チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:トイレの恋開始!


 細田は1年生の頃、友達がいなかったので、いつも一人で過ごしていた。
 そんな細田のお気に入りの場所はトレイで、個室に入ってボーっとしていた。


 そんなある日の放課後、いつも通り、トイレの個室でボーっとしていた細田の耳に、隣の女子トイレから女性の悲鳴と何かが落ちる音が聞こえて来た。


 「坂上君、僕はどうしたと思う?」
  1. 女子トイレに入ってみた
  2. 知らんふりした
 女子トイレに入るのは気が引けたが、悲鳴を無視するほど薄情な人間ではなかった細田は、女子トイレの様子を見に行った。
 すると、個室の開いたドアから女の子が足が見えて、同時に啜り泣く声が聞こえて来た。どうやら女の子が地べたに座り込んで泣いているようだ。
 「あの、いきなり入ってきてゴメンよ。その、隣のトイレにいたら悲鳴と泣き声が聞こえてきたら・・・」と細田が声を掛けた。
 細田がふと女の子の方を見ると、千切れたロープと、脱ぎ捨てられた上履きと、白い封筒が落ちているのに気付いた。
 もしかしたら、この子は自殺しようとしてたんじゃないか、と細田が思っていると、女の子は、「私、死のうと思ってたの」と言い出した。
 「どうして自殺しようと思ったの?」と細田が聞くと、女の子はぽつりぽつり話し始めた。
 大まかな理由は、付き合っていた彼氏に別に好きな人ができて、別れを切り出されたことだそうだ。
 で、トイレで自殺を図ろうとしたが、ロープが切れて未遂に終わったのだ。
 女の子は1年C組の室戸葵、と名乗った。
 とりあえず自殺を思いとどまった室戸は、細田のことを命の恩人だ、と言ってくれた。


 それ以来、細田と室戸は友達になり、廊下ですれ違う時に声を掛け合う仲になった。
 そんなある日、細田は、室戸から、一緒に帰ろう、と誘われた。
 二人で一緒に帰ってると、突然、室戸が「あっ」と声を上げた。
 前の見ると、鳴神学園の制服を着たカップルが楽しそうに歩いていた。
 室戸は、突然駆け出して横の路地に入ってしまったので、細田は室戸を追いかけた。
 追いついた室戸を見ると、肩を震わせて悲しみに耐えていた。
 細田は、前を歩くカップルの男は、室戸の前の彼氏だと気づき、こんな風に室戸を悲しませる男に対し憤りを抱いた。
 「細田君、ごめんね。いきなり隠れたりして。
 さっき前を歩いていた男の子、私の彼氏だったの。
 私、このままだと学校にも行きたくないな」
 室戸のことを可哀そすぎると思った細田は、何とかしてやりたいと思い、「何か自分に協力できることはないかな?」と言ってしまう。


 「坂上君、彼女は僕に何を頼んだと思う?」
  1. 彼氏を呼び出してほしい
  2. 彼女を呼び出してほしい
  3. わからない
 室戸は、「今日の夜、私と出会った新校舎のトイレに来てほしいの」と言ってきたので、細田は「行く」と返事して、その場は別れた。


 「坂上君、なぜ彼女は僕をトイレに呼び出したんだと思う?」
  1. 何か企みがあった→細田エンディン№08:黒い赤ん坊→7話目エンディング№10:赤く彩られて
  2. 相談事があった
 「相談事があったのなら、わざわざ深夜のトイレに呼び出す必要はないと思うんですよ。
 あのトイレじゃなきゃダメな何かを考えていると、何だか尻込みしてしまって・・・」
 細田はそうもんもんと考えているうちに居眠りをしてしまい、気づいたら朝になっていた。
 翌朝細田が学校へ行くと、室戸があのトイレで首を吊って死んでいた。遺書らしきものは見つからなかったが、警察は自殺と断定した。
 後でわかったことだが、室戸は事あるごとにあのトイレで自殺未遂を繰り返していた。それに、虚言癖の持ち主で、日常的に嘘をつく人物としてクラスでは浮いた存在だった。
 思い起こせば、室戸はいつも一人でいたし、室戸の彼氏の話は嘘だったのだ。
 今も細田が2階のトイレに入ると、女子トイレの方から小さな悲鳴と何かが落ちる音、すすり泣く声が聞こえてくるため、そこは使えなくなってしまったとのこと。


 「一体彼女は何で僕をあのトイレに呼んだんでしょうか?
 でも、あの日、僕が約束を守ってあのトイレに行っていれば、彼女が自殺で死ぬことはなかったと思います」


 細田エンディング№09:聞こえてくる音
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:トイレの恋開始!


 細田は1年生の頃、友達がいなかったので、いつも一人で過ごしていた。
 そんな細田のお気に入りの場所はトレイで、個室に入ってボーっとしていた。


 そんなある日の放課後、いつも通り、トイレの個室でボーっとしていた細田の耳に、隣の女子トイレから女性の悲鳴と何かが落ちる音が聞こえて来た。


 「坂上君、僕はどうしたと思う?」
  1. 女子トイレに入ってみた
  2. 知らんふりした
 女子トイレに入るのは気が引けたが、悲鳴を無視するほど薄情な人間ではなかった細田は、女子トイレの様子を見に行った。
 すると、個室の開いたドアから女の子が足が見えて、同時に啜り泣く声が聞こえて来た。どうやら女の子が地べたに座り込んで泣いているようだ。
 「あの、いきなり入ってきてゴメンよ。その、隣のトイレにいたら悲鳴と泣き声が聞こえてきたら・・・」と細田が声を掛けた。
 細田がふと女の子の方を見ると、千切れたロープと、脱ぎ捨てられた上履きと、白い封筒が落ちているのに気付いた。
 もしかしたら、この子は自殺しようとしてたんじゃないか、と細田が思っていると、女の子は、「私、死のうと思ってたの」と言い出した。
 「どうして自殺しようと思ったの?」と細田が聞くと、女の子はぽつりぽつり話し始めた。
 大まかな理由は、付き合っていた彼氏に別に好きな人ができて、別れを切り出されたことだそうだ。
 で、トイレで自殺を図ろうとしたが、ロープが切れて未遂に終わったのだ。
 女の子は1年C組の室戸葵、と名乗った。
 とりあえず自殺を思いとどまった室戸は、細田のことを命の恩人だ、と言ってくれた。


 それ以来、細田と室戸は友達になり、廊下ですれ違う時に声を掛け合う仲になった。
 そんなある日、細田は、室戸から、一緒に帰ろう、と誘われた。
 二人で一緒に帰ってると、突然、室戸が「あっ」と声を上げた。
 前の見ると、鳴神学園の制服を着たカップルが楽しそうに歩いていた。
 室戸は、突然駆け出して横の路地に入ってしまったので、細田は室戸を追いかけた。
 追いついた室戸を見ると、肩を震わせて悲しみに耐えていた。
 細田は、前を歩くカップルの男は、室戸の前の彼氏だと気づき、こんな風に室戸を悲しませる男に対し憤りを抱いた。
 「細田君、ごめんね。いきなり隠れたりして。
 さっき前を歩いていた男の子、私の彼氏だったの。
 私、このままだと学校にも行きたくないな」
 室戸のことを可哀そすぎると思った細田は、何とかしてやりたいと思い、「何か自分に協力できることはないかな?」と言ってしまう。


 「坂上君、彼女は僕に何を頼んだと思う?」
  1. 彼氏を呼び出してほしい
  2. 彼女を呼び出してほしい
  3. わからない
 室戸は、「今日の夜、私と出会った新校舎のトイレに来てほしいの」と言ってきたので、細田は「行く」と返事して、その場は別れた。


 「坂上君、なぜ彼女は僕をトイレに呼び出したんだと思う?」
  1. 何か企みがあった
  2. 相談事があった
 細田は室戸の約束を守る為、学校へ向かった。
 室戸が校舎裏の非常口の扉を開けておいてくれていたので、細田は難なく夜中の学校に忍び込むことができた。
 細田は、室戸と約束したトイレの個室の前に立つと、背後から、「細田君」と室戸の声が聞こえて来た。
 細田が振り返ると、笑顔の室戸が立っており、「来てくれてありがとう」と言った。
 細田が、「一体トイレに呼び出して何をするの?」と問いかけると、
 「ぜひ細田君に協力してもらいたいことがあるの」と、室戸が行って、トイレの個室のドアを開けた。
 「何でも協力してくれるって言ってくれたよね。じゃあ私の代わりにここで死んでほしいの。
 私ね、あの人が憎くてたまらないの。でもね、普通に殺すは嫌。呪われて散々もがき苦しんだ挙句に死んでほしいの。
 そのためには生贄を捧げる必要があるの」
 そう言って室戸が便器を指差すと、黒くと柔らかい何かが這い出してきた。
 そいつは、さかりのついた猫のような鳴き声を上げながら、泣き始めた。
 室戸は、「よしよし、泣かないで」と言いながら、そいつを抱き上げた。
 「細田君、この子は私と彼氏の子なの。赤ちゃんができたけど、うまく育ってくれなくて、このトイレで流れちゃったの。
 それ以来、このトイレに入るとこの子が現れるようになったんだよ。
 それでこの子が言ったの。『お母さんの恨みを晴らしてあげる』って。でもそのためにはいろいろな命が必要なんだって。猫とか犬とかいろいろあげたんだけど、それじゃ弱いみたいで・・・
 だったら私が死のうと思ったんだけど、細田君が死んでくれるならそっちの方が助かるかな」
 室戸は、どこからかロープを取り出して言った。
 「これを首にかけて釣ってほしいの」
 じりじりと近づいてくる室戸を、足が動かない細田は必死に腕を振って抵抗した。
 その時、細田の腕が室戸に当たり、バランスを崩した室戸は黒い赤ん坊のようなものを落としてしまった。
 その瞬間、細田の足は動くようになったので、大急ぎでトイレから脱出した。


 翌朝、細田が学校へ行くと、2階の女子トイレで、死体が見つかったと大騒ぎになっていた。
 死体は自殺した室戸だった。


 「今思うと、室戸さんは、トイレに棲む何かに騙されていたんだと思います。
 あの黒い赤ん坊は、室戸さんが死んでも満足するようなモノに見えませんでした。
 もしかしたら、今も生贄を待ち続けているのかもしれませんね。あのトイレでずっと・・・」


 細田エンディング№08:黒い赤ん坊
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 №55:愛の結晶


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 2階北側のトイレに着いた。
 細田は、「黒い赤ん坊が出た女子トイレの隣だよ」と言った。
 すると、どこからか赤ん坊の泣き声が聞こえて来た。
 坂上が慌てて細田を見ると、細田は脂汗を垂らして、白目を剥き、ぷるぷると震えており、今にも卒倒しそうになっていた。
 坂上が細田の体を揺らすと、細田は意識を取り戻した。
 今は赤ん坊の泣き声は聞こえないが、トイレには何か濃密な異様な気配が漂っている。


 坂上と細田がトイレの外に出ると、廊下には付いてきてくれていたはずの福沢の姿がない。
 その時、女子トイレの方からガラスの割れる音が聞こえて来た。
 福沢の安否を確認するため、女子トイレの中に入ると洗面所のガラスが割れており、辺りに血痕が散らばっていた。
 そして、その血痕はトイレの個室に続いていた。
 血痕が続いているトイレの半開きの扉を開けた瞬間、福沢がそこにいた。
 「私の赤ちゃん・・・」
 虚ろな目をした福沢が、便器から這い出る赤ん坊のようなものに、洗面所のガラスで切った手首の血を垂らして飲ませていた。
 「え?まだ足りないの?」
 そう呟いた福沢は、ガラスの破片を首にあてがい、真一文字に喉を切り裂いた。
 血のシャワーを浴びながら、黒い赤ん坊は歓喜に震えている。
 そして、福沢も坂上も真っ赤に染められていく。


 7話目エンディング№10:赤く彩られて
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:魅惑のトイレ開始→細田エンディング№01~03のどれかを見る。


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 1階北側のトイレでは何も起こらなかった。
 次に1階南側のトイレへ向かう。ここは細田が別の世界へ行ける不思議なトイレで、お気に入りの場所だと言っていたところだ。
 「そうだ、坂上君。せっかくだから、僕のお気に入りのトイレに入ってみませんか」
 細田にそう勧められた坂上は、「わかりました、入ってみます」と答えた。
 細田は邪魔しちゃ悪いからと言って、皆を連れて外に出て行った。
 一人残された坂上は、細田のお気に入りのトイレに入ったが、普通のトイレだった。坂上は、しばらくそこでじっとしていたが、不思議な感覚は起こらなかった。
 1年生で司会という大役を任されていた坂上は、そこで緊張の糸が途切れ、トイレの中で居眠りをしてしまう。
 どれくらいの時間が経ったかわからないが、目を覚ました坂上は急いでトイレを飛び出した。
 外にはみんなが待っており、「修子ちゃん、遅いよ」「坂上さん、遅いぞ」と言われてしまう。
 みんなに女の子扱いされている気づいた坂上は、「どうしたんですか、みなさん。まるで僕が女の子みたいな言い方をして」と言い出す。
 それを聞いた風間に、「どうしたんだい、修子ちゃん。まさか、トイレで本当に入れ替わっちゃったのかい?トイレの鏡で確認してきたら?」と言われてしまう。
 坂上が慌ててトレイに入り、鏡で自身の姿を確認すると、そこにはどことなく坂上に似た見たこともない女の子が映っていた。
 どうやら坂上は、自分が女の子である世界の坂上と入れ替わってしまったようだ。
 自分と入れ替わって別の世界へ行ってしまった修子のことも案じながら、これからの自分のことも心配な坂上。


 7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君


 5人目は岩下明美を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです
 「そう、何も答えたくないのね。そんなあなたにぴったりの話があるの」


 シナリオ:ポプリ


 鳴神学園に女の子が転校してきた。
 彼女の名前は高瀬美香。
 転校生は自然とクラスになじんでいくものだが、高瀬はいつまで経ってもクラスの中で特別な存在だった。
 例えるなら、まるでアヒルの群れに白鳥が混じっているような、そんな感じだった。
 高瀬は美しかったが、際立って美人だったというわけではなかった。
 それでも、みんなは一目置いていた。
 落ち着いた物腰と思慮深さを感じさせる発言。そして何よりも、彼女からはいつもとてもよい香りがしていた。
 香りといっても、ブランド物の香水のように主張が激しいものではなく、彼女の動きに合わせて、ほんのりと空気に混じるような、そんな控えめな香りだった。
 高瀬とすれ違う時、ふわりと風に乗ったその香りにときめいて、思わず振り返ってしまう男子も多かった。
 だから、高瀬の香りの秘密の聞きたがる女の子は、後を絶えなかった。
 でも、高瀬は誰にもでも打ち明けてくれた。
 ポケットから可愛らしい小袋を取り出して、匂いの元はこれよって。
 その袋の中には、ポプリが入っていた。
 ポプリというのは、香りのいい花やハーブ、スパイスなどを乾燥させたものだ。
 数種類のドライフラワーを作り、それに何種類か混ぜ合わせてから精油を加え、なじませてから、サシェという小さな袋に詰めて、バッグの中に入れて持ち歩いたり、タンスに忍ばせたりして、香りを楽しむものだ。
 女の子たちから、「このポプリ私も欲しい」と言われた高瀬は、自分で作っている、と答えた。
 作り方を教えてほしい、と言われた高瀬は、「特殊な作り方をしているから、みんなにはちょっと難しいと思うわ」と答えて、ポプリを分けてくれた。
 あっという間にクラス中の女の子たちの間に、高瀬のポプリが広まった。
 そして、ポプリが入っていた可愛らしいサシェも、高瀬の手作りだった。


