今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目の岩下のシナリオ:窓枠の中で→エンディング№310~313を見る
3人目は風間望を選択!
風間は3年生で、通称は鳴神学園の貴公子、ノゾムンとのこと。
キムは男子だけれど特別にノゾムンと呼ばせてやっていいぜ
- 呼びたいです
- 別にどっちでも
- お断りします
- なんでノゾムンなんですか?
そして、風間は、ライスカレーとカレーライスの違いを熱く語りだす。
さあ、ボクの話はこれで終わりだ。勉強になったね
- あのう、怖い話をしていませんが?
- これって、七不思議の集会ですよね?
- ありがとうございました
- 本当にこれで終わりなんですか?
今日はずいぶんと賢くなったんじゃないか、坂上君。
- だから、怖い話をしていませんが?
- これって、七不思議の集会ですよね?
- ありがとうございました
- あのう、ちょっといいですか?
知ってるか~い
- だから、怖い話をしていませんが?
- これって、七不思議の集会ですよね?
- ありがとうございました
- あのう、ちょっといいですか?
あのねえ、これ以上ボクの話を聞きたいのであればそれ相応の報酬というものを頂かないとね、あはぁ~ん?
- 報酬はグーパンでいいっすか?
- 報酬はタイキックでいいっすか?
風間が学校から帰る途中、正面を誰かが歩いているのに気付いた。
目の前を歩いているのは、たぶん老婆だろうが、妙なことに下半身しかない。
ゆっくりと進む老婆だが、恐ろしいことに腰から下しか存在しなかった。
風間は思い切って、下半身ババア(風間がネーミングした)の正体を確かめようと歩くスピード上げた。
いよいよ風間が下半身ババアを追い越したとき、眼前の老婆は90度に腰を曲げて歩いていた!
「は?それってただ単純に腰の曲がったおばあさんが、歩いていただけなんじゃないでしょうか・・・」
「ん、そうだよ?ボクの身長と婆さんの腰の角度が丁度良い具合に重ならなければ、発生しない出来事だった」
「はぁ・・・」
「そこはもっと感謝と感激を込めて、驚くべきところだろう?」
「あの、風間さん。もっとマシな、じゃなくて、他のお話はないんでしょうか?」
「キミは一体何を言っているだ。これよりも重要な話なんて、そうそうあるわけないだろう?」
(どうしよう。こんな話、とてもじゃないけど新聞に載せられないよ。こうなったら他の語り部たちに助けを求めるしかない)
- 岩下さんに助けを求める
- 福沢さんに助けを求める
「ねえねぇ風間さん、私はさっきみたいな面白いお話をもっと聞きたいなぁ」
「あはぁん、キミみたいな可愛らしいレディに言われると、ボクはやずさかではない気持ちになってきたよ。仕切り直して、別の話をしようじゃないか。せっかくだからキミに次の話を選んでもらおう」
- さっきの話の続きを聞く→エンディング№168:下半身ババア
- まったく違う話を聞く
心身ともにリフレッシュし、自宅に帰り家の鉄扉を開けると寒々しい冷気が突然風間の肩をなでた。
まるで氷の世界にでもいるような寒々しい空気だった。
風間は驚き、おそるおそる家のリビングに入った。
「まさかクーラーがつけっぱなしだったなんてオチじゃないですよね?」
「な、なんで、キミがそれを知っているんだ!キミはエスパーか?恐ろしいのはそれだけじゃない。」
「あの、世にも恐ろしい出来事って、連休中ずっとクーラーをつけっぱなしで出て行ってしまって、電気代が物凄く高かったなんてことは、ないですよね?」
「くぅ、なんでそこまで知っているんだ!さてはキミはボクのストーカーだ!」
「大変すばらしいお話、ありがとうございました」(これはどう考えても記事にならないだろう。あとで部長に謝っておこう)
エンディング№169:学校であったくだらない話
エンディング数25/656 達成度3%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目の岩下のシナリオ:窓枠の中で→エンディング№310~313を見る
3人目は風間望を選択!
風間は3年生で、通称は鳴神学園の貴公子、ノゾムンとのこと。
キムは男子だけれど特別にノゾムンと呼ばせてやっていいぜ
- 呼びたいです
- 別にどっちでも
- お断りします
- なんでノゾムンなんですか?
そして、風間は、ライスカレーとカレーライスの違いを熱く語りだす。
さあ、ボクの話はこれで終わりだ。勉強になったね
- あのう、怖い話をしていませんが?
- これって、七不思議の集会ですよね?
- ありがとうございました
- 本当にこれで終わりなんですか?
風間は、ラーメンライスはあるけど、ライスラーメンはないことを説明しだす。
「今日はずいぶんと賢くなったんじゃないか、坂上君」
- だから、怖い話をしていませんが?
- これって、七不思議の集会ですよね?
- ありがとうございました
- あのう、ちょっといいですか?
知ってるか~い
- だから、怖い話をしていませんが?
- これって、七不思議の集会ですよね?
- ありがとうございました
- あのう、ちょっといいですか?
あのねえ、これ以上ボクの話を聞きたいのであればそれ相応の報酬というものを頂かないとね、あはぁ~ん?
- 報酬はグーパンでいいっすか?
- 報酬はタイキックでいいっすか?
風間が学校から帰る途中、正面を誰かが歩いているのに気付いた。
目の前を歩いているのは、たぶん老婆だろうが、妙なことに下半身しかない。
ゆっくりと進む老婆だが、恐ろしいことに腰から下しか存在しなかった。
風間は思い切って、下半身ババア(風間がネーミングした)の正体を確かめようと歩くスピード上げた。
いよいよ風間が下半身ババアを追い越したとき、眼前の老婆は90度に腰を曲げて歩いていた!
「は?それってただ単純に腰の曲がったおばあさんが、歩いていただけなんじゃないでしょうか・・・」
「ん、そうだよ?ボクの身長と婆さんの腰の角度が丁度良い具合に重ならなければ、発生しない出来事だった」
「はぁ・・・」
「そこはもっと感謝と感激を込めて、驚くべきところだろう?」
「あの、風間さん。もっとマシな、じゃなくて、他のお話はないんでしょうか?」
「キミは一体何を言っているだ。これよりも重要な話なんて、そうそうあるわけないだろう?」
(どうしよう。こんな話、とてもじゃないけど新聞に載せられないよ。こうなったら他の語り部たちに助けを求めるしかない)
- 岩下さんに助けを求める
- 福沢さんに助けを求める
「ねえ風間君、そんなくだらない話をしてないで、彼にもっとマシな怪談を提供してあげたらどうかしら」
「おや、岩下さんはボクの素晴らしい話が不満だったのかい?」
「ええ、もちろん。それに彼は学校の七不思議を記事にするためにここにいるのよ。それが腰の曲がったおばあさんの話を記事にして、七不思議になると思っているのかしら?」
「はぁ、わかったよ。仕切り直して、別の話をしようじゃないか。せっかくだからキミに次の話を選んでもらおう。そうだね。さっきの話の続きと、まったく違う別の話、どっちが聞きたいかい?」
- さっきの話の続きを聞く
- まったく違う話を聞く
90度より腰の曲がったおばあさんが、蛇のように風間を睨みつけていた。
「ワシを抜く奴は、誰であっても、許さないよぉ!」
そしておばあさんが叫ぶと、枯れ木みたいだった足腰がまるでボディビルダーのように大きくなった。やせ細った上半身に比べて、酷いアンバランスだった。
「あひゃひゃひゃ、ワシを抜けるもんなら抜いてみなぁ!」
おばあさんは風のように走り出した。
「あひゃひゃひゃ」
奇声を上げながら、レーシングカーのように爆走していた。
隣の道路を走る乗用車も抜き去って、おばあさんは数秒で消え去ってしまった。あれは時速60キロぐらいは出てたんじゃないかな。
「凄いだろ。あのおばあさんはきっと元オリンピック代表選手か何かだったんだろうな」
「いきなり足が太くなって、車より速く走りだすなんて、どう見ても人間じゃないですよ!」
「きっとアレはボクに追い越されて、少し昔の血がだぎってしまったんだよ。なかなかハッスルなおばあさんじゃないか」
坂上は、時間のムダなのでこれ以上追及することは止めた。
エンディング№168:下半身ババア
エンディング数 24/656 達成度3%
イラスト数 13/272 達成度4%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目は岩下明美を選択!
岩下は3年A組とのこと。
「あなた、私のことどう思う?」
- 優しそうな人
- 厳しそうな人
- 初対面なのでわかりません
- 愛に生きる人(2人目に選択した時のみ)
岩下は、愛に生きる人と表現したくれた想いに応えて愛の話をしてくれる。
「あなた、話したこともない相手に恋をしたことはある?テレビのタレントや、あまり話したことのない同級生、電車の中で見かける人、近所のコンビニのスタッフとか。毎日見掛けるうちに、ついさっきまで意識さえしなかった存在が、ある日突然、特別な存在として胸の内に浮かび上がってくるこだってあるでしょうね。その人が、いつものようにさりげなく視界に登場するだけで、退屈な日々が燃え上がる恋の物語へと置き換わっていく。そういった経験はないかしら?」
- ある
- ない
- 教える→「ねぇ、不知火さんはどんな形で彼に想いを伝えたと思う?」
- 近づいて話しかけた→エンディング№311:燃えるほどの恋
- 窓を開けて好きだと叫んだ→エンディング№310:彼を呼ぶ声
- わからない→エンディングNa312:現実と妄想の狭間で
- 教えない
世間一般的に好きになってはならない人だとか?
例えば、妹とかお姉さんとか?だとしたら、とてもじゃないけどこんな場所では言えないわよね。
私の後輩も、とても人には言えない相手に恋をしてしまったのよ」
不知火美鶴の席は教室の窓際で、彼女はこの席がお気に入りだった。
とても見晴らしがよくて、グラウンドから校門まで見渡せた。
不知火は合唱部に所属する2年生で、岩下が部長をしている演劇部と一緒にミュージカルを企画するイベントがあり、二人は仲良くなったとのこと。
引っ込み思案の不知火は、活発に校庭を駆け回る男子生徒たちの動きを、よく羨望の眼差しで見つめていた。
やがて、不知火は、ある特定の男子生徒に恋をした。
名も知らないその相手は、子供っぽくて、いつもテンションが高くて、がむしゃらで、無駄な動きが多い、どこにでもいるような愛すべき男の子だった。
どんな撞木でも彼が活躍した時のむじゃくな喜びようや、へとへとに疲れながらも最後までひたむきに全力を尽くす様子が心に引っかかっているうちに、いつの間にか意識するようになってしまった。
ある日、不知火はこの気持ちが恋なのではないかと気が付いた。
自覚すれば、もうその想いを無視することはできず、不知火の彼に対する思慕はどんどん加速していった。
彼の仕草の一つ一つにときめいて、遠くから眺めているだけで、全身に幸福感が押し寄せてきて、退屈な授業が愛しい彼との逢瀬のひとときに変わった。
彼を見ることができるのは、彼が体育の時間の時だけだったけれど、不知火にはそれで十分だった。
彼がなんという名前で、どのクラスに在籍していた、どんな部に入っていて、どこに住んでいて、どんな女の子が好きで、決まった相手はいるのか。その気になれば簡単に調べることもできたのに、不知火はそれをしようとしなかった。
不知火は一度だけ廊下で、その彼とすれ違ったことがあったが、不知火は顔を伏せて、足早に歩き去ってしまった。
不知火は、目に映る風景の中に走り回る彼を愛したのであって、そこに自分が介入することなんて考えもしなかった。
まるで教室の窓枠が大きな額縁で、彼はその絵の登場人物であるかのように。
不知火は、彼の正体をしって幻滅したり、失恋したときの衝撃で自分の心が傷つくのが怖くて嫌だった。
不知火は、自分の描いた世界の中だけで、彼と恋をしたかった。
そんな不知火と彼との一方的な逢瀬の時は、ある日あっけなく終わりを迎えた。
席替えのくじで廊下側の席を引き当ててしまった不知火は、彼の登場する風景を愛でる機会を、一瞬にして失ってしまった。
そんなある日のこと、いつもの彼の映像を思い浮かべようと目をつぶったら、不知火の頭いっぱいに浮かんだのは見知らぬ男性の顔だった。
でも、その顔は一瞬で消えた。
「今のは何なのだろう?あの男は誰なのだろう?一瞬で消えたからよく覚えていないけどい、胸がドキドキしたわ」
それからだった。彼女が彼の妄想を思い浮かべようとすると、決まってあの男の顔が現れる。
見たこともない顔。しかも、特に理想の男性というわけでもない、ごく平凡な男の顔。気にしたこともないのに、なぜか頭の中に浮かんでしまう。
そんなことが何度も続くうち、気味が悪いのを通り越して逆に気になり始めた。
これは誰だろう?どんな人だろうって。
鳴神学園の制服をきているのだから、うちの学生には違いない。でも、もう卒業してるかもしれない。
もし在校生なら、うれしい。できれば会ってみたい。そして、どうして自分の妄想の中に現れるのか聞いてみたい。
正体がわからないからこそ、知りたくなる。
我慢できなくなって、得体のしれない彼をこっそり調べることにした。
不知火は、根気よく卒業生のアルバムを片っ端から調べて、20年分のアルバムを調べつくしたろことで、在校生に目を向けた。
卒業して20年以上たっていれば、もう立派なおじさんだ。もし見つかったとしても、果たして現実に会いたいと思えるかどうか。
だから、彼女は祈り気持ちで各学年の男子生徒を調べた。
本当に偶然だった。廊下ですれ違う彼を見かけた不知火は、慌てて彼を追いかけたが、彼に気付かれて逃げられてしまった。
不知火の妄想に彼が現れ、彼女の意志に反して話しかけてきた。
「さっきはごめんね。僕の名前は、朝日奈慎也っていうんだ。僕は極度の恥ずかしがり屋でね、うまく人と話すことができないんだよ。だから、いつも自分が作り出した妄想の世界の中で楽しんでいるんだよ。そんな僕のところに一人の女性が現れたんだ。現実にじゃない。妄想の世界でだ。彼女の話を聞くうちに、僕は理解した。現実の世界と妄想の世界は何も違わないってことをね。
君は、こんな一説をきいたことがある?この世界は誰かの頭の中で描かれた妄想の世界だって話。僕たちは自分の意志で勝手に動いている気になっているだけで、本当はどこかの誰かが作り出した妄想世界の住人で、その創造主に操られているだけだっていうんだ。僕たちが暮らしている現実世界も誰かの妄想世界と認めることで、現実世界と妄想世界の境界線がなくなるんだ。それがとういうことかというと、他人の作った妄想世界に入っていくことができるんだよ。でもね、誰も妄想世界にも自由に入っていけるわけじゃない。より完成された優れた妄想世界じゃないと、他人が入ることはできない。だから僕は待っていたんだよ、君の妄想世界が完成された世界になる時をね。
君が見ている僕は僕の描いた妄想の産物だけれど、僕の意志で動いている。だから、僕と話をしよう」
不知火は驚いたけど、彼の話を聞くうちに次第に彼の言っていることを信じられるようになった。
不知火は彼の話が本当かどうか確かめるために現実の彼を探した。
すると彼はすぐに見つかった。彼の教室で自分の席にぼんやりと天井を見つけている彼がいた。
「朝日奈さん」
呼ばれた彼はすぐに気が付いたんだけど、とてもおどおどして震えていた。
彼女の妄想世界に現れた朝日奈はとても自身に満ちていて明るかったのに、現実の彼は挙動不審でおどおどしているだけで全くの正反対だった。
(妄想世界を楽しむってことは、こういうことなのね)
彼女は、彼女なりに理解した。そしてすぐに自分の作り出した妄想世界を、頭の中に作り出した消しゴムで綺麗に消していった。
「それからの彼女はとても明るくなった。もちろん、想像する楽しみは忘れていないし、空想して夢見ることもあるでしょう。でも、自分が作り出した妄想世界に閉じこもることは止めたのよ。その世界から抜け出せなくなることを恐れてね。ただ、私にはどちらが正しいはわからないわ。本人が楽しくて他人に迷惑をかけないのであれば、それが最も良い生き方だと思うのよ。うふふふ」
エンディング№313:選択は本人の自由
エンディング数23/656 達成度3%
イラスト数12/272 達成度4%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目は岩下明美を選択!
岩下は3年A組とのこと。
「あなた、私のことどう思う?」
- 優しそうな人
- 厳しそうな人
- 初対面なのでわかりません
- 愛に生きる人(2人目に選択した時のみ)
岩下は、愛に生きる人と表現したくれた想いに応えて愛の話をしてくれる。
「あなた、話したこともない相手に恋をしたことはある?テレビのタレントや、あまり話したことのない同級生、電車の中で見かける人、近所のコンビニのスタッフとか。毎日見掛けるうちに、ついさっきまで意識さえしなかった存在が、ある日突然、特別な存在として胸の内に浮かび上がってくるこだってあるでしょうね。その人が、いつものようにさりげなく視界に登場するだけで、退屈な日々が燃え上がる恋の物語へと置き換わっていく。そういった経験はないかしら?」
- ある
- ない
- 教える
- 教えない
- タレント→エンディング№310:彼を呼ぶ声
- 同級生→エンディング№311:燃えるほどの恋
- 岩下さんです
私の記憶違いでなければ、坂上君とは今日初めて会うはずだけれど。それとも、どこかで私のことを見ていたとか?
確かに私は演劇部で舞台に立つことがあるわ。もし去年の学園祭に遊びに来て、その舞台で私を見て好きになってくれたというなら、それはとても光栄なことだわ。素直に喜びたい。
でも、どこかで私を偶然見かけてストーカーをしていたというのなら、いただけないわね。私、そういう卑怯で姑息で厭らしい最低な男はこの世から消えた方がいいと思っているから。
もし今日が初めてというのなら、まさか一目惚れ?
ひょっとして会う女性皆に一目惚れしているわけじゃないでしょうね?
ふふふっ、冗談よ。あなたはがそんな人じゃないことはわかっている。
でも、初対面の男性に告白されるのって素敵ね。それがあなたの本心から生まれた言葉なのだとしたら、私もそれなりの誠意をもって応えてあげてもよくってよ。
そうね、もしあなたの心が本当に私のものだというのなら、あなたの肌にカッターで私の名前を刻みつけてもいいわよね?二度と消えない永遠の愛の証に。
あら?そんなに怖がらなくてもいいのに。それとも今の言葉は、その場限りの口からでまかせだったとでも言うの?
だったら私、あなたを殺してもいいわよね。あなただって、それぐらいの覚悟を持って、私の名前を口にしたのでしょう?
私は裏切られるのが嫌いだから、裏切られるうらいなら、あんたを殺してやるわ。よく覚えておくがいい。私の期待を裏切らないようにね、うふふふ。
なんて冗談よ。私、演劇部だって言ったでしょ?さあ、笑って。
だって、あなたが私を好きって言ってくれたのも、この集会を和ませるためのリップサービスでしょう?だから、そのお返し。
それとも、本気で私を好きだというの?だったら、こんな場所で言うのは反則ね。
あとで二人になったとき、そこでゆっくり話を聞いてあげるから。うふふふ
よく恋は盲目と言うでしょう?絵画の中の人物や造形物に本気で恋をしてしまう人もいるわ。キリシア神話に登場する自分の作り出した彫刻を愛したピュグマリオンの話は有名よね。現代でも二次元コンプレックスといって、アニメやゲームの登場人物に惚れこんでしまう人たちがいるじゃない。まあ周りがどうあれ、自分の心の中で愛情を傾ける限り、それが実在する人物かどうかは関係ないことなのかもしれないわね。これから私が罠すのは、そんな自分の心の中の人に恋をしてしまった、ある少女のお話よ」
不知火美鶴の席は教室の窓際で、彼女はこの席がお気に入りだった。
とても見晴らしがよくて、グラウンドから校門まで見渡せた。
不知火は合唱部に所属する2年生で、岩下が部長をしている演劇部と一緒にミュージカルを企画するイベントがあり、二人は仲良くなったとのこと。
引っ込み思案の不知火は、活発に校庭を駆け回る男子生徒たちの動きを、よく羨望の眼差しで見つめていた。
やがて、不知火は、ある特定の男子生徒に恋をした。
名も知らないその相手は、子供っぽくて、いつもテンションが高くて、がむしゃらで、無駄な動きが多い、どこにでもいるような愛すべき男の子だった。
どんな撞木でも彼が活躍した時のむじゃくな喜びようや、へとへとに疲れながらも最後までひたむきに全力を尽くす様子が心に引っかかっているうちに、いつの間にか意識するようになってしまった。
ある日、不知火はこの気持ちが恋なのではないかと気が付いた。
自覚すれば、もうその想いを無視することはできず、不知火の彼に対する思慕はどんどん加速していった。
彼の仕草の一つ一つにときめいて、遠くから眺めているだけで、全身に幸福感が押し寄せてきて、退屈な授業が愛しい彼との逢瀬のひとときに変わった。
彼を見ることができるのは、彼が体育の時間の時だけだったけれど、不知火にはそれで十分だった。
彼がなんという名前で、どのクラスに在籍していた、どんな部に入っていて、どこに住んでいて、どんな女の子が好きで、決まった相手はいるのか。その気になれば簡単に調べることもできたのに、不知火はそれをしようとしなかった。
不知火は一度だけ廊下で、その彼とすれ違ったことがあったが、不知火は顔を伏せて、足早に歩き去ってしまった。
不知火は、目に映る風景の中に走り回る彼を愛したのであって、そこに自分が介入することなんて考えもしなかった。
まるで教室の窓枠が大きな額縁で、彼はその絵の登場人物であるかのように。
不知火は、彼の正体をしって幻滅したり、失恋したときの衝撃で自分の心が傷つくのが怖くて嫌だった。
不知火は、自分の描いた世界の中だけで、彼と恋をしたかった。
そんな不知火と彼との一方的な逢瀬の時は、ある日あっけなく終わりを迎えた。
席替えのくじで廊下側の席を引き当ててしまった不知火は、彼の登場する風景を愛でる機会を、一瞬にして失ってしまった。
不知火は、最初は授業中に教室で目を閉じて、脳裏に彼のいる風景を思い描いた。
最初は思い通りの彼を描けずに困っていたが、次第に想像上の彼を自由に動かせるようになり、不知火は元の幸福感を取り戻すことができた。
不知火は、自分でも気づかなかったみたいだが、エア充体質だった。
才能が開花した観察力と想像力は、並大抵のものじゃなかった。
目を閉じて意識を集中するだけで、風景の細部まではっきりと思い描くことができ、そこを舞台に動き回る彼の姿も、とても生き生きとしたものだった。
それまで見たことのある光景を再生するだけでなく、不知火の中で新たな命を得た彼は、まるで生きているように動き回った。
そして想像力が増していくと、ついには彼を取り巻くクラスメイトたちまで再現され、それぞれにふさわしい役割を演じていた。
ただここまでくると、それはもう想像とは呼べず、不知火の作り出した妄想の世界。
窓際で見つめていたころは、体育の時間だけという限りがあったから歯止めがきいていたが、彼の姿をいつまでも好きなだけ眺めていられるようになった不知火は、もう現実の世界に帰ってこられなくなった。
授業中はもちろん休み時間まで不知火は妄想の世界に入り浸った。先生に注意されても、友達に呼ばれても、目を閉じて幸せそうに微笑んでいるだけ。
それは家でも続き、すぐ自分の部屋にこもってしまうし、食事の手はしょっちゅう止まるし、何時間もお風呂に入ったまま出てこない。
やがて不知火は、妄想ならリスクがないという打算かしら、それまで自分が登場していなかった世界に、ついに自分を登場させようかと考え始めた。
そして、ついに不知火は、妄想の世界で告白してみようと決心した。
実は、岩下は、不知火から何度も相談を受けていた。
「すいません、岩下さん、またお呼びだけしてしまって」
「いいのよ、気にしないで。私もあなたの話には巨にあるから。で、妄想世界の彼とはうまくいっているの?」
「しれが、まだ本当に私が飛び込んでしまっていいものか悩んでいるんです」
「この前は告白する決心がついたって言ってたのに、まだ出会ってもいないの?」
「突然私なんかが彼の前に現れたら迷惑するんじゃないかと思って」
「そんなことないわ。彼はきっとあなたのことを受け入れてくれる。それで彼の名前くらいはかわったんでしょうね?」
「いえ、まだ聞き出せなくて」
「呆れたわね。彼は仲の良い友達と伊一緒なんでしょ?彼らは何て呼んでいるの?」
「・・・」
「ニックネームもないの?」
「はい、友ダリはいつも、ようとかお前とかそんな呼び方ばかりなので」
「困ったものね。それだったらもう、あなたが出ていくしかないじゃない。一歩踏み出すのも大事じゃなくて?そのためにはあなたが必要よ。そして告白しちゃいなさい」
「告白して断られたら、私、もう生きていけない。ううっ・・・」
「泣かないで、不知火さん。私も考えるから。そうね、現実の世界に合わせればいいんじゃない?体育の授業はいつなのかはわかっているんでしょう?その授業の時に彼はグラウンドんじいるんだから、玄逸の彼とあなたの想いをシンクロさせるのよ。そして、そこであなたは彼と出会うの。今、彼が何をしているのか現実と妄想がシンクロすれば、あなた自身も妄想の世界に登場しやすいんかないかしら?」
「現実の世界とのシンクロ。ありがとうございました、岩下さん。私、やってみます」
「頑張って告白しなさい。必ず、あなたにとっていい返事が聞けるから」
決心がついてから、一日千秋の思いで待ちわびていた体育の時間がやっと訪れた。
もちろん窓から遠くなった不知火の目には見えないのだけど、彼女はいつものように目を瞑り、彼が生き生きと活躍する様を思い描いた。
「ねぇ、不知火さんはどんな形で彼に想いを伝えたと思う?」
- 近づいて話しかけた→エンディング№311:燃えるほどの恋
- 窓を開けて好きだと叫んだ→エンディング№310:彼を呼ぶ声
- わからない
不知火は妄想の世界で立ち上がって窓を開け、ありったけの勇気を振り絞って、グラウンドの彼に叫んだ。
「好き!あなたが好きです!」
告白した後我に返って、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして、不知火はサッと窓を閉めた。
なんと、声に気付いた彼が、こちらに向かって手を振ってくれている。
不知火は、もう一度窓を開けると、彼に見えるように大きく手を振り返した。
「うれしいです!私、あなたが大好きです!」
喜びのあまり、思わず身を乗り出した不知火は、バランスを崩して、そのまま窓の外に頭から落下してしまった。
その時、初めて彼女は、自分が落下している世界を見つめながら、現実の世界に引き戻された。
不知火は、妄想世界で告白したつもりでいたけれど、現実世界とシンクロしようとするあまり、実際に声を出して告白していた。
授業中わざわざ窓際まで駆け寄って、あっけにとられるクラスメイトたちの前で、彼女はありったけの声を振り絞って告白したのだ。
「きゃあああああ!!」
静かだった教室に、落下していく不知火の悲鳴が響き渡った。
2階の高さから落ちただけのに真っ逆さまに勢いよく地面に衝突したためか、首があらぬ方向に曲がった状態で、ほぼ即死だったらしい。
「不知火さん、現実と妄想の世界が本当にシンクロしてしまったのね。これも彼女の想いが強すぎたためかしら?
