チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
 2回目は、2:特に気にしていない→3:トイレ以外の話をしてくださいで、シナリオ:トイレの恋で、細田エンディング№7と9、№08:黒い赤ん坊→7話目:パラレルトイレツアーで、2階のトイレ→7話目エンディング№10:赤く彩られて
 3回目は、3:あまり乗り気ではなかったで、シナリオ:トイレの友情→どれを選んでもよい→1:得体の知れない何かで、細田エンディング№15:裏切り者はどちらかを見る→7話目:パラレルトイレツアーで、3階のトイレ→7話目エンディング№11:口は災いの元
 4回目は、7話目でどこかのトイレを調べる→5:探索をやめる→7話目エンディング№15:そして、繰り返す
 5回目は、1:楽しみにしていた→1:多いほうor2:あまりいないで、シナリオ:禁じられたトイレ→1:1階or2:2階or3:3回で細田エンディング№06:血を吸うトイレを見る→7話目:パラレルトイレツアーで、体育館のトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしてない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「あの、坂上君って友達とかいますか?」
  1. 多いほう
  2. あまりいない
  3. 早く話を進めてください
 シナリオ:禁じられたトイレ開始!


 「せっかくこう知り合ったのだから、僕と友達になりましょうよ。
 坂上君はこの学校に使用を禁止されているトイレがあるのを知っていますか?
 そのトイレは使用禁止のテープが張られたまま、この学校のどこかにあるんです。
 何でもそのまま塗り潰してしまう予定だったんですけど、度々のトラブルに見舞われるせいで、ずっと放置されていたんですって。
 坂上君、その使用禁止のトイレはどこにあると思いますか?」
  1. 1階→細田エンディング№06:血を吸うトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの
  2. 2階→細田エンディング№06:血を吸うトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの
  3. 3階→細田エンディング№06:血を吸うトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの
  4. 体育館→細田エンディング№05:断罪の釘
  5. 旧校舎
 「へぇ、良く知ってますね、坂上君は。そう、旧校舎にあるトイレなんですよ。
 旧校舎はもう何年も前に立ち入り禁止になっていますね。理由は老朽化により倒壊する危険があるから、と言われています。
 ところが理由はそれだけじゃなかったですね」

 
 細田が1年生の時に同じクラスに三上ゆかりという女子がいた。
 彼女はいわゆる本の虫で、授業になっても気づかず没頭していた。
 細田は彼女を見ているうちにもっと知りたくなってきて、行動パターンを知ることにして、後をつけ始めた。


 ある昼休み、細田は教室を出ていく彼女をつけていった。
 いつもは旧校舎のあたりで見失ってしまうのだが、この日は旧校舎の近くの大きな楠の木の下の彼女はいた。
 彼女は木を見上げ、その表面に手を当てるとずっと口をモゴモゴさせていた。
 しばらく口をモゴモゴさせていた彼女は急に走り出したので、細田は慌てて後を追いかけた。
 細田は、旧校舎に入るのは初めてだった。
 旧校舎はお昼だというのに薄暗くて、かび臭い匂いが充満していた。
 2階の床からギィギィを音が聞こえて来たので、細田は2階へ上がった。
 そして、「三上さーん」と声を掛けたが、返事はない。
 急に怖くなった細田は、引き返すことにした。
 すると、女性の悲鳴が聞こえて来たので、細田は声のする方向へ急いだ。
 悲鳴が聞こえて来たのは、2階の女子トイレからだった。
 本来なら電気が通じていない旧校舎に、灯りが点いていた。
 入ってすぐ左側の個室に懐中電灯を持った彼女が倒れていて、一目見て彼女はもう駄目なことがわかった。
 彼女の口には何かがたくさん詰められていた。
 細田は彼女の口に詰められているものが何かを確認するために、彼女に近づいた。
 彼女の口の中に詰められていたのは、大量のおがくずだった。
 怖くなった細田は走って旧校舎を出て、先生に報告した。
 すぐに警察が来て、彼女の遺体を調べに旧校舎に向かった。
 けれど、死体はなく、死体があった場所には大量のおがくずが捨てられていた。
 細田は、嘘をつくな、と先生と警察から怒られたが、その日を境に三上は行方不明になってしまった。
 今度は、三上を付け回していた細田が、疑われるようになってしまった。
 それで、もともと立ち入り禁止だった旧校舎だが、さらにそのトイレの周りにはテープが貼られて入れなくなった。
 それから、夜になると旧校舎の2階の窓がぼうっと光ることがあるそうだ。
 きっと三上が呼んでいるのだろう。


 細田エンディング№04:救いようのない男


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 旧校舎のトイレに行ってみることになった。


 「さあ、坂上君。どのトイレを見て回りましょうか」
  1. 1階男子トイレ
  2. 1階女子トイレ
  3. 2階男子トイレ
  4. 2階女子トイレ
  5. 3階男子トイレ
  6. 3階女子トイレ
 2階女子トイレにやってきた。
 「ここは三上さんが倒れていたトイレなんですよ。
 三上さんはそこの床で、おがくずを口いっぱいに詰め込まれて死んでいたんです」
 そう言った細田が指さした先には、おがくずのような粉が散らばっていた。
 「そうだ、坂上君。三上さんを呼んでみませんか?
 三上さんの浮かばれない霊をここに呼ぶんですよ。
 僕はわかるんです。ここは妙な霊気に満ちている・・・他の生き物の魂のようなものがここに漂っている気がするんです。
 三上さんはきっとそれに捕らわれていると思います」
 三上の事を気に病んでいる細田を慮って、坂上は細田の言う通りにすることにした。
 「わかりました。じゃあ、僕たちはどうしたらいいですか?」
 「皆さん、ぐるりと輪になってもらえますか。手を繋いで、一緒に三上さんの霊を呼ぶんです」
 皆は、三上の遺体があった場所をぐるりと囲む様にして手を繋いだ。
 「三上さん、どうか出てきてください」
 細田が大声で叫んだ。
 何度が呼びかけて、もう無理なんじゃないかな、と坂上が思い始めた頃、手を囲んだ中央に半透明の少女がぼうっと浮かび上がった。
 「三上さん、会いたかった!
 教えてくれ、一体君は誰に殺されたんだい!」
 細田が三上の霊に向かって叫ぶ。
 細田の声を聴いて、三上は何かしゃべっているようだったが、坂上には彼女の声は聞こえなかった。
 「そうか、わかったよ。この校舎が・・・あいつらが君を殺したんだね!」
 細田には彼女の声が聞こえたようだ。
 細田は、ポケットをまさぐるとマッチを取り出した。
 「こいつらを全部燃やしてしまえばいいんだ、こんな風にね!」
 そう言って、細田はマッチを擦ると、そのまま地面に投げ捨てた。
 投げ捨てたマッチはちょうどおがくずの上に落ち、勢いよく燃えだした。
 新堂が火を消そうと地面を蹴るが、火は一向に消えず、さらにその勢いを増していく。
 「うふふふ、燃えろ!燃えちまえ!お前ら何か怖くないぞ」
 細田が虚空に向かって叫ぶ。
 他の語り部たちは、細田を置いてトイレから逃げ出した。
 聞き役としての責任もある坂上は、細田を見捨てるわけにはいかないと思い、細田に声を掛けた。
 「細田さん、早く逃げてください!」
 しかし細田は動こうとはしない。
 その時、細田が悲鳴を上げた。
 見ると、細田の足元から火が乗り移っていた。
 坂上は細田を見捨てて、出口へ向かおうと踵を返した。
 けれど、後ろから火だるまになった細田が坂上の腕をがっしりと掴む。
 「ぼくたち、トモダチじゃないか」
 掴まれた腕から、坂上にも火が移っていく。
 自分が燃えていく音を聞きながら、坂上の意識は深い闇の中に沈んでいった。


 7話目エンディング№13:身を焼かれて
 CGギャラリー:39/124
 122:三上さん、出てきてください

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
 2回目は、2:特に気にしていない→3:トイレ以外の話をしてくださいで、シナリオ:トイレの恋で、細田エンディング№7と9、№08:黒い赤ん坊→7話目:パラレルトイレツアーで、2階のトイレ→7話目エンディング№10:赤く彩られて
 3回目は、3:あまり乗り気ではなかったで、シナリオ:トイレの友情→どれを選んでもよい→1:得体の知れない何かで、細田エンディング№15:裏切り者はどちらかを見る→7話目:パラレルトイレツアーで、3階のトイレ→7話目エンディング№11:口は災いの元
 4回目は、7話目でどこかのトイレを調べる→5:探索をやめる→7話目エンディング№15:そして、繰り返す


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしてない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「あの、坂上君って友達とかいますか?」
  1. 多いほう
  2. あまりいない
  3. 早く話を進めてください
 シナリオ:禁じられたトイレ開始!


 「せっかくこう知り合ったのだから、僕と友達になりましょうよ。
 坂上君はこの学校に使用を禁止されているトイレがあるのを知っていますか?
 そのトイレは使用禁止のテープが張られたまま、この学校のどこかにあるんです。
 何でもそのまま塗り潰してしまう予定だったんですけど、度々のトラブルに見舞われるせいで、ずっと放置されていたんですって。
 坂上君、その使用禁止のトイレはどこにあると思いますか?」
  1. 1階→細田エンディング№06:血を吸うトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの
  2. 2階→細田エンディング№06:血を吸うトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの
  3. 3階→細田エンディング№06:血を吸うトイレ→7話目エンディング№12:血を求めるもの
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 「そうです。体育館にあるんです」

 鳴神学園は一学年500人もいるマンモス校なので、タイミングが悪いとトイレが利用できないくらい溢れかえることがある。
 後から来る生徒に抜かされてして、混んでいる時にトイレを利用するのはトロい細田にとって至難の技だった。
 そこで細田は校舎から離れている体育館のトイレを利用することを思いつき、体育館へ向かった。
 ところが体育館のトイレには使用禁止のテープが貼られて入れなくなっていた。
 我慢できない細田は、テープの下をくぐって中に入っていったが、そこが使用禁止になった理由を思い知ることになった。
 トイレの中は黒く焼け落ちたようにボロボロで、唯一残っていた手前の個室も小さな穴だらけだった。
 そして、人の影みたいな壁の染みの周りに無数の釘が打ち込まれていた。
 しかし、一刻を争う状態の細田は比較的綺麗な個室に入って、仕方なく用を足した。
 しばらくすると、人の気配がし、足音が何かを探すかのようにトイレの中をぐるぐる回っている。
 不覚にも細田がオナラをしてしまうと、細田が入っている個室のドアが外側から激しく叩かれた!
 細田は大声を上げて、個室から飛び出したが、外には誰もいない。
 「何してるの?」
 いつの間にかトイレの入り口にいた人から声を掛けられた。
 「何かあったのかい?」
 優しい言葉を掛けられた細田は、さっきの出来事を説明すると、何もいないよ、と慰められた。
 細田は、唐突に彼にお願いをした。
 「すいません、突然ですが、僕と友達になってくれませんか?」
 「うん、僕は松宮直樹。よろしくね」
 そう言って差し出された彼の手には包帯が巻かれており、少し血がにじんでいた。
 こうして、松宮と握手した細田は、友達になった。


 松宮は変わっており、立ち入り禁止のトイレがお気に入りの場所だったらしく、いつもそこにいた。
 細田は休み時間になるたび、松宮に会いに行っていたが、細田は日に日に痩せていき、顔色が悪くなっていった。


 ある日、細田は、そのことを松宮に話すと、険しい顔になった。
 「細田君、僕たち、友達だよね?」
 「当り前じゃないか!」
 それを聞いた松宮はゆっくりと語り始めた。


 昔、この学校には加藤と杉本というとても恐れられている不良がいた。
 彼らは人間標本というリンチ行為を行っていた。それは、トイレのドアに押さえつけて、手のひらに釘を打ち込んでしまうというものだった。
 先生たちも、彼らの報復を恐れて見て見ぬふりをしていた。
 松宮はトイレのドアに開いた小さな穴を指さして、自分もここで人間標本にされたことがある、と語った。
 しかし、細田は、加藤と杉本という名前に全く心当たりがなかった。
 そこで、細田は、松宮の学年やクラスについてどこなのかまったく知らないことに気づいた。


 松宮は話を続けた。
 松宮には昔、横田という幼馴染の親友がいた。
 ある日、松宮が加藤と杉本に呼び出されて、トイレでカツアゲされた上、人間標本にされているのを、横田が助けてくれた。
 加藤と杉本は、一度目に付けた人間はパンクするまで纏わりつくヒルみたいな連中だった。
 松宮は手に受けた傷を見るとトイレのドアに釘で打ち付けられた恐怖と痛みがトラウマとなって襲ってきたので、しらばく学校を休むことにした。
 その日のお昼ごろ、松宮のことを心配した横田から電話があったが、松宮はしばらく学校を休むつもりだ、と答えた。
 すると、横田は、あいつらは頭がおかしいから、家まで押しかけてくるかもしれない、と言い出した。
 「松宮君、学校へ来てよ。僕が付いていてあげるからさ」と横田がそういったので、松宮は心を打たれて、すぐに学校へ向かった。


 午後から登校した松宮は、横田から「今から会わせたい人がいる」と言われた。
 その人物は、横田の兄の知り合いで、他校の人間だが、松宮のことを相談すると、加藤と杉本に話をつけてやる、と言ったそうだ。
 その話を信じて、松宮は横田に連れられてこのトイレにやってきた。
 しかし、トイレで待っていたのは、加藤と杉本だった。
 松宮は、ハメられたのだ・・・
 「横田君、これはどういうこと?」
 「まだわかってねーのかよ!俺たちにお前を紹介したのは、こいつなんだよ」
 横田は自分の保身のために、松宮を差し出したのだ。
 「そんなの嘘だよ。ねえ、本当は違うんだろ、横田君!」
 「ごめん」
 「そんな・・・」
 「罰ゲームだな。お前ら明日までに50万持ってこい。妙なマネしたら標本どころじゃすなねえからな」
 加藤と杉本はそう言ってトイレを後にした。
 「松宮君、本当にごめんよ。僕も被害者なんだ。脅されたんだよ、アイツらに」
 「うん、わかってる。僕たち友達じゃないか」


 翌日、松宮がトイレに向かうと、すでに横田と、札束をゆらゆらさせている加藤と杉本が来ていた。
 「お前の友達はもう支払ったぜ。
 お前もさっさと払えや!」
 「持ってないよ」
 松宮はそう答えて、手にしていたバケツの中身を加藤と杉本に浴びせた。
 「バイバイ」
 そう言って、松宮はポケットから取り出したマッチに火をつけると、二人に投げつけた。
 「ぎゃあああ!」
 一瞬で二人は火だるまになり、苦しそうに床をのたうちまわった。
 唖然とする横田の目の前に、不良たちが落とした金づちと釘を手にした松宮が立っていた。
 松宮は横田の手を掴み、壁に打ち込んだ。
 助けを求めるように不良たちの燃える手が松宮の足に絡めた。
 そして、松宮にも火が回って来た。
 それでも松宮は横田を壁に打ち付けることをやめなかった。
 自分の身が焼け落ちるまで、松宮は横田を壁に打ち込み続けた。


 「それ以来、僕はずっとここにいるんだ」
 「じゃあ、君は幽霊なのかい?」
 松宮はくすっと笑うと、ゆっくりと細田に近づいてきた。いつの間にかその手には金づちと太い釘が握られている。
 細田は、壁の染みが、呻き声を上げて細田に纏わりつくように浮き上がっていることに気づいた。
 その影は必死に抜け出ようとして、細田に助けを求めているのだ。
 松宮は無造作に影を掴むと、何度も釘で壁に打ち付けた。
 「何回打ち込もうが、横田君たちは未だに壁から抜け出そうとするんだ。
 出れば彼らは悪さをしようとするからね。だから、もう悪さをしないように、こうして何度も打ち込んでいるんだ」
 そう言って、松宮は手にしていた金づちと釘を細田に差し出した。
 「細田君、君の体調がすぐれないのは、彼らが君の生気を吸いこんでるからだよ。
 だから、君は君の手で彼らをここに磔にしないといけないんだ」
 細田は、松宮からそれを受け取ると、一心不乱にその影を壁に打ち込んだ。


 「僕を見守る松宮君の表情はとてもやさしかったですよ。うふうふ、彼と今の親友なんです。
 だから、坂上君、立ち入り禁止のトイレから変な音がしても、気にしないでね。その音の張本人は僕だからさ。
 そうだ、坂上君、今度君にも松宮君を紹介するよ。
 いやぁ嬉しいなぁ。今日は本当にこの集会に参加して良かったよ。
 やっぱり仲間はたくさんいた方がいいですよね」


 細田エンディング№05:断罪の釘
 CGギャラリー:38/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
 2回目は、2:特に気にしていない→3:トイレ以外の話をしてくださいで、シナリオ:トイレの恋で、細田エンディング№7と9、№08:黒い赤ん坊→7話目:パラレルトイレツアーで、2階のトイレ→7話目エンディング№10:赤く彩られて
 3回目は、3:あまり乗り気ではなかったで、シナリオ:トイレの友情→どれを選んでもよい→1:得体の知れない何かで、細田エンディング№15:裏切り者はどちらかを見る→7話目:パラレルトイレツアーで、3階のトイレ→7話目エンディング№11:口は災いの元
 4回目は、7話目でどこかのトイレを調べる→5:探索をやめる→7話目エンディング№15:そして、繰り返す


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしてない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「あの、坂上君って友達とかいますか?」
  1. 多いほう
  2. あまりいない
  3. 早く話を進めてください
 シナリオ:禁じられたトイレ開始!


