今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1週目クリア
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング№03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング№10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング№13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング№03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情のはざま→福沢エンディング№20~22
6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング№06~08
7人目はシナリオ:記憶のほころび→七話目エンディング№01~03
2週目プレイ開始!
1人目は岩下明美を選択
岩下明美は3年A組の生徒。
「坂上君は、人に裏切られたことあるの?」
- あります
- ありません
- 答えたくないです
逆にあなたは今までに人を裏切ったことはあったと思うかしら?」
- あります
- ありません→シナリオ:命の値段
- 答えたくないです
あなたは人に裏切られ、同時にまた人を裏切っている。正直な人ね。でも、それが普通の人間だと思うわ。
人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。
人間ってね、とても勝手な生き物だわ。裏切ることは簡単にやってのけるのに、裏切られることはとっても嫌いなのよ。
そして、裏切った事実は記憶の奥に消し去るくせに、裏切られた記憶はいつでも引き出せるよう引き出しの一番前にしまっておく。
きちんと、人を裏切ったことを認められる人間だもの、あなた、偉いわ。好きになってしまいそうよ、あなたのこと。
人によっては、裏切られることが美徳だと考える人もいるわね。私は、そういう人を偽善者って呼ぶことにしているわ。
だって、人に裏切られた喜んだり、すぐに許せてしまうような人間を、あなたは信じられる?そんな奴こそ、私は許せない。
私はね、裏切られることが大嫌い。もし私を裏切る奴がうようものなら、殺してやる。人を裏切るんだったら、死ぬ覚悟で臨まなくちゃね。
私ね、今までに人に裏切られたことないの。私はね、人に裏切られるくらいなら、先に裏切ってあげるの。だってそうでしょう?自分が嫌な思いをするのよ。だから、自分が嫌な思いをする前に、相手に嫌な思いをさせることにしているのよ。
相手が起こそうとしている間違いを、起こす前に教えてあげることは、とても正しい行為ね。
だから、私は相手を裏切ろうが傷つけようが心が痛んだこともないのよ。私は正しいことをしているんですもの。
あなた、汗をかいてるわ。私が拭いてあげましょう。逃げなくてもいいのよ。
親切で、言ってるの。あなたが私の親切を無碍にするということは、立派な裏切り行為よ。
私ね、生まれたからには、死ぬまで幸せで満足のいく人生を送りたいとおもっているの。
いいえ、思っているだけじゃなくて、私は実行するわ。私の幸せな人生を邪魔する奴だから、当然の報いとして死んでもらうの。
私の親切を無駄にしないでね。
そう、いい子ね。あなたの汗が一滴残らずなくなるまで、拭いてあげる。だから、おとなしくしていなさいね。
ほら、きれいになった。
いいこと、せっかく私が汗を拭いてあげたんだから、もう汗を流さないでね。あなたが汗を流すとね、私の親切が無駄になってしまうの。
せめて、私の話が終わるまでは汗なんか流さないで。あなたが私を裏切らないのなら、これから先あなたのこと、目をかけてあげてもいいわ。
だから、私を裏切らないで。これから私が話すのは、人を裏切ることなんかなんとも思っていない人間の話
そういえば、あなたは、人と付き合ったことある?
今あなたが付き合っているのなら、それとも、もしこれから誰かと付き合おうというのなら、いつか必ず別れというもおが訪れるでしょうね。その時、あなたから別れてあげるのよ。
ようは、あたが苦しまなければいいんですものね。愛すれば愛するほど、別れは辛くなるものよ。
私に興味ある?もちろん人を好きになったことも、お付き合いしたこともあるわよ。でも、私は人に裏切られたことが一度もないから。
相手が私の事を心から相手していることがわかったら、別れてあげるわ。私が泣くのは嫌ですもの。
だって、恋愛なんて必ずどちらかが傷つくのよ。私の場合、たまたま相手が傷ついているだけですもの。別れるのが嫌ならが、最初から付き合わなければいいんですもの。
相手を愛する気持ちが、強ければ強いほど、別れは悲惨になるものだから。でも、そういうのって、第三者として見ているのはおもしろいわね。
だから、私も近くに仲のいいカップルがいると、ついつい注目してしまうわ」
岩下のクラスの仲のいいカップルがいた。
名前を佐藤直之と本田佐知子といった。
「ねぇ、愛し合う二人に終止符が打たれる場合、あなたはどんな理由が多いと思うかしら?」
- 二人の誤解
- 性格の食い違い
- 気持ちが冷めたとき
「もちろん、そういうこともあるでしょうね。
でも、一番多いのはそうじゃないわ。どちらかの気持ちが冷めるときよ。
人間の感情ほど当てにならないものはないから、うふふ。そんなものを頼りに恋愛は始めるでしょう?
だから、愛情なんて簡単に冷めるわ。くだらないきっかけで燃え上がった愛情は、くだらないきっかけで冷めるものよ。
そのきっかけで一番多いものはね、心変わりというやつよ。
目の前に食べたこともない、おいしそうな食べ物があったら、あなたはどうする?とりあえず、食べてみるんじゃないかしら?
それで、食べたあとはその人次第ね。今まで食べていたものの方がおいしいと思う人いれば、新しい食べ物に心を奪われてしまう人もいる。
でもね、一番多いのは両方とも食べ続けたいと思う人ね。恋愛もそれと一緒よ。ただ、食べるものに感情という厄介なものがあるというだけの違いね」
岩下、佐藤、本田の3人は1年生の時、同じクラスで、その頃から、佐藤と本田は意識し合っていた。
1年生の3学期が始まったとき、新しいクラス委員を決めるのだが、本田が図書委員に決まった。
すると図書委員は各クラスに2名いるのだが、本田が2人目の図書委員に立候補した。
佐藤も本田も目立たない平凡な高校生だった。そんな本田が、図書委員に立候補するということは、一大決心だったに違いない。
それから、二人の仲は急速に進展していき、みんなも気づき始めて噂するようになった。
まわりが噂するようになってから、帰宅部の二人は一緒に登下校するようになった。
二人は人気者というわけじゃなかったが、みんなから嫌われているわけでもなかったので、誰もがごく普通に温かく見守り、放っておいたから、二人の仲は進展した。
佐藤と本田は、別に誰もがうらやむようなカップルというわけでなく、ごく普通の仲の良いカップルだった。
誰もがうらやむようなカップルとは、外見も経歴も非の打ち所のないようなカップルのことだ。
2年生になり、岩下、佐藤、本田はまた同じクラスになった。
ある日、佐藤の前に、及川由紀が現れた。
及川は人のものを欲しがる人間だった。幸い人のものは取ろうとしなかったけれど、いつもみんなのものを物欲しそうな顔で見ている卑しい人だった。しかも、その人が大事そうに使っていたり、大事そうにしているものを欲しがる。
本田はポーカーフェイスができない人だったので、佐藤と付き合っている時も幸せそうにしていた。
及川は、本田が幸せそうに付き合う佐藤を欲しくてたまらなくなってしまった。
及川は、派手な顔立ちをしており、男の扱いにも手慣れていた。ボーイフレンドは何人もいたけど、特定の彼氏はいなかった。
一つの食べ物じゃ満足できない典型的なタイプで、おいしいものをたくさんわまりに置いといて、食べたいものを食べたいときに食べるタイプだった。
ひと月も経たないうちに、及川は誰が見たってはっきりとわかるほど、あからさまに行動を始めた。
宿題が出されると、及川は本題がいようがお構いなしに、佐藤の側にいって、猫なで声で「この問題わかんないんだぁ」と言う。
別に佐藤は勉強ができるほうではなく、本当に勉強を教えてほしければ、ほかにいくらでもいるのにも拘らず、わざわざ佐藤を選んで、必要以上に身体をくっつけてスキンシップをとる。
本田は悲しそうな顔はするが、及川にやめてとも言えず、それを黙って受け入れている佐藤にだらしがないとも言えなかった。
及川は、本田がいないところでも佐藤にモーションをかけていたが、佐藤は落ちなかった。
簡単に手に入らなければ、なおさらそれが欲しくなる。だから、及川は二人の間にずれが生じるよう強硬手段に出た。
及川は、本田に佐藤からの偽の手紙を出した。
それには、もし本当に自分のことが好きだったら、髪の毛を赤く染めて耳にピアスをしてほしい、と書かれており、本田は佐藤のことを思い喜んでそうした。
でも、佐藤はそういうのが嫌いだったので、本田に対してとても怒ったし、先生にも注意された。
本田はすぐに髪の毛を黒く染め直したが、ピアスの穴は二度と戻らない。それから二人の仲はギクシャクし始めた。
本田は、もともと明るい子ではなかったが、このころから一層暗くなった。
佐藤は、本田にあまり近づかないようになり、及川といることのほうが多くなった。
そして、本田も二人に近づかなくなった。
それでも佐藤は、本田のことに未練があったのか、及川がいないときだけ、本田に申し訳なさそうに近寄って行った。
そんなある日、及川は、「本田さんのことが嫌いなんだったらはっきり言ってよ!あたし、こんなに佐藤くんのこと、好きなのに!」とみんなの前でそんなことを言って泣き出した。もちろんウソ泣きだろうけど。
そして、及川は本田のところに行き、「本田さん、あたしたち友達でしょ?佐藤くんのことはっきりしてよ。これじゃ、佐藤くんがかわいそう」と言った。
本田は何も答えず、佐藤も本田に声は掛けなかった。
二人の付き合った半年間は恋愛ごっこだった。
少なくとも佐藤にとっては、本当に相手のこと好きだったのではなく、人を好きになれるのであれば誰でもよかったのだろう。
だって、最初に行動を示したのは本田だったし、佐藤はその誘いに乗っただけ。
きっと佐藤は、自分をリードしてくれる人ならば誰でもよく、自分をリードしてくれる人がより魅力的な人であれば、すぐに鞍替えする男だった。
それから1週間も経たないうちに佐藤は行動を起こした。
皆の前で佐藤は本田に向かってきっぱりと「悪いけど、俺はもう君とは付き合えないから」と言ったのだ。
及川がそうしろって詰め寄ったのだろうが、今までの佐藤なら絶対にできなかったはずだ。
でも、簡単にやってのけたということは、佐藤は付き合う相手によって人間が変わるタイプだったのだ。
結局、本田は何も言えなかった。
それから、佐藤は本田のことなんか見向きもしなくなり、本田も佐藤には一切近づかなくなった。
及川が佐藤とべたついていたのも3日くらいだった。
傷ついたプライドも元に戻ったし、それまで放っておいた男友達を遊ぶ方がよっぽど楽しいことを思い出した及川は、付きまとう佐藤が疎ましくなり、手のひらを返したように冷たくなった。
及川にとっては、佐藤はあんまりおいしい食べ物じゃなかったのだ。見た目はすこぶるおいしそうに見えたのに、味見してみたら、どこにでもある味だった。
そして、佐藤は完全に捨てられらた。
佐藤が及川に捨てられてすぐのこと、本田がまた佐藤に接近し始めた。
本田は佐藤のことが真剣に好きだったので、及川に弄ばれた佐藤がかわいそうに思え、そんなときこそ自分がついていてあげなければならないという使命感でも芽生えたのだろう。
そして、佐藤はまた本田と付き合い始めた。
しかし、一度裏切りの味を覚えた飼い犬は、その味が忘れられず、その味を求めて同じ失敗を繰り返すものだ。
そして、及川もせっかく手に入れたものがまた離れてしまったので、おもしろくなかった。
学習できない及川は、今まで以上に仲良くなっていた佐藤と本田を、今まで以上に邪魔するようになったが、同じく学習できない本田も及川に何も言えなかった。
しかし、佐藤は少し学習したようで、及川に「俺が好きだったのは本田さんなんだ」と言った。
プライドが音を立てて崩れて行った及川は、怒りで本物の涙を浮かべ「ひどいよ!本気ですきだったのに!」と言って、教室を飛び出した。
岩下は、及川がどんな反撃をするのか興味津々だったが、次の日から及川はとことん二人を無視した。
それから2週間ほどして、今まで話しかけてきたことのない及川が、岩下に相談しに来た。
岩下にとって、人の悩みにを共有することは、その問題に巻き込まれるということなので、人の相談に乗ることは、死んでも嫌なことだった。だから、及川を無視していると、及川は嘘泣きで勝手に悩みを打ち明け始めた。
「私、子供ができちゃったみたいなの。佐藤くんの子供みたい。私、どうしていいかわかんないよ」
及川は、本田以外のクラスの女子全員に同じことを相談していた。
佐藤に真っ先に相談すればいい話を、他の人に打ち明けていることから、その話が嘘だっていうことは誰にでもわかったが、みんなは野次馬だった。
一瞬にして及川は悲劇のヒロインの地位を奪い取り、佐藤に極悪人という役を与えることにもなった。
クラスの女子は、責任をとるよう佐藤に詰め寄り、悪態を浴びせた。
思い当たる節があったのか佐藤は反論せず、本田も何も言わなかった。
その日の夜、佐藤は自分の部屋で首を吊って死んだ。自殺だった。
遺書には、及川の妊娠のことについては何も触れていなかったが、悪いのは自分だ、という類のことが震えた文字で書かれていた。
佐藤の性格からいって、責任をとらなればならないとい罪悪感に駆られたのだろう。
翌日、及川は、「私が悪いんじゃないわ!私は被害者なのよ!」と言いながら教室で泣きじゃくった。
及川の話を聞てい佐藤に詰め寄った女子たちは、自分たちのせいで佐藤がしんでしまった恐怖で、涙を流していた。
クラスで泣かなかった女子は、岩下と本田だけだった。
「大事な時にはっきりと自分の気持ちを伝えられなかった本田さん、騙されていることがわかっていながら誘いに乗ってしまった佐藤くん、自分の欲しいものはどんなことをしてでも手に入れたがる欲張りの及川さん。あなたは、誰が一番悪いと思う?」
- 及川由紀
- 佐藤直之
- 本田佐知子
でも、人を愛し、お互いが惹かれ合い付き合うようになれば、必ず別れが待っている。
人と付き合うならば、どんな結末が待っているにせよ、別れることを最初から考えておかなければならないのよ。
だから、こんな結果になってしまったけれど、付き合い始めた二人にも責任はあったんじゃないかしら?
もし、本田さんがあのとき図書委員に立候補していなければ、何もなかったし、何も起きなかった。
それに佐藤くんもその気にならなければ、死ななくてすんだんじゃないかしら。
あなたは、人を愛することができるかしら?たとえ、どんな結末が待っていたとしてもね。うふふふ。
私は、それでも、人を愛することができるわ。私が満足するためよ。
何なら、私の事好きになってみる?その愛に私が答えるかどうかは別としてね。うふふふ。
あなた、汗はかいてない?
ほら、額のところ。私がせっかく汗をふいてあげたのに。
私の親切を裏切るようなことはしないでね。
額に浮き出た玉の汗がもし流れ落ちようものなら、私はあなたに裏切られたことになるわ。せめて私の話が終わるまででいいから私を悲しませないでちょうだいね」
佐藤が死んで何週間か経ったあと、岩下は放課後の教室でぼんやりしていたら、肩を叩かれた。
振り向くと本田だった。
お互い興味がなかったので、岩下と本田が近寄ったのはこれが初めてだった。
「何かしら?私、自分の時間を邪魔されたくないのよ。用があるのならが、はっきりと言ってほしいんだけれど」と岩下は言った。
本田は無表情で岩下のことを見ていた。
普段の岩下は相手の顔を見るとたいていの場合、その人が何を考えているのかがわかるのだが、この時の本田が何を考えているかはわからなかったため、思わず警戒した。
「岩下さんって、ずうっと私たちのこと見てたでしょ?」
岩下は、本田のことを鈍くさい女の子と思っていたが、本田は岩下が観察していることに気づいていたのだ。
裏切られた気分になった岩下は、初めて本田に興味を示した。
「ええ、去年、あなたが図書委員に立候補する前からね」
すると、本田は笑った。佐藤と一緒にいるときの笑顔を岩下にくれた。
「知っていたわ。話したことがなかったけれど、私たち事、ずっと見守ってくれたのね。ありがとう」と言って、本田は頭を下げた。
岩下は、面倒な問題に巻き込まれたくなかったので、ただ見ていただけなのだが、本田は勘違いして、岩下に感謝していた。
「及川さんが妊娠したとき、女の子はみんな佐藤くんのことをいじめたわ。でも、岩下さんだけは佐藤くんをいじめなかった。本当にありがとう」と、また本田は頭を下げた。
「佐藤くんが死んだときも、女の子はみんな泣いたでしょ。あれは悲しくて泣いてくれたんじゃない。みんな、いつ自分が責任を取らされるのかが怖くて泣いていただけなのよね。
でも、その時も岩下さんだけは泣かないでくれた。私、嬉しかったわ。本当にありがとう」
岩下は、本田は馬鹿じゃない。少なくとも、ほかの女子よりもはるかに頭がいい女だ、と考えを改めた。
だから、岩下は本田のことがいろいろと知りたくなり、少しだけ微笑んだ。本田が、岩下がほほ笑むことですべてを理解してくれるはずだから。
本田は岩下のサインに応えて、言った。
「私はね、岩下さんが揉め事が嫌いなの知ってるわ。嫌な問題には、誰だって巻き込まれたくないものよね。私もそうよ。
でも、問題って自然に起きてしまうから。
それが運命っていうものでしょ。だから、できるだけ運命に逆らいたくないの」
驚いたことに岩下と本田は似たようなことを考えていた。
ただ一つ違ったところは、本田は運命を受け入れるタイプで、岩下は自分で運命を作るタイプだということ。
本田は、自分自身が行動することは最小限に食い留めて、あとは自然の成り行きに任せていた。だから、どんな結果になろうとも、それを現実として受け止める強さを持っていたのだろう。
本田にしてみれば、佐藤と付き合い始めたときから、どんな結果が待ち受けていようとも、それが運命だと割り切っていた。及川に邪魔されることも、佐藤が自殺することも、それは起こるべくして起きたことだと納得していた。
「あなた、頭良かったのね。どうして、馬鹿のふりをするの?」と岩下が質問した。
本田は、「馬鹿のふりなんかしてないわ。私、馬鹿だから、あまり物事を考えないようにしているだけなの」と答えた。
「あなたとは、いいお友達になれそうね。本田さん、用はそれだけ?それだけならばいっしょに帰らないこと?」
「岩下さんが揉め事が嫌いなのはわかっているわ。だから、迷惑はかけたくないの。
でも、どうしても岩下さんに立ち会ってほしいことがあるの。佐藤くんと私のことを温かく見守ってくれた岩下さんにだけは、どうしても見ていてほしいの」
「何を見るの?」
「手伝ってくれなんて言わないわ。もう準備もすませてあるのよ。
だから、見ているだけでいいの。絶対に迷惑はかけないわ」
「ええ、いいわ」
「来て」
本田は理科室に入っていった。理科室には誰もいなかった。
そして、本田は中から鍵をかけた。
理科室の奥には大きな机があり、そこに及川が寝かされていた。
「クロロホルムなの」と本田が言った。
及川は本当にぐっすりと眠っていた。
机の横には、メスやらハサミやらが並べられていた。
「私の家はね、産婦人科なの」
本田の一言で、岩下は、本田がこれから行おうとしているすべてを理解した。本田は、及川を手術してあげるつもりだった。
岩下は、言われた通り黙って見ることにした。
本田は、及川の着ているものをきれいに脱がせていった。そして、脱がせた服も、ていねいにたたんだ。
及川が生まれたままの姿になると、机に縛り付ける作業に移った。本田は、初めてとは思えないくらい手際が良かった。
準備が整うと、本田は適当なメスを一本手に取ると、岩下を見てにっこりと微笑んだ。
「本当はね、堕胎のときにはお腹を切り裂いたりしないのよ。でもね、今は仕方ないの」
本当は、頑張んなさいと言ってあげたかったが、声をかけることも手伝いをしたことになるから、ただの傍観者である岩下は、笑い返した。
本田は、及川の下腹部に赤いマジックで横線を引き、その線に沿ってメスを当てた。すぐに、ぷくっと赤い血玉が浮き出た。
その時、突然、及川が目を覚まし、「痛い!」と叫んだ。
及川はすぐに自分の状態に気付き、信じられないような顔をした。
本田は、「私が責任を持ってすべて解決してあげるから」と言って、メスを及川のお腹に押し当てた。
「やめてよ!」とガラスが割れるほど甲高い声で、本気で及川は取り乱して、もがいた。
「助けてよ!んぐ・・・」
わめく及川の口に、本田はさっき脱がしたスキャンティを押し込み、ガムテープで口を塞いだ。
「大丈夫よ、及川さん。私ね、これでも産婦人科の娘なのよ。だから、私がちゃんと処理してあげるから」
「んー!んうーー!」
「及川さん、何言ってるおかさっぱりわからない。ちょっと痛いかもしれないけど、安心して。私ね、及川さんのことをちっとも恨んでないのよ。逆に佐藤くんの赤ちゃんを宿してくれたことに感謝してるぐらいよ。
そうだ、ごめんなさいね、消毒するのを忘れていたわ」
本田は理科室の棚に目を止めると、嬉しそうに目を細めた。そして、その棚から大きな瓶を取り出し、及川の頭の横に運んできた。
「んーー!んー!」
その瓶を見て及川は金切声をあげた。その瓶は、大きな蛙のホルマリン漬けだった。
本田が瓶の蓋を開けると、強烈なホルマリンの香りがあたりに充満した。
本田は、瓶の中に手を突っ込むと、ホルマリンを掬いだして、及川のお腹に塗りたくった。
及川は、顔中ぐちゃぐちゃにして、鼻水まで垂らして、泣いていた。
「これで大丈夫よ。ちゃんと消毒できてるから。
あのね。私ね、佐藤くんの赤ちゃんが欲しいの。
及川さんはいらないんでしょ?
