チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい→新堂エンディング№11:奇妙なつながり新堂エンディング№12:願いの代償新堂エンディング№13:神頼み
  2. 入りたくない
 「そんな前置きを聞いたら、入りたいなんて思うわけないって?正直な奴だな、気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 健二はここ最近、空手の技を受けても全然痛くないし、どんな訓練をしても、まったく苦しくなかった。だから、何度でも立ち向かっていけるし、どんな苦しい訓練にも耐えられた。
 そして、自分がなぜ、こんな風になったのかを考えた時、あの神棚のことを思い出した。
 「俺が願掛けしたから?」
 神様が俺の願いを聞いてくれたんだ。健二は神様に応援されているような気がして、さらに鍛錬に励んだ。
 不思議なことに、痛みや不快な気持ちといったものは、ここ最近めっきりと感じなくなっていた。


 ある日のこと、兄弟で組み手をすることになった。
 そして組手が始まった時、悲劇が怒った。
 組手中、健二の放った蹴りが頭に命中し、健一は意識不明になった。
 その後、意識は戻ったが「頭が痛い」と苦しみながら息を引き取った。
 死因は、頭部骨折と頭蓋内出血だった。
 普通の人間だったら、自分が原因で人が死んだなら、ショックを受けるはずだが、健二は兄を自分の手にかけてしまったのに、何も感じなかった。
 そう、弟は全ての痛みを感じなくなっていた。物理的な衝撃の痛みだけでなく、心の痛みまでも・・・


 「坂上、全ての痛みから解放された弟は、その後も強くなったと思うか?」
  1. 強くなった→新堂エンディング№14:生と死を分かつもの
  2. 弱くなった→「そうか、確かに痛みを感じなければ、恐怖も感じない。痛みに怯えることなく、相手に立ち向かっていけることは、強いことかもしれねえ。
     でもよ、痛みは人を弱くもすれば、強くもする。俺は人間が強くなるには、痛みは必要不可欠な要素だと思うぜ。
     痛みがあるからこそ、そこから人間は這い上がれる。痛みから逃れるために、足掻くんだ」
  3. わからない→「わからないなら、教えてやるぜ」
 痛みがないということは恐怖もない。恐怖という足枷のなくなった健二はどんどん強くなっていった。
 けれど手加減を知らないものだから、兄の後も何人も病院送りにした挙句、また人を殺してしまった。
 さすがに二度目は学校もかばい切れず退学になり、そのまま少年院行き。
 風の噂によると、今は闇社会で凄腕ノボディガードとして活躍してるそうだ。


 「坂上、強くなるってことは何かを犠牲にすることだ。犠牲なしに強くなることは出来ねぇもんだ。
 かくゆう俺だって・・・おっと、なんでもねぇ。
 坂上、お前も頼んでみるか?なんでも強くなりたい強く思う奴の前にその神棚は現れるそうだぜ。お前も強くなりたいと思ったら空手部に行ってみるといい。きっとお前の望みを叶えてくれるはずだぜ、ふふふ」
 (痛みを感じない。
 確かに痛みを感じなければ人は強くなるかもれしれない。けれどそれは人間と言えるのだろうか。
 人は人の痛みがわかるからこそ、相手を大事にしたり、わかりあえるんじゃないのかな)


 新堂エンディング№15:痛みを感じない男
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい→新堂エンディング№11:奇妙なつながり新堂エンディング№12:願いの代償新堂エンディング№13:神頼み
  2. 入りたくない
 「そんな前置きを聞いたら、入りたいなんて思うわけないって?正直な奴だな、気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 健二はここ最近、空手の技を受けても全然痛くないし、どんな訓練をしても、まったく苦しくなかった。だから、何度でも立ち向かっていけるし、どんな苦しい訓練にも耐えられた。
 そして、自分がなぜ、こんな風になったのかを考えた時、あの神棚のことを思い出した。
 「俺が願掛けしたから?」
 神様が俺の願いを聞いてくれたんだ。健二は神様に応援されているような気がして、さらに鍛錬に励んだ。
 不思議なことに、痛みや不快な気持ちといったものは、ここ最近めっきりと感じなくなっていた。


 ある日のこと、兄弟で組み手をすることになった。
 そして組手が始まった時、悲劇が怒った。
 組手中、健二の放った蹴りが頭に命中し、健一は意識不明になった。
 その後、意識は戻ったが「頭が痛い」と苦しみながら息を引き取った。
 死因は、頭部骨折と頭蓋内出血だった。
 普通の人間だったら、自分が原因で人が死んだなら、ショックを受けるはずだが、健二は兄を自分の手にかけてしまったのに、何も感じなかった。
 そう、弟は全ての痛みを感じなくなっていた。物理的な衝撃の痛みだけでなく、心の痛みまでも・・・


 「坂上、全ての痛みから解放された弟は、その後も強くなったと思うか?」
  1. 強くなった
  2. 弱くなった
  3. わからない
 「そうか、確かに痛みを感じなければ、恐怖も感じない。痛みに怯えることなく、相手に立ち向かっていけることは、強いことからしれねえ。
 でもよ、痛みは人を弱くもすれば、強くもする。俺は人間が強くなるには、痛みは必要不可欠な要素だと思うぜ。
 痛みがあるからこそ、そこから人間は這い上がれる。痛みから逃れるために、足掻くんだ」


 痛みを感じない弊害は、すぐに現れた。
 沸かし過ぎて熱湯に近い湯に平然と健二は入り、あわや全身大火傷になるところで、言変に気付いた母親に助け出された。
 普段の鍛錬の時もそうだ。いくら走り込みをしても苦しさは感じないし、身体を酷使しても痛みを感じない。それをいいことに連日連夜ハードなトレーニングをした体は、すでに限界だった。
 ある日、練習中に健二は突然倒れ、そのまま息を引き取った。心臓麻痺だった。


 それ以来、空手部の道場に健二の霊が出るようになった。
 痛みを感じない故に生きているのか死んでいるのかもわからず彷徨う、悲しい男の亡霊が・・・


 「坂上、強さって何だろうな。
 肉体的な強さ、精神的な強さ、いろいろあるだろうよ。
 さっきも言ったが、俺はそのどちらも強くするためには痛みが必要だと思う。痛みがあるからこそ、人は強くなれる。俺はそう思うぜ」


 新堂エンディング№14:生と死を分かつもの
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 たった1か月で3年生でも勝てなくなり、健一も負かされっぱなしになった。
 健一は、このままでは兄のメンツが立たないと、弟の強さの秘密を探ろう必死だった。
 そして、いつか健二が話した神棚のことを思い出した。
 それから、健一は毎日遅くまで道場に残って、あの神棚が現れないか待った。でも、一向に神棚は現れなかった。
 張り込みを始めて1週間め、健一の背後から生暖かい風が吹いた気がして、振り返ると今まで見たこともない小汚い神棚が飾ってあることに気づいた。


 「坂上、お前は神頼みして、本当に強くなるなんて思うか?」
  1. 強くなると思う→新堂エンディング№12:願いの代償
  2. 変わらないと思う
 健一は、あの神棚が健二のパワーの源みたいに思えて、急にムカムカと怒りが込み上げてきた。
 そして、近くにあったほうきの柄で神棚をめちゃくちゃに壊した。
 しばらくすると、めちゃくちゃに壊れた神棚は、すーっと透明になってかき消えてしまった。


 しばらくすると、健二は弱くなったというか、奇行が目立つようになった。
 何もない壁を指さして「神棚が見える」なんて言い出すようになり、何かにひどく怯えるようになった。当然、部活は続けられなくなり、入院を余儀なくされた。
 病院でも健二はうわ言のように、こう呟いていた。
 「神棚があるよ。扉の隙間から何かが俺を見つめてるんだ。見るな!見るな!!!!」
 健一は、健二が暴れる理由がわかっていた。神棚を壊したからだ。


 何日かして、健一が健二の見舞いに病室へ行くと、健二は何か恐ろしいものを見たかのような引きつった表情のまま死んでいた。
 多分、健二は神棚の扉から出てきた何かを見てしまったのだろう。
 その時、生暖かい風が吹いたので、健一が恐る恐る振り返ると、病室の壁に神棚が飾られていた。そして、神棚の扉がゆっくりと開き始めた。
 見たら死ぬ、と直感がそう告げていたが、健一は動けなかった。
 扉が完全に開く寸前、健一は、自分の手で、自分の目をくり抜いた。
 この考えは正解で、あれ以来、健一の前に神棚は現れなくなって助かったが、永遠に暗闇の世界の住人になってしまった。


 「神棚を壊さなけれは、こんなことにならなかったと思うぜ。
 まあ、下手な神頼みなんてするもんじゃねえ」


 新堂エンディング№13:神頼み
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体→新堂エンディング№11:奇妙なつながり
  2. 何事にも動じない心
 その日、健二は3年生の先輩の機嫌を損ねたもので、一人で広い道場の掃除を命じられた。
 掃除の最中に健二は、ふと道場に置いてある神棚が目に入った。
 忘れ去られたようにひっそりとたたずむ神棚は、埃をかぶって何年も掃除していないようだった。
 道場には真新し神棚があり、そこはいつも榊と水が供えられて、掃除も行き届いてた。
 「これも掃除しねえといけねえのかな」
 健二はため息をつきながらその古臭い神棚の掃除を始めた。
 何年も放っておかれてように汚い神棚は、蜘蛛の巣と埃にまみれ、掃除は大変だったが、一片のチリも残さないように掃除した。
 健二は掃除が終わった神棚に手を合わせて、こう願った。
 「困ったときの神頼みか。強くなれますように!」
 その時、窓なんかないのに、どこからか強い風が吹いて神棚の扉が開いて、また閉まった。
 そして、健二の耳元で何者かが囁いた。
 「その願い、聞き入れた」
 驚いて振り返ったが誰もいない。
 健二は他の場所の掃除も終えて、足早に家に帰った。


 次の日の部活で、健二は健一に、昨日の神棚の掃除をしていた時のことを話した。
 「おかしいな?道場には神棚は一つしかないはずだぞ。もう一つの神棚はどこにあるんだ?」
 健一の言葉を聞いた健二は、昨日の神棚の位置を確かめようとしたが、どうしても見つからない。
 「寝ぼけてたんじゃねえか」と健一に言われて、健二は二度とこの話はするまいと決め、その出来事を忘れていった。


 しかし、その日を境に、健二の空手の腕は上達していった。
 たった1か月で3年生でも勝てなくなり、健一も負かされっぱなしになった。
 健一は、このままでは兄のメンツが立たないと、弟の強さの秘密を探ろう必死だった。
 そして、いつか健二が話した神棚のことを思い出した。
 それから、健一は毎日遅くまで道場に残って、あの神棚が現れないか待った。でも、一向に神棚は現れなかった。
 張り込みを始めて1週間め、健一の背後から生暖かい風が吹いた気がして、振り返ると今まで見たこともない小汚い神棚が飾ってあることに気づいた。


 「坂上、お前は神頼みして、本当に強くなるなんて思うか?」
  1. 強くなると思う
  2. 変わらないと思う
 「強くなりたい、強くなりたいんです!なんでもしますから」
 健一は神棚に向かって一心不乱に拝んだ。
 その時、どこからか強い風が吹いて、神棚の扉が開いて、また閉まった。
 「その願い、聞き入れた」
 健一の耳元で何者かが囁いたが、振り返っても誰もいない。
 願いを聞き届けてもらった、と健一は喜び勇んで家に帰った。


 「兄の方はその後、弟と同じように強くなったと思うか?」
  1. 強くなった
  2. 変わらなかった
 健一は健二以上に強くなった。
 あの神棚に神頼みして以来、健一はさらに強くなった。健二を含め空手部の誰も健一に勝てなかった。
 けれど異変はすぐに訪れた。健一は強くなるほど、どんどん痩せ細って行った。1か月もしないうちに、がっしりとした体型は、針金のようにやせ細ってしまった。
 でも、健一は部活を休まず、前以上に貪欲に対戦相手を求めるようになった。
 「なあ、兄貴、病院に行った方がいいよ。何かの病気なんじゃないか?」
 「健二、そんなこと言って、俺が強くなったのが悔しいんだろ?俺は絶対部活を休まないからな!死んでもだ!」
 そして、健一は練習中に、突然血を吐いて死んでしまった。


 新堂は、健一が死んだのは神棚に「なんでもするから強くなりたい」と神頼みしたせいだと思う、と話した。
 そして、同じように神頼みした健二が無事だったのは、神棚を掃除したからだろう、願いを叶えるにはそれ相応の見返りが必要だ、と。


 新堂エンディング№12:願いの代償
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ包帯の女→特殊七話目№38・39を見る


 3週目開始!
 1人目は新堂誠を選択!


 「お前がどうして新聞に入ったのか教えてくれねえか?」
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてしました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「俺が勧められる部活は・・・」
  1. ボクシング部
  2. 空手部
  3. パフェ同好会
 シナリオ:痛みを感じない男開始!
「鳴神学園の空手部は、いい意味でも悪い意味でも有名だ。全国大会でハイレベルの実績を残してはいるが、その厳しさは毎年死人が出るとか行方不明者が出ると言われて程だからな。
 お前、空手部に入ってみたいと思うか?」
  1. 入ってみたい
  2. 入りたくない
 「すごいな、お前。中々骨のあるやつじゃないか。気に入ったぜ。
 空手部は1年は奴隷、2年は丁稚、3年は神様って言われてんだ。奴隷が神様に意見したら殺されても仕方がねえ。
 上に服従して素直に練習してりゃあ、確実に強くなれるぜ。なんたって練習量がハンパねえからな。
 まあ確かに練習はキツいが、人間に耐えられねえほどじゃねえ。要は根性が据わっているかどうか、上に絶対服従できるかどうかだ」


 何年か前に空手部に有馬健一、健二という兄弟がいた。
 奴らは一つ違いで、兄の健一が2年の時、弟の健二が1年だった。
 兄の健一は1年の時から空手部のエースとして活躍していたが、弟の健二は兄に憧れて入って来ただけで、腕前の方はからっきしだった。
 「どうしたら兄貴みたいに強くなれるんだ?」
 「毎日の鍛錬さ。地味な毎日の積み重ねが、いつか花開くんだ。その日までの努力努力の連続さ」
 「そうは言っても俺はまったく上達しねえぜ。練習したって強くなんかならねえよ。素質がすべてなんだ」
 「そんなことはない。周りのみんなはお前の何倍も練習してるんだ。だからお前ももっと練習しろ」
 練習でも1年の扱いはひどかった。
 「健二、今すぐジュースを買ってこい」
 「はい」
 「健二、マッサージしろ」
 「はい」
 「健二、俺の代わりに宿題をやっとけ」
 「はい」
 3年生は、健二をいいようにパシリに使っていた。
 「お前、ジュース買ってくるのにどれだけかかってんだよ?」
 「すみません」
 「お前のマッサージのせいで余計筋肉痛になったんだけど?」
 「すみません」
 「てめぇ、宿題の答えが滅茶苦茶じゃねえか」
 「すみません」
 「お前の兄貴は、俺らの命令を毎回きちんとこなしていたぜ」
 「お前ら、本当に兄弟かよ?」
 「お前だけ橋の下で拾われたんじゃねえの」
 そうやって、健二は事あるごとに兄と比較されて馬鹿にされた。
 健一は先輩の手前、健二をかばうことができず、苦笑いを浮かべていただけだった。
 そして、健二は、だんだんと不満を募らせていった。理不尽な扱いをする3年連中もそうだが、ただ見て苦笑いしている健一にも。


 「お前が思う『強さ』って何だ?」
  1. 強靭な肉体
  2. 何事にも動じない心
 健二は、いつか見返してやるために空手部の練習に耐えた。


 空手部は夏休みに恒例の合宿があるが、健二にとって本当の意味での地獄の特訓となった。
 「健二、さっさと起きろ」
 「先輩、もう無理っす。ちょっと休ませてくださいよ」
 「ちったぁ兄貴を見習わんかい!」
 「比べないでくれよ!」
 「あんだぁ!その口の聞き方は!」
 「すいません。後は俺が面倒を見ます」
 健一が割って入った。
 「健一、甘やかしたって、こいつのためにならんぞ」
 「はい、わかっています」
 弟が地獄の合宿にいられたのは兄のおかげだったが、そんな兄の態度が、余計弟には面白くなかった。


 合宿最後の日、みんなはへばっていた。
 兄は最後尾の弟の横について励ましていた。
 ロードワークも終わりに近づいたころ、前をよく見ていなかった兄弟たちは車の接近に気づかず、車に撥ねられてしまった。
 健一がとっさに健二をかばったので、健二のほうは奇跡的に軽傷で済み数週間で学校に戻って来たが、健一は意識不明のままだった。


 部活に戻った健二は、3年と組み手を始めたが、すべて勝ってしまった。
 それまで練習をさぼりがちな健二が急に強くなり、みんなは驚いた。
 そして、強くなった健二は、大会の選手に選ばれた。
 準決勝で相手の蹴りが健二の胸部に炸裂し、みんながアバラをやったと思われたが、健二は平然とした顔で相手を倒してしまった。
 試合後、健二の身体を見ると傷一つついてなかった。
 「俺は、無敵ですから」
 そして、健二は優勝した。


 大会で優勝した後、健二は、未だ意識が戻らない健一の病室を訪れて、大会の報告をした。
 そこへ健一の主治医がやってきた。
 「お兄さんの容体が良くないんだ。動けるはずないのに、見るたびに体中に怪我をしてるんだ。今日の昼も気が付いたら、胸に大怪我をしているんだ。健二君、何か心当たりはないかい?」
 「いや、別に・・・」


 健二は、自分がどんなに怪我を負っても痛みを感じず、代わりに健一の身体に傷ができることに気づいていた。
 自分の怪我を健一が負っているというのが、健二が無敵である理由だった。
 「すまねえな、兄貴。強いっていいもんだな。やっぱ練習じゃねえよ、素質だ。
 これからも頼むぜ」


 健二が快進撃を続けていたある日、健一の見舞いに行くと、主治医と両親が話し込んでいた。
 「脳死・・・これ以上は・・・」
 「そんな、これ以上費用は・・・」
 「延命かそれとも・・・」
 筋肉馬鹿の健二には内容がほとんどわからなかったが、あまり良い雰囲気ではないことに声の調子などで気づいたので、病室には入らず後にした。


 次の大会の決勝戦で、健二は突然、息苦しさに襲われて、倒れた。
 そして、そのまま死んでしまった。
 心臓発作ということになったが、真相は闇の中だ。
 後からわかったことだが、同じ時刻、病室では健一の生命維持装置の停止ボタンが押されていた。つまり、弟は兄の苦しみを代わりに受けたのだ。
 結局、兄弟は二人とも死んでしまった。


 新堂エンディング№11:奇妙なつながり
 CGギャラリー31/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ:包帯の女へ!


 6人の話が終わったが、まだ7人目は現れない。
 語り手たちは次々を部室を出て行き、残ったのは細田だけだった。
 「坂上君は帰らないの?」
 「僕はまだ片付けがありますから」
 「ね、一緒に帰ろう」と言って、細田は坂上に顔を近づけた。
 「やめてください。僕、一人で帰れますから」
 「・・・じゃあ僕は帰るよ」
 「はい」
 細田も部室を出て行き、坂上は独りで部室を片付け始めたが、机の端にあったコーラのペットボトルを倒してしまい、床にコーラをこぼしてしまった。
 その時、坂上の耳に何か濡れた重い何かをひきずる音が聞こえてきた。それは、この新聞部に近づいてきていた。
 そして、坂上の背後に少女が立っていた。
 「遅れてきてごめんなさい。私が7人目です。話してもいいですか?」
 急に現れた少女を見て失禁しそうになってた坂上はただうなずくしかなかった。
 少女はうちの学校の制服を着ていたが、顔に包帯を巻きつけていた。
 包帯の隙間から見える少女の瞳は、吸い込まれそうなくらい綺麗だった。
 坂上は、もしかして彼女は美人かもしれないと思った。
 「あの、これ、良かったら、ズボン、濡れてますよ」
 「すみません」
 こぼしたコーラで坂上のスボンは濡れており、坂上はありがたく彼女のハンカチを受け取り、ズボンを拭いた。
 「床の拭かないと」と言って、少女は雑巾で床を拭き始めた。
 その姿を見て、坂上は、いい子じゃないか、と思い始めた。
 「ハンカチ、ありがと・・・」と言いかけて坂上は、ハンカチが赤黒く染まっていることに気づいた。
 さっきは気づかなかったが、スボンを拭いた時、面を変えたのだ。
 少女は、ハンカチを奪うとスカートのポケットにねじ込んだ。
 「ごめんなさい、ごめんなさい。全部話しますから。聞いて下さい。お願いします」
 可哀そうに思った坂上は、思わず「聞きますから」と答えた。
 「はい、これから話すのは私の話です。あなたにどうしても聞いてもらいたい話なんです」


 少女は二目と見られない顔のため包帯を巻いて生活している。
 包帯を巻くようになった原因は火傷だった。
 少女が5才のころ、祖母の家にあった反射式ストーブに兄がぶつかり、ストーブにかけていたやかんのお湯が昼寝をしていた少女の顔にかかったのだ。
 すぐに皮膚移植の話が出て、当時7歳だった兄が責任を感じて、自分の皮膚を使ってほしい、と言い出し、兄の皮膚が少女に移植されることになった。
 少女の顔は綺麗になり幼稚園に通うようになったある日、顔に緑色のシミができて、こするとポロっと取れてしまった。皮膚がとれた後がとてもかゆかったので、かきむしっていたら手が血まみれになっていた。ふと、鏡に映った自分の顔を見ると、皮膚がはがれて肉が剥き出しの真っ赤な筋の上に、緑色のカビがびっしりと生えていた。
 拒絶反応が起こり、兄の皮膚との間に隙間ができ、そこにカビが入って繁殖したとのこと。
 植皮が怖くなった少女は、植皮を受けないで包帯をまいてすごす人生が始まった。


 幼稚園で、包帯を巻いた少女はいじめられるようになってしまった。
 少女はいつも馬乗りで下の役ばかりさせらるようになり、リーダー格の子の下敷きになっていた。
 ある日、リーダー格の子に顔の包帯を解かれてしまい、化け物のような顔を見られてしまった。
 みんなは少女の恐ろしい顔を見て泣き出したが、リーダー格の子だけはそれを見てよだれを垂らしながら笑っており、少女の顔を見せびらかすように連れて歩いた。
 その結果、少女は幼稚園を変わることになったが、新しい幼稚園に行くことはなかった。
 少女の兄は、自分が守ってやればこんなことにならなかった、とすべてを背負いこんでしまった。
 けれど、少女のことが原因で両親は離婚してしまい、兄は跡取りとして父に引きとられ、少女は母に引き取られた。


 小学校に上がった少女はクラスに受け入れられたが、上級生から蹴られるなどのいじめを受け、転校することになった。しかし、お金がなく引っ越しできなかったため、近くの学校に行くことになった。
 二つ目の小学校に転校したが、すでにグループができていたので少女は独りで過ごしていた。
 ある日、太った少年に男子トイレの個室に押し込まれて、「僕達友達だよね。だから、一緒にいじめられてくれるよね」と言われてしまう。
 少女はいじめられることよりも、太った子に付きまとわれる方が嫌で、また転校した。


 3つ目の学校は少し遠くにあったので、毎日、少女は母親に車で送り迎えしてもらっていた。そのせいで、学校に行きたくない、と言える雰囲気ではなかった。
 その学校では、2年間もの間、少女はとある上級生から観察され続けていた。
 そして、小学校3年生の時、ついに上級生から「包帯を取った顔を見てみたい」と話しかけられたが、少女は断った。
 すると上級生は催涙スプレーを少女の顔に吹き付け、包帯を取った。
 少女の顔が見られた上級生は喜び、少女の顔に爪を立てて、頬の肉をそぎ落とした。
 彼は皮膚のない顔の肉が欲しくて、2年間も観察していたのだった。
 そして、少女はまた学校に行けなくなった。


 1年ほど経ってまた転校したが、その学校は少人数クラスの進学校だった。
 少女は頭だけは良かったので、奇跡的にその学校に通うことができた。
 表面上では少女に対してのいじめはなかったが、とある男子生徒にだけ、「偽善者ぶるのに疲れた」と言われ、ストレスのはけ口としていじめられた。
 少女は学校に行けなくなり、体がだるい、と言って卒業まで欠席した。


 そして、少女が中学生になり、入学式のあとに女子の先輩から「美術部に入らない?私一人しかいないの」と誘われた。
 先輩は、「あなたがどうして包帯をしてるかなんて興味ないの。あなたはとてもきれいで、頭がいいわ。私はそんな子が好きなの。だから私を裏切らないで。毎日ここでお話しましょう」と言ってくれた。
 けれど少女は風邪をひいて学校を1日休んでしまった。
 翌日の放課後、美術部の部室に行くと、先輩は「あなたも私を裏切ったのね」と言ってカッターを振りかざして来た。
 それ以来少女は学校へ行けなくなった。
 そして、受験した高校には合格したので、籍はあるが通っていないとのこと。


