チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日の忌火起草はどうかな?


 部室に行くと健吾以外の部員がそろっていた。
 弘樹は、黒い女を見たと話すが、みんなに信じてもらえず、部室を飛び出してしまう。


 愛美だけが追いかけてきてくれて、黒い女の話はよくわからないが、弘樹のことは信じると、言ってくれる。
 弘樹は、ビジョンを飲んで、黒い女の呪いにかかったと、愛美に打ち明ける。
 弘樹は、黒い女について調べようと思い、正人が黒い女の絵を描いていたことを思い出す。
 そこへ飛鳥から、ビジョンの成分がわかったから、いっしょに大学病院へ行こう、というメールが届く。


 :飛鳥と合流して大学病院へ向かうことにした


 飛鳥といっしょに大学病院へ向かい、ビジョンの成分はヘンルーダという植物だと教えてもらう。


 TIPS:飛鳥の交友関係

 飛鳥の交友関係は広く浅い。和子もそのすべては把握していない。どういった経緯で知り合っうのか、医者から弁護士、マスコミ関係など幅広い職業の知り合いがいる、一度健吾がや正人がふざけて飛鳥の素行調査をしようとしたが、なぜかいつも知らない間にふらっといなくなってしまい結局なにもわからなかった。


 ヘンルーダは万病に効くとされ、紀元前から使われている。ヒステリー症状にも効果があるという。
 現在では、ヘンルーダを原料としてサプリメントがコンビニで売られている。
 ヘンルーダには、フロクマリンという光増感作用をもたらす成分が含まれていおり、日焼け増進剤みたいなもので、ヘンルーダに触っただけで皮膚が荒れる人もいる。
 つまりビジョンには、幻覚を起こすような成分は入っていないとのこと。
 この薬は、イマビキ湯というのが本当の名前で、ビジョンは通称だと教えてくれる。
 イマビキ湯は、ヘンルーダを煎じて作るのだが、その製法は江戸時代からあったらしい。それを戦後復刻して精神を癒す薬として錠剤にして売り出したが、その製薬会社はとっくに潰れているとのこと。なぜこの薬がいまだに流通しているのかは、謎だ。


 大学に戻り、愛美と健吾に、ビジョンの成分について説明する弘樹。
 爪が真っ黒になっている健吾は、正人のように死んでしまうとべそをかいている。
 愛美は、ビジョンの成分には問題はないが、ビジョンがすべての引き金になっていると、言い出す。


 図書館でビジョンやヘンルーダについて調べ始める弘樹だが、たいした情報はない。
 そこで、イマビキ湯について調べることにした。


 A:作られた時期はいつだった?


 イマビキ湯を製造販売していたのは守矢堂という江戸時代から続く製薬会社だということがわかった。
 関連記事を調べると、当地ではイマビキ草と呼ばれるヘンルーダを主原料にした漢方、イマビキ湯で財を成すと書かれていた。
 守矢堂で調べると、守矢堂の社長夫人が焼死、殺人事件として捜査という記事が見つかり、亜美という女性の顔写真が出ていた。
 亜美は、黒い女と同じ顔をしていた・・・
 弘樹は、部活メンバーに連絡を取り、連絡のつかなかった和子以外は、図書館に集まってきた。
 亜美の顔を見た健吾は、震えだす。
 記事を読むと、イマビキ湯は亜美が開発した薬らしい。
 事件現場の写真を見ると、それはキャンプ場近くのあの屋敷だった・・・そして、映画館での悪夢に出てきた釜のようなものも写っている。
 香織が倒れたので、みんなで病院に連れて行くことになった。


 香織を飛鳥の車に乗せようと駐車場へ行くと、和子がいた。
 和子と飛鳥はケンカを始めるが、和子が飛鳥にキスして、蝉のようにしがみつき、飛鳥を車のフロントガラスに押し付けた。
 見てはいけないと思い弘樹が視線をそらすと、メリメリという音が聞こえてきた。
 二人を見ると、和子のあまりの圧力に、飛鳥が押し付けられたフロントガラスにひびが入り始めている。
 飛鳥の口から黒い液体があふれ出してきているのを見て、弘樹は和子に体当たりをするが、和子は飛鳥から離れない。
 和子の手を引っかくと、和子は力を緩める。
 和子の爪を見ると、暗黒のような色をしていた。
 飛鳥は懸命に液体を吐き出しているが、和子は、やっと飲んでくれたとつぶやいている。
 和子は、ビジョンだと話す。
 和子は、食事を作っても食べてくれないから、さびしくて不安だったと、言い出す。
 突然、和子が、熱いと言いながら、爪をたてて、体中をかきむしり始め、和子の顔は血だらけになる。


 和子は奇声を上げながら血の海となった駐車場に倒れる。


 A:「飛鳥、逃げよう」


 飛鳥の手を引っ張るが、飛鳥はその場から動かない。
 血まみれになった和子が立ち上がり、飛鳥は魅入られるように動かない。
 あたしを捨てないで、とつぶやく和子に、飛鳥は近づいていく。
 突然、二人を炎が包み、二人は抱き合ったまま黒コゲになっていった。
 それを見た健吾は、半狂乱になって、その場から逃げ出す。


 健吾を追いかける弘樹だが、健吾は弘樹の目の前で、トラックに轢かれる・・・
 そのとき、弘樹の背中に何かがあてがわれる感触があった。


 光の方向→百八怪談集№11


 弘樹は夢の中で、あなたは誰?という、どこかで聞いたことのある女の声を聞く。
 あの光の方向へ行ってはいけないと感じた弘樹は、目を覚ます。


 弘樹が気が付くと、誰か知らない人の部屋におり、体がうまく動かない。
 声をかけると、隣の部屋から、香織の声が聞こえてきた。
 香織の話によると、弘樹は事故のショックで気を失ってしまい、近くにいた人にお願いして、ここまでつれてきてもらった、とのこと。