だからね、代わりに私がもらうの。私のお腹の中で育ててあげるの」
本田は、一気にメスをお腹に押し込んだ。
及川は、自分で自分の頭をがんがんと机にぶつけて暴れてた。
そのせいで、本田の手元が滑り、赤い線通りにメスを入れることができなかった。
脱脂綿を用意してしていなかったので、血がとめどもなくあふれ出た。
突然、本田が切れた。
「きいっ!もう、うるさいな!」
本田はメスを投げ出し、切り裂いた傷口に両手を突っ込むとそれを上下に引き裂いた。
及川は、ぎゃあぎゃあとわめいていた。
本田は、切り裂いた及川のお腹の手を突っ込んで、ごそごそいじくりまわしていたが、「邪魔だなぁ」と言って、腸を引きずり出した。
腸を引きずり出されても、及川はしぶとく暴れていたので、本田は「及川さん、そんなに暴れたら手術が失敗しちゃうよ」と声をかけていた。
「もう、いい加減におとなしくして!」と本田は言って、ホルマリンの瓶を持ち上げると、及川の顔にぶっかけた。
中の蛙も飛び出して、それを及川の顔に押し付けていた。
蛙のお腹が弾けると、本田は、蛙の内臓をつぶして、及川の顔に擦り付けていた。
その頃、ようやく及川はおとなしくなった。
仕事がやりやすくなった本田は、及川のお腹の中からいろんなものを取り除いて、机の上に並べて行った。
「これだわ」
本田が取り出して嬉しそうに抱きしめたのは、及川の子宮だった。
及川は妊娠なんかしていないのに、本田はあの中に佐藤の赤ちゃんが入っていると思い込んでいた。
「佐藤くんの赤ちゃんは、私が大事に育ててあげるの」と何度も繰り返しながら、本田はその子宮を食べてしまった。
食べ終わると、本田は本当に満足そうに何度も深いため息をつき、きれいな涙を流した。
そして、「及川さん、及川さん」と及川の肩に手をかけて揺するが、及川は何も答えなかった。
「気持ちよさそうに眠っちゃってる」と言った本田は、取り出した及川の内容物を元に戻し始めた。もちろん、元の位置に戻すことは不可能で、適当に押し込めていた。
一応、中にあったものを全部、本田の納得する位置に押し込んだから、ポケットから裁縫セットを取り出して、及川の裂けたお腹を縫い始めたが、本田は裁縫は得意じゃないみたいだった。
どうにかこうにか作業は終了したが、きちんと縫い合わせれていないから、ところどころ隙間ができていた。
本田は、及川の口からガムテープをはずし、口の中に押し込んだスキャンティを取り出した。そして、縛っていた縄を解き、脱がした服を全部きれいに着せてあげ、最後に蛙で汚れた顔をハンカチで拭いた。
その時、岩下は蛙がいなくなっていることに気付いた。内臓といっしょに及川のお腹の中に押し込まれたようだ。
「及川さん、子宮がなくなっちゃったから、もう赤ちゃんは産めなくなっちゃうけれど、ごめんなさいね。でも、あなただって少しは責任があるのよ。
岩下さん、待たせてしまって、ごめんなさいね」
その後、岩下と本田は一緒に帰ったのだが、本田は何度も「これで佐藤くんの赤ちゃんが産める。これで私も幸せになるわ」と言っていたが、返り血を浴びた真っ赤なセーラー服を着ていた本田は、一緒に帰る途中に捕まってしまった。
岩下も一緒に連れて行かれて、いろいろ質問されたが何も答えなかったし、本田も岩下のことは何も言わなかったので、岩下は共犯にされることはなかった。
岩下は、本田に脅かされて一緒に付き合わされたことになった。そして、黙っていたのも、精神的なショックで何もしゃべれなかったからということで解決した。
事件が事件だったので、本田は罪に問われなかったが、学校は辞めることになってしまった。
本田は今、精神の病気の治療をしているが、いつ治るかわからないそうだ。
本田は、頭が狂っているから、佐藤の赤ちゃんを妊娠しているから、大事をとって病院に入っていると思って、幸せな日々を送っている。
この前岩下がお見舞いに行ったら、本田は嬉しそうに、どんな名前を付けるか、どんな子に育てたいか、そんな未来なことばかり話していた。
「あと数か月経ってから、本田さんは佐藤くんの赤ちゃんを産むかもしれないわ。神様がいるならが、きっと本田さんの思いを叶えてくださるわ。この世に奇跡は、数えきれないほどあるんですもの。
だから、私も楽しみにして毎月一度は本田さんのお見舞いに行ってあげるのよ。
だって友達ですもの。
これで私の話は終わり。
あなた、汗びっしょりね。
私との約束、守れなかったわね。
私を裏切ったら償いをしてもらうから。
私ね、最初に裏切られたことが今までに一度もないって話したでしょ?
私を裏切った人はね、なぜか死んでしまうの。
私ね、時々記憶をなくしてしまうの。そうすると、私を裏切った人が死んでしまってるの。
裏切った人が死んでしまえば、誰も私を裏切ったことにならないでしょ。
だから、私は裏切られたことがないの。
私、死ぬまで絶対に人に裏切られたくないの。
せっかく、この世に生まれてきたんですもの。誰よりも、幸せな人生を送りたいわ、うふふふ」
岩下エンディング№01:偽りの愛
CGギャラリー14/124
21:赤ちゃん、私の赤ちゃん
22:赤ちゃんと引き換えに
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
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3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
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結局7人目は現れなかったので、みんなは部室を出ようと席から立ちあがる。
坂上は、「待ってください」とみんなに声を掛ける。
「僕が怖い話をします。七不思議は七つ揃わないと終わりませんから。皆さんに気に入ってもらえるような怖い話ができるように頑張りますから、どうか席に戻ってもらえないでしょうか」
坂上の言葉に一同は顔を見合わせると、ぞろぞろと席に戻った。
昔、この付近に大きな団地があったが、老朽化のため10年くらい前に取り壊されてしまって、今はない。
その団地にある少年が住んでいた。
彼は引っ越してて来たばかりでまだ友達がおらず、いつも団地の隅にあるブランコで遊んでいた。
そんなある日、誰かが少年に声を掛けてきた。
「お前、一人で何してんだよ」
少年に声を掛けてきたのは、少年と近い歳の活発そうな少年だった。
「俺たちと一緒に遊ばねえか?仲間にも紹介してやるよ」
そう言って、彼は少年の手を引っ張って、公園の茂みの中に連れて行った。
少年が連れていかれた場所には、少年と近い歳ごろの子供たちが数人おり、思い思いに遊んでいた。
「こいつも今日から仲間だ」と紹介されると、他の子どもたちは素直に受け入れてくれた。
「皆この団地に住んでいる奴らなんだぜ。お前も今日から俺たちに仲間だ。これからは一緒に遊ぼうぜ」
「うん、よろしく」
こうして一人ぼっちだった少年に友達ができ、その日から7人は何をするのも一緒に行動した。
ある夏の暑い日のこと。
リーダー格の少年が、みんなにある提案をした。
「学校に行ってみたくねえか?」
少年は、学校についてよく知らなかった。
他の子どもたちは小学校はいつも行っているところとのことで、夏休みで誰もいない近くにある高校へ探検に行く、とのことだった。
子供たちは興味津々で探検に出かけた。
子供たちがやってきたのは、鳴神学園だった。
リーダー格の少年の案内で、破れたフェンスを潜り抜けて校内に侵入した子供たちは、木造の旧校舎にやってきた。
この頃、旧校舎はすでに立ち入り禁止だったが、入り口に立ち入り禁止のテープが貼られているだけで、子供たちが侵入するには簡単だった。
リーダー格の少年は、「探検するにはぴったりの場所だろ?今から探検しよーぜ」と言った。
嫌がる子供もいれば、乗り気の子供もおり、結局、子供たちは旧校舎に入ることにした。
旧校舎の中は、昼間でも薄暗く、木の匂いに満ちていた。
そして、子供たちが歩く度、床はぎいぎいと音を立てた。
最初は、その音に怖がっていた子供たちだったが、だんだんと恐怖が薄れていき、好き勝手に遊び回り始めた。
「これから、みんなで何かして遊ぼうぜ」
彼はどんな遊びをしたと思いますか?
- かくれんぼ→引っ越してきた少年→七話目エンディング02:さよなら、思い出達還る
- かくれんぼ→他の誰か→七話目エンディング03:僕の還る場所
- 宝探し
よーし、じゃあ決まりだな。それど宝物だけど、お前らなにか持ってるか?」
リーダー格の少年に促され、皆は自分のポケットを探ってみた。
「あの、これはどうかな」
そう言って、少年が持ち出したのは一つのオルゴールだった。
そのオルゴールは、少年の父親の出張先のおみやげで、彼はそれをとても大切にしており、いつも肌身離さずポケットの中に忍ばせて、暇なときにはオルゴールの音色を聞いたりして、楽しんでいた。
少年はせっかくなので、みんなにオルゴールの音色を聞かせてあげた。
「いいんじゃないか。じゃあお前、これをどっかに隠して来いよ」
リーダー格の少年に言われ、少年は自分の宝物を隠すために、旧校舎を歩き回った。
少年は2階にある教室の窓際の机の中にオルゴールを隠すことにした。
少年はオルゴールを隠し終わると、皆の元に戻った。
「じゃあ、宝探し始めようぜ」
皆は、少年が隠したオルゴールを探すため、それぞれが思い思いの場所を探し始めましたが、どこを探しても見つけることができませんでした。
「俺たちの負けだよ。一体どこに隠したんだよ」
少年はオルゴールが見つからなかった皆を得意そうに見ていた。
「案内するね」
少年は皆を引き連れて、自分がオルゴールを隠した場所へ案内した。
「あれ、ない・・・」
少年が2階の教室の窓際の机の中に手を入れてみたところ、どういうわけか隠したオルゴールがない。
「本当にここに入れたのかよ。違うところに隠したのを間違えたんじゃねえのか」
「どこ行っちゃったんだろ?」
「ねえ、他の場所も探してみよう」
子供たちは旧校舎を探し回ったが、オルゴールは見つからなかった。
「そうだ、この中の誰かが盗ったんだろ!僕のオルゴールを!」
「そんなことするわけねえだろ」
「何でオルゴールが無いんだよ!返せ!僕のオルゴールを返せ!」
少年はそう言うとリーダー格の少年に掴みかかった。
「何するんだよ、離せ!」
リーダー格の少年は掴みかかった少年を突き飛ばした。
「付き合ってらんねーぜ。皆、行こうぜ」
「ボクを泥棒呼ばわりするなんて、とんでもないね」
「皆で探して無かったんだからしょうがないじゃん」
「そんなに大事なものなら、宝探しなんかに使わなければいいでしょ」
子供たちは、自分たちを泥棒呼ばわりする少年を置いて、出て行ってしまった。
一人残された少年は、一人でオルゴールを探し続けた。
彼にとって、オルゴールはとても大事なものだった。今はもう死んでしまった父親からの最後の贈り物だったから・・・
「そして少年は、今でもオルゴールを探し続けているんです・・・」
「坂上君・・・そんな・・・」
「君は、修一なのかい?」
「でも。彼はあの日以来、行方不明のはずでは・・・」
「僕は長い間探し続け、そして確信した。やっぱり、皆の中の誰かが嘘を吐いていたんだって。だから僕は待っていた。みんながここへ帰って来るのを。ほら、聞こえる・・・あのオルゴールの音色が・・・持ってるんじゃないか。ひどいなあ。僕は、ずっとそのオルゴールを探してたんだよ。ずっと。ずーーーーっと」
皆はこわばった表情で坂上を見ていた。
(そんな表情をするのは、後ろめたい気持ちがあるからだ。全部吐き出させて徹底的に探さないと)
坂上は、皆を部室の壁まで追い詰めた。
その時、細田が一気に駆けだした。
「逃げるな!」
坂上の言葉に、細田は体をビクっとこわばらせて、床に倒れ込んだ。
坂上は、倒れてピクピクと震えている細田に馬乗りになると、彼の身体を仰向けにして、その腹の中に手を突っ込んだ。
「あぎゃああああ!」
豚が泣くような悲鳴をあげながら、細田がジタバタを暴れた。
他の皆は、そんな細田を見つめながら、ただ呆然と立ち尽くしていた。
肉を、骨を、臓物を、全てひっくり返して見たが、オルゴールは見つからなかった。
空っぽになった細田を置いて、坂上は残りの皆に向き合った。
「本当に、持ってないのよ」
「ダメだよ、君たちの言葉はもう信じられない。僕がきちんと、全員を隅々まで調べさせてもらうよ」
結局、隅々まで調べたが、誰もオルゴールを持っていなかった。
赤く染まる部室を後にして、坂上は部屋を出た。
見つからない僕の宝物。きっと、誰かがまだ、隠し持っているに違いない。誠兄ちゃんたちが持っていないなら、この学園の誰かが持っているはずだ。先生、生徒・・・片っ端から調べていけばきっと見つかるよね。
さあ、行こう。僕の、宝物を探しに。
七話目エンディング01:宝物を探しに
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情の狭間→福沢エンディング20~22
6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング06~08
結局7人目は現れなかったので、みんなは部室を出ようと席から立ちあがる。
坂上は、「待ってください」とみんなに声を掛ける。
「僕が怖い話をします。七不思議は七つ揃わないと終わりませんから。皆さんに気に入ってもらえるような怖い話ができるように頑張りますから、どうか席に戻ってもらえないでしょうか」
坂上の言葉に一同は顔を見合わせると、ぞろぞろと席に戻った。
昔、この付近に大きな団地があったが、老朽化のため10年くらい前に取り壊されてしまって、今はない。
その団地にある少年が住んでいた。
彼は引っ越してて来たばかりでまだ友達がおらず、いつも団地の隅にあるブランコで遊んでいた。
そんなある日、誰かが少年に声を掛けてきた。
「お前、一人で何してんだよ」
少年に声を掛けてきたのは、少年と近い歳の活発そうな少年だった。
「俺たちと一緒に遊ばねえか?仲間にも紹介してやるよ」
そう言って、彼は少年の手を引っ張って、公園の茂みの中に連れて行った。
少年が連れていかれた場所には、少年と近い歳ごろの子供たちが数人おり、思い思いに遊んでいた。
「こいつも今日から仲間だ」と紹介されると、他の子どもたちは素直に受け入れてくれた。
「皆この団地に住んでいる奴らなんだぜ。お前も今日から俺たちに仲間だ。これからは一緒に遊ぼうぜ」
「うん、よろしく」
こうして一人ぼっちだった少年に友達ができ、その日から7人は何をするのも一緒に行動した。
ある夏の暑い日のこと。
リーダー格の少年が、みんなにある提案をした。
「学校に行ってみたくねえか?」
少年は、学校についてよく知らなかった。
他の子どもたちは小学校はいつも行っているところとのことで、夏休みで誰もいない近くにある高校へ探検に行く、とのことだった。
子供たちは興味津々で探検に出かけた。
子供たちがやってきたのは、鳴神学園だった。
リーダー格の少年の案内で、破れたフェンスを潜り抜けて校内に侵入した子供たちは、木造の旧校舎にやってきた。
この頃、旧校舎はすでに立ち入り禁止だったが、入り口に立ち入り禁止のテープが貼られているだけで、子供たちが侵入するには簡単だった。
リーダー格の少年は、「探検するにはぴったりの場所だろ?今から探検しよーぜ」と言った。
嫌がる子供もいれば、乗り気の子供もおり、結局、子供たちは旧校舎に入ることにした。
旧校舎の中は、昼間でも薄暗く、木の匂いに満ちていた。
そして、子供たちが歩く度、床はぎいぎいと音を立てた。
最初は、その音に怖がっていた子供たちだったが、だんだんと恐怖が薄れていき、好き勝手に遊び回り始めた。
「これから、みんなで何かして遊ぼうぜ」
彼はどんな遊びをしたと思いますか?
- かくれんぼ
- 宝探し
リーダー格の少年がそう提案し、皆はかくれんぼすることにした。
かくれんぼで誰が鬼になったと思いますか?