 自分をいじめていた奴のことが夢にまで出てきて、忘れることができず、少女は自殺を考えるようになったが、母親のことを思うと実行できずにいた。
 そんなある日、兄が尋ねてきた。
 同じ高校に通っており、名簿を見て、様子を窺いにきたのだ。
 少女は、今までのことを兄に打ち明けると、兄は鬼のような形相になった。
 そして、昨日、兄は復讐計画を少女に打ち明けた。
 「学校新聞で学校の七不思議の特集することにした。そこで会を開き、6人に怖い話をさせる。そして7人目に俺が登場して、お前の話をして怖がらせてから、殺す。お前はそれを見届けるんだ」


 7人目の日野先輩はまだ現れない。
 「私にひどい目を合わせた6人。
 馬乗りになった福沢玲子。
 理不尽に蹴りつけた新堂誠。
 トイレに押し込んだ細田友晴。
 頬の肉を削いだ荒井昭二。
 偽善者ぶるのに疲れた風間望。
 裏切られたとカッターを振りかざした岩下明美。
 そして、私への罪悪感に狂った、私の兄、日野貞夫。
 あなたは復讐のための先導役だったんです」
 「日野先輩はまだ現れてはいない。冗談だよね?」
 「裏庭で兄と打ち合わせをしました。兄を止める最後のチャンスだったんです。
 気絶させるつもりで、落ちていたレンガを手に取り、兄の頭に振り下ろしました。頭が割れて、血を吹いて兄は死んでしまいました。
 ハンカチで手を拭いて・・だから血が付いていたんです」
 「大体どうして僕に話すんだ。話すんだったら警察に行けばいい!!!」
 「私たちの父親は国家の中枢部と関与している人間です。私と兄の事件をもみ消す力があるんです。だから、あなたに、私のことを学校新聞に書いてほしいんです。真実を!」
 「そんな、嘘だよ」
 「それなら扉の外を見てください。連れてきたんです、兄を」


 坂上が廊下を覗き込むと、血まみれの黒い塊があった。
 少女は言った。
 「私思うんです。本当に怖いのは幽霊なんかじゃない。
 人の恐怖を笑う、理不尽に人を殴る、人を道連れにする、人で自分の好奇心を満たす、人を不満のはけ口にする、人を自分の道理に押し込める、人のためにしか生きられない、そんなことを平気でしてしまう、そんな人間の方がよっぽど怖いって。
 私はきっと、そんな狂気を呼び起こさせるものを持っているんですね。
 それでなくても、あんなに大切な兄を」
 彼女はゆっくりと歩き、窓の前に立って、窓を開けた。
 「お母さん、悲しむかなぁ」
 彼女は坂上の方を見て、包帯に手をかけた。
 「坂上君、巻き込んでしまって、本当にごめんさない」
 腐ったような肉の筋、削ぎ落された頬は確かに抉れている。
  1. 彼女をまっすぐ見る→特殊エンディング№38:包帯の断罪者
  2. 叫ぶ
 「うわああああ」
 あまりのおぞましさに坂上は叫んでしまった。
 逃げないと殺される。
 「やっぱり怖がるんだね」
 「来るな、来るな!!!」
 「悔しい・・・私だって普通の人間なんだよ」
 「お前は人間なんかじゃない!化け物だよ」
 「・・・あなたもそうなんだ」
 化け物はそう呟くとパイプ椅子を振り上げて、坂上に振り下ろした。
 (痛い)
 坂上の意識が一瞬朦朧とした。
 「皮膚が付いているくらいで何偉そうにしてるの?」
 ガラスの割れる音がした。
 彼女は坂上の上に乗って、ガラス片を坂上の頬に押し当てた。
 そして、皮膚を引っ張り削ぎ落していった。
 「きったない皮膚。こんなの付けているから調子に乗るのよ。
 ねえ、聞いてるの?人の話はちゃんと目を見て聞きなさいって習わなかった?
 ああ、目がいらないのか」
 坂上の左目に激痛が走った。彼女がガラス片を左目に突き立てたのだ。そして、さらに奥まで突っ込み、抉る。
 坂上は絶叫した。
 「うるさいなぁ。目、要るの?」
 坂上は必死に頷いた。
 「違うなぁ。残していただけませんか、でしょう」
 「の、残して、いただけませんか・・・」
 「嫌」
 彼女は眼球に指を突っ込んだ。
 思わず開いた坂上の口に、彼女は腕を突っ込んだので、坂上は戻してしまった。
 「きったない。殺されたいの?」
 坂上は首を横に振った。
 「今、あんたの喉に毒を塗った。お兄ちゃんが私にくれたの。
 3時間後にあんたも死ぬよ。吐いても無駄だから」
 「し、死にたくありません・・・どうか、助けていただけませんか・・・」
 「よくできました。だったら、3時間以内にあの6人の首をここへ持って来なさい。そしたら解毒してあげる。
 6人を説得して私を殺そうとしても無駄だから。そんなことしたらあなたもろとも6人全員を殺す。
 逃げてもいいけど、解毒できる病院、この近くにあるかな?
 ほら、さっさと行かないと、時間なくなるよ。首切るのってきっと大変よ」
 彼女は、血まみれになった坂上の顔に包帯を巻いてくれた。
 そして、6人に家を記した地図を渡した。


 激痛に耐えながら廊下に出た坂上は、日野だった塊を見つけた。
 彼もまた彼女の狂気に魅せられた者の一人だ。
 彼女は虐げる側の人間だ。その資格がある。素質がある。
 僕がそれを開花させた。その喜びに坂上は打ち震えていた。
 (だから僕は抗わない。彼女の仰せの通り、6人の首を持ってくる。それが彼女への崇拝の証)


 特殊エンディング№39:崇拝の証
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井を選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02
 6人目は福沢を選択→シナリオ:彼と彼女の秘密→福沢エンディング№23~28


 1人目:岩下エンディング№02:二人だけの世界
→2人目:新堂エンディング№03:六本の右足
→3人目:風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
→4人目:細田エンディング№01:イラつく奴
→5人目:荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
→6人目:福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
→7人目のシナリオ:包帯の女へ!


 6人の話が終わったが、まだ7人目は現れない。
 語り手たちは次々を部室を出て行き、残ったのは細田だけだった。
 「坂上君は帰らないの?」
 「僕はまだ片付けがありますから」
 「ね、一緒に帰ろう」と言って、細田は坂上に顔を近づけた。
 「やめてください。僕、一人で帰れますから」
 「・・・じゃあ僕は帰るよ」
 「はい」
 細田も部室を出て行き、坂上は独りで部室を片付け始めたが、机の端にあったコーラのペットボトルを倒してしまい、床にコーラをこぼしてしまった。
 その時、坂上の耳に何か濡れた重い何かをひきずる音が聞こえてきた。それは、この新聞部に近づいてきていた。
 そして、坂上の背後に少女が立っていた。
 「遅れてきてごめんなさい。私が7人目です。話してもいいですか?」
 急に現れた少女を見て失禁しそうになってた坂上はただうなずくしかなかった。
 少女はうちの学校の制服を着ていたが、顔に包帯を巻きつけていた。
 包帯の隙間から見える少女の瞳は、吸い込まれそうなくらい綺麗だった。
 坂上は、もしかして彼女は美人かもしれないと思った。
 「あの、これ、良かったら、ズボン、濡れてますよ」
 「すみません」
 こぼしたコーラで坂上のスボンは濡れており、坂上はありがたく彼女のハンカチを受け取り、ズボンを拭いた。
 「床の拭かないと」と言って、少女は雑巾で床を拭き始めた。
 その姿を見て、坂上は、いい子じゃないか、と思い始めた。
 「ハンカチ、ありがと・・・」と言いかけて坂上は、ハンカチが赤黒く染まっていることに気づいた。
 さっきは気づかなかったが、スボンを拭いた時、面を変えたのだ。
 少女は、ハンカチを奪うとスカートのポケットにねじ込んだ。
 「ごめんなさい、ごめんなさい。全部話しますから。聞いて下さい。お願いします」
 可哀そうに思った坂上は、思わず「聞きますから」と答えた。
 「はい、これから話すのは私の話です。あなたにどうしても聞いてもらいたい話なんです」


 少女は二目と見られない顔のため包帯を巻いて生活している。
 包帯を巻くようになった原因は火傷だった。
 少女が5才のころ、祖母の家にあった反射式ストーブに兄がぶつかり、ストーブにかけていたやかんのお湯が昼寝をしていた少女の顔にかかったのだ。
 すぐに皮膚移植の話が出て、当時7歳だった兄が責任を感じて、自分の皮膚を使ってほしい、と言い出し、兄の皮膚が少女に移植されることになった。
 少女の顔は綺麗になり幼稚園に通うようになったある日、顔に緑色のシミができて、こするとポロっと取れてしまった。皮膚がとれた後がとてもかゆかったので、かきむしっていたら手が血まみれになっていた。ふと、鏡に映った自分の顔を見ると、皮膚がはがれて肉が剥き出しの真っ赤な筋の上に、緑色のカビがびっしりと生えていた。
 拒絶反応が起こり、兄の皮膚との間に隙間ができ、そこにカビが入って繁殖したとのこと。
 植皮が怖くなった少女は、植皮を受けないで包帯をまいてすごす人生が始まった。


 幼稚園で、包帯を巻いた少女はいじめられるようになってしまった。
 少女はいつも馬乗りで下の役ばかりさせらるようになり、リーダー格の子の下敷きになっていた。
 ある日、リーダー格の子に顔の包帯を解かれてしまい、化け物のような顔を見られてしまった。
 みんなは少女の恐ろしい顔を見て泣き出したが、リーダー格の子だけはそれを見てよだれを垂らしながら笑っており、少女の顔を見せびらかすように連れて歩いた。
 その結果、少女は幼稚園を変わることになったが、新しい幼稚園に行くことはなかった。
 少女の兄は、自分が守ってやればこんなことにならなかった、とすべてを背負いこんでしまった。
 けれど、少女のことが原因で両親は離婚してしまい、兄は跡取りとして父に引きとられ、少女は母に引き取られた。


 小学校に上がった少女はクラスに受け入れられたが、上級生から蹴られるなどのいじめを受け、転校することになった。しかし、お金がなく引っ越しできなかったため、近くの学校に行くことになった。
 二つ目の小学校に転校したが、すでにグループができていたので少女は独りで過ごしていた。
 ある日、太った少年に男子トイレの個室に押し込まれて、「僕達友達だよね。だから、一緒にいじめられてくれるよね」と言われてしまう。
 少女はいじめられることよりも、太った子に付きまとわれる方が嫌で、また転校した。


 3つ目の学校は少し遠くにあったので、毎日、少女は母親に車で送り迎えしてもらっていた。そのせいで、学校に行きたくない、と言える雰囲気ではなかった。
 その学校では、2年間もの間、少女はとある上級生から観察され続けていた。
 そして、小学校3年生の時、ついに上級生から「包帯を取った顔を見てみたい」と話しかけられたが、少女は断った。
 すると上級生は催涙スプレーを少女の顔に吹き付け、包帯を取った。
 少女の顔が見られた上級生は喜び、少女の顔に爪を立てて、頬の肉をそぎ落とした。
 彼は皮膚のない顔の肉が欲しくて、2年間も観察していたのだった。
 そして、少女はまた学校に行けなくなった。


 1年ほど経ってまた転校したが、その学校は少人数クラスの進学校だった。
 少女は頭だけは良かったので、奇跡的にその学校に通うことができた。
 表面上では少女に対してのいじめはなかったが、とある男子生徒にだけ、「偽善者ぶるのに疲れた」と言われ、ストレスのはけ口としていじめられた。
 少女は学校に行けなくなり、体がだるい、と言って卒業まで欠席した。


 そして、少女が中学生になり、入学式のあとに女子の先輩から「美術部に入らない?私一人しかいないの」と誘われた。
 先輩は、「あなたがどうして包帯をしてるかなんて興味ないの。あなたはとてもきれいで、頭がいいわ。私はそんな子が好きなの。だから私を裏切らないで。毎日ここでお話しましょう」と言ってくれた。
 けれど少女は風邪をひいて学校を1日休んでしまった。
 翌日の放課後、美術部の部室に行くと、先輩は「あなたも私を裏切ったのね」と言ってカッターを振りかざして来た。
 それ以来少女は学校へ行けなくなった。
 そして、受験した高校には合格したので、籍はあるが通っていないとのこと。


 自分をいじめていた奴のことが夢にまで出てきて、忘れることができず、少女は自殺を考えるようになったが、母親のことを思うと実行できずにいた。
 そんなある日、兄が尋ねてきた。
 同じ高校に通っており、名簿を見て、様子を窺いにきたのだ。
 少女は、今までのことを兄に打ち明けると、兄は鬼のような形相になった。
 そして、昨日、兄は復讐計画を少女に打ち明けた。
 「学校新聞で学校の七不思議の特集することにした。そこで会を開き、6人に怖い話をさせる。そして7人目に俺が登場して、お前の話をして怖がらせてから、殺す。お前はそれを見届けるんだ」


 7人目の日野先輩はまだ現れない。
 「私にひどい目を合わせた6人。
 馬乗りになった福沢玲子。
 理不尽に蹴りつけた新堂誠。
 トイレに押し込んだ細田友晴。
 頬の肉を削いだ荒井昭二。
 偽善者ぶるのに疲れた風間望。
 裏切られたとカッターを振りかざした岩下明美。
 そして、私への罪悪感に狂った、私の兄、日野貞夫。
 あなたは復讐のための先導役だったんです」
 「日野先輩はまだ現れてはいない。冗談だよね?」
 「裏庭で兄と打ち合わせをしました。兄を止める最後のチャンスだったんです。
 気絶させるつもりで、落ちていたレンガを手に取り、兄の頭に振り下ろしました。頭が割れて、血を吹いて兄は死んでしまいました。
 ハンカチで手を拭いて・・だから血が付いていたんです」
 「大体どうして僕に話すんだ。話すんだったら警察に行けばいい!!!」
 「私たちの父親は国家の中枢部と関与している人間です。私と兄の事件をもみ消す力があるんです。だから、あなたに、私のことを学校新聞に書いてほしいんです。真実を!」
 「そんな、嘘だよ」
 「それなら扉の外を見てください。連れてきたんです、兄を」


 坂上が廊下を覗き込むと、血まみれの黒い塊があった。
 少女は言った。
 「私思うんです。本当に怖いのは幽霊なんかじゃない。
 人の恐怖を笑う、理不尽に人を殴る、人を道連れにする、人で自分の好奇心を満たす、人を不満のはけ口にする、人を自分の道理に押し込める、人のためにしか生きられない、そんなことを平気でしてしまう、そんな人間の方がよっぽど怖いって。
 私はきっと、そんな狂気を呼び起こさせるものを持っているんですね。
 それでなくても、あんなに大切な兄を」
 彼女はゆっくりと歩き、窓の前に立って、窓を開けた。
 「お母さん、悲しむかなぁ」
 彼女は坂上の方を見て、包帯に手をかけた。
 「坂上君、巻き込んでしまって、本当にごめんさない」
 腐ったような肉の筋、削ぎ落された頬は確かに抉れている。
  1. 彼女をまっすぐ見る
  2. 叫ぶ
 「君はとってもきれいだ」
 彼女は涙を流し、ありがとう、と言って窓枠に足をかけた。
 「駄目だ、死んじゃ駄目だ!」
 坂上は走り出して手を伸ばしたが、掴んだのは包帯だけだった。
 落ちていく彼女から、確かに美しい肌をした笑顔が見えた。そして、彼女が潰れる様を見た。


 誰かに連絡しようと坂上は廊下に出た。
 「ふくざわ、しんど・・・ほそだ、あらい、かざま、いわした!!!」
 日野は生きていた。
 頭は割れ、脳みそは垂れ、目玉は飛び出し、鼻と口から血を出した日野が、坂上の腕をつかむ。
 そして、日野は折れた指で坂上の手から包帯を奪い、坂上の顔にめちゃくちゃに巻きつけて、絶命した。
 坂上は残りの包帯を顔に巻いていく。
 (日野先輩が生きていたなら彼女が死ぬ意味なんてどこにもなかったじゃないか!
 日野先輩が彼女にお湯をかけなければ彼女は美しいままで生きていられたかもしれない。
 彼女が高校に入学しなければ!日野先輩に6人の名前を教えなければ!あの時レンガを振り下ろさなければ、彼女も日野先輩も死なずに済んだかもしれない。
 それなのにあの6人は生き残っている。殺さなければならない)
 包帯を巻いた少年は、少女の死体を通り過ぎたが一瞥もくれず、校門を抜け闇に消えていった。

 特殊七話目№38:包帯の断罪者
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 85:包帯の女
 86:これでもキレイ・・・
 108:朽ちていく肌
 109:許さねぇ・・・許さねぇっ!!

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない
  2. 見て見ぬ振りをする→福沢エンディング№26:邪教の信徒
  3. わからない→福沢エンディング№27:不愉快な僕
 八重樫は、彼女のことより、自分の保身を優先した。


 翌日、八重樫は美津見を遊びに誘った。
 「今日は友達を紹介したいんだ。そいつらも一緒に遊ぼうと思ってるんだけど、いいかな」
 「わかったわ。初めての友達が一緒なら、おめかししていかないとね」
 八重樫が美津見を連れて、待ち合わせ場所まで向かうと、すでに不良仲間たちは全員そろっていた。
 ニヤニヤ笑いながら、不良たちは舐めるように美津見を品定めした。
 美津見は、目つきは悪いし、髪を染めていたり、ピアスをしている不良たちをみて、ビックリしていた。
 不良たちは八重樫と美津見を連れて、ゲーセンにカラオケと回ったが、誰にも憚らずタバコをふかしていた。
 八重樫が美津見の顔を覗き見ると、あからさまに嫌そうな顔はしていなかったが、楽しそうな表情でもなかった。
 リーダーが、アジトへ行くか、と声を掛けた。
 不良たちは、人気の少ないところにある誰も使っていない廃墟をたまり場にしていた。


 アジトに着くと、いきなりリーダーは八重樫を殴りつけて、「本当はグループを抜けたいって、顔に出まくりなんだよ。そんなこと許すわけねえだろうが!」と怒鳴った。
 「俺らの子と内心バカにしてだんたろう?ああ」と他のメンバーもガシガシと蹴ってくる。
 そして吉川は、「ナメた野郎には、お灸を据えてやらなきゃな。へへ、お前の目の前で、この女を・・・」と言って、美津見を無理やり地面に押し倒した。


 「ねえ、八重樫君はこの状況で、いったい何をしたと思う?」
  1. 諦めた
  2. 諦めずに抵抗した→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者
  3. 相手を脅した→福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!
  4. わからない→福沢エンディング№28:サイッテーな男
 
 為す術がないまま、自分も美津見もボロボロにされる、と八重樫が絶望して顔を背けたその時、自分の頭に何か生ぬるいものが降りかかった。
 リーダーの悲鳴が聞こえて、八重樫は反射的に顔を上げると、そこには全身が黒くて、闇の世界から生まれ出てきたような異様な姿の生き物いた!
 周囲からはもうもうとした煙が立っていて、気温が急激に冷えてきた。少なくとも、それは人間じゃなかった。
 その傍らには頭が破裂している美津見を押さえつけていた不良メンバーが転がっていたが、美津見の姿は見当たらない。
 リーダーが「てめえ」と言うと、怪物が「情けないわね」と聞き覚えのある女性の声で答えた。
 リーダーが一目散に駆け出した途端、頭が風船みたに弾け飛んで、脳やら頭蓋骨やらの破片がその場にぶちまけられた。
 他のメンバーも蜘蛛の子を散らすように逃げるが、数歩も行かないまま、頭が破裂していった。
 そして、不思議なことに死体が霧のように消えていき、地面に染み付いた夥しい血も最初から何もなかったように消えて行って、その場には倒れたままの八重樫と怪物だけが残された・・・
 「美津見さんなのか?」
 「そう、私よ。私は人間じゃない。この世界では悪魔と呼ばれているわ。
 それより、知られたくなかったのに・・・私の正体を知った人間は許さない」
 これから自分は、あいつらみたいに頭を吹っ飛ばされて死ぬんだ、と八重樫が思っていると、
 「怖がらないで。八重樫君は私の彼氏だから、特別に許してあげるわ。
 でも、誰かに言ったら、その時は許さないから。
 あなたはずっと私のもの。殺させないでね。いい?」


 「不良グループや行方不明ってことで処理されたみたい。
 八重樫君は、今も美津見さんとお付き合いと続けているよ。でも、相手は悪魔だから、内心は、ビクビクしまくりだと思うな。
 いつどんな理由で殺されるか、わかったもんなないよ。
 ん?どうして今の話を知ることができたのか気になるんだ。
 私が知っているってことは、八重樫君が死んでなきゃおかしいよね。
 実はさあ、私も八重樫君に告白したことがあってさ。ふられちゃったけど・・・その後すぐ、八重樫君は、美津見さんと付き合いだしたの。
 納得いかないじゃん。どうして私がダメで、美津見さんなのかって。だから私、しょっちゅうあの二人を尾行してたんだ。
 それで、あの事件に出くわしたんだ。映画なんか比較できないくらい、リアルだったよ。
 ねえ、坂上君、今の話、絶対に記事にしてよね。
 これを記事にしたら、美津見さんの正体がみんなに知られるでしょ。情報の出どころが八重樫君だって、美津見さんは思うだろうね。
 八重樫君、殺されちゃうんじゃないかって?私を振ったような男、死んだって構わないじゃない。
 私、八重樫君に復讐するために、この話をしたんだよ。きゃはははは。」

 福沢エンディング№23:彼女は悪魔だった
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 73:女悪魔降臨

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!福沢エンディング№28:サイッテーな男
  2. 見て見ぬ振りをする→福沢エンディング№26:邪教の信徒
  3. わからない
 「わらかないですって!ならこの話はここまで。ああ、もう不愉快だわ」


 福沢エンディング№27:不愉快な僕
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!福沢エンディング№28:サイッテーな男
  2. 見て見ぬ振りをする
  3. わからない
 八重樫は、もうこれ以上問題を引き延ばすのは止めようと決心し、今こそ不良グループを抜けて、悪の道と決別しようと思った。
 「ダメだ。彼女は関わらせたくない」
 「なんだと?」
 「俺はもう、このグループを抜けます。不良はもう辞めます」
 「ふざけるな!おう、お前らやっちまえ!」
 八重樫はあっという間に取り囲まれ、ボコボコにされて、病院に担ぎ込まれた。


 「八重樫君、どうしてこんなことに」
 何も知らずに見舞いにきた美津見は、涙を浮かべて聞いてきた。
 「はは、ちょっとチンピラのケンカに巻き込まれて」
 八重樫は、決して本当の理由を言おうとはしなかったが、美津見は疑ってかかった。
 「この前から、何かに悩んでいる風だったよね。それが関係あるんじゃないの?」
 「そんなことないよ」
 「嘘つかないで。やっぱりそうなのね。わかった」
 美津見はやけに悲壮な顔をして、何かを決意したみたいだった。
 「私に任せて。あなたの悩み、取り除いてあげるから!」
 そう言って美津見は病室を出て行った。


 そして数日後、事件は起きた。
 「これ、見て」
 八重樫を見舞いに来た美津見が、とっても嬉しそうな顔をして新聞を持ってきた。
 八重樫が言われるがままに記事に目を通すと、『集団自殺か』なんて見出しで、駅のホームで事故が起こったとあった。
 鳴神学園の男子生徒数名が、いきなり手を繋いでそのまま線路に飛び込んで電車に轢かれたってことが書かれていた。
 そこに書かれている名前は、あの不良グループのメンバーだった。
 「もう、あなたを困らせて奴らはいないわよね」
 「ああ」
 そう言いかけて、八重樫はおかしいと思った。いつ、どうやって彼女は、自分と不良グループとの関係を知ったのかって。
 「どうして君が、こいつらのことを」
 そう質問すると、美津見は背筋が寒くなるような微笑みを浮かべた。
 「私ね、学校に棲んでいる悪魔にお願いしたの。あなたの悩みを取り除いてほしいって」
 「え?」
 「前から、旧校舎に悪魔が済んでいるって噂は耳にしていたの。それと契約すれば、どんなことも思いのままだって。
 噂は本当だったわ。儀式をしたら本当に悪魔が出てきて。私は迷わず、契約したよ。あなたを守るために」
 「嘘だろう、そんなこと」
 「嘘じゃないわ。契約内容はね、私の死後の魂を差し出すこと。
 そして私は、あなたを苦しめていた連中の始末を頼んだわ。ふふ、確かな効果があったわ。
 悪魔はね、他に人間の魂を差し出せば、また願いを聞いてくれるって言うのよ。
 うふふ、これからも、悪魔の力であなたを守ってあげるからね」