 「せっかくこう知り合ったのだから、僕と友達になりましょうよ。
 坂上君はこの学校に使用を禁止されているトイレがあるのを知っていますか?
 そのトイレは使用禁止のテープが張られたまま、この学校のどこかにあるんです。
 何でもそのまま塗り潰してしまう予定だったんですけど、度々のトラブルに見舞われるせいで、ずっと放置されていたんですって。
 坂上君、その使用禁止のトイレはどこにあると思いますか?」
  1. 1階
  2. 2階
  3. 3階
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 「違いますね。
 利用禁止のトイレは体育館にあるんですよ」


 鳴神学園は一学年500人もいるマンモス校なので、タイミングが悪いとトイレが利用できないくらい溢れかえることがある。
 後から来る生徒に抜かされてして、混んでいる時にトイレを利用するのはトロい細田にとって至難の技だった。
 そこで細田は校舎から離れている体育館のトイレを利用することを思いつき、体育館へ向かった。
 ところが体育館のトイレには使用禁止のテープが貼られて入れなくなっていた。
 我慢できない細田は、テープの下をくぐって中に入っていったが、そこが使用禁止になった理由を思い知ることになった。
 トイレの中は黒く焼け落ちたようにボロボロで、唯一残っていた手前の個室も小さな穴だらけだった。
 そして、人の影みたいな壁の染みの周りに無数の釘が打ち込まれていた。
 しかし、一刻を争う状態の細田は比較的綺麗な個室に入って、仕方なく用を足した。
 しばらくすると、人の気配がし、足音が何かを探すかのようにトイレの中をぐるぐる回っている。
 不覚にも細田がオナラをしてしまうと、細田が入っている個室のドアが外側から激しく叩かれた!
 細田は大声を上げて、個室から飛び出したが、外には誰もいない。
 「何してるの?」
 いつの間にかトイレの入り口にいた人から声を掛けられた。
 「何かあったのかい?」
 優しい言葉を掛けられた細田は、さっきの出来事を説明すると、何もいないよ、と慰められた。
 細田は、唐突に彼にお願いをした。
 「すいません、突然ですが、僕と友達になってくれませんか?」
 「うん、僕は松宮直樹。よろしくね」
 そう言って差し出された彼の手には包帯が巻かれており、少し血がにじんでいた。
 こうして、松宮と握手した細田は、友達になった。


 松宮は変わっており、立ち入り禁止のトイレがお気に入りの場所だったらしく、いつもそこにいた。
 細田は休み時間になるたび、松宮に会いに行っていたが、細田は日に日に痩せていき、顔色が悪くなっていった。


 ある日、細田は、そのことを松宮に話すと、険しい顔になった。
 「細田君、僕たち、友達だよね?」
 「当り前じゃないか!」
 それを聞いた松宮はゆっくりと語り始めた。


 昔、この学校には加藤と杉本というとても恐れられている不良がいた。
 彼らは人間標本というリンチ行為を行っていた。それは、トイレのドアに押さえつけて、手のひらに釘を打ち込んでしまうというものだった。
 先生たちも、彼らの報復を恐れて見て見ぬふりをしていたのだが、ただ一人だけ立ち向かっていった先生がいた。
 加藤と杉本が、例のリンチをしようとしていた時に、止めに入ったのが体育教師の小野寺だった。
 二人が何かしようとすると小野寺が止めに入り、二人が逃げ出す、というのを繰り返した。
 ある日の午後、加藤と杉本が、小野寺の元を訪れて、今までのことを謝った。
 ところが、加藤と杉本は、嬉しくなってお茶を振舞おうと後ろを向いた小野寺の後頭部を殴りつけ、気絶させた。
 そして、小野寺を縛り上げ、体育館のトイレに連れ込み、目が覚めた小野寺に対し、人間標本を行った。
 その後二人は、小野寺に灯油をかけ、マッチで火をつけた。
 絶叫を上げ、意識を失いかけた小野寺の脳裏に「助けてほしいか」という声が響いた。
 小野寺が、助かりたい!と答えると、「ならば血を捧げ続けよ。我を深淵の眠りから解き放った者どもよ」と声が響き、燃え上がっていた炎が、手の甲の穴に吸い込まれていった。
 焼けただれた小野寺の皮膚は元に戻り、その手には金づちと釘が握られていた。
 小野寺の脳裏には「血を捧げ続けろ」という声が響いていた。


 「先生たちはこの学校のトイレに住まう何かを呼び覚ましてしまったんだ。
 最初の生贄になってしまった先生に、そのトイレに住む何かは血を要求した。
 それ以降、先生たちは、釘によって穿った穴から血を吸われ続けたんだ。
 そして、その行為は今も連綿と続いているんだよ」
 松宮の左手は、真新しい包帯で包まれ、ちょうど手の甲の部分がうっすら血がにじんでいた。
 「血を吸われ続けた先生たちは死んだよ。そして、死んだ後、魂はこのトイレに吸収されてしまうんだ。
 ほら見えるだろう。あの壁にある夥しい数の釘を。
 この釘の数は、このトイレに血を吸われた生贄たちなんだ。
 話の先生たちも今ではこのトイレの住人さ。
 そして、いつかは僕も。
 このトイレの何かは血を求めている。
 君の体調が悪いのは、このトイレに住む何かの影響だよ。
 僕と君は友達だろ?だったら、僕のために釘を打たれてくれ!」
 そういって松見が襲い掛かって来たが、体格に優れる細田が押し返すと松宮は尻餅をつき、その隙に細田は全力でトイレから逃げ出した。


 「それ以来、そのトイレには行ってないんです。
 そうだ、坂上君。百聞に一見にしかずだ、一度その現場を見に行ってみないかい?」
 坂上は、細田の左腕に包帯が巻かれていることに気づいた。
 坂上の視線に気づいた細田は
 「これは違うよ!松宮君から逃げるときに、近くにあった釘で切れちゃっただけで、釘を打たれたんじゃないよ。うふふふ」
 「やっぱり、やめておきます」


 細田エンディング№06:血を吸うトイレ
 CGギャラリー:37/124


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 体育館のトイレに行ってみることになった。
 体育館のトイレに入ると、想像以上に酷かった。
 特に異様だったのは、人型のシミに穿たれた夥しい釘の数だった。
 「この釘の数は、全部このトイレの生贄になった人たちさ。彼らは死んでからも、この場所にとどまり続けているんだ」
 「釘を抜くことはできないんですか?」
 「できないんだよ。試してみるかい?」
 坂上は試しに刺さっている釘の一つに力を込めて引っ張ってみた。
 しかし、抜けない。
 その様子を見ていた新堂が、自分がやる、と言って、釘を引っ張り始めた。
 すると、ボキっという音をたてて、釘が折れてしまう。
 その時、室内に獣の咆哮が響き渡った。
 「見て」
 福沢は指さした方向を見ると、折れた釘からどくどくと真っ赤な液体が流れ落ちていた。
 「なんてことをしてくれたんだ!元に戻せ!」
 そう言って、細田は新堂に掴みかかると、新堂はバランスを崩して床に倒れこむ。
 細田の顔を見ると、至るところから血が噴き出ている。
 細田は、新堂に馬乗りになる。
 その時、室内に「血が足りない。血を捧げ続けろ」と言う声が響いた。
 その声が聞こえた途端、坂上の顔から血がにじみ出て来た。
 体中の力が抜けた坂上がその場に倒れこむと、他の語り部たちも同じように体中から血が流れ出している。


 7話目エンディング№12:血を求めるもの
 CGギャラリー:38/124
 121:血を捧げよ

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
 2回目は、2:特に気にしていない→3:トイレ以外の話をしてくださいで、シナリオ:トイレの恋で、細田エンディング№7と9、№08:黒い赤ん坊→7話目:パラレルトイレツアーで、2階のトイレ→7話目エンディング№10:赤く彩られて


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 シナリオ:トイレの友情


 細田は、トイレが居心地が良い場所だと思っているので、休み時間になる度トイレに行っているとのこと。


 「突然なんですけど、坂上君は、三階の外れにある男子トイレに行ったことはありますか?」
  1. ある
  2. ない
 そのトイレは、使用禁止の張り紙がされており、鍵がかけられているが、使用禁止になったのは去年からとのこと。
 細田は、使用禁止になった理由を知っているとのことで、その話をする、と言い出した。


 去年、細田が1年生だった時、細田は友達がいなかったが、一人だけ友達になってくれた人物がいた。それは同じクラスの佐伯邦彦だった。
 二人はいつの間にか友達になって、一緒に帰ったり、お昼を一緒に食べたり、一緒にトイレツアーをする仲で、佐伯も、細田と同じくトイレが好きだった。


 ある日、佐伯は、「三階の外れにある男子トイレを知ってるかい?」と聞いてきた。
 当然、知っていた細田は、頷いた。
 「あのトイレには一つの噂があるみたいなんだ。
 何でも一番奥の個室に夜の12時に二人で入って、そのまま夜明けまで一緒に過ごすことができれば、その二人の永遠の友情が約束されるらしい。
 どうだい?今日の夜、二人でそれを確かめてみないかい?」
 佐伯にこう言われた細田だったが、そのトイレは、細田が唯一校内で入ったことがないトイレだった。それは、近寄るだけど寒気がするというか、本能が拒絶する感じがするからだった。
 細田は霊感が強い方だったので、きっとあのトイレには良くないものがいる、と感じていたが、佐伯の方は霊感がまったくないようだった。
 唯一の友達である佐伯の話を断ることができなかったので、細田は行くことになってしまった。


 学校が終わると一旦家に帰った細田は、夜の11時過ぎ、両親には黙って家を出た。
 待ち合わせ時間の20分ほど前に校門前に着いたが、すでに佐伯の姿があった。
 細田と佐伯は校庭を進み、玄関を入って、階段を上り、目的の三階のトイレに向かった。
 霊感の強い細田は、普段、校舎で幽霊を見かけることがあったが、この日は全く霊気を感じなかった。
 そして、例のトイレも同じで、いつもは排他的は本能的な恐怖を呼び起こすトイレが、その日だけは温かく二人を受け入れそうな雰囲気を纏っていた。


 二人でトイレに入ると、佐伯が「あそこの個室だ」と一番奥にある個室を指さした。
 他と変わらない和式便器があるだけだったが、一つ違うところがあるすれば、まるで新品のように綺麗だった。
 二人で個室に入ると、佐伯が、「今まで、僕には友達と呼べる人間が一人もいなかった」と言い、いじめにあって人間不信になっていたを話してくれた。
 それを聞いた細田も、今までの境遇やコンプレックスを話した。
 二人は時間を忘れて、ずっと話をしていた。


 トレイに入って数時間ほど経ったある時、突然周囲の空気が一変した。
 今までの温かさが、排他的でギスギスしたものに変わったのだ。それは、佐伯も感じ取っていた。
 周囲の気温が下がっているように感じ、二人は互いに体をブルブルと震わせていた。
 そして、個室の外を何かが歩く音が聞こえてきた。


 「坂上君、トイレの外にいるのは一体何だと思いますか?」
  1. 得体のしれない何か
  2. トイレに入りに来た人
 それから何時間過ぎただろうか。いつまで経っても何かの気配が消えず、むしろどんどん濃くなっていくようだった。
 細田は、永遠の友情を誓った佐伯と一緒にいるので、不安は感じたが、そこまでの恐怖は感じていなかった。
 しかし、佐伯の方は、時間が経つほど体の震えが大きくなっていった。
 そして、不安に駆られた佐伯から、助けを求めうような声が出た。
 「細田君・・・」
 佐伯の声に反応して、何かが隣のトイレとの仕切りになっている壁を強く叩いた。ちょうどそこは、佐伯が背中を預けていた場所でもあった。
 しかも壁の下に僅かに開いている隙間から、明らかに濃い闇が個室の中に流れ込んできた。
 パニックに陥った佐伯は、大きな叫び声をあげて、個室の扉に飛びついて外に出ようとした。
 ところが、佐伯がいくら力を込めても、鍵が動くことは無く、力一杯蹴っても扉は微動だにしなかった。
 「くそ、早く逃げよう!こんな所にいては殺されてしまう!」
 細田は、ここで佐伯が外に出てしまえば、すべてが水の泡になってしまう。これは試練で、夜明けさえ来れば何かは消え去り、自分たちは永遠の友情を得られる、と思い、佐伯を必死に説得した。
 しかし、佐伯は、「永遠の友情?今はどうだっていいじゃないか!死んでしまっては、元も子とないんだ」と細田の方に振り向いて言い放った。
 その時、佐伯の背後で、ぴくりとも動かなかった扉が開いたが、佐伯は気づいてはいなかった。
 開いた扉の向こうは、深い闇が口を開けていた。そして、何かがいた!
 何かは真っ黒の触手のようなものを伸ばして、佐伯の四肢に巻き付け、闇の中に引きずり込もうとした。
 「助けて、細田君」
 細田は、動くこともできずに、助けを求める佐伯が闇に飲み込まれていくのを見ているしかなかった。
 佐伯の体が完全に個室の外へ引きずり出されると、扉は音もなく閉まった。
 個室の外からは「やめろ、やめろ・・・」という小さい声が聞こえて来た。
 やがて、佐伯の断末魔のような叫び声を聞いた後、何かが砕ける音が響き、続いて、何かをしゃぶるような音、引きちぎるような音も聞こえて来た。
 そして、一番大きな叫び声の後には、佐伯の声は一切聞こえなくなった。
 何かは満足したらしく、個室内に入り込んでいた濃い闇と一緒に、気配が綺麗さっぱりとなくなった。
 いつの間にか夜明けが来ていたので、体を動かせるようになっていた細田は急いで個室の鍵を開けて、外に出て、逃げるように家に帰った。
 トイレの床には、おびただしい量の赤黒い液体と小さな破片が広がっていた・・・


 あれ以来、いくら洗っても床に広がった赤い染みが落ちることはなかったそうだ。
 細田は事情を説明したが、誰にも信じてもらえなかった。
 結局、佐伯は外部の侵入者に殺されたという結論になった。
 これが、三階の外れのトイレが使用禁止になっている理由とのこと。
 あれ以来、細田は、暗闇が怖くて、夜は外出しないし、家にいるときはカーテンを閉め切って外を見ることはしない。当然、部屋の電気はつけっぱなしで寝ているとのこと。


 「結局、あのトイレは何だったんでしょうか?
 個室の中に入った二人の友情を確かめて、友情を裏切った者に罰を与えるのが何かなんでしょうか?
 あの時僕と一緒に脱出しようとした佐伯君と、佐伯君に助けを求められたのに助けることができなかった僕、一体どっちが友情を裏切ったんでしょうか?」


 細田エンディング№15:裏切り者はどちらか
 CGギャラリー:36/124


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 3階北側のトイレに着いた時、細田は「このトイレは僕と佐伯君が友情を確かめ合う儀式をしたトイレです。坂上君、悪いことは言いません。このトイレには入らない方がいいです」と坂上を引き留めた。
  1. 入る→7話目エンディング№11:口は災いの元
  2. やめる
 「それを聞いて安心したよ。じゃあ、他へ行こう」


 一行は3階南側のトイレに行ったが、何の変哲もないので、トイレを出た。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 一行は、旧校舎へ向かった。


 「さあ、坂上君。どのトイレを見て回りましょうか」
  1. 1階男子トイレ
  2. 1階女子トイレ
  3. 2階男子トイレ
  4. 2階女子トイレ
  5. 3階男子トイレ
  6. 3階女子トイレ
 3階女子トイレにやってきた。
 なんだか、このトイレだけ妙に寒いのだ。
 寒さが気になりはしたが、それ以外は特に変わったところがなかったので、一行はトイレを出た。


 「さあ、坂上君。どのトイレを見て回りましょうか」
  1. 1階男子トイレ
  2. 1階女子トイレ
  3. 2階男子トイレ
  4. 2階女子トイレ
  5. 3階男子トイレ
  6. 3階女子トイレ
  7. 探索をやめる
 「もう、旧校舎を見るのはいいのかい?」
  1. もういいです
  2. 探索を続ける
 一行は旧校舎を後にして、校舎に戻った。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
  6. 探索をやめる
 「もう一通りトイレを周ってしまいましたし、もう部屋に戻りましょう」
 結局怪奇現象は起きなかった。
 「坂上君、もうちょっと見て回ってみません?」
 細田はまだ続けたいみたいだ。
 しかし、坂上と細田以外の皆は二人を置いて部室へ戻ってしまった。
 「細田さん、僕らももう帰りましょうよ」
 「わかったよ。残念だなぁ」
 坂上と細田は、部室へ向かって歩き始めた。
 「坂上君、ちょっとトイレに行きたくなっちゃいました。ちょっと付き合ってくれないかな」
 「え?」
 「お願いだよ、坂上君。一人じゃなんだか怖くて・・・」
 「はあ、わかりましたよ」
 坂上は仕方なく細田のトイレに付き合うことにした。


 トイレに着いた。
 見ると、個室の一角が閉まっている。
 そういえばさっき周っていた時も閉まっていた気がする。やけに長くないか?
 「あの扉、さっき僕たちがトイレを周ってから、ずっと閉まっているんですよ」
 「へえ、そんなんだ」
 興味がないと言った感じで、細田が答えた。
 「もしかして、中で人が倒れているかもしれません。ちょっと声を掛けてみます」
 「やめておいた方がいいと思うけどなぁ」
 細田がなぜかにやけた顔で坂上を見ている。
 その時、閉じているドアの下側に、赤い液体が零れているのが見えた。
 なぜか鍵をかかっておらず、坂上が扉を開けると、かつて人間だったものの肉塊がトイレのあちこちに散らばっていた。
 「それは7人目だよ。
 7人目が来たら、この会が終わっちゃうだろ。僕はこの空間が好きなんだ。
 だから、この7人目を生贄にしてお願いしたんだ」
 振り向いた坂上が見た細田の顔は、気味が悪いくらいの笑顔だった。
 そして、そのまま坂上は意識が遠くなっていくのを感じた。


 (はっ。
 用を足していたトイレで、どうやらうたた寝してしまったらしい。
 早く部室へ急がなきゃ)


 坂上はトイレから出て、部室へ駆けだした。
 まだ見ぬ7人目に会うために。


 七話目エンディング№15:そして、また繰り返す
 CGギャラリー 37/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
 2回目は、2:特に気にしていない→3:トイレ以外の話をしてくださいで、シナリオ:トイレの恋で、細田エンディング№7と9、№08:黒い赤ん坊→7話目:パラレルトイレツアーで、2階のトイレ→7話目エンディング№10:赤く彩られて


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない→細田エンディング№01~03
  3. あまり乗り気ではなかった
 シナリオ:トイレの友情


 細田は、トイレが居心地が良い場所だと思っているので、休み時間になる度トイレに行っているとのこと。


 「突然なんですけど、坂上君は、三階の外れにある男子トイレに行ったことはありますか?」
  1. ある
  2. ない
 そのトイレは、使用禁止の張り紙がされており、鍵がかけられているが、使用禁止になったのは去年からとのこと。
 細田は、使用禁止になった理由を知っているとのことで、その話をする、と言い出した。


 去年、細田が1年生だった時、細田は友達がいなかったが、一人だけ友達になってくれた人物がいた。それは同じクラスの佐伯邦彦だった。
 二人はいつの間にか友達になって、一緒に帰ったり、お昼を一緒に食べたり、一緒にトイレツアーをする仲で、佐伯も、細田と同じくトイレが好きだった。


 ある日、佐伯は、「三階の外れにある男子トイレを知ってるかい?」と聞いてきた。
 当然、知っていた細田は、頷いた。
 「あのトイレには一つの噂があるみたいなんだ。
 何でも一番奥の個室に夜の12時に二人で入って、そのまま夜明けまで一緒に過ごすことができれば、その二人の永遠の友情が約束されるらしい。
 どうだい?今日の夜、二人でそれを確かめてみないかい?」
 佐伯にこう言われた細田だったが、そのトイレは、細田が唯一校内で入ったことがないトイレだった。それは、近寄るだけど寒気がするというか、本能が拒絶する感じがするからだった。
 細田は霊感が強い方だったので、きっとあのトイレには良くないものがいる、と感じていたが、佐伯の方は霊感がまったくないようだった。
 唯一の友達である佐伯の話を断ることができなかったので、細田は行くことになってしまった。


 学校が終わると一旦家に帰った細田は、夜の11時過ぎ、両親には黙って家を出た。
 待ち合わせ時間の20分ほど前に校門前に着いたが、すでに佐伯の姿があった。
 細田と佐伯は校庭を進み、玄関を入って、階段を上り、目的の三階のトイレに向かった。
 霊感の強い細田は、普段、校舎で幽霊を見かけることがあったが、この日は全く霊気を感じなかった。
 そして、例のトイレも同じで、いつもは排他的は本能的な恐怖を呼び起こすトイレが、その日だけは温かく二人を受け入れそうな雰囲気を纏っていた。


 二人でトイレに入ると、佐伯が「あそこの個室だ」と一番奥にある個室を指さした。
 他と変わらない和式便器があるだけだったが、一つ違うところがあるすれば、まるで新品のように綺麗だった。
 二人で個室に入ると、佐伯が、「今まで、僕には友達と呼べる人間が一人もいなかった」と言い、いじめにあって人間不信になっていたを話してくれた。
 それを聞いた細田も、今までの境遇やコンプレックスを話した。
 二人は時間を忘れて、ずっと話をしていた。


 トレイに入って数時間ほど経ったある時、突然周囲の空気が一変した。
 今までの温かさが、排他的でギスギスしたものに変わったのだ。それは、佐伯も感じ取っていた。
 周囲の気温が下がっているように感じ、二人は互いに体をブルブルと震わせていた。
 そして、個室の外を何かが歩く音が聞こえてきた。