- 引っ越したきた少年→七話目エンディング02:さよなら、思い出達
- 他の誰か
鬼が数を数える声と同時に、子供たちは散り散りに走り出し、それぞれが思い思いの場所に身を潜めた。
少年は、近くの教室にあった掃除道具入れに身を隠すことにした。
少年が道具入れのドアを閉めると、目の前には完全な闇が広がっていた。
完全な闇の中で、少年はひたすら扉が開くまで待っていた。
けれど、扉は一向に開かれることはなかった。
それどころか、外からの声が一切聞こえてこなかったが、少年は扉が閉まっているからだと多い、さして気にも止めなかった。
そうこうしている内に、少年はだんだんと眠くなってきて、そのままうとうとと眠りに落ちてしまった。
次に目が覚めた時、少年は途端に怖くなり、「怖いよ!出して!!」とがむしゃらにあちこち叩いた。
途端に扉が開いて、少年は勢いよく放り出されて、床に膝を強く打ち付けた。
「痛いよぉ、お母さん・・・」
少年のすすり泣く声が教室に響いたが、誰もそれを聞いている人はいなかった。
少年が掃除用具入れから出た時には、外はすっかり日が落ち、空には丸い月が煌々と光っていた。
少年は痛む膝をさすりながら立ち上がり、よろよろと廊下に出た。
月明かりのみで照らされた廊下は、端まで光が届かず暗い闇が横たわっていた。
少年は、泣きそうになるのを必死に堪えながら、一歩踏み出した。
お母さんのところに帰りたい・・・その思いだけが少年を突き動かしていた。
その時、前方の闇の中、さらにその闇よりも濃く、濃縮された漆黒の何かが少年に近づいてきていた。
目を凝らしてみると、それを一本の腕で、なめらかに動きながらこちらに手招きしていた。
「ねえ、僕、お母さんのところに帰りたいよ。僕をおうちにかえしてよ」と少年は、手に母親のところに帰りたいと訴えてみた。
すると、手はぴたりと動きを止め、少年に囁いた。
「ダメよ。あなたはまだかくれんぼの途中でしょ。見つけてもらわなければ帰れないわ」
「じゃあ僕はどうしたらいいの?」
「こっちへいらっしゃい。私と一緒に待ちましょう。見つけてもらえれば、あたなはおうちに帰れるわ。さあ、私の手を取って」
少年は、その言葉を信じて、その漆黒の手を取った。
「少年は、ずっと皆が来るのを待っていました。けど、いつまでたっても皆は、少年のことを探しに来てはくれませんでした」
福沢「そんな、噓でしょ」
新堂「お前、修一って、まさか」
「誠にいちゃん、皆、どうして僕を探しに来てくれなかったの?」
新堂「修一、違うんだ。俺たちはお前のことを探したんだ。でも、いくら探しても、お前は見つからなくて、だから先に帰っちまったもんだと思って、帰っちまったんだよ。決して、お前をさがしてなかったわけじゃねえ!」
風間「そうさ、皆、お前のことをとても心配したんだ。本当だよ」
風間さん・・・望にいちゃんが恐れおののいた目で、僕のことを見ていた。
「僕知っているんだ。あの手が教えくれた。皆は僕がいなくなったことを、お母さんたちに言わなかったって」
荒井「言っても信じてもらえないと思ったんですよ。旧校舎はしらみつぶしに調べましたし、神隠しなんて非現実的なことがあるわけないと思ってましたから。だから修一君は、かくれんぼに飽きて、どこかに行ってしまったと思ったんです」
「僕はこの集会で誰かが僕の話をしてくれるんじゃないかって期待してたんだ。でも、皆は僕のことを欠片も話してくれなかった。皆、僕の事、忘れたかったんでしょ?なかったことにしたかったんでしょ?」
細田「違う!みんなはどうか知らないけど、僕は修ちゃんのことを忘れたことないよ!だって、数少ない友達だったもの。けど、あのあと団地は取り壊されることになって、皆とも離ればなれになっちゃって、だから、気付くのが少し遅れちゃっただけだよ!」
皆の言葉は嘘にまみれていた。皆から出るのは、取り繕った嘘ばかりだ。
岩下「私たちをどうするの?」
明美ねえちゃんがぼそっと呟いた。
「どうもしないよ。皆の気持ちがわかったから、僕はもう行くよ」
皆を背にして、坂上は歩き出した。 部室を出ると、そこには見慣れた闇が広がっていた。そして、その暗がりの中から、黒い美しい手が現れた。
「お友達に会えてよかったね」
「うん、でも皆、僕のことを忘れてたんだよ」
黒い手は優しく僕を抱きしめた。
「人間なんてそんなものよ。あいつらは忘れるようにできている生き物なの。でも、私は違うわ。還りましょう、私たちの居場所へ」
「うん」
手を繋いで僕らは、歩き出した。
僕は、また還っていく。この常闇の深淵へと。
七話目エンディング03:僕の還る場所
CGギャラリー:12/124
77:還ろう、あの場所へ
78:泣かないで・・・
「人間なんてそんなものよ。あいつらは忘れるようにできている生き物なの。でも、私は違うわ。還りましょう、私たちの居場所へ」
「うん」
手を繋いで僕らは、歩き出した。
僕は、また還っていく。この常闇の深淵へと。
七話目エンディング03:僕の還る場所
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77:還ろう、あの場所へ
78:泣かないで・・・
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情の狭間→福沢エンディング20~22
6人目は新堂誠を選択→シナリオ:呪いのマンシール→新堂エンディング06~08
結局7人目は現れなかったので、みんなは部室を出ようと席から立ちあがる。
坂上は、「待ってください」とみんなに声を掛ける。
「僕が怖い話をします。七不思議は七つ揃わないと終わりませんから。皆さんに気に入ってもらえるような怖い話ができるように頑張りますから、どうか席に戻ってもらえないでしょうか」
坂上の言葉に一同は顔を見合わせると、ぞろぞろと席に戻った。
昔、この付近に大きな団地があったが、老朽化のため10年くらい前に取り壊されてしまって、今はない。
その団地にある少年が住んでいた。
彼は引っ越してて来たばかりでまだ友達がおらず、いつも団地の隅にあるブランコで遊んでいた。
そんなある日、誰かが少年に声を掛けてきた。
「お前、一人で何してんだよ」
少年に声を掛けてきたのは、少年と近い歳の活発そうな少年だった。
「俺たちと一緒に遊ばねえか?仲間にも紹介してやるよ」
そう言って、彼は少年の手を引っ張って、公園の茂みの中に連れて行った。
少年が連れていかれた場所には、少年と近い歳ごろの子供たちが数人おり、思い思いに遊んでいた。
「こいつも今日から仲間だ」と紹介されると、他の子どもたちは素直に受け入れてくれた。
「皆この団地に住んでいる奴らなんだぜ。お前も今日から俺たちに仲間だ。これからは一緒に遊ぼうぜ」
「うん、よろしく」
こうして一人ぼっちだった少年に友達ができ、その日から7人は何をするのも一緒に行動した。
ある夏の暑い日のこと。
リーダー格の少年が、みんなにある提案をした。
「学校に行ってみたくねえか?」
少年は、学校についてよく知らなかった。
他の子どもたちは小学校はいつも行っているところとのことで、夏休みで誰もいない近くにある高校へ探検に行く、とのことだった。
子供たちは興味津々で探検に出かけた。
子供たちがやってきたのは、鳴神学園だった。
リーダー格の少年の案内で、破れたフェンスを潜り抜けて校内に侵入した子供たちは、木造の旧校舎にやってきた。
この頃、旧校舎はすでに立ち入り禁止だったが、入り口に立ち入り禁止のテープが貼られているだけで、子供たちが侵入するには簡単だった。
リーダー格の少年は、「探検するにはぴったりの場所だろ?今から探検しよーぜ」と言った。
嫌がる子供もいれば、乗り気の子供もおり、結局、子供たちは旧校舎に入ることにした。
旧校舎の中は、昼間でも薄暗く、木の匂いに満ちていた。
そして、子供たちが歩く度、床はぎいぎいと音を立てた。
最初は、その音に怖がっていた子供たちだったが、だんだんと恐怖が薄れていき、好き勝手に遊び回り始めた。
「これから、みんなで何かして遊ぼうぜ」
彼はどんな遊びをしたと思いますか?
- かくれんぼ
- 宝探し
リーダー格の少年がそう提案し、皆はかくれんぼすることにした。
かくれんぼで誰が鬼になったと思いますか?
- 引っ越してきた少年
- 他の誰か
少年は百数えたあと、近くの教室から順々に探して回ったが、誰一人として見つからなかった。
やがて、校舎に茜色の陽が差し込み、周囲をオレンジ色の染め上げていく頃、少年は皆を探すことを諦めて、泣きながら家路についた。
団地に着くと、ちょうど少年の母親が買い物袋を提げて歩いているところに出くわした。
少年は母親に抱きついて、たどたどしい言葉で一部始終を母親に伝えた。
「そう、かくれんぼの途中でお友達が帰っちゃったの」
「一生懸命探したのに、見つからないんだもん。あ!」
気が付けば、少年の前方に自分を置き去りにした子供たちが楽しそうに公園ではしゃぎまわっていた。
「お母さん、あの子たちだよ。あの子たちがかくれんぼの途中で僕を放って帰っちゃったの」
「どの子かしら?」
ところが少年の母親は、彼が指さした方を見ても、首を傾げるばかり。
「お母さん、あそこだよ」
「誰もいないけど・・・」
少年は驚いて母親の顔を見た。
そして、もう一度公園を見ると、さっきまではしゃいでいた彼らはいなくなっていた。
「変な子ねえ。もうすぐご飯だから家に入りましょ」
母親はそう言うと、少年を抱きかかえて家に入った。
それからです。
少年に他人には見ることができない。不思議な彼らとのつながりができたのは。
その後、少年は父親の転勤が決まり、団地から引っ越した。
けれど引っ越した先でも、彼らは少年の前に姿を現した。
しかも、彼らは、少年が成長するにつれて同じように成長していった。
少年は、彼らとは気づかず、成長した彼らとまた友達になって、そして、そんなことを何度も繰り返した。
けれど少年は、歳をとるにつれて、それは幻だということを悟った。少年にしか見えない彼らは、少年の妄想の産物だった。そして、少年は坂上自身だった。
「そう、あなた方は、僕が生んだ幻影なんです」
「お前、何言ってるんだよ」
新堂が呆れた顔で、坂上を見る。
「今日の集会ですけど、本当は今日じゃなくて明日だったんだ。だけど僕は、今日が集会の日だと思い込んでいた。そして、扉を開けるとみんながいた。会が進むにつれて、僕は集会が今日じゃなくて明日だということを思い出した。けれど語り部はまだここにいる。皆に会いたい気持ちが、僕の記憶に妙な綻びを与えるんです。
僕はみんなことが本当に大好きだから、離れたくなかった。でも、もうそれも終わりにしなかならないんだ」
坂上の頬に涙が伝った。
「皆さん、僕はもう一人でも大丈夫です。あの時みたいな子供じゃないですから。一人でも、大丈夫ですよ。さよなら」
坂上は静かに瞳を閉じた。
・・・瞳を開けると、もうそこには皆はいなかった。
「お前、何してんだよ?」
「日野先輩」
扉を開けると、新聞部の先輩の日野がいた。
「部室の前を通ったら、灯りがついているから、誰かいるかと思って。明日の準備か?」
「なんでもないんです・・・」
「お前、何泣いてるんだ?どこか痛いのか?」
坂上はまた瞳を閉じた。
さよなら、僕の思い出達。
七話目エンディング02:さよなら、思い出達
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今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情の狭間→福沢エンディング20~22
6人目は新堂誠を選択。
新堂誠は、3年D組の生徒。
お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
- なんとなく入りました
- 前から憧れていました
ところで、お前気づいているか?この部屋、なんか怪しくないか?
霊ってのはよ、人間の木を敏感に感知するっていうからだ。
よく、怪談をすると霊が集まるというだろ?
怖い話をしているどk、突然背筋がゾグって寒気が走る。
あれはな、そいつの背中を霊が撫ででいるからだぜ。
まさか怖がったりしてねえよな。
まさか怖がったりしてねえよな。
- 怖いです→新堂エンディング07:首なし童子
- 別に怖くありません
でもよ、怖がっているのがお前じゃないとしたら、他の誰かが怖がってるのか?それを察知して霊があつまって来たのか。
だとしたら、もっと厄介だぜ。この霊たちは、これから起きる何かを予測して集まってきたことになる。この集会で何かが起こるってことさ。
シナリオ:呪いマンシール開始!
呪いのマンシールとは、子供の頃に流行ったチョコのおまけに入っているシールで、中のシールだけ欲しくて、肝心のチョコを捨ててしまって大人に怒られりしたものだ。
そのシールには天使、悪魔、神様の3種類あったが、神様のシールはキラと呼ばれており、少ししか入っていないことから、当たったらみんなで大騒ぎしてもんだった。
呪いのマンシールにある噂があった。それは、悪魔シールには数万枚に1枚、本物の悪魔を呼び出せるシールがあるというものだ。なんでも呼び出された悪魔は、呼び出した人間の願いを、その力で叶えてくれるそうだ。
お前、こんな噂信じられるか?
- 信じられる→新堂エンディング07:首なし童子
- 信じられない→新堂エンディング06:心に潜む悪魔
- そういう事もあるかもしれない
1年生の森永が、部屋を掃除したら出てきた、と言って、呪いのマンシールがコレクションされたアルバムを学校に持ってきた。
みんなが小学生の時に流行っていたので、クラスメートたちは口々に懐かしいと言っていた。
「あ、首なし童子」もあんじゃん」
「このシールってさ、ガキ相手のオモチャなのに、キャラクターのデザインがヤバいって、どっかのPTAがメーカーに文句いって生産中止になったんだろ?」
「それはガゼだぞ。本当は販売していた会社の社長が変な宗教にハマったのだ原因だってよ」
「それこそガゼじゃん」
そんな感じで、みんなで盛り上がっていたら、千葉裕樹っていう、クラスではあまり目立たないヤツが話しかけてきた。
「森永君、お願いがあるんだ。このアルバムを僕に売ってくれないか」
それで、森永はからかい半分に、5万円で売ってやるよと言った。
千葉は躊躇なく5万円を森永に渡すと、そそくさとアルバムを持って帰ってしまった。
千葉は、呪いのマンシールのコレクターだったのだ。
千葉の両親は医者だったので、安い買い物だったのだろう。
千葉の家にはアルバム十数冊におよぶ呪いのマンシールのコレクションがあったそうだ。
帰宅した千葉は、森永から買い取ったアルバムから呪いのマンシールを一つずつ丁寧に取り出し、うっとりとした表情で眺めて楽しんでいた。
「これで全種類コンプリートだ」
森永から買い取ったコレクションには、千葉がまだ持っていなかったシールが何点かあったのだ。
ふと、千葉はおかしなシールがあることに気づいた。
森永から買い取ったシールの一つに、シールの隅に小さく何か指示す手のマークが入っていた。
その時、千葉は、悪魔を呼び出せるシールの噂を思い出した。
「まさかね。でもまるで、この方向にめくれって、言っているみたいだな」
千葉がそのシールについて思いめぐらせていると、家の電話がなった。両親が不在のため、千葉が応対した。
「おい、てめえ、千葉。ふざけるんじゃねえ!」
「誰?」
「森永だ」
なぜかマジ切れしている森永に千葉が戸惑っていると、森永がこう言い出した。
「詳しいヤツに聞いたぞ。お前に売った俺のシールの中にmマニアの間では数十万えで取引されているシールがあったんだってな!!」
「どのシールの事?」
「首なし童子だよ!」
千葉が、さっきまで悪魔を呼び出せるのではないかと考えていたシールが、その首なし童子のシールだった。
だが、千葉は森永に冷静に説明した。
「それは呪いのマンアイスの方の首なし童子のことだよ。森永君から買った首なし童子はチョコの方だから。特に高値で取引されるシールじゃないんだ」
その言葉に森永は激怒した。
「嘘つけ!テメェは俺が何も知らないと思ってて、俺から安く買い叩いたんだ!」
「嘘じゃないって!それに僕は換金目的で集めているワケじゃないから、誰かに売るとか考えたこともないよ」
「テメェは信用できねえ!!」
まったく聞く耳を持たない森永に、だんだん腹が立ってきた千葉は、売り言葉に買い言葉できつく言い返してしまった。
「変な言いがかりはやめてよ。大体5万円でって言ったのは、君じゃないか」
「俺は何も知らなかったからだ!お前は、そんな俺をだましたんだ」
「話にならないね。あれはもう僕のものだから、返す気なんてないよ。もう切るね」
そう言って、千葉は電話を切った。
部屋に戻った千葉は、悪魔を呼び出せるシールをどうやって使えばいいか再び考え始めた。
お前だったら、どうするよ?シールをはがしてみる?
- はがしてみる
- 怖くてできない→新堂エンディング06:心に潜む悪魔
千葉がその呪文を唱えると、背筋を撫でられるような不気味な感覚が襲ってきた。
千葉が窓の外を見ると、さっきまでは晴れていたのに雨が降っていた。
呪文を最後まで唱えると、遠くて大きな雷鳴が響き、思わず千葉は目を閉じた。
千葉が目を開けると、着物を着た、首から上を切り取られた子供が立っていた。
噂通りシールから召喚された悪魔は、千葉の心に語り掛けてきた。
「問おう!お前の望みはなんだ」
お前だったら、こんな時は何を願う?
- 自分の未来を教えてくれ→新堂エンディング07:首なし童子
- 森永を殺してくれ
- わからない
「その願い、聞き入れた」
首なし童子をそういうと煙のように消えた。
窓の外を見ると、先ほどまでの雷鳴と打って変わって青空が広がっていた。
千葉は次の日、学校へ向かった。
教室に入った千葉の耳に入ってきたのは、森永が自殺らしい、という話題だった。
なんでも駅のホームにフラフラと入っていくのを通行人が目撃し、そのままホームに飛び込んで電車にはねられたらしい。
「首がね、まだ見つかってないらしいわよ」
「噂は本当だったんだ。これでもう僕の邪魔をするやつをいなくなったんだ。僕の呪いのマンシールコレクションは完璧になったんだ!」
学校から帰った千葉が呪いのマンシールのアルバムを見ていたとき、再び首なし童子が現れた。
「願いを聞き入れた代償として、お前の一番大事なものをもらおう」
「そんな、聞いてないよ!」
「聞かなかったお前が悪い。我が何の代償もなしに、お前に力を貸すとでも?」
千葉は困った。
一番大事なもの・・・そう考えて、千葉は自分の中に大事なものがないことに気づいた。
両親は自分が幼いころから、自分を操り人形のように扱い、自分の意思を尊重してくれることなど、一度もなかった。感謝よりも憎しみのほうが強いくらいだ。
千葉がさんざん考えた結果、自分の一番大事なものは、目の前にある呪いのマンシールのコレクションだった。
「だめだ!このコレクションは僕の命より大事なものなんだ」
「ならば、お前の首をもらうことにしよう」
「え?」
千葉が声を発した同時に鮮血があたりに舞った。
斜めになった視界に先に、自分の首のない体があった。
そして、それを最期に千葉の意識は途絶えた。
夜、いつまで経っても部屋から出てこない千葉を心配した母親が部屋に入ると、首のない千葉の死体だけが転がっていたそうだ。
そして、その片隅には、見たこともない呪いのマンシールが落ちていた。そのシールの顔は、どことなく千葉の顔に似ていたそうだ。
結局7人目は来なかったな。
新堂エンディング08:呪いのマンシール千葉
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情の狭間→福沢エンディング20~22
6人目は新堂誠を選択。
新堂誠は、3年D組の生徒。
お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
- なんとなく入りました
- 前から憧れていました
ところで、お前気づいているか?この部屋、なんか怪しくないか?
霊ってのはよ、人間の木を敏感に感知するっていうからだ。
よく、怪談をすると霊が集まるというだろ?
怖い話をしているどk、突然背筋がゾグって寒気が走る。
あれはな、そいつの背中を霊が撫ででいるからだぜ。
まさか怖がったりしてねえよな。
- 怖いです→新堂エンディング07:首なし童子
- 別に怖くありません
でもよ、怖がっているのがお前じゃないとしたら、他の誰かが怖がってるのか?それを察知して霊があつまって来たのか。
だとしたら、もっと厄介だぜ。この霊たちは、これから起きる何かを予測して集まってきたことになる。この集会で何かが起こるってことさ。
シナリオ:呪いマンシール開始!
呪いのマンシールとは、子供の頃に流行ったチョコのおまけに入っているシールで、中のシールだけ欲しくて、肝心のチョコを捨ててしまって大人に怒られりしたものだ。
そのシールには天使、悪魔、神様の3種類あったが、神様のシールはキラと呼ばれており、少ししか入っていないことから、当たったらみんなで大騒ぎしてもんだった。
呪いのマンシールにある噂があった。それは、悪魔シールには数万枚に1枚、本物の悪魔を呼び出せるシールがあるというものだ。なんでも呼び出された悪魔は、呼び出した人間の願いを、その力で叶えてくれるそうだ。
お前、こんな噂信じられるか?
- 信じられる→新堂エンディング07:首なし童子
- 信じられない
- そういう事もあるかもしれない
ところが、いたんだよ。鳴神に昔、その悪魔を呼び出すシールを持ってた奴がな。
俺が話すのは、その悪魔のシールを手に入れた男が辿った末路だ。
1年生の森永が、部屋を掃除したら出てきた、と言って、呪いのマンシールがコレクションされたアルバムを学校に持ってきた。
みんなが小学生の時に流行っていたので、クラスメートたちは口々に懐かしいと言っていた。
「あ、首なし童子」もあんじゃん」
「このシールってさ、ガキ相手のオモチャなのに、キャラクターのデザインがヤバいって、どっかのPTAがメーカーに文句いって生産中止になったんだろ?」
「それはガゼだぞ。本当は販売していた会社の社長が変な宗教にハマったのだ原因だってよ」
「それこそガゼじゃん」
そんな感じで、みんなで盛り上がっていたら、千葉裕樹っていう、クラスではあまり目立たないヤツが話しかけてきた。
「森永君、お願いがあるんだ。このアルバムを僕に売ってくれないか」
それで、森永はからかい半分に、5万円で売ってやるよと言った。
千葉は躊躇なく5万円を森永に渡すと、そそくさとアルバムを持って帰ってしまった。
千葉は、呪いのマンシールのコレクターだったのだ。
千葉の両親は医者だったので、安い買い物だったのだろう。
千葉の家にはアルバム十数冊におよぶ呪いのマンシールのコレクションがあったそうだ。
帰宅した千葉は、森永から買い取ったアルバムから呪いのマンシールを一つずつ丁寧に取り出し、うっとりとした表情で眺めて楽しんでいた。
「これで全種類コンプリートだ」
森永から買い取ったコレクションには、千葉がまだ持っていなかったシールが何点かあったのだ。
ふと、千葉はおかしなシールがあることに気づいた。
森永から買い取ったシールの一つに、シールの隅に小さく何か指示す手のマークが入っていた。
その時、千葉は、悪魔を呼び出せるシールの噂を思い出した。
「まさかね。でもまるで、この方向にめくれって、言っているみたいだな」
千葉がそのシールについて思いめぐらせていると、家の電話がなった。両親が不在のため、千葉が応対した。
「おい、てめえ、千葉。ふざけるんじゃねえ!」
「誰?」
「森永だ」
なぜかマジ切れしている森永に千葉が戸惑っていると、森永がこう言い出した。
「詳しいヤツに聞いたぞ。お前に売った俺のシールの中にmマニアの間では数十万えで取引されているシールがあったんだってな!!」
「どのシールの事?」
「首なし童子だよ!」
千葉が、さっきまで悪魔を呼び出せるのではないかと考えていたシールが、その首なし童子のシールだった。
だが、千葉は森永に冷静に説明した。
「それは呪いのマンアイスの方の首なし童子のことだよ。森永君から買った首なし童子はチョコの方だから。特に高値で取引されるシールじゃないんだ」
その言葉に森永は激怒した。
「嘘つけ!テメェは俺が何も知らないと思ってて、俺から安く買い叩いたんだ!」
「嘘じゃないって!それに僕は換金目的で集めているワケじゃないから、誰かに売るとか考えたこともないよ」
「テメェは信用できねえ!!」
まったく聞く耳を持たない森永に、だんだん腹が立ってきた千葉は、売り言葉に買い言葉できつく言い返してしまった。
「変な言いがかりはやめてよ。大体5万円でって言ったのは、君じゃないか」
「俺は何も知らなかったからだ!お前は、そんな俺をだましたんだ」
「話にならないね。あれはもう僕のものだから、返す気なんてないよ。もう切るね」
そう言って、千葉は電話を切った。
部屋に戻った千葉は、悪魔を呼び出せるシールをどうやって使えばいいか再び考え始めた。
お前だったら、どうするよ?シールをはがしてみる?
