チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動
 伊綱「それじゃ音成さんは、今回の事件の関係者をクロッシュに呼び集めてください!」


 音成「伊綱さん、ゲンマの小早志と瀬堂は不在でした」
 伊綱「そうですか・・・手配してでも突き止めておいた方が良いかもしれません」
 音成「わかりました。あと、尾場警部も別件で不在とのです」
 砂永「白鷺洲様、犯人がわかったとは本当ですか?」
 伊綱「はい、これから説明します」


 聞く
 伊綱「まず今回の事件の犯人ですが、今回の件で殺人を犯した人は、笠見由紀乃さんです!」
 音成「なんだって!」
 伊綱「そもそも、村崎さんが会社でソースを明らかにしなかったのは、実は自分自身で開発したものではないからではないか、と思ったんです」
 綾城「そうなのか!」
 伊綱「つまり、村崎さんと昔から懇意のあった狭川美弐こと笠見由紀乃さんが開発した新技術を、村崎さんは盗んだわけです」
 音成「盗作だったのか!」
 伊綱「そして盗まれたことを知った笠見さんは、村崎さんを問い詰めに行ったのです」
 望美「それで、彼女が『スノーマンが盗まれた』って言ってたのね」
 伊綱「逆上した笠見さんはネットなどで手に入れた青酸カリで毒入り砂糖を作り、村崎さんを殺害してしまいます。
 そして彼のノートパソコンをフォーマットしてデータを隠滅し、自殺に見せかけるために彼の携帯を使って萌奈さんにメールを送ります」
 生王「2通目のメールは笠見さんが送ったものだったんだ」


 聞く
 伊綱「その後、綾城さんより先に、メールを受け取った萌奈さんが部屋を訪れた。
 小早志さんの指示でソースコードを狙っていた萌奈さんは、村崎さんが死んでいることに驚きますが、今のうちにと部屋を探します。
 しかし、パソコンはすでにフォーマットされていた。仕方ないので、小早志さんの指示でメモリーカードと毒入りの砂糖を持って引き上げます。
 やがて綾城さんたちが発見して警察が来ます。
 その後7月2日に再び萌奈さんは村崎さんの部屋に合鍵で入ります。おそらく犯人に見当がついたのでしょう。
 萌奈さんは笠見さんの存在は知っていたと思いますし、自分以外に合鍵を持っている人がいるとすればその人しかいない。きっとソースコードを盗むために殺したんだと思ったんでしょうね」
 生王「それで、もしかして脅して奪い取るつもりで?」
 伊綱「ええ、おそらくはそれも小早志さんの指示でしょうね。何か決定的な手掛かりがないか、探しに行ったのです。
 そして、クロゼットを探すのに邪魔だったコートは、出して窓にかけた。」
 音成「コートは探すのに邪魔だったから、窓にかけただけなんですか!」
 伊綱「そうですよ。急いでてしまうのを忘れたんでしょうね」


 聞く
 伊綱「しかし、脅しに使えるような証拠は見つからなかったので、2人はカマを掛けようとしました。
 村崎さんのメモリーカードを使い、ヴィオレの名前でタクリマクスにアクセスします。そして、同じくログイン中のみにさんの前に現れて、脅すようなセリフを言う。例えば『よくも殺したな』とか」
 音成「もしかして、それが幽霊!」
 伊綱「そうです。村崎さんが生き返ったとは思わないまでも、少なくとも自分が犯人だということが誰かにバレている分かったのです」
 音成「なるほど」
 伊綱「そもそも、自殺ということになったとはいえ、人を殺して平静でいられるような人はほとんどいません。
 いつ後ろから警察に声を掛けられるか、とか考えると、ビクビクと夜も眠れない状態だったんじゃないでしょうか」
 生王「そこに、そのセリフか」
 伊綱「笠見由紀乃さんはその時のショックで心臓マヒを起こし絶命してしまいます。
 しかし、死んでしまうことは小早志さんらにとっても、当然予定外でした。
 そして、そのことをニュースで知って困惑した萌奈さんは、さらに私たちが調査していることを知って、もう後がないと思ったのか、村崎さんの部屋で先に持ち出していた毒を飲んで自殺します」


 聞く
 伊綱「コートにカギや携帯電話が入っていたのは偶然でしょう」
 生王「それが事件の真相か」
 音成「実行犯は亡くなっているわけですが、小早志は参考人として問い詰める必要がありそうですね」
 癸生川「ちょっと待ったああああ!!!その推理には大きな間違いがある」
 伊綱「どういうことですか?」
 癸生川「さあ、伊綱君、交代だ」


 聞く
 癸生川「伊綱君、君は一つ大きな思い違いをしている」
 伊綱「思い違い?」
 癸生川「とても大きな思い違いだ。
 さあ、入っておいで!」
 女性「失礼します」
 伊綱「こちらの方は?」
 癸生川「狭川美弐さんだよ」
 美弐「どうも。私が狭川美弐です」
 望美「実在してたんですか?」
 癸生川「村崎君と長い付き合いがあり、そして新技術『スノーマンシステム』を開発した人こそ、紛れもなく彼女だ」
 伊綱「それじゃあ、笠見由紀乃さんはいったい・・・」
 望美「私の友達って、この方なんですか?」
 癸生川「いや、そこの望美さんのメール友達だった狭川美弐さんというのは、笠見由紀乃に間違いはないよ」
 望美「え!」
 癸生川「それと、村崎君と笠見さんの身元をもう少し洗うべきだったね、音成君」
 音成「え!」
 癸生川「笠見由紀乃と言う人は、村崎君の生き別れの妹だよ」


 聞く
 伊綱「ちょっと待ってください。こんがらがって、何が何だか・・・」
 癸生川「こんがらがるのは、君達が余計なことを考えてるからだよ。真実はいたって単純なんだよ、伊綱君!」
 伊綱「じゃあ、こちらの美弐さんは?」
 癸生川「わざわざ来てもらったわけなんだが、実は彼女は今回の事件には一切関係ない」
 望美「じゃあ、亡くなった笠見さんは、偶然、彼女と同じ名前をハンドルネームにしていた訳ですか?」
 癸生川「偶然じゃない、故意だよ」


 聞く
 美弐「私が村崎さんと親しくしていることを、由紀乃さんは快く思っていなかったんだと思います」
 癸生川「12年前の話だ。村崎家の両親が交通事故に遭って亡くなり、兄妹2人が残された。兄・洋才は高校卒業間近だったので一人働いていくことになったが、小学生の妹・由紀乃は里子に出され、笠見家に引き取られた。
 そのまま何年も経ち、成長した由紀乃は兄に会いに行ったが、村崎君には取り合ってもらえなかった。どうも彼は両親を失ったという忌まわしい過去をすべて捨てたがっていたらしい」
 伊綱「家族がいたことを思い出させるから、妹とは会わなかったってことですか?」
 癸生川「その通りだ。しかし、それとは逆に、両親を失った由紀乃の兄への憧れは次第に強くなり、兄の関わるゲームを熱中してプレイしたりし、少しでも彼に近づこうとした」
 伊綱「何だか、悲しいすれ違いですね」
 癸生川「そうだ。過去に付けられた大きな心の傷を、片やすべて忘れ去ろうとして、片や遺された唯一の肉親にすがることで、癒そうとしていた」
 音成「そんな・・・」
 癸生川「そうして由紀乃は今年の初めに、兄を追うため家を出て、品方市で一人暮らしを始めた。村崎君に合鍵を渡しに行ったが、取り合ってもらえなかった」


 聞く
 癸生川「やがて由紀乃は村崎君が懇意にしている女性の存在を知ってしまう。それがこちらの狭川美弐さんだ。
 さて諸君。愛しい愛しい兄と親しくしている女性がいることを知った由紀乃に、一体どんな感情が生まれたと思うかね?」
 生王「それはきっと・・・」→羨望
 生王「その立場を羨んで、『自分も狭川美弐になりたい』と思うようになった?」
 癸生川「その通りだよ、生王君」
 生王「え、本当に!」
 癸生川「それ以降、彼女はネットの世界では狭川美弐を名乗るようになった。美弐さんの仮面をかぶって、少しでも兄の傍らにいる気持ちになって、心を落ち着けていたんだろう」
 望美「そっか、プラグラムが趣味だとかの話は、本物の美弐さんになりきって言ってたんですね」
 癸生川「そうだ。美弐さんが雪だるまグッズが好きだと知れば自分も集めた。
 そして、ある日彼女は兄がタクリマクスに熱中していると知って、自分もそれを始めることにした」
 生王「それも、みにという名前でか・・・」
 癸生川「村崎君のキャラの名前も、どうにかして突き止めたんだろう。美弐さんの好きな雪だるまのアイテムを手に入れて、どうにか彼の気を引こうとしたわけだ」


 聞く
 癸生川「さて、ここで問題になってくるのが、村崎君はタクリマクスの中でのキャラクタのみにを、本物の狭川美弐だと思うようになってきたって事なんだ」
 美弐「実は、彼には前から何度も一緒にタクリマクスをやろうと勧められてたんです。ですが、ソフトを買ったものの、私の時間が取れなくて全然始められなかったんです。
 そこに現れたのが彼女で・・・」
 癸生川「笠見由紀乃は興信所に依頼したり、ストーカーのように付け回したりして、美弐さんのことを徹底的に調べたようだね。彼氏をしてみても本人だと思わせるくらい、文章の使い方やものの考え方を研究したんだよ」
 伊綱「何だかそこまで行くと怖いですね」


 聞く
 美弐「そのせいで、彼と話が食い違うようになってきて、不審に思うようになったんです。
 それに誰かに付け回されてたりする気もしてたんで、気味が悪くなってこちらの探偵さんに調査を依頼したんです」
 癸生川「それで、その様子を直接伺うために僕もタクリマクスをやっていたわけだ」
 伊綱「何ですって!先生、依頼を受けたらちゃんと話してくれないと困るじゃないですか」
 癸生川「来たじゃないか、君達のところにも・・・砂永さんが」
 伊綱「あ!」
 癸生川「どうぜ同じ事件に関わりそうだし、いいかな~って」


 聞く
 癸生川「やがて由紀乃さんはオンラインの村崎君から、スノーマンシステムについての話も耳にする」
 美弐「もともとスノーマンシステムはアルジェに有効に使ってもらおうと思って、私が何年も前から研究していたものなんです。だから、最初から権利は村崎君に渡すつもりでし。それでアルジェにも有効になるなら、いいかな、って思ってました」
 癸生川「それを知った由紀乃さんは、ある日村崎君の部屋に合鍵で忍び込んで、ノートパソコンを同じ機種の新しいものと入れ替えた。なぜなら狭川美弐は、このシステムを持ってないといけないからだ」
 伊綱「それで由紀乃さんの部屋のノートパソコンに、スノーマンシステムが入ってたんですね」
 癸生川「そうだ。あれは元々村崎君のノートパソコンだったんだよ」
 美弐「そういえば、あの人、突然ハードがクラッシュしたような事を言ってたけど、そういう事だったんですね」
 伊綱「なぜか初期状態に戻ってたから、フォーマットした訳ですね」


 聞く
 癸生川「しかして事件が起こる。萌奈さんと村崎君が急接近したんだ」
 伊綱「それって、スノーマンシステムを盗むために?」
 癸生川「きっかけや動機はこの際どうでもいいだろう。大事なのは2人が隠れて付き合うようになったって事だよ。
 それと小早志って人が持っていた技術が、スノーマンシステムによく似ているという話なのだが、実は小早志システム(仮)は、ソフトのバージョンアップで最近、実装されているんだ」
 生王「後からプログラムを追加変更できるというのも、オンラインゲームの特徴だからね」
 癸生川「その新システムに採用された箇所こそが、スノーマンシステムなんだよ。
 それで肝心の噂の真偽の程だが・・・」
 美弐「先ほどタクリマクスでスノーマンを見せてもらいましたが、私が開発したシステムは使われていませんでした。私の開発したものであれば絶対に起こらない処理落ちがありましたから」
 癸生川「ということだよ」
 伊綱「関係、なかったんですね」
 癸生川「スノーマンに特殊な技術が使われていると聞いた村崎君は、『スノーマンに会いに行く』と言って確認に向かった訳だ。萌奈さんと小早志の関係に薄々感づいていたんだろう」
 生王「その名前からしても自分たちのシステムがどこからか漏れたのかもしれない、と思ったんだろうね」
 伊綱「由紀乃さんの言い残した『盗まれた』ってのも、同じ理由ですね。
 美弐さんに成りすましていた由紀乃さんは、タクリマクスのスノーマンを見て、そう思ったんでしょう」
 癸生川「その通りだ。もし先に特許なんか取られていたら、自分たちのしていることが無駄に終わっちゃうからね。
 まあ、結果は先ほど美弐さんが言った通り、別物だったので一安心する訳だ」