 「坂上君、トイレの外にいるのは一体何だと思いますか?」
  1. 得体のしれない何か
  2. トイレに入りに来た人
 それから何時間過ぎただろうか。いつまで経っても何かの気配が消えず、むしろどんどん濃くなっていくようだった。
 細田は、永遠の友情を誓った佐伯と一緒にいるので、不安は感じたが、そこまでの恐怖は感じていなかった。
 しかし、佐伯の方は、時間が経つほど体の震えが大きくなっていった。
 そして、不安に駆られた佐伯から、助けを求めうような声が出た。
 「細田君・・・」
 佐伯の声に反応して、何かが隣のトイレとの仕切りになっている壁を強く叩いた。ちょうどそこは、佐伯が背中を預けていた場所でもあった。
 しかも壁の下に僅かに開いている隙間から、明らかに濃い闇が個室の中に流れ込んできた。
 パニックに陥った佐伯は、大きな叫び声をあげて、個室の扉に飛びついて外に出ようとした。
 ところが、佐伯がいくら力を込めても、鍵が動くことは無く、力一杯蹴っても扉は微動だにしなかった。
 「くそ、早く逃げよう!こんな所にいては殺されてしまう!」
 細田は、ここで佐伯が外に出てしまえば、すべてが水の泡になってしまう。これは試練で、夜明けさえ来れば何かは消え去り、自分たちは永遠の友情を得られる、と思い、佐伯を必死に説得した。
 しかし、佐伯は、「永遠の友情?今はどうだっていいじゃないか!死んでしまっては、元も子とないんだ」と細田の方に振り向いて言い放った。
 その時、佐伯の背後で、ぴくりとも動かなかった扉が開いたが、佐伯は気づいてはいなかった。
 開いた扉の向こうは、深い闇が口を開けていた。そして、何かがいた!
 何かは真っ黒の触手のようなものを伸ばして、佐伯の四肢に巻き付け、闇の中に引きずり込もうとした。
 「助けて、細田君」
 細田は、動くこともできずに、助けを求める佐伯が闇に飲み込まれていくのを見ているしかなかった。
 佐伯の体が完全に個室の外へ引きずり出されると、扉は音もなく閉まった。
 個室の外からは「やめろ、やめろ・・・」という小さい声が聞こえて来た。
 やがて、佐伯の断末魔のような叫び声を聞いた後、何かが砕ける音が響き、続いて、何かをしゃぶるような音、引きちぎるような音も聞こえて来た。
 そして、一番大きな叫び声の後には、佐伯の声は一切聞こえなくなった。
 何かは満足したらしく、個室内に入り込んでいた濃い闇と一緒に、気配が綺麗さっぱりとなくなった。
 いつの間にか夜明けが来ていたので、体を動かせるようになっていた細田は急いで個室の鍵を開けて、外に出て、逃げるように家に帰った。
 トイレの床には、おびただしい量の赤黒い液体と小さな破片が広がっていた・・・


 あれ以来、いくら洗っても床に広がった赤い染みが落ちることはなかったそうだ。
 細田は事情を説明したが、誰にも信じてもらえなかった。
 結局、佐伯は外部の侵入者に殺されたという結論になった。
 これが、三階の外れのトイレが使用禁止になっている理由とのこと。
 あれ以来、細田は、暗闇が怖くて、夜は外出しないし、家にいるときはカーテンを閉め切って外を見ることはしない。当然、部屋の電気はつけっぱなしで寝ているとのこと。


 「結局、あのトイレは何だったんでしょうか?
 個室の中に入った二人の友情を確かめて、友情を裏切った者に罰を与えるのが何かなんでしょうか?
 あの時僕と一緒に脱出しようとした佐伯君と、佐伯君に助けを求められたのに助けることができなかった僕、一体どっちが友情を裏切ったんでしょうか?」


 細田エンディング№15:裏切り者はどちらか
 CGギャラリー:36/124


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 3階北側のトイレに着いた時、細田は「このトイレは僕と佐伯君が友情を確かめ合う儀式をしたトイレです。坂上君、悪いことは言いません。このトイレには入らない方がいいです」と坂上を引き留めた。
  1. 入る
  2. やめる
 細田は、坂上が入るというのを聞くと、自分も入ることにしたようだ。
 トイレに入ると、トイレは綺麗で、細田の話にあった血痕などは見当たらなかった。
 一行が外に出ようと歩き出すが、細田だけが俯いたまま動かない。
 「坂上君、僕たち友達ですよね」
 突然、細田がそう聞いてきた。
 何だか友達と肯定しないと動き出さそうにない雰囲気だったので、坂上は、「僕と細田さんは友達です」と答えて、細田の肩を叩いた。
 その途端、細田は坂上の手をがしっと掴んで、
 「僕たち友達だよね?友達だよね?
 ねえ、坂上君、助けて!足を掴まれて動けないんだ」
 細田の足元を見ると、細田の足には地面から伸びた手がいくつも絡みついていた。
 坂上は、思わず細田の手をはねのけ、一目散に出口へ向かった。
 走り出した坂上の足を誰かが掴んだ。
 倒れこんだ細田が坂上の足に絡みつき、抱え込んでずるずると引っ張る。
 「坂上君、ひどいよ。僕たち、友達だろ?友達を見捨てるなんてひどいよおおおおお!」
 細田が引っ張るので、坂上はトイレのタイルをずるずると滑っていく。
 気が付くと、坂上の体は砂の中に埋もれるように沈んでいた。振り向けば細田も同じようにずぶずぶと体が沈んでいた。
 「うふふふ、坂上君。もう絶対に離さないから。死ぬまで一緒だよ」
 坂上は遠くなる意識の中、軽はずみに、友達と言葉にした自分を呪った。


 7話目エンディング№11:口は災いの元
 CGギャラリー 37/124
 120:イカナイデ・・・イカナイデ・・・

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:トイレの恋開始!


 細田は1年生の頃、友達がいなかったので、いつも一人で過ごしていた。
 そんな細田のお気に入りの場所はトレイで、個室に入ってボーっとしていた。


 そんなある日の放課後、いつも通り、トイレの個室でボーっとしていた細田の耳に、隣の女子トイレから女性の悲鳴と何かが落ちる音が聞こえて来た。


 「坂上君、僕はどうしたと思う?」
  1. 女子トイレに入ってみた
  2. 知らんふりをした
 悲鳴が聞こえて来たのが女子トイレからだったので、男子の細田は躊躇して、しらんふりをしようとしたが、しくしくという泣き声が聞こえて来た。
 泣き声を無視するほど薄情な人間ではなかった細田は、女子トイレの様子を見に行った。
 すると、個室の開いたドアから女の子が足が見えて、同時に啜り泣く声が聞こえて来た。どうやら女の子が地べたに座り込んで泣いているようだ。
 「あの、いきなり入ってきてゴメンよ。その、隣のトイレにいたら悲鳴と泣き声が聞こえてきたら・・・」と細田が声を掛けた。
 細田がふと女の子の方を見ると、千切れたロープと、脱ぎ捨てられた上履きと、白い封筒が落ちているのに気付いた。
 もしかしたら、この子は自殺しようとしてたんじゃないか、と細田が思っていると、女の子は、「私、死のうと思ってたの」と言い出した。
 「どうして自殺しようと思ったの?」と細田が聞くと、女の子はぽつりぽつり話し始めた。
 大まかな理由は、付き合っていた彼氏に別に好きな人ができて、別れを切り出されたことだそうだ。
 で、トイレで自殺を図ろうとしたが、ロープが切れて未遂に終わったのだ。
 女の子は1年C組の室戸葵、と名乗った。
 とりあえず自殺を思いとどまった室戸は、細田のことを命の恩人だ、と言ってくれた。


 それ以来、細田と室戸は友達になり、廊下ですれ違う時に声を掛け合う仲になった。
 そんなある日、細田は、室戸から、一緒に帰ろう、と誘われた。
 二人で一緒に帰ってると、突然、室戸が「あっ」と声を上げた。
 前の見ると、鳴神学園の制服を着たカップルが楽しそうに歩いていた。
 室戸は、突然駆け出して横の路地に入ってしまったので、細田は室戸を追いかけた。
 追いついた室戸を見ると、肩を震わせて悲しみに耐えていた。
 細田は、前を歩くカップルの男は、室戸の前の彼氏だと気づき、こんな風に室戸を悲しませる男に対し憤りを抱いた。
 「細田君、ごめんね。いきなり隠れたりして。
 さっき前を歩いていた男の子、私の彼氏だったの。
 私、このままだと学校にも行きたくないな」
 室戸のことを可哀そすぎると思った細田は、何とかしてやりたいと思い、「何か自分に協力できることはないかな?」と言ってしまう。


 「坂上君、彼女は僕に何を頼んだと思う?」
  1. 彼氏を呼び出してほしい→「違います」→2へ
  2. 彼女を呼び出してほしい
  3. わからない→細田エンディン№08:黒い赤ん坊→7話目エンディング№10:赤く彩られて細田エンディング№09:聞こえてくる音
 「あの人の彼女を呼び出してほしいの。私じゃ彼女を呼び出すことができないから。お願い、細田君」
 室戸はそう言うと、細田に深々と頭を下げた。
 そんな風にお願いされた細田は断ることができず、彼女の頼みを聞くことにした。


 その後、細田は室戸の彼氏と今の彼女について話を色々と聞いた。
 室戸の彼氏は、同じ1年生の片瀬隆二で、サッカー部に所属しており、女の子に人気があった。
 そして、片瀬の今の彼女は、細田と同じクラスにいる戸沢美紀で、男子生徒からも人気があり、クラスの女子たちのボスみたいな存在だった。
 細田は、「ちょっと来てもらえませんか」と言って。戸沢を呼び出すことができないので、彼女の持ち物を拝借して、それを餌に彼女を呼び出すことにした。
 細田は彼女の机から、彼女が自慢していた、お爺ちゃんから入学祝いでもらった高価な万年筆を拝借して、手紙を入れた。
 細田は、手紙に「あなたの落とし物を拾いました。返したいので、放課後、屋上まで来てください」と書き、室戸に、万年筆を渡しながら報告すると、室戸は笑顔を見せてくれて、細田は、人の役に立つことができたと浮かれていた。


 翌日、細田が学校へ行くと、屋上から戸沢が飛び降りて死んだ、と大騒ぎになっていた。
 細田は、室戸が戸沢を殺したのだと確信し、問いただすことにした。


 休み時間、細田の訪問を受けた室戸は、人気のない校舎裏に細田を連れて行き、いきなり細田の胸の中に飛び込んできて、昨日のことを話し始めた。
 室戸が戸沢を呼び出したのは、片瀬と別れてほしいと切り出すつもりだった。
 ところが、戸沢は、室戸の話を聞こうともせず、万年筆を返せ、と暴力に訴えて来た。そして、もみ合っているうちに万年筆が屋上から落ちそうになり、それを取ろうと身を乗り出した戸沢はそのまま・・・
 室戸のことを可哀そうに思った細田は、「絶対に誰にも言わないよ、二人だけの秘密だよ」と言った。


 それから1か月ほど経ち、事件が沈静化していったが、戸沢を失った片瀬はだんだんとふさぎ込む様になっていった。
 室戸は片瀬を励ましており、そんな二人を遠くから細田は見ていた。
 室戸と片瀬がいい雰囲気になっていくにつれて、ある噂が目立つようになってきた。
 それは、戸沢が飛び降りた場所で、彼女がとてつもない怒りの表情で佇んでいる、というもので、日に日に目撃例が増えて行った。


 そんなある日、掃除当番だった細田が、ゴミを捨てるために校舎裏の焼却炉に向かっていると、誰かの泣き声が聞こえて来た。
 それは室戸で、細田は、「どうしたの」と声を掛けた。
 「片瀬君が、やっぱり戸沢さんのことが気になるから、私とは付き合えないって」
 そう言って、彼女は泣き出してしまった。
 室戸は、片瀬に「私達、やり直さない?」と告白したところ、片瀬に断られたのだ。
 「片瀬君の中には、まだあの女の影がいるのよ!」
 彼女の瞳には憎悪の炎が見てとれたが、細田は、その顔をキレイだと思った。細田は、室戸に恋をしていたのだ!
  1. 告白した
    • → 「僕じゃ駄目かな?」
    •   室戸は、「ごめんなさい。でも、細田君はいい人だと思うわ」と答えた。
  2. 告白しなかった
    • → 「ごめんよ、力になれなくて」
    •   室戸は、「そんなことはないわ。細田君は、十分いい人だと思うわ」と答えた。
 室戸とのやりとりの数日後、細田は室戸を元気づけるために、遊園地のチケットを渡そうと思った。
 しかし、その日の学校では室戸の姿が見えず、チケットを渡せないまま下校となってしまった。
 そして、公園で激しく言い争いをしている室戸と片瀬の姿を見かけた細田は、二人に見つからないようそっと公園の茂みの中に隠れた。
 どうやら、室戸は、片瀬にまた付き合ってほしい、とお願いしているようだった。
 「何度言われても、もうお前の気持ちには応えられないんだ」
 「戸沢さんは、もう死んだよの。いつまでも過去の人影を引きずってたら駄目よ」
 「怖いんだよ。美紀が夢に出てくるんだ。あなたを一生手放さないって。
 きっと、あいつ成仏していないんだ。お前も俺と一緒にいると美紀の霊に何されるかわからないぞ」
 「私は大丈夫よ。私が一番辛いのは、あなたに嫌われることよ。だから、戸沢さんの霊なんて怖くない。私があなたを守るわ」
 「葵、お前、なんでそんなに俺にこだわるんだよ。俺以外にも、他に男はいっぱいいるんじゃないか。お前ならかわいいし、他にいくらだって」
 「片瀬君じゃなきゃ駄目なの。駄目なんだよぉ・・・」
 その言葉に打たれたのか、片瀬は室戸に向き直ると泣いている室戸の肩に優しく手を置いた。  「泣くなよ」とその手で、室戸の瞳の涙をぬぐった。
 そのまま、二人は顔を寄せ合い、キスをした。
 二人のキスを目撃して、動揺した細田は物音を立ててしまい、室戸に気づかれてしまった。
 「誰?」
 「あの、その、ごめんなさい」
 「細田君」
 細田はどうしていいかわからず、そのまま走り出してしまった。
 「おい、あいつ、葵の知り合いじゃないのか?追わなくていいのか?」
 「どうでもいいわ」
 背中越しに刺さった言葉の重みで、細田は少し走ったところで、膝をついてしまった。
 いい人いいっていうのは、良いとは違う、どうでもいい人って意味だったのだ。
 そんなとき、細田の脳裏にあることが思い出された。それは秘密の約束だった。
 戸沢の一件は、室戸が嘘をついているかもしれないということだ。
 細田はその足でそのまま警察へ行き、あの日の出来事をすべて話した。


 次の日、細田は警察からは何も罰せられなかった。
 ただ室戸に関しては詳しくいろいろ聞かれたことと、戸沢の遺体には自殺にしては不可解な点がいくつもあったことから、警察は殺人事件として追っていた、ということだった。


 そして、運命の瞬間が始まった。
 放課後の学校に、不穏な空気を含んだ声が木霊した。
 「来ないで!」
 屋上の柵から身を乗り出した室戸だった。
 その近くには、刑事らしい中年の男性が2人、焦った様子で室戸を必死に説得していた。
 おそらく昨日の話を聞いた警察が、今日になって室戸に事情聴取をしに来たのだろう。
 「なんで、皆、私と片瀬君の邪魔をするの!」
 大勢の野次馬が周りに集まってくる。
 「葵、お前何やっているんだ!」
 気づくと細田の隣で、片瀬が焦った表情で、室戸に声を掛けていた。
 「片瀬君、きゃあ!」
 突然、室戸が足を踏み外して地面に落ちかけた。かろうじて腕1本で床を持ち、体を支えている状態だ。
 屋上に待機していた刑事たちは、急いで室戸の元に駆け寄り、引き上げるために柵を乗り越えようとしていた。
 その時、細田は見てしまった。
 屋上の柵を越えたわずかな縁の部分から、凄まじい形相で室戸をにらんでいる戸沢の姿を・・・
 「いやあ!」
 悲鳴を上げた室戸の表情から察するに、彼女にも戸沢の霊が見えていたのだろう。
 「美紀・・・」
 片瀬からも、そんなつぶやきを聞こえて来た。少なくとも、室戸、片瀬、細田には、戸沢の姿がはっきりと見えていた。
 「来ないで!」
 室戸は戸沢から逃げようと必死になっていたが、戸沢の霊は彼女が支えている腕に嚙みついた。
 室戸の悲鳴が聞こえ、地面に叩きつけられた音がした。
 そして、地面には室戸だった肉塊が散らばった。


 室戸が死んだことによって、事件の真相は永遠に闇に包まれていしまった。
 でも、細田には何となく、室戸が戸沢を突き落とし、命を奪われた戸沢が彼女に復讐したということが、わかった。
 戸沢と室戸、彼女だった二人を亡くした片瀬は酷く憔悴していた。


 あの事件から1週間ほど経ったある日、細田は片瀬から声を掛けられた。
「ちょっと、こっちに来い」
 細田は校舎裏に連れていかれた。
 「お前、あの事件のこと、何か知っているんだろう?」
 片瀬は事件について何も知らないようでした。ただ短期間の間で、彼女だった2人が屋上から飛び降りて死んだのだ。
 「僕は何も知りません。室戸さんとは知り合いなだけで、今回の事件に関しては僕は何もしらないんです」
 片瀬はその場でうなだれた。
 「夢で2人が出てくるんだ。俺の枕元に立って何か言いたそうな顔で、俺のことをずっと見てるんだよ。それが毎晩続くんだ。俺はもう気が狂いそうだ。あいつら、俺に一体、何をしてほしいんだ」
 「片瀬君、現場に行ってみたらどうです?彼女たちが死んだ現場に行って、彼女たちの霊に直接聞いてみたらいいと思います」
 「あの場所に美紀と葵はまだいるのか?お前には、それが見えるのか?」
 「ええ、僕には霊感があるんですよ。彼女たちは、飛び降りた地面に根を張るように、ずっと佇んているです。そして、一日でも早く成仏できるのを待っているんですよ。多分、彼女たちを成仏させられのは片瀬君しかいないと思います」
 「そうか、俺はどうしたらいいんだ?」
 本当を言うと、細田には2人の霊は見えなかったが、妙な予感がした。きっと彼が行けば2人は出てきてくれるんじゃないかって。


 その日の夜、細田は片瀬と校門で待ち合わせをして、あの場所へと向かった。
 「い、いるのか?」
 「いや、片瀬君が呼びかければ、きっと出て来てくれると思います」
 「美紀・・・葵・・・」
 すると、片瀬の言葉に呼応するように、戸沢と室戸の姿で青白いシルエットが浮かび上がった。
 「教えてくれ、お前たちは俺にどうしてほしいんだよ?」
 戸沢の霊が呟いた。
 「私たちのどちらか一人を選んで。どっちがあなたの彼女か。そして口づけしてほしいの。そうしたら、成仏できる」
 片瀬はおびえながらも、彼女たちに近づき、2人の顔を交互に見た。そして、覚悟を決めたのか、室戸の方に歩み寄った。
 その時、戸沢がいきなり目を見開いて、ものすごい形相で片瀬をにらんだ。
 片瀬が思い直したのか、戸沢へ顔を近づけた。
 でも、今度は、室戸がものすごい形相で片瀬のことを見つめた。
 どちらかにキスしようとすると、また一方か呪い殺さんばかりの表情で、片瀬のことをにらんできりがない。
 業を煮やしたのか戸沢が片瀬の腕を掴むと、それを見た室戸も片瀬の腕を掴んだ。
 「助け・・・」
 片瀬は苦痛に顔をゆがめながら、細田に助けを求めたが、どうすることもできない。
 彼女たちは、片瀬の腕を力任せにぐんぐんと引っ張る。
 ボキっと腕の骨が折れる音が聞こえた。
 それもで彼女たちは腕を引っ張るのを辞めなかった。
 いつしか腕からは血が噴き出し、みしみしと肉が千切れる音が聞こえた。
  「あがぎゃあああ!!!」
 彼の悲痛な叫びとともに、両腕は夥しい血を噴き出しながらもげてしまった。両腕をもがれた片瀬は血に塗れ、体をぴくぴくと痙攣させていた。
 室戸と戸沢の霊は、そんな片瀬を見ながら悲しそうな顔をして、ふっと消えてしまった。
 校庭には腕をもがれて片瀬と、ちぎれた両腕だけが残った。
 緊張の糸が途切れた細田は、その場で気を失ってしまった。そして、気づいた時は病院にいた。
 片瀬は、出血がひどくて死んでしまった。
 最初は、細田が犯人かと疑われていたが、とても人間業には思えない死に方だったので、警察も深く追及することはなかった。
 ほどなくして細田は、退院し学校へ戻った。


 「ありがとうございました」
 坂上は戸沢と室戸の霊はその後どうなったんだろう、と考えながらふと視線をドアに向けたとき、ドアの隙間、ほんの数センチ開いた隙間から、青白い顔をした女の顔がこちらをじっと見つめていた。そして、目が合うと、その顔はしゅっとドアの奥に引っ込んでしまった。
 「見たんだね」
 細田がにやけた顔を坂上を見る。
 「あれはね、室戸さんの霊だよ。あの事件の後から気づくと、いつもどこでもどんな場所でも、ありとあらゆる隙間から彼女が僕のことを見ているんだ。もしかしたら、僕が秘密をしゃべったことを怒っているのかもしれない。でも、僕は幸せなんだ。だって片瀬君じゃなくて、ずっと僕だけのことを見てくれているんだものね。うふ、うふふ」


 細田エンディング№07:トイレの恋
 CGギャラリー:36/124
 №56:彼は渡さないわ

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 1回目は、2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:トイレの恋開始!