- はがしてみる→新堂エンディング07:首なし童子
- 怖くてできない
でもな、千葉もそのシールをめくらなかったんだ。
千葉の理由は、シールをめくると価値がなくなるからだった。
首なし童子自身の価値も高かったが、収集家の間ではプリトントミスしたシールは、さらに高値で取引されていた。
結局、千葉はそのシールを、コレクションの一つとして、大事にアルバムに仕舞うことにした。
次の日、学校に登校した千葉は真っ先に森永から声をかけられた。
「おい、千葉」と言った森永は、千葉の机に5万円を投げ捨てた。
「金は返す。だから俺に呪いのマンシールを返せ!」
「取引はもう成立した。あれはもう僕のものだ。君がお金を返すと言ったところで、返す気はないよ!」
森永はいきなり千葉の胸蔵を掴んだ。
千葉も負けじと森永をにらみ返した。
誰かが職員室までちくりに行ったらしく、あわてた先生が2人を生徒指導室へ連れて行き、事情を聞いた。
森永は、自分の呪いのマンシールのアルバムを千葉に5万円で売ったが、次の日に返してほしいともちかけて、断られたことを先生に話した。
事態は思わぬ方向に動いた。
先生たちは、森永が千葉を恐喝して、呪いのマンシールを5万円で売りつけたとして退学処分にした。
森永は呪いのマンシールは手元に戻ったが、自分は退学処分になってしまい。両親はカンカンで、家庭は滅茶苦茶になってしまった。
驚いたのは千葉も同じだった。
森永から手に入れた呪いのマンシールを没収され、手元には代金の5万円だけが残った。
どうやらこの一件には千葉の両親が絡んでおり、学校に圧力をかけて、森永を辞めさせたらしい。
事件から少しして、千葉を家に帰ると、母親が千葉の部屋を片付けていた。
「掃除よ。余計なものは捨てておきましたからね」と母親が言うのを聞いた千葉は、呪いのマンシールをコレクションしたアルバムがなくなっていることに気づいた。
「母さん、この棚にあったアルバムは?」
「捨てましたよ。こんなものばかり集めているからほかの子になめられるのよ。捨てて正解よ、あんなゴミは!」
千葉にとって、呪いのマンシールの収集は自分のすべてと言ってもよかった。
親にいわれたまま、ただ勉強だけを黙々としてきた千葉にとって、唯一、自分で選んだものだった。
それを否定されることは、自分を否定されることと一緒だった。
部屋には母親が生けたらしい高価そうなガラスの花瓶があった。
千葉をそれを両手に持って、母親の後頭部に思いっきり叩きつけた。
悲鳴をあげ、前のめりになった母親に馬乗りになり、千葉は何度も花瓶を叩きつけた。
「ゴミだと!僕の大事なコレクションをゴミ呼ばわりするお前のほうがゴミだ!死ね!僕の前から消えろ!」
千葉は、これまで押さえつけられていたうっぷんをはらすかの如く、長い間母親を殴り続けた。
しばらくして、気持ちが落ち着いた千葉は、自分がとんでもないことをしたことに気づいた。
「これも全部、あいつのせいだ!あいつが大人しく、僕に呪いのマンシールを譲っていれば」
ぶつぶつをつぶやきながら、千葉はゆっくりと立ち上がった。
千葉は、探していた森永を見つけた。
森永は画工にいた頃に比べて、頬はやせこけ、目はくぼんでおり、死神のように見えた。
そして、森永の右手には金属バットが握られていた。
そう、森永も自分の学生生活を滅茶苦茶にした千葉に復讐してやろうと思っていたのだ。
お互い発した言葉は同じだった。
「死ね!」
しばらくして、現場を通りかかった通行人が見たのは、心臓に出刃包丁が刺さった森永と頭蓋骨が陥没し、脳みそが飛び出した千葉の死体だった。
そして、傍らには、首なし童子のシールも・・・
悪魔なんて出てこなかった?
悪魔を呼び出すシールってのは当たってたと思うぜ。
そう、人の心の中の悪魔を呼び出す・・・な。
結局7人目は来なかったな。
新堂エンディング06:心に潜む悪魔
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択→シナリオ:愛と友情の狭間→福沢エンディング20~22
6人目は新堂誠を選択。
新堂誠は、3年D組の生徒。
お前がどうして新聞部に入ったのか教えてくれ
- なんとなく入りました
- 前から憧れていました
ところで、お前気づいているか?この部屋、なんか怪しくないか?
霊ってのはよ、人間の木を敏感に感知するっていうからだ。
よく、怪談をすると霊が集まるというだろ?
怖い話をしているどk、突然背筋がゾグって寒気が走る。
あれはな、そいつの背中を霊が撫ででいるからだぜ。
まさか怖がったりしてねえよな。
- 怖いです
- 別に怖くありません
霊に精神を食われないように、しっかりと自分を保つんだ。
シナリオ:呪いマンシール開始!
呪いのマンシールとは、子供の頃に流行ったチョコのおまけに入っているシールで、中のシールだけ欲しくて、肝心のチョコを捨ててしまって大人に怒られりしたものだ。
そのシールには天使、悪魔、神様の3種類あったが、神様のシールはキラと呼ばれており、少ししか入っていないことから、当たったらみんなで大騒ぎしてもんだった。
呪いのマンシールにある噂があった。それは、悪魔シールには数万枚に1枚、本物の悪魔を呼び出せるシールがあるというものだ。なんでも呼び出された悪魔は、呼び出した人間の願いを、その力で叶えてくれるそうだ。
お前、こんな噂信じられるか?
- 信じられる
- 信じられない
- そういう事もあるかもしれない
1年生の森永が、部屋を掃除したら出てきた、と言って、呪いのマンシールがコレクションされたアルバムを学校に持ってきた。
みんなが小学生の時に流行っていたので、クラスメートたちは口々に懐かしいと言っていた。
「あ、首なし童子」もあんじゃん」
「このシールってさ、ガキ相手のオモチャなのに、キャラクターのデザインがヤバいって、どっかのPTAがメーカーに文句いって生産中止になったんだろ?」
「それはガゼだぞ。本当は販売していた会社の社長が変な宗教にハマったのだ原因だってよ」
「それこそガゼじゃん」
そんな感じで、みんなで盛り上がっていたら、千葉裕樹っていう、クラスではあまり目立たないヤツが話しかけてきた。
「森永君、お願いがあるんだ。このアルバムを僕に売ってくれないか」
それで、森永はからかい半分に、5万円で売ってやるよと言った。
千葉は躊躇なく5万円を森永に渡すと、そそくさとアルバムを持って帰ってしまった。
千葉は、呪いのマンシールのコレクターだったのだ。
千葉の両親は医者だったので、安い買い物だったのだろう。
千葉の家にはアルバム十数冊におよぶ呪いのマンシールのコレクションがあったそうだ。
帰宅した千葉は、森永から買い取ったアルバムから呪いのマンシールを一つずつ丁寧に取り出し、うっとりとした表情で眺めて楽しんでいた。
「これで全種類コンプリートだ」
森永から買い取ったコレクションには、千葉がまだ持っていなかったシールが何点かあったのだ。
ふと、千葉はおかしなシールがあることに気づいた。
森永から買い取ったシールの一つに、シールの隅に小さく何か指示す手のマークが入っていた。
その時、千葉は、悪魔を呼び出せるシールの噂を思い出した。
「まさかね。でもまるで、この方向にめくれって、言っているみたいだな」
千葉がそのシールについて思いめぐらせていると、家の電話がなった。両親が不在のため、千葉が応対した。
「おい、てめえ、千葉。ふざけるんじゃねえ!」
「誰?」
「森永だ」
なぜかマジ切れしている森永に千葉が戸惑っていると、森永がこう言い出した。
「詳しいヤツに聞いたぞ。お前に売った俺のシールの中にmマニアの間では数十万えで取引されているシールがあったんだってな!!」
「どのシールの事?」
「首なし童子だよ!」
千葉が、さっきまで悪魔を呼び出せるのではないかと考えていたシールが、その首なし童子のシールだった。
だが、千葉は森永に冷静に説明した。
「それは呪いのマンアイスの方の首なし童子のことだよ。森永君から買った首なし童子はチョコの方だから。特に高値で取引されるシールじゃないんだ」
その言葉に森永は激怒した。
「嘘つけ!テメェは俺が何も知らないと思ってて、俺から安く買い叩いたんだ!」
「嘘じゃないって!それに僕は換金目的で集めているワケじゃないから、誰かに売るとか考えたこともないよ」
「テメェは信用できねえ!!」
まったく聞く耳を持たない森永に、だんだん腹が立ってきた千葉は、売り言葉に買い言葉できつく言い返してしまった。
「変な言いがかりはやめてよ。大体5万円でって言ったのは、君じゃないか」
「俺は何も知らなかったからだ!お前は、そんな俺をだましたんだ」
「話にならないね。あれはもう僕のものだから、返す気なんてないよ。もう切るね」
そう言って、千葉は電話を切った。
部屋に戻った千葉は、悪魔を呼び出せるシールをどうやって使えばいいか再び考え始めた。
お前だったら、どうするよ?シールをはがしてみる?
- はがしてみる
- 怖くてできない
千葉がその呪文を唱えると、背筋を撫でられるような不気味な感覚が襲ってきた。
千葉が窓の外を見ると、さっきまでは晴れていたのに雨が降っていた。
呪文を最後まで唱えると、遠くて大きな雷鳴が響き、思わず千葉は目を閉じた。
千葉が目を開けると、着物を着た、首から上を切り取られた子供が立っていた。
噂通りシールから召喚された悪魔は、千葉の心に語り掛けてきた。
「問おう!お前の望みはなんだ」
お前だったら、こんな時は何を願う?
- 自分の未来を教えてくれ
- 森永を殺してくれ
- わからない
「その願い、聞き届けた。これがお前の未来だ」と首なし童子は、千葉の額に手を当てながら言った。
「何これ?真っ暗で何も見えないんだけど・・・」
「そうだ、お前には未来がない」
千葉は、人間は最後には死ぬからだと思い、再度願った。
「じゃあ、30年後どう暮らしているか教えてくれよ」
「その願い、聞き入れた」
結果は同じだった。30年後にはもう死んでいる?
開き直った千葉は、どんどん見せてもらえる時期を下げて行った。
「10年後は?」「5年後は?」「畜生!なんで見えないんだよ」「それじゃあ1年後は?」
見える未来は真っ暗だった。
「嘘だろ!僕には1年後すらないってことかよ!」
「そうだお前には、1年後すらない」
「1か月後は?」「1週間後は?」「明日は?」
しかし、見える未来は真っ暗のままだ。
「今だ!今の僕を見せてくれ」
「その願い聞き入れた」
今度は千葉には、はっきりと自分の姿が見えた。
千葉の背後で鬼のような形相の森永が、自分の頭上で鎌を振り下ろす姿を・・・
千葉がどうなったかは俺は知らねえ。ダチから聞いた話だからな。
首なし童子のシールは俺も持ってるぜ。今度見せてやるよ。
そうそう呪いのマンシールには、もつ一つの噂があってな。それは天使シールには数万枚に1枚、本物の天使を呼び出せるシールがあるって話だ。
呼び出された天使は、呼び出した人間を幸福にしてくれるそうだぜ。
千葉も呼び出したのが悪魔じゃ、ロクな目に遭わないろうからな。
結局7人目は来なかったな。
新堂エンディング07:首なし童子
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒。
坂上君は宗教は何なの?
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
- 他の話が聞きたい
私と一緒だ。
私、神様信じてないもん。
そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
すごいでしょ、えへへ。
でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
お父さん、怒った後悩んでいたもん。
どうして会社では暗いんだって。
もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?
- 実はいる
- そんな人はいない
- 宗教の話から離れて
日本人って無宗教の人が多いから、宗教アレルギーって人が結構多いよね。坂上君もそういうクチなんだ。
シナリオ:愛と友情の狭間開始!
数年前のこと、山寺という女子生徒がいた。
なかなか良いルックスをしており、明るい性格で交友関係も広かった。
彼女には、田中というすごく仲のいい友達がいて、お互いのお弁当を交換して食べちゃうくらいだった。
「あー、その卵焼き超美味しそうじゃん?」
「ひとつあげるわ。じゃ、そっちの唐揚げ、もらっていいかしら?」
そんな風に毎日、山寺と田中はわいわいと仲良くしていた。
この二人はお互いに何でも理解し合って、嫌いなところなんて何もないってことはなく、山寺には田中のする話題で、どうしても好きになれないものがひとつだけあったの。
それはホラー映画だった。
田中はホラーの魅力に取り憑かれており、週に一度はレンタルビデオショップに行ってあれこれ借りて、時には深夜まで見ていた。
スプラッター系が特にお気に入りだったみたいで、もちろん新作映画があれば見に行き、山寺はそれに毎度のように誘われた。
「このゾンビ映画、すんごくリアルなメイクらしいの。楽しみだわ」
「へえ、最近の技術はすごいんだね」
田中が嬉々としてしゃべれば、山寺は適当に相槌を打っていたが、山寺は本当は大のホラー嫌いだった。
映画の上映中も、田中が目をキラキラさせて見ている隣で、山寺は冷や汗ダラダラと流していた。
山寺は、田中を悲しませたくないから、寝たふりなんかはできなかった。
「ホラーの話、もうやめてくんない?これからは映画にも付き合わせないで!」
何度も、そう言おうと思ったかわからない。だけど親友だから言えない。
そして田中は、山寺が本当は怖いのが大嫌いってこと、夢にも思っていなかった。だって今まで文句言われたことがないんだから。
本音と建て前は違っていたけれど、二人の日常はとりあえずバランスが取れていた。
田中はホラー以外にも普通に女の子らしい趣味はあったし、そっちでは山寺も気兼ねなく楽しめたから。
けどある日、その微妙なバランスが崩れる出来事が起こった。
山寺は、お気に入りの髪飾りを見ず知らずの男子に踏まれて壊されちゃって、怒っていた。
最近買ったばかりの髪飾りを、山寺は廊下で手に取ってうっとりと眺めていたんだけど、うっかり床に落としてしまい、運悪く踏まれてしまった。
もちろん文句を言ったんだけど、その男子ときたら「いきなり目の前に落す方が悪いだろ」なんて言ってろくに謝りをしなかった。
山寺はむらついていたが、男子相手にケンカして勝てるわけもなし、弁償してもらうこともできず、仕方なく引き下がるしかなかった。
そこへ田中がやってきて、いつものように悪気なく、「明日は土曜日だよね。また新作のホラー映画があるの。一緒に行かない?」と提案してきた。
田中は別の場所にいたので、山寺の髪飾りが壊された一件は知らなかった。
その時、山寺の心の中はどす黒く燃え上がった。自分がこんなに辛い思いをしているのに、なんて無神経なんだろうって。
山寺はとうとう我慢ならなくなって、かついてないほどの大声で怒鳴った。
「いい加減にしてよ!なんで気付いてくれないの。私、怖いのなんて大っ嫌いなの!幽霊もゾンビも殺人鬼も、もう見たくないの!だいたい私ら女子高生だよ。そんな暗い趣味はやめたらどうなの?もう私の前でホラーの話はしないで!」
山寺は今までため込んでか感情を、一気に爆発させた。
言いたいことを全部言い切った山寺は、息を切らしながら親友の目を見た。
「・・・ごめんね」
自分の趣味を正面きって拒否されて、ショックだった田中は、それだけしか言えなかった。
まだ昂った気持ちが収まらない山寺はそのまま田中と別れた。
山寺はさすがに次の日になると落ち着いたけど、しばらくは気まずくて田中と話もできなかった。
田中も田中で、一言もかけられない。
まるで見えない壁が彼女たちの間にできたようで、クラスメイトたちももうビックリで、あれだけ仲良かった親友同士にいったい何があったんだろうって。
山寺は田中と話す踏ん切りがなかなかつかなかったので、彼氏の岸谷に相談した。
岸谷は「勇気をもって話しかけろって。それでいいだろ」と簡単にアドバイスした。
その翌日、山寺は、登校すると真っ先に田中に近づき、「この前はちょっと言い過ぎだよ。ごめんね」と切り出すと、田中は笑ってはいないが、怒っている顔でもなく「うん」と小さく頷いた。
山寺はホッとして、「あの時は気が立っててさ、ついあんな乱暴なこと、ホントごめん。でももう水に流そうよ、ね?」と続けると、田中は「うん」と小さく頷いた。
山寺は最後にこう付け加えた。
「申し訳ないんだけさ、ホラー映画は勘弁っていうのは変わらないから。本当に大嫌いなんだ。これからは映画に誘ったりしないでね?他のならいいからさ」
「うん、誘わないよ」
田中と仲直りして心が楽になった次の日、山寺は同じクラス委員の男子の斎藤と図書室で仲良くしゃべりながら作業していた。
そこへ岸谷がやってきた。
岸谷はこめかみに青筋を浮かばせて、山寺に詰め寄った。
「なんだよ、その男は「
「え?同じクラス委員の人だけど」
「それだけじゃないだろう?今、すごく嬉しそうな顔をしてたじゃないか?俺といる時よりも!!」
「そんなわけないじゃん」
「なんだよその顔は!ひょっとして俺に飽きたから新しい男を探していたとかじゃないだろうな?」
「ちょっと待ってよ、そんなこと」
「いいか、俺以外の男と仲良くするなんて、絶対に許さねえからな!」
反論を一切聞く気がない岸谷は、猛然とその場を立ち去った。
山寺はボロボロと泣いてしまった。
岸谷の決定的な欠点は、めちゃくちゃ嫉妬深いことだった。他の男子といるなんて絶対に許さないっていう考えの持ち主だった。
山寺は岸谷をこれ以上怒らせるのは避けたい、と悩みぬき、納得してもらえるまで話し合おうと考えた。
次の日の放課後、山寺は田中にも協力してもらおうと思いついた。
「あのさ、彼氏のことでちょっと相談があるんだけど、聞いてくんない?」と山寺は気軽な口調で田中に相談を持ちかけた。
「そんな話は聞きたくないわ」
「あのね、本気でトラブってんるんだ。私一人だけじゃ解決できないかもしんないだよ」
「あなたの彼氏の話なんて、興味はないわ」
そう言って、田中は山寺に背中を向け、歩き去った。
そこへ岸谷がやってきた。
「おい!この前の男とまた話していただろう!」
確かに昼休み、斎藤がハンカチを落したから、山寺はそれを拾ってあげて、少し話をしたんだ。
岸谷は休み時間になるたびに山寺を監視しており、しっかりその場面を見ていたのだ。
「浮気するつもりなんだな?」
「いいかげんにしてよ、浮気なんてするわけないじゃん」
とうとう泣き出した山寺だったが、岸谷は矛を収めなかった。
「泣いてみせたってダメだ。そんな風にごまかそうとする女は一番嫌いだ!」
あれこれきついことを言った上で、もう二度とあいつとは話をするなって念を押して、岸谷は言ってしまった。
翌日、山寺はもう一度田中に頼みに行った。
「田中さん、あのさ、彼氏のことで相談が・・・」
「そんな話は聞きたくないわ」
「どうして?私たち親友じゃん」
「彼氏の話なんて聞きたくないわ」
「お願い!」
「聞きたくないわ」
山寺は気付いた。田中があのケンカのこと、本当は許してなかったんだって。ホラー趣味にケチをつけたことを田中はずっと根に持っていたって。
「そんなに、あの時のこと恨んでいるわけ?」
「それだけじゃないわ。あなたが嬉しそうにする彼氏の話、どれだけ辛い思いをしながら聞いていたかわかるかしら?デートの話を聞かされるたび、私はすごくみじめな気持ちになったわ」
そう、田中には彼氏はいなかった。内心、山寺のことが妬ましかったのだ。
「あなたの自慢話、すごく嫌だったわ。彼氏が街中でスカウトされたとか、でも彼女と一緒にいるほうがずっと言われて嬉しかったとか、そんなことを延々と!」
山寺は、田中がホラーの話を嬉々としてしゃべるように、以前から岸谷の話を得意げにしていたが、田中の恨みがましい気持ちに気付いてはいなかった。
「ごめんさない!ホラー映画にもいくらでも付き合うから!だから助けてよ!もう許して!」
「もう遅いわ」
それっきり田中は何も答えなかった。
彼氏の選び方や、彼氏への接し方も含めて、坂上君どう思う?