 聞く
 癸生川「そして、同じころ、由紀乃さんは村崎君と萌奈さんの浮気を知ってしまった。
 それで、今度は彼女がどう思ったか」
 音成「わかりました。今度は萌奈さんになろうと思ったんですね」
 癸生川「違う!今の彼女は『狭川美弐』だった。したがって、彼氏に浮気をされた普通の女性の反応だよ。『私というものがありながら・・・』という感じかな。
 そうして由紀乃さんは、兄であり恋人でもある村崎君に対して、強い愛情と怒りを抱えるようになった」


 聞く
 癸生川「さて、ここでいよいよ真犯人の登場と相成る訳だが・・・」
 伊綱「え!犯人は由紀乃さんではないんですか?」
 癸生川「違うんだ。『笠見さん』には違いないんだけどね」
 伊綱「同じ笠見さんってことは、由紀乃さんの養父とか?」
 癸生川「その通りだよ!12年前に小学生だった由紀乃さんを引き取って、以降12年間育てて来た養父、笠見伝次郎が今回の事件の犯人だ!
 そして、その人物に君らもすでに会っている!」
 伊綱「ええええ!」
 癸生川「言ったろう、犯人は仮面を被っていると。誰か一人は偽名を名乗り、嘘の顔で君らの前に現れていた。さあ、その人物だが、生王君、君なら当然わかっているね?」→山王丸
 癸生川「その通りだよ。
 いいかい?シャンブリオン西河谷の大家である山王丸豪吉は、1週間前から海外旅行に行ってるんだよ」
 伊綱「それじゃあ、私たちが会った人は?」
 癸生川「その人こそ笠見由紀乃の養父、笠見伝次郎なんだ!」
 伊綱「そんな・・・」
 癸生川「今オバキューさんに行方を追ってもらってる」


 聞く
 癸生川「さて、養女の由紀乃の心は完全に兄・村崎の所にあった。
 伝次郎に対しても心をかたく閉ざし、ロクに相手にもしてもらえなかった。
 八方手をつくして心を開くよう頑張ったが、由紀乃の心は実の兄にしか向いていなかった。
 特に2年前に奥さんを亡くしているらしいから、それ以降はさらにつらかっただろうね」
 尾場「おう、盛り上がっているトコ失礼するぜ。
 おい、探偵、連れてきたぞ!お前さんの言う通り、駅で張ってたら、まんまと現れやがった」
 癸生川「おお、素晴らしい!」
 伝次郎「くっ・・・」
 伊綱「大家さん?・・・じゃないんですね。
 あなた、由紀乃さんの養父の伝次郎さんだったんですか?」
 伝次郎「・・・」
 癸生川「そうして、娘を奪われた気持ちでいっぱいになったこの男は思う訳だ。『村崎が邪魔だ』と」


 聞く
 伝次郎「わかるんかい!心を開いてくれない娘を12年も育てて来た者の気持ちが!
 わしぁあ、自分の娘だと思ってそりゃあ大事にしたでよ。実の娘のつもりで接しておったが、なのに・・・」
 癸生川「この伝次郎氏は、もう定年退職しているが、以前メッキ工場に勤めていた。先月、工場に挨拶に来たと称して、こっそりと青酸カリを少量持ち帰っている」
 尾場「ちょっと調べりゃ簡単に割れる事だ」


 聞く
 癸生川「村崎君の部屋は、廊下に台所の窓が面している。今は夏場だ。窓の鍵を閉め忘れることもあるだろう。彼の留守中にそこの窓を開けて、手に取れるものに青酸を混ぜる。今回は、たまたま紅茶の砂糖だったんだろう。
 そして村崎君は6月26日にそれを入れた紅茶を飲んでしまった、ということだ。
 村崎君はちょうど紅茶を飲む寸前に、タクリマクスでスノーマンに会ったんだろう。舟を持っていなかったので、そこまで3日も掛ったんだ。それで、ようやく技術的な問題がないことを知って出したメールが、数時間遅延して萌奈さんに届いた。」
 伊綱「単なる遅延ですか?」
 癸生川「そうだよ。文章のクセとかが本人に間違いないみたいだし。
 そして、死んだことを確認するために、毒を入れた後伝次郎は本当の大家が海外旅行中だというのを良いことに、窓の開いていて山王丸家に身を隠し、留守番の振りをして、誰かが発見に来るのを待っていた」
 伝次郎「ちょっと違うな。初めからあの家も調査していて、旅行に出かけるタイミングで決行したでよ」
 癸生川「なるほど、成りすます準備もしていたわけか」
 伝次郎「当然でよ。ああいう古い家のドアなんてピッキングでラクに開けられるしのぉ」
 癸生川「長期旅行中だということは広まっているから、来客も少ない、と」
 伝次郎「それにわざわざ窓から砂糖に毒を入れるなんて、面倒なことをせんでも、大家の家にゃマスターキーがあるでよ」
 癸生川「なるほど、もっと用意周到だった訳か」
 伊綱「そっか、たまたま同じタイミングで、タクリマクスとスノーマンの事件が起こっていたから、ややこしいことになっていたんですね」


 聞く
 伝次郎「でよ、毒飲んで死んだかなと思って外から部屋の様子を伺っていたら、娘っ子が一人合鍵で204号室に入ってって、わしゃ慌てて追いかけたでよ」
 伊綱「萌奈さん?メールを見て、綾城さんより先に来てたんですね」
 伝次郎「村崎の死体を見て、驚いて声を出さなかったのは幸いだが、わしが追いかけて部屋に入った途端、物凄い勢いで逃げてった。どうも何かを探している様子だったでよ」
 癸生川「ちなみに、その時にメモリーカードを持ち去っている」
 伝次郎「わし一人が死体を発見するのも怪しまれると思ぉて急いで大家の家に戻ると、今度は同じ会社の綾城とかいうヤツが来よった」
 癸生川「で、一緒に入って、第一発見者のフリをした訳だ」
 伊綱「萌奈さんが『自殺じゃない』って訴えてたのは、そういう目撃があったからなんですね」


 聞く
 癸生川「やがて、警察では無事に自殺と処理され、数日経って伝次郎氏はそのことを娘に知らせる。
 これで、心は自分に向くはずだ、とね。
 実は伝次郎氏もタクリマクスをやっていたんだ。娘が熱中していると聞いて自分でも一生懸命調べて覚えたんだろうね。正体を隠して一緒に冒険をしたりするようにもなっていた。
 そして、ゲームを通じて伝えてしまった。彼女が他の何よりも恐れていた事。生きるための拠り所としていた人物との別れとなる、実の兄の死を。
 由紀乃さんは知らなかった。村崎君の死は報道もされていないし、最近は美弐さんになりきる為、彼女ばかりに注意していたからだ」
 伊綱「それでショックを受けて・・・」
 癸生川「ゲームをプレイしている状態のまま、死んでしまった。
 どうにか心を吊り下げて、立っていた1本の細い糸が、その瞬間にぷつんと音を立てて切れた。そして、心は命を道連れにして、落ちて、壊れた」
 伝次郎「ああああー!由紀乃ー!」
 伊綱「良かれと思ってしたことが、最悪の結果を呼んでしまったんですね」
 癸生川「良かれと言っても、彼だけの事情だよ。鳴きたくないホトトギスを、自分の都合だけで無理やり鳴かせようとした報いだ。彼が娘に注いだという愛情表現も、どうせこんな風に歪んでいたんだろう。だから、娘に好かれることもなかったんだ」


 聞く
 伊綱「でも、先生、だったら萌奈さんはどうして?」
 癸生川「目撃者だからね。犯行の様子も見ていたかもしれないし。実際、彼女は村崎君は他殺だと訴えていた」
 伊綱「結局、村崎さんは自殺ということに落ち着いたものの、いつ証拠を掴まれたり、不利になる証言をするかわかりませんしね」
 癸生川「伝次郎氏は、あらかじめ萌奈君に匿名でクギを刺していたはずだ。黙っていろ、とね。
 しかし、探偵が調査を始めたことを知った。だからこそ、再び大家として伊綱君達の前に現れた。
 そして、萌奈さんを生かしておくはヤバいと踏んだんだろう。その夜、こっそり呼び出して、無理やり毒入り紅茶を飲ませる。さらに自殺に見せかけるため、ゲームを立ち上げコントローラを握らせ、鍵を閉めて部屋を立ち去った。
 あとは翌日、君達をいっしょに中に入って、発見するフリをする、という訳だ」


 聞く
 伊綱「それじゃあ、あのコートは?」
 癸生川「萌奈君は探し物をしに、村崎君の死後、部屋に入った。それに関しては、伊綱君の推理通り。まあ、小早志の指示なのか萌奈君が気を利かせたのかはわからないけどね。
 ノートパソコンを探してたんんだろうけど、それは警察が持ち去っていた」
 伊綱「では、携帯電話とカギは?」
 癸生川「カギは冬に由紀乃さんから受け取ったものを、放ったらかしてたんだろう。
 携帯電話は村崎君が隠しておいたんじゃないかな」
 伊綱「隠す?」
 癸生川「美弐さんが部屋に来ても見つからないように」
 伊綱「『みに』で登録されている番号は、使用されていない番号でした。
 美弐さん、最近、電話換えました?」
 美弐「いいえ」
 生王「でたらめな番号を登録していたのか」
 伊綱「萌奈さんの為のカムフラージュですね」
 癸生川「どこまで浮気のつもりだったんだかね」
 音成「それじゃあ、コートが湿ってたって、何なんでか?」
 癸生川「押し入れの湿気だよ」


 聞く
 癸生川「さあ、以上が真相だ!
 オバキューさん、ここからは警察の仕事です」
 尾場「おうよ。さ、署まで来てもらおうか」
 伝次郎「くっ」
 尾場「音成、お前も来るんだよ」
 癸生川「それでは、砂永さん、美弐さん、報酬の方はキチンと振り込んでおいてくれたまえ!
 では、僕らも帰るぞ」


 こうして茫然としっぱなしの関係者を余所に、我々は探偵事務所へと引き返した。
 複雑な仮面と、各々の抱く幻想の世界によって生まれたこの事件は、癸生川探偵事務所の面々によって、解決へと至ったのであった。


 伊綱「そういえば、タクリマクスで怪しいメッセージを送って来たアイビスってキャラ、いったい何者だったんでしょうね?」
 癸生川「僕さ!」


 ~了~

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→笠見由紀乃の部屋


 伊綱「音成さん、カギを」
 音成「お、回った!」
 伊綱「やっぱり。
 ここが由紀乃さんの部屋ですね」
 音成「ですが、ここはすでに警察の調べが入ってますから、そんな手がかりもないと思いますよ」
 伊綱「2、3確認したいことがあるだけです」


 調べる
 伊綱「おそらくこの辺に・・・
 あ!生王さん、ノートパソコン、ありました」
 音成「あれ?そのノートパソコン、村崎さんの部屋にあったのと同じ機種ですね」
 伊綱「へぇ、お揃いで買ったんでしょうかね。
 生王さん、中を見てください」
 生王「・・・やっぱりあったぞ!例の新技術のソースコードだよ」
 音成「なぜ彼女が?」
 伊綱「それは、このシステムは笠見由紀乃さんが開発したものだからですよ」


 調べる
 生王「このプログラムの名称、スノーマンシステムっていうみたいだね」
 伊綱「そういや、この部屋、雪だるまのキャラクタグッズが多いですね」
 望美「そういえば、この雪だるまのキャラクタが好きだって言ってました、彼女」
 伊綱「自分の好きなものをシステムの名前にしたみたいですね」