 細田は1年生の頃、友達がいなかったので、いつも一人で過ごしていた。
 そんな細田のお気に入りの場所はトレイで、個室に入ってボーっとしていた。


 そんなある日の放課後、いつも通り、トイレの個室でボーっとしていた細田の耳に、隣の女子トイレから女性の悲鳴と何かが落ちる音が聞こえて来た。


 「坂上君、僕はどうしたと思う?」
  1. 女子トイレに入ってみた
  2. 知らんふりした
 女子トイレに入るのは気が引けたが、悲鳴を無視するほど薄情な人間ではなかった細田は、女子トイレの様子を見に行った。
 すると、個室の開いたドアから女の子が足が見えて、同時に啜り泣く声が聞こえて来た。どうやら女の子が地べたに座り込んで泣いているようだ。
 「あの、いきなり入ってきてゴメンよ。その、隣のトイレにいたら悲鳴と泣き声が聞こえてきたら・・・」と細田が声を掛けた。
 細田がふと女の子の方を見ると、千切れたロープと、脱ぎ捨てられた上履きと、白い封筒が落ちているのに気付いた。
 もしかしたら、この子は自殺しようとしてたんじゃないか、と細田が思っていると、女の子は、「私、死のうと思ってたの」と言い出した。
 「どうして自殺しようと思ったの?」と細田が聞くと、女の子はぽつりぽつり話し始めた。
 大まかな理由は、付き合っていた彼氏に別に好きな人ができて、別れを切り出されたことだそうだ。
 で、トイレで自殺を図ろうとしたが、ロープが切れて未遂に終わったのだ。
 女の子は1年C組の室戸葵、と名乗った。
 とりあえず自殺を思いとどまった室戸は、細田のことを命の恩人だ、と言ってくれた。


 それ以来、細田と室戸は友達になり、廊下ですれ違う時に声を掛け合う仲になった。
 そんなある日、細田は、室戸から、一緒に帰ろう、と誘われた。
 二人で一緒に帰ってると、突然、室戸が「あっ」と声を上げた。
 前の見ると、鳴神学園の制服を着たカップルが楽しそうに歩いていた。
 室戸は、突然駆け出して横の路地に入ってしまったので、細田は室戸を追いかけた。
 追いついた室戸を見ると、肩を震わせて悲しみに耐えていた。
 細田は、前を歩くカップルの男は、室戸の前の彼氏だと気づき、こんな風に室戸を悲しませる男に対し憤りを抱いた。
 「細田君、ごめんね。いきなり隠れたりして。
 さっき前を歩いていた男の子、私の彼氏だったの。
 私、このままだと学校にも行きたくないな」
 室戸のことを可哀そすぎると思った細田は、何とかしてやりたいと思い、「何か自分に協力できることはないかな?」と言ってしまう。


 「坂上君、彼女は僕に何を頼んだと思う?」
  1. 彼氏を呼び出してほしい
  2. 彼女を呼び出してほしい
  3. わからない
 室戸は、「今日の夜、私と出会った新校舎のトイレに来てほしいの」と言ってきたので、細田は「行く」と返事して、その場は別れた。


 「坂上君、なぜ彼女は僕をトイレに呼び出したんだと思う?」
  1. 何か企みがあった→細田エンディン№08:黒い赤ん坊→7話目エンディング№10:赤く彩られて
  2. 相談事があった
 「相談事があったのなら、わざわざ深夜のトイレに呼び出す必要はないと思うんですよ。
 あのトイレじゃなきゃダメな何かを考えていると、何だか尻込みしてしまって・・・」
 細田はそうもんもんと考えているうちに居眠りをしてしまい、気づいたら朝になっていた。
 翌朝細田が学校へ行くと、室戸があのトイレで首を吊って死んでいた。遺書らしきものは見つからなかったが、警察は自殺と断定した。
 後でわかったことだが、室戸は事あるごとにあのトイレで自殺未遂を繰り返していた。それに、虚言癖の持ち主で、日常的に嘘をつく人物としてクラスでは浮いた存在だった。
 思い起こせば、室戸はいつも一人でいたし、室戸の彼氏の話は嘘だったのだ。
 今も細田が2階のトイレに入ると、女子トイレの方から小さな悲鳴と何かが落ちる音、すすり泣く声が聞こえてくるため、そこは使えなくなってしまったとのこと。


 「一体彼女は何で僕をあのトイレに呼んだんでしょうか?
 でも、あの日、僕が約束を守ってあのトイレに行っていれば、彼女が自殺で死ぬことはなかったと思います」


 細田エンディング№09:聞こえてくる音
 CGギャラリー 35/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目クリア
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。
 2:特に気にしていない→2:面白いですよで、シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03のどれかを見る。7話目:パラレルトイレツアーで、1階のトイレ→7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上


 再度6人目は細田友晴で、違う選択肢を選んでみる。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:トイレの恋開始!


 細田は1年生の頃、友達がいなかったので、いつも一人で過ごしていた。
 そんな細田のお気に入りの場所はトレイで、個室に入ってボーっとしていた。


 そんなある日の放課後、いつも通り、トイレの個室でボーっとしていた細田の耳に、隣の女子トイレから女性の悲鳴と何かが落ちる音が聞こえて来た。


 「坂上君、僕はどうしたと思う?」
  1. 女子トイレに入ってみた
  2. 知らんふりした
 女子トイレに入るのは気が引けたが、悲鳴を無視するほど薄情な人間ではなかった細田は、女子トイレの様子を見に行った。
 すると、個室の開いたドアから女の子が足が見えて、同時に啜り泣く声が聞こえて来た。どうやら女の子が地べたに座り込んで泣いているようだ。
 「あの、いきなり入ってきてゴメンよ。その、隣のトイレにいたら悲鳴と泣き声が聞こえてきたら・・・」と細田が声を掛けた。
 細田がふと女の子の方を見ると、千切れたロープと、脱ぎ捨てられた上履きと、白い封筒が落ちているのに気付いた。
 もしかしたら、この子は自殺しようとしてたんじゃないか、と細田が思っていると、女の子は、「私、死のうと思ってたの」と言い出した。
 「どうして自殺しようと思ったの?」と細田が聞くと、女の子はぽつりぽつり話し始めた。
 大まかな理由は、付き合っていた彼氏に別に好きな人ができて、別れを切り出されたことだそうだ。
 で、トイレで自殺を図ろうとしたが、ロープが切れて未遂に終わったのだ。
 女の子は1年C組の室戸葵、と名乗った。
 とりあえず自殺を思いとどまった室戸は、細田のことを命の恩人だ、と言ってくれた。


 それ以来、細田と室戸は友達になり、廊下ですれ違う時に声を掛け合う仲になった。
 そんなある日、細田は、室戸から、一緒に帰ろう、と誘われた。
 二人で一緒に帰ってると、突然、室戸が「あっ」と声を上げた。
 前の見ると、鳴神学園の制服を着たカップルが楽しそうに歩いていた。
 室戸は、突然駆け出して横の路地に入ってしまったので、細田は室戸を追いかけた。
 追いついた室戸を見ると、肩を震わせて悲しみに耐えていた。
 細田は、前を歩くカップルの男は、室戸の前の彼氏だと気づき、こんな風に室戸を悲しませる男に対し憤りを抱いた。
 「細田君、ごめんね。いきなり隠れたりして。
 さっき前を歩いていた男の子、私の彼氏だったの。
 私、このままだと学校にも行きたくないな」
 室戸のことを可哀そすぎると思った細田は、何とかしてやりたいと思い、「何か自分に協力できることはないかな?」と言ってしまう。


 「坂上君、彼女は僕に何を頼んだと思う?」
  1. 彼氏を呼び出してほしい
  2. 彼女を呼び出してほしい
  3. わからない
 室戸は、「今日の夜、私と出会った新校舎のトイレに来てほしいの」と言ってきたので、細田は「行く」と返事して、その場は別れた。


 「坂上君、なぜ彼女は僕をトイレに呼び出したんだと思う?」
  1. 何か企みがあった
  2. 相談事があった
 細田は室戸の約束を守る為、学校へ向かった。
 室戸が校舎裏の非常口の扉を開けておいてくれていたので、細田は難なく夜中の学校に忍び込むことができた。
 細田は、室戸と約束したトイレの個室の前に立つと、背後から、「細田君」と室戸の声が聞こえて来た。
 細田が振り返ると、笑顔の室戸が立っており、「来てくれてありがとう」と言った。
 細田が、「一体トイレに呼び出して何をするの?」と問いかけると、
 「ぜひ細田君に協力してもらいたいことがあるの」と、室戸が行って、トイレの個室のドアを開けた。
 「何でも協力してくれるって言ってくれたよね。じゃあ私の代わりにここで死んでほしいの。
 私ね、あの人が憎くてたまらないの。でもね、普通に殺すは嫌。呪われて散々もがき苦しんだ挙句に死んでほしいの。
 そのためには生贄を捧げる必要があるの」
 そう言って室戸が便器を指差すと、黒くと柔らかい何かが這い出してきた。
 そいつは、さかりのついた猫のような鳴き声を上げながら、泣き始めた。
 室戸は、「よしよし、泣かないで」と言いながら、そいつを抱き上げた。
 「細田君、この子は私と彼氏の子なの。赤ちゃんができたけど、うまく育ってくれなくて、このトイレで流れちゃったの。
 それ以来、このトイレに入るとこの子が現れるようになったんだよ。
 それでこの子が言ったの。『お母さんの恨みを晴らしてあげる』って。でもそのためにはいろいろな命が必要なんだって。猫とか犬とかいろいろあげたんだけど、それじゃ弱いみたいで・・・
 だったら私が死のうと思ったんだけど、細田君が死んでくれるならそっちの方が助かるかな」
 室戸は、どこからかロープを取り出して言った。
 「これを首にかけて釣ってほしいの」
 じりじりと近づいてくる室戸を、足が動かない細田は必死に腕を振って抵抗した。
 その時、細田の腕が室戸に当たり、バランスを崩した室戸は黒い赤ん坊のようなものを落としてしまった。
 その瞬間、細田の足は動くようになったので、大急ぎでトイレから脱出した。


 翌朝、細田が学校へ行くと、2階の女子トイレで、死体が見つかったと大騒ぎになっていた。
 死体は自殺した室戸だった。


 「今思うと、室戸さんは、トイレに棲む何かに騙されていたんだと思います。
 あの黒い赤ん坊は、室戸さんが死んでも満足するようなモノに見えませんでした。
 もしかしたら、今も生贄を待ち続けているのかもしれませんね。あのトイレでずっと・・・」


 細田エンディング№08:黒い赤ん坊
 CGギャラリー 35/124
 №55:愛の結晶


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 2階北側のトイレに着いた。
 細田は、「黒い赤ん坊が出た女子トイレの隣だよ」と言った。
 すると、どこからか赤ん坊の泣き声が聞こえて来た。
 坂上が慌てて細田を見ると、細田は脂汗を垂らして、白目を剥き、ぷるぷると震えており、今にも卒倒しそうになっていた。
 坂上が細田の体を揺らすと、細田は意識を取り戻した。
 今は赤ん坊の泣き声は聞こえないが、トイレには何か濃密な異様な気配が漂っている。


 坂上と細田がトイレの外に出ると、廊下には付いてきてくれていたはずの福沢の姿がない。
 その時、女子トイレの方からガラスの割れる音が聞こえて来た。
 福沢の安否を確認するため、女子トイレの中に入ると洗面所のガラスが割れており、辺りに血痕が散らばっていた。
 そして、その血痕はトイレの個室に続いていた。
 血痕が続いているトイレの半開きの扉を開けた瞬間、福沢がそこにいた。
 「私の赤ちゃん・・・」
 虚ろな目をした福沢が、便器から這い出る赤ん坊のようなものに、洗面所のガラスで切った手首の血を垂らして飲ませていた。
 「え?まだ足りないの?」
 そう呟いた福沢は、ガラスの破片を首にあてがい、真一文字に喉を切り裂いた。
 血のシャワーを浴びながら、黒い赤ん坊は歓喜に震えている。
 そして、福沢も坂上も真っ赤に染められていく。


 7話目エンディング№10:赤く彩られて
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君
 5人目は岩下明美を選択→シナリオ:ポプリ→岩下エンディング№13~15


 6人目は細田友晴を選択。


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった
 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:魅惑のトイレ開始→細田エンディング№01~03のどれかを見る。


 シナリオ:パラレルトイレツアー開始!


 6人目の話が終わったが、一向に7人目が来る気配がない。
 坂上がこのまま解散しようと言い出すと、細田が、「これから学校のトイレを回ってみましょう」と提案する。
 この学校のトイレの怪異の数は尋常ではないので、学校のトレイを巡れば何かしらの怪異に遭遇できるかもしれない、とのことだ。
 他のメンバーも賛同したため、一行はトイレを巡ることになった。


 「どのトイレを見て回ろうか」
  1. 1階のトイレ
  2. 2階のトイレ
  3. 3階のトイレ
  4. 体育館
  5. 旧校舎
 1階北側のトイレでは何も起こらなかった。
 次に1階南側のトイレへ向かう。ここは細田が別の世界へ行ける不思議なトイレで、お気に入りの場所だと言っていたところだ。
 「そうだ、坂上君。せっかくだから、僕のお気に入りのトイレに入ってみませんか」
 細田にそう勧められた坂上は、「わかりました、入ってみます」と答えた。
 細田は邪魔しちゃ悪いからと言って、皆を連れて外に出て行った。
 一人残された坂上は、細田のお気に入りのトイレに入ったが、普通のトイレだった。坂上は、しばらくそこでじっとしていたが、不思議な感覚は起こらなかった。
 1年生で司会という大役を任されていた坂上は、そこで緊張の糸が途切れ、トイレの中で居眠りをしてしまう。
 どれくらいの時間が経ったかわからないが、目を覚ました坂上は急いでトイレを飛び出した。
 外にはみんなが待っており、「修子ちゃん、遅いよ」「坂上さん、遅いぞ」と言われてしまう。
 みんなに女の子扱いされている気づいた坂上は、「どうしたんですか、みなさん。まるで僕が女の子みたいな言い方をして」と言い出す。
 それを聞いた風間に、「どうしたんだい、修子ちゃん。まさか、トイレで本当に入れ替わっちゃったのかい?トイレの鏡で確認してきたら?」と言われてしまう。
 坂上が慌ててトレイに入り、鏡で自身の姿を確認すると、そこにはどことなく坂上に似た見たこともない女の子が映っていた。
 どうやら坂上は、自分が女の子である世界の坂上と入れ替わってしまったようだ。
 自分と入れ替わって別の世界へ行ってしまった修子のことも案じながら、これからの自分のことも心配な坂上。


 7話目エンディング№09:パラレルワールドの坂上
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君


 5人目は岩下明美を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです
 「そう、何も答えたくないのね。そんなあなたにぴったりの話があるの」


 シナリオ:ポプリ


 鳴神学園に女の子が転校してきた。
 彼女の名前は高瀬美香。
 転校生は自然とクラスになじんでいくものだが、高瀬はいつまで経ってもクラスの中で特別な存在だった。
 例えるなら、まるでアヒルの群れに白鳥が混じっているような、そんな感じだった。
 高瀬は美しかったが、際立って美人だったというわけではなかった。
 それでも、みんなは一目置いていた。
 落ち着いた物腰と思慮深さを感じさせる発言。そして何よりも、彼女からはいつもとてもよい香りがしていた。
 香りといっても、ブランド物の香水のように主張が激しいものではなく、彼女の動きに合わせて、ほんのりと空気に混じるような、そんな控えめな香りだった。
 高瀬とすれ違う時、ふわりと風に乗ったその香りにときめいて、思わず振り返ってしまう男子も多かった。
 だから、高瀬の香りの秘密の聞きたがる女の子は、後を絶えなかった。
 でも、高瀬は誰にもでも打ち明けてくれた。
 ポケットから可愛らしい小袋を取り出して、匂いの元はこれよって。
 その袋の中には、ポプリが入っていた。
 ポプリというのは、香りのいい花やハーブ、スパイスなどを乾燥させたものだ。
 数種類のドライフラワーを作り、それに何種類か混ぜ合わせてから精油を加え、なじませてから、サシェという小さな袋に詰めて、バッグの中に入れて持ち歩いたり、タンスに忍ばせたりして、香りを楽しむものだ。
 女の子たちから、「このポプリ私も欲しい」と言われた高瀬は、自分で作っている、と答えた。
 作り方を教えてほしい、と言われた高瀬は、「特殊な作り方をしているから、みんなにはちょっと難しいと思うわ」と答えて、ポプリを分けてくれた。
 あっという間にクラス中の女の子たちの間に、高瀬のポプリが広まった。
 そして、ポプリが入っていた可愛らしいサシェも、高瀬の手作りだった。


 「みんながその時点で満足していたら、何も問題は起こらなかったわ。
 でも、中にはいるのよね、秘密といわれると、どうしても知りたくなる人。
 坂上君、あなたもそんな人たちの一人なのではなくて?」
  • 1:そうかもしれない
    • → 「ふふふ、報道にかける情熱は強いみたい。
       でも、西洋のことわざに、好奇心はネコを殺す、というものがあるのよ。
       あまりになんにでも首を突っ込もうとすると、酷い目に遭うという意味よ。うふふふ」
  • 2:そんなことはない
    • → 「あなた新聞部でしょ、それならもっと探求心を持たないとダメね」
 