ねえ、坂上君、妄想するのもいいけどほどほどにいないとね。うふふふ」
エンディングNa312:現実と妄想の狭間で
エンディング数 22/656 達成度3%
「好き!あなたが好きです!」
告白した後我に返って、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして、不知火はサッと窓を閉めた。
なんと、声に気付いた彼が、こちらに向かって手を振ってくれている。
不知火は、もう一度窓を開けると、彼に見えるように大きく手を振り返した。
「うれしいです!私、あなたが大好きです!」
喜びのあまり、思わず身を乗り出した不知火は、バランスを崩して、そのまま窓の外に頭から落下してしまった。
その時、初めて彼女は、自分が落下している世界を見つめながら、現実の世界に引き戻された。
不知火は、妄想世界で告白したつもりでいたけれど、現実世界とシンクロしようとするあまり、実際に声を出して告白していた。
授業中わざわざ窓際まで駆け寄って、あっけにとられるクラスメイトたちの前で、彼女はありったけの声を振り絞って告白したのだ。
「きゃあああああ!!」
静かだった教室に、落下していく不知火の悲鳴が響き渡った。
2階の高さから落ちただけのに真っ逆さまに勢いよく地面に衝突したためか、首があらぬ方向に曲がった状態で、ほぼ即死だったらしい。
「不知火さん、現実と妄想の世界が本当にシンクロしてしまったのね。これも彼女の想いが強すぎたためかしら?
ねえ、坂上君、妄想するのもいいけどほどほどにいないとね。うふふふ」
エンディングNa312:現実と妄想の狭間で
エンディング数 22/656 達成度3%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目は岩下明美を選択!
岩下は3年A組とのこと。
「あなた、私のことどう思う?」
- 優しそうな人
- 厳しそうな人
- 初対面なのでわかりません
- 愛に生きる人(2人目に選択した時のみ)
岩下は、愛に生きる人と表現したくれた想いに応えて愛の話をしてくれる。
「あなた、話したこともない相手に恋をしたことはある?テレビのタレントや、あまり話したことのない同級生、電車の中で見かける人、近所のコンビニのスタッフとか。毎日見掛けるうちに、ついさっきまで意識さえしなかった存在が、ある日突然、特別な存在として胸の内に浮かび上がってくるこだってあるでしょうね。その人が、いつものようにさりげなく視界に登場するだけで、退屈な日々が燃え上がる恋の物語へと置き換わっていく。そういった経験はないかしら?」
- ある
- ない
- 教える
- 教えない
- タレント→エンディング№310:彼を呼ぶ声
- 同級生
- 岩下さんです
よく恋は盲目と言うでしょう?絵画の中の人物や造形物に本気で恋をしてしまう人もいるわ。キリシア神話に登場する自分の作り出した彫刻を愛したピュグマリオンの話は有名よね。現代でも二次元コンプレックスといって、アニメやゲームの登場人物に惚れこんでしまう人たちがいるじゃない。まあ周りがどうあれ、自分の心の中で愛情を傾ける限り、それが実在する人物かどうかは関係ないことなのかもしれないわね。これから私が罠すのは、そんな自分の心の中の人に恋をしてしまった、ある少女のお話よ」
不知火美鶴の席は教室の窓際で、彼女はこの席がお気に入りだった。
とても見晴らしがよくて、グラウンドから校門まで見渡せた。
不知火は合唱部に所属する2年生で、岩下が部長をしている演劇部と一緒にミュージカルを企画するイベントがあり、二人は仲良くなったとのこと。
引っ込み思案の不知火は、活発に校庭を駆け回る男子生徒たちの動きを、よく羨望の眼差しで見つめていた。
やがて、不知火は、ある特定の男子生徒に恋をした。
名も知らないその相手は、子供っぽくて、いつもテンションが高くて、がむしゃらで、無駄な動きが多い、どこにでもいるような愛すべき男の子だった。
どんな撞木でも彼が活躍した時のむじゃくな喜びようや、へとへとに疲れながらも最後までひたむきに全力を尽くす様子が心に引っかかっているうちに、いつの間にか意識するようになってしまった。
ある日、不知火はこの気持ちが恋なのではないかと気が付いた。
自覚すれば、もうその想いを無視することはできず、不知火の彼に対する思慕はどんどん加速していった。
彼の仕草の一つ一つにときめいて、遠くから眺めているだけで、全身に幸福感が押し寄せてきて、退屈な授業が愛しい彼との逢瀬のひとときに変わった。
彼を見ることができるのは、彼が体育の時間の時だけだったけれど、不知火にはそれで十分だった。
彼がなんという名前で、どのクラスに在籍していた、どんな部に入っていて、どこに住んでいて、どんな女の子が好きで、決まった相手はいるのか。その気になれば簡単に調べることもできたのに、不知火はそれをしようとしなかった。
不知火は一度だけ廊下で、その彼とすれ違ったことがあったが、不知火は顔を伏せて、足早に歩き去ってしまった。
不知火は、目に映る風景の中に走り回る彼を愛したのであって、そこに自分が介入することなんて考えもしなかった。
まるで教室の窓枠が大きな額縁で、彼はその絵の登場人物であるかのように。
不知火は、彼の正体をしって幻滅したり、失恋したときの衝撃で自分の心が傷つくのが怖くて嫌だった。
不知火は、自分の描いた世界の中だけで、彼と恋をしたかった。
そんな不知火と彼との一方的な逢瀬の時は、ある日あっけなく終わりを迎えた。
席替えのくじで廊下側の席を引き当ててしまった不知火は、彼の登場する風景を愛でる機会を、一瞬にして失ってしまった。
不知火は、最初は授業中に教室で目を閉じて、脳裏に彼のいる風景を思い描いた。
最初は思い通りの彼を描けずに困っていたが、次第に想像上の彼を自由に動かせるようになり、不知火は元の幸福感を取り戻すことができた。
不知火は、自分でも気づかなかったみたいだが、エア充体質だった。
才能が開花した観察力と想像力は、並大抵のものじゃなかった。
目を閉じて意識を集中するだけで、風景の細部まではっきりと思い描くことができ、そこを舞台に動き回る彼の姿も、とても生き生きとしたものだった。
それまで見たことのある光景を再生するだけでなく、不知火の中で新たな命を得た彼は、まるで生きているように動き回った。
そして想像力が増していくと、ついには彼を取り巻くクラスメイトたちまで再現され、それぞれにふさわしい役割を演じていた。
ただここまでくると、それはもう想像とは呼べず、不知火の作り出した妄想の世界。
窓際で見つめていたころは、体育の時間だけという限りがあったから歯止めがきいていたが、彼の姿をいつまでも好きなだけ眺めていられるようになった不知火は、もう現実の世界に帰ってこられなくなった。
授業中はもちろん休み時間まで不知火は妄想の世界に入り浸った。先生に注意されても、友達に呼ばれても、目を閉じて幸せそうに微笑んでいるだけ。
それは家でも続き、すぐ自分の部屋にこもってしまうし、食事の手はしょっちゅう止まるし、何時間もお風呂に入ったまま出てこない。
やがて不知火は、妄想ならリスクがないという打算かしら、それまで自分が登場していなかった世界に、ついに自分を登場させようかと考え始めた。
そして、ついに不知火は、妄想の世界で告白してみようと決心した。
実は、岩下は、不知火から何度も相談を受けていた。
「すいません、岩下さん、またお呼びだけしてしまって」
「いいのよ、気にしないで。私もあなたの話には巨にあるから。で、妄想世界の彼とはうまくいっているの?」
「しれが、まだ本当に私が飛び込んでしまっていいものか悩んでいるんです」
「この前は告白する決心がついたって言ってたのに、まだ出会ってもいないの?」
「突然私なんかが彼の前に現れたら迷惑するんじゃないかと思って」
「そんなことないわ。彼はきっとあなたのことを受け入れてくれる。それで彼の名前くらいはかわったんでしょうね?」
「いえ、まだ聞き出せなくて」
「呆れたわね。彼は仲の良い友達と伊一緒なんでしょ?彼らは何て呼んでいるの?」
「・・・」
「ニックネームもないの?」
「はい、友ダリはいつも、ようとかお前とかそんな呼び方ばかりなので」
「困ったものね。それだったらもう、あなたが出ていくしかないじゃない。一歩踏み出すのも大事じゃなくて?そのためにはあなたが必要よ。そして告白しちゃいなさい」
「告白して断られたら、私、もう生きていけない。ううっ・・・」
「泣かないで、不知火さん。私も考えるから。そうね、現実の世界に合わせればいいんじゃない?体育の授業はいつなのかはわかっているんでしょう?その授業の時に彼はグラウンドんじいるんだから、玄逸の彼とあなたの想いをシンクロさせるのよ。そして、そこであなたは彼と出会うの。今、彼が何をしているのか現実と妄想がシンクロすれば、あなた自身も妄想の世界に登場しやすいんかないかしら?」
「現実の世界とのシンクロ。ありがとうございました、岩下さん。私、やってみます」
「頑張って告白しなさい。必ず、あなたにとっていい返事が聞けるから」
決心がついてから、一日千秋の思いで待ちわびていた体育の時間がやっと訪れた。
もちろん窓から遠くなった不知火の目には見えないのだけど、彼女はいつものように目を瞑り、彼が生き生きと活躍する様を思い描いた。
「ねぇ、不知火さんはどんな形で彼に想いを伝えたと思う?」
- 近づいて話しかけた
- 窓を開けて好きだと叫んだ→エンディング№310:彼を呼ぶ声
- わからない
窓枠で切り取られた風景画の中に自分が現れて、彼に想いを告げて・・・
彼女は想像の世界でとるべき行動を、何度もシミュレートしたが、なかなか決心がつかず、大きく深呼吸までした。
突然、グラウンド上に見知らぬ女の子が現れ、不知火を望まぬ人物の登場に驚いて声をあげそうになった。
彼女が思い描いものしか登場してこないはずなのに、その女はさも当たり前のことのようにその世界に割り込んできた。
まだ後ろ姿しか見てないけれど、それが自分よりもはるかにかわいい女の子に思えた。
グラウンドに現れた少女は、まっすぐに彼のいる方向に向かって歩いて行った。
不知火は、その映像が自分の想像であることも忘れて、狼狽した。
不知火にとって、この光景はもはや妄想ではなく、認めたくない現実だった。
不知火にとって、自分の作り出した妄想世界で、自分以外の誰かが彼を愛し、想いを告げること自体が許せなかった。
不知火自身は、自分さえ踏み出せばいくらでもチャンスがあったのに、自分から彼に声をかけることもできなかった、
自分にはない勇気をもった人、「好きです」って告げる勇気。
そして何より、傷つくことを恐れない勇気を持っている人が、妬ましくて仕方なかった。
そして、悪い方、悪い方へと考えが走ってしまう。その子が自分よりほんの少しだけ早く行動を起こしたがたに、自分がつかむべき幸せを奪ってしまうように思えてならなかった。
それは不知火が生まれて初めて身を焦がした、醜い嫉妬の炎。
不知火は想像が作り上げた窓の中から彼女の背中を睨みながら、ありったけの呪いを込めて念じた。
燃えてしまえ!消えてしまえ!
不知火の嫉妬は黒い炎となり、視線に乗って恋敵の背に食い込んだ。
あの少女は、彼女の望み通りに燃え上がった。
いい気味だ、私の愛する亜kレを奪おうとした罰よ、燃えろ、もっと燃えろ!
そう不知火が願いを込めると、少女を包む炎はさらに勢いを増した。そして、少女は炎の包まれながら、その火を払おうと必死で両手をばたつかせた。
それがまるで踊っているように見えておかしくて、思わず不知火は、クスリと笑ってしまったが、その笑顔は一瞬にして凍り付いた。
燃え盛る炎の中で踊る少女はこちらを向いた。炎に焼けただれる彼女の顔、それは不知火だった。
「ぎゃああああ」
想像の中ではなく、現実の世界で。グラウンドではなく、教室の中で。不知火自身の背中から、突然、激しい炎が噴き上がった。
そしてその炎は、見る見るうちに彼女の全身を包むこみ燃え上がった。
見たこともない自分の背中を想像上で作り上げてしまったのだから、不知火の想像力は優れていたのだろう。
不知火はなんとか一命を取り留め、奇跡的に意識を取り戻したけど、結局学校には戻ってこなかった。
全身に酷い火傷を負って、美しかった顔も面影がなくなり、髪も毛根ごと失ってしまった。
人前に姿を見せられないという事情もあったが、もっと深刻なのは不知火の精神の方だった。
彼女は病院のベッドの上で、常に満面の笑みを浮べている。妄想世界の住人になったのだ。
妄想世界で燃え盛る彼女を救い出したのは、彼だったらしい。
彼ったら、自分が火の粉を被るのも恐れずに彼女を助け、全身に火傷を負って息も絶え絶えの彼女に彼は自ら告白したそうだ。
美鶴さん、一生大事にする。だから僕と結婚しよう、って。
だから、病院にいる彼女はこぼれそうなほどの市合わせていっぱいなのだ。
「彼女が作り出した妄想世界で、知らない女性が現れるなんて、あり得ないでしょうに。もし、もう少しだけ彼女に冷静さがあったなら、その少女が不知火さん自身であり、二人の恋はうまくいくって思えたでしょうにね。まさか自分を呪ってしまうなんて。
坂上君、こんな言葉知っている?『人を呪わば、穴二つ』。もっとの不知火さんは自分を呪って穴一つ、とでも言うのかしらね。うふふふ」
エンディング№311:燃えるほどの恋
エンディング数 21/656 達成度3%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
1人目の福沢のシナリオ:恋愛教→エンディング№127~139を見る
2人目は岩下明美を選択!