 調べる
 伊綱「テレビとゲーム機がありますね。やはり、タクリマクス入って・・・あ!」
 音成「どうしました?」
 伊綱「ふと思ったんですけど、音成さん昨日、笠見さんは幽霊を見てショック死したとか言ってましたよね」
 音成「あれは冗談ですよ」
 伊綱「あながち冗談ではないかもしれません。
 それはそうと、こういう時って、何か言ったほうがいいんでしょうかね」
 音成「突然、何の話ですか?」
 伊綱「何か欲しいですよね・・・今後ためにも」
 生王「何がしたいのさ?」
 伊綱「オホン!犯人、わかりました!
 さあ、依頼人のところに行きましょう!」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 2002年7月5日(金)
 癸生川探偵事務所


 伊綱「おはようございます。早速ですが、これまでの捜査をまとめておきましょう」
 癸生川「やあ、調子はどうだい!」
 伊綱「先生、ドコ行ってたんですか、今まで」
 癸生川「まあ、ともかくこれまでのことを聞かせてくれたまえ」
 伊綱「時系列にまとめてみます」


 まとめ
 6月23日(日)
 ・ヴィオレ(村崎)が『スノーマンに会いに行く』と言い残して失踪
 6月24日(月)
 ・村崎、会社を無断欠勤
 ・萌奈宛にメールが来る
 6月25日(火)
 ・再び萌奈にメール『スノーマンに会った、思い残すことはない』
 6月26日(水)
 ・村崎、自宅で死体となって発見。死因は紅茶の砂糖に盛られた青酸。
 7月2日(火)
 ・笠見由紀乃が自宅でゲームプレイ中にショック死
 7月3日(水)
 ・砂永氏が癸生川探偵事務所に捜査を依頼
 ・村崎氏の部屋に以前は無かったコートがあり、中には携帯とカギ
 ⇒その携帯とカギには笠見の指紋
 ⇒携帯の電話帳には「もえな」と「みに」
 ・村崎氏は画期的は新技術を開発中だった
 7月4日(木)
 ・唐島萌奈、村崎の自室にて青酸中毒により死亡
 ・唐島萌奈はゲンマ社の小早志と関係があった
 ⇒萌奈は、小早志がソースコードを盗むために村崎が送ったスパイ?
 ・村崎氏も、萌奈以外に懇意にしている女性がいた
 ⇒それが「みに」?
 ・「みに」は笠見由紀乃のキャラクタの名前であった
 ・みには雪ダルマのぬいぐるみを着ていたらしい
 ・村崎が『スノーマンに会いに行く』というのは雪ダルマのみに(笠見由紀乃?)に会いに行くという意味だったのではないか?


 伊綱「ざっとこんなものになります」
 癸生川「伊綱君、僕のコートはどこに行ったっけ?」
 伊綱「邪魔だったからクロゼットにしまってありますけど、どうして?」
 癸生川「コートは寒い時に着るものだよ!そしてスノーマンのいるアイスバーグという国は、とても寒い地方なのだ!
 それじゃあ、僕も行ってくるよ!」
 伊綱「ちょっと、先生!」


 話す
 伊綱「あ、誰か来たみたいです。
 は~い!
 どうぞ、こちらへ。紅茶をどうぞ」
 望美「失礼します。あたし、飛鳥望美(あすかのぞみ)といいます」
 伊綱「私は探偵助手の白鷺州伊綱といいます」
 生王「生王正生です」


 話す
 望美「実は、行方不明の友人を探しているんです。知り合いに相談したら、ここに行けばいいんじゃないか、と紹介されたので・・・」
 伊綱「どなたですか?」
 望美「ゲンマっていうゲームの会社の逢井っていう人で・・・あの、実はあたしの彼氏なんですけど」
 伊綱「ああ、確かに昨日お会いしましたよ」
 望美「彼から、こちらでタクリマクスの事件を調べていると聞いたもので・・・」
 伊綱「え、その行方不明の友人もタクリマクスに関係が?」
 望美「はい」


 話す
 望美「その友達、狭川美弐(さがわみに)ってコなんですが・・・」
 伊綱「みに!」
 望美「何か?」
 伊綱「あ、いえ、続けてください」
 望美「ネットで知り合った友達なんですけど、その子とってもゲームが好きで、しかも頭も良くて、学生の頃から自分でゲームのプログラムを作ってたりしたそうです」
 伊綱「女性でプログラムって珍しいですね」
 望美「しかもとても優秀みたいなんです。コンクールで賞を取ったり、特許も持ってたりしてて。
 でも仕事にしようとは思っていないらしく、あくまでも趣味らしいです。仕事は普通のOLみたいで」
 伊綱「なるほど」


 話す
 伊綱「さっきから、曖昧な言葉が多いですね」
 望美「あの・・・実は実際には会ったことが無くて・・・メールや電話でのやり取りが主だったものですから」
 伊綱「なるほどメル友ってやつですね」
 望美「そういう感じに近かったです。
 実は彼女、アルジェがすごく好きで、ホームページ作ってサークル活動とかしてたりしてて・・・あたしもそこのサイトで知り合ったんです」
 伊綱「アルジェ好きなんですか!」
 望美「はい!!あたしゲームはあまりやらないけど、アルジェだけは別なんですよ!」
 伊綱「ですよね!特に・・・」
 生王「話を進めようよ」
 伊綱「あ、はい・・・」


 話す
 望美「で、彼女、最近タクリマクスというネットゲームに夢中で。
 あたしも彼が作ったゲームだから一緒にやったりしてたんですけど、ある日・・・確か先々週の日曜日だったんで23日でしょうか。突然、『スノーマンが盗まれた』って言って、それっきりオンラインに姿を見せなくなって・・・」
 伊綱「盗まれた?」
 望美「それ以来メールも返事がないし、携帯も繋がらないし・・・
 そしたら最近ワイドショーとかで、タクリマクスが呪われているとか言ったりしてるじゃないですか。もうあの子に何かあったんじゃないかと心配で心配で・・・」
 伊綱「自宅の住所はご存じないんですか?」
 望美「はい」
 伊綱「あ!望美さん、狭川美弐っていうのは彼女の本名ですか?」
 望美「そうだと思ってましたが・・・普段ハンドルネームに使っていたのが、『みに』だったんで、疑ってもいませんでした」


 話す
 伊綱「生王さん、狭川美弐という名前が本名かどうか確認するには、どうすればいいと思いますか?」
 生王「あれを確認すればいいんじゃないかな」→タクリマクス
 生王「望美さん、美弐さんのタクリマクスでのキャラクタ名は何でしたか?」
 伊綱「なるほど!」
 望美「ええと・・・そのまま『みに』でした」
 伊綱「間違いなさそうですね。すぐに品方市まで行きましょう!
 生王さん、警察署に行って尾場警部か音成さんに・・・」
 生王「カギか!」
 伊綱「はい」
 望美「どういうことなんですか」
 伊綱「彼女の名乗っていた狭川美弐という名前は、おそらく架空のハンドルネームでしょう」
 望美「え!」
 伊綱「言いにくいんですけど、美弐さんはもうこの世にいないと思います」


 伊綱「品方市です。由紀乃さんのマンションはこの辺りみたいですね」
 音成「カギを持ってきましたよ。これがどこのカギかわかったんですか?」
 伊綱「私の考えが正しければ、笠見由紀乃さんの部屋のカギでしょうね」
 望美「あの、笠見由紀乃さんて確かタクマクをやって死んだ人ですよね。まさか、その人が・・・」
 伊綱「そうです。美弐さんの仮面の下の素顔ではないかと」
 音成「そうそう、昨日の唐島萌奈と小早志の件ですけど・・・」
 伊綱「何かわかりました?」
 音成「小早志を問い詰めましたが、のらりくらりとかわされて、証拠になりそうな物は出てきませんでしたね」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→事務所
 伊綱「先生、まだ帰って来てない!
 とりあえず、さっき預かったメモリカードで、さっそくゲームをプレイをプレイしてみましょう」


 プレイする→タクリマクス
 伊綱「先生の部屋からゲーム機を持ってきました。ネット回線も繋ぐんですよね?」
 生王「そうそう、オンラインゲームだからね。
 っと、これで入れるはず。えい、ログイン!」
 伊綱「へえ、これがタクリマクスですか。見た感じは普通のRPGっぽいですね」
 生王「友達リストを開いてみよう。
 ええと、文字色が明るいのが、今オンライン・・・つまり、ゲームをプレイしている人ってことだな」
 伊綱「リストにみにさんが入っていますね。でも、今はオフラインか。
 アイビスって萌奈さんを発見した時にいた人ですよね。ある意味目撃者かも知れないんで話を聞きたいんですけど、オフラインみたいですね」
 チゼル>久しぶり。
 伊綱「わっ、通信が入ってきました」
 生王「ヴィオレがもう亡き人であることは知らないみたいだね」
 伊綱「事実を隠してうまく話を聞き出してくださいね」


 話す
 チゼル>珍しいね、こんな昼間にw
 ヴィオレ>こんにちは、チゼルさん
 チゼル>どしたの、改まってw
 ヴィオレ>実は私、ヴィオレの友人なんです
 チゼル>本人じゃないの?
 ヴィオ、何かあったの?
 ヴィオレ>実はここ数日行方不明で・・・このゲームに何かヒントがあるんじゃないかと・・・
 チゼル>それってもしかして!
 待って、そっち行くから!
 伊綱「あっ、誰か現れましたよ」
 生王「転送してきたんだ。?2人いるぞ。チゼルともけぴ?」


 話す
 チゼル>お待たせ、詳しい人を連れて来た
 もけぴ>こんちわ!ヴィオさん、いなくなっちゃったの?
 ヴィオレ>すいません、わざわざ
 チゼル>いや、あんなこと言ってた後に急に来なくなっちゃってちょっと心配してたんだよ


 話す→ヴィオレ
 ヴィオレ>あんなこと?
 もけぴ>前にみにって名前の子に会ったんだけど、その子雪ダルマのカッコしてさ
 チゼル>それをヴィオがやけに気に入ったみたいで、どうやって手に入れたのかしきりに聞いてた
 伊綱「雪ダルマ?笠見さん、スノーマンに逢ったんでしょうか?」
 もけぴ>なんだかすごく執着してたよ、その雪ダルマに


 話す→アイビス
 ヴィオレ>アイビスさんって知りませんか?ヴィオレが一番多く会っていた人みたいなんですけど
 チゼル>ごめん、知ってるけどあんま関わりたくないから
 もけぴ>うん、その人のことは聞かないでほしい
 チゼル>ヴィオレも何かと付きまとわれて迷惑してたみたいだよ


 話す→ウワサ
 チゼル>タクマクやると死ぬとかどうとかってやつだっけ?
 もけぴ>あんま気にしてないや


 話す>ヴィオレ
 もけぴ>でも、みにさんは絶対秘密だって言ってた。
 でも、それできっかけに2人は仲良くなってったようで、個人的にもメールとかするようになったみたいだったよ。
 そしたら、10日前くらい前だったかな?ヴィオさん、突然、「スノーマンに会ってくる」って言って、それっきり、ぱったり・・・
 ヴィオレ>それって正確に何日のことだかわかりますか?
 もけぴ>ええっと、日曜日だったから23日かな?
 伊綱「会社を無断欠勤した前日ですね」
 もけぴ>その後、スノーマンって敵が雪ダルマを出すって話を聞いて、ヴィオさんが雪ダルマを探しに行ったのかってわかったんだ


 話す→ヴィオレ
 チゼル>でも、スノーマンってアイスバーグに出るって話じゃん?そこに行くには舟が必要なんだけど、うちらの周りに舟を持ってる人いないから、どうやって行ったのかな?


