の治療で訪れた病院で、告白したため、犯人は芋ずる式に逮捕されたが、リーダー格の男の行方だけは掴めておらず、彼が隠した右腕部分も発見されていない。
 リーダー格の男は、沼に捨てに行くと言ってたらしく、沼の近くに男の乗用車が乗り捨ててあったが、その後の足取りはまったくわからない。
 署内では、死体を捨てるときに謝って自分も沼で溺れてしまったのではないかと囁かれている。
 この沼は、地元では底なし沼と恐れら、その名を鬼ヶ淵と言い、沼の底の底は地獄の鬼の国につながっているのだという。


 5日目 #1 鬼ごっこ

 体育の授業中なのだが、最初にみんなで準備体操をやったあとは、先生すらおらず、みんなてんで勝手に遊んでいる。
 魅音は、部員たちで鬼ごっこを行うと告げる。
 会則第三条:ゲームは絶対に楽しく参加しなければならないの精神で、メンバーは楽しそうだ。
 鬼ごっこのルールは、授業終了のチャイムまで逃げきれた者が勝者。ただし鬼の交代はない。鬼に触れられた者も鬼になる、通称:ゾンビ鬼。
 魅音の問題に答えられなかった沙都子がゾンビ役になった。
 沙都子は、生徒たちに圭一の居場所を聞きまくって教えてもらっている。
 圭一は、嘘の伝言で、沙都子と魅音を校門に呼び出す作戦を実行する。
 一方、ゾンビは、圭一の恥ずかしいうわさを流し、怒って圭一が出てきたところを捕まえる作戦に出る。
 物置の屋根の上に隠れている圭一の下で、ソンビとなった梨花が、レナを襲おうとするが、レナは圭一を見つけて、助けてと叫んだため、沙都子とゾンビになった魅音に見つかってしまう。
 屋根から飛び押して逃げようとした圭一だったが、ゾンビに捕まってしまう。
 圭一は、レナが地球にとってかけがえのない人間だからここに呼んで欲しいと、謎理論で下級生を説得して、レナ探しを手伝わせる。
 見つけたレナを追い詰めるが、レナの、圭一はひどいことをしないというセリフで、圭一は動けなくなる。
 そこでチャイムが鳴り、レナが勝った。しかも、魅音もゾンビじゃなかった。魅音はゾンビのフリをしていただけだった。


 5日目 #2 放課後

 今日の授業が終わった→レナと宝探しだ。
 家に帰って、発掘の準備をした圭一は、ダム工事現場に向かう。
 途中で、富竹に出会い、レナがにやにやと笑いながら鉈を持って歩いていると言われる。
 富竹がここで殺されたら犯人はレナだと言って、富竹と別れようとすると、よそ者に対する警告のつもりかと富竹が言い出し、笑って去っていく。
 ダム工事現場でレナと合流し鉈を受け取った圭一は、最後の梁を壊そうとするが、なかなか進まない。
 いったん休憩する圭一は、レナに、以前はどこに住んでいたかを尋ねるとl関東のほうの田舎だと答える。
 続いて、引越しの理由を聞くと、逆にレナから尋ねられてしまい、圭一は、風景画家の父親が山奥にアトリエを移したいと言ってたからと答える。
 圭一が最後の一撃を振るうと、梁を叩き折ったと同時に、ランディ君人形の腕も折ってしまうが、無事回収できた。