岩下は3年A組とのこと。
「あなた、私のことどう思う?」
- 優しそうな人
- 厳しそうな人
- 初対面なのでわかりません
- 愛に生きる人(2人目に選択した時のみ)
岩下は、愛に生きる人と表現したくれた想いに応えて愛の話をしてくれる。
「あなた、話したこともない相手に恋をしたことはある?テレビのタレントや、あまり話したことのない同級生、電車の中で見かける人、近所のコンビニのスタッフとか。毎日見掛けるうちに、ついさっきまで意識さえしなかった存在が、ある日突然、特別な存在として胸の内に浮かび上がってくるこだってあるでしょうね。その人が、いつものようにさりげなく視界に登場するだけで、退屈な日々が燃え上がる恋の物語へと置き換わっていく。そういった経験はないかしら?」
- ある
- ない
- 教える
- 教えない
- テレビのタレント
- 同級生
- 岩下さんです
よく恋は盲目と言うでしょう?絵画の中の人物や造形物に本気で恋をしてしまう人もいるわ。キリシア神話に登場する自分の作り出した彫刻を愛したピュグマリオンの話は有名よね。現代でも二次元コンプレックスといって、アニメやゲームの登場人物に惚れこんでしまう人たちがいるじゃない。まあ周りがどうあれ、自分の心の中で愛情を傾ける限り、それが実在する人物かどうかは関係ないことなのかもしれないわね。これから私が罠すのは、そんな自分の心の中の人に恋をしてしまった、ある少女のお話よ」
不知火美鶴の席は教室の窓際で、彼女はこの席がお気に入りだった。
とても見晴らしがよくて、グラウンドから校門まで見渡せた。
不知火は合唱部に所属する2年生で、岩下が部長をしている演劇部と一緒にミュージカルを企画するイベントがあり、二人は仲良くなったとのこと。
引っ込み思案の不知火は、活発に校庭を駆け回る男子生徒たちの動きを、よく羨望の眼差しで見つめていた。
やがて、不知火は、ある特定の男子生徒に恋をした。
名も知らないその相手は、子供っぽくて、いつもテンションが高くて、がむしゃらで、無駄な動きが多い、どこにでもいるような愛すべき男の子だった。
どんな撞木でも彼が活躍した時のむじゃくな喜びようや、へとへとに疲れながらも最後までひたむきに全力を尽くす様子が心に引っかかっているうちに、いつの間にか意識するようになってしまった。
ある日、不知火はこの気持ちが恋なのではないかと気が付いた。
自覚すれば、もうその想いを無視することはできず、不知火の彼に対する思慕はどんどん加速していった。
彼の仕草の一つ一つにときめいて、遠くから眺めているだけで、全身に幸福感が押し寄せてきて、退屈な授業が愛しい彼との逢瀬のひとときに変わった。
彼を見ることができるのは、彼が体育の時間の時だけだったけれど、不知火にはそれで十分だった。
彼がなんという名前で、どのクラスに在籍していた、どんな部に入っていて、どこに住んでいて、どんな女の子が好きで、決まった相手はいるのか。その気になれば簡単に調べることもできたのに、不知火はそれをしようとしなかった。
不知火は一度だけ廊下で、その彼とすれ違ったことがあったが、不知火は顔を伏せて、足早に歩き去ってしまった。
不知火は、目に映る風景の中に走り回る彼を愛したのであって、そこに自分が介入することなんて考えもしなかった。
まるで教室の窓枠が大きな額縁で、彼はその絵の登場人物であるかのように。
不知火は、彼の正体をしって幻滅したり、失恋したときの衝撃で自分の心が傷つくのが怖くて嫌だった。
不知火は、自分の描いた世界の中だけで、彼と恋をしたかった。
そんな不知火と彼との一方的な逢瀬の時は、ある日あっけなく終わりを迎えた。
席替えのくじで廊下側の席を引き当ててしまった不知火は、彼の登場する風景を愛でる機会を、一瞬にして失ってしまった。
不知火は、最初は授業中に教室で目を閉じて、脳裏に彼のいる風景を思い描いた。
最初は思い通りの彼を描けずに困っていたが、次第に想像上の彼を自由に動かせるようになり、不知火は元の幸福感を取り戻すことができた。
不知火は、自分でも気づかなかったみたいだが、エア充体質だった。
才能が開花した観察力と想像力は、並大抵のものじゃなかった。
目を閉じて意識を集中するだけで、風景の細部まではっきりと思い描くことができ、そこを舞台に動き回る彼の姿も、とても生き生きとしたものだった。
それまで見たことのある光景を再生するだけでなく、不知火の中で新たな命を得た彼は、まるで生きているように動き回った。
そして想像力が増していくと、ついには彼を取り巻くクラスメイトたちまで再現され、それぞれにふさわしい役割を演じていた。
ただここまでくると、それはもう想像とは呼べず、不知火の作り出した妄想の世界。
窓際で見つめていたころは、体育の時間だけという限りがあったから歯止めがきいていたが、彼の姿をいつまでも好きなだけ眺めていられるようになった不知火は、もう現実の世界に帰ってこられなくなった。
授業中はもちろん休み時間まで不知火は妄想の世界に入り浸った。先生に注意されても、友達に呼ばれても、目を閉じて幸せそうに微笑んでいるだけ。
それは家でも続き、すぐ自分の部屋にこもってしまうし、食事の手はしょっちゅう止まるし、何時間もお風呂に入ったまま出てこない。
やがて不知火は、妄想ならリスクがないという打算かしら、それまで自分が登場していなかった世界に、ついに自分を登場させようかと考え始めた。
そして、ついに不知火は、妄想の世界で告白してみようと決心した。
実は、岩下は、不知火から何度も相談を受けていた。
「すいません、岩下さん、またお呼びだけしてしまって」
「いいのよ、気にしないで。私もあなたの話には巨にあるから。で、妄想世界の彼とはうまくいっているの?」
「しれが、まだ本当に私が飛び込んでしまっていいものか悩んでいるんです」
「この前は告白する決心がついたって言ってたのに、まだ出会ってもいないの?」
「突然私なんかが彼の前に現れたら迷惑するんじゃないかと思って」
「そんなことないわ。彼はきっとあなたのことを受け入れてくれる。それで彼の名前くらいはかわったんでしょうね?」
「いえ、まだ聞き出せなくて」
「呆れたわね。彼は仲の良い友達と伊一緒なんでしょ?彼らは何て呼んでいるの?」
「・・・」
「ニックネームもないの?」
「はい、友ダリはいつも、ようとかお前とかそんな呼び方ばかりなので」
「困ったものね。それだったらもう、あなたが出ていくしかないじゃない。一歩踏み出すのも大事じゃなくて?そのためにはあなたが必要よ。そして告白しちゃいなさい」
「告白して断られたら、私、もう生きていけない。ううっ・・・」
「泣かないで、不知火さん。私も考えるから。そうね、現実の世界に合わせればいいんじゃない?体育の授業はいつなのかはわかっているんでしょう?その授業の時に彼はグラウンドんじいるんだから、玄逸の彼とあなたの想いをシンクロさせるのよ。そして、そこであなたは彼と出会うの。今、彼が何をしているのか現実と妄想がシンクロすれば、あなた自身も妄想の世界に登場しやすいんかないかしら?」
「現実の世界とのシンクロ。ありがとうございました、岩下さん。私、やってみます」
「頑張って告白しなさい。必ず、あなたにとっていい返事が聞けるから」
決心がついてから、一日千秋の思いで待ちわびていた体育の時間がやっと訪れた。
もちろん窓から遠くなった不知火の目には見えないのだけど、彼女はいつものように目を瞑り、彼が生き生きと活躍する様を思い描いた。
「ねぇ、不知火さんはどんな形で彼に想いを伝えたと思う?」
- 近づいて話しかけた
- 窓を開けて好きだと叫んだ
- わからない
不知火は妄想の世界で立ち上がって窓を開け、ありったけの勇気を振り絞って、グラウンドの彼に叫んだ。
「好き!あなたが好きです!」
告白した後我に返って、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして、不知火はサッと窓を閉めた。
妄想世界の彼は、突然響き渡った大声の告白に反応して、不思議そうに辺りを見回した。
でも彼はその時、取り逃したボールが校門の外に転がり出て、それを取りに行ったところだった。
すると窓の外から、耳をつんざくような車のブレーキと、それに続いて派手な衝突音が響いてきた。窓ガラス越しに、グラウンドの生徒たちのざわめきと、悲鳴が聞こえてきた。
不知火はちょうど想像の世界から、現実に戻ろうとしていたところだったから、その音が現実と空想のどちらから聞こえてきたのか瞬時にはわからなかった。
でも、教室内の喧騒に気付いて顔をあげると、窓際の生徒が悲鳴をあげながら立ち上がり、あとずさっているのが目に映った。
植野先生が、「見るんじゃない!」と青い顔で叫んでいた。
でも、不知火は、先生の制止を振り切って猛然と窓に飛びついて、予想通りの不吉な光景を目の当たりにした。
ボールを取るために校門を出て、大型トラックに轢かれてしまった彼の姿を・・・
それは現実世界の出来事だった。
彼の級友は、警察の取り調べに対してこう語っていたそうだ。
「アイツ、いきなり車道で止まってキョロキョロと辺りを見回してたんですよ。何かを探しているというよりは、誰かに呼ばれたみたいに・・・」
「でも、誰も呼んでなんていなかったんですよ。僕たちは、そんな声は聞こえませんでしたから」
「体育の時間中、ボールに気を取られて交通事故に遭った程度では、うちの学校じゃ記憶にも残らないわね。一人の男子生徒の死は、すぐにみんなの記憶からも消えてしまった。それにしても、我を忘れて立ち止まってしまうほど、不知火さんの声は大きく響き渡ったのかしら。でも不思議なことに、彼女の声は誰も聞いていないのよ。おそらくは、死んだ涸れにだけ聞こえたんでしょうね。でもね、それほど強い想いがあったのなら、現実の世界で打ち明ければよかったのよ。そうすれば、彼も死なずに済んだでしょうにね。どことで、不知火さんなんだけど、私、相談を持ち掛けられているの。今、また気になる人が現れたんですって。今度は、今年鳴神学園に入学した1年生だっていうのよ。おとなしくて真面目そうなところが、死んだ彼とは真逆で一目惚れしてしまったんですって。相談されても、今度は殺してしまう前に告白しなさいって忠告するつもりよ。だから安心して、ふふふふ」
エンディング№310:彼を呼ぶ声
エンディング数 20/656 達成度3%
キャラクター図鑑 34/112 30%
中村晃久
赤川哲也
袖山勝
植野祐樹
不知火美鶴
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→→逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く→駆け寄る→以下に分岐
- 信じる→エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
- 信じない→エンディング№134:早苗ちゃんの占い
- 何とも言えない→エンディング№135:早苗ちゃんがやって来る
福沢は、何か見てはいけないものを見たような気がして、隠れた。
すると元木は、ムクっと起きて、青い顔をしながら保健室から出て行った。
福沢は元木がベッドで何をしていたのかが気になり、ベッドを調べた。
枕カバーの中から小さな紙切れが出てきた。元木は、これを入れるためにモゾモゾしていたのだった。
その紙切れには、一言「ケツ」と書かれていた。
- 「決める」って言葉を隠すなんて
- 「お尻」のことでしょ
- そんな名前のアイドルいた?
途中の廊下で、化学室から何やら怪しい音が聞こえてきた。
その時間、化学室では授業はしていなかったのに、カツン、コツンという音がする。
福沢は、元木が化学室の激矢を持っていこうと薬品棚を見ているのかも、と思い、そっと覗いてみた。
化学室には元木がおり、なんだかわからない粉末の入ったビンを棚から出して、ビンに中指を入れ、指についた粉を舐め、フラフラと化学室を出てどこかへ行ってしまった。
福沢は、元木が舐めた薬品を探すと、それらしきものはすぐに見つかった。
ビンの中には、茶色の粉末が入っていたが、ラベルは貼っていなかった。
- ビンの中身を舐める
- ビンを先生の所に持っていく
保健室に戻ると、先生はまだおらず、元木がベッドで寝ていた。
元木は福沢に気付くと、寝転がったまま嬉しそうに「玲子ちゃん」と声を掛けてきた。
「玲子ちゃん、何でそのビンを持ってるの?」
「早苗ちゃん、化学室に忘れ物したでしょ?」
「あはは、見つかっちゃったか。それ、ココアなんだけど。今度玲子ちゃんも飲んでいいよ。また化学室に隠しといてね」
元木は具合が悪くて疲れたから、甘い物が欲しくなり、化学室に隠してあるココアに粉末を舐めに行っていたのだ。
安心した福沢が元木に近寄ると、ベッドがぎしぎしと動き、まるでベッドに返事されみたいだった。
元木がいきなり飛び起きて、同時にベッドがギイギイ激しく軋んだ。
福沢が悲鳴を上げると、「玲子ちゃん、落ち着いて、この子は悪い子じゃないのよ」と元木が言った。
混乱した福沢は、ギシギシ軋むベッドに、手あたり次第ノートとかプリント紙を投げつけた。
「玲子ちゃん、乱暴はやめてよ。このベッドは生きてるの。私が血の儀式をして、魂を吹き込んであげたんだから」
「何言ってるの?」
「あのね、今日具合が悪くてここで寝てたらね。ベッドが話しかけてきたの」
「あなたどうかしてる。ベッドは話しかけてこないわ」
「違うの、えっとね、話しかけてきたっていうか、感じたの。ベッドが生きて動きたがっているなって。それで私、どうしたらベッドに命を吹き込むかなって考えたら、わかったのよ。『ケツ』って書いた紙をベッドに入れておくの。『ケツ』って『血』って意味だよ。何でそうすればいいって思ったのかわからないけど、きっと私の中に棲んでいるご先祖様が教えてくれたの。玲子ちゃん、このベッドはね、具合の悪い人を快適に眠らせるために、命が欲しいって思ったんだって。冬は暖かく包み込んであげて、夏には布団の位置をずらしたりして、ひんやりと涼しくしてあげたいって。だから、協力してあげたの」
何でベッドが人間に尽くしたいなんて思うわけ?と福沢が思っていると、突き指したところが痛み出した。
福沢が黙り込むと、元木はまたベッドで横になった。するとベッドは嬉しそうにぎしぎし軋んだ。
あなただったら、こんな時どうする?
- 早苗ちゃんを起こす→以下に分岐
- ↓
- 立ち去る→エンディング№138:よい子のベッド
- そんなの信じられない
元木は寂しそうな顔で、「この子は本当にいい子なんだよ。一緒に寝てみない」と言った。
「えっ?」
「だって玲子ちゃん、信じてくれないんだもん。今日はさ、結構暑いでしょ。こういう時、このベッドはとっても涼しくなるんだよ。さあ、おいで、おいで」
元木の体温で温まったベッドに福沢が入ると、嘘みたいに冷たい。
「この子はね、こうやって寝る人の気持ちや周りの環境を考えて、温かくしたり涼しくしたりしてくれてるの。いい子でしょ、このベッド。そうだ、名前をつけてあげなくちゃ」
ベッドも名前を付けてもらえるのが嬉しいのか、一層激しく揺れ動いた。
「葛城先生が戻ってきて、私たちがベッドで楽しそうにしているのを見られちゃったの。しかも、ものすごく激しくベッドが揺れる中で。先生、顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたけど、私たちが服を着ているのに少し安心したみたいで。やっぱり勘違いされちゃったよね
エンディング数 19/656 2%
エンディング№139:二人でイチャイチャ
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→→逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く→駆け寄る→以下に分岐
- 信じる→エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
- 信じない→エンディング№134:早苗ちゃんの占い
- 何とも言えない→エンディング№135:早苗ちゃんがやって来る
福沢は、何か見てはいけないものを見たような気がして、隠れた。
すると元木は、ムクっと起きて、青い顔をしながら保健室から出て行った。
福沢は元木がベッドで何をしていたのかが気になり、ベッドを調べた。
枕カバーの中から小さな紙切れが出てきた。元木は、これを入れるためにモゾモゾしていたのだった。
その紙切れには、一言「ケツ」と書かれていた。
- 「決める」って言葉を隠すなんて
- 「お尻」のことでしょ
- そんな名前のアイドルいた?
でも元木がすごく青い顔をしていから、福沢は心配になって探しにいった。
いろいろと見て回ったが、元木はいない。
どうしようかと廊下をうろうろしていたら、化学室から何やら怪しい音が聞こえてきた。
その時間、化学室では授業はしていなかったのに、カツン、コツンという音がする。
福沢は、元木が化学室の激矢を持っていこうと薬品棚を見ているのかも、と思い、そっと覗いてみた。
化学室には元木がおり、なんだかわからない粉末の入ったビンを棚から出して、ビンに中指を入れ、指についた粉を舐め、フラフラと化学室を出てどこかへ行ってしまった。
福沢は、元木が舐めた薬品を探すと、それらしきものはすぐに見つかった。
ビンの中には、茶色の粉末が入っていたが、ラベルは貼っていなかった。
- ビンの中身を舐める
- ビンを先生の所に持っていく
それはココアの粉だった。
元木は化学室にココアを隠して、先生の目を盗んでお湯を沸かし、ビーカーか何かで飲んでいるのだろう。
福沢は、元木は具合が悪くて疲れたから、甘いものが欲しくてココアを舐めに来たのだろうと思い、保健室に戻った。
保健室に戻ると、元木はベッドで寝ていた。
福沢が声を掛けると、ベッドがぎしぎしと動き、まるでベッドに返事されみたいだった。
元木がいきなり飛び起きて、同時にベッドがギイギイ激しく軋んだ。
福沢が悲鳴を上げると、「玲子ちゃん、落ち着いて、この子は悪い子じゃないのよ」と元木が言った。
混乱した福沢は、ギシギシ軋むベッドに、手あたり次第ノートとかプリント紙を投げつけた。
「玲子ちゃん、乱暴はやめてよ。このベッドは生きてるの。私が血の儀式をして、魂を吹き込んであげたんだから」
「何言ってるの?」
「あのね、今日具合が悪くてここで寝てたらね。ベッドが話しかけてきたの」
「あなたどうかしてる。ベッドは話しかけてこないわ」
「違うの、えっとね、話しかけてきたっていうか、感じたの。ベッドが生きて動きたがっているなって。それで私、どうしたらベッドに命を吹き込むかなって考えたら、わかったのよ。『ケツ』って書いた紙をベッドに入れておくの。『ケツ』って『血』って意味だよ。何でそうすればいいって思ったのかわからないけど、きっと私の中に棲んでいるご先祖様が教えてくれたの。玲子ちゃん、このベッドはね、具合の悪い人を快適に眠らせるために、命が欲しいって思ったんだって。冬は暖かく包み込んであげて、夏には布団の位置をずらしたりして、ひんやりと涼しくしてあげたいって。だから、協力してあげたの」
何でベッドが人間に尽くしたいなんて思うわけ?と福沢が思っていると、突き指したところが痛み出した。
福沢が黙り込むと、元木はまたベッドで横になった。するとベッドは嬉しそうにぎしぎし軋んだ。
あなただったら、こんな時どうする?
- 早苗ちゃんを起こす→以下に分岐
- ↓
- 立ち去る
- そんなの信じられない
元木は、次の授業で元気な顔で戻って来た。
「早苗ちゃんにとってのベッドはいい子かもしれないけど、ベッドにとって気に入らない人とかが来たらどうするのかな。具合の悪い時に、もしベッドの機嫌が悪くて襲われても抵抗できないよねえ」
エンディング数 18/656 2%
エンディング№138:よい子のベッド
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→→逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く→駆け寄る→以下に分岐
- 信じる→エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
- 信じない→エンディング№134:早苗ちゃんの占い
- 何とも言えない→エンディング№135:早苗ちゃんがやって来る
福沢は、何か見てはいけないものを見たような気がして、隠れた。
すると元木は、ムクっと起きて、青い顔をしながら保健室から出て行った。
福沢は元木がベッドで何をしていたのかが気になり、ベッドを調べた。
枕カバーの中から小さな紙切れが出てきた。元木は、これを入れるためにモゾモゾしていたのだった。
その紙切れには、一言「ケツ」と書かれていた。
- 「決める」って言葉を隠すなんて
- 「お尻」のことでしょ
- そんな名前のアイドルいた?
いろいろと見て回ったが、元木はいない。
どうしようかと廊下をうろうろしていたら、化学室から何やら怪しい音が聞こえてきた。
その時間、化学室では授業はしていなかったのに、カツン、コツンという音がする。
福沢は、元木が化学室の激矢を持っていこうと薬品棚を見ているのかも、と思い、そっと覗いてみた。
化学室には元木がおり、なんだかわからない粉末の入ったビンを棚から出して、ビンに中指を入れ、指についた粉を舐め、フラフラと化学室を出てどこかへ行ってしまった。
福沢は、元木が舐めた薬品を探すと、それらしきものはすぐに見つかった。
ビンの中には、茶色の粉末が入っていたが、ラベルは貼っていなかった。
- ビンの中身を舐める
- ビンを先生の所に持っていく
それはココアの粉だった。
元木は化学室にココアを隠して、先生の目を盗んでお湯を沸かし、ビーカーか何かで飲んでいるのだろう。
福沢は、元木は具合が悪くて疲れたから、甘いものが欲しくてココアを舐めに来たのだろうと思い、保健室に戻った。
保健室に戻ると、元木はベッドで寝ていた。
福沢が声を掛けると、ベッドがぎしぎしと動き、まるでベッドに返事されみたいだった。
元木がいきなり飛び起きて、同時にベッドがギイギイ激しく軋んだ。
福沢が悲鳴を上げると、「玲子ちゃん、落ち着いて、この子は悪い子じゃないのよ」と元木が言った。
混乱した福沢は、ギシギシ軋むベッドに、手あたり次第ノートとかプリント紙を投げつけた。
「玲子ちゃん、乱暴はやめてよ。このベッドは生きてるの。私が血の儀式をして、魂を吹き込んであげたんだから」
「何言ってるの?」
「あのね、今日具合が悪くてここで寝てたらね。ベッドが話しかけてきたの」
「あなたどうかしてる。ベッドは話しかけてこないわ」
「違うの、えっとね、話しかけてきたっていうか、感じたの。ベッドが生きて動きたがっているなって。それで私、どうしたらベッドに命を吹き込むかなって考えたら、わかったのよ。『ケツ』って書いた紙をベッドに入れておくの。『ケツ』って『血』って意味だよ。何でそうすればいいって思ったのかわからないけど、きっと私の中に棲んでいるご先祖様が教えてくれたの。玲子ちゃん、このベッドはね、具合の悪い人を快適に眠らせるために、命が欲しいって思ったんだって。冬は暖かく包み込んであげて、夏には布団の位置をずらしたりして、ひんやりと涼しくしてあげたいって。だから、協力してあげたの」
何でベッドが人間に尽くしたいなんて思うわけ?と福沢が思っていると、突き指したところが痛み出した。
福沢が黙り込むと、元木はまたベッドで横になった。するとベッドは嬉しそうにぎしぎし軋んだ。
あなただったら、こんな時どうする?
- 早苗ちゃんを起こす
- 立ち去る
- そんなの信じられない
ラップ音もなりだし、元木はさすがに怖がって泣き出した。
「早苗ちゃん、枕の中の紙切れを取って!だまされちゃダメ!そんなことしてたら、ベッドに食べられちゃうよ」
ベッドは怒って、床が突き抜けんばかりに音を立てて揺れ、静かになった。
元木が血の儀式の紙切れを外したのだ。
そのあと保健の先生がきて、福沢は突き指の手当てをしてもらった。
「ケツ」って紙は、元木がまた使おうとしたらまずいから、福沢が持っている。本当は捨てたいのだが、呪われたりしたら怖いとのこと。
福沢が机の入れようとしたら、机がガタガタ揺れ出す、どうやらいろんなものに命を吹き込む力があるらしい。
だから、福沢は血の儀式の紙をいつも持ち歩いている。
スカートのポケットに入れているのだが、このスカートまで時々もぞも動く気がしているとのこと。
「坂上君、このスカートはいてみない?それで、ちょっと聞かせてよ、おかしいかどうか」
- はく→エンディング№136:スカートをひるがえして
- はかない
「そうだよね、スカ^トなんてはきたくないよね。ま、私のきのせいだと思う。あの紙は、早苗ちゃんが使わなきゃ効果がなさそうだし。でもこの紙、ほんどうにどうしようかな」
福沢にドキメく坂上は、「さて、それでは次の学校であったエロい話・・・あわわわ!」と言い間違えてしまう。
エンディング数 17/656 2%
エンディング№137:学校であったエロい話
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→→逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く→駆け寄る→以下に分岐
- 信じる→エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
- 信じない→エンディング№134:早苗ちゃんの占い
- 何とも言えない→エンディング№135:早苗ちゃんがやって来る
福沢は、何か見てはいけないものを見たような気がして、隠れた。
すると元木は、ムクっと起きて、青い顔をしながら保健室から出て行った。
福沢は元木がベッドで何をしていたのかが気になり、ベッドを調べた。
枕カバーの中から小さな紙切れが出てきた。元木は、これを入れるためにモゾモゾしていたのだった。
その紙切れには、一言「ケツ」と書かれていた。
- 「決める」って言葉を隠すなんて
- 「お尻」のことでしょ
- そんな名前のアイドルいた?
いろいろと見て回ったが、元木はいない。
どうしようかと廊下をうろうろしていたら、化学室から何やら怪しい音が聞こえてきた。
その時間、化学室では授業はしていなかったのに、カツン、コツンという音がする。
福沢は、元木が化学室の激矢を持っていこうと薬品棚を見ているのかも、と思い、そっと覗いてみた。
化学室には元木がおり、なんだかわからない粉末の入ったビンを棚から出して、ビンに中指を入れ、指についた粉を舐め、フラフラと化学室を出てどこかへ行ってしまった。
福沢は、元木が舐めた薬品を探すと、それらしきものはすぐに見つかった。
ビンの中には、茶色の粉末が入っていたが、ラベルは貼っていなかった。
- ビンの中身を舐める
- ビンを先生の所に持っていく
それはココアの粉だった。
元木は化学室にココアを隠して、先生の目を盗んでお湯を沸かし、ビーカーか何かで飲んでいるのだろう。
福沢は、元木は具合が悪くて疲れたから、甘いものが欲しくてココアを舐めに来たのだろうと思い、保健室に戻った。
保健室に戻ると、元木はベッドで寝ていた。
福沢が声を掛けると、ベッドがぎしぎしと動き、まるでベッドに返事されみたいだった。
元木がいきなり飛び起きて、同時にベッドがギイギイ激しく軋んだ。
福沢が悲鳴を上げると、「玲子ちゃん、落ち着いて、この子は悪い子じゃないのよ」と元木が言った。
混乱した福沢は、ギシギシ軋むベッドに、手あたり次第ノートとかプリント紙を投げつけた。
「玲子ちゃん、乱暴はやめてよ。このベッドは生きてるの。私が血の儀式をして、魂を吹き込んであげたんだから」
「何言ってるの?」
「あのね、今日具合が悪くてここで寝てたらね。ベッドが話しかけてきたの」
「あなたどうかしてる。ベッドは話しかけてこないわ」
「違うの、えっとね、話しかけてきたっていうか、感じたの。ベッドが生きて動きたがっているなって。それで私、どうしたらベッドに命を吹き込むかなって考えたら、わかったのよ。『ケツ』って書いた紙をベッドに入れておくの。『ケツ』って『血』って意味だよ。何でそうすればいいって思ったのかわからないけど、きっと私の中に棲んでいるご先祖様が教えてくれたの。玲子ちゃん、このベッドはね、具合の悪い人を快適に眠らせるために、命が欲しいって思ったんだって。冬は暖かく包み込んであげて、夏には布団の位置をずらしたりして、ひんやりと涼しくしてあげたいって。だから、協力してあげたの」
何でベッドが人間に尽くしたいなんて思うわけ?と福沢が思っていると、突き指したところが痛み出した。
福沢が黙り込むと、元木はまたベッドで横になった。するとベッドは嬉しそうにぎしぎし軋んだ。
あなただったら、こんな時どうする?