- かわいそう→福沢エンディング20:壊れた友情
- 自業自得→福沢エンディング21:最高のホラービデオ
- 答えられない
山寺は岸谷の言う通り、徹底的にほかの男子を無視することにした。
しばらくすると、岸谷の機嫌は回復していき、放課後は普通にデートするようになったが、周囲からの評価は下がっていった。
山寺は、男子から話しかけられると、何も答えずその場から去ってしまうため、クラス中のほとんどの男子から相手にされなくなった。
そんなとき、「困ったことがあるなら相談してくれよ」と斎藤が山寺に声を掛けてきた。
斎藤は図書館での一悶着以来、山寺のことが心配だったのだ。
「やめてよ、関わらないで」
「このままじゃクラスで孤立するだろう?君だけでなく、クラス全体での問題でもあるんだ」
「迷惑なの」と振り切るようにして山寺は斎藤から逃げて行った。
その日の放課後、山寺は岸谷から、校舎裏に呼び出された。
岸谷に怒鳴られるのかビクビクしていた山寺だったが、岸谷はニヤニヤしながら、山寺の体をまさぐり始めた。
「なにやっているんだ!」と声をかけたのは、山寺を心配して後を付けてきていた斎藤だった。
岸谷は誤解して「お前、やっぱりあいつと」と言い出した。
「ちが・・・」と言い終わる前に、山寺は胸に激痛を感じた。
そこからナイフの柄が生えていて、血が流れ落ちていた。
その後、山寺は病院に運ばれたが、助からなかった。
岸谷は逃亡して行方不明。
坂上君は、岸谷君の嫉妬深さは異常だと思う?
でもね、人ってどんな些細なことで殺されるか、わかんないんだよね。
例えば坂上君は最初さ、私の話そうとした宗教の話を勝手な都合で断ったでしょ。
私だからいいけどさ、他の人だったら殺意を持ってもおかしくないかもしれないよ。
えっ、なぁに、私は怒ってないよ。
福沢エンディング22:嫉妬の果てに・・・
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒。
坂上君は宗教は何なの?
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
- 他の話が聞きたい
私と一緒だ。
私、神様信じてないもん。
そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
すごいでしょ、えへへ。
でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
お父さん、怒った後悩んでいたもん。
どうして会社では暗いんだって。
もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?
- 実はいる
- そんな人はいない
- 宗教の話から離れて
日本人って無宗教の人が多いから、宗教アレルギーって人が結構多いよね。坂上君もそういうクチなんだ。
シナリオ:愛と友情の狭間開始!
数年前のこと、山寺という女子生徒がいた。
なかなか良いルックスをしており、明るい性格で交友関係も広かった。
彼女には、田中というすごく仲のいい友達がいて、お互いのお弁当を交換して食べちゃうくらいだった。
「あー、その卵焼き超美味しそうじゃん?」
「ひとつあげるわ。じゃ、そっちの唐揚げ、もらっていいかしら?」
そんな風に毎日、山寺と田中はわいわいと仲良くしていた。
この二人はお互いに何でも理解し合って、嫌いなところなんて何もないってことはなく、山寺には田中のする話題で、どうしても好きになれないものがひとつだけあったの。
それはホラー映画だった。
田中はホラーの魅力に取り憑かれており、週に一度はレンタルビデオショップに行ってあれこれ借りて、時には深夜まで見ていた。
スプラッター系が特にお気に入りだったみたいで、もちろん新作映画があれば見に行き、山寺はそれに毎度のように誘われた。
「このゾンビ映画、すんごくリアルなメイクらしいの。楽しみだわ」
「へえ、最近の技術はすごいんだね」
田中が嬉々としてしゃべれば、山寺は適当に相槌を打っていたが、山寺は本当は大のホラー嫌いだった。
映画の上映中も、田中が目をキラキラさせて見ている隣で、山寺は冷や汗ダラダラと流していた。
山寺は、田中を悲しませたくないから、寝たふりなんかはできなかった。
「ホラーの話、もうやめてくんない?これからは映画にも付き合わせないで!」
何度も、そう言おうと思ったかわからない。だけど親友だから言えない。
そして田中は、山寺が本当は怖いのが大嫌いってこと、夢にも思っていなかった。だって今まで文句言われたことがないんだから。
本音と建て前は違っていたけれど、二人の日常はとりあえずバランスが取れていた。
田中はホラー以外にも普通に女の子らしい趣味はあったし、そっちでは山寺も気兼ねなく楽しめたから。
けどある日、その微妙なバランスが崩れる出来事が起こった。
山寺は、お気に入りの髪飾りを見ず知らずの男子に踏まれて壊されちゃって、怒っていた。
最近買ったばかりの髪飾りを、山寺は廊下で手に取ってうっとりと眺めていたんだけど、うっかり床に落としてしまい、運悪く踏まれてしまった。
もちろん文句を言ったんだけど、その男子ときたら「いきなり目の前に落す方が悪いだろ」なんて言ってろくに謝りをしなかった。
山寺はむらついていたが、男子相手にケンカして勝てるわけもなし、弁償してもらうこともできず、仕方なく引き下がるしかなかった。
そこへ田中がやってきて、いつものように悪気なく、「明日は土曜日だよね。また新作のホラー映画があるの。一緒に行かない?」と提案してきた。
田中は別の場所にいたので、山寺の髪飾りが壊された一件は知らなかった。
その時、山寺の心の中はどす黒く燃え上がった。自分がこんなに辛い思いをしているのに、なんて無神経なんだろうって。
山寺はとうとう我慢ならなくなって、かついてないほどの大声で怒鳴った。
「いい加減にしてよ!なんで気付いてくれないの。私、怖いのなんて大っ嫌いなの!幽霊もゾンビも殺人鬼も、もう見たくないの!だいたい私ら女子高生だよ。そんな暗い趣味はやめたらどうなの?もう私の前でホラーの話はしないで!」
山寺は今までため込んでか感情を、一気に爆発させた。
言いたいことを全部言い切った山寺は、息を切らしながら親友の目を見た。
「・・・ごめんね」
自分の趣味を正面きって拒否されて、ショックだった田中は、それだけしか言えなかった。
まだ昂った気持ちが収まらない山寺はそのまま田中と別れた。
山寺はさすがに次の日になると落ち着いたけど、しばらくは気まずくて田中と話もできなかった。
田中も田中で、一言もかけられない。
まるで見えない壁が彼女たちの間にできたようで、クラスメイトたちももうビックリで、あれだけ仲良かった親友同士にいったい何があったんだろうって。
山寺は田中と話す踏ん切りがなかなかつかなかったので、彼氏の岸谷に相談した。
岸谷は「勇気をもって話しかけろって。それでいいだろ」と簡単にアドバイスした。
その翌日、山寺は、登校すると真っ先に田中に近づき、「この前はちょっと言い過ぎだよ。ごめんね」と切り出すと、田中は笑ってはいないが、怒っている顔でもなく「うん」と小さく頷いた。
山寺はホッとして、「あの時は気が立っててさ、ついあんな乱暴なこと、ホントごめん。でももう水に流そうよ、ね?」と続けると、田中は「うん」と小さく頷いた。
山寺は最後にこう付け加えた。
「申し訳ないんだけさ、ホラー映画は勘弁っていうのは変わらないから。本当に大嫌いなんだ。これからは映画に誘ったりしないでね?他のならいいからさ」
「うん、誘わないよ」
田中と仲直りして心が楽になった次の日、山寺は同じクラス委員の男子の斎藤と図書室で仲良くしゃべりながら作業していた。
そこへ岸谷がやってきた。
岸谷はこめかみに青筋を浮かばせて、山寺に詰め寄った。
「なんだよ、その男は「
「え?同じクラス委員の人だけど」
「それだけじゃないだろう?今、すごく嬉しそうな顔をしてたじゃないか?俺といる時よりも!!」
「そんなわけないじゃん」
「なんだよその顔は!ひょっとして俺に飽きたから新しい男を探していたとかじゃないだろうな?」
「ちょっと待ってよ、そんなこと」
「いいか、俺以外の男と仲良くするなんて、絶対に許さねえからな!」
反論を一切聞く気がない岸谷は、猛然とその場を立ち去った。
山寺はボロボロと泣いてしまった。
岸谷の決定的な欠点は、めちゃくちゃ嫉妬深いことだった。他の男子といるなんて絶対に許さないっていう考えの持ち主だった。
山寺は岸谷をこれ以上怒らせるのは避けたい、と悩みぬき、納得してもらえるまで話し合おうと考えた。
次の日の放課後、山寺は田中にも協力してもらおうと思いついた。
「あのさ、彼氏のことでちょっと相談があるんだけど、聞いてくんない?」と山寺は気軽な口調で田中に相談を持ちかけた。
「そんな話は聞きたくないわ」
「あのね、本気でトラブってんるんだ。私一人だけじゃ解決できないかもしんないだよ」
「あなたの彼氏の話なんて、興味はないわ」
そう言って、田中は山寺に背中を向け、歩き去った。
そこへ岸谷がやってきた。
「おい!この前の男とまた話していただろう!」
確かに昼休み、斎藤がハンカチを落したから、山寺はそれを拾ってあげて、少し話をしたんだ。
岸谷は休み時間になるたびに山寺を監視しており、しっかりその場面を見ていたのだ。
「浮気するつもりなんだな?」
「いいかげんにしてよ、浮気なんてするわけないじゃん」
とうとう泣き出した山寺だったが、岸谷は矛を収めなかった。
「泣いてみせたってダメだ。そんな風にごまかそうとする女は一番嫌いだ!」
あれこれきついことを言った上で、もう二度とあいつとは話をするなって念を押して、岸谷は言ってしまった。
翌日、山寺はもう一度田中に頼みに行った。
「田中さん、あのさ、彼氏のことで相談が・・・」
「そんな話は聞きたくないわ」
「どうして?私たち親友じゃん」
「彼氏の話なんて聞きたくないわ」
「お願い!」
「聞きたくないわ」
山寺は気付いた。田中があのケンカのこと、本当は許してなかったんだって。ホラー趣味にケチをつけたことを田中はずっと根に持っていたって。
「そんなに、あの時のこと恨んでいるわけ?」
「それだけじゃないわ。あなたが嬉しそうにする彼氏の話、どれだけ辛い思いをしながら聞いていたかわかるかしら?デートの話を聞かされるたび、私はすごくみじめな気持ちになったわ」
そう、田中には彼氏はいなかった。内心、山寺のことが妬ましかったのだ。
「あなたの自慢話、すごく嫌だったわ。彼氏が街中でスカウトされたとか、でも彼女と一緒にいるほうがずっと言われて嬉しかったとか、そんなことを延々と!」
山寺は、田中がホラーの話を嬉々としてしゃべるように、以前から岸谷の話を得意げにしていたが、田中の恨みがましい気持ちに気付いてはいなかった。
「ごめんさない!ホラー映画にもいくらでも付き合うから!だから助けてよ!もう許して!」
「もう遅いわ」
それっきり田中は何も答えなかった。
彼氏の選び方や、彼氏への接し方も含めて、坂上君どう思う?
- かわいそう→エンディング20:壊れた友情
- 自業自得
- 答えられない
山寺はもう我慢できなかった。だから、岸谷と別れる決意をした。
そして、山寺は自分の考えを突き付けるため、岸谷を呼び出した。
「私、もうあなたの彼女でいられない」
「なんだって!」
「もう耐えられない。ほかの男子と話すな、なんて無理に決まってるじゃん。そこまで束縛されたくないよ。だから、別れる。さよなら!」と山寺は岸谷に背を向けた。
「そうか、やっぱりほかに好きな男ができたのか」
この期に及んで、まだ勘違いしているの?山寺は反論するのもバカらしくなって、無視しようと決めた。
「ほかの男に渡すくらいなら!」
その言葉に続いて、ドスっという音が背中からした。
振り向くと人が変わったようにすさまじい表情で睨みつける岸谷の姿が・・・
山寺が力なくうつふせに倒れると、岸谷はさらに馬乗りになって、ナイフを振りかざした。
「裏切者は殺してやる!」
必死にあがこうとする山寺だったが、とても逃げることは無理だった。
その時、山寺は、校舎の角に人影を見つけた。
「助けて・・・」
けど、信じられないものを見た。
霞んでいく視界の中に映るもの、それは、ビデオカメラだった。
口元の不気味な微笑みを浮かばせ、殺人シーンを収めようとする、悪魔のような顔の誰かが・・・
それから間もなく、山寺は死体で見つかった。とても苦しそうな、絶望した顔で死んでいた。
ちなみに岸谷は行方不明になった。
この事件は山寺のクラスに衝撃を与えた。
だけど、ただ一人、田中は悲しそうな顔を見せるわけでもなく、しかもお葬式の時に微笑んでいるのが目撃された。
田中はそこまで、親友だったはずの山寺を恨んでいた。
「山寺さんが殺される直前に見た、ビデオカメラを回している人物、これはたぶん田中さんじゃないのかな。というか、それしか考えられないよね。
実はさあ、山寺さんの殺害シーンが収められビデオ、今も校内のどこかにあるっているウワサだよ。
ねえ坂上君、次はそのビデオを探すっていう企画をやれば?これこそ最高のホラーじゃない!
そのビデオを見たら、山寺さんの呪いがかかって自分も殺されるとか、いろいろ言われているけどね。私としては、坂上君に新聞部魂を発揮してもらってビデオを探してほしいな」
福沢エンディング21:最高のホラービデオ
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下明美を選択→シナリオ:命の値段→岩下エンディング03~05
5人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒。
坂上君は宗教は何なの?
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
- 他の話が聞きたい
私と一緒だ。
私、神様信じてないもん。
そりゃあ、神頼みくらいはするけど。
私のお父さんの話なんだけどぅ、実話だよ実話。
私のお父さんはね、N証券っていう大きな証券会社に勤めているんだよね、そこの部長さん。
すごいでしょ、えへへ。
でね、ある日自分の部下が大真面目な顔でやってきて、一緒に行ってほしいところがあるって言うんだってさ。
お父さん、親身になって聞いてあげたんだってさ。
彼ったら何にも言わないんだって。ただ一緒に行って欲しいところがあるってそればっかり言うんだってさ。
それでね、次の日曜日、お父さんは彼のために一日あげたの。
そしてらさぁ、どこに連れて行かれたと思う?
公園だよ。公園でね、何人も集まって落ちているゴミを拾うの。ボランティアだよ。
それでさ、それが終わったあと、ボランティアの人たちが全員で輪になって、自分たちがいかに幸せかを語り合うんだって。
それさ、何とかっていう変な宗教だってさ。
ゴミを拾ったり、駅を掃除したり、そうすることによって人徳を高めていくんだって。
お父さん、帰ってきたら怒ってたよ。
ボランティアのときに、猫の絵を描いてあるエプロンをつけさせられてね。
それが、その宗教のシンボル・マークだって言うからしょうがないけどさ。通りすがりのカップルとかが馬鹿にして、笑っていくんだって。
それに子供がわざわざお父さんの前にゴミを捨てたりしてね。それでお父さんが怒ったら、その子のお母さんに誘拐魔扱いされちゃってさ。
それでボランティア活動が終わったら、みんなで毎週来るように誘われちゃって、お父さん、真剣に怒ってたよ。
なんでもその部下の人がね、会社では無口で暗いのに、その時はもうニコニコしちゃってすんごく明るかったんだって。
お父さん、怒った後悩んでいたもん。
どうして会社では暗いんだって。
もちろん、お父さんのボランティアは1日で終わったんだけれどさ。
そのあと部下の人はだんだん会社を休みがちになってさ。
1か月くらいしたら全然来なくなっちゃって、ある日いきなり会社辞めちゃったんだって。
そのあとね、会社の同僚がどっかのターミナル駅の前にある広場で、その人を見かけたんだってさ。
なんでも道行く人の幸せを祈ったり、みんなで歌を合唱したりしてたんだって。とっても幸せそうな顔してたらしいよ。
でもさ、会社に残された人には迷惑だよね。
お父さん、真剣に悩んでたもん。最近の若いもんはわからんって。
坂上君も気を付けたほうがいいよ。まわりにさ、宗教に凝っている人とかいない?
- 実はいる
- そんな人はいない
- 宗教の話から離れて
日本人って無宗教の人が多いから、宗教アレルギーって人が結構多いよね。坂上君もそういうクチなんだ。
シナリオ:愛と友情の狭間開始!