 「みんながその時点で満足していたら、何も問題は起こらなかったわ。
 でも、中にはいるのよね、秘密といわれると、どうしても知りたくなる人。
 坂上君、あなたもそんな人たちの一人なのではなくて?」
  • 1:そうかもしれない
    • → 「ふふふ、報道にかける情熱は強いみたい。
       でも、西洋のことわざに、好奇心はネコを殺す、というものがあるのよ。
       あまりになんにでも首を突っ込もうとすると、酷い目に遭うという意味よ。うふふふ」
  • 2:そんなことはない
    • → 「あなた新聞部でしょ、それならもっと探求心を持たないとダメね」
 
 高瀬のクラスに弘前歩美という子がいた。
 彼女も、高瀬からポプリをもらっていたが、彼女は、他人が少しでも自分より勝っているのが気に食わないという性格だった。
 自分も高瀬以上にいい香りのポプリを作って、みんなを羨ましがらせないと考えた。
 弘前は、高瀬からもらったサシュの袋をばらして、中身を見た。中にはたくさんの種類のドライフラワーや、乾燥させたスパイスが入っていた。
 それを一つ一つ調べて、同じようなものを用意した。
 でも、同じように素材を用意しても、まったく同じものを作ることは難しかった。アロマオイルは香料を混ぜて、オリジナリティを出していたからだ。
 弘前は、必死にポプリの匂いをかいで、どんな香料が使われているのか、突き止めようとした。
 でも、どんなに同じように作っても、オリジナルには、到底及ばない出来だった。
 弘前は悔しい気持ちを必死に隠して、高瀬に作り方ノレシピを教えてほしい、と頼み込んだが、高瀬は決して教えてくれなかった。
 高瀬は作り方を独り占めして、自分だけ人気者でいたいに違いない、と弘前は、次第にそんな風に思いつめるようになっていった。


 そんなある日、なんとしてもポプリの秘密を知りたかった弘前は、こっそりと高瀬の後をつけようと考えた。
 もしかしたら材料を仕入れているお店に立ち寄るかもしれないし、家の窓をのぞいたら材料が見られるかもしれない。
 高瀬が学校を後にすると、弘前が後を付けていることに気づかず確かな足取りで歩いて行った。
 高瀬は、住宅街を抜け、田畑はあぜ道ばかりが目立つ景色も通り越し、夜の闇が空を覆い始めるころに薄暗い森の入り口に差し掛かった。
 木々はうっそうと茂り、先はまったく見えない。


 「ねぇ、彼女はどうしたと思う?」
  1. 後をつける
  2. 引き返す
 弘前は勇気を振り絞って、暗い森の中へ足を踏み出した。
 鬱蒼とした森の中は、すっかり宵闇に包まれていた。
 高瀬は鞄の中から懐中電灯を取り出した。
 弘前は、高瀬が懐中電灯を持っていることに驚きつつ、懐中電灯の明かりを見失わないように後をつけ続けた。
 しばらく歩いていると、木々が開けて、月の明かりの中に一件の小さな家が浮かび上がった。それは丸太を組んで作られた山小屋のような小さな建物だった。
 高瀬は、手慣れた手付きで玄関のドアを開けると中に消えていった。
 しばらくして窓に明かりが灯ったことを確認すると、弘前は自分もその小屋に近づいた。
 お伽噺に出てくる魔女のおばあさんが住んでそうな、無骨で陰気な木の小屋。
 弘前が忍び足で窓辺に歩み寄り、中を覗こうとしたその時、突然家のドアが開いたので、弘前は手近な茂みに姿を隠した。
 家から出てきた人物は、弘前の存在に気づく素振りも見せず家の裏手へと歩いていった。
 家から出てきた人物は、頭からすっぽりと黒いローブを被っていた。
 裾からのぞくスカートは鳴神の制服だったので、きっと高瀬だろう、と弘前は思った。
 そして、少し離れた木々の間から、その人物の挙動を探ることにした。
 黒いローブの人物は、家の裏手にある物置ほどの大きさの小屋に入ったかと思うと、黒い何かを掴んですぐに出てきた。
 バタバタを大きな音をたてて暴れ、のどから絞り出すような声を上げていたのは1羽の雄鶏だった。
 そして人物はしゃがむと、躊躇うことなく雄鶏の首を両手でつかみ、その場でくびり殺した。
 弘前は喉元まで出かけた悲鳴を必死に押し殺した。
 初めて命が奪われる瞬間を目にした弘前は、恐怖のあまり、歯の根が合わなくなるくらいに動揺して、両の目からは涙がぽろぽろとあふれてきた。
 (こんなに怖い思いをするぐらいなら、もう帰ったほうがいいかもしれない)


 「今なら、まだ引き返すことができる」
  1. 帰る
  2. 帰らない
 「本当にその先を知っても後悔しない?」
  1. やっぱり帰る
  2. それでも帰らない
 湧き上がる恐怖をぐっとこらえて、弘前はその場に踏み留まった。
 でも、目の前の光景に気をとられていたせいか、後ずさったときに、服に木の枝が引っ掛かって音を立ててしまった。
 黒いローブを被った人物は鋭くあたりを見回して、弘前が潜む木陰へと近づいた。


 「ど、どうしよう・・・」
  1. 逃げる
  2. 逃げない→弘前は高瀬の前に出て、ポプリの作り方を教えてほしい、と言ったが、後頭部を殴られ気絶してしまう→(逃げなかった場合はここからへ飛ぶ)
 (逃げよう)
 そう決断した弘前は、元来た道を目指して、木陰を飛び出した。
 でも、黒いフードの人物が弘前の腕を掴んだ。
 「離して!」
 「弘前さん?」
 黒いローブの下から姿を現したのは高瀬だった。
 「何をしているの、こんなところで?」
 高瀬の声は、いつものように穏やかで優しい口調だった。
 「あの、道に迷って」
 「大変だったわね。こんな時間に外で立ち話もなんだから、ちょっと寄ってく?」
 「ええ・・・」
 優しい笑顔の影で、高瀬は弘前の服の裾をしっかりと掴んでいた。


 「ようこそ、私の家へ」
 弘前は、部屋の中央にある木のテーブルに案内された。
 「お茶でもいかが?」
 「あ、ありがとう」
 まるで雪山のロッジのような家の中は、整頓されてはいたけれど、質素で生きていくのに必要最小限のものしか置かれていなかった。
 ただ窓際には、これからポプリに材料にするのかしら、ドライフラワーになる途中の薔薇の花束がいくつも吊るされていた。
 部屋の隅には、蝋燭が灯ったアロマポットがあって、そこからなんともいえない甘くていい匂いが漂ってくる。
 トレーにティーカップを2つ載せて高瀬がやってきた。
 「高瀬さん、ここに一人で住んでるの?」
 「ええ、まあね。そんなことより、飲んで」
 「あ、ありがと」
 弘前は、カップをひとつ受け取ると中を覗き込んだ。
 それは、アロマポットから漂う香りに似て、甘く弘前の鼻腔をくすぐった。
 「ところで、これ何のお茶?」
 「ああ、これ?私が作ったハーブティーよ。どうぞ」
 弘前はカップに口を近づけた。


 「この先、彼女は本当に飲んだと思う?」
 弘前は、お茶には口を付けず、カップを傾けて飲む真似をした。
 「どう?」
 「うん、おいしいね!」
 「ふうん・・・」
 二人はお茶を囲みながらしばらくハーブの話をしていた。
 そのうち不意に高瀬が立ち上がり、奥の部屋に続く扉の向こうに姿を消した。
 「弘前さん、ちょっと来てくださる?」
 弘前は隣の部屋を覗いた。
 その瞬間、弘前は後頭部に鈍い痛みを感じて、その場にうずくまった。
 意識が暗闇に飲み込まれる前、弘前の目に写ったのは棒状のものを握り、凍り付くような眼差しで見下ろす高瀬の姿だった。


 (逃げなかった場合はここから
 後頭部にぼんやりとした痛みを感じて、弘前は目を覚ました。
 体を動かそうとした弘前は、裸のままで、自分の両手と両足首に鉄の枷が嵌められ、天井から吊るされていることを知り、愕然とした。
 「助けてー!」
 声の限りに叫んでも、呼びかけに応えるものはいない。
 やがて、寒さと空腹で立つ気力もなくなった頃、扉を開けて高瀬が入って来て、大きなナイフを手に取った。
 「何するつもり・・・」
 「それを知って、どうしようというのかしら?」
 高瀬は無表情に弘前の胸にナイフの刃先を押し当てた。
 そして、背後に回り、背筋に沿って、そっと手を這わせた。
 「瑞々しい肌だこと」
 高瀬は、弘前の背中の皮膚にコの字型の切込みを入れると、切り口に無理やり指を差し込み、力任せに剥がした。
 窓のない密閉された部屋に弘前の悲鳴が響き渡った。
 でも、そんな声は耳に入らないとでも言うように、高瀬は剥ぎ取った皮膚をうっとりと眺めていた。
 「お願い!やめて!」
 高瀬は懇願する弘前を、まるで汚いものを見るような顔で見返した。
 「うるさいわね」
 そう言って、高瀬は弘前の鳩尾に肘をめり込ませた。
 胃の内容物を吐き出しながらぐったりとしている弘前に向かって、高瀬が言った。
 「そんなに知りたいのなら、教えてあげる。若い女の皮膚から取れる脂はね、最高の香料の材料なのよ。媚薬として使うと、特に効き目があるわ」
 高瀬は黒魔術を得意とする魔女だったのだ。


 それから半年ほど経った後、高瀬の住んでいた森の近くで、女の子の遺体が見つかった。
 発見された時には、体の末端を野犬に食い荒らされ、すでの元の形を留めていなかったが、その死体は全身の皮膚が剥ぎ取られていた。
 

 岩下エンディング№15:媚薬の香り
 CGギャラリー 34/124
 9:媚薬製造現場

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君


 5人目は岩下明美を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです
 「そう、何も答えたくないのね。そんなあなたにぴったりの話があるの」


 シナリオ:ポプリ


 鳴神学園に女の子が転校してきた。
 彼女の名前は高瀬美香。
 転校生は自然とクラスになじんでいくものだが、高瀬はいつまで経ってもクラスの中で特別な存在だった。
 例えるなら、まるでアヒルの群れに白鳥が混じっているような、そんな感じだった。
 高瀬は美しかったが、際立って美人だったというわけではなかった。
 それでも、みんなは一目置いていた。
 落ち着いた物腰と思慮深さを感じさせる発言。そして何よりも、彼女からはいつもとてもよい香りがしていた。
 香りといっても、ブランド物の香水のように主張が激しいものではなく、彼女の動きに合わせて、ほんのりと空気に混じるような、そんな控えめな香りだった。
 高瀬とすれ違う時、ふわりと風に乗ったその香りにときめいて、思わず振り返ってしまう男子も多かった。
 だから、高瀬の香りの秘密の聞きたがる女の子は、後を絶えなかった。
 でも、高瀬は誰にもでも打ち明けてくれた。
 ポケットから可愛らしい小袋を取り出して、匂いの元はこれよって。
 その袋の中には、ポプリが入っていた。
 ポプリというのは、香りのいい花やハーブ、スパイスなどを乾燥させたものだ。
 数種類のドライフラワーを作り、それに何種類か混ぜ合わせてから精油を加え、なじませてから、サシェという小さな袋に詰めて、バッグの中に入れて持ち歩いたり、タンスに忍ばせたりして、香りを楽しむものだ。
 女の子たちから、「このポプリ私も欲しい」と言われた高瀬は、自分で作っている、と答えた。
 作り方を教えてほしい、と言われた高瀬は、「特殊な作り方をしているから、みんなにはちょっと難しいと思うわ」と答えて、ポプリを分けてくれた。
 あっという間にクラス中の女の子たちの間に、高瀬のポプリが広まった。
 そして、ポプリが入っていた可愛らしいサシェも、高瀬の手作りだった。


 「みんながその時点で満足していたら、何も問題は起こらなかったわ。
 でも、中にはいるのよね、秘密といわれると、どうしても知りたくなる人。
 坂上君、あなたもそんな人たちの一人なのではなくて?」
  1. そうかもしれない
  2. そんなことはない
 「ふふふ、報道にかける情熱は強いみたい。
 でも、西洋のことわざに、好奇心はネコを殺す、というものがあるのよ。
 あまりになんにでも首を突っ込もうとすると、酷い目に遭うという意味よ。うふふふ」


 高瀬のクラスに弘前歩美という子がいた。
 彼女も、高瀬からポプリをもらっていたが、彼女は、他人が少しでも自分より勝っているのが気に食わないという性格だった。
 自分も高瀬以上にいい香りのポプリを作って、みんなを羨ましがらせないと考えた。
 弘前は、高瀬からもらったサシュの袋をばらして、中身を見た。中にはたくさんの種類のドライフラワーや、乾燥させたスパイスが入っていた。
 それを一つ一つ調べて、同じようなものを用意した。
 でも、同じように素材を用意しても、まったく同じものを作ることは難しかった。アロマオイルは香料を混ぜて、オリジナリティを出していたからだ。
 弘前は、必死にポプリの匂いをかいで、どんな香料が使われているのか、突き止めようとした。
 でも、どんなに同じように作っても、オリジナルには、到底及ばない出来だった。
 弘前は悔しい気持ちを必死に隠して、高瀬に作り方ノレシピを教えてほしい、と頼み込んだが、高瀬は決して教えてくれなかった。
 高瀬は作り方を独り占めして、自分だけ人気者でいたいに違いない、と弘前は、次第にそんな風に思いつめるようになっていった。


 そんなある日、なんとしてもポプリの秘密を知りたかった弘前は、こっそりと高瀬の後をつけようと考えた。
 もしかしたら材料を仕入れているお店に立ち寄るかもしれないし、家の窓をのぞいたら材料が見られるかもしれない。
 高瀬が学校を後にすると、弘前が後を付けていることに気づかず確かな足取りで歩いて行った。
 高瀬は、住宅街を抜け、田畑はあぜ道ばかりが目立つ景色も通り越し、夜の闇が空を覆い始めるころに薄暗い森の入り口に差し掛かった。
 木々はうっそうと茂り、先はまったく見えない。


 「ねぇ、彼女はどうしたと思う?」
  1. 後をつける
  2. 引き返す
 弘前は勇気を振り絞って、暗い森の中へ足を踏み出した。
 鬱蒼とした森の中は、すっかり宵闇に包まれていた。
 高瀬は鞄の中から懐中電灯を取り出した。
 弘前は、高瀬が懐中電灯を持っていることに驚きつつ、懐中電灯の明かりを見失わないように後をつけ続けた。
 しばらく歩いていると、木々が開けて、月の明かりの中に一件の小さな家が浮かび上がった。それは丸太を組んで作られた山小屋のような小さな建物だった。
 高瀬は、手慣れた手付きで玄関のドアを開けると中に消えていった。
 しばらくして窓に明かりが灯ったことを確認すると、弘前は自分もその小屋に近づいた。
 お伽噺に出てくる魔女のおばあさんが住んでそうな、無骨で陰気な木の小屋。
 弘前が忍び足で窓辺に歩み寄り、中を覗こうとしたその時、突然家のドアが開いたので、弘前は手近な茂みに姿を隠した。
 家から出てきた人物は、弘前の存在に気づく素振りも見せず家の裏手へと歩いていった。
 家から出てきた人物は、頭からすっぽりと黒いローブを被っていた。
 裾からのぞくスカートは鳴神の制服だったので、きっと高瀬だろう、と弘前は思った。
 そして、少し離れた木々の間から、その人物の挙動を探ることにした。
 黒いローブの人物は、家の裏手にある物置ほどの大きさの小屋に入ったかと思うと、黒い何かを掴んですぐに出てきた。
 バタバタを大きな音をたてて暴れ、のどから絞り出すような声を上げていたのは1羽の雄鶏だった。
 そして人物はしゃがむと、躊躇うことなく雄鶏の首を両手でつかみ、その場でくびり殺した。
 弘前は喉元まで出かけた悲鳴を必死に押し殺した。
 初めて命が奪われる瞬間を目にした弘前は、恐怖のあまり、歯の根が合わなくなるくらいに動揺して、両の目からは涙がぽろぽろとあふれてきた。
 (こんなに怖い思いをするぐらいなら、もう帰ったほうがいいかもしれない)