- 早苗ちゃんを起こす
- 立ち去る
- そんなの信じられない
ラップ音もなりだし、元木はさすがに怖がって泣き出した。
「早苗ちゃん、枕の中の紙切れを取って!だまされちゃダメ!そんなことしてたら、ベッドに食べられちゃうよ」
ベッドは怒って、床が突き抜けんばかりに音を立てて揺れ、静かになった。
元木が血の儀式の紙切れを外したのだ。
そのあと保健の先生がきて、福沢は突き指の手当てをしてもらった。
「ケツ」って紙は、元木がまた使おうとしたらまずいから、福沢が持っている。本当は捨てたいのだが、呪われたりしたら怖いとのこと。
福沢が机の入れようとしたら、机がガタガタ揺れ出す、どうやらいろんなものに命を吹き込む力があるらしい。
だから、福沢は血の儀式の紙をいつも持ち歩いている。
スカートのポケットに入れているのだが、このスカートまで時々もぞも動く気がしているとのこと。
「坂上君、このスカートはいてみない?それで、ちょっと聞かせてよ、おかしいかどうか」
- はく
- はかない
その途端、みんなが一斉に軽蔑のまなざしを向けてきた。
「あはは、冗談に決まってるでしょ」と福沢が笑い出した。
坂上は照れ笑いで帰したが、周りを見ると誰も笑っていない。笑うどころか、怒っているようだ。
坂上は、早く集会を進めるため、話を切り上げることにし、「福沢さんの話、ありがとうございました」と切り出すと、福沢のスカートがバサバサと揺れた。窓も閉め切っており、風はない。
見るつもりはないのだけど、坂上の視線は福沢のスカートに行ってしまう。
「坂上君、エッチ」
「何も言い訳できません、目のやり場に困るので、そのスカートをどうにかしてください」と思う坂上だった。
エンディング数 16/656 2%
エンディング№136:スカートをひるがえして
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く
一応、近くの廊下をうろうろしたけど見つからなかったので、保健室に戻った。
声をかけようと思って、近寄ると、それに反応するように震えが激しくなり、ベッドがずずっ、ずずっと動いた。
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
- 声を掛けてみる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- 放っておく
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
- 逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者
- 駆け寄る
慌ててうまくしゃべれなかった福沢だが、元木に駆け寄り手を握ったが、まるで死人みたいに冷たかった。
「玲子ちゃん、私の手、握っててね」と元木は焦点のあわない虚ろな目で言った。
福沢は言われるがまま頷いた。
元木の手はだんだんと暖かさを取り戻していき、目もだんだんと焦点が合って、しっかりしてきた。
「玲子ちゃん、見ちゃった?」
- 見たと答える→エンディング№133~134参照
- 見なかったと答える
「どうして、そんなに脅えているの?」
福沢は今度は正直に答えた。
「ごめんね、実は私、見ちゃったの。あれ、何なの?」
「うん、あれはおばあちゃんなの。おばあちゃんは3年前に死んじゃったんだよ。それからね、ずっと私の中にいるの。時々、ああして出てくるの。おじいちゃんもいるんだよ。それから、お父さんのお姉さんや、お母さんのお父さんは、いろんな人が私の中で暮らしているんだよ」
福沢は、茶化したり馬鹿にしたらいけない気がして、真面目な顔で、そうだね、と答えた。
「おばあちゃんたちは、私にいろんなことを教えてくれるの。試験のこともそうだし、明日の天気とか、美味しい煮物の作り方とか、ベーゴマの必殺技とかいろんなこと。それから、みんなが私のことをどう思っているかも。怖がらないでね。玲子ちゃんは良いお友達だよ。これからもお友達でいてね」
「うん」
元木は相変わらずあの調子だけど、福沢と元木は今でも仲がいい。
あれから元木は、お婆ちゃんに聞いたと言って、試験の問題とか教えてくれるようになったが、それがぴたりと当たる。
信じられる?
- 信じる→エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
- 信じない→エンディング№134:早苗ちゃんの占い
- 何とも言えない
元木は、1キロ程度だったら、人の声が聞こえるらしい。
元木は、この集会が終わったら一緒に帰る約束を福沢としているので、まだ校内にいるはずとのこと。
「何なら、この部室に呼んだ上げようか。そして、目の前でみせてもらうといいよ。さあ、それで何が起こるかはわからないけど」
エンディング数 15/656 2%
エンディング№135:早苗ちゃんがやって来る
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く
一応、近くの廊下をうろうろしたけど見つからなかったので、保健室に戻った。
声をかけようと思って、近寄ると、それに反応するように震えが激しくなり、ベッドがずずっ、ずずっと動いた。
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
- 声を掛けてみる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- 放っておく
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
- 逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者
- 駆け寄る
慌ててうまくしゃべれなかった福沢だが、元木に駆け寄り手を握ったが、まるで死人みたいに冷たかった。
「玲子ちゃん、私の手、握っててね」と元木は焦点のあわない虚ろな目で言った。
福沢は言われるがまま頷いた。
元木の手はだんだんと暖かさを取り戻していき、目もだんだんと焦点が合って、しっかりしてきた。
「玲子ちゃん、見ちゃった?」
- 見たと答える
- 見なかったと答える
「あれ、何なの?」
「うん、あれはおばあちゃんなの。おばあちゃんは3年前に死んじゃったんだよ。それからね、ずっと私の中にいるの。時々、ああして出てくるの。おじいちゃんもいるんだよ。それから、お父さんのお姉さんや、お母さんのお父さんは、いろんな人が私の中で暮らしているんだよ」
福沢は、茶化したり馬鹿にしたらいけない気がして、真面目な顔で、そうだね、と答えた。
「おばあちゃんたちは、私にいろんなことを教えてくれるの。試験のこともそうだし、明日の天気とか、美味しい煮物の作り方とか、ベーゴマの必殺技とかいろんなこと。それから、みんなが私のことをどう思っているかも。怖がらないでね。玲子ちゃんは良いお友達だよ。これからもお友達でいてね」
「うん」
元木は相変わらずあの調子だけど、福沢と元木は今でも仲がいい。
あれから元木は、お婆ちゃんに聞いたと言って、試験の問題とか教えてくれるようになったが、それがぴたりと当たる。
信じられる?
- 信じる→エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
- 信じない
- 何とも言えない
元木がご飯の時にお祈りをするとのことだが、福沢は、そーっと近づいて何と言っているか聞いてみたことがある。
「おやおや、今日もおいしそうな、お弁当だこと」
「わしゃあ、幸せもんじゃなあ」
お祖父ちゃんとかお婆ちゃんとか元木とは違う人の声だった。
よく聞いたら、いくつかの声が同時に聞こえる。
一人の声じゃなく、何人もがいっぺんにがやがやと喋っている。
すごいなあと思いながら、福沢が元木の顔を覗き込んだら、ちょっと開いた口元に人間の顔が見えた。
マッチ棒の先のような小さな人間の顔が20個ぐらいあり、それがじーっとお弁当をみて、口々に好きなことをしゃべっていた。
突然、元木が福沢の手を握って微笑んだ。
「今、おばあちゃんが言ってたよ。今度、玲子ちゃんは一人の男の子に会うんだって。その男の子は今とても危険な位置にいるの。だから気をつけてね、玲子ちゃん。その男の子、坂上君っていうらしいから」
「あなたは信じないと思うけど、早苗ちゃんは忠告してたわよ。まあ何があるか知らないけどさ。気を付けたほうがいいよ。早苗ちゃんの言うこと、本当に当たるんだから」
エンディング数 14/656 2%
エンディング№134:早苗ちゃんの占い
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
一応、近くの廊下をうろうろしたけど見つからなかったので、保健室に戻った。
声をかけようと思って、近寄ると、それに反応するように震えが激しくなり、ベッドがずずっ、ずずっと動いた。
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
慌ててうまくしゃべれなかった福沢だが、元木に駆け寄り手を握ったが、まるで死人みたいに冷たかった。
「玲子ちゃん、私の手、握っててね」と元木は焦点のあわない虚ろな目で言った。
福沢は言われるがまま頷いた。
元木の手はだんだんと暖かさを取り戻していき、目もだんだんと焦点が合って、しっかりしてきた。
「玲子ちゃん、見ちゃった?」
「あれ、何なの?」
「うん、あれはおばあちゃんなの。おばあちゃんは3年前に死んじゃったんだよ。それからね、ずっと私の中にいるの。時々、ああして出てくるの。おじいちゃんもいるんだよ。それから、お父さんのお姉さんや、お母さんのお父さんは、いろんな人が私の中で暮らしているんだよ」
福沢は、茶化したり馬鹿にしたらいけない気がして、真面目な顔で、そうだね、と答えた。
「おばあちゃんたちは、私にいろんなことを教えてくれるの。試験のこともそうだし、明日の天気とか、美味しい煮物の作り方とか、ベーゴマの必殺技とかいろんなこと。それから、みんなが私のことをどう思っているかも。怖がらないでね。玲子ちゃんは良いお友達だよ。これからもお友達でいてね」
「うん」
元木は相変わらずあの調子だけど、福沢と元木は今でも仲がいい。
あれから元木は、お婆ちゃんに聞いたと言って、試験の問題とか教えてくれるようになったが、それがぴたりと当たる。
信じられる?
えっ、早苗ちゃんに会いたいの?それって、ナンパ?早苗ちゃんに話しとく。
付き合えるといいね。気に入られるかどうかが一番の問題だからね。早苗ちゃんの中に棲んでいるご先祖様たちにだよ」
元木が中学の時に、元木に告白した男子がいた。その男子が元木に相応しいかどうか親族会議が開かれたが、結局相応しくないという結論が出て、その日からその男子は行方不明になった、と元木のお婆ちゃんが教えてくれたそうだ。
福沢は、元木から出てきたおばあちゃんと仲がよく、お茶を飲みながら話をしているとのこと。
エンディング数 13/656 1%
エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く
一応、近くの廊下をうろうろしたけど見つからなかったので、保健室に戻った。
声をかけようと思って、近寄ると、それに反応するように震えが激しくなり、ベッドがずずっ、ずずっと動いた。
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
- 声を掛けてみる→エンディング№132:瞳の中の訪問者参照
- 放っておく
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
- 逃げる→エンディング№132:瞳の中の訪問者
- 駆け寄る
慌ててうまくしゃべれなかった福沢だが、元木に駆け寄り手を握ったが、まるで死人みたいに冷たかった。
「玲子ちゃん、私の手、握っててね」と元木は焦点のあわない虚ろな目で言った。
福沢は言われるがまま頷いた。
元木の手はだんだんと暖かさを取り戻していき、目もだんだんと焦点が合って、しっかりしてきた。
「玲子ちゃん、見ちゃった?」
- 見たと答える
- 見なかったと答える
「あれ、何なの?」
「うん、あれはおばあちゃんなの。おばあちゃんは3年前に死んじゃったんだよ。それからね、ずっと私の中にいるの。時々、ああして出てくるの。おじいちゃんもいるんだよ。それから、お父さんのお姉さんや、お母さんのお父さんは、いろんな人が私の中で暮らしているんだよ」
福沢は、茶化したり馬鹿にしたらいけない気がして、真面目な顔で、そうだね、と答えた。
「おばあちゃんたちは、私にいろんなことを教えてくれるの。試験のこともそうだし、明日の天気とか、美味しい煮物の作り方とか、ベーゴマの必殺技とかいろんなこと。それから、みんなが私のことをどう思っているかも。怖がらないでね。玲子ちゃんは良いお友達だよ。これからもお友達でいてね」
「うん」
元木は相変わらずあの調子だけど、福沢と元木は今でも仲がいい。
あれから元木は、お婆ちゃんに聞いたと言って、試験の問題とか教えてくれるようになったが、それがぴたりと当たる。
信じられる?
- 信じる
- 信じない
- 何とも言えない
えっ、早苗ちゃんに会いたいの?それって、ナンパ?早苗ちゃんに話しとく。
付き合えるといいね。気に入られるかどうかが一番の問題だからね。早苗ちゃんの中に棲んでいるご先祖様たちにだよ」
元木が中学の時に、元木に告白した男子がいた。その男子が元木に相応しいかどうか親族会議が開かれたが、結局相応しくないという結論が出て、その日からその男子は行方不明になった、と元木のお婆ちゃんが教えてくれたそうだ。
福沢は、元木から出てきたおばあちゃんと仲がよく、お茶を飲みながら話をしているとのこと。
エンディング数 13/656 1%
エンディング№133:早苗ちゃんと付き合いたい
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
動揺した福沢はちゃんと名前を呼べなかった。
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
元木は追いかけてこなかったが、エクトプラズムが追いかけてきたが、「やばい、もう捕まる」と思っていた福沢を追い越して、どこかへ行ってしまった。
体育の授業の終わりを告げるベルがなったので、福沢が教室に戻ると、エクトプラズムが福沢の席に座っていた。
もう一度福沢が逃げようとすると、首にからみついてきて、目の中に入ってきた。
それからエクトプラズムはずっと目の中にから出てこない。だから時々目がずごく痛む。
霊には二つのタイプがある。
一つは、去る者は追わずのタイプ。霊を見て逃げる人がいたら、放っておくタイプ。
もう一つは、逃げれば逃げるほど追いかけてくるタイプ。
元木のエクトプラズムは、追いかけてくるタイプの霊だった。
そういう霊に出会ったら、逃げちゃダメ。
さっきの話のエクトプラズムが目の中から出てきても、決して逃げないでね。
エンディング数 12/656 1%
エンディング№132:瞳の中の訪問者
キャラクター図鑑 29/112 25%
朝日奈慎也
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→①中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 好き→②妬ましかった→エンディング№131:恋愛教の終焉
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
例えば、調理実習のとき包丁を持たせると、ニタニタ笑いながら、「これで目を突き刺したら怖いよね」なんてつぶやく。
さらに、包丁の先を自分の方に向けて、少しずつ自分の顔に包丁の先を近づけ、、切っ先が目の前までくると、大きなため息をついて「あー、怖かった」とか言うのだ。
そうかと思うと、包丁でちょっと指を切ると、「痛ぁい、痛ぁい」とわんわん大声で泣き出す。
あと、お弁当を食べるとき、いつも食べる前に10分以上小さな声でブツブツとお祈りをして、何度も何度もお弁当箱にお辞儀して、ようやく食べ始める。
食べるのもものすごく遅くて、お昼休みめいっぱいつかって、ご飯を食べる。
そして、食べ終わるとまたお弁当にお辞儀して、ブツブツお祈りを始める。
でも、頭が悪いってわけじゃない。いつも試験とかで上位に食い込んでいる。
それに結構かわいい。誰にでも好かれる顔だ。
元木は変だけど、おもしろい。
この前、いきなり教室の中で天井を見ながら、くるくる回りだしてた。
「くらくらして目が回るの。だから反対のほうに回ってるの。そうすれば治るんだよ」
この前、体育のあった日、元木は気分が悪いと言って、保健室に行った。
福沢は授業のボレーボールで突き指をしたので、保健室へ行った。
保健室には先生はおらず、元木が一人で寝ていたが、頭まで毛布をかぶってガタガタと震えていた。
声をかけちゃいけない雰囲気だった。
- 声を掛けてみる
- このままそっとしておく
- 先生を呼びに行く
心配になった福沢が毛布に手をかけて、大丈夫?と声を掛けたが、返事がなかったので、元木の肩を大きくゆすった。
すると、毛布の中からボサボサの頭が出てきた。顔が醜く膨れて、紫色に変色した唇がベロンとめくれている。
「うるさいなあ。そっとしておいてくれる?」
男子生徒で、元木とは違う人だった。
そのあとすぐ、葛城先生が戻って来て、手当してくれた。
「あのう、元木さんは来なかったでしょうか?さっき気分が悪いって女の子が着ませんでしたか?1年G組なんです」
「さあ、ちょっと用事で、はずしていたから。その間に来たのかもしれないわね」
聞いてもいないのに、体調の悪い男子生徒が「誰も来てないよ」とぶっきらぼうに答えた。
福沢が元木を探すと、教室の自分の席でぐったりしていた。
寝ているというよりも、気を失っている感じだった。
というか白目をむいており、なんだか死んでいるみたいだった。
福沢がどうしようと思いながら見ていると、急に彼女の身体がガクンと跳ねた。
大きく跳ねたかと思うと、今度は背筋をぴんと伸ばした。
そして、背筋を立てたまま蝋人形のように動かない元木の口から、白い煙のようなものが出てきた。
煙にしては何だか固い気がして、妙にまとまっている。
それが、もやもやっと人の形になっていく。
あれは、エクトプラズムだ。元木の口から出てきたら、あれは元木の魂だ、福沢は思った。
元木の顔と少しも似てないが、髪の長いきれいな女性だった。煙の塊なのに、ちゃんと目鼻立ちがわかった。
福沢は、元木に声をかけていいものかどうか迷った。
坂上君はどうしたらいいと思う?
- 声を掛けてみる
- 放っておく
動揺した福沢はちゃんと名前を呼べなかった。
しばらくすると、元木の身体が、がくがくと震え、今度はエクトプラズムが元木の口の中に吸い込まれていった。
ゆっくりゆっくりと自分の帰る場所を確かめるように、最期は跡形も残さずに、全部元木の中に入った。
それと同時に、元木の身体ががくっと揺れて前に突っ伏した。
元木は机にゴツンと頭をぶつけた。
すると、うーーーんって、元木が伸びをした。
本当に眠っていたみたいで、はれぼったいまぶたをこすっていた。
そして突然、元木が寝ぼけ眼とこちらに向けた。
- 逃げる
- 駆け寄る
元木は追いかけてこなかったが、エクトプラズムが追いかけてきたが、「やばい、もう捕まる」と思っていた福沢を追い越して、どこかへ行ってしまった。
体育の授業の終わりを告げるベルがなったので、福沢が教室に戻ると、エクトプラズムが福沢の席に座っていた。
もう一度福沢が逃げようとすると、首にからみついてきて、目の中に入ってきた。
それからエクトプラズムはずっと目の中にから出てこない。だから時々目がずごく痛む。
霊には二つのタイプがある。
一つは、去る者は追わずのタイプ。霊を見て逃げる人がいたら、放っておくタイプ。
もう一つは、逃げれば逃げるほど追いかけてくるタイプ。
元木のエクトプラズムは、追いかけてくるタイプの霊だった。
そういう霊に出会ったら、逃げちゃダメ。
さっきの話のエクトプラズムが目の中から出てきても、決して逃げないでね。
エンディング数 12/656 1%
エンディング№132:瞳の中の訪問者
キャラクター図鑑 29/112 25%
朝日奈慎也
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き
- 嫌い→以下に分岐
- ↓
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った→エンディング№130:本田さんの呪い
- どちらでもない
私はこんな集まりに出るくらいだから、チョー大好きだよ!
私の好きなマンガ家さんはね・・・あ、ごめん。つい話が脱線しちゃった。話を戻すね。
中山は内心壊し話は大好きだったんだけれど、女の子が怖い話に目がないのもどうかと思って、嫌だなぁって振りをしながら、友達の話を聞いていた。
加瀬「旧校舎に何でも願いを聞いてくれる悪魔がいるんよ。ただし条件は魂と引き換えなんよ。ねえ信じる?」
菊崎「それって死んじゃうの?」
加瀬「差し出すのは死んだ後のことなんよ。だから生きている間は、別にどうってことないみたい」
菊崎「私は嫌だなあ」
中山「で、どうやって悪魔を呼び出すの?」
加瀬「何かよくわかんないんだけど、儀式をする必要があるんよ。その方法が書かれた本が、図書室にあるって話なんてよ」
菊崎「その悪魔に願いを聞いてもらった人って、この学校にいるの?」
加瀬「いるんじゃない?よく知らんけど」
放課後になって、中山は一緒に帰ろうという友達の誘いを断って、一人である場所に向かった。
それは図書室だった。
中山は興味のないフリをしていながらも、願いを聞いてくれるという悪魔の話に興味を持った。
このままじゃいつになったら理想の恋人に出会えるかわからないから、悪魔に頼んで手っ取り早く彼氏を作ろうと考えた。
ダメでもともとって思いながら、あまり期待しないで本棚を漁りだしたが、悪魔っていうのは、そんな人間の心の隙を見つけて忍び寄ってくる。
なんと、本当に怪しい本が、まるでどうぞ見つけてくださいって感じで出てきちゃった。
中山は、本棚の中から真っ黒な背表紙の本を見つけた。真っ黒だけならともかく、題名を何も書かれていない。
中山はその怪しい本を手に取り、ページをめくってみると、悪魔を呼び出す方法が書かれていた。
ページをめくると一枚のメモが挟んであった。
「旧校舎の地図じゃん。しかも秘密の地下室の入り方まで書いてある。もしかして、以前誰かがこの本を読んで試したのかもしれない」
中山はその本をこっそり鞄に入れて、とりあえず家に帰ることにした。
中山は自分の部屋に戻ると、本の中身をじっくりと読みふけった。
その本によると、悪魔を呼び出すには、魔法陣を床に書いて、動物の血液を小瓶に入れて供物とし、呪文を唱えるとのことで、中山は飼っていた猫をためらうことなく殺した。
翌日の放課後、中山は必要な道具を全部用意して、あとは儀式を実行するだけって段取りになったが、直前になって、ひとりじゃ不安になってしまった。
そもそも旧校舎は立入禁止だし、昼でも薄暗くて、女の子が一人で行けるような場所じゃない。
そこで、中山は友達の室戸葵に声をかけた。
「あのさ、これからちょっと付き合ってくれない?」
「いいけど、どこに?」
「旧校舎」
「え?どうしてあんなところに?」
「悪魔を呼び出すの。成功したら、悪魔は何でも願いを叶えるんだって」
「あんたそんなこと信じてんの?やめたほうがいいって」
「やるだけやろうよ。悪魔呼び出したら、誰よりも素敵な彼氏と付き合えるよ。葵ちゃん、サッカー部の西澤先輩と付き合いたいって言ってたじゃん。競争相手多いし、どんなに頑張ったって普通じゃ絶対無理、付き合えないから。でもさ、悪魔呼び出せたら簡単。思いのままの相手と付き合えるし、その相手を自由にできる」
「うん、乗った」
二人はさっそく旧校舎に向かった。
旧校舎の入口をくぐった途端震え出して怖気づく室戸の袖を引っ張って、中山はどんどん先に進んだ。
1階の行き止まりの壁を調べると、ぐらぐらしている羽目板があり、メモに書かれたとおり器用に動かすと簡単に外れて、壁の中に階段があった。
懐中電灯の灯りだけを頼りに、ゆっくりと階段を降りていった。
地下は思っていた以上に広くて、ここで誰かが悪魔を呼び出した面影がなんとなく感じられた。
中山はテキパキと準備を進め、室戸はただその様子を眺めていた。
中山は魔法陣の作成に取り掛かった。
本に書かれている図案を一生懸命書き写している中山の背中に向かって、室戸はふと心に浮かんだ疑問を尋ねた。
「あのさあ、悪魔が実際にいたとして、本当に魂を犠牲にしてまで彼氏が欲しいわけ?」
「そう、私は生きているうちに幸せになりたいの。死んだ後のことなんて、どうでもいい」
やがて魔法陣は完成し、指定の位置に小瓶を置いて、中山は中央に立った。あとは呪文を口にするだけ。
「葵も、魔法陣の中に入りなよ」
「いいって、まずあんたがやって成功したら考えるから。早くやってみせてよ」
室戸は魔法陣には入らなかった。
中山は呪文が書かれたページを開いて、間違えないように慎重に唱え出した。
すると、辺りにはまるで地震が起きたような地響きが鳴り、どこから現れたのか黒煙が立ち上がり地下室は黒い霧に包まれた。
魔法陣の上方、空中にさらに黒い霧のようなものが沸き上がり、中から漆黒の闇が結晶したかのように、ゾクリとするような容貌の悪魔が現れた。
黒い衣を身に纏い、背中には大きなこうもりの翼を生やした悪魔は、人間でいうと青年ぐらいの年齢に見えた。
そいつは重く低い声で、中山に言った。
「私を呼び出したのはお前か?」
それを耳にした室戸は、悲鳴を上げながら、一目散に階段を駆け上がり飛び出してしまった。
「さあ、願いを言ってみろ。お前の魂と引き換えに、叶えてやろう」
「私、生きている間は最高に楽しい人生を送りたいです。まず彼氏が欲しい。カッコいい彼氏が。あ、優しくて私の言うことは何でも聞く彼氏、それからお金に名声、私は誰よりも幸せになる」
「ほう、容姿と性格がすぐれた男か。それに金と名声。随分強欲な女だな。それだけの願いを叶えるのに、お前の小さな魂を一つしか差し出さないというのか?」
「何が欲しいの?私が幸せに生きられるなら、何でもあげる。何が欲しいのか言って。その代わり、生きている間は最高に幸せな人生を約束して」
「ほう、お前は潔いのだな。そのような人間の魂なら、喜んでいただこう。ただし、お前には魂以外の代償も提供してもらう。それはいずれ請求するとしよう。まづはその魂をいただくことにする。では契約を交わそう」
そして、中山は悪魔と契約した。
中山に彼氏ができたのは、間もなくのことだった。
放課後、中山がいつものように友達をおしゃべりしていると、突然一人の男子生徒が入ってきた。
その人は、誰もが思わず振り返るぐらいのかっこいいって評判の西澤先輩だった。
西澤仁志は、サッカー部の次期キャプテンって言われて、密かにファンクラブがあるほど、女子に人気がある。
「よかったら今日も一緒に帰らない?」
「うん、じゃ用事が終わるまで待ってて」
「俺、邪魔にならないよう廊下で待っているから」
加瀬「いつの間にあんな彼氏ができたんよ」
菊崎「あの西澤先輩でしょ?」
加瀬「どっちが告白したの?」
中山「付き合ってほしいって言われてさ、それでオーケーした」
そう言い残して、中山が西澤先輩と二人で仲良く去って行った。
仲良くといっても、西澤先輩が中山に傳いている感じだった。
西澤先輩の親衛隊の連中は怒り心頭だった。
その中に一人、誰よりも心中穏やかじゃない人がいた。室戸だ。
彼女の胸のうちはどうだったと思う?