 TIPS:竜宮家の食卓

 ランディ君人形をレナの家まで運んだが、レナの家の灯りは点いていない。レナの親はまだ帰っていないようだ。
 レナは、圭一に夕食を食べていくよう勧める。


 6日目 #1 レナの家について

 翌日、教室では、いつものメンバーが、圭一に竜宮家についての感想を聞いてくる。
 竜宮家は、すでに建っていた家を改修したものらしかったが、庭には未知のオブジェク(ケーキ屋のベロ出し人形、薬局前の首振りカエル、デパート屋上の空飛ぶゾウさんなど)が並んでいた。その中には、郵便ポストまであった・・・
 祭りの実行委員である梨花が、職員室から戻ってきた。
 村祭りの綿流しのお祭りのことを知らない圭一に、説明してくれる。
 綿流しとは、痛んで使えなくなった布団とかどてらに感謝して、供養しながら沢に探すお祭りとのこと。
 当然、魅音は、お祭り当日は部員達で、露店巡りをしながら部活をするつもりだ。
 さっそく本日の部活開始。
 魅音の持ってきた新品のトランプによる大貧民。みんなでトランプを改めて、仕掛けがないことを確認する。
 そして、本日の罰ゲームは、各自が罰ゲームの内容をメモに書き、最下位がそれを引くというもの。当然、「何もなし」は禁止だ。(魅音は、「何もなし」とメモに書き、そのメモの角を折って、目印にしていたが、バレた)
 初戦で負けたのは魅音で、「校長の頭をなでる」というメモを引く。
 校長は薄い頭を気にしているが、武道の達人とのこと。
 魅音はさっそく校長のところへ行くが、なにやら破壊音が聞こえてきた。
 しばらくして、ヨタヨタとした足取りで魅音が戻ってきて、「撫でた」と言って倒れこむ。
 とりあえず生きているので、ゲーム続行だ。
 次のゲームに負けたのはレナだった。そして、レナが引いたメモには「メイドさん口調でしゃべる」と書かれていた。
 「ご主人様ぁ」を連発するレナを見て、興奮する圭一。
 次もレナが負け、メモには「上下1枚ずつ脱衣」と書かれていた。
 レナは制服を脱ぐが、下に体操服を着ていた。
 次に負けたのは沙都子で、メモには「妹口調でしゃべる」と書かれていた。
 また魅音が負けて、メモには「女子スコール水着に着替える」と書かれていた。
 またレナが負けて、罰ゲームは「1位にひざまくら」で、圭一は体操服姿のレナに生ひざまくらをしてもらう。
 また沙都子が負けて、罰ゲームは「1位にご奉仕」で、圭一は沙都子に肩をもんでもらう。
 圭一以外の4人は共同戦線を張って、圭一と勝負を続けるが、とうとう梨花も負けてしまう。
 梨花への罰ゲームは、「猫耳・鈴付き首輪・しっぽ付き装備」だった。
 猫コスの梨花を見て、レナはかぁいい状態になり、梨花をお持ち帰りしたいと言い出す。
 沙都子は、レナが圭一を倒せたらお持ち帰りしていいと言うと、レナは大興奮。→や、やばい……レナは殺る気だ!
 とうとう圭一は負けた。メモには、「今まで出た罰ゲーム全部」と書かれていた・・・
 圭一は部員たちに着せていたコスを逆に着せられ、校長の頭をなでに行くが、返り討ちにあう・・・


 6日目 #2A 魅音と下校

 レナは梨花の頭を好きなだけ撫でるという権利を獲得したので、梨花たちと下校した。
 圭一は、魅音と下校し、途中で富竹に会う。富竹は祭りの写真を取りに来たと話し、宿に戻っていく。
 魅音は、富竹は年に2,3回来て、季節の風景や野鳥を撮影していると教えてくれる。