 「今なら、まだ引き返すことができる」
  1. 帰る
  2. 帰らない
 「本当にその先を知っても後悔しない?」
  1. やっぱり帰る
  2. それでも帰らない
 湧き上がる恐怖をぐっとこらえて、弘前はその場に踏み留まった。
 でも、目の前の光景に気をとられていたせいか、後ずさったときに、服に木の枝が引っ掛かって音を立ててしまった。
 黒いローブを被った人物は鋭くあたりを見回して、弘前が潜む木陰へと近づいた。


 「ど、どうしよう・・・」
  1. 逃げる
  2. 逃げない
 (逃げよう)
 そう決断した弘前は、元来た道を目指して、木陰を飛び出した。
 でも、黒いフードの人物が弘前の腕を掴んだ。
 「離して!」
 「弘前さん?」
 黒いローブの下から姿を現したのは高瀬だった。
 「何をしているの、こんなところで?」
 高瀬の声は、いつものように穏やかで優しい口調だった。
 「あの、道に迷って」
 「大変だったわね。こんな時間に外で立ち話もなんだから、ちょっと寄ってく?」
 「ええ・・・」
 優しい笑顔の影で、高瀬は弘前の服の裾をしっかりと掴んでいた。


 「ようこそ、私の家へ」
 弘前は、部屋の中央にある木のテーブルに案内された。
 「お茶でもいかが?」
 「あ、ありがとう」
 まるで雪山のロッジのような家の中は、整頓されてはいたけれど、質素で生きていくのに必要最小限のものしか置かれていなかった。
 ただ窓際には、これからポプリに材料にするのかしら、ドライフラワーになる途中の薔薇の花束がいくつも吊るされていた。
 部屋の隅には、蝋燭が灯ったアロマポットがあって、そこからなんともいえない甘くていい匂いが漂ってくる。
 トレーにティーカップを2つ載せて高瀬がやってきた。
 「高瀬さん、ここに一人で住んでるの?」
 「ええ、まあね。そんなことより、飲んで」
 「あ、ありがと」
 弘前は、カップをひとつ受け取ると中を覗き込んだ。
 それは、アロマポットから漂う香りに似て、甘く弘前の鼻腔をくすぐった。
 「ところで、これ何のお茶?」
 「ああ、これ?私が作ったハーブティーよ。どうぞ」
 弘前はカップに口を近づけた。


 「この先、彼女は本当に飲んだと思う?」
  • 飲んだ
  • 飲まなかった
  • 高瀬さんに先に飲ませる→高瀬は優雅な仕草でカップを口に運び、「美味しいわよ、弘前さんもどうぞ」と言った。だが、高瀬は飲んだ振りをしていただけだった。
 弘前は、恐る恐るハーブティーを口に含んだ。
 「どう?」
 「すっごくおいしい!」
 そのお茶は、弘前が今まで飲んだどんなお茶よりも薫り高く、幸せな気分にさせてくれた。
 「すごいね、高瀬さん!ポプリだけじゃなく、こんなおいしいお茶まで。これ、お店で売ってもいいんじゃない!ハーブのお店、開けるよ!」
 高瀬は、満足そうに微笑んだが、弘前は不意に軽いめまいを覚えた。
 指先から始まった痺れが全身に回ったころには、弘前は気を失って椅子から滑り落ちてしまった。


 鼻腔を満たす、むせ返るような腐臭と薔薇の香りに、弘前はぼんやりと目を覚ました。
 身体を動かそうとした弘前は、首から下がまったく動かないことに気づき、愕然とした。
 ようやく、はっきりと意識が戻った弘前は、自分が裸にされて、胸から下を土に埋められていることを理解した。
 周りを見渡すと、同じように首から下が埋められた人たちが、目に入った。
 正しくは人だった物。ある者は、薔薇の蔓に全身を包まれながら、人の形をとどめにまで腐乱していた。またある者は、眼球が腐り落ち空洞となった眼窩から、しっかりとした太い蔓が天に向かって伸びていた。
 そんな死骸が、薔薇の木の根元に何体となく埋められていた。
 「嫌ー!!!」
 弘前は必死に身をよじり土から抜け出そうとしたが、彼女を包み込んだ土はびくとも動かなかった。
 すると、その声を聞きつけて歩み寄ってきた人影がいた。
 「高瀬さん!!」
 「おはよう」
 「なんなのこれ!助けてよ!」
 「私のポプリの秘密よ」
 高瀬は、咲き誇る大輪の花々を眺めて、うっとりと満足そうな笑みを浮かべた。
 「薔薇が香り豊かな花を付けるたけにはね、たくさんの養分が必要なのよ」
 「ごめんなさい、許して!秘密を知ろうとしたことはあやまるから!」
 「あなた、うるさいわ。早くこれを飲んで静かになってね」
 高瀬は弘前の顎を持ち上げると、頬に指を食い込ませて無理やりに口を開けさせ、持っていたガラス瓶から甘い香りのする液体を口の中に注ぎ込んだ。
 「ー!」
 周囲に弘前の声にならない悲鳴が響き渡り、やがてそれすらも聞こえなくなった。
 「もう、私の花たちがびっくりするじゃない、ねえ?」
 そう言って、一輪の花に顔をうずめた。
 

 岩下エンディング№14:薔薇の下で
 CGギャラリー 33/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君


 5人目は岩下明美を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです
 「そう、何も答えたくないのね。そんなあなたにぴったりの話があるの」


 シナリオ:ポプリ


 鳴神学園に女の子が転校してきた。
 彼女の名前は高瀬美香。
 転校生は自然とクラスになじんでいくものだが、高瀬はいつまで経ってもクラスの中で特別な存在だった。
 例えるなら、まるでアヒルの群れに白鳥が混じっているような、そんな感じだった。
 高瀬は美しかったが、際立って美人だったというわけではなかった。
 それでも、みんなは一目置いていた。
 落ち着いた物腰と思慮深さを感じさせる発言。そして何よりも、彼女からはいつもとてもよい香りがしていた。
 香りといっても、ブランド物の香水のように主張が激しいものではなく、彼女の動きに合わせて、ほんのりと空気に混じるような、そんな控えめな香りだった。
 高瀬とすれ違う時、ふわりと風に乗ったその香りにときめいて、思わず振り返ってしまう男子も多かった。
 だから、高瀬の香りの秘密の聞きたがる女の子は、後を絶えなかった。
 でも、高瀬は誰にもでも打ち明けてくれた。
 ポケットから可愛らしい小袋を取り出して、匂いの元はこれよって。
 その袋の中には、ポプリが入っていた。
 ポプリというのは、香りのいい花やハーブ、スパイスなどを乾燥させたものだ。
 数種類のドライフラワーを作り、それに何種類か混ぜ合わせてから精油を加え、なじませてから、サシェという小さな袋に詰めて、バッグの中に入れて持ち歩いたり、タンスに忍ばせたりして、香りを楽しむものだ。
 女の子たちから、「このポプリ私も欲しい」と言われた高瀬は、自分で作っている、と答えた。
 作り方を教えてほしい、と言われた高瀬は、「特殊な作り方をしているから、みんなにはちょっと難しいと思うわ」と答えて、ポプリを分けてくれた。
 あっという間にクラス中の女の子たちの間に、高瀬のポプリが広まった。
 そして、ポプリが入っていた可愛らしいサシェも、高瀬の手作りだった。


 「みんながその時点で満足していたら、何も問題は起こらなかったわ。
 でも、中にはいるのよね、秘密といわれると、どうしても知りたくなる人。
 坂上君、あなたもそんな人たちの一人なのではなくて?」
  1. そうかもしれない
  2. そんなことはない
 「ふふふ、報道にかける情熱は強いみたい。
 でも、西洋のことわざに、好奇心はネコを殺す、というものがあるのよ。
 あまりになんにでも首を突っ込もうとすると、酷い目に遭うという意味よ。うふふふ」


 高瀬のクラスに弘前歩美という子がいた。
 彼女も、高瀬からポプリをもらっていたが、彼女は、他人が少しでも自分より勝っているのが気に食わないという性格だった。
 自分も高瀬以上にいい香りのポプリを作って、みんなを羨ましがらせないと考えた。
 弘前は、高瀬からもらったサシュの袋をばらして、中身を見た。中にはたくさんの種類のドライフラワーや、乾燥させたスパイスが入っていた。
 それを一つ一つ調べて、同じようなものを用意した。
 でも、同じように素材を用意しても、まったく同じものを作ることは難しかった。アロマオイルは香料を混ぜて、オリジナリティを出していたからだ。
 弘前は、必死にポプリの匂いをかいで、どんな香料が使われているのか、突き止めようとした。
 でも、どんなに同じように作っても、オリジナルには、到底及ばない出来だった。
 弘前は悔しい気持ちを必死に隠して、高瀬に作り方ノレシピを教えてほしい、と頼み込んだが、高瀬は決して教えてくれなかった。
 高瀬は作り方を独り占めして、自分だけ人気者でいたいに違いない、と弘前は、次第にそんな風に思いつめるようになっていった。


 そんなある日、なんとしてもポプリの秘密を知りたかった弘前は、こっそりと高瀬の後をつけようと考えた。
 もしかしたら材料を仕入れているお店に立ち寄るかもしれないし、家の窓をのぞいたら材料が見られるかもしれない。
 高瀬が学校を後にすると、弘前が後を付けていることに気づかず確かな足取りで歩いて行った。
 高瀬は、住宅街を抜け、田畑はあぜ道ばかりが目立つ景色も通り越し、夜の闇が空を覆い始めるころに薄暗い森の入り口に差し掛かった。
 木々はうっそうと茂り、先はまったく見えない。


 「ねぇ、彼女はどうしたと思う?」
  1. 後をつける
  2. 引き返す
 弘前は勇気を振り絞って、暗い森の中へ足を踏み出した。
 鬱蒼とした森の中は、すっかり宵闇に包まれていた。
 高瀬は鞄の中から懐中電灯を取り出した。
 弘前は、高瀬が懐中電灯を持っていることに驚きつつ、懐中電灯の明かりを見失わないように後をつけ続けた。
 しばらく歩いていると、木々が開けて、月の明かりの中に一件の小さな家が浮かび上がった。それは丸太を組んで作られた山小屋のような小さな建物だった。
 高瀬は、手慣れた手付きで玄関のドアを開けると中に消えていった。
 しばらくして窓に明かりが灯ったことを確認すると、弘前は自分もその小屋に近づいた。
 お伽噺に出てくる魔女のおばあさんが住んでそうな、無骨で陰気な木の小屋。
 弘前が忍び足で窓辺に歩み寄り、中を覗こうとしたその時、突然家のドアが開いたので、弘前は手近な茂みに姿を隠した。
 家から出てきた人物は、弘前の存在に気づく素振りも見せず家の裏手へと歩いていった。
 家から出てきた人物は、頭からすっぽりと黒いローブを被っていた。
 裾からのぞくスカートは鳴神の制服だったので、きっと高瀬だろう、と弘前は思った。
 そして、少し離れた木々の間から、その人物の挙動を探ることにした。
 黒いローブの人物は、家の裏手にある物置ほどの大きさの小屋に入ったかと思うと、黒い何かを掴んですぐに出てきた。
 バタバタを大きな音をたてて暴れ、のどから絞り出すような声を上げていたのは1羽の雄鶏だった。
 そして人物はしゃがむと、躊躇うことなく雄鶏の首を両手でつかみ、その場でくびり殺した。
 弘前は喉元まで出かけた悲鳴を必死に押し殺した。
 初めて命が奪われる瞬間を目にした弘前は、恐怖のあまり、歯の根が合わなくなるくらいに動揺して、両の目からは涙がぽろぽろとあふれてきた。
 (こんなに怖い思いをするぐらいなら、もう帰ったほうがいいかもしれない)


 「今なら、まだ引き返すことができる」
  1. 帰る
  2. 帰らない
 弘前は引き返すことにした。
 数日後、テレビのニュースで、女子高生の他殺体が発見されたことが報じられた。場所は、弘前が隠れていた森の茂みの中だった。
 被害者は鳴神学園の制服を着ており、遺体には執拗な暴行が加えられていて、両親も一目見て、それが自分たちの娘だとはわからない有様だった。
 弘前は、一歩間違えたら自分も同じ目に遭っていたかもしれないと思い、震えが止まらかなった。
 そして、それと時を同じくして高瀬が学校に来なくなった。行方不明になったのだ。


 「高瀬さんも、殺された女子高生のような目に遭ったんだと思う?それとも、彼女自身が?
 いえ、憶測で人を疑うのは良くないわね。行き過ぎた好奇心で身を滅ぼさないように気を付けるのよ、うふふふ」
 

 岩下エンディング№13:好奇心は猫を殺す
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「坂上君、なんかちょっと感じ悪~い。
 そんなんじゃ女の子に嫌われちゃっても知らないからね」


 霧島はヒトシ君を見つけようと週に何回か頑張って居残りし、放課後の廊下を歩き回っていた。
 「ねえ、どうしてヒトシ君を見たいわけ?」
と、友達に聞かれた霧島は、
 「だって、面白そうじゃない。それにこういうの、学生時代にしかできないし」
と、答えていた。


 その日の放課後、霧島は休憩を差し挟みながら、学校中の廊下を探索していた。
 霧島はいつも日が沈み切る前には探索を打ち切って、校舎の外に出ていたが、自分が出て行った途端、ヒトシ君が入れ違いのように廊下に現れるんじゃないか、と思っていた。
 だから、この日もっと遅くまでヒトシ君を探そうと考えて、校内の探索を再開した。
 そうしてしばらく歩き回っているうちに、校舎の外は完全な夜闇に閉ざされてしまった。
 すでに午後7時を回って、校内にはもう誰も残ってなかった。
 だけど、ヒトシ君はどこを見渡したって出てこない。
 こんなに遅くまで残って損した!
 そんなことを考えながら霧島は手早く荷物をまとめて、昇降口に向かって行った。
 霧島が靴を履き替え、閉まっている扉を押したが、開かなかった。
 外から鍵がかけられたと思った霧島は、つまみをひねり、鍵が開いた状態に戻して、扉を押したが、まったく開かない。
 どんなに押したり引いたりしても、扉は開かなかった。
 「そうだ、窓から出ればいいじゃない」
 霧島は廊下に戻り、一番近くにあった教室に飛び込んだ。
 そして、窓に近づき、鍵を開け、一気にスライドしようとしたが、開かない。
 「どうしてよ!何で!」
 他の教室でも、窓は開かなかった。
 ならば非常口から出ようとしたが、そこも扉もやっぱりダメだった。
 学校中の扉と窓を調べたが、ダメだった。
 どうしていいかわからず、霧島はぐったりと腰を下ろした。
 「誰か、助けてよ・・・」
 あまりに怖くて、霧島はポロポロと涙を流した。
 そして、どうして扉や窓が開かないのか、なぜ閉じ込められたかを考えないことにして、ここで一夜を明かすと覚悟した。必ず明日、助け出されると信じて。
 急激なめまいがして、霧島はその場に倒れこんだ。
 体が麻痺して、立ち上がることができない。
 気が遠くなっていき、ついに霧島は暗闇に飲み込まれてしまった。


 霧島は次の日、冷たい死体となった発見された。表向きは突発的な心臓発作ってことで処理されたみたいだが、どうして霧島が死んだのか、当時あれこれ議論が交わされた。
 結論は、正体を突き止められることを嫌ったヒトシ君の仕業だってことになった。
 ヒトシ君は、人間を不幸にさせるだけじゃなく、呪い殺す力も持っていたのだ。
 この事件以降、自分からヒトシ君を探す生徒はいなくなった。