 高瀬のクラスに弘前歩美という子がいた。
 彼女も、高瀬からポプリをもらっていたが、彼女は、他人が少しでも自分より勝っているのが気に食わないという性格だった。
 自分も高瀬以上にいい香りのポプリを作って、みんなを羨ましがらせないと考えた。
 弘前は、高瀬からもらったサシュの袋をばらして、中身を見た。中にはたくさんの種類のドライフラワーや、乾燥させたスパイスが入っていた。
 それを一つ一つ調べて、同じようなものを用意した。
 でも、同じように素材を用意しても、まったく同じものを作ることは難しかった。アロマオイルは香料を混ぜて、オリジナリティを出していたからだ。
 弘前は、必死にポプリの匂いをかいで、どんな香料が使われているのか、突き止めようとした。
 でも、どんなに同じように作っても、オリジナルには、到底及ばない出来だった。
 弘前は悔しい気持ちを必死に隠して、高瀬に作り方ノレシピを教えてほしい、と頼み込んだが、高瀬は決して教えてくれなかった。
 高瀬は作り方を独り占めして、自分だけ人気者でいたいに違いない、と弘前は、次第にそんな風に思いつめるようになっていった。


 そんなある日、なんとしてもポプリの秘密を知りたかった弘前は、こっそりと高瀬の後をつけようと考えた。
 もしかしたら材料を仕入れているお店に立ち寄るかもしれないし、家の窓をのぞいたら材料が見られるかもしれない。
 高瀬が学校を後にすると、弘前が後を付けていることに気づかず確かな足取りで歩いて行った。
 高瀬は、住宅街を抜け、田畑はあぜ道ばかりが目立つ景色も通り越し、夜の闇が空を覆い始めるころに薄暗い森の入り口に差し掛かった。
 木々はうっそうと茂り、先はまったく見えない。


 「ねぇ、彼女はどうしたと思う?」
  1. 後をつける
  2. 引き返す
 弘前は勇気を振り絞って、暗い森の中へ足を踏み出した。
 鬱蒼とした森の中は、すっかり宵闇に包まれていた。
 高瀬は鞄の中から懐中電灯を取り出した。
 弘前は、高瀬が懐中電灯を持っていることに驚きつつ、懐中電灯の明かりを見失わないように後をつけ続けた。
 しばらく歩いていると、木々が開けて、月の明かりの中に一件の小さな家が浮かび上がった。それは丸太を組んで作られた山小屋のような小さな建物だった。
 高瀬は、手慣れた手付きで玄関のドアを開けると中に消えていった。
 しばらくして窓に明かりが灯ったことを確認すると、弘前は自分もその小屋に近づいた。
 お伽噺に出てくる魔女のおばあさんが住んでそうな、無骨で陰気な木の小屋。
 弘前が忍び足で窓辺に歩み寄り、中を覗こうとしたその時、突然家のドアが開いたので、弘前は手近な茂みに姿を隠した。
 家から出てきた人物は、弘前の存在に気づく素振りも見せず家の裏手へと歩いていった。
 家から出てきた人物は、頭からすっぽりと黒いローブを被っていた。
 裾からのぞくスカートは鳴神の制服だったので、きっと高瀬だろう、と弘前は思った。
 そして、少し離れた木々の間から、その人物の挙動を探ることにした。
 黒いローブの人物は、家の裏手にある物置ほどの大きさの小屋に入ったかと思うと、黒い何かを掴んですぐに出てきた。
 バタバタを大きな音をたてて暴れ、のどから絞り出すような声を上げていたのは1羽の雄鶏だった。
 そして人物はしゃがむと、躊躇うことなく雄鶏の首を両手でつかみ、その場でくびり殺した。
 弘前は喉元まで出かけた悲鳴を必死に押し殺した。
 初めて命が奪われる瞬間を目にした弘前は、恐怖のあまり、歯の根が合わなくなるくらいに動揺して、両の目からは涙がぽろぽろとあふれてきた。
 (こんなに怖い思いをするぐらいなら、もう帰ったほうがいいかもしれない)


 「今なら、まだ引き返すことができる」
  1. 帰る
  2. 帰らない
 「本当にその先を知っても後悔しない?」
  1. やっぱり帰る
  2. それでも帰らない
 湧き上がる恐怖をぐっとこらえて、弘前はその場に踏み留まった。
 でも、目の前の光景に気をとられていたせいか、後ずさったときに、服に木の枝が引っ掛かって音を立ててしまった。
 黒いローブを被った人物は鋭くあたりを見回して、弘前が潜む木陰へと近づいた。


 「ど、どうしよう・・・」
  1. 逃げる
  2. 逃げない→弘前は高瀬の前に出て、ポプリの作り方を教えてほしい、と言ったが、後頭部を殴られ気絶してしまう→(逃げなかった場合はここからへ飛ぶ)
 (逃げよう)
 そう決断した弘前は、元来た道を目指して、木陰を飛び出した。
 でも、黒いフードの人物が弘前の腕を掴んだ。
 「離して!」
 「弘前さん?」
 黒いローブの下から姿を現したのは高瀬だった。
 「何をしているの、こんなところで?」
 高瀬の声は、いつものように穏やかで優しい口調だった。
 「あの、道に迷って」
 「大変だったわね。こんな時間に外で立ち話もなんだから、ちょっと寄ってく?」
 「ええ・・・」
 優しい笑顔の影で、高瀬は弘前の服の裾をしっかりと掴んでいた。


 「ようこそ、私の家へ」
 弘前は、部屋の中央にある木のテーブルに案内された。
 「お茶でもいかが?」
 「あ、ありがとう」
 まるで雪山のロッジのような家の中は、整頓されてはいたけれど、質素で生きていくのに必要最小限のものしか置かれていなかった。
 ただ窓際には、これからポプリに材料にするのかしら、ドライフラワーになる途中の薔薇の花束がいくつも吊るされていた。
 部屋の隅には、蝋燭が灯ったアロマポットがあって、そこからなんともいえない甘くていい匂いが漂ってくる。
 トレーにティーカップを2つ載せて高瀬がやってきた。
 「高瀬さん、ここに一人で住んでるの?」
 「ええ、まあね。そんなことより、飲んで」
 「あ、ありがと」
 弘前は、カップをひとつ受け取ると中を覗き込んだ。
 それは、アロマポットから漂う香りに似て、甘く弘前の鼻腔をくすぐった。
 「ところで、これ何のお茶?」
 「ああ、これ?私が作ったハーブティーよ。どうぞ」
 弘前はカップに口を近づけた。


 「この先、彼女は本当に飲んだと思う?」
 弘前は、お茶には口を付けず、カップを傾けて飲む真似をした。
 「どう?」
 「うん、おいしいね!」
 「ふうん・・・」
 二人はお茶を囲みながらしばらくハーブの話をしていた。
 そのうち不意に高瀬が立ち上がり、奥の部屋に続く扉の向こうに姿を消した。
 「弘前さん、ちょっと来てくださる?」
 弘前は隣の部屋を覗いた。
 その瞬間、弘前は後頭部に鈍い痛みを感じて、その場にうずくまった。
 意識が暗闇に飲み込まれる前、弘前の目に写ったのは棒状のものを握り、凍り付くような眼差しで見下ろす高瀬の姿だった。


 (逃げなかった場合はここから
 後頭部にぼんやりとした痛みを感じて、弘前は目を覚ました。
 体を動かそうとした弘前は、裸のままで、自分の両手と両足首に鉄の枷が嵌められ、天井から吊るされていることを知り、愕然とした。
 「助けてー!」
 声の限りに叫んでも、呼びかけに応えるものはいない。
 やがて、寒さと空腹で立つ気力もなくなった頃、扉を開けて高瀬が入って来て、大きなナイフを手に取った。
 「何するつもり・・・」
 「それを知って、どうしようというのかしら?」
 高瀬は無表情に弘前の胸にナイフの刃先を押し当てた。
 そして、背後に回り、背筋に沿って、そっと手を這わせた。
 「瑞々しい肌だこと」
 高瀬は、弘前の背中の皮膚にコの字型の切込みを入れると、切り口に無理やり指を差し込み、力任せに剥がした。
 窓のない密閉された部屋に弘前の悲鳴が響き渡った。
 でも、そんな声は耳に入らないとでも言うように、高瀬は剥ぎ取った皮膚をうっとりと眺めていた。
 「お願い!やめて!」
 高瀬は懇願する弘前を、まるで汚いものを見るような顔で見返した。
 「うるさいわね」
 そう言って、高瀬は弘前の鳩尾に肘をめり込ませた。
 胃の内容物を吐き出しながらぐったりとしている弘前に向かって、高瀬が言った。
 「そんなに知りたいのなら、教えてあげる。若い女の皮膚から取れる脂はね、最高の香料の材料なのよ。媚薬として使うと、特に効き目があるわ」
 高瀬は黒魔術を得意とする魔女だったのだ。


 それから半年ほど経った後、高瀬の住んでいた森の近くで、女の子の遺体が見つかった。
 発見された時には、体の末端を野犬に食い荒らされ、すでの元の形を留めていなかったが、その死体は全身の皮膚が剥ぎ取られていた。
 

 岩下エンディング№15:媚薬の香り
 CGギャラリー 34/124
 9:媚薬製造現場

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君


 5人目は岩下明美を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです
 「そう、何も答えたくないのね。そんなあなたにぴったりの話があるの」


 シナリオ:ポプリ


 鳴神学園に女の子が転校してきた。
 彼女の名前は高瀬美香。
 転校生は自然とクラスになじんでいくものだが、高瀬はいつまで経ってもクラスの中で特別な存在だった。
 例えるなら、まるでアヒルの群れに白鳥が混じっているような、そんな感じだった。
 高瀬は美しかったが、際立って美人だったというわけではなかった。
 それでも、みんなは一目置いていた。
 落ち着いた物腰と思慮深さを感じさせる発言。そして何よりも、彼女からはいつもとてもよい香りがしていた。
 香りといっても、ブランド物の香水のように主張が激しいものではなく、彼女の動きに合わせて、ほんのりと空気に混じるような、そんな控えめな香りだった。
 高瀬とすれ違う時、ふわりと風に乗ったその香りにときめいて、思わず振り返ってしまう男子も多かった。
 だから、高瀬の香りの秘密の聞きたがる女の子は、後を絶えなかった。
 でも、高瀬は誰にもでも打ち明けてくれた。
 ポケットから可愛らしい小袋を取り出して、匂いの元はこれよって。
 その袋の中には、ポプリが入っていた。
 ポプリというのは、香りのいい花やハーブ、スパイスなどを乾燥させたものだ。
 数種類のドライフラワーを作り、それに何種類か混ぜ合わせてから精油を加え、なじませてから、サシェという小さな袋に詰めて、バッグの中に入れて持ち歩いたり、タンスに忍ばせたりして、香りを楽しむものだ。
 女の子たちから、「このポプリ私も欲しい」と言われた高瀬は、自分で作っている、と答えた。
 作り方を教えてほしい、と言われた高瀬は、「特殊な作り方をしているから、みんなにはちょっと難しいと思うわ」と答えて、ポプリを分けてくれた。
 あっという間にクラス中の女の子たちの間に、高瀬のポプリが広まった。
 そして、ポプリが入っていた可愛らしいサシェも、高瀬の手作りだった。


 「みんながその時点で満足していたら、何も問題は起こらなかったわ。
 でも、中にはいるのよね、秘密といわれると、どうしても知りたくなる人。
 坂上君、あなたもそんな人たちの一人なのではなくて?」
  1. そうかもしれない
  2. そんなことはない
 「ふふふ、報道にかける情熱は強いみたい。
 でも、西洋のことわざに、好奇心はネコを殺す、というものがあるのよ。
 あまりになんにでも首を突っ込もうとすると、酷い目に遭うという意味よ。うふふふ」


 高瀬のクラスに弘前歩美という子がいた。
 彼女も、高瀬からポプリをもらっていたが、彼女は、他人が少しでも自分より勝っているのが気に食わないという性格だった。
 自分も高瀬以上にいい香りのポプリを作って、みんなを羨ましがらせないと考えた。
 弘前は、高瀬からもらったサシュの袋をばらして、中身を見た。中にはたくさんの種類のドライフラワーや、乾燥させたスパイスが入っていた。
 それを一つ一つ調べて、同じようなものを用意した。
 でも、同じように素材を用意しても、まったく同じものを作ることは難しかった。アロマオイルは香料を混ぜて、オリジナリティを出していたからだ。
 弘前は、必死にポプリの匂いをかいで、どんな香料が使われているのか、突き止めようとした。
 でも、どんなに同じように作っても、オリジナルには、到底及ばない出来だった。
 弘前は悔しい気持ちを必死に隠して、高瀬に作り方ノレシピを教えてほしい、と頼み込んだが、高瀬は決して教えてくれなかった。
 高瀬は作り方を独り占めして、自分だけ人気者でいたいに違いない、と弘前は、次第にそんな風に思いつめるようになっていった。


 そんなある日、なんとしてもポプリの秘密を知りたかった弘前は、こっそりと高瀬の後をつけようと考えた。
 もしかしたら材料を仕入れているお店に立ち寄るかもしれないし、家の窓をのぞいたら材料が見られるかもしれない。
 高瀬が学校を後にすると、弘前が後を付けていることに気づかず確かな足取りで歩いて行った。
 高瀬は、住宅街を抜け、田畑はあぜ道ばかりが目立つ景色も通り越し、夜の闇が空を覆い始めるころに薄暗い森の入り口に差し掛かった。
 木々はうっそうと茂り、先はまったく見えない。


 「ねぇ、彼女はどうしたと思う?」
  1. 後をつける
  2. 引き返す
 弘前は勇気を振り絞って、暗い森の中へ足を踏み出した。
 鬱蒼とした森の中は、すっかり宵闇に包まれていた。
 高瀬は鞄の中から懐中電灯を取り出した。
 弘前は、高瀬が懐中電灯を持っていることに驚きつつ、懐中電灯の明かりを見失わないように後をつけ続けた。
 しばらく歩いていると、木々が開けて、月の明かりの中に一件の小さな家が浮かび上がった。それは丸太を組んで作られた山小屋のような小さな建物だった。
 高瀬は、手慣れた手付きで玄関のドアを開けると中に消えていった。
 しばらくして窓に明かりが灯ったことを確認すると、弘前は自分もその小屋に近づいた。
 お伽噺に出てくる魔女のおばあさんが住んでそうな、無骨で陰気な木の小屋。
 弘前が忍び足で窓辺に歩み寄り、中を覗こうとしたその時、突然家のドアが開いたので、弘前は手近な茂みに姿を隠した。
 家から出てきた人物は、弘前の存在に気づく素振りも見せず家の裏手へと歩いていった。
 家から出てきた人物は、頭からすっぽりと黒いローブを被っていた。
 裾からのぞくスカートは鳴神の制服だったので、きっと高瀬だろう、と弘前は思った。
 そして、少し離れた木々の間から、その人物の挙動を探ることにした。
 黒いローブの人物は、家の裏手にある物置ほどの大きさの小屋に入ったかと思うと、黒い何かを掴んですぐに出てきた。
 バタバタを大きな音をたてて暴れ、のどから絞り出すような声を上げていたのは1羽の雄鶏だった。
 そして人物はしゃがむと、躊躇うことなく雄鶏の首を両手でつかみ、その場でくびり殺した。
 弘前は喉元まで出かけた悲鳴を必死に押し殺した。
 初めて命が奪われる瞬間を目にした弘前は、恐怖のあまり、歯の根が合わなくなるくらいに動揺して、両の目からは涙がぽろぽろとあふれてきた。
 (こんなに怖い思いをするぐらいなら、もう帰ったほうがいいかもしれない)


 「今なら、まだ引き返すことができる」
  1. 帰る
  2. 帰らない
 「本当にその先を知っても後悔しない?」
  1. やっぱり帰る
  2. それでも帰らない
 湧き上がる恐怖をぐっとこらえて、弘前はその場に踏み留まった。
 でも、目の前の光景に気をとられていたせいか、後ずさったときに、服に木の枝が引っ掛かって音を立ててしまった。
 黒いローブを被った人物は鋭くあたりを見回して、弘前が潜む木陰へと近づいた。


 「ど、どうしよう・・・」
  1. 逃げる
  2. 逃げない
 (逃げよう)
 そう決断した弘前は、元来た道を目指して、木陰を飛び出した。
 でも、黒いフードの人物が弘前の腕を掴んだ。
 「離して!」
 「弘前さん?」
 黒いローブの下から姿を現したのは高瀬だった。
 「何をしているの、こんなところで?」
 高瀬の声は、いつものように穏やかで優しい口調だった。
 「あの、道に迷って」
 「大変だったわね。こんな時間に外で立ち話もなんだから、ちょっと寄ってく?」
 「ええ・・・」
 優しい笑顔の影で、高瀬は弘前の服の裾をしっかりと掴んでいた。


 「ようこそ、私の家へ」
 弘前は、部屋の中央にある木のテーブルに案内された。
 「お茶でもいかが?」
 「あ、ありがとう」
 まるで雪山のロッジのような家の中は、整頓されてはいたけれど、質素で生きていくのに必要最小限のものしか置かれていなかった。
 ただ窓際には、これからポプリに材料にするのかしら、ドライフラワーになる途中の薔薇の花束がいくつも吊るされていた。
 部屋の隅には、蝋燭が灯ったアロマポットがあって、そこからなんともいえない甘くていい匂いが漂ってくる。
 トレーにティーカップを2つ載せて高瀬がやってきた。
 「高瀬さん、ここに一人で住んでるの?」
 「ええ、まあね。そんなことより、飲んで」
 「あ、ありがと」
 弘前は、カップをひとつ受け取ると中を覗き込んだ。
 それは、アロマポットから漂う香りに似て、甘く弘前の鼻腔をくすぐった。
 「ところで、これ何のお茶?」
 「ああ、これ?私が作ったハーブティーよ。どうぞ」
 弘前はカップに口を近づけた。


 「この先、彼女は本当に飲んだと思う?」
  • 飲んだ
  • 飲まなかった
  • 高瀬さんに先に飲ませる→高瀬は優雅な仕草でカップを口に運び、「美味しいわよ、弘前さんもどうぞ」と言った。だが、高瀬は飲んだ振りをしていただけだった。
 弘前は、恐る恐るハーブティーを口に含んだ。
 「どう?」
 「すっごくおいしい!」
 そのお茶は、弘前が今まで飲んだどんなお茶よりも薫り高く、幸せな気分にさせてくれた。
 「すごいね、高瀬さん!ポプリだけじゃなく、こんなおいしいお茶まで。これ、お店で売ってもいいんじゃない!ハーブのお店、開けるよ!」
 高瀬は、満足そうに微笑んだが、弘前は不意に軽いめまいを覚えた。
 指先から始まった痺れが全身に回ったころには、弘前は気を失って椅子から滑り落ちてしまった。


 鼻腔を満たす、むせ返るような腐臭と薔薇の香りに、弘前はぼんやりと目を覚ました。
 身体を動かそうとした弘前は、首から下がまったく動かないことに気づき、愕然とした。
 ようやく、はっきりと意識が戻った弘前は、自分が裸にされて、胸から下を土に埋められていることを理解した。
 周りを見渡すと、同じように首から下が埋められた人たちが、目に入った。
 正しくは人だった物。ある者は、薔薇の蔓に全身を包まれながら、人の形をとどめにまで腐乱していた。またある者は、眼球が腐り落ち空洞となった眼窩から、しっかりとした太い蔓が天に向かって伸びていた。
 そんな死骸が、薔薇の木の根元に何体となく埋められていた。
 「嫌ー!!!」
 弘前は必死に身をよじり土から抜け出そうとしたが、彼女を包み込んだ土はびくとも動かなかった。
 すると、その声を聞きつけて歩み寄ってきた人影がいた。
 「高瀬さん!!」
 「おはよう」
 「なんなのこれ!助けてよ!」
 「私のポプリの秘密よ」
 高瀬は、咲き誇る大輪の花々を眺めて、うっとりと満足そうな笑みを浮かべた。
 「薔薇が香り豊かな花を付けるたけにはね、たくさんの養分が必要なのよ」
 「ごめんなさい、許して!秘密を知ろうとしたことはあやまるから!」
 「あなた、うるさいわ。早くこれを飲んで静かになってね」
 高瀬は弘前の顎を持ち上げると、頬に指を食い込ませて無理やりに口を開けさせ、持っていたガラス瓶から甘い香りのする液体を口の中に注ぎ込んだ。
 「ー!」
 周囲に弘前の声にならない悲鳴が響き渡り、やがてそれすらも聞こえなくなった。
 「もう、私の花たちがびっくりするじゃない、ねえ?」
 そう言って、一輪の花に顔をうずめた。
 