 「八重樫君は悪い仲間からは解放されたけど、彼女が悪魔に心を奪われちゃったわけ。邪教の信徒っていうのかな。
 今も八重樫君は美津見さんと交際を続けているけど、別れるのは無理だよね。
 そんなことしたら、悪魔の力で殺されちゃうんだもん。一生、彼女と一緒にいなきゃいけないんだ」


 福沢エンディング№26:邪教の信徒
 CGギャラリー26/124
 75:旧校舎で悪魔召喚

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない
  2. 見て見ぬ振りをする
  3. わからない
 八重樫は、彼女のことより、自分の保身を優先した。


 翌日、八重樫は美津見を遊びに誘った。
 「今日は友達を紹介したいんだ。そいつらも一緒に遊ぼうと思ってるんだけど、いいかな」
 「わかったわ。初めての友達が一緒なら、おめかししていかないとね」
 八重樫が美津見を連れて、待ち合わせ場所まで向かうと、すでに不良仲間たちは全員そろっていた。
 ニヤニヤ笑いながら、不良たちは舐めるように美津見を品定めした。
 美津見は、目つきは悪いし、髪を染めていたり、ピアスをしている不良たちをみて、ビックリしていた。
 不良たちは八重樫と美津見を連れて、ゲーセンにカラオケと回ったが、誰にも憚らずタバコをふかしていた。
 八重樫が美津見の顔を覗き見ると、あからさまに嫌そうな顔はしていなかったが、楽しそうな表情でもなかった。
 リーダーが、アジトへ行くか、と声を掛けた。
 不良たちは、人気の少ないところにある誰も使っていない廃墟をたまり場にしていた。


 アジトに着くと、いきなりリーダーは八重樫を殴りつけて、「本当はグループを抜けたいって、顔に出まくりなんだよ。そんなこと許すわけねえだろうが!」と怒鳴った。
 「俺らの子と内心バカにしてだんたろう?ああ」と他のメンバーもガシガシと蹴ってくる。
 そして吉川は、「ナメた野郎には、お灸を据えてやらなきゃな。へへ、お前の目の前で、この女を・・・」と言って、美津見を無理やり地面に押し倒した。


 「ねえ、八重樫君はこの状況で、いったい何をしたと思う?」
  1. 諦めた
  2. 諦めずに抵抗した→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者
  3. 相手を脅した→福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!
  4. わからない
 「あなたねえ、自分の彼女が襲われそうになっているのに、何をしないなんてどういうことよ。
 あなた男の子としてサイテーだと思うな、私。
 これ以上、あなたに話しても無駄だと思うな。私の話はこれまでね。」


 福沢エンディング№28:サイッテーな男
 CGギャラリー25/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない
  2. 見て見ぬ振りをする
  3. わからない
 八重樫は、彼女のことより、自分の保身を優先した。


 翌日、八重樫は美津見を遊びに誘った。
 「今日は友達を紹介したいんだ。そいつらも一緒に遊ぼうと思ってるんだけど、いいかな」
 「わかったわ。初めての友達が一緒なら、おめかししていかないとね」
 八重樫が美津見を連れて、待ち合わせ場所まで向かうと、すでに不良仲間たちは全員そろっていた。
 ニヤニヤ笑いながら、不良たちは舐めるように美津見を品定めした。
 美津見は、目つきは悪いし、髪を染めていたり、ピアスをしている不良たちをみて、ビックリしていた。
 不良たちは八重樫と美津見を連れて、ゲーセンにカラオケと回ったが、誰にも憚らずタバコをふかしていた。
 八重樫が美津見の顔を覗き見ると、あからさまに嫌そうな顔はしていなかったが、楽しそうな表情でもなかった。
 リーダーが、アジトへ行くか、と声を掛けた。
 不良たちは、人気の少ないところにある誰も使っていない廃墟をたまり場にしていた。


 アジトに着くと、いきなりリーダーは八重樫を殴りつけて、「本当はグループを抜けたいって、顔に出まくりなんだよ。そんなこと許すわけねえだろうが!」と怒鳴った。
 「俺らの子と内心バカにしてだんたろう?ああ」と他のメンバーもガシガシと蹴ってくる。
 そして吉川は、「ナメた野郎には、お灸を据えてやらなきゃな。へへ、お前の目の前で、この女を・・・」と言って、美津見を無理やり地面に押し倒した。


 「ねえ、八重樫君はこの状況で、いったい何をしたと思う?」
  1. 諦めた
  2. 諦めずに抵抗した→福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者
  3. 相手を脅した
  4. わからない
 「てめえら、彼女に何かしてみろ!絶対に殺してやる!」
 八重樫は大声で怒鳴った。
 でも結局、不良たちは全然止まらない。
 突如として八重樫の目の前が、白くまぶしく爆発し、そのまま気を失った。


 次に気づいた時、八重樫は自分の足で立っており、目の前の光景は様変わりしていた。
 一面が血の海だった。不良たちが全員、首を掻き切られて倒れ死んでいた。
 見れば、八重樫は彼らから受けた返り血で、真っ赤になっていた。どう考えてみて、殺したのは自分・・・
 「うわああああ!」
 あまりの不可解さに、八重樫が錯乱してしまうと、優しい女の声が聞こえた。
 「八重樫君」
 美津見が、血の海の真ん中に立っていた。彼女は何事もなく、衣服もまったく汚れていなかった。
 「ありがと、八重樫君。私を助けてくれて」
 惨状の中で美津見はうっとりと笑った。そこで、ついに八重樫が壊れた。
 「そうだね、俺は君を守ったんだ。あははは」


 「その後八重樫君は警察に逮捕されたよ。
 たった一人で、どうやってここまで殺せるのかって、警察も頭を悩ませてみたいだけど、八重樫君があくまでも自分がやったって言い張ったから、そのまま彼は牢屋行き。
 でも彼はね、今は病院にいるの。
 八重樫君、ひたすら美津見さんのことをつぶやいているそうでさ。
 ま、ある意味で幸せなのかな?あの愛する美津見さんのせいで、人生を台無しにさせられたってことを知らないで済むんだから。
 不良を殺したのは、美津見さんが八重樫君を操ったからなんだよ。美津見さんの正体は悪魔なの。その悪魔の能力でもって、八重樫君に不良を殺させたんだ。
 実はさ、事件があった時、私も現場にいたんだよ。
 実は私も八重樫君に告白したことがあるんだけど、ふられちゃって。そのすぐあと、八重樫君は美津見さんと付き合いだしたの。で、納得がいかなかったから、あの二人を監視してたよの。
 私が見ていた限りでは周囲が光ったかと思うと、次の瞬間には八重樫君が不良たちを殺しにかかっていてね。
 それで私、はっきり見たんだ。殺戮を見守る美津見さんの影が、漫画で見るような悪魔の形になっているのを。
 美津見さんは今もこの学校にいるけど、近づかないほうがいいよ。悪魔なんだから、何かの拍子に殺されちゃうかもしれないからね」


 福沢エンディング№25:彼女はオレが守る!

 CGギャラリー25/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03
 5人目は荒井選択→シナリオ:ゲーマーの条件→荒井エンディング№01~02


 6人目は福沢玲子を選択!


 福沢玲子は1年G組の生徒。


 「突然だけど、坂上君って宗教はなんなの?」
  1. 親と一緒
  2. あまり人に言いたくない
  3. 無神論者→岩下の話を聞いている場合はシナリオ:愛と友情の狭間
  4. 違う話を聞きたい
 「へえ、もしかしてさ、世間で悪い噂があるような宗教なのかな?私がするのはするのは、他人に言えない悩みを抱えている人の話だよ」


 シナリオ:彼と彼女の秘密


 八重樫と言う男子生徒がいた。
 彼は甘いマクスで、アイドルみたいだって、入学当初からクラスで話題になっており、彼に恋い焦がれる女子も多かった。
 女の子たちは、八重樫とお付き合いできたらどんなにいいだろうって、あれこれ頭の中で想像を膨らませていたが、実際にアクションを起こせる人はそんなに多くなく、自分に自信がある女の子だけが、八重樫に果敢にアプローチしていった。
 その方法は、みんなの前で堂々と話すのではなくて、ラプレターだった。だから、八重樫の机や下駄箱には、しょっちゅう可愛い封筒のラブレターが入っていた。
 そして、校舎裏あたりに呼び出された八重樫は、女の子たちからの真剣な告白を受けるが、八重樫にも細かい好みがあるらしく、なかなか応えてあげることができず、女の子たちは軒並み討ち死にだった。
 しまいにはいったい誰と付き合うんだろう、って女の子間では噂になっていった。


 その日も登校した八重樫が机の中を確認すると、ラブレターが入っていた。
 そして日課のように、彼は放課後になると呼び出し場所に向かった。
 そこで佇んでいたのは、同じクラスの美津見だった。
 この瞬間、美津見はとりたてて美人というわけじゃないが、どこか惹かれる魅力を持っている女の子だと、八重樫は感じだ。
 「一目見た時から好きでした。私と付き合ってください」
 「ああ、いいよ」


 晴れて恋人同士になった八重樫と美津見は、周囲に見せつけるようなことはなくて、初々しく健全な学生らしいお付き合いをしていた。
 キスなんて当然してないし、手をつなぐこともない。そんな二人を周囲は静かに見守っていた。
 八重樫にふられた子たちも、腹いせに嫌がらせをするとかもなく、美津見にとっては穏やかな、そして甘い時間を過ごすことができた。


 実は八重樫は不良グループの一員だった。
 彼は、表向きは優等生で通っていたが、裏ではケンカに万引き、不良が通る道は一通り済ませているっていうなかなかの不良だった。
 そして、ケンカもなかなか強かった。
 ルックスが爽やかな美少年だから、親や先生には全然バレず、暇さえあれば不良仲間とつるんでいた。
 そんな八重樫だったが、美津見のために悪い連中とは縁を切ったほうがいいんじゃないか、と思い始めた。
 八重樫は、美津見の告白を受けた時、自分が本当は不良だなんてことはもちろん言えなかった。
 でも、そういうグループから抜けるのって、すごく勇気がいる。
 暴力に訴えられなくても、悪い噂を流されるかもしれない。それも真っ赤な嘘じゃなくて、さんざん仲間と繰り返してきた真実だから、否定することは無理だった。
 そんなことされたら、美津見に知られるどころか学校中に広まってしまう。
 結局、八重樫は、美津見に不良グループのことを話せず、脱退する決意を持てず、そのままずるずると隠しながら付き合うことを続けた。
 八重樫と美津見は休日になるたびに、つつましくデートを重ねていった。
 でも、楽しい時間を過ごす一方で、八重樫は、このままでいいのだろうかって、複雑な気持ちだった。
 不良ってことがバレたら、きっと美津見は悲しみ、怒る。そして、別れを切り出されてしまう。
 それはなんとしてでも避けたいというのが、八重樫の一番の望みだった。


 八重樫は、彼女ができてからは、不良連中と会う頻度を減らしていたが、最近付き合いが悪いことに、リーダーに気づかれてしまった。
 「なあ、最近付き合い悪くね?」
 「まあ、ちょっといろいろ忙しいもんで」
 「まさか、女でもできなんじゃないだろうなあ?」
 「いや、それは・・・」
 「おいおい、図星かよ。それで、最近は呼んでも断ってきたんだな。
 でよう、どんな彼女なんだ?」
 「可愛っすよ」
 「八重樫よ、彼女ができたからって、俺らと疎遠になるってことはないよな?」
 「そんなことはないっす。彼女ができたのは初めてなんで、なるべく構ってやりたかったんですよ。これからはグループの付き合いもちゃんと参加させていただきますから」


 八重樫はしばらく、美津見と彼氏と不良グループの一員という二足のわらじを、3対7くらいの割合で履いていた。
 美津見は八重樫と一緒にいられる時間が少し減ったが、特に疑問に思わなかった。むしろ、短い時間で濃密なデートを求めようとした。
 「手、繋いでみていい?」
 「うん」
 そっと握った美津見の手は、とても女の子らしい柔らかさと温かさがあって、ますます八重樫は美津見がいとおしくなった。
 同時に、自分の秘密が明らかになることを恐れた。幻滅されたくない、この子に、自分が不良だということを、絶対に知られたくない、と。


 不良仲間に気を遣って、つるんでいる時間をなるべく増やしていた八重樫だが、彼女と一緒にいるほうが楽しいし、この仲間から離れたい、と思っているせいか、思っていることが顔に出てしまっていた。
 ある時、リーダーから「お前の彼女さ、俺たちに紹介してくれねえ?」と言われた八重樫だが、自分が不良だってことを誰よりも知られたくないので、無理に決まっていた。
 けどリーダーは八重樫よりも大柄で腕っぷしも強かった。


 「もし、あなたにそんな友達がいたら、どう思う?」
  1. そんな人には関わりたくない
  2. 見て見ぬ振りをする
  3. わからない
 八重樫は、彼女のことより、自分の保身を優先した。


 翌日、八重樫は美津見を遊びに誘った。
 「今日は友達を紹介したいんだ。そいつらも一緒に遊ぼうと思ってるんだけど、いいかな」
 「わかったわ。初めての友達が一緒なら、おめかししていかないとね」
 八重樫が美津見を連れて、待ち合わせ場所まで向かうと、すでに不良仲間たちは全員そろっていた。
 ニヤニヤ笑いながら、不良たちは舐めるように美津見を品定めした。
 美津見は、目つきは悪いし、髪を染めていたり、ピアスをしている不良たちをみて、ビックリしていた。
 不良たちは八重樫と美津見を連れて、ゲーセンにカラオケと回ったが、誰にも憚らずタバコをふかしていた。
 八重樫が美津見の顔を覗き見ると、あからさまに嫌そうな顔はしていなかったが、楽しそうな表情でもなかった。
 リーダーが、アジトへ行くか、と声を掛けた。
 不良たちは、人気の少ないところにある誰も使っていない廃墟をたまり場にしていた。


 アジトに着くと、いきなりリーダーは八重樫を殴りつけて、「本当はグループを抜けたいって、顔に出まくりなんだよ。そんなこと許すわけねえだろうが!」と怒鳴った。
 「俺らの子と内心バカにしてだんたろう?ああ」と他のメンバーもガシガシと蹴ってくる。
 そして吉川は、「ナメた野郎には、お灸を据えてやらなきゃな。へへ、お前の目の前で、この女を・・・」と言って、美津見を無理やり地面に押し倒した。


 「ねえ、八重樫君はこの状況で、いったい何をしたと思う?」
  1. 諦めた
  2. 諦めずに抵抗した
  3. 相手を脅した
  4. わからない
 「うおおおおお」
 やっぱり諦めたくない。そう思った八重樫は、頭の血管が切れそうなほどに叫んで身をよじった。
 でも、無駄な足掻きで、八重樫は頭を掴まれ、固い地面にガンガン叩きつけられ、頭が割れて血まみれになった。
 もっと俺に力があれば、こんなことには・・・際限のない怒りが八重樫を支配したその時、周囲の気温がものすごく高くなっていった。
 立ち上がった八重樫の瞳が、炎のように赤く燃え盛っていた。熱は彼の全身から発散されて、まるで砂漠の真ん中にでもいるかのようだった。
 八重樫の全身が赤く燃えていた。
 「てめぇら、許さねえ!」
 次の瞬間、八重樫はリーダーをぶんなぐっていた。
 リーダーは軽く10メートルは吹っ飛んで、口から血と折れた歯をまき散らして、そのまま失神した。
 我先にと逃げ出す不良たちだが、八重樫はチーターみたいな瞬発力で回り込み、クマみたいなパンチで殴ると、誰も彼も一撃で地面に倒れて行った。
 最後の一人を倒すと、リーダーから失神から目覚めた。
 状況を理解したリーダーは、八重樫が何も言わないうちに、ものすごい勢いで土下座をした。
 「やめてくれえええ!俺らが悪かった!」
 八重樫はリーダーに近づくと、その頭を靴の裏でグリグリとした。
 「なら、これから俺がリーダーだ。俺に忠誠を誓うか?」
 「誓う!」
 不良たちは順に目覚めていったけど、八重樫を同じように踏んづけて、自分に忠誠を誓わせていった。
 そして、すべてを見守っていた美津見は、
 「ありがとう、八重樫君。諦めず、私を助けようとしてくれて」
 と言って、悪魔のような力をふるった彼氏に、何も恐れず寄り添った。
 八重樫は大声で笑って、彼女の肩を抱き寄せた。
 「俺、すごくいい気分だ。何か、不思議な力が宿ったような気がするぜ。これからも君を守ってみせるよ」
 「ええ、頼りにしているわ」
 「こうして八重樫君はグループの新しいリーダーになったの。今も彼らはつるんでいるわ。
 私さ、八重樫君に告白したけどふられちゃって。それなのに、彼ってば、美津見さんと付き合したもんだから、納得できなくてさ。
 それでいつも、二人を監視してたの。まさか、あんな場面がみられるなんてねえ。
 その時私、しっかり確認したんだ。八重樫君に寄り添う美津見さんの影が、悪魔の形になっているのをさ。
 多分、美津見さんは悪魔で、八重樫君が不良たちを叩きのめせたのは、美津見さんの能力を分け与えらえれたからなんだよ。
 八重樫君のグループは、下手な暴力団よりも強くて、恐ろしい雰囲気を纏ってるって、噂されてる。きっと美津見さんの力がメンバー全体に伝染してるのよ。
 このことを新聞に書いたら、坂上君が報復されるかもしれないねえ。」


 福沢エンディング№24:悪魔の力を借りし者

 CGギャラリー25/124
 74:悪魔に逆らった男

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03


 5人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 答えたくありません
  3. 美人が多いからです
  4. 教師陣がすぐれているからです
  5. 友達を作りたかったからです
 「確かに鳴神学園はマンモス校ですから、友達を作るには持ってこいといえますね。
 坂上君は、どうやって友達を作りたいと考えていますか?」
  1. 趣味を通じて
  2. 気の合う人間を探す
  3. アドバイスはありますか?


 シナリオ:ゲーマーの条件


 「確かに趣味を通じて見つけた友人とは話が合うでしょうね。
 あなた、ゲームで遊びますか?
 僕もね、多少はゲームをたしなむんですよ。ええ、自分もちょっとコンピュータを扱えますのでね。僕がたしなむのはパソコンのゲームです。
 知ってますか、同人ソフトを即売会。
 ゲーム好きな人たちが集まって作った自主制作したソフトなんですけどね、商売を考えるより先に、自分の作りたいものを作る傾向が強いんです。
 ですから、僕はそういう即売会があると、暇を見つけては顔を出すことにしてるんです」


 この学校の2年生の赤川哲也も同人ソフトマニアの一人で、荒井とは気が合い、即売会があれば一緒に出掛けている。
 同人ソフトの即売会は年に数回大きなものが開かれ、かなりの同人サークルが集まり、大々的にソフトの販売が行われている。
 数か月前、赤川がパソコン通信で、聞いたこともないサークルばかりが集まる即売会が行われて、しかも入場料が1万円もかかる、という情報を仕入れた。
 高すぎる入場料のため乗り気でなかった荒井は、妙に乗り気だった赤川に仕方なくついて行くことになった。


 会場はS駅からほど遠い古びたビルの6階だった。
 入場料1万円がネックになっているのか、人気はなく閑散としていた。
 受付には全身黒づくめの男が一人いるだけで、人形にように座っていた。
 テーブルの上にはクッキーの缶が置かれており、中には何枚もの1万円札が入っていた。
 荒井と赤川は、そこへ1万円ずつ入れて、会場へ入った。
 会場の中に長テーブルが置かれており、全身黒づくめの男たちが身動きもせず座っていた。
 そして、テーブルの上には茶封筒が置かれており、表にはタイトルと起動させるためのハード名が書きなぐられていた。
 荒井たちより前に入ったマニアたちは、あからさまに不機嫌そうな顔で、さっさと会場を出て行ってしまった。
 赤川がそのうちの一つの茶封筒を裏をひっくり返すと、6万円と書かれていた。
 赤川は、最愛の恋人でに手に入れたように、その封筒を撫でまわしていた。封筒には、タイトルと機種と値段しかかかれていないのだが。
 「『アクシデント』か。どんなゲームなんだろう?」と言いながら、赤川は、販売員に「これ、どんなゲームでしょうか」と尋ねたが、男は売る気がないのか何も答えなかった。


 「もしあなたなら、この『アクシデント』というゲームを6万円で買いますか?」
  1. 買う→荒井エンディング№02:アクシデント
  2. 買わない
 赤川は結局、買うのをあきらめた。
 しかし、諦めきれなかった赤川は、他のテーブルを回り始めたが、どの茶封筒も6万円の値段がつけられていた。
 そして、2時間ほど歩き回っていた赤川は、一つの茶封筒を握り締めた。
 「いったいどんなゲームなんだろう?僕は一刻も早くこのゲームをプレイしたくてたまらないんだよ。ねえ、良かったら君も僕んちで一緒にやろう」
 荒井は6万円もするゲームに興味があったので、赤川について彼の家に行った。


 茶封筒には『スクール・デイズ』と書かれているだけで、何のゲームかさっぱりわからなかった。
 茶封筒の中身を取り出すと、レポート用紙1枚とフローピーディスクが1枚だけだった。
 赤川は、自分のパソコンにそのフローピーディスクを差し込んだ。
 しばらくすると、立ち上がったウィンドウには画面中央に『スクール・デイズ』と書かれているだけで、BGMも流れていなかった。
 赤川は、マニュアルを読みもせず、ゲームをスタートさせた。
 画面に表示された内容を要約すると、どうも学校を作るというシミュレーション・ゲームらしく、プレイヤーは校長先生となり、学校を運営するようだ。
 赤川は、マニュアルを読むと、ゲームを始めた。
 かろうじて入口だと思われる場所をカーソルでクリックしてみると、次の画面が現れたが、真っ黒な画面に名前と生年月日文字を入力するように指示があるだけだった。
 赤川は学校の名前を、パラダイス学園と名付けた。
 このゲームは、先生や生徒の名前を入力することができたが、赤川は最初から使用できるものをそのまま使用し、一人を自分の名前に変え、もう一人を荒井の名前に変えて、プレイをした。
 ゲーム画面を見ていた荒井は、イベントなどは細かく作ってあるようだが、決して面白そうなゲームではないな、と思い、「明日、ゲームの結果を教えてくれよ」と言って、家に帰った。


 翌日、晴れ晴れとした顔の赤川に挨拶された荒井は、昨日のゲームのことを尋ねると、赤川は、「あれだけ面白いゲームは初めてだからね。今日も学校が終わるのが待ち遠しいよ」と答えた。
 その言葉を聞いた荒井は、昨日買っておけば良かったと悔しくてたまらない気分になり、あのソフトを買わなかった自分が許せなくなってしまった。


 放課後、塾をさぼった荒井は、ありったけ貯金の46万円をおろして、昨日の即売会の会場へむかったが、そのビルがあった場所は空き地になっていた。
 荒井は、空き地の前の駄菓子屋で、ビルのことを尋ねると、5年以上前に取り壊された、と言われてしまった。
 なんでも、そのビルの6階にコンピュータ・ゲームの会社が入っていたが、小遣いをあげるからとか、高いコンピュータに触らせるから、とか言って中学生や高校生を連れ込んで、ゲームを作らせていたとのこと。連れ込まれた子供たちは、不眠不休でゲームを作っていたが、子供が行方不明になっているとのことで、警察の捜査が入った。警察がビルに踏み込んだ時、何人かの子供が亡くなっており、生きていた子供たちも栄養失調で餓死寸前だったとのこと。
 その会社の社員たちは逮捕される前に自決したのだが、その会社は悪魔を崇拝する怪しい組織だったとのこと。


 駄菓子屋の話を聞いて、荒井は、昨日あそこにいたのは社員の幽霊で、死んだ少年たちが作ったゲームを売っていたのだ、と思った。
 そして、あれはこの世にたった一つしかの存在しないゲームだと思うと、荒井は我慢ができなくなり、赤川の家に向かった。


 赤川の部屋に通された荒井は、スクール・デイスで遊んでいる赤川の画面を見て驚いた。
 美しいBGMに載せて美しいグラフィックが流れ、キャラクターが肉声聞き間違えるくらい鮮明な声でしゃべっていた。
 赤川は、画面を見つめたまま、「『スクール・デイズ』は進化するゲームなんだ」と言った。
 そして、赤川は荒井の方へ向き直り、「このゲームは、プレイヤーの上達に合わせて、システム自体がまるで魂を持ったように形態を変えていくのさ」と言った。
 荒井は、「ここに46万円あるから、売ってくれないか?」と言ったが、赤川は鼻で笑った。
 仕方がないので、荒井は、「頼む!言われた金額を必ず用意するから、金額を言ってくれ」と言ったが、赤川は、「いくら詰まれようが、そのソフトを売る気はないよ。さあ、帰ってくれ」と答えた。
 その時、「生徒同士のケンカが発生しました。2年B組の赤川哲也と荒井昭二です」とコンピュータがしゃべった。
 画面を見ると、まるで実写のようなグラフィックの教室の中で、赤川と荒井がにらみ合ったまま対峙していた。
 「大変です。どちらかが死ぬまで、このケンカは終わりそうにありません」とコンピュータが言うと、ゲームの中の荒井と赤川が、今この場で実際に言いそう内容でなじり出した。
 それを聞いた赤川は、「そんな風に思ってたんだ」と逆上し始めた。
 再びコンピュータが「何と、赤川君は切り出しナイフを持っていました。これで、荒井君のことを刺すつもりです」と言うと、ゲームの中の赤川はナイフを取り出し、荒井の目の前にいる赤川も切り出しナイフを手にして「帰らないと、本当に刺すぞ」と言った。
 コンピュータが「荒井君はチェーンで応戦します。さあ、死闘の始まりです」と言った瞬間、どこから現れたのか、画面の中の荒井と現実の荒井の手にチェーンが握られていた。
 チェーンの方がリーチが長かったので、荒井の一撃が赤川の頬を撃ち、赤川は「痛いよ、やめてくれ」と言って戦意喪失した。
 しかし、荒井は攻撃を止めず、無抵抗な赤川にチェーンを何度も振り下ろす。
 やがて、赤川は動く無くなり、悲鳴も上げなくなった。
 コンピュータが「決着はつきました。赤川君は荒井君に殺されて、ケンカは無事終了しました。死亡により、赤川君の存在は削除されます」と言った瞬間、荒井の足元に転がっていた赤川の死体が消えあてしまい、ゲームの中の赤川もいなくなった。
 そして、荒井が握っていたチェーンも跡形もなく消えていた。
 荒井は、『スクール・デイズ』を手にして、赤川の家を出た。


 次の日から、赤川のことを知っている人は誰もいなくなった。
 そして、スクール・デイズは初期化されてしまい、動かなくなってしまった。
 荒井は、誰かがスクール・デイズを盗んだと思っており、ゲームを取り戻し、犯人を見つけて制裁を加えてやる、と言って話を終えた。

 荒井エンディング№01:ゲーマーの条件
 CGギャラリー24/124
 47:ゲームの行方は

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01
 4人目は細田を選択→シナリオ:魅惑のトイレ→細田エンディング№01~03


 5人目は荒井昭二を選択!