 「え?どうして私が知っているかって?
 だからぁ、私はお姉ちゃんから聞いたの。
 お姉ちゃんと霧島さんは、本当に仲良しだったんだよ。あの頃も、同じ人を好きになってさ。
 霧島さんの方がうまくいきそうだったんだけど、謎の死を遂げちゃったでしょ。
 それで、お姉ちゃんはうまく好きな人と付き合えたわけ。
 そんなお姉ちゃんがしてくれた話だから、ヒトシ君の話は真実だと思うよ。
 そんなに気になるなら、直接お姉ちゃんに聞いてみたら?
 お姉ちゃん、今彼氏いないみたいだからいいかもよ。年上の彼女ってもいいかもしんないよ。きゃははは。
 ねぇ、坂上君。この学園にはいろいろな悪霊、妖怪が潜んでいるけど、それらに共通しているのは、秘密を追求されることが大嫌いなことなんだよ。
 きっとそういう人間は容赦なく殺しちゃうんだ。
 だからね、この七不思議の特集だって、最後に良くないことが起こるかもしれないよ。
 この新聞部、さっきから妙な雰囲気なんだよね・・・」
 

 福沢エンディング№15:追いかけてヒトシ君
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「へえ、興味あるんだ。霧島さんも喜んでくれてると思うよ。でも、残念なことに、その時にはもう彼氏がいたんだよね」


 霧島の彼氏は西尾といって、いつも二人は一緒にいて、クラスでは有名なカップルだった。
 ある時、二人の間でヒトシ君の話題になったが、西尾は、霊とか妖怪とかの類は信じない人で、鼻で笑い飛ばした。
 「でも、一度会ってみたいな。
 西尾君だって、河童や宇宙人に会えたらいいなって、思ったことない?」
 「ガキの頃はな。でもよー、もうそんな歳じゃねえし」
 「もしもの話だよ。
 本当にヒトシ君に会えたとしたら、どうする?」
 「ちょっとからかってみてぇな。本物のガキだったら大人げないけど、妖怪だったら全然かまわないだろ」
 「なるほどね。小学生くらいの男の子を見ると、ちょっといじめたくなるっていうか」


 西尾は運動部に入っており、部活がある日は霧島は放課後は図書室で時間を潰して、部活が終わった西尾が迎えに来て、一緒に帰っていた。
 ある日の放課後、部活の終わった西尾と、霧島は一緒に図書館を出て、薄暗い廊下を歩いていた。
 「ヒトシ君、出るなら今くらいの時間だね」
 そんなことを話しながら、二人が昇降口へ進むと、「待ってよぉ、待ってよぉ」と、唐突な声が聞こえて来た。
 二人はいっせーので振り返ると、小さな男の子の姿を見つけた。
 「ヒトシ君だ・・・
 どうする?」
 「そういや、言っちゃいけない言葉があるんじゃなかったか?」
 「それを言うと、守護霊様を食べられて、不幸になっちゃうんだってさ」
 二人は『ヒトシ君を待ってあげて』という言葉を口にしなれけば無害なんだ、と思ったらリラックスできた。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 ヒトシ君は繰り返し言いながら、ゆっくりと二人の側を通り抜けていく。
 「西尾君って、ヒトシ君を見たら、からかってやりたい、って言ってたよね」
 「いっちょやってやるか!妖怪をからかうなんて、この世で俺くらいのもんだ」
 西尾はニヤニヤ笑いながらヒトシ君の隣に並んで言った。
 「父ちゃんと母ちゃんはどうした?」
 ヒトシ君は西尾の方を振り返ったが、これといった反応を見せないで、歩き続けた。
 「ひょっとして捨て子の霊なのかな?あはは、可愛そうね」
 霧島も参加して、意地悪なことを言いだした。
 ヒトシ君が答えないので、二人はだんだん腹が立ってきた。
 「無視すんじゃねーぞ!
 こんなとこぶらついてないで、さっさと帰んな!」
 「本当に守護霊を食べちゃうような力があるの?
 こんなにちっこい体なんだもん」
 「けっ、妖怪なんざ怖くねえぞ!」
 「私だって怖くないよ!」


 「うるさい・・・」
 ボソっとヒトシ君が口にした。
 「なんだって?」
 「うっせーって、言ってるんだよ!」
 次の瞬間、霧島は温かいシャワーを浴びた。
 目の前が真っ赤に染まった。シャワーの蛇口は、西尾の首の断面・・・
 ゴトリと恋人の首が足元に落ちると、悲鳴を上げた霧島は魂が抜けたように血の池にへたり込んだ。
 「ワシをバカにするなんて・・・」
 そう言って、ヒトシ君を霧島に向き直った。


 翌日、二人の首なし死体が廊下で見つかった。そこら中が血だらけで、ものすごい騒ぎになった。
 最初は変質者の仕業だと考えられていたが、そのすぐ後に両手に男女の首を持ったヒトシ君が目撃された。
 その時のヒトシ君の表情が印象的だったそうだ。子供らしい邪悪さっていうか、人間を殺すのなんてどうも思ってないというような・・・


 「そういうわけで、ヒトシ君に会ったら、絶対に馬鹿にしちゃいけないの。
 いくら子供でも恐ろしい妖怪だからね」


 福沢エンディング№14:間違った解釈
 CGギャラリー 33/124(70:首を切られて)

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 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
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 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「答えになってない気がするんだけど。じゃあ、さっさと話を進めるね」


 霧島は自分からヒトシ君を見ようとしていた。
 なんでも、噂を聞いた聞いたその日から、1日と欠かさず放課後の廊下を歩いてヒトシ君を待ち構えていたそうだ。
 ヒトシ君に会いたい、という一心でひたすら待っていた。まあ、見るだけなら身の危険はないだろう、と思っていた節もあった。


 「霧島さん、今日も残るの?」
 クラスメイトにそう聞かれた霧島は、笑顔で答えた。
 「もちろんだよ!今日こそ見つけてやるんだから」
 「そう言って、、もうどれくらい経っているのよ」
 「大丈夫、世の中努力が報われるようにできてるんだから」


 「あーあ、今日もまた会えないのかな」
 霧島は呑気なことを言いながら、校舎中を行ったり来たりしていた。
 やがて、だいぶ西日が傾くようになって、そろそろ今日も打ち切りかな、とため息をついたちょうどその時だった。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 噂通りの声を耳にした霧島は、高鳴る心臓を抑えながら、慎重に背後を振り向いた。
 そこには小さな男の子が立っていた。
 霧島は、これがヒトシ君に間違いないと直感した。
 やっと出会えた、これで苦労が報われる、友達に自慢できる、と霧島は喜びを爆発させた。
 ヒトシ君は興奮する霧島にはお構いなしにとぼとぼと歩いている。
 霧島は、「ヒトシ君を待ってあげて!」という禁止ワード以外なら、何を言ってもいいと思い、どんな風に声をかけようかと迷った。
 そうこうしているうちに、ヒトシ君は廊下の向こうへ歩いて行ったので、霧島はごく自然に「待ってよぉ」と口にした。
 するとギョロっとした目でヒトシ君が振り向いた。
 霧島は、あまりの怖さに金縛りになってしまった。
 そして、ヒトシ君は動けない霧島に向かってゆっくりと近づいて行った。
 「お姉ちゃんも僕みたいになりたいんだね?」
 そう言って、ヒトシ君は思いっきり飛び掛かって来た。


 その翌日、霧島が家に帰っていなくて行方不明になったと学校では大騒ぎになった。
 でも、教室には荷物が置かれていて、下駄箱には靴も残っていた。
 それで人々は、口々に囁き合った。
 「昨日もヒトシ君を探していたんだよね。もしかして、ヒトシ君に殺されちゃったとか」
 「それはありえなくない。下手しても不幸になるだけでしょ?」
 「そんな妖怪信じてないで、現実的に考えようぜ」
 「でも、靴も荷物も置いたままで、絶対普通じゃないだろ」
 ああたこうだクラスメイトたちは言い合ったが、結局真実はわかならかった。


 それから数日経っても、霧島は発見されなかった。
 警察も捜査したが手がかりは全然なかった。
 まさに神隠しに遭ったみたいに、忽然と霧島は消えてしまった。
 けど、彼女を探すこと諦めない人もした。
 霧島のクラスの男子生徒が、連日学校に残っていた。
 ヒトシ君が事件の鍵を握っているに違いない、と彼は思い、危険だけど会ってみる価値はある、と考えた。
 とにかく、彼は納得できるまで探そうと、根気よく放課後の廊下を歩き回った。
 そして、その声が聞こえて来た。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 しかし噂に聞く男の声ではなく、女の子の声だった。
 彼はおそるおそる振り向いてみたら、予想もしないものを見てしまった。
 紛れもなく、霧島だった。正確には、ヒトシ君になってしまった霧島だった。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 ボロボロの髪をして、ボロボロの制服を着た彼女は、ひどく悲しい顔をしながらそればかりを繰り返していた。
 その男子生徒は、さっさと逃げ出したおかげで難を逃れることができた。


 霧島は、ヒトシ君に『待ってよぉ』と言ったせいで、自分も妖怪にされてしまった。
 女の子なのにヒトシ君っていうのはおかしいけど、種族としての名前と考えればいい。
 その日から、小さな男の子とは別に、女子学生のヒトシ君が現れるっていう、新しい怪談ができた。


 「言っちゃいけない言葉は『ヒトシくんを待ってあげて!』と『待ってよぉ』の2つね」

 福沢エンディング13:二人目のヒトシ君
 CGギャラリー 32/124(69:あたらしいヒトシくん)


 シナリオ:最終話:追いかけて修一くん


 話を終えた福沢は、坂上に声をかける。
 「あ~あ、何だか喋ったら喉乾いてきちゃった。
 坂上君、こういう時は、僕が何か買ってきましょうか?って言わなくっちゃ」
 「分かりました。買いに行ってきますよ」
 福沢が言ったのを皮切りに、他の語り部も坂上に注文をしてきたので、慌てて坂上はメモをとった。
 坂上は語り部のみんなに軽くお辞儀をすると、新聞部を出て購買の近くにある自販機に向かった。
 部室を出ると、夕闇が迫っていた。
 「待ってよぉ」
 慌てて振り返ったが、声のした廊下は夕闇に飲まれ、先の方は暗くてよくわからない。
 「待ってよぉ」
 声と共に誰かが廊下の奥から誰かが近づいてくる気配がする。
 廊下の奥から現れたのは、ボロボロの髪をして、ボロボロの制服を着た女子生徒だった。
 (彼女が福沢さんが言っていた『ヒトシくん』なのか?)
 唖然とする坂上の前を彼女はそのまま通り過ぎていく。
 「ま、待ってよぉ!」
 思わず口にしてしまったその言葉は、福沢が言っていたヒトシ君に言ってはいけない言葉・・・
 「お兄ちゃん」
 誰もいないはずの背後から声が聞こえた。
 「お兄ちゃんも、僕みたいになりたいんだね?」
 (僕はこれから学園の怪異の存在となるのだろう。3人目のヒトシ君として・・・)


 最終話追加エンディング02:バッドエンディング 追いかけて修一君

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 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「ふ~ん、興味ないんだ。じゃあ、さっさと話を進めるね」


 その日、霧島は一人で図書館で調べものをしていた。
 調べものは思ったより時間がかかり、終わった頃には周囲はだいぶ薄暗くなっていた。
 霧島はなんとなく不安になりながら、昇降口へ急いだ。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 かすかに男の子が聞こえて来た。
 振り返ると、いつの間にか小柄な男の子いた。
 「まさか、ヒトシ君・・・」
 ヒトシ君は霧島に気づくことなく、そこらへんを行ったり来たりしながら、「待ってよぉ、待ってよぉ」と繰り返し言っていた。
 迷子がうろうろしているように様子に、霧島は思わず声を掛けたい衝動に駆られてしまった。
 霧島は言ってはいけない言葉は知っていたが、思わず、「ヒトシ君を待ってあげて!」と言ってしまった。
 その途端、ヒトシ君の体が何倍も大きくなり、不快な叫び声を上げた。変貌した彼の形相は、完全な妖怪のものだった。
 霧島は逃げ出そうとしたが、あっという間に追いつかれて、捕まってしまった。
 次の瞬間、何かに喰いつかれたような感触がしたが、痛みはない代わりに、大切なものを失うような苦しさに襲われて、失神してしまう・・・


 霧島の目が覚めると、そこは同じ廊下で、ヒトシ君の姿はなかった。
 これといって体に異常はなかったが、心は不安でいっぱいだった。
 「守護霊様を食べられちゃったの?」
 霧島は廊下をとぼとぼと歩き出した。
 そして、階段を下りようとすると、足元にプリントが落ちていて、霧島は足を滑らせた。
 その時は軽い怪我が済んだけど、霧島はことあるごとに大変は目に遭うようになった。
 今でもしょっちゅう事故にあったり、落とし物をしたり、失敗したり。
 そんなもんだから、不幸が移ると周囲も避けて、友達もほとんどできない。
 幸い、命に関わるような大怪我とかはないが、この先何十年と生きていく中わからない。


 「坂上君、ヒトシ君に出会ったら、絶対に例の言葉、言っちゃダメだよ」


 福沢エンディング12:不幸に恵まれて
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15


 3人目は、風間望を選択!
 風間望は3年生。
 いきなり500円を要求してくる。
  1. は?
  2. (1人目か3人目)お金、持っていないんですけれど
  3. 10円ならありますが
  4. 500円硬貨でいいですか?→岩下と福沢の話を聞いていない場合は、風間エンディング№10:五百円硬貨
  5. 日野先輩からもらってください
  6. 持っていても渡しません→風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
 
 シナリオ:呪いのコッペッパン開始!