数年前のこと、山寺という女子生徒がいた。
なかなか良いルックスをしており、明るい性格で交友関係も広かった。
彼女には、田中というすごく仲のいい友達がいて、お互いのお弁当を交換して食べちゃうくらいだった。
「あー、その卵焼き超美味しそうじゃん?」
「ひとつあげるわ。じゃ、そっちの唐揚げ、もらっていいかしら?」
そんな風に毎日、山寺と田中はわいわいと仲良くしていた。
この二人はお互いに何でも理解し合って、嫌いなところなんて何もないってことはなく、山寺には田中のする話題で、どうしても好きになれないものがひとつだけあったの。
それはホラー映画だった。
田中はホラーの魅力に取り憑かれており、週に一度はレンタルビデオショップに行ってあれこれ借りて、時には深夜まで見ていた。
スプラッター系が特にお気に入りだったみたいで、もちろん新作映画があれば見に行き、山寺はそれに毎度のように誘われた。
「このゾンビ映画、すんごくリアルなメイクらしいの。楽しみだわ」
「へえ、最近の技術はすごいんだね」
田中が嬉々としてしゃべれば、山寺は適当に相槌を打っていたが、山寺は本当は大のホラー嫌いだった。
映画の上映中も、田中が目をキラキラさせて見ている隣で、山寺は冷や汗ダラダラと流していた。
山寺は、田中を悲しませたくないから、寝たふりなんかはできなかった。
「ホラーの話、もうやめてくんない?これからは映画にも付き合わせないで!」
何度も、そう言おうと思ったかわからない。だけど親友だから言えない。
そして田中は、山寺が本当は怖いのが大嫌いってこと、夢にも思っていなかった。だって今まで文句言われたことがないんだから。
本音と建て前は違っていたけれど、二人の日常はとりあえずバランスが取れていた。
田中はホラー以外にも普通に女の子らしい趣味はあったし、そっちでは山寺も気兼ねなく楽しめたから。
けどある日、その微妙なバランスが崩れる出来事が起こった。
山寺は、お気に入りの髪飾りを見ず知らずの男子に踏まれて壊されちゃって、怒っていた。
最近買ったばかりの髪飾りを、山寺は廊下で手に取ってうっとりと眺めていたんだけど、うっかり床に落としてしまい、運悪く踏まれてしまった。
もちろん文句を言ったんだけど、その男子ときたら「いきなり目の前に落す方が悪いだろ」なんて言ってろくに謝りをしなかった。
山寺はむらついていたが、男子相手にケンカして勝てるわけもなし、弁償してもらうこともできず、仕方なく引き下がるしかなかった。
そこへ田中がやってきて、いつものように悪気なく、「明日は土曜日だよね。また新作のホラー映画があるの。一緒に行かない?」と提案してきた。
田中は別の場所にいたので、山寺の髪飾りが壊された一件は知らなかった。
その時、山寺の心の中はどす黒く燃え上がった。自分がこんなに辛い思いをしているのに、なんて無神経なんだろうって。
山寺はとうとう我慢ならなくなって、かついてないほどの大声で怒鳴った。
「いい加減にしてよ!なんで気付いてくれないの。私、怖いのなんて大っ嫌いなの!幽霊もゾンビも殺人鬼も、もう見たくないの!だいたい私ら女子高生だよ。そんな暗い趣味はやめたらどうなの?もう私の前でホラーの話はしないで!」
山寺は今までため込んでか感情を、一気に爆発させた。
言いたいことを全部言い切った山寺は、息を切らしながら親友の目を見た。
「・・・ごめんね」
自分の趣味を正面きって拒否されて、ショックだった田中は、それだけしか言えなかった。
まだ昂った気持ちが収まらない山寺はそのまま田中と別れた。
山寺はさすがに次の日になると落ち着いたけど、しばらくは気まずくて田中と話もできなかった。
田中も田中で、一言もかけられない。
まるで見えない壁が彼女たちの間にできたようで、クラスメイトたちももうビックリで、あれだけ仲良かった親友同士にいったい何があったんだろうって。
山寺は田中と話す踏ん切りがなかなかつかなかったので、彼氏の岸谷に相談した。
岸谷は「勇気をもって話しかけろって。それでいいだろ」と簡単にアドバイスした。
その翌日、山寺は、登校すると真っ先に田中に近づき、「この前はちょっと言い過ぎだよ。ごめんね」と切り出すと、田中は笑ってはいないが、怒っている顔でもなく「うん」と小さく頷いた。
山寺はホッとして、「あの時は気が立っててさ、ついあんな乱暴なこと、ホントごめん。でももう水に流そうよ、ね?」と続けると、田中は「うん」と小さく頷いた。
山寺は最後にこう付け加えた。
「申し訳ないんだけさ、ホラー映画は勘弁っていうのは変わらないから。本当に大嫌いなんだ。これからは映画に誘ったりしないでね?他のならいいからさ」
「うん、誘わないよ」
田中と仲直りして心が楽になった次の日、山寺は同じクラス委員の男子の斎藤と図書室で仲良くしゃべりながら作業していた。
そこへ岸谷がやってきた。
岸谷はこめかみに青筋を浮かばせて、山寺に詰め寄った。
「なんだよ、その男は「
「え?同じクラス委員の人だけど」
「それだけじゃないだろう?今、すごく嬉しそうな顔をしてたじゃないか?俺といる時よりも!!」
「そんなわけないじゃん」
「なんだよその顔は!ひょっとして俺に飽きたから新しい男を探していたとかじゃないだろうな?」
「ちょっと待ってよ、そんなこと」
「いいか、俺以外の男と仲良くするなんて、絶対に許さねえからな!」
反論を一切聞く気がない岸谷は、猛然とその場を立ち去った。
山寺はボロボロと泣いてしまった。
岸谷の決定的な欠点は、めちゃくちゃ嫉妬深いことだった。他の男子といるなんて絶対に許さないっていう考えの持ち主だった。
山寺は岸谷をこれ以上怒らせるのは避けたい、と悩みぬき、納得してもらえるまで話し合おうと考えた。
次の日の放課後、山寺は田中にも協力してもらおうと思いついた。
「あのさ、彼氏のことでちょっと相談があるんだけど、聞いてくんない?」と山寺は気軽な口調で田中に相談を持ちかけた。
「そんな話は聞きたくないわ」
「あのね、本気でトラブってんるんだ。私一人だけじゃ解決できないかもしんないだよ」
「あなたの彼氏の話なんて、興味はないわ」
そう言って、田中は山寺に背中を向け、歩き去った。
そこへ岸谷がやってきた。
「おい!この前の男とまた話していただろう!」
確かに昼休み、斎藤がハンカチを落したから、山寺はそれを拾ってあげて、少し話をしたんだ。
岸谷は休み時間になるたびに山寺を監視しており、しっかりその場面を見ていたのだ。
「浮気するつもりなんだな?」
「いいかげんにしてよ、浮気なんてするわけないじゃん」
とうとう泣き出した山寺だったが、岸谷は矛を収めなかった。
「泣いてみせたってダメだ。そんな風にごまかそうとする女は一番嫌いだ!」
あれこれきついことを言った上で、もう二度とあいつとは話をするなって念を押して、岸谷は言ってしまった。
翌日、山寺はもう一度田中に頼みに行った。
「田中さん、あのさ、彼氏のことで相談が・・・」
「そんな話は聞きたくないわ」
「どうして?私たち親友じゃん」
「彼氏の話なんて聞きたくないわ」
「お願い!」
「聞きたくないわ」
山寺は気付いた。田中があのケンカのこと、本当は許してなかったんだって。ホラー趣味にケチをつけたことを田中はずっと根に持っていたって。
「そんなに、あの時のこと恨んでいるわけ?」
「それだけじゃないわ。あなたが嬉しそうにする彼氏の話、どれだけ辛い思いをしながら聞いていたかわかるかしら?デートの話を聞かされるたび、私はすごくみじめな気持ちになったわ」
そう、田中には彼氏はいなかった。内心、山寺のことが妬ましかったのだ。
「あなたの自慢話、すごく嫌だったわ。彼氏が街中でスカウトされたとか、でも彼女と一緒にいるほうがずっと言われて嬉しかったとか、そんなことを延々と!」
山寺は、田中がホラーの話を嬉々としてしゃべるように、以前から岸谷の話を得意げにしていたが、田中の恨みがましい気持ちに気付いてはいなかった。
「ごめんさない!ホラー映画にもいくらでも付き合うから!だから助けてよ!もう許して!」
「もう遅いわ」
それっきり田中は何も答えなかった。
彼氏の選び方や、彼氏への接し方も含めて、坂上君どう思う?
- かわいそう
- 自業自得
- 答えられない
切羽詰まった山寺は、斎藤に協力と頼んだ。本人に直接釈明してもらえばいいって、考えた。
田中と違って斎藤は快くOKしてくれたが、決定的にまずかった。
人目のつかないところで、待ち合わせの約束をして、山寺は斎藤を連れて岸谷と会った。
そうすると岸谷は顔を真っ赤にしてわめきたてた。
「くそぉ!俺と別れて、そいつと新しく付き合うって言いに来たんだな?」
「ちょっと待ってってば、この人は・・・」
「うるせえ!」
岸谷は胸元から、とても先端が鋭いナイフを取り出し、そのまま山寺に突っ込んでいった・・・
斎藤が止める暇もなく、ナイフは山寺の胸に吸い込まれていった。
「お前のせいだ、お前が悪いんだ」
信じがたい痛みと、流れ落ちる血を感じながら、山寺は地面に倒れ込む。
「どうして」
その言葉だけが、山寺の頭の中に渦巻いていた。
山寺は病院に運ばれて懸命な治療がされたけど、あっけなく死んでしまった。
岸谷はその後行方不明になり、警察が必死に捜索したけど今も見つかっていない。もう生きているとも思えないが。
数日後、山寺のお葬式が執り行われたが、田中はひっそりと笑っていた。
坂上君は誰が一番悪いと思う?
普通に考えれば山寺さんを殺した岸谷君だけど、田中さんもなかなかなでしょ?
どんなに助けを求められても耳を貸さず、彼女を見殺しにしたんだから。
しかもお葬式で笑っていたっていうから、異常だよね。
事件の直後から、田中さんは何か悪いものに取り憑かれていたのかもって噂されたんだよ。
ようするに悪霊だよ。
田中さんの場合、山寺さんに抱いたちょっとした憎しみが狙われたんだよ。
それで取り憑かれた田中さんは、人が変わったように山寺さんに冷たくしたの。
岸谷君も、その悪霊のせいで暴力の心が増幅していたんじゃない?悪霊は田中さんの意図を読み取って、岸谷君をも狂わせたの。そして、山寺さんは死に追いやられた・・・
でも案外悪霊とかは全然関係なくて、純粋な憎しみだけで、そういう風に豹変したのかも。
ねぇ坂上君、この話から言えることは何だと思う?
どんなに嫌な話だって、ちゃんと拒否しないで聞いたほうがいいってことなんだよ。
そもそもの発端は山寺さんじゃん?
彼女がホラーは大嫌いなんて言わなきゃ、あんな悲劇に見舞われることはなかったはずだし。
福沢エンディング20:壊れた友情
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下を選択。
岩下明美は3年A組の生徒。
いきなり人の裏切られたことがある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
今度は、人を裏切ったことはある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
岩下は、「人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。」と続けた。
そして、岩下は、「私の話を聞いて、本当に人を裏切ったことはないの?」と聞いてきた。
- ある
- ない
岩下に、「あなたの命の値段は、いくらなのかしら?」と聞かれる。
- 命の値段はつけられない→岩下エンディング05:知らぬが仏
- 自分の値段は人より高い→岩下エンディング03:命の値段
- 自分の値段は人より安い
去年、鳴神学園に塚田明という生物の先生がやってきた。
いつも口癖のように「命は尊いものです。価値は計り知れません。皆さん、命は大切にしてください」と教えを説いていた。
自分では、授業で動物を殺しているくせにそんな恥知らずなことを言っていた。
命の値段が計り知れないというのであれば、どうして動物を殺せるのだろう。どうして他の命を犠牲にしてまで人間は生きて行けるのだろう? まさか、人間の命だけは尊いと考えているのかしら。だとしたら、それは先生のエゴだ。
そんな塚田の教え子に中間正平という生徒がいた。
彼は塚田の教えを素晴らしいと感じて、命を大事にしようと思った。
でもそう思えば思うほど疑問が生じた。それは、本当に命は尊いのか。価値は計り知れないのか。そもそも命とはなんなのか。
価値が計り知れないといっても、命の価値がわからなければ、どれほど大切なものかわからない。価値がわからないものは、大切に思えない。
そうして中間は命の価値を知りたい、と強く思うようになっていった。
そして、中間は先生に「理科実験に使っている解剖用のカエルっていくらですか?」と聞いてみた。
先生は、「知り合いの業者から分けてもらっているから、タダみたいなもんだ」と答えた。
それは中間にとってショックな一言だった。
今まで命は尊く計り知れないと説かれていた命の値段がタダ。
その日のうちに、中間は「僕に生きている価値はありません」と一言だけ書かれた遺書を残して、自殺した。
塚本先生が答えた正直な一言が、一人の少年の命を絶った。
もちろん塚本先生に悪気なんてなかった。
でも、一人の命が消えたのは事実だ。
「ふふふ、言葉って怖いわね」
岩下エンディング04:価値のない命
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下を選択。
岩下明美は3年A組の生徒。
いきなり人の裏切られたことがある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
今度は、人を裏切ったことはある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
岩下は、「人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。」と続けた。
そして、岩下は、「私の話を聞いて、本当に人を裏切ったことはないの?」と聞いてきた。
- ある
- ない
岩下に、「あなたの命の値段は、いくらなのかしら?」と聞かれる。
- 命の値段はつけられない→岩下エンディング05:知らぬが仏
- 自分の値段は人より高い
- 自分の値段は人より安い
去年、鳴神学園に塚田明という生物の先生がやってきた。
いつも口癖のように「命は尊いものです。価値は計り知れません。皆さん、命は大切にしてください」と教えを説いていた。
自分では、授業で動物を殺しているくせにそんな恥知らずなことを言っていた。
命の値段が計り知れないというのであれば、どうして動物を殺せるのだろう。どうして他の命を犠牲にしてまで人間は生きて行けるのだろう? まさか、人間の命だけは尊いと考えているのかしら。だとしたら、それは先生のエゴだ。
そんな塚田の教え子に中間正平という生徒がいた。
彼は塚田の教えを素晴らしいと感じて、命を大事にしようと思った。
でもそう思えば思うほど疑問が生じた。それは、本当に命は尊いのか。価値は計り知れないのか。そもそも命とはなんなのか。
価値が計り知れないといっても、命の価値がわからなければ、どれほど大切なものかわからない。価値がわからないものは、大切に思えない。
そうして中間は命の価値を知りたい、と強く思うようになっていった。
そして、中間は先生に「先生の命の値段はいくらですか」と聞いてみた。
先生は、「馬鹿なことを聞くんじゃありません」と言って、中間を追い返した。
中間は何度も聞きに行ったが、その度に先生に追い返された。
ある日の放課後、中間はこっそりと先生のコーヒーに睡眠薬を入れて飲ませた。効果は覿面で先生はあっという間に眠ってしまった。
先生が目を覚ました時、声が出せないよう猿轡を噛まされて、理科室の椅子に後ろ手に縛られて座らされていた。
目の前にはとても申し訳なさそうな顔をした中間がおり、手にはカッターが握られていた。
「すみません、先生。命を大切にするために命というものを知りたいのです。先生の命の値段を知りたかったのですが、教えてもらえませんでした。この状況で教えてもらっても、先生は助かりたいから嘘を言うと思います、だから、僕は自分で調べることにします。
この前お母さんのお使いでスーパーに行った時、スーパーでは命に値段がついていることに気づきました。キャベツが103円、豚肉が100g157円、豆腐一丁で103円。みんな元は生きていたのに、死んだら値段が付くそうです。生きているうちは値段が付かない命も、死んだら値段が付くんですよ!」
中間は楽しそうに笑いながらそう言ったが、先生は中間が次に何をするかがわかってしまい、血の気が引いて行った。
「それでは実験を始めます」と中間は言って、カッターを先生の目玉に突き刺した。
先生の声にならない悲鳴が理科室に響いた。
「103円のカッターじゃ死なないから、先生は103円ではありません。じゃあ、次です」
そう言って中間は、コンパスを手にし、「いきまーす!」と言って、先生の額に突き刺した。
猿轡から声ではない声があふれたが、中間はおかまいなしだった。
「死なないな~、103円のコンパスじゃ死なないから、先生の命はもっと高いんですね、じゃあ、次です」
中間は彫刻刀、ノミ、錐、包丁を次々取り出して、先生に突き刺していった。
先生の顔はダーツの的みたいになっていて、血で真っ赤に染まった顔のあちこちから獲物が突起物のように生えていた。
それでも先生はかなり弱っていたが生きていた。
「先生、やっぱり先生の言う通り命って尊いですね。僕、感動しました。でも、このままじゃ命の値段がわかりません。これでわからなければ諦めます。これで最後です」と言って、中間は、先生の耳の穴に何かを突き刺した。
「ひぃーーーー!」と空気が抜けるような声を発して、先生はそのままこと切れてしまった。
「参ったな、まさかあれで先生が死んでしまうなんて。850本で103円だから、0.1円程度ですよ、先生の値段。先生、命が尊いなんて、嘘言っちゃ駄目ですよ。
でも、先生の命の値段がわかったし、オマケに先生が嘘つきだってことも、わかりましたら、実験は大成功です。ご協力、ありがとうございました」
動かなくなった先生に一礼して、中間はスキップしながら地下室を後にした。
先生の耳の中からポトリに何が落ちた。それは、中間が最後に刺した1本の爪楊枝だった。
この後、中間はこのことをレポートにまとめてみんなに配ったが、当然、あっという間に警察に没収された。
「いいこと、坂上君、嘘は吐いたことなないと言ったのだから、あなたはこれからも一生、正直者で居続けなさいね。そうでないと思わニところで、落とし穴に落ちるわよ、うふふふ」
岩下エンディング03:命の値段
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田友晴を選択→シナリオ:夜泣き石→細田エンディング13・14
4人目は岩下を選択。
岩下明美は3年A組の生徒。
いきなり人の裏切られたことがある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
今度は、人を裏切ったことはある?と聞いてきた。
- あります
- ありません
岩下は、「人間は結構知らずに他人を裏切っているものよ。人が人を裏切るって簡単なことなのよ。そして良心は痛まないわ。うふふ。あなただって人の10人や20人平気で裏切っているんだから。例えば、両親の期待。あなたは裏切り続けたのじゃないかしら。でも、あなたの心は痛まないでしょ。それから友人。友人との約束を破ったあるんじゃなくて。」と続けた。
そして、岩下は、「私の話を聞いて、本当に人を裏切ったことはないの?」と聞いてきた。
- ある
- ない
岩下に、「あなたの命の値段は、いくらなのかしら?」と聞かれる。
- 命の値段はつけられない
- 自分の値段は人より高い
- 自分の値段は人より安い
去年、鳴神学園に塚田明という生物の先生がやってきた。
いつも口癖のように「命は尊いものです。価値は計り知れません。皆さん、命は大切にしてください」と教えを説いていた。
自分では、授業で動物を殺しているくせにそんな恥知らずなことを言っていた。
「動物は人間のために殺される。だから、感謝の気持ちを持って、動物に接するのです」と言うのだ。
命の値段が計り知れないというのであれば、どうして動物を殺せるのだろう。どうして他の命を犠牲にしてまで人間は生きて行けるのだろう?
まさか、人間の命だけは尊いと考えているのかしら。だとしたら、それは先生のエゴだ。
そんな塚田の教え子に中間正平という生徒がいた。
彼は塚田の教えを素晴らしいと感じて、命を大事にしようと思った。
でもそう思えば思うほど疑問が生じた。それは、本当に命は尊いのか。価値は計り知れないのか。そもそも命とはなんなのか。
価値が計り知れないといっても、命の価値がわからなければ、どれほど大切なものかわからない。価値がわからないものは、大切に思えない。
そうして中間は命の価値を知りたい、と強く思うようになっていった。
そして、中間は命の価値を知るために行動を起こした。
「あなたの命を売ってください」と書いたビラを学校中にばら撒いたのだ。
当然、職員室で大目玉をくらい、塚田から何時間も、命を粗末にするな、と説教をされた。
そんなある日、中間の元に早乙女弘樹という生徒が訪れて、「僕の命をいくらで買う?」と言ってきた。
命の値段がわからなくてあんなビラを撒いた中間は、答えることができず黙っていた。
すると早乙女は「命を売ってくれといいながら、買わないのはどういうつもりだ。買わないと殺す!」と言い出した。
それからというもの、早乙女は「命を買わなけれ殺す」と言いながら、中間を付け回した。
中間は泣きながら謝り続けたが、早乙女は許してくれなかった。
このままでは殺されると思った中間は、殺されるくらいなら自殺しようと思った。
そして、中間は、自室で首を吊ろうとロープの輪っかに首をかけようとした瞬間、命に値段はつけられないものだってことに気付いた。
自殺を思いとどまった中間は、命の値段を知ろうとした自分の愚かさに気づき、早乙女に言おうと決意した。
が、中間が早乙女を探すが、なかなか会えない。
そんなとき、中間は、数年前理科室で首を吊って死んだ少年の噂を耳にした。
少年の名前は早乙女弘樹。
数年前に自殺した生徒が中間を付け回していたのだ。
彼は命の尊さを教えるために、自分を付け回していたのだ、と知った中間は、それからというもの、本当に命を大事にし、生き生きと暮らしている。
「早乙女君は、中間君に命の尊さを教えようと思って現れたのかしら?本当は一人でいるのが寂しくて、道連れにしようとしたんじゃないのかしら。だって中間君は早乙女君のせいで自殺を考えていたんでしょ。そう考えたほうが自然じゃないかしら。あなた、命に値段はつけられない、と答えたわよね。嘘を吐かずにそんなことを思えるあなたなら、何が起こっても都合のいいように解釈できるかも。知らぬが仏、ふふ、いい言葉よね」
岩下エンディング05:知らぬが仏
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田を選択。
坂上君も楽しみにしていましたか
- 楽しみにしていた
- 特に気にしていない
- あまり乗り気でなかった
坂上君、どんな事件だと思いますか?
- リンチとかですか?→細田エンディング13:夜泣き石
- 自殺ですか?