- 中山さんが心配だった→以下に分岐
- ↓
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 妬ましかった
しかも、卑怯にも悪魔に魂を売ってまでして。そこまでするんだった、世の中にももっといい男がいっぱいいるのに、わざわざ西澤先輩を選ぶなんて、絶対に自分への当てつけだ。
室戸はそう思って歯ぎしりした。
だから、二人の後ろ姿を見送りながら、室戸は、二人の恋の行き先が地獄でありますようにって、こっそりと呪いの言葉を念じた。
悪魔が本当にいたんだから、呪いだって本当にあると、今の室戸は何でも信じるようになっていた。
その後、中山は一学園上のちょっと厄介なグループに目をつけられるようになった。
及川由紀に呼び出された中山は、十人くらいのグループに囲まれた。
なんでも自分たちは西澤仁志の親衛隊をしているから、自分たちの許可なく彼と話をしてはいけないってことだった。
室戸は、それを横目でほくそ笑んでいた。
及川はキレると何をするかわからない女子として有名だった。
それからというもの、中山には二種類のグループが張り付き始めた。及川率いる西澤仁志親衛隊と、中山は恋愛教。
最初は親衛隊からは恋愛教に対して険悪なムードが漂っていたんだけれど、日が経つにつれて二つのグループの境界線がなくなり始め、恋愛教が西澤仁志親衛隊を飲み込んだ感じになった。
そもそも及川も楽しい人生を送りたいって人だから、根っこは中山と同じ。ようは西澤先輩と付き合うより、もっと楽しくて刺激的な毎日を送れれはオッケーなのだ。
室戸は悔しくて地団太を踏むけれど、どうにもならない。
そんな恋愛教に敵が現れた。それは喪男(モテ男の対極にいる人)たちだった。
いい男たちは、どんどん彼女ができて幸せの絶頂にいる(悪魔の力で女性たちに傅いているが)が、喪男は全然だった。
鳴神学園は、恋愛教のせいで、モテ男と喪男の二極化が始まったが、一人の救世主の登場がすべてを丸く収めてしまった。
その救世主の名前は綾小路行人。
彼は、いつも顔をマスクで隠しているイケメンだけど、中山に何やら話しかけると、突然彼女は大人しくなり、恋愛教の解散を告げた。
恋愛教の信者は呆然とし、喪男たちからは大歓声が上がった。
恋愛教がなくなったからといって喪男がモテるわけはないが、一縷の望みはあるって思いたかったのだろう。
恋愛教がなくなると、学園を包んでいた殺伐とした雰囲気はあっという間に消し飛んでしまった。及川たちは再び西澤親衛隊を再結成し、中山は西澤先輩と別れてしまった。
それ以来は、表面上、中山はおとなしくなった。
どうしても理解できない室戸は綾小路を直接訪ねて、中山がどうしておとなしくなったのかを聞いた。
「僕は恋愛教よりも面白いことがあると彼女に伝えただけさ。彼女はそれを理解したんだろうね」と綾小路は即答した。
室戸は、恋愛教より面白いことってなんだろうって思ったが、何か危険を察知して口をつぐんだ。
中山がこのまま黙っておとなしくしているとは思えない。
絶対になにかもっと恐ろしいことを企んでいるはず。
だって、綾小路が言った「面白いこと」に興味が移っただけ。
エンディング数 11/656 1%
エンディング№131:恋愛教の終焉
キャラクター図鑑 27/112 24%
綾小路行人br />
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→中山さんが心配だった→以下に分岐
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 嫌い
- どちらでもない
中山も怖いのは苦手で、寝るときに電気を点けてないとダメなタイプだった。
中山が仲良くしていた先輩に、本田佐知子という女の子がいて、彼女は中山と家が近くて昔からの幼馴染だった。
本田は怖がりで、ちょっとした物音にもビクって反応するような子で、クラスの女子グループに目をつけられていた。
その女子グループのリーダーは及川由紀といい、何でも他人のものを欲しがる子で、本田の持っているカバンに目をつけていた。
そのカバンは本田が転校してしまった幼馴染の男の子にもらったもので、貝のキーホルダーが特徴的だった。
ある日、事件が起こった。
体育の授業が終わって、部屋に戻ったら、机のフックにかけていたカバンが無かった。
中には大事なものは入っていなかったけど、カバン自体が本田の思い出の品だから、慌てて学校中を探したけど、見つからなかった。
絶望に打ちひしがれた本田は、机の中に封筒が入っていることに気付いた。
中を読むと、「あなたの大切なものがどこにあるか知っています。教えてほしいなら、旧校舎の指定の教室に来てください」と書かれていた。
手紙には簡単な旧校舎の地図が入っており、指定の教室は2階だった。
あわてて教室を飛び出した本田は、廊下で中山とすれ違った。
本田は中山にこれまでにあった経緯を説明した。
話を聞いた中山は、「どこにもカバンって書かれてありません。絶対に怪しい」と言ったが、本田は、無くなったカバンの手がかりはこの手紙だけだから、行くしかない、と言って、中山を残して旧校舎に向かった。
そんな本田を放っておけなくて、中山も後を追った。
昼間でも薄気味悪い旧校舎だけど、本田はしっかりと進んでいった。いつもの臆病な彼女じゃなかった。あのカバンはそれだけ、彼女にとって大切なものだった。
でも、後を追った中山は旧校舎に入るのが怖かったが、同じ怖がりの本田が入っていけたんだから、お化けなんか出ないよね?と自分に言い聞かせて、旧校舎に入っていった。
その時、上の階から悲鳴が聞こえてきた。
中山さんはどうしたと思う?
- 逃げた→エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った
中山が二階に着くと、また悲鳴が聞こえてきたので、その方向へ向かった。
二階の一番奥に見える教室へたどり着くと、勢いよくドアを開けた。
弱い光の刺す教室に見えたのは、倒れている本田と、それを見下す形で仁王立ちしている及川たちだった。
「あなた誰、何しにきたの?」
「本田さんに何をしたの?」
「ちょっとナマイキだったから、マナーを教えてあげたのよ」
「マナー・・・それはリンチですか?わざわざ怪しい手紙まで用意して」
「なんだ、手紙のこと知ってるの?」
及川は一緒にいた仲間たちの顔を見渡して指図した。
「ねぇ、生意気な後輩がいたら、しつけをしてあげるのが優しい先輩の役目よね?みんなで教えてあげよっか」
それが合図になって、中山は彼女たちに襲われた。
ボロボロにされてしまった中山は、もう立ち上がる元気もなかった。その様子を見た及川たちは、「これは先輩からの愛の指導だからね。先輩に対しては礼儀正しく、マナーを守って接することを忘れないで。そうしないと、怖いことになっても知らないから、ね?」と言い残して
教室を出て行った。
本田が弱弱しい声で話しかけてきた。
「中山さん、大丈夫?」
「先輩こそ、ボロボロ」
「私のせいでごめんね」
「いいよ、それよりカバン」
「やっぱい及川さんが持っていたの。返してって言うと、こうなっちゃった。何とか取り戻そうと思ったんだけど」
そう言って、本田は手の中に大事そうに握っていた、貝の形をしたキーホルダーを見せてくれた。
「これだけしか取り戻せなかった、転校していった彼になんて言って誤ればいいのかな。悔しいよぅ」
本田さんは涙を流しながらそう言って、そのまま何も言わなくなってしまった。
「ねえ先輩?ねえ、サッちゃん!」
動かなくなってしまった本田の肩を揺さぶりながら、中山は大きな声で泣いた。
「あいつら、死ぬまでリンチするんだ。カバン一つのために」
中山も全身ボロボロだったけれど、何とか立ち上がった。
でも手も足も痛くてうまく歩けない。
骨が折れていたようで、せっかく立ち上がったのにそのままよろけて転んでしまった。
自分もこのまま死ぬのかもしれない。
そんなことを考えていたら、頭の中に声を聞こえてきた。
「我と契約せよ。さすれば望みは叶わん」
「あのカバン、もっとかわいいと思ってたのになぁ。なんかダサ。もういらないか。次のゴミの日に捨てちゃお。あれ、停電?痛っ!ちょっと何、今何が起きたの!ひぃーーー!本田さん!なんでここにいるの?痛い!ちょっと殴らないでよ!てめぇ、調子乗ってんじゃねえぞ!ぶっ殺してやる!」
及川は、近くにあった瓶を振り上げ、本田めがけて思い切り振り下ろした。
「なんで当たらないの?やめてよ!死んじゃうって!」
及川はそのまま見えない何かに殴られ続けた。
本田はそれをただ、ぼーっと見ているだけだった。
「お願いします、ごめんなさい、もうイジメません。イジメませんから、殴らないで!」
そうしたらそれまで黙っていた本田が「カバン」と言った。
「カバン?返しますから、許して!」
「カバン、食べて」
「無理無理、ぐげっ、あがががが」
突然本田はカバンを及川の口に押し込み始めた。
「欲しかったんでしょ、カバン。大事なカバンだから、誰にも奪われないようにしないとね」
及川は白目をむいて喉を掻きむしっていたが、その喉はどんどん太くなり、裂けた口はすっかりカバンを頬張ってる。
次の日、顔面は崩壊し、お腹はまるでカエルのようにいびつに膨れ上がって死んでいる及川が発見された。
解剖したら、お腹の中に大きなカバンが詰め込まれていた。
そして、本田を殺害したいじめっ子グループは、全員変死した。
自分の足をくわえ込んで窒息死したり、金魚鉢を丸ごと飲み込もうとして喉に詰まらせて死んだり、常識では説明のつかない死に方だったそうだ。
ちなみに、本田が亡くなってから、旧校舎には夜な夜な呻くような地の底から響くような鳴き声が聞こえるようになったらしい。
本田の鳴き声で、カップルでその声を聞くと、その日の夢に本田が出てくるらしい。
「私のカバンを返して」って。
その時は、「カバンは及川さんが持っています」と返さないといけない。
そう答えないと、どうなるのかはわからない。皆、死んじゃったから。そういう噂だ。
ちなみに中山は、瀕死の重傷を負っていたのにすぐに回復して、今も元気に学校に通っており、よく旧校舎に出入りしている。
エンディングリスト 10/656 1%
エンディング№130:本田さんの呪い
キャラクター図鑑 26/112 23%
及川由紀
イラスト数 11/272 4%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き→中山さんが心配だった→以下に分岐
- 契約しない→エンディング№128:恋愛教 ←契約しない
- 契約する→恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 契約する→中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
- 嫌い
- どちらでもない
中山も怖いのは苦手で、寝るときに電気を点けてないとダメなタイプだった。
中山が仲良くしていた先輩に、本田佐知子という女の子がいて、彼女は中山と家が近くて昔からの幼馴染だった。
本田は怖がりで、ちょっとした物音にもビクって反応するような子で、クラスの女子グループに目をつけられていた。
その女子グループのリーダーは及川といい、何でも他人のものを欲しがる子で、本田の持っているカバンに目をつけていた。
そのカバンは本田が転校してしまった幼馴染の男の子にもらったもので、貝のキーホルダーが特徴的だった。
ある日、事件が起こった。
体育の授業が終わって、部屋に戻ったら、机のフックにかけていたカバンが無かった。
中には大事なものは入っていなかったけど、カバン自体が本田の思い出の品だから、慌てて学校中を探したけど、見つからなかった。
絶望に打ちひしがれた本田は、机の中に封筒が入っていることに気付いた。
中を読むと、「あなたの大切なものがどこにあるか知っています。教えてほしいなら、旧校舎の指定の教室に来てください」と書かれていた。
手紙には簡単な旧校舎の地図が入っており、指定の教室は2階だった。
あわてて教室を飛び出した本田は、廊下で中山とすれ違った。
本田は中山にこれまでにあった経緯を説明した。
話を聞いた中山は、「どこにもカバンって書かれてありません。絶対に怪しい」と言ったが、本田は、無くなったカバンの手がかりはこの手紙だけだから、行くしかない、と言って、中山を残して旧校舎に向かった。
そんな本田を放っておけなくて、中山も後を追った。
昼間でも薄気味悪い旧校舎だけど、本田はしっかりと進んでいった。いつもの臆病な彼女じゃなかった。あのカバンはそれだけ、彼女にとって大切なものだった。
でも、後を追った中山は旧校舎に入るのが怖かったが、同じ怖がりの本田が入っていけたんだから、お化けなんか出ないよね?と自分に言い聞かせて、旧校舎に入っていった。
その時、上の階から悲鳴が聞こえてきた。
中山さんはどうしたと思う?
- 逃げた
- 悲鳴の聞こえた階を見に行った
次の日、本田は旧校舎の入口で遺体で発見された。
外傷は全然なかったんで心臓麻痺ってことで片付けられた。
でも、あのカバンを大事そうに抱えていて、ぎゅっと握っていた。
中山は、本田の死を聞いて倒れてしまった。良心が咎めたのだろう。
あの時、もし自分が逃げずに助けに行っていたら死なななったに違いない。そんなことを考えて思いつめてしまった。
病院に入院した中山は、意識はなく、「ごめんなさい、ごめんなさい」ってうわごとのように繰り返していたが、ある日、突然入院先の病院から消えてしまった。
そして、本田が遺体で見つかったのと同じ場所で亡くなっていた。
外傷はなく、死因も本田と同じ心臓麻痺ってことになった。
二人は愛し合っていたんじゃないか、だからこれは後追い心中だなんて心無い連中は好き勝手言ってたけど、実際はどうかわからない。
旧校舎には悪魔が棲んでいるって噂もあるから、あそこは無暗に入る場所じゃないよ。
エンディングリスト 6/656 1%
エンディング№129:旧校舎で死んだ二人
キャラクター図鑑 25/112 22%
本田佐知子
イラスト数 10/272 3%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き
- 嫌い
- どちらでもない
私はこんな集まりに出るくらいだから、チョー大好きだよ!
私の好きなマンガ家さんはね・・・あ、ごめん。つい話が脱線しちゃった。話を戻すね。
中山は内心壊し話は大好きだったんだけれど、女の子が怖い話に目がないのもどうかと思って、嫌だなぁって振りをしながら、友達の話を聞いていた。
加瀬「旧校舎に何でも願いを聞いてくれる悪魔がいるんよ。ただし条件は魂と引き換えなんよ。ねえ信じる?」
菊崎「それって死んじゃうの?」
加瀬「差し出すのは死んだ後のことなんよ。だから生きている間は、別にどうってことないみたい」
菊崎「私は嫌だなあ」
中山「で、どうやって悪魔を呼び出すの?」
加瀬「何かよくわかんないんだけど、儀式をする必要があるんよ。その方法が書かれた本が、図書室にあるって話なんてよ」
菊崎「その悪魔に願いを聞いてもらった人って、この学校にいるの?」
加瀬「いるんじゃない?よく知らんけど」
放課後になって、中山は一緒に帰ろうという友達の誘いを断って、一人である場所に向かった。
それは図書室だった。
中山は興味のないフリをしていながらも、願いを聞いてくれるという悪魔の話に興味を持った。
このままじゃいつになったら理想の恋人に出会えるかわからないから、悪魔に頼んで手っ取り早く彼氏を作ろうと考えた。
ダメでもともとって思いながら、あまり期待しないで本棚を漁りだしたが、悪魔っていうのは、そんな人間の心の隙を見つけて忍び寄ってくる。
なんと、本当に怪しい本が、まるでどうぞ見つけてくださいって感じで出てきちゃった。
中山は、本棚の中から真っ黒な背表紙の本を見つけた。真っ黒だけならともかく、題名を何も書かれていない。
中山はその怪しい本を手に取り、ページをめくってみると、悪魔を呼び出す方法が書かれていた。
ページをめくると一枚のメモが挟んであった。
「旧校舎の地図じゃん。しかも秘密の地下室の入り方まで書いてある。もしかして、以前誰かがこの本を読んで試したのかもしれない」
中山はその本をこっそり鞄に入れて、とりあえず家に帰ることにした。
中山は自分の部屋に戻ると、本の中身をじっくりと読みふけった。
その本によると、悪魔を呼び出すには、魔法陣を床に書いて、動物の血液を小瓶に入れて供物とし、呪文を唱えるとのことで、中山は飼っていた猫をためらうことなく殺した。
翌日の放課後、中山は必要な道具を全部用意して、あとは儀式を実行するだけって段取りになったが、直前になって、ひとりじゃ不安になってしまった。
そもそも旧校舎は立入禁止だし、昼でも薄暗くて、女の子が一人で行けるような場所じゃない。
そこで、中山は友達の室戸葵に声をかけた。
「あのさ、これからちょっと付き合ってくれない?」
「いいけど、どこに?」
「旧校舎」
「え?どうしてあんなところに?」
「悪魔を呼び出すの。成功したら、悪魔は何でも願いを叶えるんだって」
「あんたそんなこと信じてんの?やめたほうがいいって」
「やるだけやろうよ。悪魔呼び出したら、誰よりも素敵な彼氏と付き合えるよ。葵ちゃん、サッカー部の西澤先輩と付き合いたいって言ってたじゃん。競争相手多いし、どんなに頑張ったって普通じゃ絶対無理、付き合えないから。でもさ、悪魔呼び出せたら簡単。思いのままの相手と付き合えるし、その相手を自由にできる」
「うん、乗った」
二人はさっそく旧校舎に向かった。
旧校舎の入口をくぐった途端震え出して怖気づく室戸の袖を引っ張って、中山はどんどん先に進んだ。
1階の行き止まりの壁を調べると、ぐらぐらしている羽目板があり、メモに書かれたとおり器用に動かすと簡単に外れて、壁の中に階段があった。
懐中電灯の灯りだけを頼りに、ゆっくりと階段を降りていった。
地下は思っていた以上に広くて、ここで誰かが悪魔を呼び出した面影がなんとなく感じられた。
中山はテキパキと準備を進め、室戸はただその様子を眺めていた。
中山は魔法陣の作成に取り掛かった。
本に書かれている図案を一生懸命書き写している中山の背中に向かって、室戸はふと心に浮かんだ疑問を尋ねた。
「あのさあ、悪魔が実際にいたとして、本当に魂を犠牲にしてまで彼氏が欲しいわけ?」
「そう、私は生きているうちに幸せになりたいの。死んだ後のことなんて、どうでもいい」
やがて魔法陣は完成し、指定の位置に小瓶を置いて、中山は中央に立った。あとは呪文を口にするだけ。
「葵も、魔法陣の中に入りなよ」
「いいって、まずあんたがやって成功したら考えるから。早くやってみせてよ」
室戸は魔法陣には入らなかった。
中山は呪文が書かれたページを開いて、間違えないように慎重に唱え出した。
すると、辺りにはまるで地震が起きたような地響きが鳴り、どこから現れたのか黒煙が立ち上がり地下室は黒い霧に包まれた。
魔法陣の上方、空中にさらに黒い霧のようなものが沸き上がり、中から漆黒の闇が結晶したかのように、ゾクリとするような容貌の悪魔が現れた。
黒い衣を身に纏い、背中には大きなこうもりの翼を生やした悪魔は、人間でいうと青年ぐらいの年齢に見えた。
そいつは重く低い声で、中山に言った。
「私を呼び出したのはお前か?」
それを耳にした室戸は、悲鳴を上げながら、一目散に階段を駆け上がり飛び出してしまった。
「さあ、願いを言ってみろ。お前の魂と引き換えに、叶えてやろう」
「私、生きている間は最高に楽しい人生を送りたいです。まず彼氏が欲しい。カッコいい彼氏が。あ、優しくて私の言うことは何でも聞く彼氏、それからお金に名声、私は誰よりも幸せになる」
「ほう、容姿と性格がすぐれた男か。それに金と名声。随分強欲な女だな。それだけの願いを叶えるのに、お前の小さな魂を一つしか差し出さないというのか?」
「何が欲しいの?私が幸せに生きられるなら、何でもあげる。何が欲しいのか言って。その代わり、生きている間は最高に幸せな人生を約束して」
「ほう、お前は潔いのだな。そのような人間の魂なら、喜んでいただこう。ただし、お前には魂以外の代償も提供してもらう。それはいずれ請求するとしよう。まづはその魂をいただくことにする。では契約を交わそう」
そして、中山は悪魔と契約した。
中山に彼氏ができたのは、間もなくのことだった。
放課後、中山がいつものように友達をおしゃべりしていると、突然一人の男子生徒が入ってきた。
その人は、誰もが思わず振り返るぐらいのかっこいいって評判の西澤先輩だった。
西澤仁志は、サッカー部の次期キャプテンって言われて、密かにファンクラブがあるほど、女子に人気がある。
「よかったら今日も一緒に帰らない?」
「うん、じゃ用事が終わるまで待ってて」
「俺、邪魔にならないよう廊下で待っているから」
加瀬「いつの間にあんな彼氏ができたんよ」
菊崎「あの西澤先輩でしょ?」
加瀬「どっちが告白したの?」
中山「付き合ってほしいって言われてさ、それでオーケーした」
そう言い残して、中山が西澤先輩と二人で仲良く去って行った。
仲良くといっても、西澤先輩が中山に傳いている感じだった。
西澤先輩の親衛隊の連中は怒り心頭だった。
その中に一人、誰よりも心中穏やかじゃない人がいた。室戸だ。
彼女の胸のうちはどうだったと思う?