 話す→ヴィオレ
 もけぴ>まあ、もしかすると固執したのは雪ダルマじゃなくて、みにさん本人だったのかも
 ヴィオレ>わざわざありがとうございます!
 チゼル>うい
 もけぴ>それじゃあヴィオさんに会ったらよろしく


 伊綱「雪ダルマってスノーマンって言いますよね?
 スノーマンに逢いに行くって言葉・・・雪ダルマの姿をしていたみにさんの本体、つまり笠見さん本人に逢いに行く、というようにも取れませんか?」
 生王「本人同士はメール友達らしいし、照れくさくてそういう言い方をしたのかもしれないな」
 伊綱「でも、そんなことまで萌奈さんにメール送ります?」
 生王「いや、あのメールは元々村崎さん本人が送ったかどうかわからない」
 伊綱「そっか、じゃあ、そのことを逢いに行くと知っている人が?」
 生王「タクリマクスの中の誰かが、メールを送って村崎さんを陥れた?」
 伊綱「あっ、ヴィオレ宛に通信が入ってます!アイビスって人からですよ」
 アイビス>あんた、誰?
 あんまコソコソ嗅ぎ回ってると、あんた死ぬよ?
 伊綱「アイビスは村崎さんが死んでることを知っているんでしょうか?」
 生王「もしかしたら、僕らの知ってる誰かが?」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→警察署
 伊綱「あ~、音成さん。お伺いしたいことがあります」
 音成「尾場警部から話は聞いてますので、何なりとお聞きください」」


 話す→笠見事件
 音成「被害者は笠見由紀乃、22歳のOL。品方市のマンションに一人暮らし。一昨日の7月2日の深夜3時ごろ、自宅で急性心臓麻痺で死亡しました。いわゆるショック死っていうやつですね」
 伊綱「発見は?」
 音成「同じく2日の午後3時ごろです。約束で訪問した友人が発見し、110番しました」
 伊綱「現場の状況は?」
 音成「ご存じかと思いますが、タクリマスクというゲームをプレイ中だったようで、コントローラを握ったまま亡くなってました。何か強いショックがあったんだと思いますが、何があったのか依然不明のままです」


 話す→村崎事件
 音成「僕は自殺だと思うんですがねぇ・・・遺書もありますし」
 伊綱「じゃあ、部屋にあったコートは?」
 音成「見間違いですよ。それならすべて説明がつきます」
 伊綱「強引すぎる意見ですね」


 話す→萌奈事件
 音成「死因は伊綱さんの判断通り、青酸カリの服毒らしいですね。紅茶に入れられていた、って所まで村崎さんの例と同じです。まあ、これは後追い自殺ってヤツだと思いますよ」
 伊綱「後追い自殺する人がゲームなんかしてるんでしょうか?」
 音成「死んだ彼氏の遺したキャラクタに、村崎さんの生前の面影を感じて浸っていたじゃないでしょうか?」


 話す→その他
 音成「そうそう、尾場警部からこれを預かってますよ」
 伊綱「村崎さんのメモリーカードですね。ありがとうございます」


 話す→笠見事件
 伊綱「笠見さんの人間関係は洗いました?」
 音成「まずは家族構成なんですが、幼い頃に両親を事故で亡くしているらしく、笠見家に養女に入ったそうなんです。しかし、特別養子縁組制度によって実母や実父の記録が消されているため、実の親については旧姓すらわからない状態です。
 現在、笠見家には養父が一人ですね。母親は2年前に病死しています。
 その他、人間関係は極めて良好だったようで、ゲーム好きを集めてサークル活動をしていたようですよ」


 話す→村崎事件
 音成「村崎さんは、唐島萌奈と付き合っていると思っていましたが、本当は少し違うみたいですね。
 実は、他にももう一人付き合っている人がいたらしいんです。マンションの住人からの証言なんですが」
 伊綱「まさか、笠見由紀乃さんですか?それなら、携帯電話のみにの件にもつながります」
 音成「残念ながら名前まではわかりませんでしたが、その可能性は十分考えられますね。
  話によると、何年も前から村崎さんの部屋に入り浸ている感じだったそうですよ」


 話す→萌奈事件
 音成「唐島萌奈さんは、どうもひとつ所に納まれない性格らしく、少し調査しただけでも多くの男性と関係を持っていたことがわかりました。村崎さんとも本気で付き合ってたのかどうか、分かりませんね」
 生王「へぇ、萌奈さん、意外と派手な私生活だったんだな」
 伊綱「きっと寂しがり屋で、自分が誰かの役に立てると思うと、献身的になってしまう人だったんだと思います」
 生王「それって、男にとって都合が良いっていうか・・・」
 音成「いいように利用されていたのかもしれません」


 話す→萌奈事件
 音成「萌奈さんはゲンマの小早志って人ともつながりがあったそうですし、恨みを買ったりしちゃったんでしょうか?」


 話す→萌奈事件
 伊綱「生王さん、仮に萌奈さんの本命が小早志さんなのだとすると、小早志さんが萌奈さんをスパイとして村崎さんに差し向けた、とも考えられませんか」
 生王「そういえば、村崎さんの新技術は人を殺してでも欲しい画期的なものだって・・・」
 音成「それならツジツマが合いますね。合鍵を持っている萌奈なら、いくらでも細工できますし・・・で、後になって責任を感じて自殺を・・・」
 伊綱「というよりも、後悔して、でしょうか。小早志さんのためにやったのに、棄てられたとか・・・それで、村崎さんへの気持ちに気が付いて、とか」
 音成「じゃあ、そのセンで洗ってみます。ありがとうございました!」
 伊綱「あっ、行っちゃいました。
 じゃあ、この件は音成さんに任せて、私たちは違う切り口から捜査していきましょう」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→㈱ゲンマ


 伊綱「㈱ゲンマの受付ロビーです」
 小早志「唐島萌奈が死んだんだってね」


 話す


 小早志「軽そうに見えるが、センスはあるコだったんだけど、後追い自殺かもしれないね」
 伊綱「ご存じだったんですか?村崎さんとのことは」
 小早志「そりゃね。彼女は人気者だったから」


 話す


 小早志「僕も彼女の能力は買っててね。実は前にも、ゲンマで一緒にやらないかと誘ったくらいだ。見事に振られちまったがね。でも、こんな死に方されちゃあ、幻滅だよ」
 伊綱「貴方、隠し事してますよね?」
 小早志「もちろん隠しているさ。誰だって自分に不都合なことがあったら隠すだろ。
 あのコは可哀そうなコだよ」


 話す
 伊綱「例えば、昨夜、萌奈さんの様子に何か変わった点はありました?」
 小早志「いいね、その質問!2つくらい飛ばしてるよ」
 伊綱「そういうのはお嫌いですか?」
 小早志「いい度胸だよ」
 伊綱「どうも」
 生王「?」
 小早志「昨夜の萌奈君は大層落ち着かない様子だった。そうだな、まるで何かに怯えていたようだね」
 伊綱「別れたのは夜10時過ぎくらいですね?」
 小早志「君を甘く見ていた。気に入ったよ。
 どうだい、僕と一緒にゲンマで働いてみないかい?」
 伊綱「光栄ですが、謹んでお断りしますわ。
 小早志「あはは、残念だよ。
 そう、確かに10時過ぎだった。
 これで満足かい?じゃあ、僕は忙しいからこれで。一刻も早い解決を祈っているよ」
 生王「なぜ、昨夜10時過ぎまで2人が一緒にいたことが?」
 伊綱「萌奈さんの遺体、昨日と同じ服なのに石鹸の香りがしました。つまり昨夜、誰か男の人と一緒だった可能性が高い。それでカマを掛けただけですよ。
 時間は、萌奈さんは8時過ぎに退社したらしいですから、それに2時間足しただけです」
 生王「!!小早志と彼女はそういう間柄だったのか」
 伊綱「彼のあの様子からすると、一時的な関係じゃなくて、前からそれなりにあったと思います」


 見回す
 伊綱「さっきチラッと、砂永さんが居たような」
 生王「まあゲーム会社同士って結構横のつながりがあるから、いてもおかしくはないと思うけど」


 場所移動→警察署
 伊綱「警察署です。
 音成さん、いないみたいですね。出直しましょうか」


 場所移動→㈱ゲンマ
 伊綱「㈱ゲンマの受付ロビーです。
 今は瀬堂さんも小早志さんも会議中だそうです」


 見回す
 伊綱「あっ、通りすがりスタッフがいますね。
 すみませーん」
 スタッフ「あ、はい。
 ・・・君達、探偵なんだ。
 僕はタクリマクスのシナリオ担当の逢井(あい)と言います」
 伊綱「唐突にすみません。最近社内で何か変わったこととかありませんか?」
 逢井「確かにうちのゲームを巡っていろいろな噂が立ってるけど、当のスタッフたちは特に何も考えていない様子だよ」
 伊綱「小早志さんはどうでしょうか?」
 逢井「そういえば、彼もプランナなのに、なぜか前にプログラムの新技術を提案をしてたなぁ。確かに技術的には凄いものだったんだけど、一体どうやって入手したのかは教えてくれないんだ。
 それじゃあ、申し訳ないけど僕はこれで」
 伊綱「わざわざありがとうございました」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→㈱クロッシュ


 綾城が、萌奈の件で警察から連絡があった、と話す。


 話す→村崎
 「村崎と萌奈さんの仲がいい、みたいな噂は聞いてたけど、まさか後追い自殺じゃないだろうな」


 話す→萌奈
 「彼女はあれで、結構開発では重要なポストにいたんですよ。最近少ないドット絵の職人で、モデリングしたキャラの顔テクスチャは、彼女のデザインじゃないと駄目だと、キャラデザインの人が言うんで」


 話す→小早志
 「確かに、うちにいた頃は結構萌奈さんと仲良くしていた様子ですけどね。でも、あいつは女の子なら誰でも仲良くなりたがるヤツですから」


 話す
 「とにかく村崎さんの件もあるんで、今回のアルジェは完全に仕切り直さないとなりません。これ以上開発が遅れると完全にタクリマクスにユーザ取られちゃいますよ。この二人を失ったのも、精神的にも開発的にも大打撃です」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→西河谷
 伊綱「村崎さんの住んでいたシャンブリオン西河谷の前です。
 あっ、大家の山王丸さんですね。丁度いいから、呼んでみましょう」
 山王丸「なんじゃい、お前ぇらか」


 話す
 伊綱「すみません、もう一度村崎さんのお部屋を拝見させていただきたいのですが・・・
 実は、昨夜何者かが村崎さんの部屋に侵入していたという証言があったんです」
 山王丸「カギはちゃんと掛けといたハズだでよ!」
 伊綱「お願いできますか?」
 山王丸「わかった」


 場所移動
 伊綱「では、204号室へ行きましょう」
 山王丸「そうそう、明日には業者来て部屋片しちまうでよ」
 伊綱「全部処分しちゃうんですか?」
 山王丸「保証人にも確認したが、身寄りも無いんで全部処分するでよ」
 伊綱「そうですか・・・
 部屋のカギ、掛かってますね」
 山王丸「んだなぁ」


 山王丸「うわはー!」
 伊綱「この服は、唐沢萌奈さん!
 ・・・死んでるみたいです」
 山王丸「ひぃぃ」
 伊綱「部屋の中を触っちゃダメです。早く警察に電話を!」
 山王丸「はい!」
 伊綱「止められなかったのは悔やまれますが、今は彼女に報いるためにも、少しでも手がかりを探しておきましょう」


 調べる→遺体
 伊綱「ここから見る限り、死因となるような外傷はなさそうですが・・・
 ん?体から、ほのかに石鹸の香りがしますね」


 調べる→遺体の顔
 伊綱「目は大きく開かれ、元の可愛らしい顔からは想像もつかないような、無残な形相を浮かべています。さぞかし無念で、最後まであがいていたんでしょうね。可哀そうに。・・・口元に少し血の跡があります」


 調べる→遺体の腕
 伊綱「遺体の左手にはゲームのコントローラーが握られています。
 死ぬ刹那に苦しくて必死に掴んでいたのでしょうか・・・上下逆さまに握られています」


 調べる→衣服
 伊綱「遺体の衣服に乱れはありません。まあ、暴行狙いではなさそうですね。もっとも自殺じゃなければの話ですが」


 調べる→テレビ
 伊綱「ゲームの画面が映しっぱなしになってます」
 生王「タクリマクスだ」


 調べる→テーブル
 伊綱「マグカップが転がっています。中身が少しこぼれていますが、これは紅茶みたいですね」


 調べる→窓
 伊綱「カーテンは閉じられています。カギは掛かっているようですね」


 調べる→タクリマクス
 伊綱「タクリマクスの画面、動いてますね。プレイしている途中だったみたいです」


 調べる→タクリマクス
 伊綱「プレイヤーの名前はヴィオレ!村崎さんのキャラクターですよ!
 じゃあ、このメモリカードが行方不明だった村崎さんのカード?ずっと萌奈さんが持っていたんでしょうか?」