 ここ鳴神学園には購買部があり、お昼ともなると食堂に行く金のない貧乏学生がいっせいに集まってくる。
 その時はまさに戦場で、自分が食べたいパンを買うために我先に押しかけてくる。
 もし、遅れたらコッペパンしか残っていない。安くてまずいとの評判なので、みんなコッペパだけは買うまいと必死だった。
 でも一人だけコッペパンを買う生徒がいた。山田茂吉という名前で、学園でもとびきりの貧乏人として有名だった。
 彼は、毎日購買部でコッペパンを3つづつ買っていた。


 「理由はわかるかい?」
  1. 1日3食分を買うため
  2. お昼を安上がりにするため
  3. それしか置いてないから
  4. さあ?
 「その通りだよ。本当にキミは心の底から貧乏人だったってわけだね」


 山田のクラスには久留米弘子という子がおり、彼女は貧乏人が嫌いだった。
 久留米は毎日教室の隅でコッペパンを食べている山田がとても嫌だった。貧乏そうな彼を見ているとこっちの気持ちまで貧乏になってくる。
 「もうコッペパンを食べるのをやめてくれる?」
 「どうして?コッペパンはおいしいよ」
 「私が嫌なの!恵んであげるから、食堂に行ってランチでも食べてらっしゃいな」
 「僕は貧乏じゃないよ。こんなお金いらない。僕はコッペパンが好きだから食べているんだ。それに僕は君に迷惑をかけていないだろ」
 「迷惑よ。私の生活空間に、そんな貧乏くさいものを食べている奴が入って来るだけでも嫌なの」
 「じゃあ、僕の事を視界に入れなければいいじゃないか」


 久留米は、山田がお金を受け取らなかったので余計に怒って、思い切った行動に出た。
 久留米は、購買部にあったコッペパンを全部買い占めたのだ。それも毎日続けた。
 だから山田が購買部に行っても、いつもコッペパンは売り切れ。
 大好きなコッペパンが食べられなくなり、山田は昼の教室でぼーっとしていた。
 「最近、コッペパン食べないのね」
 「ああ、いつ行っても売り切れなんだ。早めに行っても売り切れてるんだよ。最近、人気があるみたいなんだ」


 ある日の昼休み、いつものように山田がコッペパンを買えずに席でぼーっと座っていると、久留米がやって来てこう言った。
 「これ、売ってあげてもいいけど。ひとつ1万円、みっつで3万円。どう?」
 「そんな・・・」
 「あんた、貧乏じゃないって言ったじゃない。だったら払ってみなさいよ」
 「・・・」
 「貧乏人風情が粋がってんじゃないわよ!」
 山田はコッペパンが買えず、その後学校へ来なくなってしまった。
 「これで、あいつの顔を見なくてすむ。清々したわ」


 その後、山田が餓死したっていう噂が久留米の耳に飛び込んできた。
 それでも、久留米はちっとも悪気は感じなかった。山田が死んだのは貧乏だったからで、自分には責任はないと思っていた。


 その後、久留米に異変が起きた。
 ある日、彼女がお弁当を食べていると、いきなり口にしたハンバーグを吐き出した。
 「まずい!このハンバーグ、腐っているの?」
 彼女はいろんなものを口に入れたが、どれもこれも同じ味だった。そう、何を食べてもコッペパンの味だった。
 「なんでコッペパンの味しかしないのよ!まさか、あいつの呪い?」
 彼女は何を食べてもコッペパンを食べているようで、次第に食べ物を受け付けなくなって、痩せ細っていった。


 そんなある日、久留米が購買部を通りかかったら、とてもいい匂いに出会った。
 彼女は、コッペパンを買った。彼女にはコッペパンがとても芳しい匂いだと感じたのだ。
 「おいしい、コッペパンってこんなにおいしいものだったの」
 それはもう至福の美味しさだった。
 というわけで、それ以来久留米はコッペパンしか食べられなくなり、ついた渾名がヒロコッペ。


 「坂上君、君は貧乏なんだろ?さあ、胸を張って『貧乏万歳』と言いたまえ」
  1. 貧乏じゃないです→風間エンディング№04:ヒロコッペ
  2. 貧乏万歳
 「友よ!」
 そう言って、風間は坂上に抱きついてきた。
 「キミとなら真実の友になれそうだ。実はボク、貧乏なんだ。
 これからも色々と仲良くしようじゃないか。あっはっは」


 風間エンディング№05:お仲間
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15


 3人目は、風間望を選択!
 風間望は3年生。
 いきなり500円を要求してくる。
  1. は?
  2. (1人目か3人目)お金、持っていないんですけれど
  3. 10円ならありますが
  4. 500円硬貨でいいですか?→岩下と福沢の話を聞いていない場合は、風間エンディング№10:五百円硬貨
  5. 日野先輩からもらってください
  6. 持っていても渡しません→風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
 
 シナリオ:呪いのコッペッパン開始!


 ここ鳴神学園には購買部があり、お昼ともなると食堂に行く金のない貧乏学生がいっせいに集まってくる。
 その時はまさに戦場で、自分が食べたいパンを買うために我先に押しかけてくる。
 もし、遅れたらコッペパンしか残っていない。安くてまずいとの評判なので、みんなコッペパだけは買うまいと必死だった。
 でも一人だけコッペパンを買う生徒がいた。山田茂吉という名前で、学園でもとびきりの貧乏人として有名だった。
 彼は、毎日購買部でコッペパンを3つづつ買っていた。


 「理由はわかるかい?」
  1. 1日3食分を買うため→「その通りだよ。本当にキミは心の底から貧乏人だったってわけだね」
  2. お昼を安上がりにするため→「君はコッペパンが好きなのかい?なるほど、自分が貧乏だと認めたわけだ」
  3. それしか置いてないから→「貧乏人は考えが浅はかというけど、キミもそうなのか」
  4. さあ?→「会話のキャッチボールができてないじゃないか」
 山田のクラスには久留米弘子という子がおり、彼女は貧乏人が嫌いだった。
 久留米は毎日教室の隅でコッペパンを食べている山田がとても嫌だった。貧乏そうな彼を見ているとこっちの気持ちまで貧乏になってくる。
 「もうコッペパンを食べるのをやめてくれる?」
 「どうして?コッペパンはおいしいよ」
 「私が嫌なの!恵んであげるから、食堂に行ってランチでも食べてらっしゃいな」
 「僕は貧乏じゃないよ。こんなお金いらない。僕はコッペパンが好きだから食べているんだ。それに僕は君に迷惑をかけていないだろ」
 「迷惑よ。私の生活空間に、そんな貧乏くさいものを食べている奴が入って来るだけでも嫌なの」
 「じゃあ、僕の事を視界に入れなければいいじゃないか」


 久留米は、山田がお金を受け取らなかったので余計に怒って、思い切った行動に出た。
 久留米は、購買部にあったコッペパンを全部買い占めたのだ。それも毎日続けた。
 だから山田が購買部に行っても、いつもコッペパンは売り切れ。
 大好きなコッペパンが食べられなくなり、山田は昼の教室でぼーっとしていた。
 「最近、コッペパン食べないのね」
 「ああ、いつ行っても売り切れなんだ。早めに行っても売り切れてるんだよ。最近、人気があるみたいなんだ」


 ある日の昼休み、いつものように山田がコッペパンを買えずに席でぼーっと座っていると、久留米がやって来てこう言った。
 「これ、売ってあげてもいいけど。ひとつ1万円、みっつで3万円。どう?」
 「そんな・・・」
 「あんた、貧乏じゃないって言ったじゃない。だったら払ってみなさいよ」
 「・・・」
 「貧乏人風情が粋がってんじゃないわよ!」
 山田はコッペパンが買えず、その後学校へ来なくなってしまった。
 「これで、あいつの顔を見なくてすむ。清々したわ」


 その後、山田が餓死したっていう噂が久留米の耳に飛び込んできた。
 それでも、久留米はちっとも悪気は感じなかった。山田が死んだのは貧乏だったからで、自分には責任はないと思っていた。


 その後、久留米に異変が起きた。
 ある日、彼女がお弁当を食べていると、いきなり口にしたハンバーグを吐き出した。
 「まずい!このハンバーグ、腐っているの?」
 彼女はいろんなものを口に入れたが、どれもこれも同じ味だった。そう、何を食べてもコッペパンの味だった。
 「なんでコッペパンの味しかしないのよ!まさか、あいつの呪い?」
 彼女は何を食べてもコッペパンを食べているようで、次第に食べ物を受け付けなくなって、痩せ細っていった。


 そんなある日、久留米が購買部を通りかかったら、とてもいい匂いに出会った。
 彼女は、コッペパンを買った。彼女にはコッペパンがとても芳しい匂いだと感じたのだ。
 「おいしい、コッペパンってこんなにおいしいものだったの」
 それはもう至福の美味しさだった。
 というわけで、それ以来久留米はコッペパンしか食べられなくなり、ついた渾名がヒロコッペ。


 「坂上君、君は貧乏なんだろ?さあ、胸を張って『貧乏万歳』と言いたまえ」
  1. 貧乏じゃないです
  2. 貧乏万歳
 「君、まだこんなこと言うの?」
 坂上は、風間とこれ以上話をしても無駄だと思ったし、この話を壁新聞に載せてもいいものかどうかと思い始める・・・


 風間エンディング№04:ヒロッペ
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 答えたくありません
  3. 美人が多いからです
  4. 教師陣がすぐれているからです
  5. 友達を作りたかったからです→シナリオ:ゲーマーの条件
 「確かに鳴神学園はマンモス校ですから、女子生徒の数も一般の高校よりは多いでしょう。それに男女の比率はだいたい一緒。
 校風として生徒の交友に学校は口を挟んだりしませんから、カップル成立もそこそこ高い。そう踏まえれば、そこから恋人を探すために学園に入学する生徒がいてもおかしくはありませんね。
 では、あなたには恋人同士に起きた話をしましょう」


 シナリオ:呪いのヒトガタ


 荒井が1年生の時、同じクラスに門倉陽司と弘前歩美という一組のカップルがいた。
 彼らは新学期早々、周囲に恋人宣言をすると、人目をはばからずいちゃいちゃしだした。
 彼らは授業中でも構わずおしゃべりをし、休み時間ともなればずっとべったりくっついていた。


 「坂上君、あなたはこんな人たちをどう思いますか?」
  1. 鬱陶しい→「僕も本当に同感です」
  2. 羨ましい→「あなたもそういう人種なのですか?」
  3. 仲を裂いてやりたい→「あなたも随分と子供っぽいところがおありなのですね」


 2人の様子を見かねて注意する教師も多かったが、門倉たちは聞く耳を持たなかった。
 中には2人の勉強の遅れを心配して、真剣に話をしようとしていた先生もいた。それはクラスの担任の塚本明だった。
 しかし、2人は、塚本が独身だから妬いている、と馬鹿にして相手にしなかった。
 塚本先生は責任感溢れる教師だったので、2人と話しても埒が明かないと考え、ある日彼らの保護者を学校へ呼び出して話し合いをした。
 門倉と弘前の両親は学校での2人の姿を知り、2人を叱りつけた。
 そして、門倉と弘前は、罰として成績が元に戻るまでは、学校内での交際を禁じられた。
 2人は校内ではべたべたすることはなくなったが、放課後人目を盗んで、塚本先生に仕返しする方法を考えていた。


 「それは何だと思いますか?」
  1. 罠に嵌める→荒井エンディング№15:呪いのヒトガタ
  2. 呪いをかける
  3. わからない→荒井エンディング№15:呪いのヒトガタ
 「彼らはもっと直接的な方法で、先生を懲らしめようとしたのです。
 自分たちが学校内で問題を起こせば、担任の塚本先生が責任を問われて困ることになるのではないか、と」


 弘前は、塚本先生を困らせるため、学校に立てこもろう、と門倉に持ち掛けて、二人で旧校舎へ向かった。
 薄暗い階段の突き当りには、人が一人通れるぐらいの鉄の扉があり、弘前が蹴るとゆっくりと開いた。
 弘前は、鞄から懐中電灯とロウソクを取り出して言った。
 「お菓子もジュースもあるよ!さあ、入ろう」
 ロウソクの明かりに照らされて、室内の様子が明らかとなった。6畳ほどの空間で、窓がないせいか、息が詰まるような閉塞感と、かび臭い饐えたような匂いに、門倉は思わず鼻を覆ったが、弘前は非日常的な体験に興奮しているのか、目をキラキラと輝かせて室内と探索していた。
 「ねえ、見て見て!この染み、なんか血に見えない?」
 剥き出しのコンクリートには、所々に染みがこびり付いていたが、その中の一つが妙に弘前の気を引いたようだ。
 門倉は弘前の肩越しにその染みを覗き込んだが、そんなことはもうどうでも良かった。
 門倉は後ろから弘前の体に手を回すと、強く抱きしめ、首筋に唇を付けた。
 「ロウソク、そこに置けよ」
 「うん」
 炎が揺れて、二人の重なり合う影が壁に長く伸びたその時、門倉の体の下で、弘前が悲鳴を上げた。
 「ひぃ、いやぁ、やめて!殺さないで」
 「おい、歩美!」
 「お願い、いやぁ、やめて!!!」


 その夜、二人はそろって帰宅しなかった。
 翌日、捜索願が出されて、学校の先生たちも校内を探したが、旧校舎の鉄の扉の存在にはなかなか気づかなかった。
 二人が発見されたのは、行方不明となってから1週間以上経ってのことだった。
 見つかった時には、二人とも腐乱が進み、ネズミに食い荒らされて酷い状態だった。二人の死因は窒息死で、お互いの首を絞めて殺し合ったそうだ。


 「そうそう、僕と意見の合う坂上君には、いいことを教えてあげましょう。
 旧校舎の地下室ですが、あそこでは昔、陰湿な犯罪が行われていたことがあるんです。
 昔はこの学園も管理体制が甘く、旧校舎に住み着く不埒な輩も多かったそうです。その中にいたんですよ、殺人鬼が。
 その男は夜道で女性を拉致しては、旧校舎の地下室に連れ込んで、乱暴していたそうです。行為の最後には必ず首を絞めて、苦しみながら死んでいく様子を楽しんでいたようですよ」


 荒井エンディング№14:地下室の呪い
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 答えたくありません
  3. 美人が多いからです
  4. 教師陣がすぐれているからです
  5. 友達を作りたかったからです→シナリオ:ゲーマーの条件
 「確かに鳴神学園はマンモス校ですから、女子生徒の数も一般の高校よりは多いでしょう。それに男女の比率はだいたい一緒。
 校風として生徒の交友に学校は口を挟んだりしませんから、カップル成立もそこそこ高い。そう踏まえれば、そこから恋人を探すために学園に入学する生徒がいてもおかしくはありませんね。
 では、あなたには恋人同士に起きた話をしましょう」


 シナリオ:呪いのヒトガタ


 荒井が1年生の時、同じクラスに門倉陽司と弘前歩美という一組のカップルがいた。
 彼らは新学期早々、周囲に恋人宣言をすると、人目をはばからずいちゃいちゃしだした。
 彼らは授業中でも構わずおしゃべりをし、休み時間ともなればずっとべったりくっついていた。


 「坂上君、あなたはこんな人たちをどう思いますか?」
  1. 鬱陶しい
  2. 羨ましい
  3. 仲を裂いてやりたい
 「僕も本当に同感です」


 2人の様子を見かねて注意する教師も多かったが、門倉たちは聞く耳を持たなかった。
 中には2人の勉強の遅れを心配して、真剣に話をしようとしていた先生もいた。それはクラスの担任の塚本明だった。
 しかし、2人は、塚本が独身だから妬いている、と馬鹿にして相手にしなかった。
 塚本先生は責任感溢れる教師だったので、2人と話しても埒が明かないと考え、ある日彼らの保護者を学校へ呼び出して話し合いをした。
 門倉と弘前の両親は学校での2人の姿を知り、2人を叱りつけた。
 そして、門倉と弘前は、罰として成績が元に戻るまでは、学校内での交際を禁じられた。
 2人は校内ではべたべたすることはなくなったが、放課後人目を盗んで、塚本先生に仕返しする方法を考えていた。


 「それは何だと思いますか?」
  1. 罠に嵌める
  2. 呪いをかける
  3. わからない
 「残念ながら、普段から深く考えることの苦手な2人ですから、罠に嵌めるなんて高等なマネができるわけありません。
 そうですね、僕だったら先生の荷物に盗品を忍び込ませて窃盗の疑いをかけるとか、生徒への破廉恥行為をでっち上げるとか色々と策は思いつくのですが」


 彼らは一番単純な方法である呪いをかけることにした。
 弘前がたまたま買った雑誌におもしろそうな記事が書かれていたのだ。
 それは、紙で人型を作って、そこに陥れたい相手の名前を書き込むという呪いだった。
 2人は簡単そうだという理由でこれを選んで、相談を始めた。
 雑誌には紙のことは詳しく書かれていなかったが、弘前は効果がありそうだと思い、近所の神社からパクって来た紙垂を取り出した。
 紙垂とは、神社の注連縄についているジグザグした形の白い紙のことだ。
 2人は雑誌のイラストの通りに紙を切り抜いて、真ん中に『塚本明』と先生の名前を書いた。
 そして、門倉はぐしゃぐしゃと丸めて窓から投げ捨てた。


 その翌日、窓の下で門倉と弘前の墜落死体が発見された。
 2人の死体は体中のあちこちが不自然な方向に捩じれ、まるで大きな手で潰された肉団子のようになっていた。


 「そういえば、呪いの藁人形は、内部に呪う相手の体を封じ込めるんでしたね。この場合は、お二人の指紋や手の汗が呪いの向かう矛先になったということは、考えられないでしょうか。
 そうそう、あの紙垂は神社のご神木に張られた注連縄から、弘前さんが黙って拝借したものだったようです。
 彼女は知らなかったようですが、そのご神木は昔、丑の刻参りの名所として有名だったそうですよ。いひひひ」