- 中山さんが心配だった
- 妬ましかった
ある日の休み時間、中山が机の上のカードを並べて菊崎の声を掛けた。
「菊崎さん、占ってあげようか?」
「何それ?タロット?」
「ちょっと違う。恋愛が上手くいくかどうか見てあげるよ」
「じゃあ、お願いしよっかな、私に彼氏ができるかどうか、占ってよ」
「じゃあ、ここに座る」
中山は、カードを並べて眺めていたかと思うと、近いうちに彼氏ができる、と言った。
「幸せになれるから、私が保証する」
それを見ていた室戸は嫌な予感がしていた。
放課後、中山と菊崎が連れ立ってどこかに向かう姿が見えたので、室戸は後を追った。
二人は旧校舎に入っていった。
室戸は、中山が悪魔召喚の儀式を行うつもりであることに気付いたが、旧校舎に踏み込む勇気はなかったので、引き返した。
数日後、室戸は、隣のクラスの男子と並んで楽しそうに話しながら歩いている菊崎を見かけた。
菊崎の恋は見事に成就した。きっと悪魔の力を使って。
菊崎は「中山さんの力は本物よ。彼女に頼めば、みんなの恋は成就するの。だから、中山さんにお願いしましょうよ!」とみんなに言った。
それからというもの、中山に占ってもらえば絶対に恋人ができるって噂が立つようになり、毎日、彼女の元には、恋に悩める女の子たちが押し掛けるようになった。
中には、彼女のことを宗教の教主様みたいに崇める人いた。
そのうち中山がこんなことを言うようになった。
「恋愛こそ人生のすべて、恋愛のためなら魂さえ捧げよ!すべての女の子に恋愛の素晴らしさを伝える。それが私の使命!」
ここまでくると、もう立派な宗教だ。愛の伝道師、みたいな。
そう時間も経たないうちに、中山のクラスの女子の大半に彼氏ができた。その中には、お世辞にもルックスがいいとはいえない子もいたが、そんな子までお望み通りの男の子とカップルになれた。
だから、中山には何か神がかり的な力が宿っているだって、誰もが疑わなくなった。
ずっと沈黙を守っていた室戸だが、クラスの異常な状態にようやく決心を固めた。
これ以上悪魔との契約者を増やすわけにはいかない。力づくでも止めなくちゃいけないって。
放課後になると、恋に焦がれる女の子がまた一人、中山に連れられて旧校舎に誘い込まれていった。
中山の周囲には、悪魔と契約済みの女の子たちが、患部のように従っていた。
室戸は、彼女たちの後をこっそちろつけていった。
中山たちが一番最初に儀式をした地下室に入ると、室戸は階段の陰から、そっと様子を窺った。
魔法陣の前に立つ中山、その魔法陣の中でひざまずいているのは同じ学年の本郷茜だった。
「私はこれから悪魔を呼び出す。あなたの死後、その悪魔に魂を差し出す契約をすれば、あなたの恋は成就する」
「悪魔!」
「心配はない、生きている間は何もなし。魂を捧げるのは死んでからだ。その証拠にここにいる女たちは、何事もなく毎日を謳歌している」
本郷は悪魔と契約することにし、中山の口から呪文が唱えられた。
その時、室戸が「もうやめて!」と言いながら魔法陣に飛び込んできた。
室戸は、魔法陣でひざまずいている本郷に駆け寄り、「悪魔と契約したって、いいことなんてないよ。今ならまだ間に合うから、逃げるのよ!」と説得すると、本郷は地下室から逃げ出した。
中山が呪文を全て言い終わると、辺りはまた黒煙に包まれた。
あの時の気配を察した室戸は、震えながら魔法陣の中でしゃがみこんだ。その時、また闇の中からあの恐ろしい悪魔が召喚された。
中山は室戸を指さして言い放った。
「悪魔は呼び出された。今度はお前が望みを願う番だ。願いを言え」
坂上君なら、悪魔と契約する?
- 契約しない
- 契約する
- 恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 中山真美華を殺してほしい→エンディング№128:恋愛教 ←契約する
中山「最後にもう一度聞こう、本当に良いのだな?」
室戸「ええ、私は真美華とは違う。私は自分の力で人生を生きるから!」
悪魔「よかろう、その魂、譲り受けた」
突然、室戸の周りに黒煙が舞い始め、その煙は室戸の口や鼻から吸い込まれ体内に消えて行った。
「何これ、どういうこと?」
「私は悪魔と契約したのだ。私の絵が岸魔法陣で呼び出した悪魔と、陣内にいるものが契約を望まぬ場合、その魂は悪魔に譲るという契約を。お前は気付かなかったのか?今まで何人もの女性とがいなくなっていることに。この魔法陣を訪れる女は多いが、残念なことに異論を唱え尻込みする者もいる。そんな役立たずのゴミどもの魂は悪魔に捧げてきたのだ。この恋愛教がより大きな力を得るために」
「恋愛教?」
室戸は自分が何か別のものに乗っ取られていくのを感じながらも必死に抵抗した。
「室戸葵、お前は私のためにその魂を捧げる」
そう言って中山が両手を大きく広げると同時に、室戸の肉体は黒煙に包まれ消滅してしまった。
室戸は行方不明ってことになった。彼女の死体は、影も形も見つからなかったし、死んだかどうかも定かではない。
実際、室戸以外にも何人かの女子生徒が行方不明になっていた。みんな、悪魔との契約を拒んだ女の子たちだ。
今やすっかり恋愛教の教祖様となった中山は、まだこの学校にいる。
実は福沢も話しかけられたことがあるが、その時はトイレで急いでいるってごまかして逃げたとのこと。
無害とはいえば無害だけど、一言で言えば不気味だ。
中山に盾突いた人間は消されるという噂があるから、ケチをつける生徒や先生はいない。
この話を記事にしたら、坂上は中山ににらまれて、抹殺の対象になるかも?
逆に恋愛教の布教に貢献したって、褒められるかも。
エンディング数 8/656 1%
エンディング№128:恋愛教
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き
- 嫌い
- どちらでもない
私はこんな集まりに出るくらいだから、チョー大好きだよ!
私の好きなマンガ家さんはね・・・あ、ごめん。つい話が脱線しちゃった。話を戻すね。
中山は内心壊し話は大好きだったんだけれど、女の子が怖い話に目がないのもどうかと思って、嫌だなぁって振りをしながら、友達の話を聞いていた。
加瀬「旧校舎に何でも願いを聞いてくれる悪魔がいるんよ。ただし条件は魂と引き換えなんよ。ねえ信じる?」
菊崎「それって死んじゃうの?」
加瀬「差し出すのは死んだ後のことなんよ。だから生きている間は、別にどうってことないみたい」
菊崎「私は嫌だなあ」
中山「で、どうやって悪魔を呼び出すの?」
加瀬「何かよくわかんないんだけど、儀式をする必要があるんよ。その方法が書かれた本が、図書室にあるって話なんてよ」
菊崎「その悪魔に願いを聞いてもらった人って、この学校にいるの?」
加瀬「いるんじゃない?よく知らんけど」
放課後になって、中山は一緒に帰ろうという友達の誘いを断って、一人である場所に向かった。
それは図書室だった。
中山は興味のないフリをしていながらも、願いを聞いてくれるという悪魔の話に興味を持った。
このままじゃいつになったら理想の恋人に出会えるかわからないから、悪魔に頼んで手っ取り早く彼氏を作ろうと考えた。
ダメでもともとって思いながら、あまり期待しないで本棚を漁りだしたが、悪魔っていうのは、そんな人間の心の隙を見つけて忍び寄ってくる。
なんと、本当に怪しい本が、まるでどうぞ見つけてくださいって感じで出てきちゃった。
中山は、本棚の中から真っ黒な背表紙の本を見つけた。真っ黒だけならともかく、題名を何も書かれていない。
中山はその怪しい本を手に取り、ページをめくってみると、悪魔を呼び出す方法が書かれていた。
ページをめくると一枚のメモが挟んであった。
「旧校舎の地図じゃん。しかも秘密の地下室の入り方まで書いてある。もしかして、以前誰かがこの本を読んで試したのかもしれない」
中山はその本をこっそり鞄に入れて、とりあえず家に帰ることにした。
中山は自分の部屋に戻ると、本の中身をじっくりと読みふけった。
その本によると、悪魔を呼び出すには、魔法陣を床に書いて、動物の血液を小瓶に入れて供物とし、呪文を唱えるとのことで、中山は飼っていた猫をためらうことなく殺した。
翌日の放課後、中山は必要な道具を全部用意して、あとは儀式を実行するだけって段取りになったが、直前になって、ひとりじゃ不安になってしまった。
そもそも旧校舎は立入禁止だし、昼でも薄暗くて、女の子が一人で行けるような場所じゃない。
そこで、中山は友達の室戸葵に声をかけた。
「あのさ、これからちょっと付き合ってくれない?」
「いいけど、どこに?」
「旧校舎」
「え?どうしてあんなところに?」
「悪魔を呼び出すの。成功したら、悪魔は何でも願いを叶えるんだって」
「あんたそんなこと信じてんの?やめたほうがいいって」
「やるだけやろうよ。悪魔呼び出したら、誰よりも素敵な彼氏と付き合えるよ。葵ちゃん、サッカー部の西澤先輩と付き合いたいって言ってたじゃん。競争相手多いし、どんなに頑張ったって普通じゃ絶対無理、付き合えないから。でもさ、悪魔呼び出せたら簡単。思いのままの相手と付き合えるし、その相手を自由にできる」
「うん、乗った」
二人はさっそく旧校舎に向かった。
旧校舎の入口をくぐった途端震え出して怖気づく室戸の袖を引っ張って、中山はどんどん先に進んだ。
1階の行き止まりの壁を調べると、ぐらぐらしている羽目板があり、メモに書かれたとおり器用に動かすと簡単に外れて、壁の中に階段があった。
懐中電灯の灯りだけを頼りに、ゆっくりと階段を降りていった。
地下は思っていた以上に広くて、ここで誰かが悪魔を呼び出した面影がなんとなく感じられた。
中山はテキパキと準備を進め、室戸はただその様子を眺めていた。
中山は魔法陣の作成に取り掛かった。
本に書かれている図案を一生懸命書き写している中山の背中に向かって、室戸はふと心に浮かんだ疑問を尋ねた。
「あのさあ、悪魔が実際にいたとして、本当に魂を犠牲にしてまで彼氏が欲しいわけ?」
「そう、私は生きているうちに幸せになりたいの。死んだ後のことなんて、どうでもいい」
やがて魔法陣は完成し、指定の位置に小瓶を置いて、中山は中央に立った。あとは呪文を口にするだけ。
「葵も、魔法陣の中に入りなよ」
「いいって、まずあんたがやって成功したら考えるから。早くやってみせてよ」
室戸は魔法陣には入らなかった。
中山は呪文が書かれたページを開いて、間違えないように慎重に唱え出した。
すると、辺りにはまるで地震が起きたような地響きが鳴り、どこから現れたのか黒煙が立ち上がり地下室は黒い霧に包まれた。
魔法陣の上方、空中にさらに黒い霧のようなものが沸き上がり、中から漆黒の闇が結晶したかのように、ゾクリとするような容貌の悪魔が現れた。
黒い衣を身に纏い、背中には大きなこうもりの翼を生やした悪魔は、人間でいうと青年ぐらいの年齢に見えた。
そいつは重く低い声で、中山に言った。
「私を呼び出したのはお前か?」
それを耳にした室戸は、悲鳴を上げながら、一目散に階段を駆け上がり飛び出してしまった。
「さあ、願いを言ってみろ。お前の魂と引き換えに、叶えてやろう」
「私、生きている間は最高に楽しい人生を送りたいです。まず彼氏が欲しい。カッコいい彼氏が。あ、優しくて私の言うことは何でも聞く彼氏、それからお金に名声、私は誰よりも幸せになる」
「ほう、容姿と性格がすぐれた男か。それに金と名声。随分強欲な女だな。それだけの願いを叶えるのに、お前の小さな魂を一つしか差し出さないというのか?」
「何が欲しいの?私が幸せに生きられるなら、何でもあげる。何が欲しいのか言って。その代わり、生きている間は最高に幸せな人生を約束して」
「ほう、お前は潔いのだな。そのような人間の魂なら、喜んでいただこう。ただし、お前には魂以外の代償も提供してもらう。それはいずれ請求するとしよう。まづはその魂をいただくことにする。では契約を交わそう」
そして、中山は悪魔と契約した。
中山に彼氏ができたのは、間もなくのことだった。
放課後、中山がいつものように友達をおしゃべりしていると、突然一人の男子生徒が入ってきた。
その人は、誰もが思わず振り返るぐらいのかっこいいって評判の西澤先輩だった。
西澤仁志は、サッカー部の次期キャプテンって言われて、密かにファンクラブがあるほど、女子に人気がある。
「よかったら今日も一緒に帰らない?」
「うん、じゃ用事が終わるまで待ってて」
「俺、邪魔にならないよう廊下で待っているから」
加瀬「いつの間にあんな彼氏ができたんよ」
菊崎「あの西澤先輩でしょ?」
加瀬「どっちが告白したの?」
中山「付き合ってほしいって言われてさ、それでオーケーした」
そう言い残して、中山が西澤先輩と二人で仲良く去って行った。
仲良くといっても、西澤先輩が中山に傳いている感じだった。
西澤先輩の親衛隊の連中は怒り心頭だった。
その中に一人、誰よりも心中穏やかじゃない人がいた。室戸だ。
彼女の胸のうちはどうだったと思う?
- 中山さんが心配だった
- 妬ましかった
ある日の休み時間、中山が机の上のカードを並べて菊崎の声を掛けた。
「菊崎さん、占ってあげようか?」
「何それ?タロット?」
「ちょっと違う。恋愛が上手くいくかどうか見てあげるよ」
「じゃあ、お願いしよっかな、私に彼氏ができるかどうか、占ってよ」
「じゃあ、ここに座る」
中山は、カードを並べて眺めていたかと思うと、近いうちに彼氏ができる、と言った。
「幸せになれるから、私が保証する」
それを見ていた室戸は嫌な予感がしていた。
放課後、中山と菊崎が連れ立ってどこかに向かう姿が見えたので、室戸は後を追った。
二人は旧校舎に入っていった。
室戸は、中山が悪魔召喚の儀式を行うつもりであることに気付いたが、旧校舎に踏み込む勇気はなかったので、引き返した。
数日後、室戸は、隣のクラスの男子と並んで楽しそうに話しながら歩いている菊崎を見かけた。
菊崎の恋は見事に成就した。きっと悪魔の力を使って。
菊崎は「中山さんの力は本物よ。彼女に頼めば、みんなの恋は成就するの。だから、中山さんにお願いしましょうよ!」とみんなに言った。
それからというもの、中山に占ってもらえば絶対に恋人ができるって噂が立つようになり、毎日、彼女の元には、恋に悩める女の子たちが押し掛けるようになった。
中には、彼女のことを宗教の教主様みたいに崇める人いた。
そのうち中山がこんなことを言うようになった。
「恋愛こそ人生のすべて、恋愛のためなら魂さえ捧げよ!すべての女の子に恋愛の素晴らしさを伝える。それが私の使命!」
ここまでくると、もう立派な宗教だ。愛の伝道師、みたいな。
そう時間も経たないうちに、中山のクラスの女子の大半に彼氏ができた。その中には、お世辞にもルックスがいいとはいえない子もいたが、そんな子までお望み通りの男の子とカップルになれた。
だから、中山には何か神がかり的な力が宿っているだって、誰もが疑わなくなった。
ずっと沈黙を守っていた室戸だが、クラスの異常な状態にようやく決心を固めた。
これ以上悪魔との契約者を増やすわけにはいかない。力づくでも止めなくちゃいけないって。
放課後になると、恋に焦がれる女の子がまた一人、中山に連れられて旧校舎に誘い込まれていった。
中山の周囲には、悪魔と契約済みの女の子たちが、患部のように従っていた。
室戸は、彼女たちの後をこっそちろつけていった。
中山たちが一番最初に儀式をした地下室に入ると、室戸は階段の陰から、そっと様子を窺った。
魔法陣の前に立つ中山、その魔法陣の中でひざまずいているのは同じ学年の本郷茜だった。
「私はこれから悪魔を呼び出す。あなたの死後、その悪魔に魂を差し出す契約をすれば、あなたの恋は成就する」
「悪魔!」
「心配はない、生きている間は何もなし。魂を捧げるのは死んでからだ。その証拠にここにいる女たちは、何事もなく毎日を謳歌している」
本郷は悪魔と契約することにし、中山の口から呪文が唱えられた。
その時、室戸が「もうやめて!」と言いながら魔法陣に飛び込んできた。
室戸は、魔法陣でひざまずいている本郷に駆け寄り、「悪魔と契約したって、いいことなんてないよ。今ならまだ間に合うから、逃げるのよ!」と説得すると、本郷は地下室から逃げ出した。
中山が呪文を全て言い終わると、辺りはまた黒煙に包まれた。
あの時の気配を察した室戸は、震えながら魔法陣の中でしゃがみこんだ。その時、また闇の中からあの恐ろしい悪魔が召喚された。
中山は室戸を指さして言い放った。
「悪魔は呼び出された。今度はお前が望みを願う番だ。願いを言え」
坂上君なら、悪魔と契約する?
- 契約しない
- 契約する
- 恋人がほしい→エンディング№127:二人で分け合う
- 中山真美華を殺してほしい
中山「ありがとう、その言葉を待っていたわ」
悪魔「よかろう、その魂、もらい受けた」
突然、室戸の周りに黒煙が漂い始め、その煙は室戸の口や鼻から吸い込まれて体内に消えていった。
「何にこれ??どういうこと?」
「私は、信徒たちに悪魔と契約させている。魔法陣に入りしものを契約させるのだ。もし陣内の者が思いもよらぬ契約を口にしたらどうする?この恋愛教を乗っ取ろうおいう、よからぬ思考を阻むため、策を講じるのは当然のこと。お前のような役立たずの魂は悪魔に捧げよう」
室戸は自分が何か別の者の乗っ取られていくのを感じながらも必死で抵抗した。
「室戸葵、お前は私のためにその魂を捧げる。恋愛教のためにその魂を捧げるのだ」
そう言って中山が両手を大きく広げると同時に、室戸の身体は黒煙に包まれて消滅してしまった。
室戸は行方不明ってことになった。彼女の死体は、影も形も見つからなかったし、死んだかどうかも定かではない。
実際、室戸以外にも何人かの女子生徒が行方不明になっていた。みんな、悪魔との契約を拒んだ女の子たちだ。
今やすっかり恋愛教の教祖様となった中山は、まだこの学校にいる。
実は福沢も話しかけられたことがあるが、その時はトイレで急いでいるってごまかして逃げたとのこと。
無害とはいえば無害だけど、一言で言えば不気味だ。
中山に盾突いた人間は消されるという噂があるから、ケチをつける生徒や先生はいない。
この話を記事にしたら、坂上は中山ににらまれて、抹殺の対象になるかも?
逆に恋愛教の布教に貢献したって、褒められるかも。
エンディング数 8/656 1%
エンディング№128:恋愛教
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
倉田のシナリオ:カエルですか?ネズミですか?→エンディング№363~368を見る
七不思議を聞く当日、日野先輩は、忙しいらしく来られなくなってしまい、坂上一人で仕切ることになってしまった。
集められた7人が誰なのか知らない坂上。この鳴神学園は1学年が500名いるマンモス校のため、入学しから卒業するまで一度も顔を合わせたことがない生徒がいるくらいだ。
緊張感と今朝からの気だるさとどんより曇った天気で、気分が悪い坂上は、空気を吸おうと窓から身を乗り出す。
新聞部の部室の扉を開けると、すでに6人が待っていたが、坂上が知っている顔はひとつもない。
坂上は会釈すると空いている席に座るが、7人目が来ていないことに気付く。
「あなたが7人目ですか」と隣に座った男から声を掛けられる。
思わず立ち上がった坂上は「あ、違います。僕は新聞部の坂上修一といいます。本日は、皆さんお忙しい中お集まりいただき本当にありがごうざいました」とあいさつをし、一礼して座り直した。
メンバーは男性4名、女性2名で、それぞれが初対面なのか会話がない。
「いつまでこうしてればいいんだ?」と、坂上の正面に座っている、ポケットに手を突っ込んだ不良っぽい男子生徒が、坂上をにらみつける。
「こうしていつまで顔を突き合わせていてもしょうがありませんし、あと一人もいつ来るかわからないですし、もしよければ話を始めませんか?」と、ふくよかな体格の男が人懐っこさそうな柔らかな笑顔を浮かべながら言った。
坂上が「彼の言う通りです。皆さんさえよろしければ、そろそろ話を始めたいのですが」と切り出すと、さっきの不良っぽい男が「俺は構わないぜ」と言い、残りのみんなもうなずいた。
「そうね、これ以上待たされるのも嫌だし、悪いのは約束の時間を守れないほうね。始めてちょうだい」
「うんうん、私、早くしゃべりたいし、みんなの話も聞きたい」
「レディのお二人がそう言っているんだ。気を利かしてさっさと始めたまえよ」
「あ、はい、それでは早速始めさせて頂きます」
1人目は福沢玲子を選択。
福沢は1年G組の生徒だ。
「突然だけど坂上君って、宗教は入っている?」
- 親と一緒
- あまり人には言いたくない
- 無神論者
シナリオ:恋愛教
「ふ~ん、じゃあ坂上君は子供の頃から、宗教を身近に感じていたんだね。うちは無宗教だったから、そういう感じってよくわかんないけどさ。宗教に限らないけど、一言でグループ活動っていっても、ピンからキリまであるよね。その中で、私が一番怖いのは、中で何をやっているのかわからない、不気味なグループかなあ。私がこれからするのは、そんな奇妙で不気味なグループ活動の話だよ」
1年ほど前の話だが、あるクラスに中山真美華という女子生徒がいた。
彼女は見事なまでに平凡は女の子だった。
中山は普通の友達に囲まれて、別に不満のない毎日を過ごしていたんだけど、一つだけこうだったらいいなって考えていたことがあった。
それは、彼氏が欲しい、ってことだった。
恋愛って自分ひとりでどうにかなるものでもない。相手がいて、初めて成り立つものだから、自分から行動を起こさないと。
でも、中山は、表面上そんな素振りは少しも見せなかった。友達が恋バナをしてる時も、中山は一人いつも飄々とした態度をしていた。
ある日の休み時間、中山はいつものように、仲のいい友人の加瀬ひなたと菊崎あきなとお喋りしながら適当に時間を過ごしていた。
加瀬「知ってる?うちの学校って怪談の宝庫なんよ」
菊崎「へぇ、学校の七不思議とか、そういうやつ?」
中山「やだなあ、私、ホラーとか苦手なの」
そういえば坂上君って、ホラー好き?