 調べる→タクリマクス
 伊綱「アイビスって名前のキャラが『どうしたんだ?』って話しかけて来てますね」
 生王「ヴィオレが動かなくなったからだろうな。
 ということは、萌奈さんが死んでからまだそんなに間がないってことか。
 申し訳ないけど今は放っておくしかないか」


 見回す
 伊綱「部屋の中に荒らされた様子や争った形跡はありません。昨日と変わらずキチンと整頓されています」


 取る
 伊綱「このメモリカード欲しいですけど、さすがに持っていく訳にはいきませんね」
 生王「警察の検証が済んだら頼んでみよう」


 調べる→遺体の顔
 伊綱「!顔を近づけると、かすかにアーモンド臭がします!
 青酸性の毒物を服用すると、咽頭や食道が爛れて血を吐くことがあるのですが、この青酸特有の臭いといい、これは村崎さんと同様、青酸中毒とみて間違いなさそうです」


 調べる→衣服
 伊綱「直接触れられないのでハッキリとはわかりませんが、衣服のポケットには何も入ってなさそうですね」


 調べる→テーブル
 伊綱「他には、スティックシュガーの空き袋とティーパックが散乱してます。萌奈さんが暴れたせいで散らばったんでしょう」


 調べる→窓
 伊綱「あれ?ここに掛けてあったコートが無くなってます!」
 生王「誰かが持ち去ったのか?」
 伊綱「だとすると、萌奈さん以外の人がこの部屋に入ったことになりますよ!」
 生王「いや、萌奈さん本人が事前に別の場所に移したのかも知れない」


 見回す
 伊綱「青酸による自殺の可能性もありますが、遺書らしきものは見当たりませんね」


 伊綱「あ、警察が来たみたいですね。
 じゃあ、あとは任せて一旦退却しましょう」


 尾場「・・・そうか、おおよその事情はわかった。あんがとよ」
 伊綱「これも、やっぱ自殺だと思いますか?」
 尾場「彼氏と同じ死因である、部屋にカギが掛かっていた、その要素から考えると後追い自殺のセンがどうしても強く見えてきちまうな」
 伊綱「遺書はありました?」
 尾場「あの部屋からは見つかってねぇ」
 伊綱「コートは?」
 尾場「部屋のドコからも出てこねえな。
 お前ェらしか見てないってのが疑わしいんだよなァ」
 伊綱「失礼な!
 それに携帯電話やカギもそこから出てきたモノですし」
 尾場「そうそう、その電話とカギだがよ、村崎と唐島ってヤツ以外に2人の指紋がどちらからも検出されたぜ」
 伊綱「誰のですか?」
 尾場「それがな、驚いたことに笠見由紀乃っていうOLなんだが、知っているか?」
 伊綱「品方市のマンションでショック死したっていう?」
 尾場「ああ、そうだ。聞くところによると、どいつも死んだどき同じゲームやってたそうじゃねえか。この一致と指紋の関係、無視できなくなっちまったな」
 伊綱「で、もう一人の指紋は誰なんですか?」
 尾場「お前さんだよ」
 伊綱「ごめんなさい。
 それはそれで、品方市の方の事件の詳しい話を伺いたいんですけど」
 尾場「俺ぁちと手が離せねえから、音成に言っておくからヤツから聞いてくれや」
 伊綱「わかりました、ありがとうございます。
 あ、それと!村崎さんの部屋にあるメモリカード、検査が終わったら貸してください!」
 尾場「まぁ、掛け合ってみるがよ。
 じゃ、俺は行くぜ」
 伊綱「さて、私たちも捜査に行きましょうか」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→(株)クロッシュ


 呼ぶ→続木
 伊綱「続木さんの手が空いているみたいですよ」
 続木「村崎君のことを調べているんだって?手短に頼むよ」


 話す→村崎
 伊綱「村崎さん、チーム内ではどうでした?」
 続木「とてもよくやってくれてたよ。彼は一切を任せておける貴重な人材だ。大抜擢と言われているが、適材適所を考えたまでだ」


 話す→小早志
 続木「彼はとてもいいセンスを持っていたのだが、突然の転職でこっちも戸惑ったよ。彼はいつも何か裏を持っていそうな、ちょっと不気味な面もあったね」


 話す→綾城
 続木「彼は村崎君と同期ということもあってライバル心が強かったみたいだな。決して無能ではないが、村崎君と比べるとどうもね。最近は嫉妬からか村崎君に対して強く当たるようになっていたようだが」


 話す→村崎
 伊綱「村崎さんが開発した新技術って、どういうものだったんですか?」
 続木「わかりやすく言うと、モデルとテクスチャ、モーションのデータをまとめてコンパクトに圧縮できる上、CPUに負担をかけず、しかも早く展開させることができるんだよ。つまりメモリの大幅節約が可能になり、それまでは表現できなかったグラフィック表現が可能になるハズだった。
 試算では充分可能なところまで進んだんだが、実用段階に至る前にこんなことになってしまって・・・ソースコードさえあれば、我々だけでもなんとかなるんだが・・・」


 話す→村崎
 伊綱「そのソースコードって人を殺してでも欲しいものなんでしょうか?」
 続木「村崎君はそれを狙われて殺されたかもしれない、と」
 伊綱「あり得ますか?」
 続木「ほしいね。それだけ、この技術は革新的なものだよ」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→(株)ゲンマ
 伊綱「(株)ゲンマの受付ロビーです」
 受付嬢「・・・はい、かしこまりました。アポイントメントはございますか?」
 伊綱「ありません」
 受付嬢「少々、お待ちください」
 瀬堂「私が、タクリマクスのプロデューサーの瀬堂(せどう)です」
 伊綱「はじめまして。私・・・」
 瀬堂「白鷺洲さんと生王さんでしょ?知ってますよ」
 伊綱「え?」
 瀬堂「あなた方の活躍は、生王さんが作った携帯アプリで存じてますよ」
 伊綱「プレイされている方がいるなんて驚きです!」
 生王「ひどい!」
 瀬堂「実はもともと推理小説が好きで、ファンなのですよ。
 ところで今日は癸生川探偵は一緒ではないのですか?ぜひお会いしてみたかった!
 それで、今日は何か御用ですかな?」


 話す→タクリマクス
 瀬堂「タクリマクスは当社が社運をかけて放ったオンラインRPGなんです。お陰様で好評いただいて、順調に売り上げも伸ばしていたのですが・・・」


 話す→事件のこと
 瀬堂「クロッシュさんの社員がタクリマクスをプレイ中に変死したって事件ですよね?ええ、警察が聴取に来たので存じておりますよ」


 話す→スノーマン
 瀬堂「スノーマンですか?そいつはつい最近に実装した隠しモンスターで、ゲーム中の雪の国アイスバーグに登場します。確率は確か条件を満たした上で10万分の1ですね。本当はあと2,3ヶ月くらい後に話題になればと思っていたのですが、こんなに早く見つかるとは」
 伊綱「そのスノーマンに会うと何があるんですか?」
 瀬堂「雪だるまのぬいぐるみという装備が手に入るんです。それを着るとゲーム中のキャラが雪だるまになるんですよ」
 生王「え、それだけなんですか?」
 瀬堂「防御力も低い、お遊びアイテムですね。でも、他に手に入れる方法はありません」


 話す→タクリマクス
 瀬堂「ソフトの価格自体は非常に安く設定して、月額の課金で収益を得るんです。だから一人でも多くの人に、少しでも長くプレイしてもらわないと、採算が合わないんですよ。サーバの運営費用もかかりますしね。
 しかし、これからって時にどこから広まったのか・・・『プレイすると死ぬ』といったうわさが流れるようになって、登録ユーザがどんどん減ってるんです」


 話す→スノーマン
 瀬堂「スノーマンの姿は、その箇所だけ開発中の新システムを実験的に採用していて、猛吹雪に加えて子供のスノーマン100体くらい飛び回るという、とても派手な演出になっています」


 話す→タクリマクス
 瀬堂「まあ中にはそれで面白がって始めるユーザもいるようですが、気味悪がってやめる人の方が圧倒的に多いですね。結果的にマイナス一直線です。しかも、もう2人目ですからね」
 伊綱「え、2人!」


 話す→事件のこと
 瀬堂「ゲーム名は報道されてはいないんですが、ネットを通じていくらでも漏れてしまうようですね。笠見さんの件もそうなってしまうんでしょうな」
 伊綱「笠見さんって、どこかで聞きましたよね。覚えていますか?」
 生王「確かあそこで聞いたんだよ」→事務所
 生王「そうだ、事務所のテレビだ!」
 伊綱「昨日ニュースで見たあの事件ですよ!」
 生王「あの件のゲームもタクリマクスだったんですか?」
 瀬堂「公にされていませんがその通りです。じきにマスコミなども嗅ぎつけて、面白おかしく騒ぎ立てるんでしょうね」


 話す→笠見の事
 瀬堂「申し訳ないですが、故人とは言えユーザの個人情報などは、令状がなければお教えできません」


 話す→笠見の事
 「・・・笠見さんが使っていたキャラクタの名前ですか?それくらいならいいでしょう。少々お待ちください。
 ・・・お待たせいたしました。笠見由紀乃さんは平仮名で『みに』というキャラクタですね」
 伊綱「え!」
 瀬堂「名前はそのままIDになっているので、同じ名前のキャラはいませんよ」
 伊綱「みに。村崎さんの携帯にメモリーされていた名前と同じですね」
 生王「2つの事件につながりが?」


 呼ぶ→小早志
 小早志「何だい?君達、探偵さんだって?」


 話す
 小早志「村崎君とは1、2回一緒にプレイしただけだからね。そんなに親しくしていた訳じゃないよ」


 話す
 伊綱「村崎さんのキャラクタの名前を教えてもらえませんか?」
 小早志「あはは、それで村崎君を殺した犯人が判るんだ?村崎君の使っていたキャラクタの名前はウィオレだ。仏語で紫って意味さ。洒落てるよな?」


 話す
 小早志「え、僕のキャラクタの名前?それこそ意味ないだろ!秘密だ」


 話す
 小早志「村崎君が開発した新技術?そんな情報を僕に教えていいのかい?」
 伊綱「あ・・・」
 小早志「安心しなよ!そんなことはとっくに知ってるさ」
 伊綱「本人から聞いたんですか?」
 小早志「企業秘密さ!でも一つだけ言っておくけどね、そんな技術はもう役立たずだよ。
 それじゃあ僕は忙しいのでコレで」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→(株)クロッシュ
 砂永「捜査のほうはいかがですかな?
 今日は唐島萌奈は体調不良で欠勤しております」


 話す→砂永
 伊綱「そういえば砂永さん、村崎さんのマンションの保証人をやってらしたそうですね」
 砂永「はい、村崎君には身寄りがなく、保証人になれる人もいなかったのようなので、私が引き受けましたが」
 伊綱「それは個人的にですか?」
 砂永「いいえ、あくまでも会社としてです。当社には住居の借り上げ制度はないので、特例として私個人の名義を使うことになりました。彼とはさほど繋がりはありません」


 呼ぶ→綾城
 綾城「ああ、どうも。今日も捜査ですか?」


 話す
 綾城「そうそう、数か月前までうちの会社にいた人で、村崎と一緒にタクマクをやってるって人を思い出したんですよ。今はゲンマっていう会社に勤めている、小早志(こばやし)っていうゲームプランナーなんですが」
 伊綱「あれ、その会社って確か・・・」
 綾城「そうです、タクリマクスを開発したメーカーですよ。その小早志も開発後期から関わっているはずです」
 伊綱「他にはいないんですか?一緒にやってた人は」
 綾城「うちの会社で熱心にやってる人は、村崎くらいしか知りませんね」