 TIPS:回覧板

 綿流しのお祭りの回覧板


 7日目 #1 魅音からの電話

 日曜の11時半、レナから圭一に電話がかかってくる。
 途中で電話は魅音に代わり、部活メンバー全員で、いつもの場所に自転車で1時に集合と言われて、予定のない圭一は了承する。
 魅音は、おとといのポーカーで圭一に負けて2位になったことを根にもっていると話す。
 圭一が魅音に連れられ、やってきたのはおもちゃ屋だった。
 魅音は、このおもちゃ屋の常連で、たまに客寄せイベントでゲーム大会を開かせてもらっているとのこと。
 今回のイベントの優勝賞金は5万円で、すべて魅音の自腹らしい。
 今回の参加者は15名。予選は3人1組で店内にあるゲームで1位を決めて、各組の1位の5名が決勝に進むというものだった。予選のゲームは参加が自由に選べるが、意見が割れて選べなければ、店のマスターに選んでもらう。
 予選敗退者は、選んだゲームの買取が罰ゲームとなるが、部活のメンバーの罰ゲームは、勝者が敗者に1つずつ命令をするというものだった。
 くじ引きの結果、部活メンバーは、全員5組に分かれた。
 圭一の予選の相手は、同じ学校の下級生の富田と岡村だった。3人の意見が割れたため、店のマスターにゲームを選んでもらい、百億長者ゲーム(ゴールしたときに、所持金を1番多く持っている人が優勝)をすることになったが、完全な運だめしゲームのため、なかなか勝機がつかめない圭一。
 魅音は何のゲームをしてのかはわからないが、開始5分で決勝進出を決めていた。
 レナは、カルタで勝負中たったが、カルタのイラストがかぁいい系で、レナはかぁいいモード発動中で、とうぜん勝つだろう。
 沙都子は、神経衰弱で勝負中。沙都子は、カードの場所をこっそり入れ替えて、勝利する。
 梨花は、電動の魚釣りゲームで勝負中というより、梨花ファンクラブ親睦会と化していた。そして、圧勝する。
 予選で苦戦している圭一に失望し、予選会場から去る部活のメンバー。
 それを見た圭一は、富田と岡村に、自分を勝たせるよう取引を持ちかける。富田で沙都子萌え、岡村は梨花萌えなことに気付いた圭一は、勝者が敗者に命令できる部活の罰ゲームを使って、自分が優勝したら、首輪付き沙都子と猫耳梨花と散歩する権利を二人にあげると持ちかけ、取引が無事に成立する。
 部活メンバー全員が決勝に残ったので、多くの人間に勝負を見てもらいたいと魅音が言い出し、いったん決勝は魅音が預かり、後日、日時とゲームを発表することになった。
 魅音は、さっき叔父さんから特売日でレジが足りないとヘルプの電話があったから、今からバイトに行くと話す。
 お店のマスターが、イベントを盛り上げてくれたお礼にと、圭一に着せ替え人形をくれる。
 が、圭一には人形を集める趣味はないので、マスターに頼んで、トランプに代えてもらう。


 TIPS:魅音の叔父さんって?

 魅音は今日は、叔父さんの店のバイトが入り、部活は欠席だ。
 魅音は部活のロッカーから、好きなゲームを出して部活をすればいいといってくれたが、部活の備品のゲームや、罰ゲーム用の衣装まで入っているロッカーをうかつに触れば、中身があふれ出して、元に戻せなくなりそうだ。
 魅音は、バイトで部活を欠席するが、不定期だった。それは、叔父さんのお店でスタッフにお休みが出たりすると応援に駆けつける便利屋のようなものだからとのこと。しかも、興宮では魅音の親戚たちがやっているお店がいっぱいあるので、パン屋とか八百屋とかラーメン屋とか部活をやったおもちゃ屋とかいろんなお店でバイトしているとのこと。
 魅音の一族は、金融業、不動産業、アバレル産業、アミューズメント産業もやっているとのこと。


 TIPS:不幸のトランプ?

 「このトランプは不幸のトランプです。これを使ったゲームで後輩の女の子をけちょんけちょんにしてしまうと以後8世紀にわたり子々孫々まで祟られることになるでしょう。その祟りを回避するためには、たとえ大勝利でもその権利を放棄して、髪が短いほうの女の子を勝利者にすることが最善です。さすれば未来永劫、あなたとその家族と子孫は幸せな運慶を全うすることができるでしょう。」とトランプの裏にメモが貼り付けてあったが、沙都子のトラップだと思い、まったく信じていない圭一。
 沙都子は、そのメモは自分が書いたものではないと否定する。
 みんなも、新品のトランプで、さっき魅音がビニールをはずしたところだと答える。
 誰が仕掛けたのだろう?


 8日目 #1 昨日の話

 低学年は5時限で解放され、6時限目の授業を受けているのは、圭一、魅音、レナだけ。
 6時限目の授業が終わると梨花と沙都子が教室に戻って来て、さっそく部活が始める。
 今日のゲームは、シンパシーだ。お題目を決め、みんなで連想する言葉を書いて、同じ答えを書いた人が2人だと2点、5人全員なら5点入るっていうゲームとのこと。つまり、みんなと同じ答えになるように考えるゲームなのだ。
 今回の罰ゲームは、圭一提案の荷物運びに決まり、1位の荷物をビリが家に運ぶことになった。
 しかし、それだけではつまらないということになり、メイド服着用でという条件が追加される。もちろん圭一でも着用可能なXLサイズも用意してある。
 最初のお題目は夏休み→圭一は宿題と答える。
 しかし、同じ答えがなかった。
 次のお題目は、魚で、お寿司と答えた圭一と同じ答えはなかった。
 次のお題目は、さくら→圭一は、口紅と答える。
 新色が出たってTVで特集を組んでた有名な口紅の商品名である「Sakura」を圭一は書いたのに、同じ答えはなかった。