 2年B組の荒井昭二が「怖い話が好きなんですか?」と聞いてきた。
  1. 好き
  2. 人並程度
  3. 嫌い
 「さっきから震えているように見えたのは、怖い話が嫌いだったからなんですね。
 ところで、あなたはどうして鳴神学園を選んだのですか?」
  1. 自分の意思で
  2. 親の意思で→シナリオ:誕生日プレゼント
 「そうですか、でしたら、鳴神学園のどこに惹かれたのですか?」
  1. 設備のよさです
  2. 答えたくありません
  3. 美人が多いからです
  4. 教師陣がすぐれているからです
  5. 友達を作りたかったからです
 「確かに鳴神学園はマンモス校ですから、友達を作るには持ってこいといえますね。
 坂上君は、どうやって友達を作りたいと考えていますか?」
  1. 趣味を通じて
  2. 気の合う人間を探す
  3. アドバイスはありますか?


 シナリオ:ゲーマーの条件


 「確かに趣味を通じて見つけた友人とは話が合うでしょうね。
 あなた、ゲームで遊びますか?
 僕もね、多少はゲームをたしなむんですよ。ええ、自分もちょっとコンピュータを扱えますのでね。僕がたしなむのはパソコンのゲームです。
 知ってますか、同人ソフトを即売会。
 ゲーム好きな人たちが集まって作った自主制作したソフトなんですけどね、商売を考えるより先に、自分の作りたいものを作る傾向が強いんです。
 ですから、僕はそういう即売会があると、暇を見つけては顔を出すことにしてるんです」


 この学校の2年生の赤川哲也も同人ソフトマニアの一人で、荒井とは気が合い、即売会があれば一緒に出掛けている。
 同人ソフトの即売会は年に数回大きなものが開かれ、かなりの同人サークルが集まり、大々的にソフトの販売が行われている。
 数か月前、赤川がパソコン通信で、聞いたこともないサークルばかりが集まる即売会が行われて、しかも入場料が1万円もかかる、という情報を仕入れた。
 高すぎる入場料のため乗り気でなかった荒井は、妙に乗り気だった赤川に仕方なくついて行くことになった。


 会場はS駅からほど遠い古びたビルの6階だった。
 入場料1万円がネックになっているのか、人気はなく閑散としていた。
 受付には全身黒づくめの男が一人いるだけで、人形にように座っていた。
 テーブルの上にはクッキーの缶が置かれており、中には何枚もの1万円札が入っていた。
 荒井と赤川は、そこへ1万円ずつ入れて、会場へ入った。
 会場の中に長テーブルが置かれており、全身黒づくめの男たちが身動きもせず座っていた。
 そして、テーブルの上には茶封筒が置かれており、表にはタイトルと起動させるためのハード名が書きなぐられていた。
 荒井たちより前に入ったマニアたちは、あからさまに不機嫌そうな顔で、さっさと会場を出て行ってしまった。
 赤川がそのうちの一つの茶封筒を裏をひっくり返すと、6万円と書かれていた。
 赤川は、最愛の恋人でに手に入れたように、その封筒を撫でまわしていた。封筒には、タイトルと機種と値段しかかかれていないのだが。
 「『アクシデント』か。どんなゲームなんだろう?」と言いながら、赤川は、販売員に「これ、どんなゲームでしょうか」と尋ねたが、男は売る気がないのか何も答えなかった。


 「もしあなたなら、この『アクシデント』というゲームを6万円で買いますか?」
  1. 買う
  2. 買わない
 赤川は6万円払って、怪しげなソフトを購入した。
 「いったいどんなゲームなんだろう?僕は一刻も早くこのゲームをプレイしたくてたまらないんだよ。ねえ、良かったら君も僕んちで一緒にやろう」
 荒井は6万円もするゲームに興味があったので、赤川について彼の家に行った。


 茶封筒に入っていたのはフローピーディスクが1枚だけで、説明書が入っていないどころか、タイトルさえラベルされていなかった。
 赤川は、自分のパソコンにそのフローピーディスクを差し込んだ。
 しばらくすると、立ち上がったウィンドウには『accident』という単語のみが並んでいるだけだった。
 かろうじて入口だと思われる場所をカーソルでクリックしてみると、次の画面が現れたが、真っ黒な画面に名前と生年月日文字を入力するように指示があるだけだった。
 赤川が、そこに自分の名前と生年月日を入力し、エンターキーを押すと、ようやくメッセージ画面らしきものに辿り着いた。
 黒い画面に白い文字が流れていく。
 『カフク ハ アザナエル ナワノゴトシ コウフクノ カゲデ サイヤクハ コウカツナ ヘビノゴトク キミヲ マチウケテイル
 アカガワ テツヤ キミノ ジンセイヲ ボウガイスル アクシデント ヲ トリノゾコウ』
 どうやら主人公は赤川のようだ。
 『タイカハ キミノ L・・・』


 「L?なんだろうね?それに、どうしてここだけローマ字なのかなあ」
 「さあ?」


 先に進むためリターンキーを押すと、目の前に黄色の帯状のグラフィックが現れ、黄色の帯の下には、
 『アカガワ テツヤ L 6800
 L ヲ ツカイマスカ?
             ハイ
           イイエ』
と、書かれていた。


 「Lってなんのことだろう?」
 ゲーム中には細かい説明はまったくなかった。
 「使ってみますかっていうんだから、ポイントか何かじゃない?6800もあるんだから、もし失敗しても取返しがききそうだよ」
 赤川は迷っていたが、結局『ハイ』を選択した。
 すると、画面が変わり『デハ キミノ L ヲ モチイテ キミノ ジンセイヲ オビヤカス サイヤクヲ トリノゾコウ』と表示された。
 しばらくモニタを見つめていたが、それ以上は何の変化もなかった。
 「これだけ?」
 「そうみたいだね」
 赤川は大きなため息をついた。


 翌日、学校で抜き打ち手荷物検査が行われた。
 学校は自由な校風で抜き打ちの検査は滅多に行われることがなかったので、皆油断しており、禁止されていた私物はすべて取り上げられてしまった。
 荒井も、たまたま持ってきていたベクシンスキーの画集を没収されてしまった。
 ふと赤川を見ると涼しい顔をしている。普段ならパソコンの雑誌やパーツやらを常に持ち歩いているはずなのに。
 さらにその日は、抜き打ちのテストがあったり、突然の食中毒騒ぎで学食が閉鎖になり、多くの生徒が昼食にあぶれたり、災難続きだった。
 しかし赤川は、その日はたまたまテストに出たところを予習していたり、その日に限ってお弁当を持参してきたりて、難を逃れていた。


 放課後、荒井は赤川に声を掛けた。
 「今日は調子いいみたいだね」
 「うん、なぜか昨日勉強しようかなって気分になったり、お母さんがお弁当をつくってくれたり、不要物も持ってこなくてよかったよ。ボクってついてるな」と赤川はにっこりと笑って言った。


 それから、赤川が異常に運がいい男だと評判になった。
 赤川がたまたま体調を崩して休んだ日の体育がハードな持久走だったり、急な雨に日もたまたま傘を持っていたり、他にも些細な幸運を上げればキリがなかった。
 極めつけは、繁華街の交差点で横断中の歩行者にトラックが突っ込むという事件があったのだが、赤川だけが無傷で生き残った。
 赤川が運が良いのは良いのだが、宝くじに当たるという彼だけが良い目を見るという運の良さではなく、まるで彼一人だけが災厄を逃れるという感じの運の良さだった。


 赤川は次々と身に降りかかるアクシデントを回避していた。きっかけはあの『アクシデント』をプレイしてからだ。
 しかし、荒井は赤川の変化に気づいた。
 急激に赤川は髭が濃くなり、背が伸びてすっかり青年といった容貌になっていた。
 そして即売会から1か月ほど経つと、赤川はすっかりフケてしまい、担任の先生より年上に見えるようになってしまった。


 さらにしばらくたった頃、赤川の頭に白髪が混じり始め、赤川の父親だと紹介されても通用してしまいそうだった。
 荒井は思い切って、自分の考えを赤川に伝えた。
 『アクシデント』が赤川の身体の変化に関係ある、と。


 その日、荒井は、赤川と一緒に彼の家に行ったが、途中で、二人の目の前で車がガードレールに突っ込んできたが、赤川といっしょにいた荒井はアクシデントを避けることができた。
 その直後、赤川を見た荒井は、白髪が増えていることに気づいた。
 そして、家に帰って『accident』を起動したところ、画面は『アカガワ テツヤ L 170』に変わっていた。
 どうやらLという数値が減ることと、赤川の身体の変化には何か関係があるようだ。
 おそらく、赤川はLを消費することによって、人生を脅かす災厄=アクシデントを取り除いていたらしい。


 その時、激しい衝突音とともに窓から何かが飛び込んできた。
 墜落していた小型セスナ機で、荒井の鼻先を掠めて、反対側の壁に激突して止まった。
 荒井は「赤川君」と声を掛けたが返事がなかったので、瓦礫をかき分けて赤川を探し始めた。
 そして、瓦礫に埋もれて横たわっていたすでに息絶え、カサカサのミイラ状の死体を見つけて気を失った。
 やがて、荒井が気が付くと病室にいた。


 「おそらくLはLife、生命のことでしょう。赤川君は、自分の身に起こるアクシデントを取り除いてもらうことと引き換えに、自分の命の最後の一滴までも搾り取られてしまったのです。
 そうそう、あのゲームの行方なんですが、退院して家に戻ったら、僕の机の上にあの見慣れた茶封筒が置かれていたのですよ。表書きに『アクシデント』と殴り書きされてね。
 どうでしょうか、これでもまだ何もアクシデントのない人生をお望みですか?
 そう思うなら、あのゲームをお譲りしましょう。ただしあなたのその後の人生は、坂道を転がり落ちるように短いものとなってしまうでしょうけどね。いひひひひ」


 荒井エンディング№02:アクシデント
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 45:老いて行く体
 46:受付の男

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01


 4人目は細田友晴を選択!


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった→風間と岩下の話を聞いていない場合はシナリオ:夜泣き石
 「僕は今月一番のイベントだと思いますけど?
 そうかぁ、坂上君はそんなに気にしてないのかぁ、少し残念かも」


 友達がいない細田は、坂上と友達になりアピールの長話をさんざんした後、自分は霊感が強い体質で、特にトイレで霊を強く感じるといった内容に長話をする。


 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:魅惑のトイレ開始!


 「やっぱり僕の話なんて聞いても面白くありませんよね。
 退屈な話だったら、やめたほうがいいですかね?」
  1. すいません、続けてください→細田エンディング№03:魅惑のトイレ細田エンディング№02:パラレル・ワールドの細田
  2. やめたほうがいいですね
 
 「そこまではっきり言われると、僕も何も言い返せなくなちゃうな。でも、一応日野さんに呼ばれたわけですし、役目だけは果たさせてください」
 そう言うと、細田は何やらぶつぶつとトイレにまつわる怪談を話し始めたが、慌てているのか話が聞き取れない。
 (やめてくれ、僕のほうが気が狂いそうだ)と思いながら話を聞かされている坂上。


 「すいません、終わりました」
 どうやら、終わったようだ。
 坂上は細田から解放されたものの、まだいら立ちは収まらなかった。


 細田エンディング№01:イラつく奴
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01


 4人目は細田友晴を選択!


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった→風間と岩下の話を聞いていない場合はシナリオ:夜泣き石へ
 「僕は今月一番のイベントだと思いますけど?
 そうかぁ、坂上君はそんなに気にしてないのかぁ、少し残念かも」


 友達がいない細田は、坂上と友達になりアピールの長話をさんざんした後、自分は霊感が強い体質で、特にトイレで霊を強く感じるといった内容に長話をする。


 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ→次の選択肢の1を選択したパターンへ進む
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:魅惑のトイレ開始!


 「やっぱり僕の話なんて聞いても面白くありませんよね。
 退屈な話だったら、やめたほうがいいですかね?」
  1. すいません、続けてください
  2. やめたほうがいいですね
 
 友達のいない細田は、休み時間はトイレの個室で過ごしていたのだが、細田が2年生になってすぐ、入ると不思議な感覚に襲われるトイレに入った。
 気に入ってしまった細田は、休み時間になるとそのトイレで用を足すようになった。


 細田は、自分をいじめる吉川と星野とは2年のクラス替えで一緒のクラスになりたくないと思っていたが、またクラスメートになってしまい、いじめられる日が続いていた。
 ある日、吉川と星野は、細田に対し今日一日はトイレにいかないようにと命令した。
 昼休みに尿意が我慢できなくなっている細田に気づいた吉川と星野は、細田をからかい、細田は漏らすまいと必死に我慢をした。
 結局、細田は我慢できず、5時間目が終わるころに小便どころか大便までも漏らしてしまい、吉川と星野を大いに喜ばせた。
 細田は泣きながら、例のトイレに駆け込んだ。
 細田はおんおん泣きながら、一生トイレから出なくてもすむものならいいなあ、と思っていると、まるでトイレが細田を慰めてくれるような感覚に襲われた。母親の胎内にいるような暖かくて懐かしい気持ちにさせられたのだ。
 どれくらいの時間が経ったのかわからないが、「細田君」と誰かがドアを激しく叩く音で、我に返った細田は、汚れていたはずのパンツもズボンを汚れが綺麗に取れていることに気づいた。
 細田がドアを開けると担任の稲垣先生が立っており、「さあ、教室に戻ろう」と優しく声を掛けてくれて、細田を連れだした。
 クラスメートがどういう風に自分を迎えてくれるのかと心配していた細田だったが、クラスメートは笑って暖かく迎え入れてくれた。
 いじめた吉川と星野も愛想笑いしていた。
 放課後、いつものように一人で下校しようとしていた細田は、吉川と星野から、「勉強を教えて欲しい」と頭を下げながら頼まれた。
 吉川と星野は確かに成績は悪かったが、成績がビリである細田に頼んできたので、細田はどんないじめをするつもりなのかと身構えて、「今日は勘弁してほしい」と答えた。
 細田は、断ったことで吉川と星野に殴られると思っていたが、二人は、「急にこんなことを頼んできて虫が良すぎた。ごめん」と言ってあっさりと引き下がった。
 細田が唖然としていると、普段は絶対に細田に近寄ろうとしないクラスメートたちが、「一緒に帰ろう」と声を掛けてきた。
 驚いた細田は、気を悪くさせないようできるだけ丁寧に「今日は独りでいたいんだよ。ごめんさない。勘弁してください」とみんなに告げて、その場から逃げるように帰った。


 翌日、細田が学校に行くと、みんながニコニコしながら声を掛けてきた。
 みんなの話によると、昨日、細田は漏らしていないことになっていた。昨日の5時間目に細田は気分が悪くなり、教室を出て行って、先生が迎えに行ったことになっていた。
 そして、信じられないことだが、細田は勉強も運動もできるクラスの人気者になっており、友達が増えた。


 それから細田は、トイレに時間を潰すようなことがなくなったため、あのトイレには行かなくなった。
 しかし中間試験で細田は失敗して、成績が中間あたりになってしまった。
 元いた世界の細田の成績はビリだが、今いる世界の細田は万年1位だったので、周囲の見る目が変わってしまった。


 細田は、元いた世界の自分と今いる世界の自分が入れ替わっているのではないか、と思うようになった。
 細田はみんなに失望される恐怖に怯えて、またトイレにこもるようになってしまった。
 細田はあのトイレが異次元の扉だと推理し、あのトイレに入り浸るようになった。


 「僕の推理は当たっているとは思いませんか?」
  1. そう思う→細田エンディング№03:魅惑のトイレ
  2. それは違うと思う
 「違う?
 あのう坂上君ならどう推理するか教えてもらえますか?」
  1. 全部、夢
  2. 頭がおかしくなった
  3. ただの作り話
  4. 学校の七不思議ではないですよね
 「坂上君なら、きっと僕のことを理解してくれると思っていたのに・・・
 誰にも認められなくても、僕は僕だってわかっている。僕は僕なんだ!」


 細田エンディング02:パラレル・ワールドの細田
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 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05
 3人目は風間を選択→シナリオ:かぐわしきにおひ→風間エンディング№01


 4人目は細田友晴を選択!


 「坂上君も楽しみにしていましたか?」
  1. 楽しみにしていた
  2. 特に気にしていない
  3. あまり乗り気ではなかった→風間と岩下の話を聞いていない場合→シナリオ:夜泣き石
 「僕は今月一番のイベントだと思いますけど?
 そうかぁ、坂上君はそんなに気にしてないのかぁ、少し残念かも」


 友達がいない細田は、坂上と友達になりアピールの長話をさんざんした後、自分は霊感が強い体質で、特にトイレで霊を強く感じるといった内容に長話をする。


 「僕の話、退屈ですか?」
  1. 正直、退屈です
  2. 面白いですよ
  3. トイレ以外の話をしてください
 シナリオ:魅惑のトイレ開始!


 やっぱり僕の話なんて聞いても面白くありませんよね。
 退屈な話だったら、やめたほうがいいですかね?」
  1. すいません、続けてください
  2. やめたほうがいいですね
 
 友達のいない細田は、休み時間はトイレの個室で過ごしていたのだが、細田が2年生になってすぐ、入ると不思議な感覚に襲われるトイレに入った。
 気に入ってしまった細田は、休み時間になるとそのトイレで用を足すようになった。


 細田は、自分をいじめる吉川と星野とは2年のクラス替えで一緒のクラスになりたくないと思っていたが、またクラスメートになってしまい、いじめられる日が続いていた。
 ある日、吉川と星野は、細田に対し今日一日はトイレにいかないようにと命令した。
 昼休みに尿意が我慢できなくなっている細田に気づいた吉川と星野は、細田をからかい、細田は漏らすまいと必死に我慢をした。
 結局、細田は我慢できず、5時間目が終わるころに小便どころか大便までも漏らしてしまい、吉川と星野を大いに喜ばせた。
 細田は泣きながら、例のトイレに駆け込んだ。
 細田はおんおん泣きながら、一生トイレから出なくてもすむものならいいなあ、と思っていると、まるでトイレが細田を慰めてくれるような感覚に襲われた。母親の胎内にいるような暖かくて懐かしい気持ちにさせられたのだ。
 どれくらいの時間が経ったのかわからないが、「細田君」と誰かがドアを激しく叩く音で、我に返った細田は、汚れていたはずのパンツもズボンを汚れが綺麗に取れていることに気づいた。
 細田がドアを開けると担任の稲垣先生が立っており、「さあ、教室に戻ろう」と優しく声を掛けてくれて、細田を連れだした。
 クラスメートがどういう風に自分を迎えてくれるのかと心配していた細田だったが、クラスメートは笑って暖かく迎え入れてくれた。
 いじめた吉川と星野も愛想笑いしていた。
 放課後、いつものように一人で下校しようとしていた細田は、吉川と星野から、「勉強を教えて欲しい」と頭を下げながら頼まれた。
 吉川と星野は確かに成績は悪かったが、成績がビリである細田に頼んできたので、細田はどんないじめをするつもりなのかと身構えて、「今日は勘弁してほしい」と答えた。
 細田は、断ったことで吉川と星野に殴られると思っていたが、二人は、「急にこんなことを頼んできて虫が良すぎた。ごめん」と言ってあっさりと引き下がった。
 細田が唖然としていると、普段は絶対に細田に近寄ろうとしないクラスメートたちが、「一緒に帰ろう」と声を掛けてきた。
 驚いた細田は、気を悪くさせないようできるだけ丁寧に「今日は独りでいたいんだよ。ごめんさない。勘弁してください」とみんなに告げて、その場から逃げるように帰った。


 翌日、細田が学校に行くと、みんながニコニコしながら声を掛けてきた。
 みんなの話によると、昨日、細田は漏らしていないことになっていた。昨日の5時間目に細田は気分が悪くなり、教室を出て行って、先生が迎えに行ったことになっていた。
 そして、信じられないことだが、細田は勉強も運動もできるクラスの人気者になっており、友達が増えた。


 それから細田は、トイレに時間を潰すようなことがなくなったため、あのトイレには行かなくなった。
 しかし中間試験で細田は失敗して、成績が中間あたりになってしまった。
 元いた世界の細田の成績はビリだが、今いる世界の細田は万年1位だったので、周囲の見る目が変わってしまった。


 細田は、元いた世界の自分と今いる世界の自分が入れ替わっているのではないか、と思うようになった。
 細田はみんなに失望される恐怖に怯えて、またトイレにこもるようになってしまった。
 細田はあのトイレが異次元の扉だと推理し、あのトイレに入り浸るようになった。


 「僕の推理は当たっているとは思いませんか?」
  1. そう思う
  2. それは違うと思う
 細田はトレイが好きでトイレに感謝していたので、トイレの神様がチャンスをくれたのに、そんなことを忘れてトイレに籠らなくなったのでバチが当たった、と思った。
 だから、トレイに感謝すれば、また同じようなことが起きるかもしれないと思い、あのトイレに入り浸って、トイレをピカピカに磨いているのだが、あの感覚が感じられない、と細田は言った。


 2か月後の実力試験で、細田はビリになり、とうとう元居た世界の同じようにみんなから相手にされなくなってしまった上、吉川と星野からいじめられるようになってしまった。


 細田エンディング03:魅惑のトイレ
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02
 2人目は新堂を選択→シナリオ:高木ババア→新堂エンディング№01~05


 3人目は風間望を選択。
 いきなり500円を要求してくる。
  1. は?
  2. お金、持っていないんですけど
  3. 10円ならありますが
  4. 日野先輩からもらってください
  5. 持っていても渡しません

 「ボクはお客様なんだぜ。お客様にお話をお伺いしようってことなんだから、せめてケーキとジュースを用意して欲しかったね。
 暑いよ。福沢さんを見てごらんよ。顔中汗だらけじゃないか。
 はい、福沢さん、ハンカチ。
 あのね、坂上君、君、これだけ言ってもわからないの?暑いの。ジュースでも買ってこい、って言ってるの、ボクは。
 お金?お金は君が払うんでしょうが。
 あ、ちょっと注文を聞かずに行くの?ちゃんと注文を聞いていきなさいよ。
 ボクはペプシコーラとコカコーラね。
 何?一人1本じゃないとダメ?
 あ、ちょっと待ちなさいよ。人の話は最後まで聞いて行きなさいよ。
 ボクはね、缶から直接飲むのが嫌だからね。だから、ちゃんと紙コップも買ってくるんだよ。
 さあ、行った行った」
  1. コーラを買ってくる
  2. ホットコーヒーを買ってくる
  3. おしるこドリンクを買ってくる
  4. 青汁ドリンク
 坂上がジュースを買いに部室を出ると、風間はまたしゃべりだす。
 「えーと、そこのキノコ頭、荒井君って言ったっけ。君、暗いね。趣味は押入れでキノコの栽培してるとか?
 君の瞳は灰色に曇っているね。本当は宇宙人が人間に擬態しているとか?あっはっは、冗談だよ」
 そこへ坂上が戻ってくる。
 「遅いよ、坂上君。
 君があまりにも遅いから、僕はもう怖い話をしちゃったよ。嘘だよ、嘘!
 飲み物を注ぎたまえよ。両方一緒に飲むんだからね、ペプシコーラとコカコーラ。
 混ぜるなよ!別々のコップに注ぎたまえ。
 そうそう、うまい、うまい。やっと準備が整ったよ」