 A:もうじき目が覚めて、すべて夢だったらいいのに。


 隣の部屋から出てきた香織は、両手いっぱいに錠剤を握っており、それを水の入ったコップに入れる。
 香織の両手は黒く焼け爛れており、香織はその皮膚が爪で引っかいて剥がし、さらにコップの中に入れていく。
 香織は、弘樹にビジョンを飲ませたと打ち明ける。
 お茶のペッドボトルに注射器で入れて、正人から渡してもらうようにしたと。
 それから、合鍵の場所も知っていたから、ご飯にも細工し、部室においたチョコにも細工したし、厨房にいたのでお店のスープにも細工したと。
 香織の話では、ビジョンは効果は男女では異なり、女は、黒い女は見ないが、好きな人にビジョンを飲ませたくなるとのこと。
 香織は、小型のスタンガンを見せる。弘樹の体が動かないのは、これのせいだったのだ。
 香織がビジョンの入ったコップを弘樹の唇に近づけるが、突然、香織の体から炎が立ちあがる。
 弘樹は、何とか体を動かし、香織の部屋から脱出する。
 香織の体から出た炎は、アパート全体にも燃え移り始めた。
 弘樹は、愛美のケータイに電話するが、留守電になっていたので、愛美の自宅へ向かうことにする。


 愛美の家に行き、インターホンを押すと、愛美が出てきてくれた。
 愛美を確認すると、爪は真っ黒だった・・・・
 愛美の部屋に入れてもらった弘樹は、サークルで残っているのは、自分たちだけだと告げる。
 香織が弘樹にビジョンを飲ませようと細工したレストランのスープを、あのとき愛美も飲んだのだ。
 ふと、大壷に火が焚かれる限り、地獄の炎から逃れる術はないという言葉を思い出した弘樹は、大壷の火を消せば亜美の呪いから逃げることが出来るかも?と気づく。
 亜美の事件の記事に、大壷が写っており、今もあの屋敷で、大壷が釜として使われているかも?そして、屋敷にある大壷の火を消せば、呪いから逃れることができると、弘樹は愛美に伝える。


 愛美は自分もいっしょに行くと言い出す。


 B:愛美は本気で言っているのだろうか。


 弘樹はそう言ったが、愛美の覚悟は本物だった。
 二人で屋敷に行くことになった。


 愛美の父親の車を借りて、キャンプ場へ向かう途中、愛美は、亜美がイマビキ湯を復刻させたのは、戦争で傷ついた夫を癒したかったからだろうと言い出す。
 なんでそんなことを知っているんだ?と弘樹が問うと、愛美は、自分で調べたと答える。
 ハンドルを握る愛美は、初めて行くキャンプ場なのに、カーナビを使わず運転している。
 愛美は、イマビキ湯は長い間飲まないと効果が出ない薬だったため、亜美は即効性のある薬の開発を始めたが、夫が戦死したという知らせが届いた、と話し出す。
 イマビキ草の別名は、悔恨のハーブだが、他に、神の恵みのハーブとも呼ばれていた。
 亜美は薬の開発を続け、変わった漢方の製法を編み出した。それは、イマビキ草から神の恵みの力を生み出すというものだった。
 夫が死んだことで亜美の心は壊れてしまい、亜美は自分の足を鎖で繋いで、調合室にこもりきりになった、と。
 なんでそんな詳しい話しを知っているんだと、弘樹が疑問に思っているうちに、目的のキャンプ場についた。
 キャンプ場の周りにはイマビキ草が咲き乱れている。
 愛美は車に積んでいた懐中電灯を片手にどんどん進み、屋敷の玄関の扉を開け、中に入っていく。

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 今日の忌火起草はどうかな?


 午前中の講義をサボって、正人の自殺現場へやってきた弘樹。
 正人が飛び降りたと思われる場所には、花束が供えられていた。現場を良く見ると、花束の周りに焦げた跡が広がっていた。
 正人は体に火をつけて飛び降りたらしい。


 A:正人が近づくなと警告しているのかもしれない。


 胸騒ぎがした弘樹は、逃げるようにそこから去った。


 大学に到着すると昼休みになっていた。
 弘樹が部室に入ると、イスに座った健吾の周りをみんなが囲んでいる。
 健吾は、昨日から黒い女っぽいのが見えるようになった、と言いながら泣いている。
 詳しい話を聞こうと思い、弘樹が聞き出すと、健吾は、部屋で一人でいると、黒い女があらわれて、「あなたは誰?」って聞いてくる、と話す。
 健吾は続けて、黒い女を見るようになってから、爪が黒くなった、と言って、みんなに爪を見せる。
 弘樹は、健吾にも自分と同じことが起こっていることを知る。
 和子と香織は、黒い女なんて見たこと無い、と言っている。
 弘樹は、和子に、ビジョンの味を尋ねると、焦げたような苦い味、と言われる。
 弘樹も、知らない間に、ビジョンを飲んでいたらしい。というか、誰かに飲まされたのだ。


 弘樹と健吾は、いっしょに構内を歩いているが、お互いに黙ったまま。
 このままでは二人とも、正人と同じ運命を辿る可能性がある。


 :いや、思いつめすぎることで正人の二の舞になる。


 弘樹が、健吾に思いつめるなと声を掛けるが、健吾は黙ったまま歩いてく。
 正人のときと同じことを繰り返したくないと思った弘樹は、健吾のあとを追う。


 健吾といっしょの帰り道、道端では小学生たちが遊んでいる。
 子供達の爪を見ると、みんな黒い。


 :まさかこの子供たちもビジョンを・・・?


 弘樹は子供たちの手をとって、爪を見ると、子供は爪を黒く塗っていただけだった。
 どうして爪を黒く塗っているのかを弘樹が尋ねると、好きな子に気持ちが届くおなじないだとの返事。


 おなじない→百八怪談№7


 子供達は、「至高の快楽を得る代わりに、黒い女に骨まで焼かれるだろう」「大壷に火が焚かれる限り、地獄の炎から逃れる術はない」「残された刻を知りたくば、自らの爪に聞け」と、正人が話していた言葉を口にして、去っていく。


 健吾と別れて弘樹がアパートに帰ってくると、ドアの前に愛美が立っている。
 弘樹の部室での様子がおかしかったから、と愛美がいい、悩みがあるなら言ってね、と言って帰ろうとする。
 弘樹は礼をいい、どうして?と尋ねると、愛美は、友達だから心配、と答えて、帰ってしまう。


 弘樹が部屋の中に入ると、部屋の中が焦げ臭いことに気づく。
 壁から床にかけて、人の姿をかたどった焦げ跡ができている。正人が飛び降りたビルの屋上にあった焦げ跡と同じだ。
 焦げ跡の中から変な音が聞こえてきて、黒い腕が見えた。
 そして、あなたは誰?という女の声が聞こえてきた。
 弘樹には、正人の最後の電話の意味がわかった。正人は、この問いに答えるために、名乗ったのだ。
 黒い焦げ跡から、黒い女が出てくる。目を合わせちゃいけないと思いながら、弘樹は視線をはずすことができない。
 そこへ、ケータイが鳴り始める。
 弘樹がケータイをとると、香織からだった。
 弘樹が部屋の中を見ると、黒い女は消えていたが、壁にはうっすら黒い焦げ跡が残っていた。
 弘樹が焦げ跡を触ると、炭を触ったように黒くなった。
 あれは幻覚ではないのか?