 岩下エンディング№14:薔薇の下で
 CGギャラリー 33/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペパン→風間エンディング№4・5
 4人目は福沢玲子を選択→シナリオ:追いかけてヒトシくん→福沢エンディング№12・14・15、13→最終話エンディング№2:追いかけて修一君


 5人目は岩下明美を選択!
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 逆にあなたは、今までに人を裏切ったことがあったと思うのかしら?」
  1. あります→シナリオ:偽りの愛
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね。
 秘密主義者なのか、それとも心に何か深い傷を負っているのかしら。良ければ教えてもらえないかしら?」
  1. 秘密主義
  2. 過去、心に深い傷を負った
  3. 答えたくないです
 「そう、何も答えたくないのね。そんなあなたにぴったりの話があるの」


 シナリオ:ポプリ


 鳴神学園に女の子が転校してきた。
 彼女の名前は高瀬美香。
 転校生は自然とクラスになじんでいくものだが、高瀬はいつまで経ってもクラスの中で特別な存在だった。
 例えるなら、まるでアヒルの群れに白鳥が混じっているような、そんな感じだった。
 高瀬は美しかったが、際立って美人だったというわけではなかった。
 それでも、みんなは一目置いていた。
 落ち着いた物腰と思慮深さを感じさせる発言。そして何よりも、彼女からはいつもとてもよい香りがしていた。
 香りといっても、ブランド物の香水のように主張が激しいものではなく、彼女の動きに合わせて、ほんのりと空気に混じるような、そんな控えめな香りだった。
 高瀬とすれ違う時、ふわりと風に乗ったその香りにときめいて、思わず振り返ってしまう男子も多かった。
 だから、高瀬の香りの秘密の聞きたがる女の子は、後を絶えなかった。
 でも、高瀬は誰にもでも打ち明けてくれた。
 ポケットから可愛らしい小袋を取り出して、匂いの元はこれよって。
 その袋の中には、ポプリが入っていた。
 ポプリというのは、香りのいい花やハーブ、スパイスなどを乾燥させたものだ。
 数種類のドライフラワーを作り、それに何種類か混ぜ合わせてから精油を加え、なじませてから、サシェという小さな袋に詰めて、バッグの中に入れて持ち歩いたり、タンスに忍ばせたりして、香りを楽しむものだ。
 女の子たちから、「このポプリ私も欲しい」と言われた高瀬は、自分で作っている、と答えた。
 作り方を教えてほしい、と言われた高瀬は、「特殊な作り方をしているから、みんなにはちょっと難しいと思うわ」と答えて、ポプリを分けてくれた。
 あっという間にクラス中の女の子たちの間に、高瀬のポプリが広まった。
 そして、ポプリが入っていた可愛らしいサシェも、高瀬の手作りだった。


 「みんながその時点で満足していたら、何も問題は起こらなかったわ。
 でも、中にはいるのよね、秘密といわれると、どうしても知りたくなる人。
 坂上君、あなたもそんな人たちの一人なのではなくて?」
  1. そうかもしれない
  2. そんなことはない
 「ふふふ、報道にかける情熱は強いみたい。
 でも、西洋のことわざに、好奇心はネコを殺す、というものがあるのよ。
 あまりになんにでも首を突っ込もうとすると、酷い目に遭うという意味よ。うふふふ」


 高瀬のクラスに弘前歩美という子がいた。
 彼女も、高瀬からポプリをもらっていたが、彼女は、他人が少しでも自分より勝っているのが気に食わないという性格だった。
 自分も高瀬以上にいい香りのポプリを作って、みんなを羨ましがらせないと考えた。
 弘前は、高瀬からもらったサシュの袋をばらして、中身を見た。中にはたくさんの種類のドライフラワーや、乾燥させたスパイスが入っていた。
 それを一つ一つ調べて、同じようなものを用意した。
 でも、同じように素材を用意しても、まったく同じものを作ることは難しかった。アロマオイルは香料を混ぜて、オリジナリティを出していたからだ。
 弘前は、必死にポプリの匂いをかいで、どんな香料が使われているのか、突き止めようとした。
 でも、どんなに同じように作っても、オリジナルには、到底及ばない出来だった。
 弘前は悔しい気持ちを必死に隠して、高瀬に作り方ノレシピを教えてほしい、と頼み込んだが、高瀬は決して教えてくれなかった。
 高瀬は作り方を独り占めして、自分だけ人気者でいたいに違いない、と弘前は、次第にそんな風に思いつめるようになっていった。


 そんなある日、なんとしてもポプリの秘密を知りたかった弘前は、こっそりと高瀬の後をつけようと考えた。
 もしかしたら材料を仕入れているお店に立ち寄るかもしれないし、家の窓をのぞいたら材料が見られるかもしれない。
 高瀬が学校を後にすると、弘前が後を付けていることに気づかず確かな足取りで歩いて行った。
 高瀬は、住宅街を抜け、田畑はあぜ道ばかりが目立つ景色も通り越し、夜の闇が空を覆い始めるころに薄暗い森の入り口に差し掛かった。
 木々はうっそうと茂り、先はまったく見えない。


 「ねぇ、彼女はどうしたと思う?」
  1. 後をつける
  2. 引き返す
 弘前は勇気を振り絞って、暗い森の中へ足を踏み出した。
 鬱蒼とした森の中は、すっかり宵闇に包まれていた。
 高瀬は鞄の中から懐中電灯を取り出した。
 弘前は、高瀬が懐中電灯を持っていることに驚きつつ、懐中電灯の明かりを見失わないように後をつけ続けた。
 しばらく歩いていると、木々が開けて、月の明かりの中に一件の小さな家が浮かび上がった。それは丸太を組んで作られた山小屋のような小さな建物だった。
 高瀬は、手慣れた手付きで玄関のドアを開けると中に消えていった。
 しばらくして窓に明かりが灯ったことを確認すると、弘前は自分もその小屋に近づいた。
 お伽噺に出てくる魔女のおばあさんが住んでそうな、無骨で陰気な木の小屋。
 弘前が忍び足で窓辺に歩み寄り、中を覗こうとしたその時、突然家のドアが開いたので、弘前は手近な茂みに姿を隠した。
 家から出てきた人物は、弘前の存在に気づく素振りも見せず家の裏手へと歩いていった。
 家から出てきた人物は、頭からすっぽりと黒いローブを被っていた。
 裾からのぞくスカートは鳴神の制服だったので、きっと高瀬だろう、と弘前は思った。
 そして、少し離れた木々の間から、その人物の挙動を探ることにした。
 黒いローブの人物は、家の裏手にある物置ほどの大きさの小屋に入ったかと思うと、黒い何かを掴んですぐに出てきた。
 バタバタを大きな音をたてて暴れ、のどから絞り出すような声を上げていたのは1羽の雄鶏だった。
 そして人物はしゃがむと、躊躇うことなく雄鶏の首を両手でつかみ、その場でくびり殺した。
 弘前は喉元まで出かけた悲鳴を必死に押し殺した。
 初めて命が奪われる瞬間を目にした弘前は、恐怖のあまり、歯の根が合わなくなるくらいに動揺して、両の目からは涙がぽろぽろとあふれてきた。
 (こんなに怖い思いをするぐらいなら、もう帰ったほうがいいかもしれない)


 「今なら、まだ引き返すことができる」
  1. 帰る
  2. 帰らない
 弘前は引き返すことにした。
 数日後、テレビのニュースで、女子高生の他殺体が発見されたことが報じられた。場所は、弘前が隠れていた森の茂みの中だった。
 被害者は鳴神学園の制服を着ており、遺体には執拗な暴行が加えられていて、両親も一目見て、それが自分たちの娘だとはわからない有様だった。
 弘前は、一歩間違えたら自分も同じ目に遭っていたかもしれないと思い、震えが止まらかなった。
 そして、それと時を同じくして高瀬が学校に来なくなった。行方不明になったのだ。


 「高瀬さんも、殺された女子高生のような目に遭ったんだと思う?それとも、彼女自身が?
 いえ、憶測で人を疑うのは良くないわね。行き過ぎた好奇心で身を滅ぼさないように気を付けるのよ、うふふふ」
 

 岩下エンディング№13:好奇心は猫を殺す
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「坂上君、なんかちょっと感じ悪~い。
 そんなんじゃ女の子に嫌われちゃっても知らないからね」


 霧島はヒトシ君を見つけようと週に何回か頑張って居残りし、放課後の廊下を歩き回っていた。
 「ねえ、どうしてヒトシ君を見たいわけ?」
と、友達に聞かれた霧島は、
 「だって、面白そうじゃない。それにこういうの、学生時代にしかできないし」
と、答えていた。


 その日の放課後、霧島は休憩を差し挟みながら、学校中の廊下を探索していた。
 霧島はいつも日が沈み切る前には探索を打ち切って、校舎の外に出ていたが、自分が出て行った途端、ヒトシ君が入れ違いのように廊下に現れるんじゃないか、と思っていた。
 だから、この日もっと遅くまでヒトシ君を探そうと考えて、校内の探索を再開した。
 そうしてしばらく歩き回っているうちに、校舎の外は完全な夜闇に閉ざされてしまった。
 すでに午後7時を回って、校内にはもう誰も残ってなかった。
 だけど、ヒトシ君はどこを見渡したって出てこない。
 こんなに遅くまで残って損した!
 そんなことを考えながら霧島は手早く荷物をまとめて、昇降口に向かって行った。
 霧島が靴を履き替え、閉まっている扉を押したが、開かなかった。
 外から鍵がかけられたと思った霧島は、つまみをひねり、鍵が開いた状態に戻して、扉を押したが、まったく開かない。
 どんなに押したり引いたりしても、扉は開かなかった。
 「そうだ、窓から出ればいいじゃない」
 霧島は廊下に戻り、一番近くにあった教室に飛び込んだ。
 そして、窓に近づき、鍵を開け、一気にスライドしようとしたが、開かない。
 「どうしてよ!何で!」
 他の教室でも、窓は開かなかった。
 ならば非常口から出ようとしたが、そこも扉もやっぱりダメだった。
 学校中の扉と窓を調べたが、ダメだった。
 どうしていいかわからず、霧島はぐったりと腰を下ろした。
 「誰か、助けてよ・・・」
 あまりに怖くて、霧島はポロポロと涙を流した。
 そして、どうして扉や窓が開かないのか、なぜ閉じ込められたかを考えないことにして、ここで一夜を明かすと覚悟した。必ず明日、助け出されると信じて。
 急激なめまいがして、霧島はその場に倒れこんだ。
 体が麻痺して、立ち上がることができない。
 気が遠くなっていき、ついに霧島は暗闇に飲み込まれてしまった。


 霧島は次の日、冷たい死体となった発見された。表向きは突発的な心臓発作ってことで処理されたみたいだが、どうして霧島が死んだのか、当時あれこれ議論が交わされた。
 結論は、正体を突き止められることを嫌ったヒトシ君の仕業だってことになった。
 ヒトシ君は、人間を不幸にさせるだけじゃなく、呪い殺す力も持っていたのだ。
 この事件以降、自分からヒトシ君を探す生徒はいなくなった。


 「え?どうして私が知っているかって?
 だからぁ、私はお姉ちゃんから聞いたの。
 お姉ちゃんと霧島さんは、本当に仲良しだったんだよ。あの頃も、同じ人を好きになってさ。
 霧島さんの方がうまくいきそうだったんだけど、謎の死を遂げちゃったでしょ。
 それで、お姉ちゃんはうまく好きな人と付き合えたわけ。
 そんなお姉ちゃんがしてくれた話だから、ヒトシ君の話は真実だと思うよ。
 そんなに気になるなら、直接お姉ちゃんに聞いてみたら?
 お姉ちゃん、今彼氏いないみたいだからいいかもよ。年上の彼女ってもいいかもしんないよ。きゃははは。
 ねぇ、坂上君。この学園にはいろいろな悪霊、妖怪が潜んでいるけど、それらに共通しているのは、秘密を追求されることが大嫌いなことなんだよ。
 きっとそういう人間は容赦なく殺しちゃうんだ。
 だからね、この七不思議の特集だって、最後に良くないことが起こるかもしれないよ。
 この新聞部、さっきから妙な雰囲気なんだよね・・・」
 

 福沢エンディング№15:追いかけてヒトシ君
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「へえ、興味あるんだ。霧島さんも喜んでくれてると思うよ。でも、残念なことに、その時にはもう彼氏がいたんだよね」


 霧島の彼氏は西尾といって、いつも二人は一緒にいて、クラスでは有名なカップルだった。
 ある時、二人の間でヒトシ君の話題になったが、西尾は、霊とか妖怪とかの類は信じない人で、鼻で笑い飛ばした。
 「でも、一度会ってみたいな。
 西尾君だって、河童や宇宙人に会えたらいいなって、思ったことない?」
 「ガキの頃はな。でもよー、もうそんな歳じゃねえし」
 「もしもの話だよ。
 本当にヒトシ君に会えたとしたら、どうする?」
 「ちょっとからかってみてぇな。本物のガキだったら大人げないけど、妖怪だったら全然かまわないだろ」
 「なるほどね。小学生くらいの男の子を見ると、ちょっといじめたくなるっていうか」


 西尾は運動部に入っており、部活がある日は霧島は放課後は図書室で時間を潰して、部活が終わった西尾が迎えに来て、一緒に帰っていた。
 ある日の放課後、部活の終わった西尾と、霧島は一緒に図書館を出て、薄暗い廊下を歩いていた。
 「ヒトシ君、出るなら今くらいの時間だね」
 そんなことを話しながら、二人が昇降口へ進むと、「待ってよぉ、待ってよぉ」と、唐突な声が聞こえて来た。
 二人はいっせーので振り返ると、小さな男の子の姿を見つけた。
 「ヒトシ君だ・・・
 どうする?」
 「そういや、言っちゃいけない言葉があるんじゃなかったか?」
 「それを言うと、守護霊様を食べられて、不幸になっちゃうんだってさ」
 二人は『ヒトシ君を待ってあげて』という言葉を口にしなれけば無害なんだ、と思ったらリラックスできた。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 ヒトシ君は繰り返し言いながら、ゆっくりと二人の側を通り抜けていく。
 「西尾君って、ヒトシ君を見たら、からかってやりたい、って言ってたよね」
 「いっちょやってやるか!妖怪をからかうなんて、この世で俺くらいのもんだ」
 西尾はニヤニヤ笑いながらヒトシ君の隣に並んで言った。
 「父ちゃんと母ちゃんはどうした?」
 ヒトシ君は西尾の方を振り返ったが、これといった反応を見せないで、歩き続けた。
 「ひょっとして捨て子の霊なのかな?あはは、可愛そうね」
 霧島も参加して、意地悪なことを言いだした。
 ヒトシ君が答えないので、二人はだんだん腹が立ってきた。
 「無視すんじゃねーぞ!
 こんなとこぶらついてないで、さっさと帰んな!」
 「本当に守護霊を食べちゃうような力があるの?
 こんなにちっこい体なんだもん」
 「けっ、妖怪なんざ怖くねえぞ!」
 「私だって怖くないよ!」


 「うるさい・・・」
 ボソっとヒトシ君が口にした。
 「なんだって?」
 「うっせーって、言ってるんだよ!」
 次の瞬間、霧島は温かいシャワーを浴びた。
 目の前が真っ赤に染まった。シャワーの蛇口は、西尾の首の断面・・・
 ゴトリと恋人の首が足元に落ちると、悲鳴を上げた霧島は魂が抜けたように血の池にへたり込んだ。
 「ワシをバカにするなんて・・・」
 そう言って、ヒトシ君を霧島に向き直った。


 翌日、二人の首なし死体が廊下で見つかった。そこら中が血だらけで、ものすごい騒ぎになった。
 最初は変質者の仕業だと考えられていたが、そのすぐ後に両手に男女の首を持ったヒトシ君が目撃された。
 その時のヒトシ君の表情が印象的だったそうだ。子供らしい邪悪さっていうか、人間を殺すのなんてどうも思ってないというような・・・


 「そういうわけで、ヒトシ君に会ったら、絶対に馬鹿にしちゃいけないの。
 いくら子供でも恐ろしい妖怪だからね」


 福沢エンディング№14:間違った解釈
 CGギャラリー 33/124(70:首を切られて)

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「答えになってない気がするんだけど。じゃあ、さっさと話を進めるね」


 霧島は自分からヒトシ君を見ようとしていた。
 なんでも、噂を聞いた聞いたその日から、1日と欠かさず放課後の廊下を歩いてヒトシ君を待ち構えていたそうだ。
 ヒトシ君に会いたい、という一心でひたすら待っていた。まあ、見るだけなら身の危険はないだろう、と思っていた節もあった。


 「霧島さん、今日も残るの?」
 クラスメイトにそう聞かれた霧島は、笑顔で答えた。
 「もちろんだよ!今日こそ見つけてやるんだから」
 「そう言って、、もうどれくらい経っているのよ」
 「大丈夫、世の中努力が報われるようにできてるんだから」


 「あーあ、今日もまた会えないのかな」
 霧島は呑気なことを言いながら、校舎中を行ったり来たりしていた。
 やがて、だいぶ西日が傾くようになって、そろそろ今日も打ち切りかな、とため息をついたちょうどその時だった。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 噂通りの声を耳にした霧島は、高鳴る心臓を抑えながら、慎重に背後を振り向いた。
 そこには小さな男の子が立っていた。
 霧島は、これがヒトシ君に間違いないと直感した。
 やっと出会えた、これで苦労が報われる、友達に自慢できる、と霧島は喜びを爆発させた。
 ヒトシ君は興奮する霧島にはお構いなしにとぼとぼと歩いている。
 霧島は、「ヒトシ君を待ってあげて!」という禁止ワード以外なら、何を言ってもいいと思い、どんな風に声をかけようかと迷った。
 そうこうしているうちに、ヒトシ君は廊下の向こうへ歩いて行ったので、霧島はごく自然に「待ってよぉ」と口にした。
 するとギョロっとした目でヒトシ君が振り向いた。
 霧島は、あまりの怖さに金縛りになってしまった。
 そして、ヒトシ君は動けない霧島に向かってゆっくりと近づいて行った。
 「お姉ちゃんも僕みたいになりたいんだね?」
 そう言って、ヒトシ君は思いっきり飛び掛かって来た。


 その翌日、霧島が家に帰っていなくて行方不明になったと学校では大騒ぎになった。
 でも、教室には荷物が置かれていて、下駄箱には靴も残っていた。
 それで人々は、口々に囁き合った。
 「昨日もヒトシ君を探していたんだよね。もしかして、ヒトシ君に殺されちゃったとか」
 「それはありえなくない。下手しても不幸になるだけでしょ?」
 「そんな妖怪信じてないで、現実的に考えようぜ」
 「でも、靴も荷物も置いたままで、絶対普通じゃないだろ」
 ああたこうだクラスメイトたちは言い合ったが、結局真実はわかならかった。