 荒井エンディング№15:呪いのヒトガタ
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい→新堂エンディング№11:奇妙なつながり新堂エンディング№12:願いの代償新堂エンディング№13:神頼み
  2. 入りたくない
 「そんな前置きを聞いたら、入りたいなんて思うわけないって?正直な奴だな、気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 健二はここ最近、空手の技を受けても全然痛くないし、どんな訓練をしても、まったく苦しくなかった。だから、何度でも立ち向かっていけるし、どんな苦しい訓練にも耐えられた。
 そして、自分がなぜ、こんな風になったのかを考えた時、あの神棚のことを思い出した。
 「俺が願掛けしたから?」
 神様が俺の願いを聞いてくれたんだ。健二は神様に応援されているような気がして、さらに鍛錬に励んだ。
 不思議なことに、痛みや不快な気持ちといったものは、ここ最近めっきりと感じなくなっていた。


 ある日のこと、兄弟で組み手をすることになった。
 そして組手が始まった時、悲劇が怒った。
 組手中、健二の放った蹴りが頭に命中し、健一は意識不明になった。
 その後、意識は戻ったが「頭が痛い」と苦しみながら息を引き取った。
 死因は、頭部骨折と頭蓋内出血だった。
 普通の人間だったら、自分が原因で人が死んだなら、ショックを受けるはずだが、健二は兄を自分の手にかけてしまったのに、何も感じなかった。
 そう、弟は全ての痛みを感じなくなっていた。物理的な衝撃の痛みだけでなく、心の痛みまでも・・・


 「坂上、全ての痛みから解放された弟は、その後も強くなったと思うか?」
  1. 強くなった→新堂エンディング№14:生と死を分かつもの
  2. 弱くなった→「そうか、確かに痛みを感じなければ、恐怖も感じない。痛みに怯えることなく、相手に立ち向かっていけることは、強いことかもしれねえ。
     でもよ、痛みは人を弱くもすれば、強くもする。俺は人間が強くなるには、痛みは必要不可欠な要素だと思うぜ。
     痛みがあるからこそ、そこから人間は這い上がれる。痛みから逃れるために、足掻くんだ」
  3. わからない→「わからないなら、教えてやるぜ」
 痛みがないということは恐怖もない。恐怖という足枷のなくなった健二はどんどん強くなっていった。
 けれど手加減を知らないものだから、兄の後も何人も病院送りにした挙句、また人を殺してしまった。
 さすがに二度目は学校もかばい切れず退学になり、そのまま少年院行き。
 風の噂によると、今は闇社会で凄腕ノボディガードとして活躍してるそうだ。


 「坂上、強くなるってことは何かを犠牲にすることだ。犠牲なしに強くなることは出来ねぇもんだ。
 かくゆう俺だって・・・おっと、なんでもねぇ。
 坂上、お前も頼んでみるか?なんでも強くなりたい強く思う奴の前にその神棚は現れるそうだぜ。お前も強くなりたいと思ったら空手部に行ってみるといい。きっとお前の望みを叶えてくれるはずだぜ、ふふふ」
 (痛みを感じない。
 確かに痛みを感じなければ人は強くなるかもれしれない。けれどそれは人間と言えるのだろうか。
 人は人の痛みがわかるからこそ、相手を大事にしたり、わかりあえるんじゃないのかな)


 新堂エンディング№15:痛みを感じない男
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい→新堂エンディング№11:奇妙なつながり新堂エンディング№12:願いの代償新堂エンディング№13:神頼み
  2. 入りたくない
 「そんな前置きを聞いたら、入りたいなんて思うわけないって?正直な奴だな、気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 健二はここ最近、空手の技を受けても全然痛くないし、どんな訓練をしても、まったく苦しくなかった。だから、何度でも立ち向かっていけるし、どんな苦しい訓練にも耐えられた。
 そして、自分がなぜ、こんな風になったのかを考えた時、あの神棚のことを思い出した。
 「俺が願掛けしたから?」
 神様が俺の願いを聞いてくれたんだ。健二は神様に応援されているような気がして、さらに鍛錬に励んだ。
 不思議なことに、痛みや不快な気持ちといったものは、ここ最近めっきりと感じなくなっていた。


 ある日のこと、兄弟で組み手をすることになった。
 そして組手が始まった時、悲劇が怒った。
 組手中、健二の放った蹴りが頭に命中し、健一は意識不明になった。
 その後、意識は戻ったが「頭が痛い」と苦しみながら息を引き取った。
 死因は、頭部骨折と頭蓋内出血だった。
 普通の人間だったら、自分が原因で人が死んだなら、ショックを受けるはずだが、健二は兄を自分の手にかけてしまったのに、何も感じなかった。
 そう、弟は全ての痛みを感じなくなっていた。物理的な衝撃の痛みだけでなく、心の痛みまでも・・・


 「坂上、全ての痛みから解放された弟は、その後も強くなったと思うか?」
  1. 強くなった
  2. 弱くなった
  3. わからない
 「そうか、確かに痛みを感じなければ、恐怖も感じない。痛みに怯えることなく、相手に立ち向かっていけることは、強いことからしれねえ。
 でもよ、痛みは人を弱くもすれば、強くもする。俺は人間が強くなるには、痛みは必要不可欠な要素だと思うぜ。
 痛みがあるからこそ、そこから人間は這い上がれる。痛みから逃れるために、足掻くんだ」


 痛みを感じない弊害は、すぐに現れた。
 沸かし過ぎて熱湯に近い湯に平然と健二は入り、あわや全身大火傷になるところで、言変に気付いた母親に助け出された。
 普段の鍛錬の時もそうだ。いくら走り込みをしても苦しさは感じないし、身体を酷使しても痛みを感じない。それをいいことに連日連夜ハードなトレーニングをした体は、すでに限界だった。
 ある日、練習中に健二は突然倒れ、そのまま息を引き取った。心臓麻痺だった。


 それ以来、空手部の道場に健二の霊が出るようになった。
 痛みを感じない故に生きているのか死んでいるのかもわからず彷徨う、悲しい男の亡霊が・・・


 「坂上、強さって何だろうな。
 肉体的な強さ、精神的な強さ、いろいろあるだろうよ。
 さっきも言ったが、俺はそのどちらも強くするためには痛みが必要だと思う。痛みがあるからこそ、人は強くなれる。俺はそう思うぜ」


 新堂エンディング№14:生と死を分かつもの
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 たった1か月で3年生でも勝てなくなり、健一も負かされっぱなしになった。
 健一は、このままでは兄のメンツが立たないと、弟の強さの秘密を探ろう必死だった。
 そして、いつか健二が話した神棚のことを思い出した。
 それから、健一は毎日遅くまで道場に残って、あの神棚が現れないか待った。でも、一向に神棚は現れなかった。
 張り込みを始めて1週間め、健一の背後から生暖かい風が吹いた気がして、振り返ると今まで見たこともない小汚い神棚が飾ってあることに気づいた。


 「坂上、お前は神頼みして、本当に強くなるなんて思うか?」
  1. 強くなると思う→新堂エンディング№12:願いの代償
  2. 変わらないと思う
 健一は、あの神棚が健二のパワーの源みたいに思えて、急にムカムカと怒りが込み上げてきた。
 そして、近くにあったほうきの柄で神棚をめちゃくちゃに壊した。
 しばらくすると、めちゃくちゃに壊れた神棚は、すーっと透明になってかき消えてしまった。


 しばらくすると、健二は弱くなったというか、奇行が目立つようになった。
 何もない壁を指さして「神棚が見える」なんて言い出すようになり、何かにひどく怯えるようになった。当然、部活は続けられなくなり、入院を余儀なくされた。
 病院でも健二はうわ言のように、こう呟いていた。
 「神棚があるよ。扉の隙間から何かが俺を見つめてるんだ。見るな!見るな!!!!」
 健一は、健二が暴れる理由がわかっていた。神棚を壊したからだ。


 何日かして、健一が健二の見舞いに病室へ行くと、健二は何か恐ろしいものを見たかのような引きつった表情のまま死んでいた。
 多分、健二は神棚の扉から出てきた何かを見てしまったのだろう。
 その時、生暖かい風が吹いたので、健一が恐る恐る振り返ると、病室の壁に神棚が飾られていた。そして、神棚の扉がゆっくりと開き始めた。
 見たら死ぬ、と直感がそう告げていたが、健一は動けなかった。
 扉が完全に開く寸前、健一は、自分の手で、自分の目をくり抜いた。
 この考えは正解で、あれ以来、健一の前に神棚は現れなくなって助かったが、永遠に暗闇の世界の住人になってしまった。


 「神棚を壊さなけれは、こんなことにならなかったと思うぜ。
 まあ、下手な神頼みなんてするもんじゃねえ」


 新堂エンディング№13:神頼み
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 たった1か月で3年生でも勝てなくなり、健一も負かされっぱなしになった。
 健一は、このままでは兄のメンツが立たないと、弟の強さの秘密を探ろう必死だった。
 そして、いつか健二が話した神棚のことを思い出した。
 それから、健一は毎日遅くまで道場に残って、あの神棚が現れないか待った。でも、一向に神棚は現れなかった。
 張り込みを始めて1週間め、健一の背後から生暖かい風が吹いた気がして、振り返ると今まで見たこともない小汚い神棚が飾ってあることに気づいた。


 「坂上、お前は神頼みして、本当に強くなるなんて思うか?」
  1. 強くなると思う
  2. 変わらないと思う
 「強くなりたい、強くなりたいんです!なんでもしますから」
 健一は神棚に向かって一心不乱に拝んだ。
 その時、どこからか強い風が吹いて、神棚の扉が開いて、また閉まった。
 「その願い、聞き入れた」
 健一の耳元で何者かが囁いたが、振り返っても誰もいない。
 願いを聞き届けてもらった、と健一は喜び勇んで家に帰った。


 「兄の方はその後、弟と同じように強くなったと思うか?」
  1. 強くなった
  2. 変わらなかった
 健一は健二以上に強くなった。
 あの神棚に神頼みして以来、健一はさらに強くなった。健二を含め空手部の誰も健一に勝てなかった。
 けれど異変はすぐに訪れた。健一は強くなるほど、どんどん痩せ細って行った。1か月もしないうちに、がっしりとした体型は、針金のようにやせ細ってしまった。
 でも、健一は部活を休まず、前以上に貪欲に対戦相手を求めるようになった。
 「なあ、兄貴、病院に行った方がいいよ。何かの病気なんじゃないか?」
 「健二、そんなこと言って、俺が強くなったのが悔しいんだろ?俺は絶対部活を休まないからな!死んでもだ!」
 そして、健一は練習中に、突然血を吐いて死んでしまった。


 新堂は、健一が死んだのは神棚に「なんでもするから強くなりたい」と神頼みしたせいだと思う、と話した。
 そして、同じように神頼みした健二が無事だったのは、神棚を掃除したからだろう、願いを叶えるにはそれ相応の見返りが必要だ、と。


 新堂エンディング№12:願いの代償
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体
  2. 何事にも動じない心
 健二は、いつか見返してやるために空手部の練習に耐えた。


 空手部は夏休みに恒例の合宿があるが、健二にとって本当の意味での地獄の特訓となった。
 「健二、さっさと起きろ」
 「先輩、もう無理っす。ちょっと休ませてくださいよ」
 「ちったぁ兄貴を見習わんかい!」
 「比べないでくれよ!」
 「あんだぁ!その口の聞き方は!」
 「すいません。後は俺が面倒を見ます」
 健一が割って入った。
 「健一、甘やかしたって、こいつのためにならんぞ」
 「はい、わかっています」
 弟が地獄の合宿にいられたのは兄のおかげだったが、そんな兄の態度が、余計弟には面白くなかった。


 合宿最後の日、みんなはへばっていた。
 兄は最後尾の弟の横について励ましていた。
 ロードワークも終わりに近づいたころ、前をよく見ていなかった兄弟たちは車の接近に気づかず、車に撥ねられてしまった。
 健一がとっさに健二をかばったので、健二のほうは奇跡的に軽傷で済み数週間で学校に戻って来たが、健一は意識不明のままだった。


 部活に戻った健二は、3年と組み手を始めたが、すべて勝ってしまった。
 それまで練習をさぼりがちな健二が急に強くなり、みんなは驚いた。
 そして、強くなった健二は、大会の選手に選ばれた。
 準決勝で相手の蹴りが健二の胸部に炸裂し、みんながアバラをやったと思われたが、健二は平然とした顔で相手を倒してしまった。
 試合後、健二の身体を見ると傷一つついてなかった。
 「俺は、無敵ですから」
 そして、健二は優勝した。


 大会で優勝した後、健二は、未だ意識が戻らない健一の病室を訪れて、大会の報告をした。
 そこへ健一の主治医がやってきた。
 「お兄さんの容体が良くないんだ。動けるはずないのに、見るたびに体中に怪我をしてるんだ。今日の昼も気が付いたら、胸に大怪我をしているんだ。健二君、何か心当たりはないかい?」
 「いや、別に・・・」


 健二は、自分がどんなに怪我を負っても痛みを感じず、代わりに健一の身体に傷ができることに気づいていた。
 自分の怪我を健一が負っているというのが、健二が無敵である理由だった。
 「すまねえな、兄貴。強いっていいもんだな。やっぱ練習じゃねえよ、素質だ。
 これからも頼むぜ」


 健二が快進撃を続けていたある日、健一の見舞いに行くと、主治医と両親が話し込んでいた。
 「脳死・・・これ以上は・・・」
 「そんな、これ以上費用は・・・」
 「延命かそれとも・・・」
 筋肉馬鹿の健二には内容がほとんどわからなかったが、あまり良い雰囲気ではないことに声の調子などで気づいたので、病室には入らず後にした。


 次の大会の決勝戦で、健二は突然、息苦しさに襲われて、倒れた。
 そして、そのまま死んでしまった。
 心臓発作ということになったが、真相は闇の中だ。
 後からわかったことだが、同じ時刻、病室では健一の生命維持装置の停止ボタンが押されていた。つまり、弟は兄の苦しみを代わりに受けたのだ。
 結局、兄弟は二人とも死んでしまった。


 新堂エンディング№11:奇妙なつながり
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ:包帯の女へ!