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 今日の忌火起草はどうかな?


 弘樹は、午前中の講義をサボって部室にいた。
 部室のテーブルの上に、キャンプ場利用者ノートと書かれたノートを見つけて、何気なく開いてみた。


 ウワサの屋敷に行ってくる!
 ビジョンを飲んで盛り上がるぜ!
などと書かれており、日付を見ると、健吾たちがキャンプに行ったよりも前になっている。
 参加者を見ると、関東芸大美術学部3年と書かれていた。
 正人が言っていた通り、関東芸大の学生もキャンプ場にきていたのだが、集団焼身自殺をした学生と同じ人間かはわからなかった。


 黒い女が見えた。
という書き込みを見て、正人も同じことを言っていたことに気づく弘樹。


 あなたは誰?って聞かれた。
という書き込みを見て、弘樹は驚く。
 弘樹は、ビジョンを飲んでいないのに、昨夜同じ言葉を聞いたのだ。
 この書き込みの下を見ると、名前欄に三上亮平と書かれていた。


 そのとき、飛鳥が部室に入ってきた。


 TIPS:幻覚

 飛鳥は子供の頃、高熱が原因で幻覚を見た経験がある。
 現実にはいない虫が何匹も飛び交っているのが見えて、熱に浮かされながら必死で追い払おうとしたのをおぼろげに記憶していた。
 一説には幻覚というのはドーパミン過剰によって起こるとされている。
 ドラッグによる幻覚症状もそのためだということらしい。
 飛鳥には自ら進んで幻覚を見ようとする人間が理解できなかった。


 飛鳥は、「黒い女が見えた」とか、笑えるから持ってきたと話す。
 どうやら、飛鳥は、黒い女は見えなかったらしい。
 そういえば、飛鳥はビジョンを飲んでいなかった。
 飛鳥に、ビジョンを飲んだと言っていた和子の様子を聞いてみたが、特に心配するようなことはないとのこと。


 TIPS:飛鳥に一目ぼれしたきっかけ

 和子は水泳が苦手だ。飛鳥と付き合いだす1年前、水泳の授業で溺れ、意識を失った彼女はプールサイドで救急車を待っていた。
 そのとき、救急車が来るまでたまたま飛鳥がそばについていた。
 意識が戻ったとき、和子は飛鳥が助けたものだと勘違いして、その瞬間に一目ぼれした。
 ちなみに、和子は当時を思い出すと顔を真っ赤にするらしいが、飛鳥はこのことをまったく覚えていない。


 思い出したかのように飛鳥が、普段料理なんかしない和子が、最近やたら手料理を食べさせたがっていると、うんざりした口調で言い出した。
 飛鳥は、見た目がいまいちだから、忙しいってことで、断っていると話す。
 さらに、飛鳥は、家庭的な子と付き合ってみたいと言い出す。
 どうやら、飛鳥のほうは少し冷めかかっているようだ。


 TIPS:モテる飛鳥

 飛鳥は幼稚園の頃から女の子に人気があった。
 異性に囲まれていることが多く、同姓からは一挙手一投足がいやみだとあまり評判が良くなかった。
 しかし合コンでは飛鳥が参加していると女の子のウケがいいので、誰も狙っていない子を受け持つという条件つきでよくかり出された。
 和子とは高校2年生の頃に付き合いだした。一部ではフリーだと面倒だから和子とずっと付き合っているという噂もある。


 和子は、料理が得意ではないが、飛鳥のために、一生懸命つくったのだろう。
 飛鳥は、見た目の文句を言う前に、和子の気持ちを汲むべきだと、弘樹は思った。


 TIPS:飛鳥の好きな食べ物

 飛鳥が好きなのは和食だ。特に高野豆腐に目がなく、それだけあれば他のおかずはいらないほど目がないのだ。
 そんな彼は食べるだけに飽き足らず料理もこなしている。噂によると、料理教室が開けるほどの腕前らしい。


 不愉快になった弘樹は、飛鳥を残して部室をあとにした。


 中庭で、弘樹は、手にバスケット持ち、ベンチに座っている和子を見つけて声をかける。
 和子は、飛鳥にお弁当を作ったが、今日も食べてもらえなかったと話す。


 弘樹が和子の隣に座ると、和子は、飛鳥は他に好きな子ができたのでは?と言い出す。


 :「気になるなら直接聞いてみれば?」


 さっきの飛鳥との会話は、弘樹の口からは言えない。


 TIPS:飛鳥のバレンタインデー

 飛鳥は甘いものが苦手だ。
 毎年バレンタインデーには和子が気を使って極力甘くないチョコレートというのを作って渡すのだが、それすらも辛い。
 飛鳥としてはいい加減チョコレートはやめて欲しいと富もうだが、その手のイベントに口を挟んだときの和子の拗ね方は数日かかってようやく機嫌を直すほどなので、言い出せないでいる。


 和子は、知っているなら教えてほしいと、問い詰めてくる。


 TIPS:恋愛至上主義者・和子

 和子にとって飛鳥との恋人生活は、彼に気に入られようとする日々といっても過言ではない。
 好きなそぶりをあまり見せない飛鳥に、彼女は不安を抱いている。
 だからこそ、少しでも彼好みの女になろうと努力をしているのだ。
 彼女にとって飛鳥は自分の人生そのもの。別れることになったらどうなるのか想像するだけでおそろしい。


 うっとうしくなった弘樹は、直接聞いたほうが早いし、話もこじれないだろ、と、和子に突き放すように言ってしまう。
 和子は、飛鳥に捨てられたくない、と言うので、弘樹は、どうして飛鳥がいいんだ?と尋ねると、和子は、しなきゃいけないことがあるから、と答える。
 そして、和子は、飛鳥にふられたら、飛鳥の前で焼身自殺でもしようかしら、と言い出す。
 さらに、和子は、焼かれて死んだ人間は祟る、と言って、近くにあったゴミ箱に、バスケットを叩き込んだ。
 相手を呪うには、焼身自殺だ、と言って、和子は去っていった。