 話す
 綾城「その小早志って人、僕はどうも好きになれませんでしたね。いつもヘラヘラして、食えない感じなんです」


 話す
 男性「綾城君、ちょっと」
 綾城「はい!すいません、用があるのでこれで失礼します」
 伊綱「いえ、お仕事中ありがとうございました。
 生王さん、今の人アルジェの監督の続木宝月(つづきほうげつ)氏ですよね!」
 生王「そうなんだ、名前は知っていたけど」
 伊綱「あとで聴取させてもらいましょ」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→警察署
 伊綱「警察署です。あ、音成さん」
 音成「はい。離れていても、心はいつでもあなたのお隣。音成孝一26歳です。独身です!」
 伊綱「別に聞いてないです」
 音成「刑事っていうとやっぱ一般市民の方々って引くじゃないですか。僕は地域住民にも親しみやすい刑事を目指しているんです」
 伊綱「よけいに引きますよ、それ」


 話す
 音成「尾場警部は昨晩から戻ってないんです。なんか面倒なヤマにぶち当たったとか言ってましたから、なかなかここには戻れないみたいです」


 話す
 音成「そういやさっき、そちらの何とかって変な名前の探偵さんがまた来てましたよ」
 伊綱「先生が!何しに?」
 音成「さあ?遊びに来ただけじゃないでしょうか?尾が警部は、アイツはマジでいつしょっ引くかわからん、とか言ってましたけど、どうしてそんな人が探偵やっていけるんですか?」
 伊綱「それはきっと世界七不思議の八番目に挙がるくらい不思議なことです」
 音成「なるほど!メモしとこう」
 伊綱(こんな人に、この町の治安を任せていいんでしょうか・・・)

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→西河谷
 伊綱「村崎さんの住んでいたシャンブリオン西河谷の前です」


 話す
 伊綱「では、辺りの人に聞き込みをしてみます」


 伊綱「生王さん、昨晩遅く、村崎さんの部屋に誰かが入るのを目撃したという人がいました!呼んできましたので詳しい話を聞いてみましょう」


 話す
 通行人「ハイ、昨晩11頃だったかな、暗くてよく見えなかったけど、結構ハデな格好の女の子が204号室に入って行くのを見かけました」
 伊綱「その人、一人でしたか?」
 通行人「ええ、そう見えましたね。さすがに出てくるところまでは見てなかったので、詳しくはわかりませんが」
 伊綱「わかりました、ありがとうございます。生王さん、これは怪しいですね。後で、また部屋を見せてもらいましょう」


 見回す
 伊綱「あ、昨日の中年女性がいますよ。話を聞いてみましょうか。すみませ~ん」
 中年女性「アラ?昨日の人たちじゃないの。探偵さんだっけ?」


 話す
 中年女性「ゴメンなさいね、アタシ昨日すっかり忘れてて」
 伊綱「何がですか?」
 中年女性「大家さん、今海外旅行中らしいのよ。いなかったでしょ?昨日」
 伊綱「いえ、ちゃんといましたよ」
 中年女性「アラそう?もう帰ってきてたのね。でもいいわよね~。家賃収入でのんびり独り暮らしなんて。ちょっちゅう海外旅行にも行ってるみたいだし」
 伊綱「まあ、その分若いころに苦労されたんだと思いますし」
 中年女性「そうかしら?」
 伊綱「?」
 中年女性「ま、とりあえずアタシはこれで失礼するワ。それじゃあネ」
 伊綱「ありがとうございました」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 話す→タクリマクス
 伊綱「まず、スノーマンですけど、これはタクリマクスに登場するレアモンスターらしいですね。ネット上の掲示板で、噂話が盛り上がっていたんですけど、実際に会ったことがある人がほとんどいないらしくて、どんな姿でどんな特典があるのかも不明らしいです」
 生王「まあ、話題づくりとかゲームをやり込ませるためのよくある手口だね。村崎さんも、そのスノーマンを探してたってことかな?」
 伊綱「その可能性は高いですね」


 話す→タクリマクス
 伊綱「あの、オンラインRPGってどういったものなんでしょうか?」
 生王「ええと、そうだね、まず、普通のRPGを考えてもらえばいいんだけど、それって登場する仲間が全員、自分で動かす必要がある。こいつは攻撃、こいつは魔法、とか」
 伊綱「ええ、そうですね。アルジェもそうです」
 生王「でもオンラインの場合は、一人ひとつのキャラしか動かさない。それがネットを通じてみんなで同じ世界に集まって、協力して敵を倒したりする。ってので、わかるかな?」
 伊綱「へぇ、じゃあプレイヤー同士で話したり、戦ったりできるんですか?なんか面白そう!」
 生王「そうそう。だからこそ対人関係でトラブルが起こることもあるようだけど」
 伊綱「なるほど、ネット上では仮面を被って人と接しているようなものですし、言動も大胆になりがちですからね」
 生王「そういったことが、今回の事件にも絡んでるのかもしれないな」


 話す→癸生川
 伊綱「先生なんですけど、どうも夕べから帰ってきてないみたいです。せっかく仕事が来ているのに、ホントどこをうろついているのやら」
 生王「昨日、警察署で会ったきりか」


 話す→癸生川
 伊綱「それと先生が熱中してるゲームがあったじゃないですか。それ、やっぱりタクリマクスだったみたいですね。先生の部屋にゲーム機とソフトがありました」
 生王「へえ、奇遇だな。じゃあ、必要になったらそこでプレイさせてもらえるかな」
 伊綱「そうですね。でも、さっき見たらメモリーカードが抜かれてて、起動できませんでした」
 生王「変なトコロで用心深いんだな」
 伊綱「それじゃあ、そろそろ捜査に行きましょうか。あ、そうそう、タクリマクスを製作してた株式会社ゲンマの住所を控えておきましたので、そちらも後で伺ってみましょう」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動
 伊綱「じゃ、事務所に帰りましょうか」


 伊綱「お疲れさまでした。それでは要点を推理しながら、今日の捜査をまとめてみましょう」


 考える→事件概要
 伊綱「先月26日、ゲームプログラマ村崎氏が自宅で変死。死因は、紅茶の砂糖に混ぜられた青酸による中毒死。警察では自殺と判断されたが、不審な点が多いため、被害者の勤める会社から調査を依頼。とまあ、こんなトコロでしょうか?」


 考える→動機
 伊綱「現在、自殺の動機となるような事柄はありません。仕事も順調なようでしたし、プレイベートでも悩んでいる様子はなかった。他殺だとして今のところ考えられる動機は、妬みでしょうか?大抜擢と言われる出世に対する妬み、あるいは萌奈さんと付き合っていることは公になっていなかったようなので、彼女に想いをよせる人物からの妬みを買ったとか・・・。ともあれ、今の段階で動機を探るのは難しいですね」


 考える→方法
 伊綱「青酸カリは、その気になればメッキ工場でもネットでも手に入れられますし、紅茶の砂糖に毒を混ぜる方法はいくらでもあります。直接訪問したことがある人ならば混ぜる隙はあるでしょうし、そうでなくても『余ったから』とか言って砂糖を手渡しする方法もありますし。とりあえず、顔見知りの犯行のである可能性が高いですね」


 考える→タクリマクス
 伊綱「やはり、村崎さんの言い残したスノーマンの件もありますし、このゲームに何か隠されている気がします。プレイ中に死んだ、という状況も何かを物語っているのではない。あれ?そういえば、どっかで似た話を聞きませんでしたっけ?」


 考える→容疑者
 伊綱「現在、もっとも犯行しやすい人物は唐島萌奈です。合鍵を持っており、個人的な事情があったとも考えられます。やはり携帯電話にあった『みに』という人物も気になりますね。もし村崎さんが二股をかけていた女性がいたとすれば、その人も合鍵を持っててもおかしくないですよね」
 生王「両方にカギを持たせたら、大変なことになるんじゃない?」
 伊綱「そうか!生王さん、お詳しいですね!」
 生王「いや、誰彼構わず合鍵を渡す人もいるし・・・」
 伊綱「ご謙遜を」


 考える→事件概要
 伊綱「部屋にあらわれたコートといい、無くなったメモリーカードといい、今回の事件の裏には明らかに人為的なものを感じます。私も殺人であるような気がするんですが、とまあ、今日はこんな感じでしょうか。あるはタクリマクスというゲームを中心に調べてみましょうか。実際にプレイできればいいんですけどね」
 生王「それと、クロッシュの人にもう少し話が聞きたいかな」
 伊綱「じゃあ私、とりあえずネットでスノーマンのこととか調べておきますね。また明日、よろしくお願いします」
 生王「うん、それじゃ」
 伊綱「うふふ、生王さんも探偵が板に付いて来ましたね!それじゃ、おやすみなさい」


 翌日
 伊綱「生王さん、おはようございます。早速ですが、昨夜ネットで調べた情報を報告しておきますね」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→警察署
 伊綱「警察署です。あ、尾場警部がすごい顔してこっちに来ます」
 尾場「お前らいいトコロに。頼むからあのやかましい探偵、持って帰ってくれよ」
 伊綱「え?」
 癸生川「やあ君達奇遇だね。捜査は進んでるかい?」
 伊綱「先生、何やってるんですか、こんなトコで」
 癸生川「ゲームの攻略本を買いに出たついでに寄っただけさ」
 尾場「ここはゲームセンターじゃねえんだって、この馬鹿にもわかりやすく教えてやってくれ」
 癸生川「日本の警察はとても優秀だ。探偵なんが必要ない」
 伊綱「何突然、自分の存在を真っ向から否定してるんですか」
 癸生川「ここの優秀な刑事さんにも言っておいたのだが、やつは仮面をかぶっているぞ。注意したまえ!」
 伊綱「はぁ?」
 癸生川「だからこんな攻略本なんて必要ないんだー!くそぅ!」
 伊綱「先生、ちょっと・・・行っちゃいました。せっかく買ったっていう攻略本、思い切り床に叩きつけてましたけど・・・」
 尾場「何しに来やがったんだ。で、お前ぇらは冷やかしか?・・・冗談だよ」


 彼が捜査一課警部補 尾場九歳(おば こことし)。これまで癸生川達の活躍で解決した事件の多くで彼と関わってきていた縁で、表沙汰にはなってないがお互いに情報交換をするようになっている。余談だが、彼はその名前と苦手の動物から『オバキューさん』とあだ名されていたりする。


 話す→事件の事
 尾場「ありゃ、自殺ってことでとっくにカタァ付いちまってるぞ」


 話す→証拠品
 尾場「こっちでまだ預かっているのは、ノートパソコンとマグカップだけだな」


 話す→ノートパソコン
 尾場「ノートパソコンはこっちで調べようとしたんだがよ、ハードディスクは全部、初期化・・・フォーマットされていた。立つ鳥跡を濁さずってヤツだろうな。やっぱ自殺なんだろうよ」
 伊綱「じゃあ、研究データはもうない?」


 話す→マグカップ
 尾場「マグカップからは本人の指紋しか検出されてない。他は、部屋中に唐島萌奈って女の指紋があったが、他のヤツの指紋は検出されなかった」


 調べる
 伊綱「さっき先生が床に叩きつけた攻略本が落ちています。あっ、これ、タクリマクスって書かれてますよ!」


 見せる→携帯電話
 尾場「何だと!部屋にこの携帯電話が?コートのポケットだって?いや、聞いてねぇぞ」
 伊綱「ちょっと調べてもらえますか」
 尾場「まァ、一応預かっておくが、自殺のセンはそう簡単には覆らないと思うぜ」


 見せる→カギ
 尾場「何!これがコートのポケットに?分かった、預かっておく」


 話す→事件の事
 伊綱「村崎さんの正確な死亡推定時刻と死因を教えていただきたいのですが」
 尾場「ちょっと待ちな。えーと、死亡推定時刻は6月26日の午前3時で間違いない。死因は青酸入りの紅茶をグイっと一気飲みでお陀仏だ」
 伊綱「青酸って、シアン化カリウムですか?」
 尾場「ああそうだ。いわゆる青酸カリだ。科学研の調査で、どうやら砂糖に混ぜられていたらしいことまではわかった」
 伊綱「誰かが砂糖に青酸を混ぜた?あるいは青酸入りの砂糖を渡したのか・・・」
 尾場「お前さん、どうしても他殺にしたいようだが、自分で混ぜたって可能性を忘れるなよ。毒ってのは、そのまま飲むのは精神的に抵抗があるものだからな」