- 好き
- 嫌い
- どちらでもない
私はこんな集まりに出るくらいだから、チョー大好きだよ!
私の好きなマンガ家さんはね・・・あ、ごめん。つい話が脱線しちゃった。話を戻すね。
中山は内心壊し話は大好きだったんだけれど、女の子が怖い話に目がないのもどうかと思って、嫌だなぁって振りをしながら、友達の話を聞いていた。
加瀬「旧校舎に何でも願いを聞いてくれる悪魔がいるんよ。ただし条件は魂と引き換えなんよ。ねえ信じる?」
菊崎「それって死んじゃうの?」
加瀬「差し出すのは死んだ後のことなんよ。だから生きている間は、別にどうってことないみたい」
菊崎「私は嫌だなあ」
中山「で、どうやって悪魔を呼び出すの?」
加瀬「何かよくわかんないんだけど、儀式をする必要があるんよ。その方法が書かれた本が、図書室にあるって話なんてよ」
菊崎「その悪魔に願いを聞いてもらった人って、この学校にいるの?」
加瀬「いるんじゃない?よく知らんけど」
放課後になって、中山は一緒に帰ろうという友達の誘いを断って、一人である場所に向かった。
それは図書室だった。
中山は興味のないフリをしていながらも、願いを聞いてくれるという悪魔の話に興味を持った。
このままじゃいつになったら理想の恋人に出会えるかわからないから、悪魔に頼んで手っ取り早く彼氏を作ろうと考えた。
ダメでもともとって思いながら、あまり期待しないで本棚を漁りだしたが、悪魔っていうのは、そんな人間の心の隙を見つけて忍び寄ってくる。
なんと、本当に怪しい本が、まるでどうぞ見つけてくださいって感じで出てきちゃった。
中山は、本棚の中から真っ黒な背表紙の本を見つけた。真っ黒だけならともかく、題名を何も書かれていない。
中山はその怪しい本を手に取り、ページをめくってみると、悪魔を呼び出す方法が書かれていた。
ページをめくると一枚のメモが挟んであった。
「旧校舎の地図じゃん。しかも秘密の地下室の入り方まで書いてある。もしかして、以前誰かがこの本を読んで試したのかもしれない」
中山はその本をこっそり鞄に入れて、とりあえず家に帰ることにした。
中山は自分の部屋に戻ると、本の中身をじっくりと読みふけった。
その本によると、悪魔を呼び出すには、魔法陣を床に書いて、動物の血液を小瓶に入れて供物とし、呪文を唱えるとのことで、中山は飼っていた猫をためらうことなく殺した。
翌日の放課後、中山は必要な道具を全部用意して、あとは儀式を実行するだけって段取りになったが、直前になって、ひとりじゃ不安になってしまった。
そもそも旧校舎は立入禁止だし、昼でも薄暗くて、女の子が一人で行けるような場所じゃない。
そこで、中山は友達の室戸葵に声をかけた。
「あのさ、これからちょっと付き合ってくれない?」
「いいけど、どこに?」
「旧校舎」
「え?どうしてあんなところに?」
「悪魔を呼び出すの。成功したら、悪魔は何でも願いを叶えるんだって」
「あんたそんなこと信じてんの?やめたほうがいいって」
「やるだけやろうよ。悪魔呼び出したら、誰よりも素敵な彼氏と付き合えるよ。葵ちゃん、サッカー部の西澤先輩と付き合いたいって言ってたじゃん。競争相手多いし、どんなに頑張ったって普通じゃ絶対無理、付き合えないから。でもさ、悪魔呼び出せたら簡単。思いのままの相手と付き合えるし、その相手を自由にできる」
「うん、乗った」
二人はさっそく旧校舎に向かった。
旧校舎の入口をくぐった途端震え出して怖気づく室戸の袖を引っ張って、中山はどんどん先に進んだ。
1階の行き止まりの壁を調べると、ぐらぐらしている羽目板があり、メモに書かれたとおり器用に動かすと簡単に外れて、壁の中に階段があった。
懐中電灯の灯りだけを頼りに、ゆっくりと階段を降りていった。
地下は思っていた以上に広くて、ここで誰かが悪魔を呼び出した面影がなんとなく感じられた。
中山はテキパキと準備を進め、室戸はただその様子を眺めていた。
中山は魔法陣の作成に取り掛かった。
本に書かれている図案を一生懸命書き写している中山の背中に向かって、室戸はふと心に浮かんだ疑問を尋ねた。
「あのさあ、悪魔が実際にいたとして、本当に魂を犠牲にしてまで彼氏が欲しいわけ?」
「そう、私は生きているうちに幸せになりたいの。死んだ後のことなんて、どうでもいい」
やがて魔法陣は完成し、指定の位置に小瓶を置いて、中山は中央に立った。あとは呪文を口にするだけ。
「葵も、魔法陣の中に入りなよ」
「いいって、まずあんたがやって成功したら考えるから。早くやってみせてよ」
室戸は魔法陣には入らなかった。
中山は呪文が書かれたページを開いて、間違えないように慎重に唱え出した。
すると、辺りにはまるで地震が起きたような地響きが鳴り、どこから現れたのか黒煙が立ち上がり地下室は黒い霧に包まれた。
魔法陣の上方、空中にさらに黒い霧のようなものが沸き上がり、中から漆黒の闇が結晶したかのように、ゾクリとするような容貌の悪魔が現れた。
黒い衣を身に纏い、背中には大きなこうもりの翼を生やした悪魔は、人間でいうと青年ぐらいの年齢に見えた。
そいつは重く低い声で、中山に言った。
「私を呼び出したのはお前か?」
それを耳にした室戸は、悲鳴を上げながら、一目散に階段を駆け上がり飛び出してしまった。
「さあ、願いを言ってみろ。お前の魂と引き換えに、叶えてやろう」
「私、生きている間は最高に楽しい人生を送りたいです。まず彼氏が欲しい。カッコいい彼氏が。あ、優しくて私の言うことは何でも聞く彼氏、それからお金に名声、私は誰よりも幸せになる」
「ほう、容姿と性格がすぐれた男か。それに金と名声。随分強欲な女だな。それだけの願いを叶えるのに、お前の小さな魂を一つしか差し出さないというのか?」
「何が欲しいの?私が幸せに生きられるなら、何でもあげる。何が欲しいのか言って。その代わり、生きている間は最高に幸せな人生を約束して」
「ほう、お前は潔いのだな。そのような人間の魂なら、喜んでいただこう。ただし、お前には魂以外の代償も提供してもらう。それはいずれ請求するとしよう。まづはその魂をいただくことにする。では契約を交わそう」
そして、中山は悪魔と契約した。
中山に彼氏ができたのは、間もなくのことだった。
放課後、中山がいつものように友達をおしゃべりしていると、突然一人の男子生徒が入ってきた。
その人は、誰もが思わず振り返るぐらいのかっこいいって評判の西澤先輩だった。
西澤仁志は、サッカー部の次期キャプテンって言われて、密かにファンクラブがあるほど、女子に人気がある。
「よかったら今日も一緒に帰らない?」
「うん、じゃ用事が終わるまで待ってて」
「俺、邪魔にならないよう廊下で待っているから」
加瀬「いつの間にあんな彼氏ができたんよ」
菊崎「あの西澤先輩でしょ?」
加瀬「どっちが告白したの?」
中山「付き合ってほしいって言われてさ、それでオーケーした」
そう言い残して、中山が西澤先輩と二人で仲良く去って行った。
仲良くといっても、西澤先輩が中山に傳いている感じだった。
西澤先輩の親衛隊の連中は怒り心頭だった。
その中に一人、誰よりも心中穏やかじゃない人がいた。室戸だ。
彼女の胸のうちはどうだったと思う?
- 中山さんが心配だった
- 妬ましかった
ある日の休み時間、中山が机の上のカードを並べて菊崎の声を掛けた。
「菊崎さん、占ってあげようか?」
「何それ?タロット?」
「ちょっと違う。恋愛が上手くいくかどうか見てあげるよ」
「じゃあ、お願いしよっかな、私に彼氏ができるかどうか、占ってよ」
「じゃあ、ここに座る」
中山は、カードを並べて眺めていたかと思うと、近いうちに彼氏ができる、と言った。
「幸せになれるから、私が保証する」
それを見ていた室戸は嫌な予感がしていた。
放課後、中山と菊崎が連れ立ってどこかに向かう姿が見えたので、室戸は後を追った。
二人は旧校舎に入っていった。
室戸は、中山が悪魔召喚の儀式を行うつもりであることに気付いたが、旧校舎に踏み込む勇気はなかったので、引き返した。
数日後、室戸は、隣のクラスの男子と並んで楽しそうに話しながら歩いている菊崎を見かけた。
菊崎の恋は見事に成就した。きっと悪魔の力を使って。
菊崎は「中山さんの力は本物よ。彼女に頼めば、みんなの恋は成就するの。だから、中山さんにお願いしましょうよ!」とみんなに言った。
それからというもの、中山に占ってもらえば絶対に恋人ができるって噂が立つようになり、毎日、彼女の元には、恋に悩める女の子たちが押し掛けるようになった。
中には、彼女のことを宗教の教主様みたいに崇める人いた。
そのうち中山がこんなことを言うようになった。
「恋愛こそ人生のすべて、恋愛のためなら魂さえ捧げよ!すべての女の子に恋愛の素晴らしさを伝える。それが私の使命!」
ここまでくると、もう立派な宗教だ。愛の伝道師、みたいな。
そう時間も経たないうちに、中山のクラスの女子の大半に彼氏ができた。その中には、お世辞にもルックスがいいとはいえない子もいたが、そんな子までお望み通りの男の子とカップルになれた。
だから、中山には何か神がかり的な力が宿っているだって、誰もが疑わなくなった。
ずっと沈黙を守っていた室戸だが、クラスの異常な状態にようやく決心を固めた。
これ以上悪魔との契約者を増やすわけにはいかない。力づくでも止めなくちゃいけないって。
放課後になると、恋に焦がれる女の子がまた一人、中山に連れられて旧校舎に誘い込まれていった。
中山の周囲には、悪魔と契約済みの女の子たちが、患部のように従っていた。
室戸は、彼女たちの後をこっそちろつけていった。
中山たちが一番最初に儀式をした地下室に入ると、室戸は階段の陰から、そっと様子を窺った。
魔法陣の前に立つ中山、その魔法陣の中でひざまずいているのは同じ学年の本郷茜だった。
「私はこれから悪魔を呼び出す。あなたの死後、その悪魔に魂を差し出す契約をすれば、あなたの恋は成就する」
「悪魔!」
「心配はない、生きている間は何もなし。魂を捧げるのは死んでからだ。その証拠にここにいる女たちは、何事もなく毎日を謳歌している」
本郷は悪魔と契約することにし、中山の口から呪文が唱えられた。
その時、室戸が「もうやめて!」と言いながら魔法陣に飛び込んできた。
室戸は、魔法陣でひざまずいている本郷に駆け寄り、「悪魔と契約したって、いいことなんてないよ。今ならまだ間に合うから、逃げるのよ!」と説得すると、本郷は地下室から逃げ出した。
中山が呪文を全て言い終わると、辺りはまた黒煙に包まれた。
あの時の気配を察した室戸は、震えながら魔法陣の中でしゃがみこんだ。その時、また闇の中からあの恐ろしい悪魔が召喚された。
中山は室戸を指さして言い放った。
「悪魔は呼び出された。今度はお前が望みを願う番だ。願いを言え」
坂上君なら、悪魔と契約する?
- 契約しない
- 契約する
- 恋人がほしい
- 中山真美華を殺してほしい
室戸「待って、私が欲しいのは西澤さん。彼を恋人にして」
中山「いいわ、その願い叶えてあげる」
契約は成立し、悪魔は消滅した。
「これでお前も私の仲間だ。そうこそ恋愛教へ」
というわけで、室戸も晴れて恋愛教の仲間入り。
その翌日のこと、学校の近くを流れる夜叉川で西澤先輩の遺体が発見されたが、見事なまでに体は真っ二つに割れていた。
悪魔と契約した二人が一人の男を取り合うとなったら、こういう結末になるのは予測できた。
だからか、中山も室戸もいたって平然としていた。
二人は今も仲良くやっており、室戸は中山の良き理解者として、恋愛教のナンバー2に座っている。
エンディング数 7/656 1%
エンディング№127:二人で分け合う
キャラクター数 24/112 21%
新堂誠
荒井昭二
福沢玲子
風間望
岩下明美
細田友晴
菊崎あきな
室戸葵
西澤仁志
本郷茜
イラスト数 9/272 3%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
イジめで死んだ真美の人形を、イジメてた良江が拾うが、人形の方が、真美をマミちゃん人形と認識しており、良江もヨシエちゃん人形と認識している・・・
新聞部では、日野貞夫が、一学期最後の学校新聞は七不思議の特集をやろう、と言い出す。
倉田恵美も、長年使われていない旧校舎が夏休み中に取り壊されるし、季節的にも受ける、といって賛成する。
日野が学校の怪談好きの七名を集めるとのことで、今度の金曜日の放課後に、新聞部の部室で行うことになった。
日野から、七不思議の記事を書くように言われたのは、主人公の坂上修一だった。
坂上が嫌がっているのに気づいた倉田が、怖い話が好きだから自分がやります、と言い出したので、坂上は、実は怖い話が苦手だ、と打ち明ける。
それを聞いた日野は、新聞部一番の怖がりの坂上だから指名した、と答える。
怖い話を聞いて思いっきり怖がって、その恐怖を記事にしてほしい、という理由からだった。
倉田は、なら自分は語り部をやりたい、と日野に訴えると、日野は、今ここで怖い話をしてみろ、と言い出す。
それくらいできないようじゃ、語り部は務まらないとのこと。
→やります
→あ~、やっぱりいいです
「学校で、実は卒業するまで一度も行かないような場所があるのって知っている?」
→プール
→放送室
→保健室→以下に分岐
- エンディング№363:カエルですか?ネズミですか?
- エンディング№364:松原さくらは何人いるの?
- エンディング№365:本当に命日?
- エンディング№366:霊を取り込むカメラ
- エンディング№367:先生は地下アイドル?
シナリオ:カエルですか?ネズミですか?
放送室は、放送部員とか校内インタビューで取材を受けるとか特殊な状況じゃないと一般生徒は行くことはない。
1年生に三津見志保という放送部員がいる。
ある日、放送部で作業をしていると、染谷洋子が、魔音のレコードを手に入れた、やってきた。
→知らない
→知っている(下の染谷の会話から)
レコードの溝の一番外側に針を落すと、レコードの回転に従い針はどんどん内側に進んでいき、溝がなくなったとことで音楽は終了するが、悪魔の音楽を聴く方法は、それを逆にすること。
針を一番内側に置き、レコードを逆に回す。もちろん、逆回転機能なんてプレーヤーに付いていないから、手で回すのだ。
その時、ある特定のレコードは悪魔の音を奏でる。
例えば、キタがローマ字ではKITAとなり、それを逆回転で再生すると、ローマ字を逆さにしたATIKとなり、それを読んだ時の音アティクと聞こえる。
その法則をうまく利用して意図的に逆回転させることで意味のある言葉を仕掛けたレコードが作られた。
それを作ったのは、ある有名なミュージシャンだった。
彼はイギリスのあるトックバンドの一員だったけど、そのグループは悪魔を世に布教するために作られたグループだと一部では言われていた。
彼らは悪魔の申し子であり、音楽活動を通じてこの世を乱すために地獄から使わされた、と。事実、彼らは瞬く間に若者の間で大人気となり、彼らの音楽は世界中で人気を博した。
彼らは世界中でコンサートを行い、彼らの信者を増やすことに成功した。そして、それと同時に世界の情勢は崩壊していった。
若者の怒りが世界を動かしていった。世界中を遠征して回った演奏旅行は世界の乱れとともに中止され、その直後、例のレコードが作られた。
そのレコードは逆回転することで、ある呪文が聞こえるようになっている。それは、世の中を呪い、人間を憎み、怒りを抑えるなという歌だった。
そのレコードを逆回転させたものたちは、気持ちが高揚し、暴力的になり、怒りを表現した。若者たちは、怒りを抑えることなく、本能で動くようになった。
日本でも、そのレコードを聞いた若者たちは自由を主張し、ことあるごとに大人に反発し社会問題になった。
そして、そのロックバンドはそのレコードを製作し終えた後、突然解散した。残されたレコードは、悪魔崇拝者の間で魔音の呼ばれ、崇められた。
もともと海外では逆さ文字は悪魔の文字と呼ばれていたから、それもあって逆回転で聞こえてくる音を悪魔の音と決めつけた連中をいた。
たとえ、まったく意味のない不思議な言葉になったとしても、それは悪魔の言葉であり、人間には理解できないとさえ言う者までいた。
悪魔を呼び出す方法の一つに、真夜中の決められた時刻に二つの鏡を合わせると、その間を悪魔が通るという話がある。
悪魔は鏡の中に住んでいるという伝説もあるし、悪魔と鏡は結構切り離せない存在だから、鏡に映った文字は悪魔が使うという説も一般的だ。
だから、レコードを逆回転することで悪魔のメッセージを世に送り出すという行為は、悪魔崇拝者からすればごく当たり前で、当然納得のいく話だった。
そして、彼の後は継いで魔音を作るロックバンドが続々と現れた。特にヘヴィメタルとかパンクと呼ばれるミュージシャンたちは好んで魔音を作った。
中には優れた魔音もあり、それは悪魔崇拝者たちが行うサバトという集会で重宝された。
でもそんな魔音もあるときを境にほとんど作られるころはなくなった。理由は簡単。もう、魔音を作る必要がなくなったから。
悪魔たちが満足しうるだけ、布教が成功し、悪魔たちはこの世界で人間に交じって生きていけるようになった。
もちろん、鳴神学園にも悪魔崇拝者だけではなく悪魔も密かに人間に交じって生活しているって噂もあるくらい。
聞く者を暴力的に変え、社会を憎み周囲の人間に対し意味もなく反発させてしまう魔音だけど、中にはもっと強力で恐ろしい魔音もある。
例えば、人の呪い殺す魔音。殺したい相手に聞かせれば、その相手は数日後に不可解な謎の死を遂げてくれる。もっともこの魔音を封印され、今はどこにあるのか不明とされている。
それから、悪魔を呼び出す魔音もあるらしい。一般的に悪魔を呼び出すには魔法陣は特定の儀式が必要なんだけど、それがいらなくなる。でも、今はこの世を悪魔が自由に行き来しているから、あまり役に立たないだろう。
実は、そんな魔音を日本で作ろうとした人がいたの。
もう何十年も前の話なんだけど、それはこの鳴神学園小学校の音楽の先生だった。
名前を知らないけれど、彼がまだ学生だった頃、イギリスのロックバンドが作った魔音に取り憑かれた若者だった。
そんな彼が、初めて魔音に触れたのは音大生の時だった。最初、音楽学校の仲間から魔音の噂話を聞いた時、冗談と笑い飛ばした。
でも、その数日後、魔音を聞いたと興奮して話した友人は、学生運動に参加して警察と衝突し、そのまま帰らぬ人となってしまった。
彼は、死んだ友人の遺品として一枚のレコードを譲り受けた。
彼はオープンリールのテープにそのレコードを録音し、それを逆再生した。
このオープンリールの特徴は、再生する音のスピードを自由に変えたり、逆再生ができたことだった。
テープから流れたきたのは、奇妙な旋律の中で静かに響く呪いの言葉だった。
しかもそれは、とても逆再生とは思えないはっきりとした言葉で歌われていた、もちろん歌詞は英語だったから、日本語に訳さなければ内容は理解できない。
なのに、わざわざ訳す必要はなかった。耳の流れ込んでくる悪魔の響きに、言葉の壁なんて関係なかった。
身体の芯からふつふつを湧き上がってくる、言い知れない怒り。
でも、彼はあまりにも偉大過ぎる魔音に救われた。自分でもこれと同じ衝動を作りたい。
まだ高校生の頃、音楽家として成功したいという漠然とした夢を抱いていたころの記憶が蘇ってきた。大学生になり、音大に通うことで自分よりもはるかに才能ある人々に触れてしまい、音楽家の夢を早くも諦めてしまい、学校の音楽教師になることで満足しようとしていた自分に嫌気を感じた。
言葉を超越した魔音。おそらくそれは人間と言う壁させも超えてしまうだろうと感じた彼は、犬や猫にも影響を及ぼすか実験した。
結果は大成功。近所に住む人懐っこいペットの犬が、突然飼い主のお婆さんを襲った。
彼は歓喜した。初めて味わう喜びだった。魔音が人間以外にも効果があるのを発見したのは、自分が最初かもしれない。そして、より激しい衝動に駆られた。
人の作った魔音ではなく、自分が作った魔音でこの喜びを味わいたい。
そして、彼は夢を叶えるため、鳴神学園の音楽教師になる道を選んだ。
理由はいくつかあった。
まず、この学校に所蔵されているレコードの数は他の比ではなかった。もちろん魔音を奏でるレコードも所蔵されていた。
そして、まだ見ぬ世に触れぬ魔音もあるかもしれない。それを探すのも、彼の目的だった。
それから、レコードを製作する環境も整っていた。なぜ学校にプレス機まであったのかは不明だが、昔は校歌でも自主制作でレコード化しようと考えていたのかもしれない。
学校であれば、その機材を自由に使用できる。音楽教師という顔は、教材という名目で新たなレコードの入手は魔音の情報収集など、魔音を作るための環境としては最高だった。
特に小学校の教師であれば、適当に子供たちをあしらっておれば、ほぼ時間は無限に使うことができる。
学校での評判も上々だったらしい。ずっと音楽室にこもって何やら研究をしているから、問題も起こさないし、真面目に仕事をしている。
そんな彼は、どこから情報を仕入れてくるのか世界中から毎年怪しいレコードを買いあさった。
彼は、突然自殺してしまった。ある日、鍵のかかった音楽室から出てこない彼を心配して、他の先生が無理矢理ドアをこじ開けた。
音楽室の中央には、レコードを作るプレス機が置かれていた。
彼はそのプレス機にレコードの材料となる塩化ビニールの塊ではなく、自分の頭を押し込んで、自分の頭でレコードを作ろうとしていた。
プレス機は容赦なく彼の頭を押しつぶし、辺りにはプレス機から押し出されたようにミンチになった肉が飛び散り、血だまりに浮かんでいた。
そしてプレス機には、レコードの形になった肉が張り付いていた。彼は、魔音を作ることができずノイローゼになって自殺してしまった。
だからレコードは完成せず、プレス機は処分されてしまった。
でも、本当に魔音は完成しなかったのだろうか。実は鳴神学園が所蔵しているレコードの中に、死を呼ぶレコードを言われているものがある。
普通のレコード盤は、塩化ビニールが黒いから、黒い。時々、この塩化ビニールに色を流し込んで独特な模様を作り出したものもあり、これらはカラー盤を呼ばれて珍しがられた。
死を呼ぶレコードと呼ばれているのは、幽霊のような男の顔が描かれたジャケッドに入れられていて、血のように赤い色をしたカラー盤だそうだ。
そして、そのレコードには曲名は歌手名が書かれているラベルに、ただ一言『MANON』と書かれているらしい。
そしてそのレコードは、見つけようとしても絶対に見つからないが、ふと気まぐれに見つかってしまうことがあるらしい。
あるレコードを捜していると、ふと棚からはみ出たレコードがある。何だろうと手に取ると、気味の悪い男の顔がジャケットに描かれているだけで、タイトルも歌手名も何も書かれていない。
レコードを取り出すと、ラベルには『MANON』と書いてあり、なぜか気になって聞いてしまう。
でも聞いたが最後、その人間は、数時間後に世にも恐ろしいものを見たという恐怖に引きつった顔で変死体となるという噂。
だから、この学校では今までに何人もの人間がそのレコードの犠牲になっているんだって。ある数名の生徒がこのレコードを発見し、彼らがその後変死したことでこの噂が広まった。
その中に一人いじめられっ子がいて、仲間外れにされてそのレコードを聞かされなかったことで助かった。
死のレコードを聞いた人だけ死ぬって噂だけど、魔音は逆回転させないとその効力が現れない。なのに人が死ぬっていうことはそれは魔音の力じゃなくて、何か別の力が働いていることだよね?