 弘樹は、関東芸術大学へ行き、三上亮平の知り合いを探し、三上の友人だという男子学生を見つける。
 弘樹は、三上の小学校の頃のクラスメートだとウソをついて、三上のことを聞きだそうとすると、男子学生は、弘樹を、三上が所属する日本絵画サークルの部室に連れて行ってくれる。
 部室の一番奥に、女の絵が置いてあり、見つめていると魂を吸い取られそうな気分になってきた弘樹だが、講義室の机のラクガキと同じ絵であることに気づく。
 男子学生は、三上の遺作だと言い出す。
 三上は、ニュースでも報道されていたが、車の中で体に火をつけて自殺したとのこと。


 A:正人の謎めいた言葉だ。


 正人が言っていたことが現実味を帯びてきたので、弘樹は、三上がキャンプに行ったかを尋ねてみると、男子学生は、正人たちが行った屋敷に三上も行ったと答える。
 そして、キャンプのあと、三上は何かに取り付かれたようにその女の絵を描いて、自殺したとのこと。
 弘樹は、正人が言っていたことは本当で、ビジョンを飲むと呪われると、確信する。
 男子学生から、三上の両親から、作品を全部処分してくれと頼まれているので、手伝ってほしいと言われる。
 弘樹は、男子学生に言われるまま、校舎裏の焼却用のドラム缶にすべての絵を放り込む。
 燃えていく女の絵を見ながら、弘樹は、自分も焼身自殺してしまうのだろうか、と心配になる。


 四限の講義が終わり、みんなが部室に集まり、他愛のない話で盛り上がっているが、正人は今日も来てない。
 健吾が部室に飛び込んできて、正人がビルの屋上から体に火をつけて飛び降りて、死んだと、伝える。
 健吾は、正人の親から電話があって、遺書とかはなかったと言っていたと、続ける。
 弘樹は、健吾に、ビジョンなんて飲ませるから、正人が変な幻覚をみて、自殺したんだと詰め寄る。
 飛鳥は、冷静に、飲んだのは正人だけじゃないと言って、弘樹を健吾から引き離す。
 和子も香織も、何ともないと答える。


 TIPS:和子のストーカー被害

 和子はストーカー被害にあったことがある。犯人はなぜか、和子が自分のことを好きなんだと思い込んでいたらしい。執拗につきまとう男を和子は冷たくあしらい続けていると、男は逆ギレして飛鳥に危害を加えようとした。その瞬間、和子もキレた。いままでの証拠を完璧にそろえて警察に被害届を提出、同時に民事訴訟を起こし、完膚なきまでに相手を叩きのめしたという。


 弘樹が健吾に謝ると、健吾は、弘樹のケータイの電源が切れていないかと、聞いてきた。
 正人の母親が、弘樹に連絡しようとしたが、繋がらなかったらしい。
 弘樹がケータイを確認すると、留守番電話のマークがあり、着信時間は、電源を切った直後のようだった。
 弘樹が留守電を再生すると、正人の絶叫が響いた。
 正人は、コゲが、とか、見るなと言っていたが、最後に自分の名前を言ってから絶叫を上げ、通話が終わっていた。
 健吾は、正人は一人だけ、ビジョンを先に飲んだと言い出す。健吾と正人は、キャンプの下見に行ったのだが、そのときに、健吾が正人にビジョンを飲ませたとのこと。
 飛鳥は、健吾に、ビジョンの入手方法を尋ねると、健吾は、ネットだと答える。心霊スポットで飲むと効果がアップするって、ウワサだったとのこと。
 健吾は、全部やるよ、と言って、飛鳥にビジョンを押し付けて、部室から出て行ってしまう。
 飛鳥は、知り合いの医者に頼んで、成分を調べてもらうと話す。


 弘樹が知り合いの通夜に出るのは2回目だった。1回目は京介で、2回目が正人。
 焼香をしながら、弘樹は、正人の話をきちんと聞けばよかったと悔やみ、心の中で何度も正人に謝る。
 正人の親族が、正人に絵画の趣味があったなんて知らなかったと言ってるのが、聞こえてきた。正人に部屋に女の絵がたくさんあったとのこと。
 あの女の絵だろうか?弘樹は、あとで、確認してみようと思った。
 集会所を出て、薄暗い通路を歩いていた弘樹は、前方に人の気配を感じる。
 誰かが立っているようだが、通路の奥は蛍光灯が切れているため、真っ暗だ。
 目をこらすと、正人だった。正人は、爪を弘樹のほうに突き出すが、その爪は、真っ黒に染まっていた。
 ふいに蛍光灯が点き、正人の姿が消えた。

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 今日の忌火起草はどうかな?


 弘樹は、午前中の講義を終えて、学食に一人でいた。
 正人は大学に来ていない。


 健吾がキャンプの写真を見るかと、デジカメを手渡してきた。


 :別に、見たくないよ


 自分が行かなかったキャンプには興味がないと弘樹が話すが、健吾はデジカメのモニターを見せてくる。


 TIPS:キャンプ場へ向かった経緯

 キャンプ場の場所を決めたのは健吾だった。
 その筋では有名な心霊スポットで、丁度ビジョンを手に入れたばかりだった彼はビジョンを試すために女の幽霊が出ると言う噂のキャンプ場に決めた。
 心霊スポット巡りがライフワークになっている健吾は近場のスポットは網羅している。
 ただ、はっきりとした心霊現象に遭遇したことは一度もない。


 デジカメのモニターには、ビジョンでパーティを行ったという屋敷が写っている。周囲には、イマビキ草が咲き乱れている。
 次の写真は、門の前で記念撮影をしたらしいのだが、フラッシュが光らず真っ暗で、ピンボケの写真だった。


 :おい、正人はキャンプでおかしくなかったか?