 それから数日経っても、霧島は発見されなかった。
 警察も捜査したが手がかりは全然なかった。
 まさに神隠しに遭ったみたいに、忽然と霧島は消えてしまった。
 けど、彼女を探すこと諦めない人もした。
 霧島のクラスの男子生徒が、連日学校に残っていた。
 ヒトシ君が事件の鍵を握っているに違いない、と彼は思い、危険だけど会ってみる価値はある、と考えた。
 とにかく、彼は納得できるまで探そうと、根気よく放課後の廊下を歩き回った。
 そして、その声が聞こえて来た。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 しかし噂に聞く男の声ではなく、女の子の声だった。
 彼はおそるおそる振り向いてみたら、予想もしないものを見てしまった。
 紛れもなく、霧島だった。正確には、ヒトシ君になってしまった霧島だった。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 ボロボロの髪をして、ボロボロの制服を着た彼女は、ひどく悲しい顔をしながらそればかりを繰り返していた。
 その男子生徒は、さっさと逃げ出したおかげで難を逃れることができた。


 霧島は、ヒトシ君に『待ってよぉ』と言ったせいで、自分も妖怪にされてしまった。
 女の子なのにヒトシ君っていうのはおかしいけど、種族としての名前と考えればいい。
 その日から、小さな男の子とは別に、女子学生のヒトシ君が現れるっていう、新しい怪談ができた。


 「言っちゃいけない言葉は『ヒトシくんを待ってあげて!』と『待ってよぉ』の2つね」

 福沢エンディング13:二人目のヒトシ君
 CGギャラリー 32/124(69:あたらしいヒトシくん)


 シナリオ:最終話:追いかけて修一くん


 話を終えた福沢は、坂上に声をかける。
 「あ~あ、何だか喋ったら喉乾いてきちゃった。
 坂上君、こういう時は、僕が何か買ってきましょうか?って言わなくっちゃ」
 「分かりました。買いに行ってきますよ」
 福沢が言ったのを皮切りに、他の語り部も坂上に注文をしてきたので、慌てて坂上はメモをとった。
 坂上は語り部のみんなに軽くお辞儀をすると、新聞部を出て購買の近くにある自販機に向かった。
 部室を出ると、夕闇が迫っていた。
 「待ってよぉ」
 慌てて振り返ったが、声のした廊下は夕闇に飲まれ、先の方は暗くてよくわからない。
 「待ってよぉ」
 声と共に誰かが廊下の奥から誰かが近づいてくる気配がする。
 廊下の奥から現れたのは、ボロボロの髪をして、ボロボロの制服を着た女子生徒だった。
 (彼女が福沢さんが言っていた『ヒトシくん』なのか?)
 唖然とする坂上の前を彼女はそのまま通り過ぎていく。
 「ま、待ってよぉ!」
 思わず口にしてしまったその言葉は、福沢が言っていたヒトシ君に言ってはいけない言葉・・・
 「お兄ちゃん」
 誰もいないはずの背後から声が聞こえた。
 「お兄ちゃんも、僕みたいになりたいんだね?」
 (僕はこれから学園の怪異の存在となるのだろう。3人目のヒトシ君として・・・)


 最終話追加エンディング02:バッドエンディング 追いかけて修一君

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15
 3人目は、風間望を選択→シナリオ:呪いのコッペッパン→風間エンディング№4・5


 4人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない→シナリオ:彼と彼女の秘密
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「じゃ、もういっこ用意してるから、そっちを話すね」


 シナリオ:追いかけてヒトシくん


 この学園にはヒトシ君って可愛い名前の妖怪がいる。
 ヒトシ君は授業が終わった放課後、廊下に薄暗く夕日が差し込んできた時間に出没する。
 何気なく廊下を歩いていると「待ってよぉ、待ってよぉ」と、いかにも切実そうな声とともに、その小さな妖怪は現れる。
 ヒトシ君はいつも何か追いかけているが、結局何を追いかけているのかはわからない。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 その時、決して言ってはいけない言葉がある。
 「ヒトシくんを待ってあげて!」
 この言葉を言った人は、ヒトシ君に守護霊様を食べられて、不幸になってしまうそうだ。


 ヒトシ君の話は、OLをしている福沢の姉から聞いたそうだ。
 福沢の姉はここの卒業生で、現役の時からヒトシ君の噂は広まっていた。
 姉とすごく仲が良かった友達の霧島が、ヒトシ君に会った。
 霧島は、怖い話にもそれなり興味がある人だった。


 「坂上君って、ホラーが好きな子とか興味がある?」
  1. 別に興味ない
  2. 普通
  3. 興味ある
  4. どうでもいい
 「ふ~ん、興味ないんだ。じゃあ、さっさと話を進めるね」


 その日、霧島は一人で図書館で調べものをしていた。
 調べものは思ったより時間がかかり、終わった頃には周囲はだいぶ薄暗くなっていた。
 霧島はなんとなく不安になりながら、昇降口へ急いだ。
 「待ってよぉ、待ってよぉ」
 かすかに男の子が聞こえて来た。
 振り返ると、いつの間にか小柄な男の子いた。
 「まさか、ヒトシ君・・・」
 ヒトシ君は霧島に気づくことなく、そこらへんを行ったり来たりしながら、「待ってよぉ、待ってよぉ」と繰り返し言っていた。
 迷子がうろうろしているように様子に、霧島は思わず声を掛けたい衝動に駆られてしまった。
 霧島は言ってはいけない言葉は知っていたが、思わず、「ヒトシ君を待ってあげて!」と言ってしまった。
 その途端、ヒトシ君の体が何倍も大きくなり、不快な叫び声を上げた。変貌した彼の形相は、完全な妖怪のものだった。
 霧島は逃げ出そうとしたが、あっという間に追いつかれて、捕まってしまった。
 次の瞬間、何かに喰いつかれたような感触がしたが、痛みはない代わりに、大切なものを失うような苦しさに襲われて、失神してしまう・・・


 霧島の目が覚めると、そこは同じ廊下で、ヒトシ君の姿はなかった。
 これといって体に異常はなかったが、心は不安でいっぱいだった。
 「守護霊様を食べられちゃったの?」
 霧島は廊下をとぼとぼと歩き出した。
 そして、階段を下りようとすると、足元にプリントが落ちていて、霧島は足を滑らせた。
 その時は軽い怪我が済んだけど、霧島はことあるごとに大変は目に遭うようになった。
 今でもしょっちゅう事故にあったり、落とし物をしたり、失敗したり。
 そんなもんだから、不幸が移ると周囲も避けて、友達もほとんどできない。
 幸い、命に関わるような大怪我とかはないが、この先何十年と生きていく中わからない。


 「坂上君、ヒトシ君に出会ったら、絶対に例の言葉、言っちゃダメだよ」


 福沢エンディング12:不幸に恵まれて
 CGギャラリー:31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15


 3人目は、風間望を選択!
 風間望は3年生。
 いきなり500円を要求してくる。
  1. は?
  2. (1人目か3人目)お金、持っていないんですけれど
  3. 10円ならありますが
  4. 500円硬貨でいいですか?→岩下と福沢の話を聞いていない場合は、風間エンディング№10:五百円硬貨
  5. 日野先輩からもらってください
  6. 持っていても渡しません→風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
 
 シナリオ:呪いのコッペッパン開始!


 ここ鳴神学園には購買部があり、お昼ともなると食堂に行く金のない貧乏学生がいっせいに集まってくる。
 その時はまさに戦場で、自分が食べたいパンを買うために我先に押しかけてくる。
 もし、遅れたらコッペパンしか残っていない。安くてまずいとの評判なので、みんなコッペパだけは買うまいと必死だった。
 でも一人だけコッペパンを買う生徒がいた。山田茂吉という名前で、学園でもとびきりの貧乏人として有名だった。
 彼は、毎日購買部でコッペパンを3つづつ買っていた。


 「理由はわかるかい?」
  1. 1日3食分を買うため
  2. お昼を安上がりにするため
  3. それしか置いてないから
  4. さあ?
 「その通りだよ。本当にキミは心の底から貧乏人だったってわけだね」


 山田のクラスには久留米弘子という子がおり、彼女は貧乏人が嫌いだった。
 久留米は毎日教室の隅でコッペパンを食べている山田がとても嫌だった。貧乏そうな彼を見ているとこっちの気持ちまで貧乏になってくる。
 「もうコッペパンを食べるのをやめてくれる?」
 「どうして?コッペパンはおいしいよ」
 「私が嫌なの!恵んであげるから、食堂に行ってランチでも食べてらっしゃいな」
 「僕は貧乏じゃないよ。こんなお金いらない。僕はコッペパンが好きだから食べているんだ。それに僕は君に迷惑をかけていないだろ」
 「迷惑よ。私の生活空間に、そんな貧乏くさいものを食べている奴が入って来るだけでも嫌なの」
 「じゃあ、僕の事を視界に入れなければいいじゃないか」


 久留米は、山田がお金を受け取らなかったので余計に怒って、思い切った行動に出た。
 久留米は、購買部にあったコッペパンを全部買い占めたのだ。それも毎日続けた。
 だから山田が購買部に行っても、いつもコッペパンは売り切れ。
 大好きなコッペパンが食べられなくなり、山田は昼の教室でぼーっとしていた。
 「最近、コッペパン食べないのね」
 「ああ、いつ行っても売り切れなんだ。早めに行っても売り切れてるんだよ。最近、人気があるみたいなんだ」


 ある日の昼休み、いつものように山田がコッペパンを買えずに席でぼーっと座っていると、久留米がやって来てこう言った。
 「これ、売ってあげてもいいけど。ひとつ1万円、みっつで3万円。どう?」
 「そんな・・・」
 「あんた、貧乏じゃないって言ったじゃない。だったら払ってみなさいよ」
 「・・・」
 「貧乏人風情が粋がってんじゃないわよ!」
 山田はコッペパンが買えず、その後学校へ来なくなってしまった。
 「これで、あいつの顔を見なくてすむ。清々したわ」


 その後、山田が餓死したっていう噂が久留米の耳に飛び込んできた。
 それでも、久留米はちっとも悪気は感じなかった。山田が死んだのは貧乏だったからで、自分には責任はないと思っていた。


 その後、久留米に異変が起きた。
 ある日、彼女がお弁当を食べていると、いきなり口にしたハンバーグを吐き出した。
 「まずい!このハンバーグ、腐っているの?」
 彼女はいろんなものを口に入れたが、どれもこれも同じ味だった。そう、何を食べてもコッペパンの味だった。
 「なんでコッペパンの味しかしないのよ!まさか、あいつの呪い?」
 彼女は何を食べてもコッペパンを食べているようで、次第に食べ物を受け付けなくなって、痩せ細っていった。


 そんなある日、久留米が購買部を通りかかったら、とてもいい匂いに出会った。
 彼女は、コッペパンを買った。彼女にはコッペパンがとても芳しい匂いだと感じたのだ。
 「おいしい、コッペパンってこんなにおいしいものだったの」
 それはもう至福の美味しさだった。
 というわけで、それ以来久留米はコッペパンしか食べられなくなり、ついた渾名がヒロコッペ。


 「坂上君、君は貧乏なんだろ?さあ、胸を張って『貧乏万歳』と言いたまえ」
  1. 貧乏じゃないです→風間エンディング№04:ヒロコッペ
  2. 貧乏万歳
 「友よ!」
 そう言って、風間は坂上に抱きついてきた。
 「キミとなら真実の友になれそうだ。実はボク、貧乏なんだ。
 これからも色々と仲良くしようじゃないか。あっはっは」


 風間エンディング№05:お仲間
 CGギャラリー:31/124

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 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択→シナリオ:呪いのヒトガタ→荒井エンディング№14・15


 3人目は、風間望を選択!
 風間望は3年生。
 いきなり500円を要求してくる。
  1. は?
  2. (1人目か3人目)お金、持っていないんですけれど
  3. 10円ならありますが
  4. 500円硬貨でいいですか?→岩下と福沢の話を聞いていない場合は、風間エンディング№10:五百円硬貨
  5. 日野先輩からもらってください
  6. 持っていても渡しません→風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
 
 シナリオ:呪いのコッペッパン開始!


 ここ鳴神学園には購買部があり、お昼ともなると食堂に行く金のない貧乏学生がいっせいに集まってくる。
 その時はまさに戦場で、自分が食べたいパンを買うために我先に押しかけてくる。
 もし、遅れたらコッペパンしか残っていない。安くてまずいとの評判なので、みんなコッペパだけは買うまいと必死だった。
 でも一人だけコッペパンを買う生徒がいた。山田茂吉という名前で、学園でもとびきりの貧乏人として有名だった。
 彼は、毎日購買部でコッペパンを3つづつ買っていた。


 「理由はわかるかい?」
  1. 1日3食分を買うため→「その通りだよ。本当にキミは心の底から貧乏人だったってわけだね」
  2. お昼を安上がりにするため→「君はコッペパンが好きなのかい?なるほど、自分が貧乏だと認めたわけだ」
  3. それしか置いてないから→「貧乏人は考えが浅はかというけど、キミもそうなのか」
  4. さあ?→「会話のキャッチボールができてないじゃないか」
 山田のクラスには久留米弘子という子がおり、彼女は貧乏人が嫌いだった。
 久留米は毎日教室の隅でコッペパンを食べている山田がとても嫌だった。貧乏そうな彼を見ているとこっちの気持ちまで貧乏になってくる。
 「もうコッペパンを食べるのをやめてくれる?」
 「どうして?コッペパンはおいしいよ」
 「私が嫌なの!恵んであげるから、食堂に行ってランチでも食べてらっしゃいな」
 「僕は貧乏じゃないよ。こんなお金いらない。僕はコッペパンが好きだから食べているんだ。それに僕は君に迷惑をかけていないだろ」
 「迷惑よ。私の生活空間に、そんな貧乏くさいものを食べている奴が入って来るだけでも嫌なの」
 「じゃあ、僕の事を視界に入れなければいいじゃないか」


 久留米は、山田がお金を受け取らなかったので余計に怒って、思い切った行動に出た。
 久留米は、購買部にあったコッペパンを全部買い占めたのだ。それも毎日続けた。
 だから山田が購買部に行っても、いつもコッペパンは売り切れ。
 大好きなコッペパンが食べられなくなり、山田は昼の教室でぼーっとしていた。
 「最近、コッペパン食べないのね」
 「ああ、いつ行っても売り切れなんだ。早めに行っても売り切れてるんだよ。最近、人気があるみたいなんだ」


 ある日の昼休み、いつものように山田がコッペパンを買えずに席でぼーっと座っていると、久留米がやって来てこう言った。
 「これ、売ってあげてもいいけど。ひとつ1万円、みっつで3万円。どう?」
 「そんな・・・」
 「あんた、貧乏じゃないって言ったじゃない。だったら払ってみなさいよ」
 「・・・」
 「貧乏人風情が粋がってんじゃないわよ!」
 山田はコッペパンが買えず、その後学校へ来なくなってしまった。
 「これで、あいつの顔を見なくてすむ。清々したわ」


 その後、山田が餓死したっていう噂が久留米の耳に飛び込んできた。
 それでも、久留米はちっとも悪気は感じなかった。山田が死んだのは貧乏だったからで、自分には責任はないと思っていた。


 その後、久留米に異変が起きた。
 ある日、彼女がお弁当を食べていると、いきなり口にしたハンバーグを吐き出した。
 「まずい!このハンバーグ、腐っているの?」
 彼女はいろんなものを口に入れたが、どれもこれも同じ味だった。そう、何を食べてもコッペパンの味だった。
 「なんでコッペパンの味しかしないのよ!まさか、あいつの呪い?」
 彼女は何を食べてもコッペパンを食べているようで、次第に食べ物を受け付けなくなって、痩せ細っていった。


 そんなある日、久留米が購買部を通りかかったら、とてもいい匂いに出会った。
 彼女は、コッペパンを買った。彼女にはコッペパンがとても芳しい匂いだと感じたのだ。
 「おいしい、コッペパンってこんなにおいしいものだったの」
 それはもう至福の美味しさだった。
 というわけで、それ以来久留米はコッペパンしか食べられなくなり、ついた渾名がヒロコッペ。


 「坂上君、君は貧乏なんだろ?さあ、胸を張って『貧乏万歳』と言いたまえ」
  1. 貧乏じゃないです
  2. 貧乏万歳
 「君、まだこんなこと言うの?」
 坂上は、風間とこれ以上話をしても無駄だと思ったし、この話を壁新聞に載せてもいいものかどうかと思い始める・・・


 風間エンディング№04:ヒロッペ
 CGギャラリー:31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 答えたくありません
  3. 美人が多いからです
  4. 教師陣がすぐれているからです
  5. 友達を作りたかったからです→シナリオ:ゲーマーの条件
 「確かに鳴神学園はマンモス校ですから、女子生徒の数も一般の高校よりは多いでしょう。それに男女の比率はだいたい一緒。
 校風として生徒の交友に学校は口を挟んだりしませんから、カップル成立もそこそこ高い。そう踏まえれば、そこから恋人を探すために学園に入学する生徒がいてもおかしくはありませんね。
 では、あなたには恋人同士に起きた話をしましょう」


 シナリオ:呪いのヒトガタ


 荒井が1年生の時、同じクラスに門倉陽司と弘前歩美という一組のカップルがいた。
 彼らは新学期早々、周囲に恋人宣言をすると、人目をはばからずいちゃいちゃしだした。
 彼らは授業中でも構わずおしゃべりをし、休み時間ともなればずっとべったりくっついていた。


 「坂上君、あなたはこんな人たちをどう思いますか?」
  1. 鬱陶しい→「僕も本当に同感です」
  2. 羨ましい→「あなたもそういう人種なのですか?」
  3. 仲を裂いてやりたい→「あなたも随分と子供っぽいところがおありなのですね」


 2人の様子を見かねて注意する教師も多かったが、門倉たちは聞く耳を持たなかった。
 中には2人の勉強の遅れを心配して、真剣に話をしようとしていた先生もいた。それはクラスの担任の塚本明だった。
 しかし、2人は、塚本が独身だから妬いている、と馬鹿にして相手にしなかった。
 塚本先生は責任感溢れる教師だったので、2人と話しても埒が明かないと考え、ある日彼らの保護者を学校へ呼び出して話し合いをした。
 門倉と弘前の両親は学校での2人の姿を知り、2人を叱りつけた。
 そして、門倉と弘前は、罰として成績が元に戻るまでは、学校内での交際を禁じられた。
 2人は校内ではべたべたすることはなくなったが、放課後人目を盗んで、塚本先生に仕返しする方法を考えていた。


 「それは何だと思いますか?」
  1. 罠に嵌める→荒井エンディング№15:呪いのヒトガタ
  2. 呪いをかける
  3. わからない→荒井エンディング№15:呪いのヒトガタ
 「彼らはもっと直接的な方法で、先生を懲らしめようとしたのです。
 自分たちが学校内で問題を起こせば、担任の塚本先生が責任を問われて困ることになるのではないか、と」


 弘前は、塚本先生を困らせるため、学校に立てこもろう、と門倉に持ち掛けて、二人で旧校舎へ向かった。
 薄暗い階段の突き当りには、人が一人通れるぐらいの鉄の扉があり、弘前が蹴るとゆっくりと開いた。
 弘前は、鞄から懐中電灯とロウソクを取り出して言った。
 「お菓子もジュースもあるよ!さあ、入ろう」
 ロウソクの明かりに照らされて、室内の様子が明らかとなった。6畳ほどの空間で、窓がないせいか、息が詰まるような閉塞感と、かび臭い饐えたような匂いに、門倉は思わず鼻を覆ったが、弘前は非日常的な体験に興奮しているのか、目をキラキラと輝かせて室内と探索していた。
 「ねえ、見て見て!この染み、なんか血に見えない?」
 剥き出しのコンクリートには、所々に染みがこびり付いていたが、その中の一つが妙に弘前の気を引いたようだ。
 門倉は弘前の肩越しにその染みを覗き込んだが、そんなことはもうどうでも良かった。
 門倉は後ろから弘前の体に手を回すと、強く抱きしめ、首筋に唇を付けた。
 「ロウソク、そこに置けよ」
 「うん」
 炎が揺れて、二人の重なり合う影が壁に長く伸びたその時、門倉の体の下で、弘前が悲鳴を上げた。
 「ひぃ、いやぁ、やめて!殺さないで」
 「おい、歩美!」
 「お願い、いやぁ、やめて!!!」