 6人の話が終わったが、まだ7人目は現れない。
 語り手たちは次々を部室を出て行き、残ったのは細田だけだった。
 「坂上君は帰らないの?」
 「僕はまだ片付けがありますから」
 「ね、一緒に帰ろう」と言って、細田は坂上に顔を近づけた。
 「やめてください。僕、一人で帰れますから」
 「・・・じゃあ僕は帰るよ」
 「はい」
 細田も部室を出て行き、坂上は独りで部室を片付け始めたが、机の端にあったコーラのペットボトルを倒してしまい、床にコーラをこぼしてしまった。
 その時、坂上の耳に何か濡れた重い何かをひきずる音が聞こえてきた。それは、この新聞部に近づいてきていた。
 そして、坂上の背後に少女が立っていた。
 「遅れてきてごめんなさい。私が7人目です。話してもいいですか?」
 急に現れた少女を見て失禁しそうになってた坂上はただうなずくしかなかった。
 少女はうちの学校の制服を着ていたが、顔に包帯を巻きつけていた。
 包帯の隙間から見える少女の瞳は、吸い込まれそうなくらい綺麗だった。
 坂上は、もしかして彼女は美人かもしれないと思った。
 「あの、これ、良かったら、ズボン、濡れてますよ」
 「すみません」
 こぼしたコーラで坂上のスボンは濡れており、坂上はありがたく彼女のハンカチを受け取り、ズボンを拭いた。
 「床の拭かないと」と言って、少女は雑巾で床を拭き始めた。
 その姿を見て、坂上は、いい子じゃないか、と思い始めた。
 「ハンカチ、ありがと・・・」と言いかけて坂上は、ハンカチが赤黒く染まっていることに気づいた。
 さっきは気づかなかったが、スボンを拭いた時、面を変えたのだ。
 少女は、ハンカチを奪うとスカートのポケットにねじ込んだ。
 「ごめんなさい、ごめんなさい。全部話しますから。聞いて下さい。お願いします」
 可哀そうに思った坂上は、思わず「聞きますから」と答えた。
 「はい、これから話すのは私の話です。あなたにどうしても聞いてもらいたい話なんです」


 少女は二目と見られない顔のため包帯を巻いて生活している。
 包帯を巻くようになった原因は火傷だった。
 少女が5才のころ、祖母の家にあった反射式ストーブに兄がぶつかり、ストーブにかけていたやかんのお湯が昼寝をしていた少女の顔にかかったのだ。
 すぐに皮膚移植の話が出て、当時7歳だった兄が責任を感じて、自分の皮膚を使ってほしい、と言い出し、兄の皮膚が少女に移植されることになった。
 少女の顔は綺麗になり幼稚園に通うようになったある日、顔に緑色のシミができて、こするとポロっと取れてしまった。皮膚がとれた後がとてもかゆかったので、かきむしっていたら手が血まみれになっていた。ふと、鏡に映った自分の顔を見ると、皮膚がはがれて肉が剥き出しの真っ赤な筋の上に、緑色のカビがびっしりと生えていた。
 拒絶反応が起こり、兄の皮膚との間に隙間ができ、そこにカビが入って繁殖したとのこと。
 植皮が怖くなった少女は、植皮を受けないで包帯をまいてすごす人生が始まった。


 幼稚園で、包帯を巻いた少女はいじめられるようになってしまった。
 少女はいつも馬乗りで下の役ばかりさせらるようになり、リーダー格の子の下敷きになっていた。
 ある日、リーダー格の子に顔の包帯を解かれてしまい、化け物のような顔を見られてしまった。
 みんなは少女の恐ろしい顔を見て泣き出したが、リーダー格の子だけはそれを見てよだれを垂らしながら笑っており、少女の顔を見せびらかすように連れて歩いた。
 その結果、少女は幼稚園を変わることになったが、新しい幼稚園に行くことはなかった。
 少女の兄は、自分が守ってやればこんなことにならなかった、とすべてを背負いこんでしまった。
 けれど、少女のことが原因で両親は離婚してしまい、兄は跡取りとして父に引きとられ、少女は母に引き取られた。


 小学校に上がった少女はクラスに受け入れられたが、上級生から蹴られるなどのいじめを受け、転校することになった。しかし、お金がなく引っ越しできなかったため、近くの学校に行くことになった。
 二つ目の小学校に転校したが、すでにグループができていたので少女は独りで過ごしていた。
 ある日、太った少年に男子トイレの個室に押し込まれて、「僕達友達だよね。だから、一緒にいじめられてくれるよね」と言われてしまう。
 少女はいじめられることよりも、太った子に付きまとわれる方が嫌で、また転校した。


 3つ目の学校は少し遠くにあったので、毎日、少女は母親に車で送り迎えしてもらっていた。そのせいで、学校に行きたくない、と言える雰囲気ではなかった。
 その学校では、2年間もの間、少女はとある上級生から観察され続けていた。
 そして、小学校3年生の時、ついに上級生から「包帯を取った顔を見てみたい」と話しかけられたが、少女は断った。
 すると上級生は催涙スプレーを少女の顔に吹き付け、包帯を取った。
 少女の顔が見られた上級生は喜び、少女の顔に爪を立てて、頬の肉をそぎ落とした。
 彼は皮膚のない顔の肉が欲しくて、2年間も観察していたのだった。
 そして、少女はまた学校に行けなくなった。


 1年ほど経ってまた転校したが、その学校は少人数クラスの進学校だった。
 少女は頭だけは良かったので、奇跡的にその学校に通うことができた。
 表面上では少女に対してのいじめはなかったが、とある男子生徒にだけ、「偽善者ぶるのに疲れた」と言われ、ストレスのはけ口としていじめられた。
 少女は学校に行けなくなり、体がだるい、と言って卒業まで欠席した。


 そして、少女が中学生になり、入学式のあとに女子の先輩から「美術部に入らない?私一人しかいないの」と誘われた。
 先輩は、「あなたがどうして包帯をしてるかなんて興味ないの。あなたはとてもきれいで、頭がいいわ。私はそんな子が好きなの。だから私を裏切らないで。毎日ここでお話しましょう」と言ってくれた。
 けれど少女は風邪をひいて学校を1日休んでしまった。
 翌日の放課後、美術部の部室に行くと、先輩は「あなたも私を裏切ったのね」と言ってカッターを振りかざして来た。
 それ以来少女は学校へ行けなくなった。
 そして、受験した高校には合格したので、籍はあるが通っていないとのこと。


 自分をいじめていた奴のことが夢にまで出てきて、忘れることができず、少女は自殺を考えるようになったが、母親のことを思うと実行できずにいた。
 そんなある日、兄が尋ねてきた。
 同じ高校に通っており、名簿を見て、様子を窺いにきたのだ。
 少女は、今までのことを兄に打ち明けると、兄は鬼のような形相になった。
 そして、昨日、兄は復讐計画を少女に打ち明けた。
 「学校新聞で学校の七不思議の特集することにした。そこで会を開き、6人に怖い話をさせる。そして7人目に俺が登場して、お前の話をして怖がらせてから、殺す。お前はそれを見届けるんだ」


 7人目の日野先輩はまだ現れない。
 「私にひどい目を合わせた6人。
 馬乗りになった福沢玲子。
 理不尽に蹴りつけた新堂誠。
 トイレに押し込んだ細田友晴。
 頬の肉を削いだ荒井昭二。
 偽善者ぶるのに疲れた風間望。
 裏切られたとカッターを振りかざした岩下明美。
 そして、私への罪悪感に狂った、私の兄、日野貞夫。
 あなたは復讐のための先導役だったんです」
 「日野先輩はまだ現れてはいない。冗談だよね?」
 「裏庭で兄と打ち合わせをしました。兄を止める最後のチャンスだったんです。
 気絶させるつもりで、落ちていたレンガを手に取り、兄の頭に振り下ろしました。頭が割れて、血を吹いて兄は死んでしまいました。
 ハンカチで手を拭いて・・だから血が付いていたんです」
 「大体どうして僕に話すんだ。話すんだったら警察に行けばいい!!!」
 「私たちの父親は国家の中枢部と関与している人間です。私と兄の事件をもみ消す力があるんです。だから、あなたに、私のことを学校新聞に書いてほしいんです。真実を!」
 「そんな、嘘だよ」
 「それなら扉の外を見てください。連れてきたんです、兄を」


 坂上が廊下を覗き込むと、血まみれの黒い塊があった。
 少女は言った。
 「私思うんです。本当に怖いのは幽霊なんかじゃない。
 人の恐怖を笑う、理不尽に人を殴る、人を道連れにする、人で自分の好奇心を満たす、人を不満のはけ口にする、人を自分の道理に押し込める、人のためにしか生きられない、そんなことを平気でしてしまう、そんな人間の方がよっぽど怖いって。
 私はきっと、そんな狂気を呼び起こさせるものを持っているんですね。
 それでなくても、あんなに大切な兄を」
 彼女はゆっくりと歩き、窓の前に立って、窓を開けた。
 「お母さん、悲しむかなぁ」
 彼女は坂上の方を見て、包帯に手をかけた。
 「坂上君、巻き込んでしまって、本当にごめんさない」
 腐ったような肉の筋、削ぎ落された頬は確かに抉れている。
  1. 彼女をまっすぐ見る→特殊エンディング№38:包帯の断罪者
  2. 叫ぶ
 「うわああああ」
 あまりのおぞましさに坂上は叫んでしまった。
 逃げないと殺される。
 「やっぱり怖がるんだね」
 「来るな、来るな!!!」
 「悔しい・・・私だって普通の人間なんだよ」
 「お前は人間なんかじゃない!化け物だよ」
 「・・・あなたもそうなんだ」
 化け物はそう呟くとパイプ椅子を振り上げて、坂上に振り下ろした。
 (痛い)
 坂上の意識が一瞬朦朧とした。
 「皮膚が付いているくらいで何偉そうにしてるの?」
 ガラスの割れる音がした。
 彼女は坂上の上に乗って、ガラス片を坂上の頬に押し当てた。
 そして、皮膚を引っ張り削ぎ落していった。
 「きったない皮膚。こんなの付けているから調子に乗るのよ。
 ねえ、聞いてるの?人の話はちゃんと目を見て聞きなさいって習わなかった?
 ああ、目がいらないのか」
 坂上の左目に激痛が走った。彼女がガラス片を左目に突き立てたのだ。そして、さらに奥まで突っ込み、抉る。
 坂上は絶叫した。
 「うるさいなぁ。目、要るの?」
 坂上は必死に頷いた。
 「違うなぁ。残していただけませんか、でしょう」
 「の、残して、いただけませんか・・・」
 「嫌」
 彼女は眼球に指を突っ込んだ。
 思わず開いた坂上の口に、彼女は腕を突っ込んだので、坂上は戻してしまった。
 「きったない。殺されたいの?」
 坂上は首を横に振った。
 「今、あんたの喉に毒を塗った。お兄ちゃんが私にくれたの。
 3時間後にあんたも死ぬよ。吐いても無駄だから」
 「し、死にたくありません・・・どうか、助けていただけませんか・・・」
 「よくできました。だったら、3時間以内にあの6人の首をここへ持って来なさい。そしたら解毒してあげる。
 6人を説得して私を殺そうとしても無駄だから。そんなことしたらあなたもろとも6人全員を殺す。
 逃げてもいいけど、解毒できる病院、この近くにあるかな?
 ほら、さっさと行かないと、時間なくなるよ。首切るのってきっと大変よ」
 彼女は、血まみれになった坂上の顔に包帯を巻いてくれた。
 そして、6人に家を記した地図を渡した。


 激痛に耐えながら廊下に出た坂上は、日野だった塊を見つけた。
 彼もまた彼女の狂気に魅せられた者の一人だ。
 彼女は虐げる側の人間だ。その資格がある。素質がある。
 僕がそれを開花させた。その喜びに坂上は打ち震えていた。
 (だから僕は抗わない。彼女の仰せの通り、6人の首を持ってくる。それが彼女への崇拝の証)


 特殊エンディング№39:崇拝の証
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ:包帯の女へ!


 6人の話が終わったが、まだ7人目は現れない。
 語り手たちは次々を部室を出て行き、残ったのは細田だけだった。
 「坂上君は帰らないの?」
 「僕はまだ片付けがありますから」
 「ね、一緒に帰ろう」と言って、細田は坂上に顔を近づけた。
 「やめてください。僕、一人で帰れますから」
 「・・・じゃあ僕は帰るよ」
 「はい」
 細田も部室を出て行き、坂上は独りで部室を片付け始めたが、机の端にあったコーラのペットボトルを倒してしまい、床にコーラをこぼしてしまった。
 その時、坂上の耳に何か濡れた重い何かをひきずる音が聞こえてきた。それは、この新聞部に近づいてきていた。
 そして、坂上の背後に少女が立っていた。
 「遅れてきてごめんなさい。私が7人目です。話してもいいですか?」
 急に現れた少女を見て失禁しそうになってた坂上はただうなずくしかなかった。
 少女はうちの学校の制服を着ていたが、顔に包帯を巻きつけていた。
 包帯の隙間から見える少女の瞳は、吸い込まれそうなくらい綺麗だった。
 坂上は、もしかして彼女は美人かもしれないと思った。
 「あの、これ、良かったら、ズボン、濡れてますよ」
 「すみません」
 こぼしたコーラで坂上のスボンは濡れており、坂上はありがたく彼女のハンカチを受け取り、ズボンを拭いた。
 「床の拭かないと」と言って、少女は雑巾で床を拭き始めた。
 その姿を見て、坂上は、いい子じゃないか、と思い始めた。
 「ハンカチ、ありがと・・・」と言いかけて坂上は、ハンカチが赤黒く染まっていることに気づいた。
 さっきは気づかなかったが、スボンを拭いた時、面を変えたのだ。
 少女は、ハンカチを奪うとスカートのポケットにねじ込んだ。
 「ごめんなさい、ごめんなさい。全部話しますから。聞いて下さい。お願いします」
 可哀そうに思った坂上は、思わず「聞きますから」と答えた。
 「はい、これから話すのは私の話です。あなたにどうしても聞いてもらいたい話なんです」


 少女は二目と見られない顔のため包帯を巻いて生活している。
 包帯を巻くようになった原因は火傷だった。
 少女が5才のころ、祖母の家にあった反射式ストーブに兄がぶつかり、ストーブにかけていたやかんのお湯が昼寝をしていた少女の顔にかかったのだ。
 すぐに皮膚移植の話が出て、当時7歳だった兄が責任を感じて、自分の皮膚を使ってほしい、と言い出し、兄の皮膚が少女に移植されることになった。
 少女の顔は綺麗になり幼稚園に通うようになったある日、顔に緑色のシミができて、こするとポロっと取れてしまった。皮膚がとれた後がとてもかゆかったので、かきむしっていたら手が血まみれになっていた。ふと、鏡に映った自分の顔を見ると、皮膚がはがれて肉が剥き出しの真っ赤な筋の上に、緑色のカビがびっしりと生えていた。
 拒絶反応が起こり、兄の皮膚との間に隙間ができ、そこにカビが入って繁殖したとのこと。
 植皮が怖くなった少女は、植皮を受けないで包帯をまいてすごす人生が始まった。


 幼稚園で、包帯を巻いた少女はいじめられるようになってしまった。
 少女はいつも馬乗りで下の役ばかりさせらるようになり、リーダー格の子の下敷きになっていた。
 ある日、リーダー格の子に顔の包帯を解かれてしまい、化け物のような顔を見られてしまった。
 みんなは少女の恐ろしい顔を見て泣き出したが、リーダー格の子だけはそれを見てよだれを垂らしながら笑っており、少女の顔を見せびらかすように連れて歩いた。
 その結果、少女は幼稚園を変わることになったが、新しい幼稚園に行くことはなかった。
 少女の兄は、自分が守ってやればこんなことにならなかった、とすべてを背負いこんでしまった。
 けれど、少女のことが原因で両親は離婚してしまい、兄は跡取りとして父に引きとられ、少女は母に引き取られた。


 小学校に上がった少女はクラスに受け入れられたが、上級生から蹴られるなどのいじめを受け、転校することになった。しかし、お金がなく引っ越しできなかったため、近くの学校に行くことになった。
 二つ目の小学校に転校したが、すでにグループができていたので少女は独りで過ごしていた。
 ある日、太った少年に男子トイレの個室に押し込まれて、「僕達友達だよね。だから、一緒にいじめられてくれるよね」と言われてしまう。
 少女はいじめられることよりも、太った子に付きまとわれる方が嫌で、また転校した。


 3つ目の学校は少し遠くにあったので、毎日、少女は母親に車で送り迎えしてもらっていた。そのせいで、学校に行きたくない、と言える雰囲気ではなかった。
 その学校では、2年間もの間、少女はとある上級生から観察され続けていた。
 そして、小学校3年生の時、ついに上級生から「包帯を取った顔を見てみたい」と話しかけられたが、少女は断った。
 すると上級生は催涙スプレーを少女の顔に吹き付け、包帯を取った。
 少女の顔が見られた上級生は喜び、少女の顔に爪を立てて、頬の肉をそぎ落とした。
 彼は皮膚のない顔の肉が欲しくて、2年間も観察していたのだった。
 そして、少女はまた学校に行けなくなった。


 1年ほど経ってまた転校したが、その学校は少人数クラスの進学校だった。
 少女は頭だけは良かったので、奇跡的にその学校に通うことができた。
 表面上では少女に対してのいじめはなかったが、とある男子生徒にだけ、「偽善者ぶるのに疲れた」と言われ、ストレスのはけ口としていじめられた。
 少女は学校に行けなくなり、体がだるい、と言って卒業まで欠席した。