 健吾は、正人はいつも通りだったと答える。ということは、正人がおかしくなったのは、キャンプから戻ってからだろうか。


 TIPS:心霊写真家・健吾

 健吾が心霊スポットで写真を撮るとたまに変なものが写っている。
 心霊スポットに限らず、健吾が撮ると違和感のある写真が混じっている。
 しかしそれらすべてが健吾の失敗によるもので、心霊写真が撮れたことはない。
 あまりに写真を撮るのが下手なため、最初はわざとやっているのではないかと思われていたほどだ。
 今では、写真を撮るときは健吾に頼まないというのがサークルの常識になっている。


 心霊スポット→百八怪談№18


 健吾は話題を変えるように、改築の時に屋敷の床下から大量の白骨死体が見つかったと話し出す。
 屋敷は昔は新薬実験施設で、実験していたのは女の薬剤師、白骨死体はその犠牲者らしい。
 あの屋敷で騒ぐと、人体実験の犠牲者に呪われるとウワサされている。


 :お前、いい加減そういうことすんのやめろよ


 健吾は、過去にいろいろやらかしており、弘樹がその解決のために四苦八苦してきたのだった。


 TIPS:ピアス

 以前、白い糸のようなものがピアスの穴から出ていたことがあって、取りたいのに取れないと怯えていたことがあった。
 なんでも、白い糸は神経なので引き抜くと目が見えなくなるという話があるらしい。
 見つけたときに引っ張って、1センチほどの長さだったのがさらに3ミリほど出てきてしまったので、健吾はその後一切触れないようにしていたが、結局次の日にはその白い糸はなくなっていた。


 健吾と別れて構内を歩いていた弘樹は、ベンチで読書している愛美を見つける。
 愛美は、付き合っていた恋人の間宮京介を交通事故で失っている。


 1年前、大学からの帰り道、弘樹は、京介といっしょにいる愛美の後姿を見つめていた。
 京介は、薬学部のOBで、大手製薬会社の研究室をまかされており、愛美や弘樹と年齢が一回り違う。
 あの日、二人のあとをストーカーのようにつけていた弘樹は、愛美のほうに突っ込んできたトラックから、愛美を突き飛ばして、身代わりに京介が轢かれる場面を見た。


 その後、愛美は抜け殻状態となり、弘樹は、大切な人を失った愛美の支えになってやりたいと思う一方、どうしても行動できなかった。
 愛美を命がけで守るという京介の行動があまりも鮮烈で、同じ場面に遭遇したら、自分は愛美を同じように助けることができるかは、弘樹にはわからなかった。


 →百八怪談№2


 あれから1年、愛美も立ち直ったかのように見える。弘樹が惹かれていたはにかんだ笑みは、愛美の表情から消えてしまっていた。
 愛美が真剣な表情で読書をしているので、弘樹は声を掛けるのを諦めた。


 午後の講義を終えた弘樹は、部室に顔を出すが誰もいなかった。
 テーブルの上にスナック菓子がおかれていたことから、少し前までは誰かがいたようだ。
 そのとき、弘樹のケータイが鳴り、着信画面に正人の名前が表示されている。
 弘樹が電話をとると、昨日よりは元気そうな声の正人は、呪われたようだと言い出す。
 正人は、こののろいは目が鍵で、目を見たらダメだと話すが、弘樹の反応が微妙なことに気づき、信じていないだろといって、電話を切ってしまう。
 朝から何も食べていない弘樹は、テーブルの上を漁り、アーモンドチョコを見つけて、口に放り込むが、苦い味が広がった。
 いそいで口を水道の水でゆすぐ。
 弘樹は、指の爪が全部うっすら黒くなっていることに気づく。擦っても取れない。じっくり見てみると、細かな黒い斑点がたくさん爪の中に浮いている。
 そこへ愛美が部室に入ってきて、様子のおかしい弘樹に気づいて、「なんか沈んでるみたいだから、今から遊びに行く?」と言うので、弘樹は一緒に遊びに行くことにする。


 電車に乗り、繁華街へ出た。
 愛美は、どの映画を見よう?と聞いてくる。


 :愛美が喜びそうなラブストーリーかな。


 愛美が喜びそうなラブストーリーかな。


 TIPS:愛美の映画趣味について

 女性が好む映画は恋愛ものだと考えるのは偏見である。愛美はジャンルを問わず様々な映画を観る。
 彼女が中学生のころに好きだったジャンルは香港アクション、高校生の頃は七十年代以前の名優が出てくるハリウッド映画。そして今はヨーロッパ系のアクション映画だ。彼女いわく「クセのある作品に惹かれる」らしい。


 しかし、愛美に嫌がられたらどうしようと悩む弘樹をよそに、愛美はアクション映画の看板を指差す。どうみてもB級だ。
 愛美は、弘樹が好きそうな映画を選んだと話す。


 映画館はガラガラで、ストーリーはあまりのも退屈で睡魔に襲われそうになる弘樹。
 突然、映像がぶれはじめて、何も映っていないスクリーンが、映写機の灯りで照らされている。


 すぐに映画は再開したが、スクリーンには、レンガで囲まれた薄暗い部屋が映し出された。
 部屋の中央には壷のような形をした鉄の塊が陣取っている。
 突然、鉄の塊は大量の蒸気を噴出した。
 さっきとは、違う映画になってしまったみたいだ。
 スクリーンを眺めていると、湯気の向こう側に人影が見え、ヒソヒソとした話し声も聞こえてきた。声の感じからすると、二人の男女のようだ。
 「アミ様、準備が整いました」
 「さっさとやりなさい」
 気味が悪くなった弘樹は、受付に上映トラブルを訴えようと、イスから立ち上がろうとするが、体が動かない。
 ふいに目の前が真っ白になり、あわてて周囲を見渡すと、スクリーンはなく、隣に座っているはずの愛美も蒸気で見えない。まるで、弘樹が映像の中に飛び込んでしまったかのようだ。
 いきなり背中に鋭い痛みが走り、弘樹は吊り上げられた。
 あたりから悲鳴が聞こえ、異臭が鼻をつく。子供のころ、自分の髪の毛を燃やしたときの臭いによく似ている。
 まさか人間を焼いているのか?
 弘樹の体は、少しずつ悲鳴のするほうへ近づいている。
 ゆっくりと弘樹の体が落下し、鉄の塊の中に放り込まれた。全身の皮をいっせいにはがされるような痛みで、目玉が裏返り、食いしばった奥歯が割れ、頭の血管が破裂しそうになる。内臓が沸騰して、様々な体液が口に逆流してきた。それでも弘樹は生きており、意識はまだはっきりとしていた。
 鉄の塊に入ったのは胴体だけで、頭の部分はまだ外に出てきたのだった。
 死にたくないと弘樹は何度もつぶやくが、鎖は緩み、頭も炎の中へ沈められた。
 助けてと叫びながら、弘樹は狂ったように暴れた。
 落ち着けと正人の声が聞こえてきた。
 蒸気に包まれた世界は霧散し、スクリーンには初めに見ていた映画の続きが上映されている。
 夢だったのか?
 隣の席の愛美を見ると、正人が座っている。
 正人の体が炎に覆われていく。
 目を見るなと、正人は言う。
 弘樹は自分の叫び声で、我に返る。
 愛美が、落ち着いてと、声をかける。
 弘樹は居眠りをして、ひどい悪夢を見たらしい。