殺されたのは赤ちゃんだったそうです。
その赤ちゃんは、その時在籍していた女子生徒の産んだ子供なんです。
実は望まない妊娠だったそうで、つまり無理矢理妊娠させられたってことなんです。
女子生徒は誰にも相談できず、ついには学校のトイレで出産して、その場で我が子を石で殴って殺したそうです。
もちろんすぐに彼女は警察に捕まりました。
けれど既に酷く精神を病んでいたその子は、そのまま病院に入院させられ、噂によるとその後自殺してしまったそうです。
それから数か月たったある日、校内で奇妙な噂が流れ始めました。
夜遅くになると例のトイレのあった部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえる、と。
その噂を聞いた学校中の人は、あの事件を思い出しました。どういうわけか先生たちすらその噂を信じる始末です。
だって、最初に赤ちゃんの泣き声を聞いたのは当直の先生だったのです。
その日当直の先生は、いつものように校内の見回りをしていました。
そして、あの部屋の前を通りかかったときにかすかな声を聞いたんです。
よく聞いてみると、赤ちゃんの泣き声そっくりです。
持ち前の正義感と教師という責任感で、先生は部屋の中を確認しにいきます。
部屋の中はガランとしており、人の影は見当たりません。
それにも関わらず赤ちゃんの泣き声はどんどん大きくなって、五月蠅いくらいでした。
声のする方向に明かりを向けると、そこには握りこぶしくらいの石が転がっていたんです。
確かにその石からはっきりと赤ちゃんの泣き声が聞こえてます。
たまらずその部屋と飛び出ようとしましたが、その時部屋の隅に蠢く何かを視界がとらえたのです。
そこにいるのは、生まれたての赤ちゃんです。
でも、それは本当の赤ちゃんではありません。
だって、頭が割れて顔が潰れているのに動いているのですから。
「ぎゃああああ」
思いっきり先生は叫び声を上げてその部屋から逃げ出しました。
そして、翌朝一番に退職届を出したそうです。
その時、当直の先生は大声であの部屋でも出来事を説明していたので、職員室に来ていた生徒にもしっかりと事の顛末が聞こえてました。
そしてあっという間に学校中で誰もがその話を耳にする事になります。
それからも当直の先生の間で、同様の体験をしたという話がひっきりなしに上がり、中には退職や当直を断る人が現れはじめました。
これには学校側も参ってしまい、お祓いを済ませた上、厳重に施錠して誰も入れないようにしてしました。その上、当直時にその場所に近づかなくてもいいという条件もつけました。
だから、今ではその場所やそこで何があったかを知っている人はほとんどいません。
けれども、今もその場所に近づくと赤ちゃんの泣き声が未だに聞こえてくる、これがこの学校に伝わる夜泣き石の話です。
僕はこの話が本当だと思っているんです。
その理由をお話しましょう。
僕のクラスに藤井さんという女の子がいました。もちろん仮名です。
彼女は優しい性格で、それでいて気さくで誰からも好かれる女子でした。
こんな僕にすら気軽に声を掛けてくれたんですから、それはもう女神みたいな人でした。
そんなある日、突如彼女に異変が起きました。
唐突に、赤ちゃんができた、と言い出したんです。
両親がすぐに病院に連れて行きましたが、妊娠なんかしてませんでした。
彼女の症状は、ストレスによる精神病の一種という診察の結果でした。
とりあえず登校するには問題なしとの診断が降りたので、それからも彼女は普通に登校し続けました。
時々、会話の中に、自分のお腹の中にいる赤ちゃんの話が混さる以外は、今までの彼女でしたから、問題はありません。
そんな日々の中、放課後、僕にクラスの女子が、相談がある、と声を掛けてきました。
彼女の名前は伊藤さんで、藤井さんの親友です。
伊藤さんが言うには、藤井さんが変わってしまったのには原因があるそうです。
「あの子ね、あんなことを言い出す少し前に、学校の中で赤ちゃんの泣き声が聞こえる、って言っていたの。細田君は、夜泣き石の話って知ってるかな?」
「うん、知ってるよ」
「あの子ね、あの部屋に入っちゃったみたいなの」
彼女が言うにはこうです。
藤井さんは、その日遅くまで学校に残っていたそうです。
荷物を纏めて帰ろうとすると、校内のどこからか赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。
彼女はその声のする場所を探しにいってしまいました。
優しい彼女のことですから、本当に赤ちゃんが危ない目にあっているかもしれないと思ったのでしょうね。
声のする方に歩いていくと、見覚えのない部屋の前へと辿り着きました。
確かに部屋の中から、赤ちゃんの泣き声が聞こえます。
そして彼女は部屋の中で見つけてしまったのです。
「その日のうちにあの子から電話がかかってきたの。あの子が言うには、赤ちゃんがいたって。だから連れてきたって。それで私は聞いたの。赤ちゃんはどこにいるの?って。そしたら、お腹の中に入れてきた、そのあの子は言ったの。それからはずっとあんな感じになっちゃって。私はこれって夜泣き石が関係しているんじゃないかなって思うの。それで、細田君って、そういう話に詳しいから、何か知らないかな?」
僕はその話は知っていますが対処法は知りません。
すると唐突に扉があいて、藤井さんが、伊藤さんに一緒に帰ろう、と声を掛けてきました。
「あ、ごめん、一緒に帰ろう」
「うんうん、早く帰ってご飯を食べようよ。もうお腹ペコペコ。やっぱり赤ちゃんが私の栄養を取ってちゃってるのかな?」
「そうだね。細田君、ごめん、私そろそろ帰るね」
「あのね、せっかくだから二人に教えてあげるね。私の赤ちゃんそろそろ外に出たいって言っているの。生まれてきたら二人とも仲良くしてあげてね」
その時僕は見たんです。
藤井さんのお腹のあたりからにょきっと生えた頭の潰れた赤ちゃんを。
もぞもぞと動きながら僕と目が合った瞬間に嬉しそうに笑った気がします。
そのまま彼女は笑顔のまま僕に挨拶して教室から出て行きました。
伊藤さんも藤井さんについていこうとしていたので、僕は引き止めてこう言いました。
「藤井さんをできるだけ早く説得して、お寺か神社で見てもらったほうがいいですよ」
伊藤さんはうなずいて、藤井さんの後を追いました。
僕があの時見た赤ちゃんの姿、あれはかなりタチの悪いものです。霊感が少ししかない僕でも、危険だってことはわかりました。
でも、できるだけ早くっていうのは僕の間違いでした。あの時、今すぐって言えばよかったんです。
翌朝、ホームルームが始まる前に、藤井さんが教壇の前に立って、「今から私の赤ちゃんが生まれるの。みんな祝福してあげてね」と皆に呼びかけた。
よく見ると彼女の右手には包丁が握られています。
「今から出してあげるね、私の赤ちゃん」
藤井さんは右手の包丁を大きく振りかぶり、自分のお腹へと振り下ろした。
彼女のお腹から勢いよくあふれ出す真っ赤な血が足元に大きな水たまりを作るころ、ようやくクラスの中から悲鳴が上がりました。
藤井さんは自分のお腹を突き刺した包丁で大きく切り開くと、今度は自分の手でその切り口からお腹の中に手を入れて何かを探ろうとしているようでした。
伊藤さんが泣きながらそんな彼女にすがりついています。
藤井さんは自分の中から手を引っこ抜くと、自分を抱きしめる伊藤さんに手を差し出してこう言いました。
「ほら、生まれたよ・・・私の赤ちゃん・・・」
苦しみ耐えながら慈愛に満ちた表情で優しくそう囁くと彼女はぱったりと倒れ、白目を剥いて何度か短く痙攣した後に動かなくなりました。
藤井さんの手に握られていたのは、彼女の血に塗れててらてらと赤く光る石です。
僕は自分の意識がだんだん遠くなるを感じました。
意識が消える直前に嬉しそうな赤ちゃんの笑い声が聞こえた気がします。
僕はそのまま数日入院したあと、他のクラスメイトといっしょに退院しました。
けど中にはまだ退院できないクラスメイトもいました。その中には伊藤さんの姿もあります。
一応、この事件はストレスに悩んだ藤井さんの自殺ということで片が付きました。
僕は思うんですよ。彼女が部屋で見つけたのはきっと夜泣き石だったんだって。
そして殺された赤ちゃんの生への執念が彼女を狂わせた。
狂ってしまった藤井さんは、その場で石を飲み込んでそれを赤ちゃんだと信じ込み、最後にとり殺されてしまったんじゃないでしょうか。
え?あの部屋の噂はどうなったって?
あれ以来赤ん坊の泣き声は聞こえることはなくなったみたいです。
でもね、今度は違う噂が流行り出したんです。
夜、廊下を頭の潰れた赤ん坊が歩き回るって噂が。
これは僕の推測ですけど、あの赤ん坊は藤井さんによってあの部屋から解放された。けれど魂はまだ彷徨っているんじゃないかなって。
赤ちゃんはまた生まれたがっていて、生まれるために次の獲物を探して夜な夜な徘徊しているんじゃないかって。
細田エンディング14:生まれるモノ
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択→シナリオ:五百円硬貨→風間エンディング10
3人目は細田を選択。
坂上君も楽しみにしていましたか
- 楽しみにしていた
- 特に気にしていない
- あまり乗り気でなかった
細田友晴は2年G組に生徒だ。
細田は、自分がデブだという自覚があるが、ダイエットをしてもどうしても食べたり、汗っかきですぐに喉が渇いてしまい、お茶よりもおいしいジュースを飲んでしまうため、どうしても痩せられないとのこと。
小学生の頃から太っており、細田なのにデブと言われ続けていた。
夜になると泣く石、いわゆる夜泣き石がトイレにあった。
みんなは知らないが、そのトイレは今では倉庫に改装され、校内にひっそりと存在している。
今、使われていない理由はなぜでしょう?
何年か前にそのトイレで事件があったからです。
坂上君、どんな事件だと思いますか?
- リンチとかですか?
- 自殺ですか?
放課後遅くまで残っていた女子を無理やり連れ込み乱暴して、その上で殺したんです。
発見された遺体は、全身打撲の痕に、声を出せないよう喉が潰され、四肢のいくつかは骨折させられており、あらぬ方向に曲がっており、顔面は執拗に殴られ誰との判別がつかなかった。
幸いにも犯人はすぐに捕まった。
近所の橋の下に住む浮浪者で、たまたま学校に忍び込んだ際、一人でいた女子生徒を、ということだったらしいです。
その事件があってしばらくして、そのトイレで不可思議な現象が起きるという噂になった。
学校側も事件があった現場のため封鎖していたのだが、中から人の気配がし、女の人の泣き声が聞こえるというものだった。
殺された彼女が幽霊となって、憎しみと悲しみの泣き声を上げているのだ、と誰もが信じた。
そんな噂が広がりだすと、怖いもの見たさに近づく者が出てきた。
仮に佐々木とでもしておきましょう。
佐々木は噂の真実を突き止めようと、放課後夜遅くまで学校に一人で残ることにした。
校内から人の気配がなくなった頃、彼は例のトイレに向かった。
自分の足音に混じって、女の人の泣き声が聞こえてきた。
噂は本当だった。じゃあトイレの中には彼女の幽霊がいるんだろうか?
そんな疑問を確かめるために歩みを進めていった。
ガムテープで留められたブルーシートをのけてトイレの中に入ると無人だったが、女の人の悲しい呻き声だけが聞こえる。
しばらくトイレを調べていた佐々木は、床に握りこぶし程度の大きさの石が落ちていることに気付いた。
黒い石にまるで赤いペンキか何かをかけたように見える。
女の人のすすり泣く声は、この石から聞こえてきているような気がする。
恐怖に襲われた佐々木は、なさけない声を上げながら出口に向かって駆けだしたが、足がもつれて転んでしまった。
起き上がった佐々木は、背中に突き刺さるような視線を感じたが、怖くて振り向けない。
しかし、横にある洗面台の鏡をふと覗いてしまうと、鏡に映る自分の姿と、それに寄り添うにように立つ女子の姿が見えた。
鏡の中の少女は、制服は破れ、ところどころに血がついている。
髪はぼさぼさに乱れ、顔は見えない。
どこからかびちゃびちゃという音が聞こえる。
それは彼女の顔面から顎に伝い、滴り落ちる血の音でした。
女子生徒は、徐々に彼の傍らへと近づき、すぐ背後までせまった。
そして女は彼の耳元であの石と同じ声を発した。
佐々木は逃げ出したが、鏡の中の女子生徒は、佐々木の背中に飛びつき、ろくろっ首のように首を長く伸ばし、彼の眼前に顔を突き出した。
その顔には目と口はなく、本来ある場所はぽっかりと虚ろな闇が広がっていた。
佐々木はそのまま気を失ってしまった。
翌日、そのトイレで倒れていた佐々木は先生に発見された。
幸い心身ともに異常はなく、ほどなくして学校に通えるようになった。
彼はその時の出来事を皆に話したので、その噂は学校中に広まった。
そして、その後まもなくして佐々木が亡くなった。
例のトイレで首つり自殺をしていたのだ。
もう誰も例のトイレに近づこうとしません。
彼の自殺で幕が下りたかのようにと思われた。
しかし、遠くない時期に同様の事件が立て続けに3人に起こった。
その全員が、死の直前に佐々木と同じような体験をした、と皆に話をしていた。
学校側も無視するわけにはいかず、急遽例のトイレを倉庫に改装し、誰も近づけないように厳重に施錠した。
こうしてその場所は誰にも知られないように、ひっそりと校内に存在し続けた。
でも、それにも関わらず、同様な事件が何度も起きているそうだ。
まるであの声に呼ばれたかのように、誰もしないはずのあの部屋へと辿り着き、最後には佐々木と同じ末路をたどったとのこと。
全部壊してしまえばいいと思うが、工事をするたびに機材の不調や作業員の体調不良が必ず起きたらしいし、何なら死人も出たそうだ。
こうしてあの部屋と石は、未だに存在しており、夜ごと哀れな生贄を求めて泣き声を発している。
坂上君は僕の話を信じますか?
- 信じる
- 信じない→上の選択肢と同じエンディングへ。
この夜泣き石の話は本当なんだ。実際にその部屋にいったことがあるんだ。
その日はクラスメイトの掃除当番を代わったり、先生からの用事を頼まれたりして、帰るのが随分と遅くなってしまった。
気がついたら校内には宿直の先生ぐらいしかいなかったと思う。
暗い廊下を歩いていると、どこからともなく例の泣き声が聞こえてきた。
夜泣き石の話をしっていたので、耳を塞いで、全速力で走りだした。
無我夢中で走って、ふと気が付くと玄関とはまったく違うところにいる。
玄関に向かって歩き出すと、だんだん声が大きくなってきて、その扉の前にたどり着いた。
佐々木の末路を知っているので、入っては駄目だと頭では思っているのに、何かに乗り移られたように、身体は勝手に動き部屋の扉を開けてしまった。
部屋の中を見ると、床には夜泣き石が落ちており、例の泣き声がそこから聞こえる。
部屋に入ろうとすると、何かが弾ける音がした。
左腕を見ると、つけていたはずの祖母の形見の数珠がはじけ飛んでいた。
腕から部屋の中に視線を戻すと、部屋中びっしりと埋め尽くすたくさんの制服を着た人影と、その中心にいる女性生徒がゆっくりと顔を上げた。
彼女たちは、目と口のところにぽっかりと穴が開いている。
そして、一斉に泣き声を上げた。
僕は悲鳴をあげて、気を失ってしまった。
目を覚ますと知らない天井が見えた。
悲鳴を聞いた当直の先生に助けられたのだ。
あの人影は、夜泣き石に関わって、あそこで命を落とした人たちで、未だにあそこにとどまっているのだろう。
あの女子生徒は、あそこで殺された女子生徒で、未だにあそこにとどまって世界を憎み続けているのかもしれない。
夜泣き石は彼女の怨念そのものじゃないだろうか。
なぜ自分が助かったのかはよくわかりません。
それとも助かったと思い込んでいるだけかもしれません。
だって今も夜になると僕を呼ぶあの泣き声が聞こえるんです。
細田エンディング13:夜泣き石
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択→シナリオ:誕生日プレゼント→荒井エンディング03~05
2人目は風間望を選択!
風間望は3年生。
いきなり500円を要求してくる。
- は?
- 1円ならありますが
- 500円硬貨でいいですか?
- 持っていても渡しません
風間は素直に500円硬貨を受け取り、500円硬貨にちなんだ話を始める。
美術準備室には鏡があり、午後5時ぴったりに昭和55年の500円硬貨をその鏡の前で掲げると何か不思議なことが起こるという噂がある。
それである男子生徒がそれを試そうとした。
午前5時ちょうどに鏡の前で500円硬貨を掲げると、鏡には自分の腕以外に数えきれないくらい500円硬貨を持った手が映っていた。
風間が「これで話は終わりだ」と言うので、坂上が「まさか合わせ鏡じゃ?」と問いただすと、風間は黙ってしまった。
しばらくして、風間は、「美術室の鏡は確かに合わせ鏡だけど、重要なのはそこじゃない。それを見た時は本当に怖かった」と言った。
機嫌を損ねた風間は、ここで話を終わらせてしまった。
風間エンディング10:五百円硬貨
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択。
荒井は2年B組の生徒だ。
怖い話はお好きなんですか?
- 好き
- 人並程度
- 嫌い
荒井は、日野に頼まれてここへやってきたのだが、乗り気ではない、と言い出す。
荒井は、みんなで集まって怪談話をするような俗世間的なことは嫌いという憎らしいとい言い切る。
霊を馬鹿にして、勝手に呪われて、それで周りに迷惑をかける人間と同じ空気を吸うことがやりきれないが、この鳴神学園は、霊を馬鹿にしていると、それ相応の罰が下る、と言って笑う荒井。
どうして、この鳴神学園を選んだのですか?
- 自分の意志で
- 親の意志で
高校生にもなって自分で進路を決めることができない坂上にぴったりな話をしよう、といって荒井は話し始める。
誕生日プレゼント
一度は見てみたいけどなかなか見ることができない光景、何か一つ見ることができるなら、何を望みますか?
- 自分の身体の中
- 自分の未来
- 過去の歴史の名場面
- 殺人の現場
荒井が1年生だった頃、さっきと同じ質問をクラスメイトの佐伯裕也にしたところ、「人が死ぬところがみたい」と言われた。
荒井が、どういう風に死ぬところが見たいのかを尋ねると、佐伯は「人が高いところから落ちて、死ぬところがみたい」と答えた。
荒井が、「転落死ですか?人が地面に衝突して、ただの肉塊になる場面が見たいのですか?」と尋ねると、佐伯は「そんなグロテスクな死体は見たくない。僕は、そんな瞬間に自分が何を考えるかを知りたいんだ。」と答えた。
「これから地面に衝突して死ぬというほんの数秒間。その瞬間を見たとき、自分は何を思うんだろう?怖くなるかもしれないし、何も思わないかもしれない。あるいは今日の晩御飯のメニューについて考えているかもしれない。そんなことを想像するとドキドキしてこないかい?」と嬉しそうに話した佐伯。
荒井は、そう話した佐伯に興味を持ち、自分の中で佐伯は特別な存在となっていった。
今、新聞部の窓から見える10階建てのビルは、佐伯と会話した頃は建設作業中だった。
窓際の席だった佐伯は、毎日建設中のビルを見ながら、「あそこで作業している人が、目の前で落ちてこないかな?」と思っていた。
ある日、佐伯の父親が、そのビルの建設に携わることになった。
佐伯の父親は、建設関係の仕事をしており別の現場で働いていたが、そちらの仕事が終わったため、応援要員として回されたのだった。
夕食の時、父親からその話を聞かされた佐伯は、あのビルから誰かが落ちるところが見られるかもしれない、と考えて微笑みが浮かべていた。
翌日の朝食、佐伯は父親の食事に睡眠薬を入れたが、父親は気付かず食べて、出勤した。
佐伯の方は、睡眠薬の効果で父親がうっかり安全帯を付け忘れ、ふらついて、自分が見ている前であのビルから落ちるかもしれない、と1日中ドキドキしながら、教室の窓からビルを見てたい。
荒井は、まさか父親に睡眠薬を盛ったとは思っておらず、佐伯が今日もまたビルから人が落ちるのを楽しみに待っているな、と思いながら佐伯の姿を見ていた。
結局その日は、父親は転落しなかったので、佐伯は落ち込んでいたが、ビルの完成に3か月かかると父親から聞いていたので、根気よく待ち続けることにした。
それから来る日も来る日も、佐伯は少しずつ量を増やしながら睡眠薬を父親に盛り、ビルを眺めていたが、父親は転落しなかった。
1カ月ほど経ち、佐伯の我慢が限界に達しようとした時、佐伯はある行動をとった。
- ひたすら機会を狙った→荒井エンディング003:狂気の実験
- 実験台を変えた
佐伯はいつまでたっても結果の出ない父親を使っての実験を見限って、新たな被害者を探すことにしたが、そう簡単に代わりの人物が見つかるわけはなかった。
またその頃佐伯は、投身自殺の描写が登場する本やビデオをかたっぱしから目を通すうちに、自分の興味が投身自殺を観察する側から、実際に行う側へ移行してしまっていた。
彼は屋上の手すりに身体をもたせ掛け、地面を見つめながら、何もない空に身体をゆだねたら、どんな解放感が得られるのだろうか。また、大地にたたきつけられる瞬間、自分の身体はどんな暴力的な衝撃にさらされるのだろうか、とその一瞬を思い描いては、興奮に打ち震えていた。
ついにある日、佐伯は自らの転落の衝撃を味わうことにし、父親が働いている工事現場の屋上を選んだ。
佐伯は家族と夕食をとったあと、こっそり家を抜け出し、工事現場の屋上へ向かい、飛び降りた。
飛び降りた瞬間、佐伯は何を思ったのだろうか?