 風間は、今から利き酒の話をするからと前置きして、目の前にある二つのコップに入れられたペプシコーラとコカコーラの味の違いを、坂上に尋ねる。
 坂上は、味見して両方ともぺプシだと答える。
 そんなわけないと言って風間が味見をするも、風間も両方ともペプシコーラだと判断する。
 坂上が買ってきたペットボトルをよく見ると、どちらもペプシコーラだった。


 ワインの利き酒をする人は、味覚と嗅覚ががすぐれている。
 嗅覚がすぐれている人は特に重宝されていて、調香師として会社から高い給与をもらっている場合もある。


 君の特技は何?
  1. 勉強が得意
  2. 恋愛が得意
  3. 早食いが得意
 そんな特技で何千万円なんて稼げるものか。


 風間のクラスの綾小路行人という生徒がいる。
 いかにもいいところの出って感じだが、一般人だ。
 綾小路は、顔はそこそこ良かったので、女子には人気があった。
 そんな綾小路は、異常に鼻が良かった。弁当を持ってくると、まるで覗いてたかのように、ぴたり弁当の中身と当てるのだ。
 綾小路は、ヘビースモーカーの松本先生の授業を受けている最中は、タバコの匂いに耐えられず、いつも気分悪そうにしていた。
 常人たちにとって匂わない匂いは綾小路にとっては悪臭なため、彼はいつもマスクを付けていた。


 ある日、いつものように学校に行った綾小路は、意味不明の頭痛に襲われた。
 今まで嗅いだことのない強烈な臭いが近づいてきた。
 それは先生が連れてきた転校生の体臭で、風間でさえ気づくほどの臭いだった。
 転校生は、大川大介と名乗った。
 先生は、大川の席は、綾小路の隣、と言ったので、クラス中が、大川と綾小路の動向に注目した。
 大川は、授業中に鼻くそをほじり始めた。


 「気分悪くならないの?」
  1. もうその話はやめてほしい
  2. 別に大丈夫
 坂上がやめてほしいと言ってるのに、風間は大川の話を止めなかった。


 大川は、鼻くそを自分のズボンにこすりつけ、今度は、綾小路に「教科書を見せて」と声をかけた。
 綾小路が無反応だったので、再度大川が声を掛けると、それに気づいた先生が、綾小路に教科書を見せるように言った。
 大川が綾小路の机に、自分の机をくっつけた途端、綾小路は、声にならない悲鳴を上げて気絶した・・・
 クラスメートの中には大川をいじめようとした奴もいたが、大川はいじめられると、嫌がったりせず、「きゃ~、やめて」と言いながら喜んでいたので、いじめにくかった。
 またパシリにしようとしても、鼻くそほじった手で大川が買ってきたものを受け取るのは、無理があった。


 「君も大川君と一緒なの?」
  1. 一緒じゃありません
  2. 似ているかもしれません
  3. もしかして大川は女の子?
「違うんだったら、最初っから違うって言えばいいんだよ」


 大川から物を受け取るのは無理なので、お金を持って来さそうとしたが、大川は頭のネジが外れたように泣きわめいて拒否したため、誰も大川に手を出さなくなった。


 綾小路は、先生に席替えを訴えたが、聞いてもらえなかった。
 綾小路は鼻がいいので、姿が見えないが大川が近づいてくると、一目散に逃げるようになった。
 綾小路が逃げるせいなのか、大川は恋女房のように大川を追いかけまわした。
 とうとう、大川は実力行使に出た。授業中に綾小路に抱き着いたのだ。
 綾小路は、学校中に響き渡るような悲鳴を上げて失神し、救急車で運ばれ、その後登校拒否になった。
 すると大川は、家に見舞いに来るようになった。
 綾小路は、家に臭いを付けたくないんで、とっとと帰ってもらうよう応対しないといけないのだが、会話すると臭いをかぐ羽目になった。
 綾小路は、家だけは大川の臭いから死守したかったので、学校へ通うことにした。
 大川が綾小路に抱き着いたので、やっと綾小路は席替えしてもらえた。
 すると、大川は、綾小路が所属しているブラスバンド部に楽器もできないのに入部してきたのだった。
 そして、綾小路が担当しているトラペットを希望してきた。
 トランペットのリーダーだった綾小路は、大川の面倒を見る羽目になってしまった。


 ある日、綾小路がトイレに行った戻ってくると、綾小路のトランペットがよだれまみれになっていた。
 大川だった。練習用のじゃうまく吹けないので、高価なトランペットを吹いてみたかった、とのたまった。
 匂いに敏感な綾小路は大川の臭いのついたトランペットなんてもっての他で、泣く泣く手放すことにしたが、誰も引き取りてがなくて、結局大川の手に渡った。


 大川から逃げるため、綾小路はブラスバンド部を退部した。
 そして、綾小路は、迷惑している旨を書いた手紙を、授業中に直接大川に渡した。
 それを読んだ大川は、「僕のことがこんなに好きだなんて」と言って、手紙を食べてしまった。
 綾小路は、嘘だ、と叫んだが、臭いのせいで、それ以上しゃべれなかった。
 そして、みんなが面白がって、綾小路と大川のホモ達を噂しだした。


 そんなある日、綾小路は下足室で、自分の上履きの匂いを書いている大川の姿を目撃してしまう。
 その瞬間、綾小路の脳裏に、臭いは元から断たねば、という言葉が浮かんだ。


 「君だって、誰かを殺したいと思ったことあるだろう?」
  1. 実はある
  2. そんなことない
  3. 今は風間さんを殺したい
 「たまには面白いこと言うじゃないか。
 誰だって人を殺したいと思うことはあるんだ。でもそれを実行に移す奴はいないだろ?移してしまったら、それは犯罪だろ」


 綾小路は、確実に大川を殺すため、包丁で突き刺すことにした。
 そのためには大川に近づく必要があり、どれだけ綾小路が息を止められるかにかかっていた。
 綾小路は、5分息を止められるようになったら実行しようと誓って、学校が終わると大川の家に向った。
 大川の家は高級住宅街の中にあった。


 ここから風間のお金持ちアピールが始める。


 「どうして、金持ちのボクがひがまなくちゃならないんだ」
  1. 本当は貧乏だから
  2. 自分より金持ちを許せない
  3. そういう性格だから
 「まあ、貧乏人には本当の価値はわからないからね」


 綾小路は、大川の臭いをたどるとアラビアンナイト風の御殿に辿り着いた。
 何度も番地を確かめるも、本当にそこだった。
 綾小路は、大川があんな性格になったのは両親のせいだ、と思い、家族全員が責任を取らなければという思いに駆られた。
 しかし、大川にはボディガードが4人もついていた。
 そこで綾小路は、家族全員を殺すには屋敷を燃やすしかない、と思い付き、火炎瓶を20本ほど作って敷地内に放り投げた。
 ボディガードが出てきたので、綾小路は逃げたが、捕まることなく家に戻れた。
 ところが、翌日の新聞やテレビニュースでは、大邸宅の火事の話は触れられなかった。


 いつも通りに振舞うため、綾小路は学校へ行ったが、大川は普段通りに来ていた。
 綾小路の机の中に手紙が入っていた。
 読んでみると、大川からの手紙だった。
 昨日放火魔によって物置が放火されたが、監視カメラに犯人が映っているはず。まだ誰もビデオを確認していないので、今日の放課後一緒に見よう。と書かれていた。
 綾小路は、自分は傷つかずに大川を殺す方法を探し始めた。
  1. 黒魔術の力を借りる
  2. 呪いをかける
 綾小路は悪魔の力を借りることにした。
 風間は、父親からもらった黒魔術グッズのことを綾小路に話したことがあったので、綾小路は、風間に大川との因縁を話して借りにきたので、風間は1回5万円で貸し出した。


 「君だったら、悪魔にどんな願い事をする?」
  1. 殺したい奴を殺してもらう
  2. 権力
  3. 不老不死
 「何だ、君も綾小路と同じか。つまらん男だね」


 真夜中の2時、風間の家の駐車場で、綾小路は魔法陣から悪魔を呼び出そうとしていた。
 その横で、風間は小遣い稼ぎのため、悪魔召喚のビデオ撮影をしていた。
 綾小路が呪文を唱えると、魔法陣から白い煙が上がり、何者かが出現した。
 綾小路は、大川の魂を抜いてほしい、と声に訴えた。
 すると、煙の中から大きな手が現れ、何語かで書かれた契約書を差し出した。
 「大川大介の魂を抜いてくれますね」
 「願いは一つ、大川大介の魂を抜くことで、異存はないな?」
 「僕のクラスにいる大川大介ですからね」
 「お前のクラスにいる大川大介だな」
 「魂を抜いてくださいよ」
 「ああ、わかった」
 「魂を抜くってことは殺すってことですからね」
 「殺してやろう」
 「殺したけどゾンビになって追いかけてきたってのはなしですよ」
 「ゾンビになって追いかけてくることはない」
 よいか?お前がこの契約書にサインすれば、お前が死んだときその魂は私のものとなる。その魂は何に使われようと、構わぬな?」
 「はい」
 「それでは、この契約書にサインしてもらおう」
 悪魔は綾小路の親指の腹を傷つけると、血が滲んだ。
 「さあ、血のサインを押すがよい。それで契約は成立する」
 綾小路は、言われるがままに親指を契約書にべったりと押し付けた。
 契約は無事に成立し、悪魔の腕は契約書を持ったまま煙の中へ引っ込んだ。
 それと同時に綾小路が喉を押さえて苦しみ始めた。
 あたりは風間が悪臭だと感じるほどの臭いに満ちていたが、綾小路は契約のことしか頭になったので、契約が終わるまで悪臭に気づかなかったのだ。
 煙が治まると、そこにいたのは、悪魔の手の形をしたマジックハンドを持っている大川だった。
 「ありがとう、綾小路君、僕と契約してくれて。
 僕が悪魔なんだよ。僕は君を気に入ってしまったね。何とか君を僕のものにしたかった。けど、まだ僕は低級な悪魔だから、君を手に入れるためには、悪魔として契約してもらう以外に方法がなかったんだ。
 僕を殺すことが条件だって言いたいの?僕はとっくに死んでいるから」
 大川がシャツのボタンを外すと、心臓のところにポッカリと穴が開いていた。
 「これでも僕はまともな悪魔なんだよ。君が早死にしないようずっと見守ってあげるし、少なからず君が成功するように力を貸してあげるよ。
 それで君が死んだら、君の魂は僕が責任を持ってかわいがってあげるから。
 永遠の楽しい二人の時間を過ごそうね」
 綾小路は一目散に逃げだし、それを大川が追っていった。


 あれから二人はいつも通り学校に来ている。
 大川は相変わらず綾小路を追いかけまわしているが、綾小路は諦めがついたみたいだ。
 大川が相変わらず臭いが、綾小路が死にそうになったら絶対に助けてくれる。
 綾小路は風間に、死後の世界が見えた時、必ず自分を助けようと手が差し伸べられるのだが、必死にその手をつかむと、手の主は大川だ、と話していた。


 風間エンディング№01:かぐわしきにおひ
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02


 2人目は新堂誠を選択。


 新堂誠は、3年D組の生徒。


 お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「ずいぶんと変わった部に憧れていたんたな、お前。何に興味を持つかは人それぞれだからな。
 それより俺みたいな奴が、こんな女子供が喜びそうな集会にいるのは場違いだって感じてんじゃねえか?」
  1. そんなこと思ってません
  2. はい、正直に言うと感じてます
  3. 何に興味を持つかは人それぞれです
 「それが本音なら、お前は肝っ玉が据わった男だな。まあ、たいていのやつら俺を怖がって、そういった上っ面の答えを返すんだ。お前の言葉が本物かどうか、これから試させてもらうぜ。
 それじゃあ、さっそく話を始めるとするか。ところで、この部屋、なんか怪しくねえか?
 霊ってのはよ、人間の気を敏感に察知するっていうからな。それでな、霊は恐怖心を持った奴の周りに集まるっていうじゃねえか。
 怖い話をしているとき、突然背筋にゾクって寒気が走る。あれはま、そいつの背中を霊が撫でてるんだぜ。
 坂上、お前、まさか怖がったりしてねえよな」
  1. 怖いです
  2. 怖くありません
 「そうか、怖いのか。正直でいいことだが、だったら、お前は霊の餌食だよ。霊に精神を食われないように、しっかりと自分を保つんだ。
 噂話って知ってるか?口裂け女とか、人面犬、トイレの花子さんや、メリーさん。そういう噂、お前は馬鹿にしているか?」
  1. している
  2. していない→新堂エンディング№01:吉田の執念
  3. 何とも言えない→新堂エンディング№04:高木ババア新堂エンディング№05:吉田の真実
 
 「そうかい。そんなの子供だましだよって鼻で笑ってんだな、お前は。だとしたら、不幸だな」



 新堂のクラスメートに吉田達夫という男がいた。
 現実主義というか、アンチ・ロマンチストというのか、どにかく嫌な男だ。
 勉強はできたけど、それだけの男で、いつも気取っていて、殴ってやりたいタイプだった。
 吉田は、どんなに殴られようが絶対に抵抗しないが、きちんとそれを先生に報告していたので、いじめようとしてもいじめられない男だった。
 先生の間では、成績抜群で品行方正、先生には従順でなんでも従い、問題があるとすぐに報告するため、評判が良かった。
 吉田はそんな男だから、誰にも相手にされず、無視されていた。
 ところが吉田は、それを喜んでいるようだった。自分が選ばれた人間にでもなったつもりで、周りを見下しているのは見え見えだった。


 「お前はそんな奴には何かガツンと一発かましてやりたいと思うだろ?
  1. はい→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. いいえ
「腹が立つ奴がいても、だんまりなのか?
 だとしたら、よほどの優等生か、逆に冷たい人間なんだな。
 ま、俺は一度あいつの泣き顔を見てやりたかった。
 そんな時、俺はちょっとおもしろい話を聞いたんだ。
 お前、聞いたことあるか。高木ババアの噂を」


  1. 知っている→シナリオ:呪いのマンシールへ。
  2. 知らない
 「知らない、そうか。なら、よし、俺が話してやるよ。高木ババアの話をよ」


 そのババアは、ませたガキが好きそうなフリルのついた真っ赤なロングスカートをはいている。
 足が隠れて地面を引きずるほどのロングスカートのため、高木ババアのスカートの裾はボロボロだった。
 そのババアは腰まである伸ばし放題の髪の毛をいつも垂らしていて、顔を隠している。
 その顔を見た人の話では、すげえ厚化粧をしており、あの顔を見たら、二度と忘れらないとのこと。
 そして、上は白のブラウスを着ているのだが、お姫様が着てるようなヒラヒラのついたかわいらしいブラウスなのだが、ずっと着続けているせいか、元の色がわからないぐらい薄茶色に変色していた。
 ところどころ穴もあいているし、ツギハギだらで、すんげえ臭い。
 そして、ものすごいスピードでピョンピョン飛びながら歩いていた。


「時速100キロで、ピョコピョコ飛び跳ねながら走る厚化粧をした薄汚ねえババア。そんな奴に追いかけられたら、お前どうする?
 お前、笑ったか?今、笑ったんじゃねえのか?」
  1. 笑った→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. 笑っていない
 「引き攣った笑いだったのか?そんな話は嘘だって言いたいんだろう?」
 


 高木ババアが何でピョコピョコ飛び跳ねるのかは、片足がないからだ。
 なんでも、交通事故でトラックのタイヤに足を巻き込まれたらしいんだけど、そのとき家族も一緒にいて、息子夫婦に3人の孫、全員、即死だった。
 死体は原形をとどめておらず、ミンチみたいにグチャグチャになったらしい。
 トラックの運転手は酔っぱらっていたらしく、事故に気づかず、子供をタイヤに挟んだまま、10キロ以上走ったそうだ。
 それで高木ババアは発狂してしまい、その後、家族みんな死んだショックから立ち直れず、自宅の布団で、誰にも看取られずに死んだらしい。
 死後1カ月以上経って発見されたそうで、今現れる高木ババアは幽霊だ。
 幽霊だからこそ、時速100キロで走ることができるのだ。
 高木ババアが臭いのは死後1カ月以上経っているからで、あの服装は事故にあったときの服装とのこと。
 そして、高木ババアは、ある目的があって狙った奴の前に現れ、高木ババアに狙われると絶対に逃げられないため最後らしい。
 高木ババアは、最初は何気なく声をかけてくる。
 「身寄りのない年寄りの思い出話を聞いてくだされ」
 ついうっかり情けをかけて相手をしたら、もう最後だ。いきなり、あの時の事故の話を始めるのだ。
 「私には、人様のうらやむのうな家族がいましての。よくできた息子に、よくできた嫁。目に入れても痛くないほどのかわいい孫が3人。
 そりゃあもう、とても幸せな家族でした。仏様には毎日お礼を言いました。
 でも、ひどいもんです。仏様なんて、いやぁしません。私の家族はみんな死んでしまいました。
 交通事故でした。私を残して家族全員、トラックに轢かれちまったんでごぜえます」
 そんなこと言われたら、聞いているほうは、慰めないわけにはいかない。
 「その分、おばあさんが頑張って生きなきゃ」
 「ありがとうごぜえます。こんなババアに気を遣ってくださって。
 あんた様は、死んでいった家族たちのことがかわいそうだと思いますかのう?」
 「ええ」
 誰だって、反射的にそう答えるだろう。
 すると、高木ババアは、薄汚れたスカートをめくって、こう言う。
 「私しゃあ、そん時の事故で片足をなくしちまいました。私のなくなった片足、不憫だとは思いませんかのう?」
 (さあ、どうだ。お前の心は恐怖心でいっぱいだろう。さあ、おとなしく私に食われてしまうがいいよ)
 まるでそんなことを言っているように、醜く化粧されたシワだらけの顔をこっちに向けてニタニタと笑う。
 もう、走り出すしかない。
 走って走って、心臓が口からこぼれるほど走りまくって逃げる。
 そして、もうだめだ、走れない、と思って、ふらふらの足を休め、全身で息をして、ふっと顔を上げると、高木ババアがニタニタ笑いながら、目の前に立っている。
 「よくできた息子は、腹の上を裂かれて真っ二つ。内臓が飛び出て、どこにいったかわからなくなりましてのう。かわいそうだと思うなら、あんたの内臓をくださいな」
 また逃げる。逃げて、逃げて、逃げまくる。
 足が痙攣して転ぶ。
 後ろからゆっくりと足音が聞こえてきて、真後ろで止まる。
 「よくできた嫁は、両腕を轢き潰されてしにました。かわいそうだと思うなら、あんたの両腕くださいな。
 目に入れても痛くないほどかわいい3人の孫。
 一人は両足を潰されました。
 一人は首を潰されてしにました。
 そして、最後の一人は、タイヤに巻き込まれて体中の皮膚をひっぺがされて真っ赤になって死にました。
 家族はみんな、挽き肉みたいにグジャグジャになって、死んだんでごぜえます。
 かわいそうだと思うでしょう?
 だったら、あんたの体をくださいな」
 そして、首を絞め上げられ、ジ・エンド。
 死んだあと、死体は見つからない。全身は死んでいった家族に分け与えられるから。


 「この話を聞いた奴はよ、1週間以内に必ず高木ババアに会うっていうぜ。
 俺は、お前に話したんだからな。ここに集まっている残りの5人は関係ねえぜ。
 お前、笑っているのか?それとも、震えているのかよ。
 そう心配すんなよ。実は助かる方法もあるんだぜ」


 「助かる方法を知りたいか?」
 「高木ババアに会わないですむ方法、それはな・・・
 1週間以内に誰でもいいから5人以上の右足を集めるんだ。お前が高木ババアの代わりをやればいいんだよ」
 (高木ババアは、本当にいるのか?)
 (きっと、いる。
 新堂さんが高木ババアの話をしてからというもの、僕はこの部屋に何か得たいの知れないものが漂っている気がしてならない。
 僕は、もう高木ババアに取り憑かれてしまったのだ。僕はもう、助からないのか。
 5人以上の右足を手に入れるなんて、僕にできるわけない。
 ここにいるのは何人だ?6人いる。
 奴ら、僕のことを見て笑っている。
 そうさ、こいつらに犠牲になってもらおう。
 1週間以内に、こいつらの右足を手に入れればいいんじゃないか。
 よし、そうと決まれてば今は平然を装おう。何事もなかったように、この集会を終わらせればいい。ふふ、ふふふふふ)

 新堂エンディング№03:六本の右足
 CGギャラリー 18/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02


 2人目は新堂誠を選択。


 新堂誠は、3年D組の生徒。


 お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「ずいぶんと変わった部に憧れていたんたな、お前。何に興味を持つかは人それぞれだからな。
 それより俺みたいな奴が、こんな女子供が喜びそうな集会にいるのは場違いだって感じてんじゃねえか?」
  1. そんなこと思ってません
  2. はい、正直に言うと感じてます
  3. 何に興味を持つかは人それぞれです
 「それが本音なら、お前は肝っ玉が据わった男だな。まあ、たいていのやつら俺を怖がって、そういった上っ面の答えを返すんだ。お前の言葉が本物かどうか、これから試させてもらうぜ。
 それじゃあ、さっそく話を始めるとするか。ところで、この部屋、なんか怪しくねえか?
 霊ってのはよ、人間の気を敏感に察知するっていうからな。それでな、霊は恐怖心を持った奴の周りに集まるっていうじゃねえか。
 怖い話をしているとき、突然背筋にゾクって寒気が走る。あれはま、そいつの背中を霊が撫でてるんだぜ。
 坂上、お前、まさか怖がったりしてねえよな」
  1. 怖いです
  2. 怖くありません
 「そうか、怖いのか。正直でいいことだが、だったら、お前は霊の餌食だよ。霊に精神を食われないように、しっかりと自分を保つんだ。
 噂話って知ってるか?口裂け女とか、人面犬、トイレの花子さんや、メリーさん。そういう噂、お前は馬鹿にしているか?」
  1. している→新堂エンディング№02:高木ババアなんて怖くない
  2. していない→新堂エンディング№01:吉田の執念
  3. 何とも言えない
 
 「信じるのは馬鹿らしい。かといって、心のどこでは信じている自分もいる。そんなあやふやな感じってところか。」



 新堂のクラスメートに吉田達夫という男がいた。
 現実主義というか、アンチ・ロマンチストというのか、どにかく嫌な男だ。
 勉強はできたけど、それだけの男で、いつも気取っていて、殴ってやりたいタイプだった。
 吉田は、どんなに殴られようが絶対に抵抗しないが、きちんとそれを先生に報告していたので、いじめようとしてもいじめられない男だった。
 先生の間では、成績抜群で品行方正、先生には従順でなんでも従い、問題があるとすぐに報告するため、評判が良かった。
 吉田はそんな男だから、誰にも相手にされず、無視されていた。
 ところが吉田は、それを喜んでいるようだった。自分が選ばれた人間にでもなったつもりで、周りを見下しているのは見え見えだった。


 「お前はそんな奴には何かガツンと一発かましてやりたいと思うだろ?」
  1. はい→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. いいえ
「腹が立つ奴がいても、だんまりなのか?
 だとしたら、よほどの優等生か、逆に冷たい人間なんだな」


 そんな時、新堂はちょっとおもしろい話を聞いた。高木っていう名前のババアの話だった。


 「お前、聞いたことあるか、高木ババアの噂を」


  1. 知っている→シナリオ:呪いのマンシールへ
  2. 知らない

 「知らない、そうか。お前に話してやるぜ。高木ババアの話をよ」


 そのババは、ませたガキが好きそうなフリルのついた真っ赤なロングスカートをはいている。
 足が隠れて地面を引きずるほどのロングスカートのため、高木ババアのスカートの裾はボロボロだった。
 そのババアは腰まである伸ばし放題の髪の毛をいつも垂らしていて、顔を隠している。
 その顔を見た人の話では、すげえ厚化粧をしており、あの顔を見たら、二度と忘れらないとのこと。
 そして、上は白のブラウスを着ているのだが、お姫様が着てるようなヒラヒラのついたかわいらしいブラウスなのだが、ずっと着続けているせいか、元の色がわからないぐらい薄茶色に変色していた。
 ところどころ穴もあいているし、ツギハギだらで、すんげえ臭い。
 そして、ものすごいスピードでピョンピョン飛びながら歩いていた。