 映画館を出て、弘樹は愛美に謝った。
 愛美は、気にしていないと、笑っている。
 愛美は、自分で気持ちを明るくしていかないとと、言い出す。
 いつもより明るい愛美に、何かあったと弘樹が尋ねると、京介のことでちょっと、と愛美が答えた。


 愛美に連れて行かれたのはしゃれたイタリアンレストランだった。しかも、香織の父親が経営する店なのだが、愛美はそれを知らないようだ。
 香織に、愛美と食事をしに来たことがばれるとマズイと弘樹は思うが、愛美はさっさと店に入ってしまう。
 愛美はディナーセットを2人前注文し、雑誌で評判だったと話す。
 店内に香織はいないようだ。


 TIPS:レストランについて

 香織の父親はイタリア料理店「TRATTORIA FRAGRANZA」のオーナーシェフだ。
 店の評判は上々で、何度も雑誌で紹介されている。店名の由来はオープン直前に生まれた香織への想いを込めている。
 こぢんまりとした雰囲気や、定期的に変わるメニューが魅力でリピーターも多い。
 おすすめの定番メニューは自家製パンチェッタとオリーブのリングィーネ。


 愛美は、弘樹がキャンプにいかなかった理由を聞いてきた。
 愛美に本当のことを言おうとした弘樹だったが、そこへスープが運ばれてきて、断念。
 トマトを使ったスープのようだが、弘樹がスプーンにすくって口に運ぶと、トマトとは思えない苦味が口の中に広がる。
 愛美がいるので吐き出すわけにもいかず、弘樹は飲むこむ。


 愛美と別れ、アパートに帰ってた弘樹。
 焦げた味がしたのはスープだけで、そのあとの料理はおいしく食べることができた。
 爪を見ると黒い点が増えたような気がする。
 布団に入ると、風邪を引いたらしく、頭がボーッとする。
 耳元で、自分ではない呼吸する音が聞こえる。
 後ろに誰かがいる!
 目を閉じると呼吸音は聞こえなくなり、「あなたは誰?」という女の声が聞こえてきた。
 弘樹が部屋の中を見渡すが、どこにも人の姿はない。
 部屋の電気をつけ、布団をかぶると、ケータイが鳴り始める。


 A:おそるおそる手を伸ばして携帯電話を取った。


 香織からのメールで、今何してる?とだけ、書かれている。
 ふざけるなと言いながら、弘樹は、ケータイの電源を切った。

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 サマーセールで買っちゃった忌火起草のプレイ開始!


 1日目


 薬学の教授によるドラッグの講義を受けている主人公の牧村 弘樹(まきむら ひろき)は、講義の途中で、眠り込んでしまうが、早瀬 愛美(はやせ まなみ)によって起こされる。


 TIPS:『愛美の基本情報』

 おとめ座。身長162センチのスレンダー体型。
 合格最低点スレスレで入学できた弘樹と対照的に、非常に優秀な成績で現役合格した。
 愛美はその学力を鼻にかけることなく、授業についていけない弘樹を親身になってサポートした。
 そんな彼女に弘樹が惹かれたのはごく自然なことだった。


 講義はとっくに終わっており、講義室には、弘樹と愛美しかいなかった。
 愛美に机にラクガキしてると指摘されるが、身に覚えのない弘樹。
 ラクガキは、鉛筆でラフに描かれているのに、妙に生々しい女性の顔だった。
 愛美といっしょに学食に向かう途中、弘樹は、愛美に始めてあったときのことを思い出す。


 愛美とは大学1年生のときに、新入生歓迎コンパであい、弘樹は一目ぼれしたのだった。
 愛美の心の中に一人の男性の存在が深く刻まれているため、大学3年生になった弘樹は自分の気持ちを伝えることができなかった。


 学食で昼ごはんを食べる二人だが、愛美は「あの一件」以来、心からの笑顔を見せていない。
 そこへゴスロリファッションの皆川 香織(みながわ かおり)が声をかけてくる。


 TIPS:『香織の基本情報』

 さそり座。身長150センチのぽっちゃり体型。
 レースがふんだんに使われたゴスロリ衣装で大学構内を闊歩する姿は良くも悪くも人目を引くが、本人はいたって気にしていない。
 弘樹を好きだと公言しているものの、あまりにアピールしすぎるので周囲には本気だと思われにくい。


 香織の後ろには、渡辺 正人(わたなべ まさと) もいる。


 TIPS:『正人の基本情報』

 いて座。身長175センチの肥満型。大学には奨学金制度を利用して在学中。
 見た目どおり食欲旺盛。好物はカレーだが、どんな不味い料理でも笑顔で食べることができる。
 体格に反比例して気が小さいので、よく周りにからかわれては笑われている。
 ポカをやらかしても笑って済まされる愛嬌の持ち主。


 二人とも、弘樹が所属している野草研究サークルの仲間だ。
 サークルの活動内容は、キャンプのついでに野草を摘むことがあるというぐらいもの。
 香織は弘樹にベタベタしてくるが、弘樹は愛美一筋なため、まったく相手にされていない。
 正人がお茶を差し出すが、貧乏学生の正人からもらうのは気が引ける。
 しかし、正人が強引に受け取れというので、弘樹はもらって一口のんだが、妙に焦げ臭くて苦いもんだから、吐き出してしまう。
 正人のいたずらかと思ったが、正人の驚きようからそうでもないらしい。
 弘樹は、正人に、貧乏学生は水でも飲んでろと言い切る。


 TIPS:『正人の経済状況』

 正人は高校卒業後の進路を2つにしぼっていた。ひとつは就職の選択肢を広げるための大学進学。
 もうひとつは衣食住に困らない自衛隊。結局、正人は大学進学を選んだ。
 講義のない日はアルバイトに費やしたが、それでも足りない生活費を楽して増やそうとギャンブルに手を出した。
 月々のバイト代は、増えるどころか減る一方。彼の貧しさは筋金入りだ。