 そして、少女が中学生になり、入学式のあとに女子の先輩から「美術部に入らない?私一人しかいないの」と誘われた。
 先輩は、「あなたがどうして包帯をしてるかなんて興味ないの。あなたはとてもきれいで、頭がいいわ。私はそんな子が好きなの。だから私を裏切らないで。毎日ここでお話しましょう」と言ってくれた。
 けれど少女は風邪をひいて学校を1日休んでしまった。
 翌日の放課後、美術部の部室に行くと、先輩は「あなたも私を裏切ったのね」と言ってカッターを振りかざして来た。
 それ以来少女は学校へ行けなくなった。
 そして、受験した高校には合格したので、籍はあるが通っていないとのこと。


 自分をいじめていた奴のことが夢にまで出てきて、忘れることができず、少女は自殺を考えるようになったが、母親のことを思うと実行できずにいた。
 そんなある日、兄が尋ねてきた。
 同じ高校に通っており、名簿を見て、様子を窺いにきたのだ。
 少女は、今までのことを兄に打ち明けると、兄は鬼のような形相になった。
 そして、昨日、兄は復讐計画を少女に打ち明けた。
 「学校新聞で学校の七不思議の特集することにした。そこで会を開き、6人に怖い話をさせる。そして7人目に俺が登場して、お前の話をして怖がらせてから、殺す。お前はそれを見届けるんだ」


 7人目の日野先輩はまだ現れない。
 「私にひどい目を合わせた6人。
 馬乗りになった福沢玲子。
 理不尽に蹴りつけた新堂誠。
 トイレに押し込んだ細田友晴。
 頬の肉を削いだ荒井昭二。
 偽善者ぶるのに疲れた風間望。
 裏切られたとカッターを振りかざした岩下明美。
 そして、私への罪悪感に狂った、私の兄、日野貞夫。
 あなたは復讐のための先導役だったんです」
 「日野先輩はまだ現れてはいない。冗談だよね?」
 「裏庭で兄と打ち合わせをしました。兄を止める最後のチャンスだったんです。
 気絶させるつもりで、落ちていたレンガを手に取り、兄の頭に振り下ろしました。頭が割れて、血を吹いて兄は死んでしまいました。
 ハンカチで手を拭いて・・だから血が付いていたんです」
 「大体どうして僕に話すんだ。話すんだったら警察に行けばいい!!!」
 「私たちの父親は国家の中枢部と関与している人間です。私と兄の事件をもみ消す力があるんです。だから、あなたに、私のことを学校新聞に書いてほしいんです。真実を!」
 「そんな、嘘だよ」
 「それなら扉の外を見てください。連れてきたんです、兄を」


 坂上が廊下を覗き込むと、血まみれの黒い塊があった。
 少女は言った。
 「私思うんです。本当に怖いのは幽霊なんかじゃない。
 人の恐怖を笑う、理不尽に人を殴る、人を道連れにする、人で自分の好奇心を満たす、人を不満のはけ口にする、人を自分の道理に押し込める、人のためにしか生きられない、そんなことを平気でしてしまう、そんな人間の方がよっぽど怖いって。
 私はきっと、そんな狂気を呼び起こさせるものを持っているんですね。
 それでなくても、あんなに大切な兄を」
 彼女はゆっくりと歩き、窓の前に立って、窓を開けた。
 「お母さん、悲しむかなぁ」
 彼女は坂上の方を見て、包帯に手をかけた。
 「坂上君、巻き込んでしまって、本当にごめんさない」
 腐ったような肉の筋、削ぎ落された頬は確かに抉れている。
  1. 彼女をまっすぐ見る
  2. 叫ぶ
 「君はとってもきれいだ」
 彼女は涙を流し、ありがとう、と言って窓枠に足をかけた。
 「駄目だ、死んじゃ駄目だ!」
 坂上は走り出して手を伸ばしたが、掴んだのは包帯だけだった。
 落ちていく彼女から、確かに美しい肌をした笑顔が見えた。そして、彼女が潰れる様を見た。


 誰かに連絡しようと坂上は廊下に出た。
 「ふくざわ、しんど・・・ほそだ、あらい、かざま、いわした!!!」
 日野は生きていた。
 頭は割れ、脳みそは垂れ、目玉は飛び出し、鼻と口から血を出した日野が、坂上の腕をつかむ。
 そして、日野は折れた指で坂上の手から包帯を奪い、坂上の顔にめちゃくちゃに巻きつけて、絶命した。
 坂上は残りの包帯を顔に巻いていく。
 (日野先輩が生きていたなら彼女が死ぬ意味なんてどこにもなかったじゃないか!
 日野先輩が彼女にお湯をかけなければ彼女は美しいままで生きていられたかもしれない。
 彼女が高校に入学しなければ!日野先輩に6人の名前を教えなければ!あの時レンガを振り下ろさなければ、彼女も日野先輩も死なずに済んだかもしれない。
 それなのにあの6人は生き残っている。殺さなければならない)
 包帯を巻いた少年は、少女の死体を通り過ぎたが一瞥もくれず、校門を抜け闇に消えていった。

 特殊七話目№38:包帯の断罪者
 CGギャラリー31/124
 85:包帯の女
 86:これでもキレイ・・・
 108:朽ちていく肌
 109:許さねぇ・・・許さねぇっ!!

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない
  2. 見て見ぬ振りをする→福沢エンディング№26:邪教の信徒
  3. わからない→福沢エンディング№27:不愉快な僕
 八重樫は、彼女のことより、自分の保身を優先した。


 翌日、八重樫は美津見を遊びに誘った。
 「今日は友達を紹介したいんだ。そいつらも一緒に遊ぼうと思ってるんだけど、いいかな」
 「わかったわ。初めての友達が一緒なら、おめかししていかないとね」
 八重樫が美津見を連れて、待ち合わせ場所まで向かうと、すでに不良仲間たちは全員そろっていた。
 ニヤニヤ笑いながら、不良たちは舐めるように美津見を品定めした。
 美津見は、目つきは悪いし、髪を染めていたり、ピアスをしている不良たちをみて、ビックリしていた。
 不良たちは八重樫と美津見を連れて、ゲーセンにカラオケと回ったが、誰にも憚らずタバコをふかしていた。
 八重樫が美津見の顔を覗き見ると、あからさまに嫌そうな顔はしていなかったが、楽しそうな表情でもなかった。
 リーダーが、アジトへ行くか、と声を掛けた。
 不良たちは、人気の少ないところにある誰も使っていない廃墟をたまり場にしていた。


 アジトに着くと、いきなりリーダーは八重樫を殴りつけて、「本当はグループを抜けたいって、顔に出まくりなんだよ。そんなこと許すわけねえだろうが!」と怒鳴った。
 「俺らの子と内心バカにしてだんたろう?ああ」と他のメンバーもガシガシと蹴ってくる。
 そして吉川は、「ナメた野郎には、お灸を据えてやらなきゃな。へへ、お前の目の前で、この女を・・・」と言って、美津見を無理やり地面に押し倒した。


 「ねえ、八重樫君はこの状況で、いったい何をしたと思う?」
  1. 諦めた
  2. 諦めずに抵抗した→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者
  3. 相手を脅した→福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!
  4. わからない→福沢エンディング№28:サイッテーな男
 
 為す術がないまま、自分も美津見もボロボロにされる、と八重樫が絶望して顔を背けたその時、自分の頭に何か生ぬるいものが降りかかった。
 リーダーの悲鳴が聞こえて、八重樫は反射的に顔を上げると、そこには全身が黒くて、闇の世界から生まれ出てきたような異様な姿の生き物いた!
 周囲からはもうもうとした煙が立っていて、気温が急激に冷えてきた。少なくとも、それは人間じゃなかった。
 その傍らには頭が破裂している美津見を押さえつけていた不良メンバーが転がっていたが、美津見の姿は見当たらない。
 リーダーが「てめえ」と言うと、怪物が「情けないわね」と聞き覚えのある女性の声で答えた。
 リーダーが一目散に駆け出した途端、頭が風船みたに弾け飛んで、脳やら頭蓋骨やらの破片がその場にぶちまけられた。
 他のメンバーも蜘蛛の子を散らすように逃げるが、数歩も行かないまま、頭が破裂していった。
 そして、不思議なことに死体が霧のように消えていき、地面に染み付いた夥しい血も最初から何もなかったように消えて行って、その場には倒れたままの八重樫と怪物だけが残された・・・
 「美津見さんなのか?」
 「そう、私よ。私は人間じゃない。この世界では悪魔と呼ばれているわ。
 それより、知られたくなかったのに・・・私の正体を知った人間は許さない」
 これから自分は、あいつらみたいに頭を吹っ飛ばされて死ぬんだ、と八重樫が思っていると、
 「怖がらないで。八重樫君は私の彼氏だから、特別に許してあげるわ。
 でも、誰かに言ったら、その時は許さないから。
 あなたはずっと私のもの。殺させないでね。いい?」


 「不良グループや行方不明ってことで処理されたみたい。
 八重樫君は、今も美津見さんとお付き合いと続けているよ。でも、相手は悪魔だから、内心は、ビクビクしまくりだと思うな。
 いつどんな理由で殺されるか、わかったもんなないよ。
 ん?どうして今の話を知ることができたのか気になるんだ。
 私が知っているってことは、八重樫君が死んでなきゃおかしいよね。
 実はさあ、私も八重樫君に告白したことがあってさ。ふられちゃったけど・・・その後すぐ、八重樫君は、美津見さんと付き合いだしたの。
 納得いかないじゃん。どうして私がダメで、美津見さんなのかって。だから私、しょっちゅうあの二人を尾行してたんだ。
 それで、あの事件に出くわしたんだ。映画なんか比較できないくらい、リアルだったよ。
 ねえ、坂上君、今の話、絶対に記事にしてよね。
 これを記事にしたら、美津見さんの正体がみんなに知られるでしょ。情報の出どころが八重樫君だって、美津見さんは思うだろうね。
 八重樫君、殺されちゃうんじゃないかって?私を振ったような男、死んだって構わないじゃない。
 私、八重樫君に復讐するために、この話をしたんだよ。きゃはははは。」

 福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
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 73:女悪魔降臨

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!福沢エンディング№28:サイッテーな男
  2. 見て見ぬ振りをする→福沢エンディング№26:邪教の信徒
  3. わからない
 「わらかないですって!ならこの話はここまで。ああ、もう不愉快だわ」


 福沢エンディング№27:不愉快な僕
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!福沢エンディング№28:サイッテーな男
  2. 見て見ぬ振りをする
  3. わからない
 八重樫は、もうこれ以上問題を引き延ばすのは止めようと決心し、今こそ不良グループを抜けて、悪の道と決別しようと思った。
 「ダメだ。彼女は関わらせたくない」
 「なんだと?」
 「俺はもう、このグループを抜けます。不良はもう辞めます」
 「ふざけるな!おう、お前らやっちまえ!」
 八重樫はあっという間に取り囲まれ、ボコボコにされて、病院に担ぎ込まれた。


 「八重樫君、どうしてこんなことに」
 何も知らずに見舞いにきた美津見は、涙を浮かべて聞いてきた。
 「はは、ちょっとチンピラのケンカに巻き込まれて」
 八重樫は、決して本当の理由を言おうとはしなかったが、美津見は疑ってかかった。
 「この前から、何かに悩んでいる風だったよね。それが関係あるんじゃないの?」
 「そんなことないよ」
 「嘘つかないで。やっぱりそうなのね。わかった」
 美津見はやけに悲壮な顔をして、何かを決意したみたいだった。
 「私に任せて。あなたの悩み、取り除いてあげるから!」
 そう言って美津見は病室を出て行った。


 そして数日後、事件は起きた。
 「これ、見て」
 八重樫を見舞いに来た美津見が、とっても嬉しそうな顔をして新聞を持ってきた。
 八重樫が言われるがままに記事に目を通すと、『集団自殺か』なんて見出しで、駅のホームで事故が起こったとあった。
 鳴神学園の男子生徒数名が、いきなり手を繋いでそのまま線路に飛び込んで電車に轢かれたってことが書かれていた。
 そこに書かれている名前は、あの不良グループのメンバーだった。
 「もう、あなたを困らせて奴らはいないわよね」
 「ああ」
 そう言いかけて、八重樫はおかしいと思った。いつ、どうやって彼女は、自分と不良グループとの関係を知ったのかって。
 「どうして君が、こいつらのことを」
 そう質問すると、美津見は背筋が寒くなるような微笑みを浮かべた。
 「私ね、学校に棲んでいる悪魔にお願いしたの。あなたの悩みを取り除いてほしいって」
 「え?」
 「前から、旧校舎に悪魔が済んでいるって噂は耳にしていたの。それと契約すれば、どんなことも思いのままだって。
 噂は本当だったわ。儀式をしたら本当に悪魔が出てきて。私は迷わず、契約したよ。あなたを守るために」
 「嘘だろう、そんなこと」
 「嘘じゃないわ。契約内容はね、私の死後の魂を差し出すこと。
 そして私は、あなたを苦しめていた連中の始末を頼んだわ。ふふ、確かな効果があったわ。
 悪魔はね、他に人間の魂を差し出せば、また願いを聞いてくれるって言うのよ。
 うふふ、これからも、悪魔の力であなたを守ってあげるからね」


 「八重樫君は悪い仲間からは解放されたけど、彼女が悪魔に心を奪われちゃったわけ。邪教の信徒っていうのかな。
 今も八重樫君は美津見さんと交際を続けているけど、別れるのは無理だよね。
 そんなことしたら、悪魔の力で殺されちゃうんだもん。一生、彼女と一緒にいなきゃいけないんだ」


 福沢エンディング№26:邪教の信徒
 CGギャラリー26/124
 75:旧校舎で悪魔召喚

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない
  2. 見て見ぬ振りをする
  3. わからない
 八重樫は、彼女のことより、自分の保身を優先した。


 翌日、八重樫は美津見を遊びに誘った。
 「今日は友達を紹介したいんだ。そいつらも一緒に遊ぼうと思ってるんだけど、いいかな」
 「わかったわ。初めての友達が一緒なら、おめかししていかないとね」
 八重樫が美津見を連れて、待ち合わせ場所まで向かうと、すでに不良仲間たちは全員そろっていた。
 ニヤニヤ笑いながら、不良たちは舐めるように美津見を品定めした。
 美津見は、目つきは悪いし、髪を染めていたり、ピアスをしている不良たちをみて、ビックリしていた。
 不良たちは八重樫と美津見を連れて、ゲーセンにカラオケと回ったが、誰にも憚らずタバコをふかしていた。
 八重樫が美津見の顔を覗き見ると、あからさまに嫌そうな顔はしていなかったが、楽しそうな表情でもなかった。
 リーダーが、アジトへ行くか、と声を掛けた。
 不良たちは、人気の少ないところにある誰も使っていない廃墟をたまり場にしていた。


 アジトに着くと、いきなりリーダーは八重樫を殴りつけて、「本当はグループを抜けたいって、顔に出まくりなんだよ。そんなこと許すわけねえだろうが!」と怒鳴った。
 「俺らの子と内心バカにしてだんたろう?ああ」と他のメンバーもガシガシと蹴ってくる。
 そして吉川は、「ナメた野郎には、お灸を据えてやらなきゃな。へへ、お前の目の前で、この女を・・・」と言って、美津見を無理やり地面に押し倒した。


 「ねえ、八重樫君はこの状況で、いったい何をしたと思う?」
  1. 諦めた
  2. 諦めずに抵抗した→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者
  3. 相手を脅した→福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!
  4. わからない
 「あなたねえ、自分の彼女が襲われそうになっているのに、何をしないなんてどういうことよ。
 あなた男の子としてサイテーだと思うな、私。
 これ以上、あなたに話しても無駄だと思うな。私の話はこれまでね。」


 福沢エンディング№28:サイッテーな男
 CGギャラリー25/124

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