 8日目 #2 罰ゲーム

 結局圭一がビリで、メイド服で魅音の家まで荷物持ちをすることになった。
 日ごろの行いが良かったせいか、家に帰るまで誰にも会わずにすんだ圭一だが、玄関で父親に会い、アトリエに連れて行かれる。
 圭一が風呂から上がると、母親から頭痛がひどくて晩御飯が作れないから、父親と外に食べに行くように言われる。
 父親は、この前見つけていいお店に行こうと話す。
 父親は駅前のファミレスのエンジェルモートに車を止める。
 駐車場に止まっている他の車のナンバープレートを見ると、関東一円からお客が集まっているようだ。
 日替わりセットを頼んで食べたが、普通のファミレスと大差ない味だ。
 しかし、このファミレスのウェイトレスは、バニーガールとメイドさんとフリフリな衣装を足して割ったようなコスプレで接客していた!
 新米ウェイトレスを見て→か……可愛い……。と思う圭一。圭一は、父親に引けを取らない制服マニアだった。
 父親が一番好きなのは、ウェイトレスのストッキングだそうだ。
 熱く制服談義を繰り広げる圭一父子の話に、突然、メイド服押しの男が加わるが、熱くなりすぎて大声を出すもんだから、ウェイトスにお盆で殴られてしまう。
 男は、すごすごと自分の席に戻ったところで、圭一がウェイトレスを良く見ると、髪形は違う(魅音はポニーテール、ウェイトレスはハーフアップ)が、魅音にそっくりだった!
 圭一が思わず声をかけると、ウェイトレスは、「もしかして、圭ちゃん?」と聞いてくる。そして、魅音の妹の園崎詩音だと名乗る。
 圭一がよく見てみると、詩音は、なんとなく魅音を雰囲気が異なっている。(魅音は元気娘、詩音はお嬢様)
 学校で詩音の姿を見たことがないから、町の学校に通っているのか?もしかして、魅音と同一人物?そういえば、魅音から詩音のことを聞いたことがないので、触れてはいけない話題かもしれないし、こちらからは聞くのは遠慮しよう。もしかして、父親の恥ずかしい様子を黙っててあげるつもりで、別人のフリをしてくれのかと、思う圭一。


 TIPS:詩音って本当にいるの?

 沙都子に魅音の家族について聞いてみると、祖母しか会ったことがないと答える。
 梨花に聞くと、園崎詩音は実在するとの返事。魅音の双子の妹だが、あまり会ったことはないとのこと。
 魅音は、家族とは別に祖母と雛見沢で暮らしており、他の家族は、興宮にいるらしい。
 そこへ魅音がやってきたので、沙都子が双子の妹について聞くと、魅音は、いるが、電話で話はするがしばらくあっていないと答える。


 8日目 パートーナー選択→竜宮レナ


 ルート:レナ #1 レナと下校


 トロフィー:嘘だッ!!!をゲット!


 放課後、部活のためにメンバーが集まったところで、魅音はバイトで欠席すると告げる。
 部長がいないので、今日は解散ということになり、レナと帰る圭一。
 レナに、画家である圭一の父親が、どんな作品を書いているのかを聞かれて、答えられない圭一。圭一は、父親が何の絵を描いているか、まったく興味がない上に、父親も、自分の仕事を圭一に見せることがなかったからで、正直にレナにそう答える。
 レナは、家族がどれだけステキなのかってわかるのは、失ったときなんだからと話す。
 そういえば、レナが家族について語るのは、圭一にとってこれが初めてだった。
 話題を変えるかのように、レナは、圭一が前に話していた本を貸してほしいと話す。
 圭一がレナを連れて家に帰ると、母親は残業で不在で、父親が料理していたが、鍋から紫の煙が上がっている。
 エンジェルモートに通っていることを母親にバレたため、外食はしにくいのだ。
 見かねたレナが、夕食を作ると言ってくれて、父親は大喜び。