 話す→事件の事
 伊綱「ですが、村崎さんの死亡後に、付き合っていた女性の元にメールが届いたそうですし」
 尾場「そいつは聞いてるよ。まァ、それは遺書の一種だろうよ。メールが遅れて届くなんてよくある話じゃねェのか?」
 伊綱「確かにそうですけど・・・」


 話す→証拠品
 尾場「ゲーム機のメモリーカード?俺は知らねえぜ」
 伊綱「え!今日はそんなところでしょうか」
 尾場「気は済んだか?じゃ、俺は用があるんでこれで失敬するがよ、あまり厄介事を持ち込むなよ」
 伊綱「はい、ありがとうございました。また何かあったらよろしくお願いしますね」
 尾場「だから持ち込むなっつってるんだろが!」
 伊綱「お仕事がんばってくださいね」
 尾場退場
 伊綱「今日の捜査はこのくらいでしょうか。生王さん、事務所に帰って整理してみましょう」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→(株)クロッシュ
 伊綱「株式会社クロッシュの応接です」
 砂永「申し訳ないですが、実は私、今ちょっと立て込んでまして・・・村崎君と仲の良かったプログラマの綾城(あやき)君とデザイナの唐島萌奈(からしま もえな)君に話を通して置きましたので、遠慮なく呼びつけてください」
 伊綱「わかりました」
 砂永「では失礼します」
 伊綱「もしかしてさっきの電話にメモリーされていたもえなさんでしょうか?」


 呼ぶ→綾城
 綾城「綾城です。どうぞよろしくお願いします」


 話す→会社の事
 綾城「確かに、仕事柄残業泊まりは当たり前って感じですけど、ノイローゼを起こしたり過労で倒れるほどではないですよ」


 話す→村崎の事
 綾城「あの日は、村崎が3日も会社を無断欠勤して、連絡も取れない有様だったんで住所を頼りに尋ねたんです」


 話す→砂永の事
 綾城「ああ見えて、とても面倒見の良い人なんですよ。開発に専念できるよう、スタッフの精神的な部分まで気を配ってくれるし」


 話す→綾城の事
 綾城「僕と村崎は同期入社で同じプログラマということもあって、それなりに仲良くしてましたよ。今はチームが違うけど、たまに呑みに行ったりもしてました。まさかこんなことになるなんて、本当に残念です」


 話す→萌奈の事
 綾城「なんだかここ数日、明らかに覇気が無くなってますね。普段はとても元気で職場のアイドル的存在なんですが、やっぱ村崎が・・・あ、なんでもないです」


 話す→事件の事
 綾城「僕が第一発見者ということになるんでしょうか。発見時の詳細はおっしゃる内容で間違いありません。ホントにびっくりしました」
 伊綱「そういえば、一目見て村崎さんが死んでると判断されたそうですが?」
 綾城「え!そんな事、言ったかなぁ。すみません、何分動転してたもので。でもあの状況なら、誰でもそう思っちゃうじゃないんでしょうか?」


 話す→タクリマクス
 綾城「最近、彼はタクリマクスに夢中でしたよ。それがもう、魂が奪われたように・・・いや、僕はやってないから、よくわからないんですけど」


 呼ぶ→萌奈
 萌奈「唐島です。何の御用でしょうか」


 見せる→携帯電話
 萌奈「!それ一体どこで?」


 話す→携帯電話
 萌奈「そうですか、彼の部屋にその電話が・・・それじゃあ、さっき電話を鳴らしたのはあなた方だったんですね。驚きました。死んだ彼からまた連絡が来たかと・・・」


 話す→携帯電話
 伊綱「また、とは?」
 萌奈「あっ、いえ、あの・・・実は彼が無断欠勤した日に、あたしの携帯にメールが来たんです。ええと、これなんですけ」


 [日付]
 6/24(月)
 [本文]
 スノーマンに逢ってくる。
 ぼくは大丈夫。
 明日は出社するから心配しないで。
            ひとろし


 伊綱「これって、まさか?」
 萌奈「ハイ、今だから申しますが、村崎さんとは親しくお付き合いしてました。それで、これがそれから2日後、26日の夜に届いたメールなんですが・・・」


 [日付]
 6/26(水)
 [本文]
 スノーマンに逢った。
 最高の気分だ。
 もう思い残すことはない・・・
           ひとろし


 伊綱「遺書とも受け取れる内容ですが、それよりもこれが届いたのは死亡推定時刻より後なんですね」
 萌奈「間違いなく、彼がその携帯から送ったものです。彼があたしにメールする時だけ、一人称『ぼく』に、署名を『ひとろし』にしていることを誰も知らないハズですから」


 話す→村崎の事
 萌奈「村崎君・・・」


 話す→携帯電話
 伊綱「メールのグリーティング機能は?指定した時間にならないとメールが表示されない、という機能を使ったのかも」
 萌奈「いえ、その場合にはそうだとわかるようになってますから」
 伊綱「だからと言って、死人がメールを送れるわけがないですから、誰かが村崎さんになりすましてこの携帯から萌奈さんにメールしたってこと?」
 生王「村崎さんのクセを知ってた人物か?」
 伊綱「それじゃあこの電話、大事な証拠品じゃないですか!べたべた触っちゃったよぅ。まあこれで、何者かの人為的な策略が絡んでいる可能性が強くなったわけですね」


 話す→村崎の事
 萌奈「村崎君が自殺するなんて、絶対考えられません!もともとアルジェが作りたくてこの会社に来たらしくて、やる気満々だったし。来週には、鞠浜台の港公園に遊びに行こうって、言ってたし・・・」
 伊綱「プライベートで何か変わったことはありませんでした?」
 萌奈「いえ、特には。オンラインゲームに夢中になっていたことくらいで。でも、仕事を大事にしている人なので、会社を休んでまで熱中するというのは、ちょっと考えられないです」
 伊綱「彼が言っていたスノーマンに心当たりはありますか?」
 萌奈「いいえ。ゲーム中のキャラクタか何かだと思うんですが」
 伊綱「それと、彼のコートはグレーのダッフルでしたか?」
 萌奈「はい、そうです。冬場はそれ1着だけで越したりする人でした」
 伊綱「では、『みに』という人物に心当たりは?」
 萌奈「!!!いいえ、知りません!」
 伊綱「じゃあ最後に、彼の部屋の合鍵は持ってます?」
 萌奈「・・・はい、持ってます」
 伊綱「わかりました。ありがとうございます」


 呼ぶ→その他
 伊綱「あ、社員の人が通りかかってます。呼んで話を聞いてみましょう。すいませーん、ちょっとよろしいですか?」
 スタッフ「はい、なんでしょう?」


 話す
 スタッフ「ああ、村崎さんの件を調べているんだ。彼はとても優秀なプログラマでね、なんでも画期的なモーションの圧縮展開技術を開発したとかで、入社3年目にしてウチの看板タイトル、アルジェのメインプログラマを担当することになったんだ。嫉んでいる人もいたんじゃないかな?」


 話す
 スタッフ「村崎さんは元々生真面目な人なので、メインで担当して結構ストレスがあったんじゃないかなあ。普段表に出さない分、危険な感じもしましたけど・・・残念です」


 呼ぶ→綾城
 綾城「はい、お呼びでしょうか」


 話す→村崎の事
 綾城「彼の家に行ったのはあの時が初めてです。休日に会ったりとかはしませんね。プライベートの事はよくわかりません」
 伊綱「合鍵を持っているような人に心当たりは?」
 綾城「それって、彼女はいたのかってことですか?それはちょっと、僕は知りませんね」


 話す→村崎の事
 綾城「仕事上ではそんなに思い悩んでる様子もなかったですけど、意外とプレッシャーがあったのかもしれませんね。でも自殺はプレイベートな理由だと思いますよ。いや、特に根拠はないんですが」


 話す→村崎の事
 綾城「村崎の開発した圧縮技術ですか?ええ、アルジェの新作はその技術が取り入れられ、これまでのゲームでは表現できなかった映像を表現する予定ですが・・・」
 伊綱「へえ、それは楽しみですね」
 綾城「実は研究の完成を目前に今回の一件があって、我々も困ってるんです。最新ソースは村崎本人しか持ってなかったんですが、会社のマシンにも残ってなくて、どこにあるのかもわからず、どうしたものかと途方に暮れてるんですよ」
 伊綱「あ、もしかしたら村崎さんの自宅のパソコンに残されてるのかも?」
 綾城「!」
 伊綱「調べてみる価値はありそうですね」


 呼ぶ→萌奈
 萌奈「はい、まだ何か?」


 話す→綾城の事
 萌奈「あの、ここだけの話なんですけど。綾城さんて、村崎君に結構強く当たっている感じで、あまり好きじゃないんです」
 伊綱「強く当たる、とは?」
 萌奈「何でしょう、妬んでいたのでしょうか。見てると『お前さえいなければ』みたいな態度に見えて・・・仕事の件を気にしているのかも」


 話す→村崎の事
 萌奈「村崎君が自殺するなんて考えられません。探偵さん、犯人を捜してください」
 伊綱「生王さん、あとで警察署に行って尾場警部にお願いしてみましょう」


 呼ぶ→綾城
 綾城「はい、お呼びでしょうか」


 話す→タクリマクス
 綾城「そういえば、彼は欠勤する前に何度も何度も『スノーマンに会いたい』とか言ってましたね。まあ、恐らくゲームの中での話だと思うんですが」


 呼ぶ→その他
 スタッフ「はい、なんでしょうか?」


 話す
 スタッフ「村崎さんは、タクリマクスに夢中になっていました。あれ、村崎さんにタクマク勧めてたのって綾城さんじゃなかったかな。攻略法とか、いろいろ細かく聞き出してる様子でしたよ」


 呼ぶ→綾城
 「はい、お呼びでしょうか」


 話す→タクリマクス
 綾城「勧めていた僕がなぜタクマクをやってないのかって?実は彼がやっているのを見てから、買おうか決めようと思ってて」
 伊綱「村崎さんがそれだけハマってても、綾城さんはやってないんですね」
 綾城「僕には合わないかな、と思ったんで」
 伊綱「村崎さんに攻略法とかを聞いていたって話もありましたが?」
 綾城「そりゃやっぱ業界人として、ヒット作の内容は知っておかないといけませんから。オンラインゲームは、日本ではまだまだ開発中のジャンルですからね」

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→2040号室
 山王丸「ここが村崎さんの部屋じゃ。あの日もこうしてカギを開けたら、ホレそこのテーブルに突っ伏して倒れとって。あのゲームを動かすやつ?」
 伊綱「コントローラ?」
 山王丸「それを握り締めたまンまで。わしゃあ、最初寝てるンかと思ってがよ、その同僚ってヤツぁ真っ先に『死んでる!』言うて・・・」
 伊綱「倒れてるのを見ただけで?」
 山王丸「ああ、そうだ」
 伊綱「ちょっと失礼。部屋は当時のままですか?」
 山王丸「警察がなんか調べていろいろと持ってったが、あとぁそのまンまだ」


 調べる→テーブル
 伊綱「コタツ兼用のテーブルですね。今は何も載ってないようです」


 調べる→テレビ
 伊綱「大手メーカー製の21型ですね」
 山王丸「わしが見た時ゃテレビが点いていて、何か画面が映っておったでよ。ゲームのやつだと思うが」
 伊綱「ゲームの画面が?それでコントローラを持ったままということは、村崎さんはゲームをプレイしている途中で亡くなったってこと?」


 調べる→ゲーム機
 伊綱「これ、最新のゲームマシンですよね。あれ?中にロムが入ってますよ・・・中にタクリマクスというゲームソフトが入っていました。生王さん、御存じですか?」
 生王「最近発売されたオンラインRPGだね」
 山王丸「おお、家庭用ゲーム機でありながら、ネットワークにつながないと遊べないRPGでよ。最近結構人気があるようでの」
 伊綱「詳しいですね。他のソフトも見当たらないし、村崎さんはこれをプレイしてたんでしょうね」