「時速100キロで、ピョコピョコ飛び跳ねながら走る厚化粧をした薄汚ねえババア。そんな奴に追いかけられたら、お前どうする?
 お前、笑ったか?今、笑ったんじゃねえのか?」
  1. 笑った→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. 笑っていない
 「引き攣った笑いだったのか?そんな話は嘘だって言いたいんだろう?」
 


 高木ババアが何でピョコピョコ飛び跳ねるのかは、片足がないからだ。
 なんでも、交通事故でトラックのタイヤに足を巻き込まれたらしいんだけど、そのとき家族も一緒にいて、息子夫婦に3人の孫、全員、即死だった。
 死体は原形をとどめておらず、ミンチみたいにグチャグチャになったらしい。
 トラックの運転手は酔っぱらっていたらしく、事故に気づかず、子供をタイヤに挟んだまま、10キロ以上走ったそうだ。
 それで高木ババアは発狂してしまい、その後、家族みんな死んだショックから立ち直れず、自宅の布団で、誰にも看取られずに死んだらしい。
 死後1カ月以上経って発見されたそうで、今現れる高木ババアは幽霊だ。
 幽霊だからこそ、時速100キロで走ることができるのだ。
 高木ババアが臭いのは死後1カ月以上経っているからで、あの服装は事故にあったときの服装とのこと。
 そして、高木ババアは、ある目的があって狙った奴の前に現れ、高木ババアに狙われると絶対に逃げられないため最後らしい。
 高木ババアは、最初は何気なく声をかけてくる。
 「身寄りのない年寄りの思い出話を聞いてくだされ」
 ついうっかり情けをかけて相手をしたら、もう最後だ。いきなり、あの時の事故の話を始めるのだ。
 「私には、人様のうらやむのうな家族がいましての。よくできた息子に、よくできた嫁。目に入れても痛くないほどのかわいい孫が3人。
 そりゃあもう、とても幸せな家族でした。仏様には毎日お礼を言いました。
 でも、ひどいもんです。仏様なんて、いやぁしません。私の家族はみんな死んでしまいました。
 交通事故でした。私を残して家族全員、トラックに轢かれちまったんでごぜえます」
 そんなこと言われたら、聞いているほうは、慰めないわけにはいかない。
 「その分、おばあさんが頑張って生きなきゃ」
 「ありがとうごぜえます。こんなババアに気を遣ってくださって。
 あんた様は、死んでいった家族たちのことがかわいそうだと思いますかのう?」
 「ええ」
 誰だって、反射的にそう答えるだろう。
 すると、高木ババアは、薄汚れたスカートをめくって、こう言う。
 「私しゃあ、そん時の事故で片足をなくしちまいました。私のなくなった片足、不憫だとは思いませんかのう?」
 (さあ、どうだ。お前の心は恐怖心でいっぱいだろう。さあ、おとなしく私に食われてしまうがいいよ)
 まるでそんなことを言っているように、醜く化粧されたシワだらけの顔をこっちに向けてニタニタと笑う。
 もう、走り出すしかない。
 走って走って、心臓が口からこぼれるほど走りまくって逃げる。
 そして、もうだめだ、走れない、と思って、ふらふらの足を休め、全身で息をして、ふっと顔を上げると、高木ババアがニタニタ笑いながら、目の前に立っている。
 「よくできた息子は、腹の上を裂かれて真っ二つ。内臓が飛び出て、どこにいったかわからなくなりましてのう。かわいそうだと思うなら、あんたの内臓をくださいな」
 また逃げる。逃げて、逃げて、逃げまくる。
 足が痙攣して転ぶ。
 後ろからゆっくりと足音が聞こえてきて、真後ろで止まる。
 「よくできた嫁は、両腕を轢き潰されてしにました。かわいそうだと思うなら、あんたの両腕くださいな。
 目に入れても痛くないほどかわいい3人の孫。
 一人は両足を潰されました。
 一人は首を潰されてしにました。
 そして、最後の一人は、タイヤに巻き込まれて体中の皮膚をひっぺがされて真っ赤になって死にました。
 家族はみんな、挽き肉みたいにグジャグジャになって、死んだんでごぜえます。
 かわいそうだと思うでしょう?
 だったら、あんたの体をくださいな」
 そして、首を絞め上げられ、ジ・エンド。
 死んだあと、死体は見つからない。全身は死んでいった家族に分け与えられるから。


 「この話を聞いた奴はよ、1週間以内に必ず高木ババアに会うっていうぜ。
 俺は、お前に話したんだからな。ここに集まっている残りの5人は関係ねえぜ。
 お前、笑っているのか?それとも、震えているのかよ。
 そう心配すんなよ。実は助かる方法もあるんだぜ」


 「助かる方法を知りたいか?」
  • 知りたい
  • 別に知りたくない
 「高木ババアに会わないですむ方法、それはな・・・
 1週間以内に誰でもいいから10人以上に高木ババアの話をするんだ。
 それも高木ババアの話を知らない奴にだぞ。知っている奴に話しても、だめだからな。
 それを守れなかったら、お前は死ぬぜ。
 それでな、吉田にもこの話をしてやったんだよ」


 「なあ、吉田、ちょっとおもしろい話があるんだけど、聞いてくれねえか?」
 吉田は気のない素振りで聞いていたが、話が進むにつれ、新堂の話に耳を傾けるのがわかった。
 新堂が話し終えると、吉田は馬鹿にしたようにせせら笑った。
 「君って子供。もし信じてたら、かわいそうだなあ」
 「お前が信じるも信じないのも勝手だけでよお。高木ババアを見たからって、俺のせいにするんじゃねえぞ」
 吉田は吹き出した。
 「ぷぷっ!もし本当に会えたら、すぐに君に知らせてあげるからさ。
 じゃあね、僕、君と違って塾があるから」
 そういって吉田は荷物を片付けると帰ってしまった。


 「悪いが俺はよ、こういう噂は信じてるもんでな。
 俺が高木ババアに話を聞いたときは、急いで10人に話だぜ。
 それで、吉田はどうなったと思う?俺の話を信じて、ちゃんと10人に話したと思うか?」
 「お前の勘が当たっているかどうかは、まあ続きを聞いてくれ」


 次の日、吉田は別に何気なくふるまっており、別に誰かに話をする風もなかった。
 日曜日には新堂は、吉田があせっていると思って電話した。
 「君、馬鹿じゃないの?悪いけど、僕は高木なんてババアの話は忘れてたよ。君、頭が変なんじゃないの?一度、病院行ったら?
 あのさ、君が何を思おうが僕には関係ないけどね、大切な僕の休養日に邪魔だけはしないでくれる?」
 言うだけ言って、吉田は一方的に電話を切った。
 新堂は、吉田の慌てるところを見てみたかったが、吉田が死ぬかどうか見極めることにした。


 そして、いよいよ明日で約束の1週間が終わるという日になった。
 いつも他人を見下した態度をとっている吉田が、その日に限って妙にしおらしい。
 愛想笑いなんか浮かべて、すれ違う奴らにペコペコあいさつしている。
 今までが今までだから、誰も吉田なんか相手にしない。
 吉田は、何か話したそうにしているが、誰も聞かない。
 吉田が、高木ババアの話を気にしており、誰かに話したくて仕方ないのに、誰も聞いてくれないのが、新堂にとっておかしくてしかたがなかった。
 吉田は頭を下げながら何人かに話し始めるが、すぐに逃げられてしまう。
 新堂のクラスメートは、もうみんな高木バアアの話を知っているのだ。
 新堂がニヤニヤしながら吉田を見ていると、それに気づいた吉田が、今にも泣きそうな顔で新堂の側に駆け寄ってきた。
 「なあ、新堂君」
 吉田は、泣き出しそうな声を出し、新堂の手を握り締めてきた。
 「あの話は冗談だよね?」
 「何の話だよ、お前、俺と口聞きたくなかったんじゃなかったっけ?俺、お前の大事な時間を邪魔しちゃ悪いからよぉ」
 突然、吉田は土下座して新堂に謝った。
 「ごめんよ。僕が悪かったよ。だから許しておくれよ。
 僕のこと助けて!!」
 新堂は、これ以上しらばっくれるのもかわいそうになり、土下座する吉田を助け起こした。
 「そんな高木ババアが怖いんだったら、話せばいいじゃねえか」
 それを聞いた吉田は大声で泣き始めた。
 「うわあああん!!みんな知ってるんだもの。みんな高木ババアの話を知ってるんだよ!
 まだ3人しか話せてないんだよ。お願いだよ!死ぬのはいやだよ!」
 「3人って誰に話したんだよ?」
 「お父さんとお母さん、それから親戚のおばさん。
 学校のみんなも、塾のみんなも、誰も聞いてくれないんだ。聞いてくれそうになった連中も、みんな知ってるんだよ。高木ババアの話をさ」
 「先公は?お前、ずいぶんと気に入られてたじゃねえか」
 「馬鹿にして、僕の話をまじめに聞いてくれない。
 それでも無理に話そうとすると、怒鳴るんだよ。お前はいつから、そんな馬鹿な事を言う生徒になったんだって、まじめに心配そうな顔をするのさ。
 もう、だめだ。もう、僕は死んでしまう。お願いだ。助けてくれよ」
 「あんなの冗談さ。高木ババアなんているわけねえだろう」
 新堂は、吉田がかわいそうに見えたので、心にもないことを言ってしまった。
 「本当に、あれは嘘だったんだね!」
 「ああ、冗談だよ、気にすんな」
 「ありがとう!その一言で僕は救われるよ。本当にありがとう」
 吉田は、落ち着いて帰っていった。
 しかし、新堂は、吉田が早めに10人に話しておけばこんなことにならなかったんだ、と思っていた。


 そして約束の1週間目がやってきたが、吉田は学校に来なかった。
 恐ろしくなった新堂は、話をした責任を感じ始めた。
 そして、放課後、新堂は吉田の家に電話したら、吉田は家にいた。
 「なんだ君か。どうしたの?」
 「お前、今日学校休んだじゃねえか。何かあったのかと思ってよ」
 「あっははは、何言ってんの、君?あれは冗談だんだろう?いやあ、僕としたことがちょっと取り乱しちゃったよ。君みたいな下等な人間に騙されるところだった。
 今日は、ちょっと疲れたから休んだだけさ。別に君に心配してもらう必要はない。
 あ、そうそう、前にもう僕の家に電話しないでくれって言ったよね?もう電話、しないでくれる?
 それから、君がした高木ババアに話、明日になったら先生に報告しておくつもりだから、覚悟しておくんだね。
 君のような奴を愉快犯っていうん・・・」
 そこまで聞いた新堂は、受話器を叩きつけた。
 腹が立った新堂は、そこら辺のものに当たり散らしたが、怒りは収まらない。
 仕方がないので、新堂は寝ることにした。


 電話のベルの音で、新堂は目覚めた。
 受話器を取ると、金切り声が聞こえてきた。
 「助けてくれよ、新堂君!!」
 電話の主は吉田だった。
 「ウソツキ、どうして嘘なんかつくんだよ。新堂君の責任だよ。僕が死んだら、新堂君の責任なんだ。どうしてくれるんだよ!
 高木ババアが出てきちゃったじゃないか!高木ババアが、あと6時間でお前を殺すっていうんだよ!殺されるよ!」
 「馬鹿言ってんじゃねえよ。俺はお前の時間を邪魔するつもりはないからよ」
 「お前の責任だ!あと6時間のうちに7人に話さないと俺は殺されるんだぞ!」
 「うるせえ!」
 そう言って新堂は、受話器を置いた。
 新堂が時計を見ると6時を回っていた。
 ちょうどその日、新堂の両親は法事で田舎に言っており、明日の朝まで家には、新堂一人きりだった。
 新堂は、念入りに戸締りをし、作り置きの夕食を食べた。
 8時を回ったころ、また吉田から電話があった。
 「見つからないよ!まだあと5人にも話なさきゃならないんだ!」
 「いい加減にしろ!」
 「いるんだよ!高木ババアが僕のことを見ているんだよ!どこに行っても追いかけてくるんだ」
 「死んじまえよ、クソ野郎!」
 新堂は、電話が壊れるかと思うほど、受話器を乱暴に叩きつけた。
 嘘をついているとは思えない雰囲気の吉田から恐怖を感じた新堂は、テレビのボリュームをいっぱいに上げた。
 何かほかのことを考えようとしても、吉田のことが浮かんで消えない新堂は、風呂に入ることにした。
 風呂に入っているときに、また電話のベルが鳴ったが、新堂は怖くて電話に出れなかった。
 ベルは20回ほどなってようやく切れたが、すぐにまたかかってきた。
 新堂は風呂を飛び出し、受話器をとってすぐに切った。
 それでも電話がかかってくるので、新堂は電話線を外した。
 そして、新堂はリビングのソファの上で足を抱えて、時計を見つめ、12時になるのをじっと待った。


 12時まであと5分ほどになったとき、「新堂」という声をともに、家のドアをぶち壊すような勢いでたたく音が聞こえた、
 吉田が、家にやって来たのだ。
 「新堂、もう時間がないんだ。俺は死ぬ!だから、お前も死ね!死んで責任をとりやがれ!」
 新堂は、急いで玄関に行き、中からドアを押さえつけた。
 「俺はなあ、道行く奴を呼び止めてまで、無理やり話を聞かせたんだよ!まるで狂人扱いさ!
 殴られもしなけどよぉ、話したよ!後ろには高木ババアがいるからよお!
 でも足りないんだよ!あと一人!もう時間がない。だから、お前を殺すんだ!」
 突然、ドアが激しく揺れて隙間に刃物の切っ先が垣間見えた。
 そして、吉田は諦めたのか、すぐに物音はしなくなった。
 その時、鼓膜が破れるようなものすごい音が鳴り響いた。リビンクからだった。
 新堂が目を向けると、リビングの一面を壁を覆っていた窓ガラスが粉々に砕け散っていた。
 「新堂!!」
 絨毯にまき散らされたガラスの破片の上に、土足の吉田が仁王立ちになっていた。手には包丁を持ち、体中から血を滴らせながら。
 顔は青く腫れあがって歪んでいた。無理やり見知らぬ通行人に高木ババアの話をしようとして殴られたのだろう。
 新堂は、吉田に殺される、と覚悟を決めた。
 その時、いきなり吉田が包丁を振り回しながら、見えない何かを必死に追い払うように、暴れ出した。
 吉田には高木ババアが見えているのだ。
 「やめろよ!もう少し時間をくれよ!こいつを殺してからにしてくれよ!ぎゃあ!!!」
 突然、吉田の腹が真一文字にパックリと割れた。
 吉田は苦しそうに目を細めると、ぱくぱくと口を開いた。
 「うわああ!」
 新堂は叫んで、階段を上がり、自分の部屋に逃げ込もうとした。
 「逃げるな」
 吉田は、新堂を追いかけてきた。
 足が震えてうまく階段を上がれず、つんのめった新堂の足首を、吉田の血まみれの手が掴んだ。
 新堂が慌てて振り返ると、吉田は新堂の足首を握りしめたまま、嬉しそうに包丁を振り上げていた。
 吉田の腹からは、腸がベロンとはみ出ており、ほかほかと湯気を立てていた。
 吉田は新堂めがけて包丁を振り下ろしたが、必死だった新堂は渾身の力を込めて足をけり出すと、見事吉田の腹に命中した。
 吉田はそのままもんどり打って、階段を真っ逆さまに転げ落ちて行った。
 腸が階段にぺちゃりと張り付いていたが、吉田は動いていた。
 「し・・・ん・・・どう・・・」
 ものすごい目で新堂を睨みつけるが、新堂は四つん這いになって這いずりながら階段を上がり、なんとか自分の部屋に逃げ込んだ。
 ドアの向こうから、ズルズルビチャビチャ階段を何かが這い上がってくる音が聞こえてくる。
 新堂は、鍵のないドアのノブに手をかけ、ドアが開かないように必死に体を踏ん張らせた。
 「新堂、開けろ。お前を殺してやんだからよぉ」
 そして、がりがりとドアを爪で引っかく音が聞こえる。
 「開けろ」
 突然、ドアを破って包丁を握った手を突き出てきた。
 包丁は、新堂の左腕の肉をそいだ。
 「新堂、見ぃつけた」
 その時、ドアに空いた穴から、汚れた白いブラウスを着た手が伸びてきた。
 高木ババアの手が、吉田の手を掴んだ。
 「やめてくれよ。もう少しであいつをのこと殺せるんだよ、うぎゃああ!」
 ドアの向こう側から吉田の悲鳴が聞こえてくるのと、穴に手が引きずり込まれるのはほとんど同時だった。
 そのあと一切の物音は聞こえなくなり、床には包丁だけが落ちていた。
 新堂が時計を見ると、針は12時を指していた。
 10分ほどして、新堂は慎重にゆっくりとあたりに気を配りながらドアを押し開いた。
 ドアの向こうに何もなかった。吉田の死体も、腹から引きずり出された腸も、血の跡さえも。
 痕跡といったら、ドアに空いた穴と、床に落ちた包丁だけ。
 新堂が1階に降りると、リビングの窓ガラスは割れたままで、カーテンが風にたなびいていた。
 そして、玄関に目をやると、そこにも包丁を立てた跡がくっきりと残っていた。
 確かに吉田は来たが、12時を過ぎると同時に忽然と姿を消してしまった。


 次の日、新堂はこっぴどく親に叱られた。
 本当のことを言っても信じてもらえないため、友達がきて大騒ぎしたって嘘をついて謝った。
 そして、必死に頼み込んで部屋に鍵をつけてもらった。


 学校にも吉田は来なかった。
 突然家出してしまったそうで、行方不明になった。


 「そういえばお前、さっき吉田は期限に間に合わなかったって言ったよな。ご名答だ。なかなか鋭い勘をしてるじゃねえか。
 お前、俺の話、信じようが信じまいが勝手だけどよ。なんで、お前だけに話をしたのかわかるか?
 ここに集まった残りの連中は、もう高木ババアの話を知っているから、お前に話してんだ。
 どうして、わざわざこんな話をしたのか不思議なのか?悪く思わないでくれ、俺も必死なんだ。
 毎晩、吉田の野郎が俺の夢の中に現れんだよ。手足をちぎられ、内臓をそっくり抜かれた血まみれの吉田がよ。
 そんで、毎週10人に高木ババアの話しろって脅かすんだ。俺がその約束を守り続けなければ、俺のことを殺しにやってくるんだってよ
 俺、死ぬのは怖いからよ。たとえ誰にどう思われようと、俺はこの約束を守らなきゃなんねえ」
 「ヒヒヒ、面白い話でしたね。あの、せっかくですので少し付け加えさせてもらえますか」
 突然そう言って口をはさんだのは、さっき話をしてくれた荒井だった。
 「高木ババアの話は僕も知ってますし、1週間以内に10人以上に話しましたから、話さなかったときに何が起こるかは知りません。
 ただ僕は知っているんですよ。新堂さんが吉田さんに借金があったことを。50万円という多額の借金がね。
 ああ、借金というより恐喝って言うんでしたっけ?吉田さんは返さなければ学校や親にばらすって、ずいぶんと新堂さんに詰めよっていたそうですね。
 そんな吉田さんが、突然行方不明になって学校に来なくなった。偶然って怖いですね、ヒヒヒヒヒ」
 

 新堂エンディング№05:吉田の真実
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02


 2人目は新堂誠を選択。


 新堂誠は、3年D組の生徒。


 お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「ずいぶんと変わった部に憧れていたんたな、お前。何に興味を持つかは人それぞれだからな。
 それより俺みたいな奴が、こんな女子供が喜びそうな集会にいるのは場違いだって感じてんじゃねえか?」
  1. そんなこと思ってません
  2. はい、正直に言うと感じてます
  3. 何に興味を持つかは人それぞれです
 「それが本音なら、お前は肝っ玉が据わった男だな。まあ、たいていのやつら俺を怖がって、そういった上っ面の答えを返すんだ。お前の言葉が本物かどうか、これから試させてもらうぜ。
 それじゃあ、さっそく話を始めるとするか。ところで、この部屋、なんか怪しくねえか?
 霊ってのはよ、人間の気を敏感に察知するっていうからな。それでな、霊は恐怖心を持った奴の周りに集まるっていうじゃねえか。
 怖い話をしているとき、突然背筋にゾクって寒気が走る。あれはま、そいつの背中を霊が撫でてるんだぜ。
 坂上、お前、まさか怖がったりしてねえよな」
  1. 怖いです
  2. 怖くありません
 「そうか、怖いのか。正直でいいことだが、だったら、お前は霊の餌食だよ。霊に精神を食われないように、しっかりと自分を保つんだ。
 噂話って知ってるか?口裂け女とか、人面犬、トイレの花子さんや、メリーさん。そういう噂、お前は馬鹿にしているか?」
  1. している→新堂エンディング№02:高木ババアなんて怖くない
  2. していない→新堂エンディング№01:吉田の執念
  3. 何とも言えない
 
 「信じるのは馬鹿らしい。かといって、心のどこでは信じている自分もいる。そんなあやふやな感じってところか。」



 新堂のクラスメートに吉田達夫という男がいた。
 現実主義というか、アンチ・ロマンチストというのか、どにかく嫌な男だ。
 勉強はできたけど、それだけの男で、いつも気取っていて、殴ってやりたいタイプだった。
 吉田は、どんなに殴られようが絶対に抵抗しないが、きちんとそれを先生に報告していたので、いじめようとしてもいじめられない男だった。
 先生の間では、成績抜群で品行方正、先生には従順でなんでも従い、問題があるとすぐに報告するため、評判が良かった。
 吉田はそんな男だから、誰にも相手にされず、無視されていた。
 ところが吉田は、それを喜んでいるようだった。自分が選ばれた人間にでもなったつもりで、周りを見下しているのは見え見えだった。


 「お前はそんな奴には何かガツンと一発かましてやりたいと思うだろ?」
  1. はい→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. いいえ
「腹が立つ奴がいても、だんまりなのか?
 だとしたら、よほどの優等生か、逆に冷たい人間なんだな」


 そんな時、新堂はちょっとおもしろい話を聞いた。高木っていう名前のババアの話だった。


 「お前、聞いたことあるか、高木ババアの噂を」


  1. 知っている
  2. 知らない

 「知らない、そうか。お前に話してやるぜ。高木ババアの話をよ」


 そのババは、ませたガキが好きそうなフリルのついた真っ赤なロングスカートをはいている。
 足が隠れて地面を引きずるほどのロングスカートのため、高木ババアのスカートの裾はボロボロだった。
 そのババアは腰まである伸ばし放題の髪の毛をいつも垂らしていて、顔を隠している。
 その顔を見た人の話では、すげえ厚化粧をしており、あの顔を見たら、二度と忘れらないとのこと。
 そして、上は白のブラウスを着ているのだが、お姫様が着てるようなヒラヒラのついたかわいらしいブラウスなのだが、ずっと着続けているせいか、元の色がわからないぐらい薄茶色に変色していた。
 ところどころ穴もあいているし、ツギハギだらで、すんげえ臭い。
 そして、ものすごいスピードでピョンピョン飛びながら歩いていた。


「時速100キロで、ピョコピョコ飛び跳ねながら走る厚化粧をした薄汚ねえババア。そんな奴に追いかけられたら、お前どうする?
 お前、笑ったか?今、笑ったんじゃねえのか?」
  1. 笑った→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. 笑っていない
 「引き攣った笑いだったのか?そんな話は嘘だって言いたいんだろう?」
 