 ルート:レナ #2 夕方の買い物

 圭一と夕食の買出しに行ったレナは、夕食はカレーにしようと話すが、途中で固まってしまう。
 レナの視線の先には、派手な女性がおり、「礼奈ちゃん」と呼びかけてくる。
 レナは、「リナさん、こんばんわ」と挨拶する。
 リナは、今日は3人で食事会なのに、なんで買出しをしているの?と聞いてくる。
 レナは、自分は用事ができたからと答え、リナとレナの父親と二人だけで行くように薦める。
 リナは、レナに欠席の理由を尋ねると、レナは、部活の罰ゲームだと答える。
 リナは、お勧めのカレーはコレだと言って、カゴの中にルーの箱を放り込むが、リナの姿が見えなくなった途端、レナは、コレ好きじゃないと言って、棚に戻してしまう。


 レナのカレーは絶品だった。
 後片付けのとき、家族の食事会はいいのか?と圭一が聞くと、レナは、家族じゃないと答える。
 リナは、レナの父親の友達とのこと。


 8時を過ぎた→「送っていこうか?」
 しかし、レナは圭一の申し出を断る。


 ルート:綿流しA #1 村祭り

 あれから数日後、メンバーがそろわず部活はお預けになっていた。
 今日は綿流しのお祭りの日で、久々の部活だ。
 レナが圭一を誘いに来る。
 途中で、魅音も合流する。
 古手神社は、大賑わい。
 沙都子と、巫女さん姿の梨花も合流する。
 祭りの実行委員の梨花は、祭りの神事の巫女さん役をしているのだ。
 さっそく部活開始!
 たこ焼きやかき氷、綿アメの早食い、かぁいいもの探しで勝負を繰り広げる部員たち。
 フラッシュが光り、富竹が現れる。
 明日は東京に帰る予定の富竹に、魅音は、名誉市民として、部活への入部を許可する。
 部員たちは射的屋にやってきた。魅音は、3発撃って得られた景品のデカさで勝負しようと言う。
 部員達は、一番大きいくまのぬいぐるみを狙うが、弾が当たっても揺れるだけで、落ちない。
 圭一は、弾を込めた3丁の銃を用意し、連射する。
 弾は3発ともくまの頭部に当たり、くまは棚から転げ落ちた!
 圭一を店主から受け取ったくまをレナに手渡し、いろいろと面倒を見てくれてありがとうと圭一が告げると、レナは圭一に抱きついてくる。
 神社の奥から太鼓の音が聞こえ、梨花は巫女役を務めるため、みんなと別れ、梨花を撮影するため富竹も去っていく。
 大きなぬいぐるみを抱えたレナは、人ごみでうまく動けなくなっている。
 魅音と沙都子を先に行かせて、圭一はレナに付き添う。
 レナの手を引いて圭一が祭壇の前に行くと、沙都子と魅音が場所を取っていてくれてた。
 神事が始まり、巫女役の梨花が祭事用の鍬を振って、布団の山を突っつく。
 やがて神事が無事に終わり、神社の大階段を行列が降りていく。
 沢のほとりで、町会の人が清められた布団の中身の綿を手際よく引き出して、丸めて配っている。
 レナが圭一の分の綿をもらってきてくれる。
 圭一は、レナがやるとおり、綿で順番に体を叩きながら、「オヤシロさま、ありがとう」と唱えるようにと言われる。
 オヤシロさまは、雛見沢の守り神で、ご利益もあるけど、祟りもあるとのこと。
 体についていた悪いものを、この綿に吸い取り、沢に流して、お祭りは終わりとのこと。
 何かの気配を感じる圭一→なんか、声が……聞こえる?
 

どうか嘆かないで。
世界があなたを許さなくても、私はあなたを許します。

どうか嘆かないで。
あなたが世界を許さなくても、私はあなたを許します。

だから教えてください。
あなたはどうしたら、私を許してくれますか?

 画像鑑賞 2%
 音楽鑑賞 15.3%
 動画鑑賞 嘆きノ森、Side Effects
 TIPS 5.3%

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 現在の夢:ゲームする時間の確保、サービス残業時間減少、年棒アップ
 将来の夢:がんばってお金を稼いで、ニートでゲーム三昧の日々を送ること
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