 愛美が話題を変えるため、さっきの講義についてみんなに尋ねる。
 正人の歯切れが悪いことから、居眠りをしてたと決め付ける香織。


 TIPS:『正人の成績』

 正人の成績は平々凡々。ということなら評定はBが多いのかと思われがちだが、実はAとCが大体同数である。
 正人は、討論や発表といったことは苦手だが、レポートや筆記の試験問題を予想するのがとてもうまい。
 だから優秀な成績を残すことができるのだ。その能力をギャンブルで活かせればいいのだが、なぜかそれはできないようだ。


 TVのワイドショーは、駅前のビル火災の現場を放映していた。
 被害者は、関東芸術大学の学生8人とのこと。
 それを見た正人は、イスから立ち上がった。


 :正人の様子が心配になった


 正人の顔面からは血の気が失せ、体が小刻みに震えている。
 正人は、帰ると一言だけ言って、学食から出て行ってしまう。
 ニュースでは、大学生たちが自分の体に火をつけたため、火災になったと報道している。
 ふと弘樹がTVに映し出されたビルの壁についている黒い焦げ跡をよく見ると、人の姿をかたどったように見えた。
 弘樹が愛美に教えようともう一度TVを見るが、焦げ跡は消えていた。


 午後の授業を終え、愛美と別れて、サークルの部室へ向かった弘樹は、同じサークル仲間の中森 健吾(なかもり けんご)に声をかけられる。


 TIPS:『健吾の基本情報』

 ふたご座。身長169センチの痩せ型体型。
 トレードマークになっているヒゲはただでさえ濃い顔をよりいっそう濃い印象にしている。
 二浪した挙句ぎりぎり補欠合格で大学に入っただけあって、成績は優秀とは言えない。
 興味のある分野はオカルト全般。怪しいグッズに目がなく、うさんくさい商売文句にすぐ引っかかる


 健吾は、二浪して弘樹より年上だが、トラブルメーカー的存在だった。
 去年の夏の合宿では、宇宙人を呼ぶと言い出し、コートに変な絵を描いてメンバーたちの大顰蹙をかった。
 健吾は駅前の火事を生で見て、死体の運び出しを見たと話し始める。
 健吾は、ポケットから黒い錠剤を取り出す。
 先週、サークルのメンバーたちは郊外のキャンプ場へ二泊三日で遊びに行ったのだが、弘樹は参加してなかった。
 健吾は、この錠剤を飲んで盛り上がったと話す。


 :「そんなのやめとけよ」


 健吾をたしなめる弘樹。


 TIPS:『都市伝説』

 健吾は都市伝説の類に目がない。日々ネットで新しいネタを仕入れては、嬉々としてみんなに話す。
 中でも特にお気に入りのねたがある。女の子が友達と一緒に夜遅く帰ってきて、落ち着くまもなくその友達がやたらとコンビニに行きたいというので仕方なく家を出ると、友達から『あんたのベッドの下に男の人がいた』と言われる話だ。
 合コンの時の評判もいいので健吾の十八番となっている。


 健吾は、このビジョンは学校でも流行っていると言いだすが、弘樹はきっぱりと断るが、健吾は、特に心霊スポットで飲むとキマると話を続ける。
 弘樹がイライラしてきたので、健吾は、みんなには黙っていろといってカバンにビジョンをしまって去っていく。


 サークルの部室に入ると香織が花をカビンに飾っていた。
 あまり見たことがない黄色の花で、香織はキャンプで摘んできたもので、忌火起草(イマギキソウ)だと話す。花言葉は、悔恨とのこと。
 香織は、キャンプ場の近くにあった心霊スポットである無人の屋敷に、知らずに入ってしまったと打ち明ける。
 そこは戦前からの建物で何度も持ち主が変わっている。最近の持ち主が改築しようとして地下室で・・・と香織が言ってから、最後まで聞くと呪われると言い出したので、弘樹は止めとくと言って話を打ち切らした。
 弘樹がキャンプに行かなかったのは、愛美がキャンプに行かないと言ったからだ。
 香織は、弘樹とキャンプに行きたかったと話す。


 :「次は必ず行くよ」なぐさめるつもりで言った。


 それを聞いた香織は、今度二人でキャンプへ行こうと言い出す。


 TIPS:『香織の性格』

 そのファッションが示す通り、わが道を行くマイペースな性格。
 見かけによらず気が強い面もあり、奇抜な香織のキャラクターについて陰口を叩くような相手には面と向かって応酬する。
 まだサークル仲間と打ち解けていない頃、愛美が先輩にしつこく言い寄られて困っていたときも香織が撃退し、それ以来愛美の香織に対する認識が変わったらしい。


 弘樹が来週は予定があると答えると、香織は、行きたくない?と聞いてくる。
 それを聞いた弘樹は黙ってしまう。
 香織は、弘樹がどう思おうが、諦めないからと言って、部室を出て行く。


 弘樹は1年前に香織に告白されたが、愛美のことが好きだった弘樹は断ったが、香織には理由を伝えていなかった。


 TIPS:『愛美と弘樹の出会い』

 当時未成年だった愛美が、入ったばかりのサークルのコンパで先輩からお酒を勧められたことがあった。
 それを弘樹が庇ったのがきっかけで愛美は彼のことを知る。
 ちなみにサークルは当時、存続の危機に瀕しており、彼女たちの世代を除くとすべて4年生だった。
 新入生である弘樹にとってはかなり勇気がいる行為だっただろう。


 :下手にどうこう言うよりも、香織が勝手に心変わりするのを待つことに決めた。


 弘樹が香織のことを何とも思っていないことに、香織が気づいていないはずない。


 いろいろ→百八怪談№93


 そこへ和泉 飛鳥(いずみ あすか)松下 和子(まつした かずこ)が部室に入ってくる。


 TIPS:『飛鳥の基本情報』

 みずがめ座。身長179センチの痩せ型体型。
 彫りの深い人目を引く外見でかつ博識であるため人気がある。
 入試をトップで合格したというのはそれなりに有名な話だった。
 コーヒー好き。ブラック、それも苦すぎるくらいのイタリアンローストに限る。
 和食を食べるときもコーヒー。