 高木ババアが何でピョコピョコ飛び跳ねるのかは、片足がないからだ。
 なんでも、交通事故でトラックのタイヤに足を巻き込まれたらしいんだけど、そのとき家族も一緒にいて、息子夫婦に3人の孫、全員、即死だった。
 死体は原形をとどめておらず、ミンチみたいにグチャグチャになったらしい。
 トラックの運転手は酔っぱらっていたらしく、事故に気づかず、子供をタイヤに挟んだまま、10キロ以上走ったそうだ。
 それで高木ババアは発狂してしまい、その後、家族みんな死んだショックから立ち直れず、自宅の布団で、誰にも看取られずに死んだらしい。
 死後1カ月以上経って発見されたそうで、今現れる高木ババアは幽霊だ。
 幽霊だからこそ、時速100キロで走ることができるのだ。
 高木ババアが臭いのは死後1カ月以上経っているからで、あの服装は事故にあったときの服装とのこと。
 そして、高木ババアは、ある目的があって狙った奴の前に現れ、高木ババアに狙われると絶対に逃げられないため最後らしい。
 高木ババアは、最初は何気なく声をかけてくる。
 「身寄りのない年寄りの思い出話を聞いてくだされ」
 ついうっかり情けをかけて相手をしたら、もう最後だ。いきなり、あの時の事故の話を始めるのだ。
 「私には、人様のうらやむのうな家族がいましての。よくできた息子に、よくできた嫁。目に入れても痛くないほどのかわいい孫が3人。
 そりゃあもう、とても幸せな家族でした。仏様には毎日お礼を言いました。
 でも、ひどいもんです。仏様なんて、いやぁしません。私の家族はみんな死んでしまいました。
 交通事故でした。私を残して家族全員、トラックに轢かれちまったんでごぜえます」
 そんなこと言われたら、聞いているほうは、慰めないわけにはいかない。
 「その分、おばあさんが頑張って生きなきゃ」
 「ありがとうごぜえます。こんなババアに気を遣ってくださって。
 あんた様は、死んでいった家族たちのことがかわいそうだと思いますかのう?」
 「ええ」
 誰だって、反射的にそう答えるだろう。
 すると、高木ババアは、薄汚れたスカートをめくって、こう言う。
 「私しゃあ、そん時の事故で片足をなくしちまいました。私のなくなった片足、不憫だとは思いませんかのう?」
 (さあ、どうだ。お前の心は恐怖心でいっぱいだろう。さあ、おとなしく私に食われてしまうがいいよ)
 まるでそんなことを言っているように、醜く化粧されたシワだらけの顔をこっちに向けてニタニタと笑う。
 もう、走り出すしかない。
 走って走って、心臓が口からこぼれるほど走りまくって逃げる。
 そして、もうだめだ、走れない、と思って、ふらふらの足を休め、全身で息をして、ふっと顔を上げると、高木ババアがニタニタ笑いながら、目の前に立っている。
 「よくできた息子は、腹の上を裂かれて真っ二つ。内臓が飛び出て、どこにいったかわからなくなりましてのう。かわいそうだと思うなら、あんたの内臓をくださいな」
 また逃げる。逃げて、逃げて、逃げまくる。
 足が痙攣して転ぶ。
 後ろからゆっくりと足音が聞こえてきて、真後ろで止まる。
 「よくできた嫁は、両腕を轢き潰されてしにました。かわいそうだと思うなら、あんたの両腕くださいな。
 目に入れても痛くないほどかわいい3人の孫。
 一人は両足を潰されました。
 一人は首を潰されてしにました。
 そして、最後の一人は、タイヤに巻き込まれて体中の皮膚をひっぺがされて真っ赤になって死にました。
 家族はみんな、挽き肉みたいにグジャグジャになって、死んだんでごぜえます。
 かわいそうだと思うでしょう?
 だったら、あんたの体をくださいな」
 そして、首を絞め上げられ、ジ・エンド。
 死んだあと、死体は見つからない。全身は死んでいった家族に分け与えられるから。


 「この話を聞いた奴はよ、1週間以内に必ず高木ババアに会うっていうぜ。
 俺は、お前に話したんだからな。ここに集まっている残りの5人は関係ねえぜ。
 お前、笑っているのか?それとも、震えているのかよ。
 そう心配すんなよ。実は助かる方法もあるんだぜ」


 「助かる方法を知りたいか?」
  • 知りたい
  • 別に知りたくない
 「高木ババアに会わないですむ方法、それはな・・・
 1週間以内に誰でもいいから10人以上に高木ババアの話をするんだ。
 それも高木ババアの話を知らない奴にだぞ。知っている奴に話しても、だめだからな。
 それを守れなかったら、お前は死ぬぜ。
 それでな、吉田にもこの話をしてやったんだよ」


 「なあ、吉田、ちょっとおもしろい話があるんだけど、聞いてくれねえか?」
 吉田は気のない素振りで聞いていたが、話が進むにつれ、新堂の話に耳を傾けるのがわかった。
 新堂が話し終えると、吉田は馬鹿にしたようにせせら笑った。
 「君って子供。もし信じてたら、かわいそうだなあ」
 「お前が信じるも信じないのも勝手だけでよお。高木ババアを見たからって、俺のせいにするんじゃねえぞ」
 吉田は吹き出した。
 「ぷぷっ!もし本当に会えたら、すぐに君に知らせてあげるからさ。
 じゃあね、僕、君と違って塾があるから」
 そういって吉田は荷物を片付けると帰ってしまった。


 「悪いが俺はよ、こういう噂は信じてるもんでな。
 俺が高木ババアに話を聞いたときは、急いで10人に話だぜ。
 それで、吉田はどうなったと思う?俺の話を信じて、ちゃんと10人に話したと思うか?」
  • 話をした
  • 期限が間に合わなかった
  • 話さなかった
 「お前の勘が当たってるかどうかは、まあ続きを聞いてくれよ」


 次の日、吉田は別に何気なくふるまっており、別に誰かに話をする風もなかった。
 日曜日には新堂は、吉田があせっていると思って電話した。
 「君、馬鹿じゃないの?悪いけど、僕は高木なんてババアの話は忘れてたよ。君、頭が変なんじゃないの?一度、病院行ったら?
 あのさ、君が何を思おうが僕には関係ないけどね、大切な僕の休養日に邪魔だけはしないでくれる?」
 言うだけ言って、吉田は一方的に電話を切った。
 新堂は、吉田の慌てるところを見てみたかったが、吉田が死ぬかどうか見極めることにした。


 そして、いよいよ明日で約束の1週間が終わるという日になった。
 いつも他人を見下した態度をとっている吉田が、その日に限って妙にしおらしい。
 愛想笑いなんか浮かべて、すれ違う奴らにペコペコあいさつしている。
 今までが今までだから、誰も吉田なんか相手にしない。
 吉田は、何か話したそうにしているが、誰も聞かない。
 吉田が、高木ババアの話を気にしており、誰かに話したくて仕方ないのに、誰も聞いてくれないのが、新堂にとっておかしくてしかたがなかった。
 吉田は頭を下げながら何人かに話し始めるが、すぐに逃げられてしまう。
 新堂のクラスメートは、もうみんな高木バアアの話を知っているのだ。
 新堂がニヤニヤしながら吉田を見ていると、それに気づいた吉田が、今にも泣きそうな顔で新堂の側に駆け寄ってきた。
 「なあ、新堂君」
 吉田は、泣き出しそうな声を出し、新堂の手を握り締めてきた。
 「あの話は冗談だよね?」
 「何の話だよ、お前、俺と口聞きたくなかったんじゃなかったっけ?俺、お前の大事な時間を邪魔しちゃ悪いからよぉ」
 突然、吉田は土下座して新堂に謝った。
 「ごめんよ。僕が悪かったよ。だから許しておくれよ。
 僕のこと助けて!!」
 新堂は、これ以上しらばっくれるのもかわいそうになり、土下座する吉田を助け起こした。
 「そんな高木ババアが怖いんだったら、話せばいいじゃねえか」
 それを聞いた吉田は大声で泣き始めた。
 「うわあああん!!みんな知ってるんだもの。みんな高木ババアの話を知ってるんだよ!
 まだ3人しか話せてないんだよ。お願いだよ!死ぬのはいやだよ!」
 「3人って誰に話したんだよ?」
 「お父さんとお母さん、それから親戚のおばさん。
 学校のみんなも、塾のみんなも、誰も聞いてくれないんだ。聞いてくれそうになった連中も、みんな知ってるんだよ。高木ババアの話をさ」
 「先公は?お前、ずいぶんと気に入られてたじゃねえか」
 「馬鹿にして、僕の話をまじめに聞いてくれない。
 それでも無理に話そうとすると、怒鳴るんだよ。お前はいつから、そんな馬鹿な事を言う生徒になったんだって、まじめに心配そうな顔をするのさ。
 もう、だめだ。もう、僕は死んでしまう。お願いだ。助けてくれよ」
 「あんなの冗談さ。高木ババアなんているわけねえだろう」
 新堂は、吉田がかわいそうに見えたので、心にもないことを言ってしまった。
 「本当に、あれは嘘だったんだね!」
 「ああ、冗談だよ、気にすんな」
 「ありがとう!その一言で僕は救われるよ。本当にありがとう」
 吉田は、落ち着いて帰っていった。
 しかし、新堂は、吉田が早めに10人に話しておけばこんなことにならなかったんだ、と思っていた。


 そして約束の1週間目がやってきたが、吉田は学校に来なかった。
 恐ろしくなった新堂は、話をした責任を感じ始めた。
 そして、放課後、新堂は吉田の家に電話したら、吉田は家にいた。
 「なんだ君か。どうしたの?」
 「お前、今日学校休んだじゃねえか。何かあったのかと思ってよ」
 「あっははは、何言ってんの、君?あれは冗談だんだろう?いやあ、僕としたことがちょっと取り乱しちゃったよ。君みたいな下等な人間に騙されるところだった。
 今日は、ちょっと疲れたから休んだだけさ。別に君に心配してもらう必要はない。
 あ、そうそう、前にもう僕の家に電話しないでくれって言ったよね?もう電話、しないでくれる?
 それから、君がした高木ババアに話、明日になったら先生に報告しておくつもりだから、覚悟しておくんだね。
 君のような奴を愉快犯っていうん・・・」
 そこまで聞いた新堂は、受話器を叩きつけた。
 腹が立った新堂は、そこら辺のものに当たり散らしたが、怒りは収まらない。
 仕方がないので、新堂は寝ることにした。


 電話のベルの音で、新堂は目覚めた。
 受話器を取ると、金切り声が聞こえてきた。
 「助けてくれよ、新堂君!!」
 電話の主は吉田だった。
 「ウソツキ、どうして嘘なんかつくんだよ。新堂君の責任だよ。僕が死んだら、新堂君の責任なんだ。どうしてくれるんだよ!
 高木ババアが出てきちゃったじゃないか!高木ババアが、あと6時間でお前を殺すっていうんだよ!殺されるよ!」
 「馬鹿言ってんじゃねえよ。俺はお前の時間を邪魔するつもりはないからよ」
 「お前の責任だ!あと6時間のうちに7人に話さないと俺は殺されるんだぞ!」
 「うるせえ!」
 そう言って新堂は、受話器を置いた。
 新堂が時計を見ると6時を回っていた。
 ちょうどその日、新堂の両親は法事で田舎に言っており、明日の朝まで家には、新堂一人きりだった。
 新堂は、念入りに戸締りをし、作り置きの夕食を食べた。
 8時を回ったころ、また吉田から電話があった。
 「見つからないよ!まだあと5人にも話なさきゃならないんだ!」
 「いい加減にしろ!」
 「いるんだよ!高木ババアが僕のことを見ているんだよ!どこに行っても追いかけてくるんだ」
 「死んじまえよ、クソ野郎!」
 新堂は、電話が壊れるかと思うほど、受話器を乱暴に叩きつけた。
 嘘をついているとは思えない雰囲気の吉田から恐怖を感じた新堂は、テレビのボリュームをいっぱいに上げた。
 何かほかのことを考えようとしても、吉田のことが浮かんで消えない新堂は、風呂に入ることにした。
 風呂に入っているときに、また電話のベルが鳴ったが、新堂は怖くて電話に出れなかった。
 ベルは20回ほどなってようやく切れたが、すぐにまたかかってきた。
 新堂は風呂を飛び出し、受話器をとってすぐに切った。
 それでも電話がかかってくるので、新堂は電話線を外した。
 そして、新堂はリビングのソファの上で足を抱えて、時計を見つめ、12時になるのをじっと待った。


 12時まであと5分ほどになったとき、「新堂」という声をともに、家のドアをぶち壊すような勢いでたたく音が聞こえた、
 吉田が、家にやって来たのだ。
 「新堂、もう時間がないんだ。俺は死ぬ!だから、お前も死ね!死んで責任をとりやがれ!」
 新堂は、急いで玄関に行き、中からドアを押さえつけた。
 「俺はなあ、道行く奴を呼び止めてまで、無理やり話を聞かせたんだよ!まるで狂人扱いさ!
 殴られもしなけどよぉ、話したよ!後ろには高木ババアがいるからよお!
 でも足りないんだよ!あと一人!もう時間がない。だから、お前を殺すんだ!」
 突然、ドアが激しく揺れて隙間に刃物の切っ先が垣間見えた。
 そして、吉田は諦めたのか、すぐに物音はしなくなった。
 その時、鼓膜が破れるようなものすごい音が鳴り響いた。リビンクからだった。
 新堂が目を向けると、リビングの一面を壁を覆っていた窓ガラスが粉々に砕け散っていた。
 「新堂!!」
 絨毯にまき散らされたガラスの破片の上に、土足の吉田が仁王立ちになっていた。手には包丁を持ち、体中から血を滴らせながら。
 顔は青く腫れあがって歪んでいた。無理やり見知らぬ通行人に高木ババアの話をしようとして殴られたのだろう。
 新堂は、吉田に殺される、と覚悟を決めた。
 その時、いきなり吉田が包丁を振り回しながら、見えない何かを必死に追い払うように、暴れ出した。
 吉田には高木ババアが見えているのだ。
 「やめろよ!もう少し時間をくれよ!こいつを殺してからにしてくれよ!ぎゃあ!!!」
 突然、吉田の腹が真一文字にパックリと割れた。
 吉田は苦しそうに目を細めると、ぱくぱくと口を開いた。
 「うわああ!」
 新堂は叫んで、階段を上がり、自分の部屋に逃げ込もうとした。
 「逃げるな」
 吉田は、新堂を追いかけてきた。
 足が震えてうまく階段を上がれず、つんのめった新堂の足首を、吉田の血まみれの手が掴んだ。
 新堂が慌てて振り返ると、吉田は新堂の足首を握りしめたまま、嬉しそうに包丁を振り上げていた。
 吉田の腹からは、腸がベロンとはみ出ており、ほかほかと湯気を立てていた。
 吉田は新堂めがけて包丁を振り下ろしたが、必死だった新堂は渾身の力を込めて足をけり出すと、見事吉田の腹に命中した。
 吉田はそのままもんどり打って、階段を真っ逆さまに転げ落ちて行った。
 腸が階段にぺちゃりと張り付いていたが、吉田は動いていた。
 「し・・・ん・・・どう・・・」
 ものすごい目で新堂を睨みつけるが、新堂は四つん這いになって這いずりながら階段を上がり、なんとか自分の部屋に逃げ込んだ。
 ドアの向こうから、ズルズルビチャビチャ階段を何かが這い上がってくる音が聞こえてくる。
 新堂は、鍵のないドアのノブに手をかけ、ドアが開かないように必死に体を踏ん張らせた。
 「新堂、開けろ。お前を殺してやんだからよぉ」
 そして、がりがりとドアを爪で引っかく音が聞こえる。
 「開けろ」
 突然、ドアを破って包丁を握った手を突き出てきた。
 包丁は、新堂の左腕の肉をそいだ。
 「新堂、見ぃつけた」
 その時、ドアに空いた穴から、汚れた白いブラウスを着た手が伸びてきた。
 高木ババアの手が、吉田の手を掴んだ。
 「やめてくれよ。もう少しであいつをのこと殺せるんだよ、うぎゃああ!」
 ドアの向こう側から吉田の悲鳴が聞こえてくるのと、穴に手が引きずり込まれるのはほとんど同時だった。
 そのあと一切の物音は聞こえなくなり、床には包丁だけが落ちていた。
 新堂が時計を見ると、針は12時を指していた。
 10分ほどして、新堂は慎重にゆっくりとあたりに気を配りながらドアを押し開いた。
 ドアの向こうに何もなかった。吉田の死体も、腹から引きずり出された腸も、血の跡さえも。
 痕跡といったら、ドアに空いた穴と、床に落ちた包丁だけ。
 新堂が1階に降りると、リビングの窓ガラスは割れたままで、カーテンが風にたなびいていた。
 そして、玄関に目をやると、そこにも包丁を立てた跡がくっきりと残っていた。
 確かに吉田は来たが、12時を過ぎると同時に忽然と姿を消してしまった。


 次の日、新堂はこっぴどく親に叱られた。
 本当のことを言っても信じてもらえないため、友達がきて大騒ぎしたって嘘をついて謝った。
 そして、必死に頼み込んで部屋に鍵をつけてもらった。


 学校にも吉田は来なかった。
 突然家出してしまったそうで、行方不明になった。


 「ここに集まった残りの連中は、もう高木ババアの話を知っているから、お前に話してんだ。
 どうして、わざわざこんな話をしたのか不思議なのか?悪く思わないでくれ、俺も必死なんだ。
 毎晩、吉田の野郎が俺の夢の中に現れんだよ。手足をちぎられ、内臓をそっくり抜かれた血まみれの吉田がよ。
 そんで、毎週10人に高木ババアの話しろって脅かすんだ。俺がその約束を守り続けなければ、俺のことを殺しにやってくるんだってよ
 俺、死ぬのは怖いからよ。たとえ誰にどう思われようと、俺はこの約束を守らなきゃなんねえ」
 

 新堂エンディング№04:高木ババア
 CGギャラリー 18/124

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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02


 2人目は新堂誠を選択。


 新堂誠は、3年D組の生徒。


 お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「ずいぶんと変わった部に憧れていたんたな、お前。何に興味を持つかは人それぞれだからな。
 それより俺みたいな奴が、こんな女子供が喜びそうな集会にいるのは場違いだって感じてんじゃねえか?」
  1. そんなこと思ってません
  2. はい、正直に言うと感じてます
  3. 何に興味を持つかは人それぞれです
 「それが本音なら、お前は肝っ玉が据わった男だな。まあ、たいていのやつら俺を怖がって、そういった上っ面の答えを返すんだ。お前の言葉が本物かどうか、これから試させてもらうぜ。
 それじゃあ、さっそく話を始めるとするか。ところで、この部屋、なんか怪しくねえか?
 霊ってのはよ、人間の気を敏感に察知するっていうからな。それでな、霊は恐怖心を持った奴の周りに集まるっていうじゃねえか。
 怖い話をしているとき、突然背筋にゾクって寒気が走る。あれはま、そいつの背中を霊が撫でてるんだぜ。
 坂上、お前、まさか怖がったりしてねえよな」
  1. 怖いです
  2. 怖くありません
 「そうか、怖いのか。正直でいいことだが、だったら、お前は霊の餌食だよ。霊に精神を食われないように、しっかりと自分を保つんだ。
 噂話って知ってるか?口裂け女とか、人面犬、トイレの花子さんや、メリーさん。そういう噂、お前は馬鹿にしているか?」
  1. している
  2. していない→新堂エンディング№01:吉田の執念
  3. 何とも言えない
 
 「そうかい。そんなの子供だましだよって鼻で笑ってんだな、お前は。だとしたら、不幸だな」



 新堂のクラスメートに吉田達夫という男がいた。
 現実主義というか、アンチ・ロマンチストというのか、どにかく嫌な男だ。
 勉強はできたけど、それだけの男で、いつも気取っていて、殴ってやりたいタイプだった。
 吉田は、どんなに殴られようが絶対に抵抗しないが、きちんとそれを先生に報告していたので、いじめようとしてもいじめられない男だった。
 先生の間では、成績抜群で品行方正、先生には従順でなんでも従い、問題があるとすぐに報告するため、評判が良かった。
 吉田はそんな男だから、誰にも相手にされず、無視されていた。
 ところが吉田は、それを喜んでいるようだった。自分が選ばれた人間にでもなったつもりで、周りを見下しているのは見え見えだった。


 「お前はそんな奴には何かガツンと一発かましてやりたいと思うだろ?」
  1. はい→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. いいえ
「腹が立つ奴がいても、だんまりなのか?
 だとしたら、よほどの優等生か、逆に冷たい人間なんだな」


 そんな時、新堂はちょっとおもしろい話を聞いた。高木っていう名前のババアの話だった。
 そのババは、ませたガキが好きそうなフリルのついた真っ赤なロングスカートをはいている。
 足が隠れて地面を引きずるほどのロングスカートのため、高木ババアのスカートの裾はボロボロだった。
 そのババアは腰まである伸ばし放題の髪の毛をいつも垂らしていて、顔を隠している。
 その顔を見た人の話では、すげえ厚化粧をしており、あの顔を見たら、二度と忘れらないとのこと。
 そして、上は白のブラウスを着ているのだが、お姫様が着てるようなヒラヒラのついたかわいらしいブラウスなのだが、ずっと着続けているせいか、元の色がわからないぐらい薄茶色に変色していた。
 ところどころ穴もあいているし、ツギハギだらで、すんげえ臭い。
 そして、ものすごいスピードでピョンピョン飛びながら歩いていた。


「時速100キロで、ピョコピョコ飛び跳ねながら走る厚化粧をした薄汚ねえババア。そんな奴に追いかけられたら、お前どうする?
 お前、笑ったか?今、笑ったんじゃねえのか?」
  1. 笑った→新堂エンディング№01:吉田の執念
  2. 笑っていない
 「引き攣った笑いだったのか?そんな話は嘘だって言いたいんだろう?」
 


 高木ババアが何でピョコピョコ飛び跳ねるのかは、片足がないからだ。
 なんでも、交通事故でトラックのタイヤに足を巻き込まれたらしいんだけど、そのとき家族も一緒にいて、息子夫婦に3人の孫、全員、即死だった。
 死体は原形をとどめておらず、ミンチみたいにグチャグチャになったらしい。
 トラックの運転手は酔っぱらっていたらしく、事故に気づかず、子供をタイヤに挟んだまま、10キロ以上走ったそうだ。
 それで高木ババアは発狂してしまい、その後、家族みんな死んだショックから立ち直れず、自宅の布団で、誰にも看取られずに死んだらしい。
 死後1カ月以上経って発見されたそうで、今現れる高木ババアは幽霊だ。
 幽霊だからこそ、時速100キロで走ることができるのだ。
 高木ババアが臭いのは死後1カ月以上経っているからで、あの服装は事故にあったときの服装とのこと。
 そして、高木ババアは、ある目的があって狙った奴の前に現れ、高木ババアに狙われると絶対に逃げられないため最後らしい。
 高木ババアは、最初は何気なく声をかけてくる。
 「身寄りのない年寄りの思い出話を聞いてくだされ」
 ついうっかり情けをかけて相手をしたら、もう最後だ。いきなり、あの時の事故の話を始めるのだ。
 「私には、人様のうらやむのうな家族がいましての。よくできた息子に、よくできた嫁。目に入れても痛くないほどのかわいい孫が3人。
 そりゃあもう、とても幸せな家族でした。仏様には毎日お礼を言いました。
 でも、ひどいもんです。仏様なんて、いやぁしません。私の家族はみんな死んでしまいました。
 交通事故でした。私を残して家族全員、トラックに轢かれちまったんでごぜえます」
 そんなこと言われたら、聞いているほうは、慰めないわけにはいかない。
 「その分、おばあさんが頑張って生きなきゃ」
 「ありがとうごぜえます。こんなババアに気を遣ってくださって。
 あんた様は、死んでいった家族たちのことがかわいそうだと思いますかのう?」
 「ええ」
 誰だって、反射的にそう答えるだろう。
 すると、高木ババアは、薄汚れたスカートをめくって、こう言う。
 「私しゃあ、そん時の事故で片足をなくしちまいました。私のなくなった片足、不憫だとは思いませんかのう?」
 (さあ、どうだ。お前の心は恐怖心でいっぱいだろう。さあ、おとなしく私に食われてしまうがいいよ)
 まるでそんなことを言っているように、醜く化粧されたシワだらけの顔をこっちに向けてニタニタと笑う。
 もう、走り出すしかない。
 走って走って、心臓が口からこぼれるほど走りまくって逃げる。
 そして、もうだめだ、走れない、と思って、ふらふらの足を休め、全身で息をして、ふっと顔を上げると、高木ババアがニタニタ笑いながら、目の前に立っている。
 「よくできた息子は、腹の上を裂かれて真っ二つ。内臓が飛び出て、どこにいったかわからなくなりましてのう。かわいそうだと思うなら、あんたの内臓をくださいな」
 また逃げる。逃げて、逃げて、逃げまくる。
 足が痙攣して転ぶ。
 後ろからゆっくりと足音が聞こえてきて、真後ろで止まる。
 「よくできた嫁は、両腕を轢き潰されてしにました。かわいそうだと思うなら、あんたの両腕くださいな。
 目に入れても痛くないほどかわいい3人の孫。
 一人は両足を潰されました。
 一人は首を潰されてしにました。
 そして、最後の一人は、タイヤに巻き込まれて体中の皮膚をひっぺがされて真っ赤になって死にました。
 家族はみんな、挽き肉みたいにグジャグジャになって、死んだんでごぜえます。
 かわいそうだと思うでしょう?
 だったら、あんたの体をくださいな」
 そして、首を絞め上げられ、ジ・エンド。
 死んだあと、死体は見つからない。全身は死んでいった家族に分け与えられるから。


 「この話を聞いた奴はよ、1週間以内に必ず高木ババアに会うっていうぜ。
 俺は、お前に話したんだからな。ここに集まっている残りの5人は関係ねえぜ。
 お前、笑っているのか?それとも、震えているのかよ。
 そう心配すんなよ。実は助かる方法もあるんだぜ」