 その夜、二人はそろって帰宅しなかった。
 翌日、捜索願が出されて、学校の先生たちも校内を探したが、旧校舎の鉄の扉の存在にはなかなか気づかなかった。
 二人が発見されたのは、行方不明となってから1週間以上経ってのことだった。
 見つかった時には、二人とも腐乱が進み、ネズミに食い荒らされて酷い状態だった。二人の死因は窒息死で、お互いの首を絞めて殺し合ったそうだ。


 「そうそう、僕と意見の合う坂上君には、いいことを教えてあげましょう。
 旧校舎の地下室ですが、あそこでは昔、陰湿な犯罪が行われていたことがあるんです。
 昔はこの学園も管理体制が甘く、旧校舎に住み着く不埒な輩も多かったそうです。その中にいたんですよ、殺人鬼が。
 その男は夜道で女性を拉致しては、旧校舎の地下室に連れ込んで、乱暴していたそうです。行為の最後には必ず首を絞めて、苦しみながら死んでいく様子を楽しんでいたようですよ」


 荒井エンディング№14:地下室の呪い
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択→シナリオ:痛みを感じない男→新堂エンディング№11~15
 2人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 答えたくありません
  3. 美人が多いからです
  4. 教師陣がすぐれているからです
  5. 友達を作りたかったからです→シナリオ:ゲーマーの条件
 「確かに鳴神学園はマンモス校ですから、女子生徒の数も一般の高校よりは多いでしょう。それに男女の比率はだいたい一緒。
 校風として生徒の交友に学校は口を挟んだりしませんから、カップル成立もそこそこ高い。そう踏まえれば、そこから恋人を探すために学園に入学する生徒がいてもおかしくはありませんね。
 では、あなたには恋人同士に起きた話をしましょう」


 シナリオ:呪いのヒトガタ


 荒井が1年生の時、同じクラスに門倉陽司と弘前歩美という一組のカップルがいた。
 彼らは新学期早々、周囲に恋人宣言をすると、人目をはばからずいちゃいちゃしだした。
 彼らは授業中でも構わずおしゃべりをし、休み時間ともなればずっとべったりくっついていた。


 「坂上君、あなたはこんな人たちをどう思いますか?」
  1. 鬱陶しい
  2. 羨ましい
  3. 仲を裂いてやりたい
 「僕も本当に同感です」


 2人の様子を見かねて注意する教師も多かったが、門倉たちは聞く耳を持たなかった。
 中には2人の勉強の遅れを心配して、真剣に話をしようとしていた先生もいた。それはクラスの担任の塚本明だった。
 しかし、2人は、塚本が独身だから妬いている、と馬鹿にして相手にしなかった。
 塚本先生は責任感溢れる教師だったので、2人と話しても埒が明かないと考え、ある日彼らの保護者を学校へ呼び出して話し合いをした。
 門倉と弘前の両親は学校での2人の姿を知り、2人を叱りつけた。
 そして、門倉と弘前は、罰として成績が元に戻るまでは、学校内での交際を禁じられた。
 2人は校内ではべたべたすることはなくなったが、放課後人目を盗んで、塚本先生に仕返しする方法を考えていた。


 「それは何だと思いますか?」
  1. 罠に嵌める
  2. 呪いをかける
  3. わからない
 「残念ながら、普段から深く考えることの苦手な2人ですから、罠に嵌めるなんて高等なマネができるわけありません。
 そうですね、僕だったら先生の荷物に盗品を忍び込ませて窃盗の疑いをかけるとか、生徒への破廉恥行為をでっち上げるとか色々と策は思いつくのですが」


 彼らは一番単純な方法である呪いをかけることにした。
 弘前がたまたま買った雑誌におもしろそうな記事が書かれていたのだ。
 それは、紙で人型を作って、そこに陥れたい相手の名前を書き込むという呪いだった。
 2人は簡単そうだという理由でこれを選んで、相談を始めた。
 雑誌には紙のことは詳しく書かれていなかったが、弘前は効果がありそうだと思い、近所の神社からパクって来た紙垂を取り出した。
 紙垂とは、神社の注連縄についているジグザグした形の白い紙のことだ。
 2人は雑誌のイラストの通りに紙を切り抜いて、真ん中に『塚本明』と先生の名前を書いた。
 そして、門倉はぐしゃぐしゃと丸めて窓から投げ捨てた。


 その翌日、窓の下で門倉と弘前の墜落死体が発見された。
 2人の死体は体中のあちこちが不自然な方向に捩じれ、まるで大きな手で潰された肉団子のようになっていた。


 「そういえば、呪いの藁人形は、内部に呪う相手の体を封じ込めるんでしたね。この場合は、お二人の指紋や手の汗が呪いの向かう矛先になったということは、考えられないでしょうか。
 そうそう、あの紙垂は神社のご神木に張られた注連縄から、弘前さんが黙って拝借したものだったようです。
 彼女は知らなかったようですが、そのご神木は昔、丑の刻参りの名所として有名だったそうですよ。いひひひ」


 荒井エンディング№15:呪いのヒトガタ
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい→新堂エンディング№11:奇妙なつながり新堂エンディング№12:願いの代償新堂エンディング№13:神頼み
  2. 入りたくない
 「そんな前置きを聞いたら、入りたいなんて思うわけないって?正直な奴だな、気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 健二はここ最近、空手の技を受けても全然痛くないし、どんな訓練をしても、まったく苦しくなかった。だから、何度でも立ち向かっていけるし、どんな苦しい訓練にも耐えられた。
 そして、自分がなぜ、こんな風になったのかを考えた時、あの神棚のことを思い出した。
 「俺が願掛けしたから?」
 神様が俺の願いを聞いてくれたんだ。健二は神様に応援されているような気がして、さらに鍛錬に励んだ。
 不思議なことに、痛みや不快な気持ちといったものは、ここ最近めっきりと感じなくなっていた。


 ある日のこと、兄弟で組み手をすることになった。
 そして組手が始まった時、悲劇が怒った。
 組手中、健二の放った蹴りが頭に命中し、健一は意識不明になった。
 その後、意識は戻ったが「頭が痛い」と苦しみながら息を引き取った。
 死因は、頭部骨折と頭蓋内出血だった。
 普通の人間だったら、自分が原因で人が死んだなら、ショックを受けるはずだが、健二は兄を自分の手にかけてしまったのに、何も感じなかった。
 そう、弟は全ての痛みを感じなくなっていた。物理的な衝撃の痛みだけでなく、心の痛みまでも・・・


 「坂上、全ての痛みから解放された弟は、その後も強くなったと思うか?」
  1. 強くなった→新堂エンディング№14:生と死を分かつもの
  2. 弱くなった→「そうか、確かに痛みを感じなければ、恐怖も感じない。痛みに怯えることなく、相手に立ち向かっていけることは、強いことかもしれねえ。
     でもよ、痛みは人を弱くもすれば、強くもする。俺は人間が強くなるには、痛みは必要不可欠な要素だと思うぜ。
     痛みがあるからこそ、そこから人間は這い上がれる。痛みから逃れるために、足掻くんだ」
  3. わからない→「わからないなら、教えてやるぜ」
 痛みがないということは恐怖もない。恐怖という足枷のなくなった健二はどんどん強くなっていった。
 けれど手加減を知らないものだから、兄の後も何人も病院送りにした挙句、また人を殺してしまった。
 さすがに二度目は学校もかばい切れず退学になり、そのまま少年院行き。
 風の噂によると、今は闇社会で凄腕ノボディガードとして活躍してるそうだ。


 「坂上、強くなるってことは何かを犠牲にすることだ。犠牲なしに強くなることは出来ねぇもんだ。
 かくゆう俺だって・・・おっと、なんでもねぇ。
 坂上、お前も頼んでみるか?なんでも強くなりたい強く思う奴の前にその神棚は現れるそうだぜ。お前も強くなりたいと思ったら空手部に行ってみるといい。きっとお前の望みを叶えてくれるはずだぜ、ふふふ」
 (痛みを感じない。
 確かに痛みを感じなければ人は強くなるかもれしれない。けれどそれは人間と言えるのだろうか。
 人は人の痛みがわかるからこそ、相手を大事にしたり、わかりあえるんじゃないのかな)


 新堂エンディング№15:痛みを感じない男
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい→新堂エンディング№11:奇妙なつながり新堂エンディング№12:願いの代償新堂エンディング№13:神頼み
  2. 入りたくない
 「そんな前置きを聞いたら、入りたいなんて思うわけないって?正直な奴だな、気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 健二はここ最近、空手の技を受けても全然痛くないし、どんな訓練をしても、まったく苦しくなかった。だから、何度でも立ち向かっていけるし、どんな苦しい訓練にも耐えられた。
 そして、自分がなぜ、こんな風になったのかを考えた時、あの神棚のことを思い出した。
 「俺が願掛けしたから?」
 神様が俺の願いを聞いてくれたんだ。健二は神様に応援されているような気がして、さらに鍛錬に励んだ。
 不思議なことに、痛みや不快な気持ちといったものは、ここ最近めっきりと感じなくなっていた。


 ある日のこと、兄弟で組み手をすることになった。
 そして組手が始まった時、悲劇が怒った。
 組手中、健二の放った蹴りが頭に命中し、健一は意識不明になった。
 その後、意識は戻ったが「頭が痛い」と苦しみながら息を引き取った。
 死因は、頭部骨折と頭蓋内出血だった。
 普通の人間だったら、自分が原因で人が死んだなら、ショックを受けるはずだが、健二は兄を自分の手にかけてしまったのに、何も感じなかった。
 そう、弟は全ての痛みを感じなくなっていた。物理的な衝撃の痛みだけでなく、心の痛みまでも・・・


 「坂上、全ての痛みから解放された弟は、その後も強くなったと思うか?」
  1. 強くなった
  2. 弱くなった
  3. わからない
 「そうか、確かに痛みを感じなければ、恐怖も感じない。痛みに怯えることなく、相手に立ち向かっていけることは、強いことからしれねえ。
 でもよ、痛みは人を弱くもすれば、強くもする。俺は人間が強くなるには、痛みは必要不可欠な要素だと思うぜ。
 痛みがあるからこそ、そこから人間は這い上がれる。痛みから逃れるために、足掻くんだ」


 痛みを感じない弊害は、すぐに現れた。
 沸かし過ぎて熱湯に近い湯に平然と健二は入り、あわや全身大火傷になるところで、言変に気付いた母親に助け出された。
 普段の鍛錬の時もそうだ。いくら走り込みをしても苦しさは感じないし、身体を酷使しても痛みを感じない。それをいいことに連日連夜ハードなトレーニングをした体は、すでに限界だった。
 ある日、練習中に健二は突然倒れ、そのまま息を引き取った。心臓麻痺だった。


 それ以来、空手部の道場に健二の霊が出るようになった。
 痛みを感じない故に生きているのか死んでいるのかもわからず彷徨う、悲しい男の亡霊が・・・


 「坂上、強さって何だろうな。
 肉体的な強さ、精神的な強さ、いろいろあるだろうよ。
 さっきも言ったが、俺はそのどちらも強くするためには痛みが必要だと思う。痛みがあるからこそ、人は強くなれる。俺はそう思うぜ」


 新堂エンディング№14:生と死を分かつもの
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 たった1か月で3年生でも勝てなくなり、健一も負かされっぱなしになった。
 健一は、このままでは兄のメンツが立たないと、弟の強さの秘密を探ろう必死だった。
 そして、いつか健二が話した神棚のことを思い出した。
 それから、健一は毎日遅くまで道場に残って、あの神棚が現れないか待った。でも、一向に神棚は現れなかった。
 張り込みを始めて1週間め、健一の背後から生暖かい風が吹いた気がして、振り返ると今まで見たこともない小汚い神棚が飾ってあることに気づいた。


 「坂上、お前は神頼みして、本当に強くなるなんて思うか?」
  1. 強くなると思う→新堂エンディング№12:願いの代償
  2. 変わらないと思う
 健一は、あの神棚が健二のパワーの源みたいに思えて、急にムカムカと怒りが込み上げてきた。
 そして、近くにあったほうきの柄で神棚をめちゃくちゃに壊した。
 しばらくすると、めちゃくちゃに壊れた神棚は、すーっと透明になってかき消えてしまった。


 しばらくすると、健二は弱くなったというか、奇行が目立つようになった。
 何もない壁を指さして「神棚が見える」なんて言い出すようになり、何かにひどく怯えるようになった。当然、部活は続けられなくなり、入院を余儀なくされた。
 病院でも健二はうわ言のように、こう呟いていた。
 「神棚があるよ。扉の隙間から何かが俺を見つめてるんだ。見るな!見るな!!!!」
 健一は、健二が暴れる理由がわかっていた。神棚を壊したからだ。


 何日かして、健一が健二の見舞いに病室へ行くと、健二は何か恐ろしいものを見たかのような引きつった表情のまま死んでいた。
 多分、健二は神棚の扉から出てきた何かを見てしまったのだろう。
 その時、生暖かい風が吹いたので、健一が恐る恐る振り返ると、病室の壁に神棚が飾られていた。そして、神棚の扉がゆっくりと開き始めた。
 見たら死ぬ、と直感がそう告げていたが、健一は動けなかった。
 扉が完全に開く寸前、健一は、自分の手で、自分の目をくり抜いた。
 この考えは正解で、あれ以来、健一の前に神棚は現れなくなって助かったが、永遠に暗闇の世界の住人になってしまった。


 「神棚を壊さなけれは、こんなことにならなかったと思うぜ。
 まあ、下手な神頼みなんてするもんじゃねえ」


 新堂エンディング№13:神頼み
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 たった1か月で3年生でも勝てなくなり、健一も負かされっぱなしになった。
 健一は、このままでは兄のメンツが立たないと、弟の強さの秘密を探ろう必死だった。
 そして、いつか健二が話した神棚のことを思い出した。
 それから、健一は毎日遅くまで道場に残って、あの神棚が現れないか待った。でも、一向に神棚は現れなかった。
 張り込みを始めて1週間め、健一の背後から生暖かい風が吹いた気がして、振り返ると今まで見たこともない小汚い神棚が飾ってあることに気づいた。


 「坂上、お前は神頼みして、本当に強くなるなんて思うか?」
  1. 強くなると思う
  2. 変わらないと思う
 「強くなりたい、強くなりたいんです!なんでもしますから」
 健一は神棚に向かって一心不乱に拝んだ。
 その時、どこからか強い風が吹いて、神棚の扉が開いて、また閉まった。
 「その願い、聞き入れた」
 健一の耳元で何者かが囁いたが、振り返っても誰もいない。
 願いを聞き届けてもらった、と健一は喜び勇んで家に帰った。


 「兄の方はその後、弟と同じように強くなったと思うか?」
  1. 強くなった
  2. 変わらなかった
 健一は健二以上に強くなった。
 あの神棚に神頼みして以来、健一はさらに強くなった。健二を含め空手部の誰も健一に勝てなかった。
 けれど異変はすぐに訪れた。健一は強くなるほど、どんどん痩せ細って行った。1か月もしないうちに、がっしりとした体型は、針金のようにやせ細ってしまった。
 でも、健一は部活を休まず、前以上に貪欲に対戦相手を求めるようになった。
 「なあ、兄貴、病院に行った方がいいよ。何かの病気なんじゃないか?」
 「健二、そんなこと言って、俺が強くなったのが悔しいんだろ?俺は絶対部活を休まないからな!死んでもだ!」
 そして、健一は練習中に、突然血を吐いて死んでしまった。


 新堂は、健一が死んだのは神棚に「なんでもするから強くなりたい」と神頼みしたせいだと思う、と話した。
 そして、同じように神頼みした健二が無事だったのは、神棚を掃除したからだろう、願いを叶えるにはそれ相応の見返りが必要だ、と。


 新堂エンディング№12:願いの代償
 CGギャラリー31/124

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 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体
  2. 何事にも動じない心
 健二は、いつか見返してやるために空手部の練習に耐えた。


 空手部は夏休みに恒例の合宿があるが、健二にとって本当の意味での地獄の特訓となった。
 「健二、さっさと起きろ」
 「先輩、もう無理っす。ちょっと休ませてくださいよ」
 「ちったぁ兄貴を見習わんかい!」
 「比べないでくれよ!」
 「あんだぁ!その口の聞き方は!」
 「すいません。後は俺が面倒を見ます」
 健一が割って入った。
 「健一、甘やかしたって、こいつのためにならんぞ」
 「はい、わかっています」
 弟が地獄の合宿にいられたのは兄のおかげだったが、そんな兄の態度が、余計弟には面白くなかった。


 合宿最後の日、みんなはへばっていた。
 兄は最後尾の弟の横について励ましていた。
 ロードワークも終わりに近づいたころ、前をよく見ていなかった兄弟たちは車の接近に気づかず、車に撥ねられてしまった。
 健一がとっさに健二をかばったので、健二のほうは奇跡的に軽傷で済み数週間で学校に戻って来たが、健一は意識不明のままだった。


 部活に戻った健二は、3年と組み手を始めたが、すべて勝ってしまった。
 それまで練習をさぼりがちな健二が急に強くなり、みんなは驚いた。
 そして、強くなった健二は、大会の選手に選ばれた。
 準決勝で相手の蹴りが健二の胸部に炸裂し、みんながアバラをやったと思われたが、健二は平然とした顔で相手を倒してしまった。
 試合後、健二の身体を見ると傷一つついてなかった。
 「俺は、無敵ですから」
 そして、健二は優勝した。


 大会で優勝した後、健二は、未だ意識が戻らない健一の病室を訪れて、大会の報告をした。
 そこへ健一の主治医がやってきた。
 「お兄さんの容体が良くないんだ。動けるはずないのに、見るたびに体中に怪我をしてるんだ。今日の昼も気が付いたら、胸に大怪我をしているんだ。健二君、何か心当たりはないかい?」
 「いや、別に・・・」


 健二は、自分がどんなに怪我を負っても痛みを感じず、代わりに健一の身体に傷ができることに気づいていた。
 自分の怪我を健一が負っているというのが、健二が無敵である理由だった。
 「すまねえな、兄貴。強いっていいもんだな。やっぱ練習じゃねえよ、素質だ。
 これからも頼むぜ」


 健二が快進撃を続けていたある日、健一の見舞いに行くと、主治医と両親が話し込んでいた。
 「脳死・・・これ以上は・・・」
 「そんな、これ以上費用は・・・」
 「延命かそれとも・・・」
 筋肉馬鹿の健二には内容がほとんどわからなかったが、あまり良い雰囲気ではないことに声の調子などで気づいたので、病室には入らず後にした。


 次の大会の決勝戦で、健二は突然、息苦しさに襲われて、倒れた。
 そして、そのまま死んでしまった。
 心臓発作ということになったが、真相は闇の中だ。
 後からわかったことだが、同じ時刻、病室では健一の生命維持装置の停止ボタンが押されていた。つまり、弟は兄の苦しみを代わりに受けたのだ。
 結局、兄弟は二人とも死んでしまった。


 新堂エンディング№11:奇妙なつながり
 CGギャラリー31/124

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