 調べる→窓
 伊綱「バルコニーへの窓にはクレセント錠が掛かってますね。大家さん、ここは当時も閉まっていたんでしょうか?」
 山王丸「窓とカーテンは閉まっとったが、カギが掛かってたかどうかまではわからんな」


 調べる→机
 伊綱「事務用のシンプルなデスクですね。今は本立てがあるだけですが、ここには何かありました?」
 山王丸「ん~・・・すまんの、思い出せんでよ」


 調べる→コート
 伊綱「この季節にコートが出てるって、なんだか妙な感じですね」
 山王丸「つーかよ、こんなコート、前来た時はなかったような気がするでよ」
 伊綱「え?」


 調べる→コート
 伊綱「だとすると、このコートはどこから来た・・・あ!このコート、少し湿ってます!これってどういう事?」
 生王「誰かが直前まで使っていた?」
 山王丸「警察の調査が終わってからは誰も来とらんでよ」
 伊綱「合鍵を持っている人がいるのかも・・・あ!コートのポケットに携帯電話が入ってました」


 調べる→携帯電話
 伊綱「ちょっと古い機種ですね。新規なら安く手に入るようなやつです。電話帳には2件だけ、もえなとみにという名前で電話番号だけが登録されています。どちらも女性っぽい名前ですね」
 生王「2件だけってことは、その二人と連絡を取るためのホットライン電話なのかな?」
 伊綱「とりあえず、電話番号は控えておきます」


 調べる→携帯電話
 伊綱「電話、掛けてみましょうか?」


 →もえな
 伊綱「ダメです。いくらコールしても出ませんね」


 調べる→携帯電話→みに
 伊綱「え?」
 生王「不通?」
 伊綱「なんでわかるんですか?」
 生王「そりゃこのパターンからすりゃね」
 伊綱「現在使われてない番号だそうです」


 調べる→コート
 伊綱「反対側のポケットにカギが入ってましたよ」


 調べる→カギ
 伊綱「よくあるタイプの部屋のカギですね。キーホルダーなどはなく、カギだけです」
 山王丸「このタイプのカギは、うちのマンションのカギじゃないでよ」
 伊綱「だとすると、このコートを持ち込んだ人となにやら関係ありそうですね」


 取る→携帯電話
 伊綱「携帯電話を取りました」


 取る→カギ
 伊綱「このカギ、重要な手がかりっぽいですね。預かっておきます」


 調べる→テーブル
 山王丸「そういや、あれだ。わしが見た時ゃ、そのテーブルの上にコップがひとつ載ってたでよ。今はもう警察が持って行っちまったようだが」
 伊綱「どんなのですか?」
 山王丸「取っ手のついた温けえの飲むやつよ」
 伊綱「マグカップのことかな?・・・中身は?」
 山王丸「確かカラだったように思ったな」
 伊綱「服毒死と何か関係ありそうですね」


 調べる→ゲーム機
 生王「メモリーカードは差さってない?」
 伊綱「ありません。抜き取られているようですね」
 生王「警察かな?あとで確認してみよう」


 場所移動→外に出る

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 今日の探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件はどうかな?


 場所移動→警察署
 伊綱「やっぱり、警察でないと知らない情報は尾場警部に頼るしかないですね」
 音成「ややっ!あなた方はもしや噂の探偵さんですか?」
 伊綱「まあ、ちょっと違うんですが・・・ええと、あなたは?」
 音成「おおと、失礼!僕は尾場警部の部下で、捜査一課刑事の音成(おとなり)です。探偵さん方の噂は尾場警部からよく聞いていますよ。いやあ、確かに口うるさそうな人だ」
 伊綱「いい度胸ですね」
 音成「あ、尾場警部に御用ですか?あいにく外回り中でいないんですよ。それじゃあ僕は忙しいのでこれで!」
 伊綱「あっ、言うだけ言って、行っちゃった・・・」


 場所移動→西河谷
 伊綱「村崎さんが住んでいたマンション前です。村崎さんの部屋は204号室らしいですけど、調べさせてもらうには大家さんにお願いしないとなりませんね」


 見回す
 伊綱「いかにも閑静な住宅街の一角って感じですね。ですがここ、シャンブリオン西河谷って大層な名前がついてますけど、マンションというよりコーポって感じですよね」


 見回す
 伊綱「あっ、このコー・・・マンションの住人らしき女性が出てきましたよ。ちょっと話を聞いてみましょう」


 話す
 中年女性「ここで人が死んだって事件があったワね、アタシはその人のことよく知らないんでけどね」


 話す
 中年女性「まったく気味悪いったらありゃしないワ」
 伊綱「あの、ここの大家さんてどちらにいらっしゃるかご存じですか?」
 中年女性「大家さんなら、そこの山王丸さんってお宅がそうよ、んじゃ、アタシ急ぐんで、じこれで」
 伊綱「ありがとうございました」


 叫ぶ
 伊綱「では、大家さんを呼んできましょう」
 山王丸「なんじゃいな、お前ら204号室の村崎さんのコトが聞きたいんじゃと?」
 伊綱「はい、お願いします」


 話す
 山王丸「警察から自殺じゃと言われたようじゃが、気味悪がって誰も入ってくれなくなっちまって、こっちとしても迷惑なこった」


 話す
 伊綱「遺族が保証人ならば減額した家賃分を請求できると思いますけど?
 山王丸「村崎さん、数年前に事故で両親を亡くしてるらしくてな。ウチの保証人も確か上司だかがなってたでよ。ああ、確か砂永というヤツだったな」
 伊綱「えっ!それで自殺にしたくないのかもしれませんね」


 話す
 山王丸「あんときゃ、会社の同僚ってヤツが来てカギを開けたんだけどよ。そしたら中でお陀仏ンなってて、そりょもうおったまげたでよ」
 伊綱「発見された時、部屋のカギは掛かってたんですね?」
 山王丸「ああ、そうだ」
 伊綱「よろしければ村崎さんの部屋、見させていただきたいのですが」
 山王丸「もう片付けるだけだから、構わんけどもよ」

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 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1 仮面幻想殺人事件のプレイ開始!


 7月3日 癸生川探偵事務所
 フリーのシナリオライターの生王正生(いくるみ まさお)は、友人の癸生川(きぶかわ)がやっている探偵事務所を訪ねると、癸生川の助手の白鷺洲伊綱(さぎしま いづな)が迎えてくれる。


 話す
 伊綱「紅茶を淹れながらテレビを見ていたんですよ」


 見回す
 マンションの一室を改装して作った探偵事務所だ。応接セットの向かいに小さなテレビが置かれている。


 調べる→テレビ
 昼の報道番組が映っている。
 アナウンサー「昨日午後未明、OLの笠見由紀乃さん22歳が自宅で死んでいるを、訪れた友人が発見し、110番しました。死因は極度の緊張状態から来る心臓マヒと見られており、笠見さんがテレビゲームをプレイした状態のまま倒れていたことから、警察当局ではそのゲームに何らかの原因があるのではないかと見て・・・」


 話す→報道
 伊綱「22歳といったら、私と同い年ですね。私はゲームはあまりしないのですが、ゲームってそんなに緊張するものなんですか?」
 生王「そうでもないと思うけど、もともと心臓が悪かったんじゃないかな?」
 伊綱「そういえば以前スロットで777を出した人が、興奮のあまりショック死した事件がまりましたね」


 話す→報道
 生王「しかしこんな事件が起こると、決まってゲーム業界が槍玉に上げられるのがどうもね」
 伊綱「生王さん、今はゲーム関係のお仕事をされてるんでしたっけ?」
 癸生川「ええい、うるさいぞ君達!眠れないではないか。伊綱君、紅茶を1杯頼むよ」
 伊綱「あ、はい」


 癸生川凌介(きぶかわ りょうすけ)は生王の友人であり探偵で、一風変わった男であるが数多くの難事件を解決に導いている。


 話す
 生王「すまない、寝ていたのかい?」
 癸生川「ゲームをしていたに決まってるだろう」
 生王「さっき、眠れないって言ってなかった?」
 癸生川「僕は寝ながらだってゲームをすることができるんだ」
 生王「それってゲームしながら寝てるだけなんじゃ?」
 癸生川「それは少し違う。なぜならゲームはキチンと進んでいるからだ」


 話す
 癸生川「これがなかなか面白くて気が付いたらこんな時間だ。さあ共に仮面を被り幻想の世界へと旅立とうではないか!」
 生王「なんのゲームをやって・・・」
 癸生川「そんなことはこの際どうでもいい。僕は眠いぞ。ひと眠りするので夜まで起こさないでくれたまえ!」
 伊綱「はい、紅茶です。って、いないじゃないですか!」


 話す
 伊綱「あ、ごめんなさい、誰か来たみたいなので、ちょっと失礼」


 伊綱「どうぞ、こちらへ」
 砂永「こりゃどうも。私、砂永(すなが)と申します」
 砂永は名刺を取り出した。
 伊綱「紅茶をどうぞ。探偵は取り込み中なので、私たちがお話を伺います」
 砂永「ある調査をお願いしたいのです」


 調べる→名刺
 砂永の名刺には、株式会社クロッシュ 営業部長 砂永光二と書かれている。
 クロッシュと言えば、誰もが知っている大手のゲームソフトメーカーだ。


 話す→依頼内容
 砂永「実は、先日当社の社員の村崎という男が自宅で亡くなっているのが発見されまして、昨日警察から過労による自殺だと判断されたのです。幸いニュースで取り上げられたりしていないので騒ぎにはなっていませんが・・・過労自殺者が出たとなれば遺族に賠償金を支払わなければなりません。それに万一漏洩した際の企業イメージの悪化だけは何としても免れたいので、あなた方に調査をお願いしたいのです」


 話す→依頼内容
 伊綱「仮に遺族から訴訟されることがあったとしても、裁判で過労自殺が認められるのは極めて困難だというのが現状です。そんな事実がないんでしたら、問題はないと思うのですが?」


 話す→依頼内容
 砂永「確かに自殺するほど忙しかったわけではありません。しかし、彼が自殺する理由というのが、どうにも考えられないのです。もしも、彼が何者かに殺害されたのだとすれば、会社が彼に掛けていた保険金が下ります。またメインプログラマとして活躍していた彼を失った会社の損失は大きいので、犯人に損害賠償を請求することもできるのです」


 あくまで会社の利が優先のようだ。


 話す→依頼内容
 砂永「というわけなのですが、お引き受けいただけますか?」
 伊綱「しかしそういうことは、本来警察とか保険屋の領分ですよね」


 話す→村崎の事
 砂永「彼の死因は服毒による中毒死とだけしか聞いていないので、詳しいことはわからないのですが、少なくとも事故ではありえない毒物だったのだそうです。死亡推定時刻は6月26日水曜日午前3時ごろと聞いています」


 話す→村崎の事
 砂永「村崎君は西河谷地区のマンションに一人暮らしでした」


 話す→村崎の事
 砂永「彼は我が社の大プロジェクトのメインプログラマとして、これからの活躍を期待されていただけに誠に残念です。そうそう、村崎君については私よりも彼の同僚に聞いたほうがいいでしょう」


 話す→会社の事
 砂永「ご存じかと思いますが、当社はゲーム開発を主な業務としております」


 話す→会社の事
 砂永「有名なタイトルでは、アルファ・ジェネシスというRPGのシリーズを出しております」
 伊綱「アルジェですか!」
 砂永「はい。村崎君は、それの新作のメインプログラマでした」
 伊綱「アルジェの新作を作っているんですか!」
 砂永「本来なら社外秘なのですが・・・」
 なんか伊綱が盛り上がってきている。


 話す→依頼内容
 伊綱「わかりました!お引き受けします」
 生王「早っ!」
 砂永「ありがとうございます」
 伊綱「ただし、ですが・・・捜査にあたってアルジェの新作の情報が必要になってくるかもしれません。その場合はすべて隠さずに教えていただけますか」
 砂永「確かに何が関係しているのかわからないですので。了解いたしました」
 生王「ゲームの話はしないんじゃなかったの?」
 伊綱「あまり、って言ったじゃないですか。アルジェだけは別なんですよ♪」
 砂永「では、よろしくお願いいたします」
 伊綱「お任せください、くふふ」


 今回の仮面幻想殺人事件は幕を開けたのだった。

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