- 何も思い浮かばなかった→荒井エンド004:僕の珍しい玩具
- 親への感謝
走馬灯のように記憶が次々と思い出されていく。
その時「裕也!」という声がし、目の前に手が差し出されたが、その手を取ることなくなく奈落の底に落ちて行った。
佐伯の身体は重力に引かれて地面に落ちていき、鈍い音を立てて砕け散った。
佐伯は求めてやまなかった答えを手に入れることができた。
よく墜落死は途中で気を失うから楽に死ねると言われているが、この場合、佐伯が最後まで最後まで気を失わず一度しか口にすることを許されない甘い果実をたっぷり堪能したことを祈らずにはいられない。
佐伯に手を伸ばした人物は、彼の父親だった。
父親は深夜に家を出て行った佐伯の後をこっそりつけて、身を投げる佐伯に手を伸ばしたが命を救うことはできなかった。
「これは俺が犯した罪の報いなのだろうか・・・」
実は父親も佐伯と同じ年頃に似たようなことを思っていたのだ。
そう人間が死に瀕した瞬間に目にして、自分は何を考えるのか。
父親が高校生だった頃、駅のホームで何気なく電車を待っていると、一人の男が歩いてきた。
その男は酒に酔っているのかフラフラと危なっかしい足取りで、そんなとろこにいるとは気づかずにホームの端を歩いていた。
運悪くホームに電車が入ってきて運転手が警笛を鳴らしたが、男は驚いて線路に転落してしまった。
目にしたこともない地獄絵図が父親の目の前に繰り広げられた。
父親は一部始終を見ていただけだったが、その時頭の中に声が響いた。
「お前には教えることができたはずだ」
父親はそれが罪悪感だということに気づいた。
その後父親は結婚し、佐伯が生まれたが、まさか自分の息子が、自分と同じ他人の不幸を望む血を受け継いでいたとは思わなかった。
翌朝、工事現場では2体の墜落死体が見つかった。
佐伯とその父親で、どちらも原型をとどめないほどに潰れ、その肉片がどちらのものかわからなくなっていたそうだ。
荒井エンディング05:因果は巡る
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択。
荒井は2年B組の生徒だ。
怖い話はお好きなんですか?
- 好き
- 人並程度
- 嫌い
荒井は、日野に頼まれてここへやってきたのだが、乗り気ではない、と言い出す。
荒井は、みんなで集まって怪談話をするような俗世間的なことは嫌いという憎らしいとい言い切る。
霊を馬鹿にして、勝手に呪われて、それで周りに迷惑をかける人間と同じ空気を吸うことがやりきれないが、この鳴神学園は、霊を馬鹿にしていると、それ相応の罰が下る、と言って笑う荒井。
どうして、この鳴神学園を選んだのですか?
- 自分の意志で
- 親の意志で
高校生にもなって自分で進路を決めることができない坂上にぴったりな話をしよう、といって荒井は話し始める。
誕生日プレゼント
一度は見てみたいけどなかなか見ることができない光景、何か一つ見ることができるなら、何を望みますか?
- 自分の身体の中
- 自分の未来
- 過去の歴史の名場面
- 殺人の現場
荒井が1年生だった頃、さっきと同じ質問をクラスメイトの佐伯裕也にしたところ、「人が死ぬところがみたい」と言われた。
荒井が、どういう風に死ぬところが見たいのかを尋ねると、佐伯は「人が高いところから落ちて、死ぬところがみたい」と答えた。
荒井が、「転落死ですか?人が地面に衝突して、ただの肉塊になる場面が見たいのですか?」と尋ねると、佐伯は「そんなグロテスクな死体は見たくない。僕は、そんな瞬間に自分が何を考えるかを知りたいんだ。」と答えた。
「これから地面に衝突して死ぬというほんの数秒間。その瞬間を見たとき、自分は何を思うんだろう?怖くなるかもしれないし、何も思わないかもしれない。あるいは今日の晩御飯のメニューについて考えているかもしれない。そんなことを想像するとドキドキしてこないかい?」と嬉しそうに話した佐伯。
荒井は、そう話した佐伯に興味を持ち、自分の中で佐伯は特別な存在となっていった。
今、新聞部の窓から見える10階建てのビルは、佐伯と会話した頃は建設作業中だった。
窓際の席だった佐伯は、毎日建設中のビルを見ながら、「あそこで作業している人が、目の前で落ちてこないかな?」と思っていた。
ある日、佐伯の父親が、そのビルの建設に携わることになった。
佐伯の父親は、建設関係の仕事をしており別の現場で働いていたが、そちらの仕事が終わったため、応援要員として回されたのだった。
夕食の時、父親からその話を聞かされた佐伯は、あのビルから誰かが落ちるところが見られるかもしれない、と考えて微笑みが浮かべていた。
翌日の朝食、佐伯は父親の食事に睡眠薬を入れたが、父親は気付かず食べて、出勤した。
佐伯の方は、睡眠薬の効果で父親がうっかり安全帯を付け忘れ、ふらついて、自分が見ている前であのビルから落ちるかもしれない、と1日中ドキドキしながら、教室の窓からビルを見てたい。
荒井は、まさか父親に睡眠薬を盛ったとは思っておらず、佐伯が今日もまたビルから人が落ちるのを楽しみに待っているな、と思いながら佐伯の姿を見ていた。
結局その日は、父親は転落しなかったので、佐伯は落ち込んでいたが、ビルの完成に3か月かかると父親から聞いていたので、根気よく待ち続けることにした。
それから来る日も来る日も、佐伯は少しずつ量を増やしながら睡眠薬を父親に盛り、ビルを眺めていたが、父親は転落しなかった。
1カ月ほど経ち、佐伯の我慢が限界に達しようとした時、佐伯はある行動をとった。
- ひたすら機会を狙った→荒井エンディング003:狂気の実験
- 実験台を変えた
佐伯はいつまでたっても結果の出ない父親を使っての実験を見限って、新たな被害者を探すことにしたが、そう簡単に代わりの人物が見つかるわけはなかった。
またその頃佐伯は、投身自殺の描写が登場する本やビデオをかたっぱしから目を通すうちに、自分の興味が投身自殺を観察する側から、実際に行う側へ移行してしまっていた。
彼は屋上の手すりに身体をもたせ掛け、地面を見つめながら、何もない空に身体をゆだねたら、どんな解放感が得られるのだろうか。また、大地にたたきつけられる瞬間、自分の身体はどんな暴力的な衝撃にさらされるのだろうか、とその一瞬を思い描いては、興奮に打ち震えていた。
ついにある日、佐伯は自らの転落の衝撃を味わうことにし、父親が働いている工事現場の屋上を選んだ。
佐伯は家族と夕食をとったあと、こっそり家を抜け出し、工事現場の屋上へ向かい、飛び降りた。
飛び降りた瞬間、佐伯は何を思ったのだろうか?
- 何も思い浮かばなかった
- 親への感謝
落ちる瞬間、佐伯は無の状態だった。
その時、「裕也」という声が聞こえ、目の前に手が差し出さた。
佐伯の胸に去来した感情は、「生きたい」というものだった。
そして、佐伯がその手を掴むと、その手はかろうじて落下の危機から救った。
その手の持ち主は、佐伯の父親だった。
「父さん!」
「馬鹿なことはするな、裕也」と父親は佐伯の身体を引き上げようとした。
片腕で高校生を引き上げるのはかなり大変でしたが、父親は佐伯の身体を屋上まで引き上げることができた。
肩をさする父親の姿を見て、佐伯は父親に駆け寄り、背中をさすった。
「父さん、ごめんなさい」と泣きじゃくりながら言う言葉は、心からの後悔の声だった。
それ以来、佐伯は転落死の話をするのを辞めてしまった。
荒井は、そんな佐伯を見てガッカリしてしまった。
歪んだ残虐性を秘めた人材が、肉親の情に触れたぐらいで大人しくなってしまうなんて、と憤慨している荒井は、ことあるごとに佐伯に話しかけて、狂気を再び呼び起こそうとそそのかしている。
佐伯はモンスターの卵で、これからもっと特異な行動をして、荒井の心臓を凍り付くほど震え上がらせてくれなきゃいけないとのこと。
荒井エンディング004:僕の珍しい玩具
今日のアパシー学校であった怖い話1995特別編はどうかな?
1人目は荒井昭二を選択。
荒井は2年B組の生徒だ。
怖い話はお好きなんですか?
- 好き
- 人並程度
- 嫌い
荒井は、日野に頼まれてここへやってきたのだが、乗り気ではない、と言い出す。
荒井は、みんなで集まって怪談話をするような俗世間的なことは嫌いという憎らしいとい言い切る。
霊を馬鹿にして、勝手に呪われて、それで周りに迷惑をかける人間と同じ空気を吸うことがやりきれないが、この鳴神学園は、霊を馬鹿にしていると、それ相応の罰が下る、と言って笑う荒井。
どうして、この鳴神学園を選んだのですか?
- 自分の意志で
- 親の意志で
高校生にもなって自分で進路を決めることができない坂上にぴったりな話をしよう、といって荒井は話し始める。
誕生日プレゼント
一度は見てみたいけどなかなか見ることができない光景、何か一つ見ることができるなら、何を望みますか?
- 自分の身体の中
- 自分の未来
- 過去の歴史の名場面
- 殺人の現場
荒井が1年生だった頃、さっきと同じ質問をクラスメイトの佐伯裕也にしたところ、「人が死ぬところがみたい」と言われた。
荒井が、どういう風に死ぬところが見たいのかを尋ねると、佐伯は「人が高いところから落ちて、死ぬところがみたい」と答えた。
荒井が、「転落死ですか?人が地面に衝突して、ただの肉塊になる場面が見たいのですか?」と尋ねると、佐伯は「そんなグロテスクな死体は見たくない。僕は、そんな瞬間に自分が何を考えるかを知りたいんだ。」と答えた。
「これから地面に衝突して死ぬというほんの数秒間。その瞬間を見たとき、自分は何を思うんだろう?怖くなるかもしれないし、何も思わないかもしれない。あるいは今日の晩御飯のメニューについて考えているかもしれない。そんなことを想像するとドキドキしてこないかい?」と嬉しそうに話した佐伯。
荒井は、そう話した佐伯に興味を持ち、自分の中で佐伯は特別な存在となっていった。
今、新聞部の窓から見える10階建てのビルは、佐伯と会話した頃は建設作業中だった。
窓際の席だった佐伯は、毎日建設中のビルを見ながら、「あそこで作業している人が、目の前で落ちてこないかな?」と思っていた。
ある日、佐伯の父親が、そのビルの建設に携わることになった。
佐伯の父親は、建設関係の仕事をしており別の現場で働いていたが、そちらの仕事が終わったため、応援要員として回されたのだった。
夕食の時、父親からその話を聞かされた佐伯は、あのビルから誰かが落ちるところが見られるかもしれない、と考えて微笑みが浮かべていた。
翌日の朝食、佐伯は父親の食事に睡眠薬を入れたが、父親は気付かず食べて、出勤した。
佐伯の方は、睡眠薬の効果で父親がうっかり安全帯を付け忘れ、ふらついて、自分が見ている前であのビルから落ちるかもしれない、と1日中ドキドキしながら、教室の窓からビルを見てたい。
荒井は、まさか父親に睡眠薬を盛ったとは思っておらず、佐伯が今日もまたビルから人が落ちるのを楽しみに待っているな、と思いながら佐伯の姿を見ていた。
結局その日は、父親は転落しなかったので、佐伯は落ち込んでいたが、ビルの完成に3か月かかると父親から聞いていたので、根気よく待ち続けることにした。
それから来る日も来る日も、佐伯は少しずつ量を増やしながら睡眠薬を父親に盛り、ビルを眺めていたが、父親は転落しなかった。
1カ月ほど経ち、佐伯の我慢が限界に達しようとした時、佐伯はある行動をとった。
- ひたすら機会を狙った
- 実験台を変えた
佐伯は根気よく父親に睡眠薬を盛り続けた。
ある日の朝、父親はまったく気づかずに睡眠薬入りの食事を食べながら、佐伯に、「今日は裕也の誕生日だから、裕也が喜ぶものをプレゼントしてやろう」と言い出した。
佐伯は、「誕生日で喜ぶ歳でもないから」と言って、断ったが、父親は「絶対に喜ぶプレゼdントだ」と引き下がらない。
佐伯は、「本当に欲しい物がわかるの?自分が本当に欲しいのは、目の前にいる父親の命、ビルから落ちる瞬間だよ」と叫びそうになるのを押さえた。
父親は、「プレゼントは今はないんだ。今日中に用意しておくから、学校から帰ったら机の上を見てくれ」と話すと、母親が、「昔は一家でバースデーパーティーをしてたのよね」と懐かしそうに話した。
それを聞いた佐伯は、その光景を思い出し、自分が欲しかった物をプレゼントしてくれてた父親を殺そうとしていることに罪悪感を覚えたが、今までよりもさらに高揚感も感じていた。
学校へ行き教室でビルから人が落ちないかと見ていた佐伯は、ビルの最上階の端っこにいる作業員の姿を見つけた。
ここからは顔は見えないが、佐伯にはなぜかその作業員が、自分の父親のように思えた。
「落ちろ、落ちろ、落ちろ!」と佐伯が強く念じていると、ふらついた作業員が、そのまま落下していった。
佐伯が見ている場所からは、落下地点は見えなかったが、佐伯の頭の中では父親がグチャグチャになって壊れた人形のようになっている姿が見えた。
佐伯は、自分が盛った睡眠薬のせいで父親が目の前と落ちて死んだ、と叫びそうになったが、睡眠薬を使ったため事件性が疑われては困ると考え、気分が悪くなった、と告げて早退した。
荒井はビルから人が転落したと思っていないので、早退する佐伯が青ざめいてたがなぜか興奮してたように見えてた。
佐伯が家に帰ると、のんびりした口調で母親が出迎えてくれた。
佐伯は、部屋で休むと言って、ベッドに寝転んだが、父親の無残な光景が頭の中から消えない。
ふと部屋の中を見渡すと、机の上に手紙が置いてあった。
これが父親が今朝言っていたプレゼントかと思うと、佐伯の目から涙があふれる。
封筒を開けて、手紙を読むと、最近仕事中の眠気がひどいため、佐伯の部屋を調べたら睡眠薬のビンを見つけたので、自分の食事に睡眠薬を仕込んでいることに気付いていた、と書かれていた。
オレが、裕也の教室から見えるあのビルに現場に行くようになってから仕事中の眠気を感じるようになったので、最初は仕事が失敗するよう仕向けているかと思っていたが、よくよく考えると、オレがビルから転落するところが見たいことに気付いた。
なぜそう思ったのかというと、それはオレも、それくらいの年齢に、工事現場で働いているヤツが目の前で落ちてこないかな、と思っていたことがあったから。
でも、オレは頭の中で思っていただけで、裕也は実際にそうなるよう実行している。
一番ショックだったのは、裕也にとってオレは、好きでも嫌いでもない無関心な存在で、裕也の目的を叶えるのに一番都合のいい相手だから睡眠薬を飲ませた、と知ったことだ。
裕也は、自分の目的のために躊躇なく人の命を奪う。その対象は誰でも構わない。それがとても恐ろしい。
どうしたら裕也に人の命の尊さをわからせてやれるのかを考えたが、何をやってもわかってはくれないんじゃないかと思ったり、例え裕也が「わかった」と返事してもそれを信じることができない。
今オレができるただ一つのことは、裕也の誕生日にあのビルから飛び降りることで、人の命の意味を伝えようと思う。これが誕生日プレゼントだ。
これを見て裕也が何を思うかはわからない。
願わくば、オレの死をもって、どうか命の尊さに気付いてほしい。
これがオレからお前にできる最後の贈り物だ。
どうか人の痛みをわかることのできる優しい大人になってください。
16年間裕也の父親だった男の最後の願いです。
佐伯は、「僕が望んだのは、こんなことじゃない」と力なくつぶやいた。
人が目の前で転落死するとき、自分が何を考えるのかずっと知りたくて、父親に睡眠薬を飲ませて殺そうとしていた。やっとその答えを知ることができた。
父親がビルから落ちていくのを見て、地面に激突するまで数秒間ずっと思っていたのは、「死なないで!ごめんなさい!死なないで、父さん!」だった。
廊下から「お父さんが、お父さんが」と母親の悲痛な叫びが聞こえてきたが、佐伯の耳には届いていなかった。
事故後しばらく佐伯は学校を休んでいたが、久しぶりに登校したときにこの話を荒井に打ち明けてきたとのこと。
人が死ぬ瞬間に自分が何を考えるかを知りたいという狂気の実験。佐伯は身をもってその結果を知ることになったのです。そう考えると、彼の父親の死も無駄ではなかったのではないでしょうか。
荒井エンディング003:狂気の実験
アパシー学校であった怖い話1995特別編のプレイ開始!
新聞部部長の一言で、今度の学校新聞は学校の七不思議の特集をすることになった。
長年使われていなかった旧校舎もこの夏休みに取り壊されることにあり、今やるのはベストな企画で、反対する者は誰もいなかった。
「はい、その企画、私に担当させてください」と元気よく手を挙げたのは、主人公の坂上と同じ1年生の倉田さんだった。
誰も反対しなかったので、倉田さんがこの企画の担当に決まった。
本当は自分も記事を書きたかったと思っていると、日野先輩が声を掛けてくれたが、何でもないですと返事する坂上。
結局、坂上はこの企画では何の担当にも当たらなかった。
その帰り道、日野先輩に声を掛けられる。
「倉田には別の企画を任せた。やっぱり七不思議の企画はお前が担当した方がいいと思ってな。坂上、お前、まだ記事らしい記事を書いたことないだろ。だから、この企画、お前に任せる。しっかりやれよ!」
「でも、先輩、僕なんてまだ新人ですし、学校の怖い話といってもあんまりよく知らないので、きちんと務まるかどうか」と遠慮がちに答える主人公。
「坂上、新人だからって遠慮なんかしてたら、いつまでたっても記事は書けないぞ。お前はもっと貪欲になるんだ、坂上。それとも、お前、怖い話が苦手なのか?」
図星だが、「いえ、そんなわけでは・・・」と否定する坂上。
「怖い話が苦手なら苦手でも問題はないんだよ。むしろそっちの方が記事に面白みが出ると思うぞ」
「はい、一生懸命やってみます」
「よし、その意気だ。でも、やってみますじゃだめだ」
「すみません、一生懸命やります!」
「上等、上等。怖い話をするやつは俺のほうで頼んでおくから安心しろ。あと、当日俺もついていてやるから、そんなに心配そうな顔はするなよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、頼んだぞ」
日野先輩はまだ部室の片づけが残っていると言って、手を振りながら校舎に戻っていった。
当日、放課後。
日野先輩は、どうしてもはずせない用事が入ってしまい、残念ながら集会に参加することができなくなったため、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。
この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
そこへ「危ないですよ」と知らない女の子が声を掛けてきたので、思わず「ごめん」と謝る坂上。
女の子は「この辺りには悪い気が立ち込めている。だから注意するようにってお婆ちゃんが言っているんです」と言って、軽く会釈して去っていった。
新聞部の部室の扉を開けると、真ん中の大きなテーブルを囲むように6人の男女が静かに座っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男子生徒から声を掛けられる。
「あ、すいません。違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。今日は新聞部の先輩の日野さんといっしょに皆さんのお話を伺うようにと言われています。どうぞよろしくお願いします」
「ったくよう、いつまで待たせるんだ、7人目は!」と、足を投げ出すように座っている男子生徒が機嫌悪そうに言った。
「私、待たされるのが嫌いなの。始めるなら早くして頂戴」と、隣の髪の長い女子生徒が、不機嫌そうに顔を歪ませた。
「ねえねえ、これ以上待ってしょうがないし、もう始めちゃったら?」と。テーブルを挟んで向かい側にいる女子生徒が言った。
「確かにこのまま7人目を待っていてもしょうがないですし、会を始めさせて頂きたいと思いますが、どうでしょうか?」と、坂上が言った。
「別にボクは構わないけど」と一人が言うと、他のみんなもゆっくりと頷いた。
「ありがとうございます。では会を始めたいと思います」
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