 「助かる方法を知りたいか?」
  • 知りたい
  • 別に知りたくない
 「高木ババアに会わないですむ方法、それはな・・・
 1週間以内に誰でもいいから5人以上の右足を集めるんだ。お前が高木ババアの代わりをやればいいんだよ」
 (高木ババアは、本当にいるのか?)
  • いるわけない
  • きっといる
 (いるわけないさ。
 新堂さんは、僕を驚かそうとしてこんな作り話をしているんだ。)

 新堂エンディング№02:高木ババアなんて怖くない
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択→シナリオ:偽りの愛→岩下エンディング№01・02


 2人目は新堂誠を選択。


 新堂誠は、3年D組の生徒。


 お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
  1. なんとなく入りました
  2. 前から憧れてました
  3. 何かお勧めのクラブは?
 「ずいぶんと変わった部に憧れていたんたな、お前。何に興味を持つかは人それぞれだからな。
 それより俺みたいな奴が、こんな女子供が喜びそうな集会にいるのは場違いだって感じてんじゃねえか?」
  1. そんなこと思ってません
  2. はい、正直に言うと感じてます
  3. 何に興味を持つかは人それぞれです
 「それが本音なら、お前は肝っ玉が据わった男だな。まあ、たいていのやつら俺を怖がって、そういった上っ面の答えを返すんだ。お前の言葉が本物かどうか、これから試させてもらうぜ。
 それじゃあ、さっそく話を始めるとするか。ところで、この部屋、なんか怪しくねえか?
 霊ってのはよ、人間の気を敏感に察知するっていうからな。それでな、霊は恐怖心を持った奴の周りに集まるっていうじゃねえか。
 怖い話をしているとき、突然背筋にゾクって寒気が走る。あれはま、そいつの背中を霊が撫でてるんだぜ。
 坂上、お前、まさか怖がったりしてねえよな」
  1. 怖いです
  2. 怖くありません
 「そうか、怖いのか。正直でいいことだが、だったら、お前は霊の餌食だよ。霊に精神を食われないように、しっかりと自分を保つんだ。
 噂話って知ってるか?口裂け女とか、人面犬、トイレの花子さんや、メリーさん。そういう噂、お前は馬鹿にしているか?」
  1. している
  2. していない
  3. 何とも言えない
 
 「そうか、お前は信じるのか。どうやら、お前の言葉は信じて良さそうだな」



 新堂のクラスメートに吉田達夫という男がいた。
 現実主義というか、アンチ・ロマンチストというのか、どにかく嫌な男だ。
 勉強はできたけど、それだけの男で、いつも気取っていて、殴ってやりたいタイプだった。
 吉田は、どんなに殴られようが絶対に抵抗しないが、きちんとそれを先生に報告していたので、いじめようとしてもいじめられない男だった。
 先生の間では、成績抜群で品行方正、先生には従順でなんでも従い、問題があるとすぐに報告するため、評判が良かった。
 吉田はそんな男だから、誰にも相手にされず、無視されていた。
 ところが吉田は、それを喜んでいるようだった。自分が選ばれた人間にでもなったつもりで、周りを見下しているのは見え見えだった。


 「お前はそんな奴には何かガツンと一発かましてやりたいと思うだろ?」
  1. はい
  2. いいえ
「そう思うのが当然だ」


 そんな時、新堂はちょっとおもしろい話を聞いた。高木っていう名前のババアの話だった。
 そのババは、ませたガキが好きそうなフリルのついた真っ赤なロングスカートをはいている。
 足が隠れて地面を引きずるほどのロングスカートのため、高木ババアのスカートの裾はボロボロだった。
 そのババアは腰まである伸ばし放題の髪の毛をいつも垂らしていて、顔を隠している。
 その顔を見た人の話では、すげえ厚化粧をしており、あの顔を見たら、二度と忘れらないとのこと。
 そして、上は白のブラウスを着ているのだが、お姫様が着てるようなヒラヒラのついたかわいらしいブラウスなのだが、ずっと着続けているせいか、元の色がわからないぐらい薄茶色に変色していた。
 ところどころ穴もあいているし、ツギハギだらで、すんげえ臭い。
 そして、ものすごいスピードでピョンピョン飛びながら歩いていた。


「時速100キロで、ピョコピョコ飛び跳ねながら走る厚化粧をした薄汚ねえババア。そんな奴に追いかけられたら、お前どうする?
 お前、笑ったか?今、笑ったんじゃねえのか?」
  1. 笑った
  2. 笑っていない
 「お前さっき、馬鹿げた噂話も信じているって言ったよな?あれは俺に話をさせるための演技だったのか。
 お前も吉田と同類だ。
 さっきの話、覚えているか?この部屋には、無数の霊が集まっているって話をだよ。
 吉田もいるぜ。そう、吉田はすでにこの世の人間じゃないからな。
 さあ、目を凝らしてみろよ。見えんだろ?大きく見開いた目玉をぎらつかせている、血まみれになった吉田の顔がよ。
 どうだ?見えたか?
 この集会が終わった後、吉田はお前に憑いていくみたいだぜ。
 お前が鳴神学園の七不思議に加わる日も、そう遅くなさそうだ」


 新堂エンディング№01:吉田の執念
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 今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?


 1週目クリア
 1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
 2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
 3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
 4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
 5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
 6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
 7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03


 2週目プレイ開始!
 1人目は岩下明美を選択
 岩下明美は3年A組の生徒。


 「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
  1. あります
  2. ありません
  3. 答えたくないです
 「別にいいわ、何と答えようと、あなたの自由ですものね」
  1. あります
  2. ありません→シナリオ:命の値段
  3. 答えたくないです
 「あなたは人を裏切ったことがあるのね。
 あなたは人に裏切られ、同時にまた人を裏切っている。正直な人ね。でも、それが普通の人間だと思うわ。
 人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。
 人間ってね、とても勝手な生き物だわ。裏切ることは簡単にやってのけるのに、裏切られることはとっても嫌いなのよ。
 そして、裏切った事実は記憶の奥に消し去るくせに、裏切られた記憶はいつでも引き出せるよう引き出しの一番前にしまっておく。
 きちんと、人を裏切ったことを認められる人間だもの、あなた、偉いわ。好きになってしまいそうよ、あなたのこと。
 人によっては、裏切られることが美徳だと考える人もいるわね。私は、そういう人を偽善者って呼ぶことにしているわ。
 だって、人に裏切られた喜んだり、すぐに許せてしまうような人間を、あなたは信じられる?そんな奴こそ、私は許せない。
 私はね、裏切られることが大嫌い。もし私を裏切る奴がうようものなら、殺してやる。人を裏切るんだったら、死ぬ覚悟で臨まなくちゃね。
 私ね、今までに人に裏切られたことないの。私はね、人に裏切られるくらいなら、先に裏切ってあげるの。だってそうでしょう?自分が嫌な思いをするのよ。だから、自分が嫌な思いをする前に、相手に嫌な思いをさせることにしているのよ。
 相手が起こそうとしている間違いを、起こす前に教えてあげることは、とても正しい行為ね。
 だから、私は相手を裏切ろうが傷つけようが心が痛んだこともないのよ。私は正しいことをしているんですもの。
 あなた、汗をかいてるわ。私が拭いてあげましょう。逃げなくてもいいのよ。
 親切で、言ってるの。あなたが私の親切を無碍にするということは、立派な裏切り行為よ。
 私ね、生まれたからには、死ぬまで幸せで満足のいく人生を送りたいとおもっているの。
 いいえ、思っているだけじゃなくて、私は実行するわ。私の幸せな人生を邪魔する奴だから、当然の報いとして死んでもらうの。
 私の親切を無駄にしないでね。
 そう、いい子ね。あなたの汗が一滴残らずなくなるまで、拭いてあげる。だから、おとなしくしていなさいね。
 ほら、きれいになった。
 いいこと、せっかく私が汗を拭いてあげたんだから、もう汗を流さないでね。あなたが汗を流すとね、私の親切が無駄になってしまうの。
 せめて、私の話が終わるまでは汗なんか流さないで。あなたが私を裏切らないのなら、これから先あなたのこと、目をかけてあげてもいいわ。
 だから、私を裏切らないで。これから私が話すのは、人を裏切ることなんかなんとも思っていない人間の話
 そういえば、あなたは、人と付き合ったことある?
 今あなたが付き合っているのなら、それとも、もしこれから誰かと付き合おうというのなら、いつか必ず別れというもおが訪れるでしょうね。その時、あなたから別れてあげるのよ。
 ようは、あたが苦しまなければいいんですものね。愛すれば愛するほど、別れは辛くなるものよ。
 私に興味ある?もちろん人を好きになったことも、お付き合いしたこともあるわよ。でも、私は人に裏切られたことが一度もないから。
 相手が私の事を心から相手していることがわかったら、別れてあげるわ。私が泣くのは嫌ですもの。
 だって、恋愛なんて必ずどちらかが傷つくのよ。私の場合、たまたま相手が傷ついているだけですもの。別れるのが嫌ならが、最初から付き合わなければいいんですもの。
 相手を愛する気持ちが、強ければ強いほど、別れは悲惨になるものだから。でも、そういうのって、第三者として見ているのはおもしろいわね。
 だから、私も近くに仲のいいカップルがいると、ついつい注目してしまうわ」


 岩下のクラスの仲のいいカップルがいた。
 名前を佐藤直之と本田佐知子といった。


 「ねぇ、愛し合う二人に終止符が打たれる場合、あなたはどんな理由が多いと思うかしら?」
  1. 二人の誤解
  2. 性格の食い違い
  3. 気持ちが冷めたとき
 シナリオ:偽りの愛


 「もちろん、そういうこともあるでしょうね。
 でも、一番多いのはそうじゃないわ。どちらかの気持ちが冷めるときよ。
 人間の感情ほど当てにならないものはないから、うふふ。そんなものを頼りに恋愛は始めるでしょう?
 だから、愛情なんて簡単に冷めるわ。くだらないきっかけで燃え上がった愛情は、くだらないきっかけで冷めるものよ。
 そのきっかけで一番多いものはね、心変わりというやつよ。
 目の前に食べたこともない、おいしそうな食べ物があったら、あなたはどうする?とりあえず、食べてみるんじゃないかしら?
 それで、食べたあとはその人次第ね。今まで食べていたものの方がおいしいと思う人いれば、新しい食べ物に心を奪われてしまう人もいる。
 でもね、一番多いのは両方とも食べ続けたいと思う人ね。恋愛もそれと一緒よ。ただ、食べるものに感情という厄介なものがあるというだけの違いね」


 岩下、佐藤、本田の3人は1年生の時、同じクラスで、その頃から、佐藤と本田は意識し合っていた。
 1年生の3学期が始まったとき、新しいクラス委員を決めるのだが、本田が図書委員に決まった。
 すると図書委員は各クラスに2名いるのだが、本田が2人目の図書委員に立候補した。
 佐藤も本田も目立たない平凡な高校生だった。そんな本田が、図書委員に立候補するということは、一大決心だったに違いない。
 それから、二人の仲は急速に進展していき、みんなも気づき始めて噂するようになった。
 まわりが噂するようになってから、帰宅部の二人は一緒に登下校するようになった。
 二人は人気者というわけじゃなかったが、みんなから嫌われているわけでもなかったので、誰もがごく普通に温かく見守り、放っておいたから、二人の仲は進展した。
 佐藤と本田は、別に誰もがうらやむようなカップルというわけでなく、ごく普通の仲の良いカップルだった。
 誰もがうらやむようなカップルとは、外見も経歴も非の打ち所のないようなカップルのことだ。


 2年生になり、岩下、佐藤、本田はまた同じクラスになった。
 ある日、佐藤の前に、及川由紀が現れた。
 及川は人のものを欲しがる人間だった。幸い人のものは取ろうとしなかったけれど、いつもみんなのものを物欲しそうな顔で見ている卑しい人だった。しかも、その人が大事そうに使っていたり、大事そうにしているものを欲しがる。
 本田はポーカーフェイスができない人だったので、佐藤と付き合っている時も幸せそうにしていた。
 及川は、本田が幸せそうに付き合う佐藤を欲しくてたまらなくなってしまった。
 及川は、派手な顔立ちをしており、男の扱いにも手慣れていた。ボーイフレンドは何人もいたけど、特定の彼氏はいなかった。
 一つの食べ物じゃ満足できない典型的なタイプで、おいしいものをたくさんわまりに置いといて、食べたいものを食べたいときに食べるタイプだった。


 ひと月も経たないうちに、及川は誰が見たってはっきりとわかるほど、あからさまに行動を始めた。
 岩下は噂話に聞いてきただけだで見たわけじゃなかったが、及川は佐藤と本田のデートにまで割り込んでいたみたいだ。二人ともあまり隠し事とかうまいほうじゃなかったから、及川の前でデートの約束でもしたのだろう。
 そして、佐藤と本田は、今までのような楽しい顔をあまり見せなくなった。
 別の女のに言い寄られてもはっきりとしない彼、ほかの女が言い寄ってきているのに何も言わない彼女。表面的には言葉にしないけれど、二人は本当に自分が愛されているのか、不安になったのだろう。
 本田は、もともと明るい子ではなかったが、このころから一層暗くなった。
 佐藤は、本田にあまり近づかないようになり、及川といることのほうが多くなった。
 そして、本田も二人に近づかなくなった。
 それでも佐藤は、本田のことに未練があったのか、及川がいないときだけ、本田に申し訳なさそうに近寄って行った。


 そんなある日、及川は、「本田さんのことが嫌いなんだったらはっきり言ってよ!あたし、こんなに佐藤くんのこと、好きなのに!」とみんなの前でそんなことを言って泣き出した。もちろんウソ泣きだろうけど。
 そして、及川は本田のところに行き、「本田さん、あたしたち友達でしょ?佐藤くんのことはっきりしてよ。これじゃ、佐藤くんがかわいそう」と言った。
 本田は何も答えず、佐藤も本田に声は掛けなかった。
 二人の付き合った半年間は恋愛ごっこだった。
 少なくとも佐藤にとっては、本当に相手のこと好きだったのではなく、人を好きになれるのであれば誰でもよかったのだろう。
 だって、最初に行動を示したのは本田だったし、佐藤はその誘いに乗っただけ。
 きっと佐藤は、自分をリードしてくれる人ならば誰でもよく、自分をリードしてくれる人がより魅力的な人であれば、すぐに鞍替えする男だった。


 それから1週間も経たないうちに佐藤は行動を起こした。
 皆の前で佐藤は本田に向かってきっぱりと「悪いけど、俺はもう君とは付き合えないから」と言ったのだ。
 及川がそうしろって詰め寄ったのだろうが、今までの佐藤なら絶対にできなかったはずだ。
 でも、簡単にやってのけたということは、佐藤は付き合う相手によって人間が変わるタイプだったのだ。
 結局、本田は何も言えなかった。
 それから、佐藤は本田のことなんか見向きもしなくなり、本田も佐藤には一切近づかなくなった。


 及川が佐藤とべたついていたのも3日くらいだった。
 傷ついたプライドも元に戻ったし、それまで放っておいた男友達を遊ぶ方がよっぽど楽しいことを思い出した及川は、付きまとう佐藤が疎ましくなり、手のひらを返したように冷たくなった。
 及川にとっては、佐藤はあんまりおいしい食べ物じゃなかったのだ。見た目はすこぶるおいしそうに見えたのに、味見してみたら、どこにでもある味だった。
 そして、佐藤は完全に捨てられらた。


 佐藤が及川に捨てられてすぐのこと、本田がまた佐藤に接近し始めた。
 本田は佐藤のことが真剣に好きだったので、及川に弄ばれた佐藤がかわいそうに思え、そんなときこそ自分がついていてあげなければならないという使命感でも芽生えたのだろう。
 そして、佐藤はまた本田と付き合い始めた。
 しかし、一度裏切りの味を覚えた飼い犬は、その味が忘れられず、その味を求めて同じ失敗を繰り返すものだ。
 そして、及川もせっかく手に入れたものがまた離れてしまったので、おもしろくなかった。
 学習できない及川は、今まで以上に仲良くなっていた佐藤と本田を、今まで以上に邪魔するようになったが、同じく学習できない本田も及川に何も言えなかった。
 しかし、佐藤は少し学習したようで、及川に「俺が好きだったのは本田さんなんだ」と言った。
 プライドが音を立てて崩れて行った及川は、怒りで本物の涙を浮かべ「ひどいよ!本気ですきだったのに!」と言って、教室を飛び出した。


 岩下は、及川がどんな反撃をするのか興味津々だったが、次の日から及川はとことん二人を無視した。
 それから2週間ほどして、今まで話しかけてきたことのない及川が、岩下に相談しに来た。
 岩下にとって、人の悩みにを共有することは、その問題に巻き込まれるということなので、人の相談に乗ることは、死んでも嫌なことだった。だから、及川を無視していると、及川は嘘泣きで勝手に悩みを打ち明け始めた。
 「私、子供ができちゃったみたいなの。佐藤くんの子供みたい。私、どうしていいかわかんないよ」
 及川は、本田以外のクラスの女子全員に同じことを相談していた。
 佐藤に真っ先に相談すればいい話を、他の人に打ち明けていることから、その話が嘘だっていうことは誰にでもわかったが、みんなは野次馬だった。
 一瞬にして及川は悲劇のヒロインの地位を奪い取り、佐藤に極悪人という役を与えることにもなった。
 クラスの女子は、責任をとるよう佐藤に詰め寄り、悪態を浴びせた。
 思い当たる節があったのか佐藤は反論せず、本田も何も言わなかった。


 その日の夜、佐藤は自分の部屋で首を吊って死んだ。自殺だった。
 遺書には、及川の妊娠のことについては何も触れていなかったが、悪いのは自分だ、という類のことが震えた文字で書かれていた。
 佐藤の性格からいって、責任をとらなればならないとい罪悪感に駆られたのだろう。


 翌日、及川は、「私が悪いんじゃないわ!私は被害者なのよ!」と言いながら教室で泣きじゃくった。
 及川の話を聞てい佐藤に詰め寄った女子たちは、自分たちのせいで佐藤がしんでしまった恐怖で、涙を流していた。
 クラスで泣かなかった女子は、岩下と本田だけだった。


 「大事な時にはっきりと自分の気持ちを伝えられなかった本田さん、騙されていることがわかっていながら誘いに乗ってしまった佐藤くん、自分の欲しいものはどんなことをしてでも手に入れたがる欲張りの及川さん。あなたは、誰が一番悪いと思う?」
  1. 及川由紀→岩下エンディング№01:偽りの愛
  2. 佐藤直之
  3. 本田佐知子
 「煮え切らない態度をとって二人の女の子を天秤にかけた佐藤君の罪は重いわ。
 どちらかを選ばないということは、二つのどちらも選べる可能性をいつまでも残しておきたいからでしょう?私だったらそんな男、絶対に許さない。
 でも、そんなこと起こるわけないわ。だって、私がそんな男のことを好きになるわけないもの。だから、私は誰にも裏切られない。誰も私を裏切ることはできないのよ。うふふふ。
 あた、あなた、汗をかいているのではなくて?せっかく私が汗が拭いてあげたというのに、私の事裏切るの?・・・そう、違うのね」


 佐藤が死んで何週間か経ったあと、岩下は放課後の教室でぼんやりしていたら、肩を叩かれた。
 振り向くと本田だった。
 お互い興味がなかったので、岩下と本田が近寄ったのはこれが初めてだった。
 「何かしら?私、自分の時間を邪魔されたくないのよ。用があるのならが、はっきりと言ってほしいんだけれど」と岩下は言った。
 本田は無表情で岩下のことを見ていた。
 普段の岩下は相手の顔を見るとたいていの場合、その人が何を考えているのかがわかるのだが、この時の本田が何を考えているかはわからなかったため、思わず警戒した。
 「岩下さんって、ずうっと私たちのこと見てたでしょ?」
 岩下は、本田のことを鈍くさい女の子と思っていたが、本田は岩下が観察していることに気づいていたのだ。
 裏切られた気分になった岩下は、初めて本田に興味を示した。
 「ええ、去年、あなたが図書委員に立候補する前からね」
 すると、本田は笑った。佐藤と一緒にいるときの笑顔を岩下にくれた。
 「知っていたわ。話したことがなかったけれど、私たち事、ずっと見守ってくれたのね。ありがとう」と言って、本田は頭を下げた。
 岩下は、面倒な問題に巻き込まれたくなかったので、ただ見ていただけなのだが、本田は勘違いして、岩下に感謝していた。
 「だからね、岩下さんにだけは教えてあげる。今ね、佐藤君は私のところにいるの」
 「どういうこと?」
 「来ればわかるわ。このことは誰にも話したくなかったんだけど、私たちのことを見ていてくれた岩下さんになら、教えていいと思ったの。だから、ね?」
 岩下は都合のいい相手にされるのはごめんだと思ったが、一度だけ本田を信じてみることにした。
 「ええ、いいわよ」
 「うれしい!今日は一緒にかえりましょう」
 「ええ」


 そして、岩下と本田は一緒に学校を後にした。
 「ねえ、聞いて。赤ちゃんができていたのは、及川さんだけじゃなかったの。私もね、うふふ。もう何カ月もアレが来ないのよ」
 そう言って微笑みながら、本田は嬉しそうに自分のお腹を撫でた。
 「佐藤君は死んでしまったけど、私にはこの子がいるわ。だから、大切に育てなければいけないの」
 しばらく歩いているうちに、本田は岩下を一軒の家に案内した。人通りの少ない裏路地に面したその家は、壁にツタが這い、もう何年も使われていないかのように古びていた。
 「ここは?」
 「昔、私の家族が住んでいたところよ。でも、今は誰もいないの」
 「そんなところに入ってもいいのかしら?」
 「ここの大家さんはうちの親戚だから。ほら、鍵だって持ってるし」
 本田はポケットから出した鍵で、玄関の扉を開けた。


 「私たちの新居にようこそ」
 玄関を入ってする、なんともいえない匂いがして、岩下は鼻を押さえた。
 そして、室内には羽音がうるさいぐらいに大きなハエがたくさん飛び回っていた。
 でも、本田は岩下の不快な反応など気にならないかのように、下駄箱からレースのついて可愛らしいスリッパを出して、岩下に勧めてくれた。
 そして、本田は、奥の部屋に向かって、こう声をかけた。
 「ただいま、佐藤君」
 「えっ!」
 「最初はびっくりするかもしれないけど」と言って、本田は暖簾をそっと上げて奥の部屋を見せてくれた。
 天井から針金で吊るしてあるそれは、レインコートみたいな形に見えた。
 でもそれは、全身から剥した皮だった・・・
 本田は、変わり果てた姿の佐藤を針金から外して、胸に抱きしめた。
 「告別式のとき、クラスみんなで佐藤君の家に行ったでしょ?あの後、私一人で戻って、佐藤君に会いに行ったんだけど、我慢できなくなっちゃった。
 棺桶の中の佐藤君はね、とても苦しそうな顔をしていたの。きっと一人で寂しかったんでしょうね。だから、私、ここに連れてきてあげたの」
 本田は、佐藤の家族の目を盗んで、お通夜の夜に死体を盗んできたのだ。
 「ここなら、ずっと一緒にいられるわ。この子だって、パパがいた方が寂しくないもんね。
 お肉は全部食べちゃった。私の血となり、肉となって、この子の栄養になるように。骨ははだ、とってあるわ。剥製ができたら、中に詰めるのよ。この子に見せてあげましょう」
 皮は、背中できれいに切り開かれていた。
 そして、本田は、まるで服でも着るかのように、佐藤の皮膚を腕に通して、自分の腕と顔に被った。
 緑色に変色し、ひどい腐臭を放っていた佐藤の皮膚の下から、うっすらと本田の笑顔が透けて見えた。
 あんなに楽しそうな本田を、岩下は学校では見たことがなかった。
 「よかったわね」と岩下が言うと、本田は、「岩下さんなら、きっとわかってくれると思ってた」と言った。
 突然、本田が着ていた皮を脱いで、言った。
 「見つけた」
 「何が?」
 「蛆よ!」
 本田は鬼のような形相になって、佐藤に湧いた蛆を潰し始めた。
 岩下は、いつまでもそんなところにいるのは嫌なので、黙って帰ってしまった。


 「本田さんは、今でも学校に通ってきているわ。お腹はなかなか大きくならないけど、今でも彼の子がいるって信じているみたいね。
 あたなも私のクラスにきたら、誰が本田さんかすぐにわかるはず。彼女の身体からは、染みついて離れない腐臭がするからね。うふふふ」
 『この女は、本田さんの様子を観察して楽しんでいるんだ。いっそ、この女に張り付いた皮をはがしてやろうか』
 そんな強い不信感を坂上は持った。


 岩下エンディング№02:二人だけの世界
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 26:いつも一緒、ずっと一緒

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