 TIPS:『和子の基本情報』

 おひつじ座。身長169センチ。性格ははっきり物を言うタイプ。それゆえに誤解されがちだ。
 彼女はモデルもやっていて、活動の中心は雑誌のモデルと、通販関連のモデルだ。
 大学でも彼女の可憐さは噂になっており、ときには雑誌を見たと言って話しかけてくる男もいるが、曖昧にせずその場ではっきり断っている。
 ただ、2人きりになったら、恋人の飛鳥にベタベタして甘えているらしい。


 入試成績トップの飛鳥と、容姿端麗の和子は、非の打ち所のないカップルだ。二人は高校生のころから付き合っている。


 TIPS:『和子の美容』

 モデル活動だが、和子は真剣にやっているわけではなく、アルバイト感覚でやっているだけだ。
 それ故なのか、スキンケアは人並み程度。
 最近のお気に入りの化粧水は近所のドラッグストアで特売されていたB級品、使っているタオルは近所の酒屋の店名が入った贈答品だ。
 だが、彼女なりの努力として、毎日10キロのマラソンを欠かさず行っているのだ。


 飛鳥は、駅前の火事が写っていると言ってデジカメを弘樹に見せる。
 映像には、人間が自然発火したように写っていた。
 飛鳥は、服のどこかに火がついていて、燃えやすい化学繊維の服だったので、一気に火達磨になったんだろうと話す。
 和子が、自分のカメラだからデータを消してと訴えると、飛鳥はデータを消去した。
 飛鳥が、現場に来ていた記者と店員のやりとりを聞いたところ、集団焼身自殺の線が濃厚らしい。
 飛鳥は、一番辛い自殺方法だと話し出す。意識がはっきりとしたまま、皮膚が焼ける苦痛を味わい続けるのだと。


 弘樹は話題を変えるため、キャンプの話を振ると、飛鳥はビジョンを飲まなかったと話し、和子は、楽しかったし、あの屋敷もスリルがあったと答える。


 TIPS:『飛鳥の素質について』

 飛鳥はどちらかというと、天才肌というよりは努力家である。
 優秀な成績は日々の勉強の賜物で、課題に取り組む時間も熱意も人一倍なのだ。
 高校の時にそれを知った和子も自然と飛鳥に習って真面目に勉強に取り組むようになった。
 飛鳥の協力もあって、和子は結果的に最初の志望ランクよりも上である今の大学に、飛鳥とともに合格した。


 イマギキ草は、キャンプ場周辺だけでの呼び方だと、飛鳥が教えてくれる。
 和子は、縁起が悪い花だから捨ててしまおうと言い出し、止める弘樹。


 TIPS:『飛鳥がサークルに入会したきっかけ』

 もともと飛鳥はサークル活動に興味がなかった。野草研究サークルに入ったのも和子に連れられてきただけだ。
 飛鳥の野草についての知識は、暇つぶしに読んでいたサークル所有の活動記録や書籍から得たものだ。
 以前は真面目に活動が行われていたため、その手の資料は大量にあった。
 今では彼はそれらを完全に把握し、新たな研究を一人で行っているのだ。


 弘樹が、飛鳥たちと別れて部室を出ると、ベンチに正人が座っているを見つける。
 隣に座ると、正人は、ビジョンを飲んだから、俺は焼け死ぬと言い出す。
 さらにさっきのニュースで焼け死んだ大学生も、ビジョンを飲んだはずだと話す。
 正人は、黒い女が見えると言って震えている。
 正人は、ブツブツと、至高の快楽を得る代わり、黒い女に骨まで焼かれるだろう、大壺に火が焚かれる限り、地獄の炎から逃れる術はない、などつぶやきながら去っていく。


 アパートの扉の前で、キーホルダーを落としたことに気づいた弘樹。
 よくキーホルダーを落とすので、予備の鍵はポストの中に隠してある。
 予備の鍵を使って部屋に入り、コンビニ買った惣菜のハンバーグとサラダを晩御飯にする弘樹。
 ハンバーグとサラダはおいしかったのだが、ご飯を食べた瞬間、昼間飲んだお茶と同じ苦い味が口いっぱいに広がり、弘樹は食べたものを吐き出した。
 ご飯の匂いをかいだところ、焦げ臭い匂いがしたので捨てることにした。


 お茶と同じ味がしたということは、ご飯に何か混入されている?
 あの場にいたのは、愛美、正人、香織の3人だ。


 :香織が……?


 香織を疑う弘樹。


 TIPS:『香織とゴスロリファッション』

 香織がゴスロリにはまったのは1年ほど前。それ以前は茶髪に独特なメイクをし、春夏秋冬日焼けしていてミニスカートだった。
 傾倒するようになった理由は映画。なにを言われてようとポリシーを貫くロリータファッションの少女の生き方に共感して、その日のうちにワンピースにヘッドドレスからドロワーズまで買い揃えた。
 友人たちがその姿を最初に見たときは、みんな必ず2回見返した。


 よく考えたら、お茶をくれたのは正人だが、お茶のペッドボトルの封は開いてなかったし、この部屋に侵入しなければ炊飯器に仕掛けができないことに気づいた弘樹。
 ドアをノックされたので、ドアスコープを覗くと正人だった。
 正人を部屋に入れ、TVをつける弘樹。
 TVでは、駅前の火事の被害者と同じ関東芸術大学の学生4人による別の集団焼身自殺が報道されている。
 続いて、臨時ニュースが入り、関東芸術大学の学生の男女の乗った車が、崖下に転落しているのが発見され、二人とも全身大やけどを負っていると報道される。
 正人は、みんなビジョンを飲んだんだと言い出す。
 正人は、この前のキャンプ場に、関東芸術大学の学生もいて、ビジョンを飲むと言ってたが、焼身自殺した学生と同じ人物だという確認はできていないと、話す。
 正人は、ビジョンには、恐ろしい秘密が隠されていると言い出す。
 正人がおかしくなったと思ってる弘樹に、正人は、変なモノが見えると続ける。
 弘樹が何が見えるのかを聞くと、正人は、一人でいると黒い女が見えると答える。
 正人の爪を見ると、なぜか黒く変色している。
 正人は、今晩、ここへ泊めてほしいと頼んでくる。
 何も食べていないと正人が言うので、弘樹は、正人を部屋に残して、コンビニに買出しに出かけた。
 部屋を出て5分もかからないうちに、弁当と酒を買って、弘樹は部屋に戻ってきたが、正人がいなくなっていた。
 テーブルの上には、正人が書いたメモが残されており、黒い女がきた、と書かれていた。

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