だから、それが魔音だったとしたら、逆回転させるとどうなるんだろう。
→知っている、はここから
染谷がそれを手に入れてしまった。
前任の音楽教師がプレス機で頭を挟んで死んだから、その後任として鳴神学園小学校の音楽教師に、染谷の祖父が赴任したのだ。
染谷は祖父の日記を盗み、中を読んで、死を呼ぶレコードを見つけることができたのだ。
三津見と染谷がレコードを掛ける掛けないと言いあっていると、中山真美華がやってきて、「そのレコード頂戴」と言ってくる。
二人が断るとナイフをちらつかせて「殺す」と中山が言うので、レコードを手渡す。
中山が放送室を出ていくと、今度は加瀬ひなたがやってくる。
加瀬は、中山は悪魔崇拝者だから、レコードを聞いたら世界が終わってしまう、と話す。
それを聞いた染谷は、あのレコードは偽物だ、と打ち明ける。
加瀬は、絶対にこの話は他の人間にはするな、と釘を刺して言って去っていく。
しかし、倉田はこの話を染谷から聞いているので、染谷は全然約束を守っていない・・・
エンディング数 6/656
エンディング№368:魔音の行方
キャラクター数 14/112 12%
加瀬ひなた
中山真美華
染谷洋子
三津見志保
イラスト数 8/272 2%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
シナリオ:カエルですか?ネズミですか?
松原さくらは、学校が大好きなのに保健室に通っていた。
彼女は生まれつき身体が弱く、重度の貧血で悩んでいた。
なので、中学生の時からほとんど体育も見学だったし、暑い日や寒い日は学校に来られてたとしても一日保健室で過ごしていた。
鳴神学園は生徒数が数千人を超えるため、保健室は小さな病院と思えるほど大きい。
ベッドは全部で十台以上あるし、診察室も3カ所あり、保健室の先生も何人もいる。
保健室の先生は、保健室に行かない限りほとんど関わらないため、入学してから卒業するまで一度も顔を合わせない生徒もいるのだが、さくらは、保健室の常連だったから、入学して1カ月もたたないうちに保健室の先生たちと仲良くなった。
特にさくらが慕っていたのは、葛城美和というまだ30歳くらいの若くて美しい女の先生だった。
葛城先生は、当時鳴神学園に来たばかりだったが、若くてきれいだったで、男子に相当人気があり、保健の先生のことは名前すら知らなくても、葛城先生のことだけは知っている男子生徒は少なくはなく、仮病を使って会いにいく男子もいたとのこと。
葛城先生は、男勝りで気が強かったので、下手な仮病を使う生徒はどんどん追い返していた。
いつも貧血で歩くだけで疲れてしまうさくらを葛城先生は、強い口調で咤激励してくれていて、さくらにとっても心強い存在だったのだろう。
さくらがつらい思いをしてまで学校に通ったのも、そういう理由があったのかもしれない。
残暑も厳しい9月のある日、身体がつらいさくらは、3時限目から保健室に登校した。
さくらが保健室の扉を開けて声を掛けたが、保健の先生は誰もいなかった。
急な用事が入ったのだろうと思い、さくらは勝手にベッドを使わせてもらうと保健室に入ったが、ふと机の引き出しからはみ出ている紙に目が留まった。
→ベッドに行く→以下に分岐
→紙が気になる
さくらは、机の引き出しからはみ出した紙が気になって、破れないようにそーっと引き抜いた。それは一枚のチラシだった。
なんだか、何人もの女の子がコスプレをして写っていた。
アイドルが着ているような派手派手の衣装だが、とにかく肌の露出が多いのが特徴だった。
端っこの方には、手には大きな猫型の手袋をして、頭にケモミミを付け、ほとんど裸同然の水着で写っている女性もいる。
水戸大工町ライヴハウス「ポアトロ・エックス」。学校から割と近い場所にあるライヴハウスのチラシだ。
「ご当地アイトル、ニャンコティーチャーご来店」
その時、突然後ろから手が伸びて、そのチラシをかすめ取った。慌てて振り返ると、葛城先生が真っ赤な顔をして立っていた。
「これは茨城にある地下アイドルのライヴのチラシなの。ちょっと知り合いに頼まれちゃって、仕方なく配布用にもらったの。別に私が興味あるわけじゃないから。そこのところを誤解しないようにね」
なんだかとっても慌てている様子で、そんな様子の先生を見るのがおかしくて、さくらは笑いをこらえるのに必死だった。
「配布用ですか?」
「そうよ、仕方なく配っているのよ、私は」
「じゃあ、私にください」
「駄目よ、絶対に駄目」
「どうしてですか?配布用なんですよね?」
「そうよ、配布用よ。私は別にいらないのよ」
「じゃあ、私、欲しいです」
「駄目よ、こんなもの貰ってもどうしようもないのよ、本当に」
「私、地下アイドルに興味あります。私、そのライヴに行ってみたいです」
「はあ!駄目よ、そんなところ行っちゃ駄目だから。気持ち悪いお客がいっぱいいるから、女子高生がそんなところに行ったら何をされるかわからない。男子トイレに連れ込まれて殺されるかもしれないのよ。危険だから、絶対に行っちゃ駄目よ」
「でも先生は、随分と詳しいんじゃないですか?」
「こんなのは大人の一般常識よ。とにかく、このチラシは捨てますから。とにかく、これだけ話ができるんだから松原さん、元気になったんじゃないの?今日はもう教室にもどりなさい」
そう言って体よく押し切られ、さくらは保健室から押し出された。その後は鍵まで掛けられて。
その後、スマホでニャンコティーチャーのことを調べたんだけど、あまり有名じゃないのか、ほとんど検索には引っかからなかった。
どうやら茨城を中心に活動している地下アイドルで、生年月日は不明、その他ほとんどの情報が不明でよくわからなかった。
それでもYチューブでいくつかの動画を発見してみてみると、彼女の代表曲が「インファーマリーでニャンニャカニャン」ということがわかった。
「インファーマリーって、保健室のことだよね。葛城先生、絶対に怪しい」
それで、さくらはネットで検索して、ニャンコティーチャーが出演する日を調べた。
さくらは、有馬健一をボディガード役にし、いっしょにライヴハウスまでやってきたが、ライヴハウスのボディガードから、鳴神学園の生徒は入場禁止だ、と言われてしまい、仕方なく帰った。
それからすぐに、さくらは持病の貧血がひどくなってしまって、長期入院することになった。
そして、そのまま学校に来ることなく、退学してしまって、今も田舎の施設で療養しながら生活をしている。
だから、葛城先生の地下アイドル疑惑はそれ以降、誰も調査することなく謎のままになっている。
なぜ倉田がこの話を知っているかという、倉田の祖母がさくらと同じ施設に入っており、制服姿で見舞に行ったところ、さくらと知り合い、今の話を教えてくれたから、とのこと。
エンディング数 5/656 達成度0%
エンディング№367:先生は地下アイドル?
キャラクター数 10/112 達成度8%
サムソン
有馬健一
イラスト数 4/272 達成度1%
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
シナリオ:カエルですか?ネズミですか?
松原さくらは、学校が大好きなのに保健室に通っていた。
彼女は生まれつき身体が弱く、重度の貧血で悩んでいた。
なので、中学生の時からほとんど体育も見学だったし、暑い日や寒い日は学校に来られてたとしても一日保健室で過ごしていた。
鳴神学園は生徒数が数千人を超えるため、保健室は小さな病院と思えるほど大きい。
ベッドは全部で十台以上あるし、診察室も3カ所あり、保健室の先生も何人もいる。
保健室の先生は、保健室に行かない限りほとんど関わらないため、入学してから卒業するまで一度も顔を合わせない生徒もいるのだが、さくらは、保健室の常連だったから、入学して1カ月もたたないうちに保健室の先生たちと仲良くなった。
特にさくらが慕っていたのは、葛城美和というまだ30歳くらいの若くて美しい女の先生だった。
葛城先生は、当時鳴神学園に来たばかりだったが、若くてきれいだったで、男子に相当人気があり、保健の先生のことは名前すら知らなくても、葛城先生のことだけは知っている男子生徒は少なくはなく、仮病を使って会いにいく男子もいたとのこと。
葛城先生は、男勝りで気が強かったので、下手な仮病を使う生徒はどんどん追い返していた。
いつも貧血で歩くだけで疲れてしまうさくらを葛城先生は、強い口調で咤激励してくれていて、さくらにとっても心強い存在だったのだろう。
さくらがつらい思いをしてまで学校に通ったのも、そういう理由があったのかもしれない。
残暑も厳しい9月のある日、身体がつらいさくらは、3時限目から保健室に登校した。
さくらが保健室の扉を開けて声を掛けたが、保健の先生は誰もいなかった。
急な用事が入ったのだろうと思い、さくらは勝手にベッドを使わせてもらうと保健室に入ったが、ふと机の引き出しからはみ出ている紙に目が留まった。
→ベッドに行く
→紙が気になる
さくらは、入口から一番近いベッドに向かった。
ベッドは10台以上あったけど、それぞれが白いカーテンで区切られているため、いちいちカーテンを開けて中を確認しなければならなかった。
さくらが、入口から一番近いベッドのカーテンを開けて中を覗くと、一人の女子生徒がすやすやと眠っていた。
さくらは、そっとカーテンを閉め、隣のベッドに行きそっとカーテンを開けたが、そこにも女子生徒が寝ている。
そっとカーテンを閉め、次のベッドへ行きまたカーテンを開けるが、そこにも同じように生徒が寝ている。
9月だというのに今日はとても暑い。この暑さでは熱中症になるのも無理はない。
さくらは次々とベッドを覗いていったが、ベッドは埋まっている。
しかも、そのすべてに青白い顔をした女子生徒が死んだように眠っている。もちろんみんな別人だ。
とうとう最後のベッドを覗いたが、そこも女子生徒が眠っていた。
すべてのベッドが使用されていたのは、今までに一度もなかった。
その時、さくらは突然息苦しさを感じ始めた。この部屋には嫌な気が満ちている。
とにかく窓を開けてこの悪い空気を入れ替えよう。
ふらつく足取りで窓際に立ったが、なぜか窓は開かなかった。
確認しても鍵はかかっていない。それなのに、何か強い見えない力が窓をしっかりと押さえているようで、ビクともしない。
さくらは、めまいを覚え、さすがに立っていられなくない、ソファに腰を下ろした。
葛城先生が、ここで横になって休んでいるのを何度か見たことがあったので、さくらは、ソファに横になり、目を閉じた。
突然、「おいでヨ」と誰かが呼ぶ声がした。
さくらは目を開け、辺りを見回したが、誰の姿もなかった。
もしかしたら、ベッドで寝ていた誰かが目を覚まして、呼んだのかも、と思ったさくらは、ゆっくりと立ち上がってベッドに歩み寄った。
このカーテン、開ける勇気がある?
→開ける
→開けない
さくらがそっとカーテンを開けると、そのベッドには先ほどと全く同じ姿勢のまま生徒が横たわっていた。
本当に生きているのだろうか、と思ったさくらは、生徒の頬に触れようとしたが、冷たい風がさくらの頬を舐め上げたため、手を引っ込めた。
風がどこから来たのかと、さくらが見回すと、窓を覆っているカーテンが風をはらんで大きく膨らんでいた。
その動きは、まるでカーテンの陰に人が隠れていてバタバタと暴れているようだった。
いつの間に窓があいたのだろうか?
さくらは、ゆっくりと窓に近づいていった。
→開ける→エンディング№363:カエルですか?ネズミですか?
→開けない
カーテンに掛けた手を引っ込めたさくらの背後から声が浴びせかけられた。
さくらが振り返ると、葛城先生だった。
「どこかのベッドで休もうと思ったのですが・・・」
「残念だけど、今は全部ベッドが埋まってしまっているの。もしよかったら、このソファ使う?」
→ソファを使う→エンディング№365:本当に命日?
→ベッドで寝ているのは?
→保健室を出る→エンディング№364:松原さくらは何人いるの?
さくらは疑問に思っていることを直接聞いてみることにした。
「あの、ベッドで寝ているのは誰なんでしょうか?」
葛城先生は少し眉をひそめて答えた。
「あなた、ベッドを覗いたの?まあ、ちょっとソファにでも座って。立ち話を続けるのも何でしょう?」
さくらがソファに腰を下ろすと、葛城先生はゆっくりと口を開いた。
実はね、今日はある女の子の命日なの。その子の名前は八戸安蘭さんといってね、写真部に在籍してたのよ。
私がまだこの学園にやってきたばかりの頃、相談に来てね、こんなことを言うのよ。
「先生、私困っているんです。私が写真を撮るとその人が死んでしまうんです。それでその人が幽霊になって現れるんです」
まだ新人の私をからかおうとしてるんだった思って、笑い飛ばしたのよ。
でもね、「本当なんです、お願いです。信じてください」って真に迫った顔で言うもんだから、私もムキになって言っちゃったのよ。
「それじゃあ私を撮ってみなさいよ。それで私が死んだら信じてあげるから」
彼女、困った顔をしていたけど意を決したのかカメラを取り出して。「先生を撮ることができませんから」と言って、自分にカメラを向けてパシャパシャとシャッターを切り始めたの。
そして突然、ばったりと彼女は意識を失ってしまったの。
慌ててベッドに寝かせて、隣接している鳴神病院に連絡したんだけど、彼女、そのまま亡くなってしまったわ。
それでね、それからというもの命日になると、彼女は幽霊になって私の目の前に現れるの。ベッドで寝ているのよ、彼女の幽霊がね。
「でも、先生。ベッドは全部埋まっていましたよ」
「そうよ、彼女、何枚も写真を撮ったでしょ。そのせいかわからないけど、彼女の幽霊は一人じゃないのよ。だからすべてのベッドで寝ているんだけれど、ベッドだけじゃ足りなくてね。あそこのカーテンの陰とか」
先生が指さしたのは、窓際のカーテンだった。
そういえば、さっきあのカーテンがざわざわと揺れていた。きっと窓は閉まっているはずだ。
それなのに、カーテンが揺れていたということは、まさか八戸さんの霊の仕業?
「それから、そのソファなんだけれど、イギリスの公爵が所有していたものなの。それって、素晴らしく美しい赤い色をしているでしょう。それはね、人間の血、公爵は美しいメイドを屋説くと、その度に惨殺してソファに血を吸わしていたんですって。そのおかげでね、そんな美しい色艶になったのよ。でもね、そういう所以のあるソファでしょ、怨霊がとりついているの。だから、そのソファを使うとだるくなったり、余計につかれたりするのよ。うふふ」
言われてソファを見ると、革張りの表面に何やら人の顔のような模様がいくつも浮き出ている。立ち上がろうとしても立ち上がれない。
「でもね、八戸さんがこの部屋で亡くなってから、そんなことがなくなったのよ。理由はこのカメラ」
そう言って葛城先生が取り出したのは年代物の写真機だった。
「これは八戸さんが所有していたカメラ。人を撮ると死んでしまうカメラよ。でも、これって他の使いかたもあったのよね。霊を撮ると、その霊が写真の中に封じ込められるの。おぁげでソファに棲みついている悪霊がおとなしくなってしまったね。写真に吸い取られるのは人間も幽霊も嫌みたい。うふふ」
そう言ってカメラをソファに向けると、確かに表面に浮かんだ人の顔に見える文様がスススッと隠れてしまった。
「それから八戸さんの霊だけど、このカメラがあるおかげで絶対に悪さをしてこないから、安心して横になってちょうだい」
そんな話を聞いてしまったら、恐ろしくてソファで寝られない。
「もう大丈夫です、失礼します」
そして、さくらは急いで保健室を後にした。
それからというもの、さくらはあまり保健室には寄り付かなくなってしまったんだけれど、食事療法を取り入れて、きちんとした食生活を心掛けることで、貧血がよくなったらしい。
それで卒業するころにはすっかり元気になって、今は社会人として元気に生活している。
「ところで、八戸さんが持っていたカメラは、葛城先生が隠していたのよ。それって証拠隠滅だと思うけど、警察にそんな話をしても誰も信用してくれないでしょうね。不思議なカメラだから見せてほしいっていったら、なんと葛城先生、私に預けてくださったのよ。それで私、いつも持ち歩いているんだけどさ。坂上君、見てみたいでしょ?なんじゃさぁ、このカメラって坂上君が持っていたほうが良さそうだね」
「え?なんで僕が?」
「なんかカメラの声が聞こえたっていうか、このカメラは坂上君にもっていてもらいたいような気がする。だから、これ預かったね」
「こんな恐ろしいカメラ、預かれないよ」
「それ葛城先生からの預かりものだから絶対に壊さないでね。それにどうしてもいらなければ、返せばいいだけのことだし」
「うん、わかったよ」
坂上は、とても大事に使われていただろう年代物のカメラを受け取った。
エンディング数 4/656 達成度0%
エンディング№366:霊を取り込むカメラ
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
シナリオ:カエルですか?ネズミですか?
松原さくらは、学校が大好きなのに保健室に通っていた。
彼女は生まれつき身体が弱く、重度の貧血で悩んでいた。
なので、中学生の時からほとんど体育も見学だったし、暑い日や寒い日は学校に来られてたとしても一日保健室で過ごしていた。
鳴神学園は生徒数が数千人を超えるため、保健室は小さな病院と思えるほど大きい。
ベッドは全部で十台以上あるし、診察室も3カ所あり、保健室の先生も何人もいる。
保健室の先生は、保健室に行かない限りほとんど関わらないため、入学してから卒業するまで一度も顔を合わせない生徒もいるのだが、さくらは、保健室の常連だったから、入学して1カ月もたたないうちに保健室の先生たちと仲良くなった。
特にさくらが慕っていたのは、葛城美和というまだ30歳くらいの若くて美しい女の先生だった。
葛城先生は、当時鳴神学園に来たばかりだったが、若くてきれいだったで、男子に相当人気があり、保健の先生のことは名前すら知らなくても、葛城先生のことだけは知っている男子生徒は少なくはなく、仮病を使って会いにいく男子もいたとのこと。
葛城先生は、男勝りで気が強かったので、下手な仮病を使う生徒はどんどん追い返していた。
いつも貧血で歩くだけで疲れてしまうさくらを葛城先生は、強い口調で咤激励してくれていて、さくらにとっても心強い存在だったのだろう。
さくらがつらい思いをしてまで学校に通ったのも、そういう理由があったのかもしれない。
残暑も厳しい9月のある日、身体がつらいさくらは、3時限目から保健室に登校した。
さくらが保健室の扉を開けて声を掛けたが、保健の先生は誰もいなかった。
急な用事が入ったのだろうと思い、さくらは勝手にベッドを使わせてもらうと保健室に入ったが、ふと机の引き出しからはみ出ている紙に目が留まった。
→ベッドに行く
→紙が気になる
さくらは、入口から一番近いベッドに向かった。
ベッドは10台以上あったけど、それぞれが白いカーテンで区切られているため、いちいちカーテンを開けて中を確認しなければならなかった。
さくらが、入口から一番近いベッドのカーテンを開けて中を覗くと、一人の女子生徒がすやすやと眠っていた。
さくらは、そっとカーテンを閉め、隣のベッドに行きそっとカーテンを開けたが、そこにも女子生徒が寝ている。
そっとカーテンを閉め、次のベッドへ行きまたカーテンを開けるが、そこにも同じように生徒が寝ている。
9月だというのに今日はとても暑い。この暑さでは熱中症になるのも無理はない。
さくらは次々とベッドを覗いていったが、ベッドは埋まっている。
しかも、そのすべてに青白い顔をした女子生徒が死んだように眠っている。もちろんみんな別人だ。
とうとう最後のベッドを覗いたが、そこも女子生徒が眠っていた。
すべてのベッドが使用されていたのは、今までに一度もなかった。
その時、さくらは突然息苦しさを感じ始めた。この部屋には嫌な気が満ちている。
とにかく窓を開けてこの悪い空気を入れ替えよう。
ふらつく足取りで窓際に立ったが、なぜか窓は開かなかった。
確認しても鍵はかかっていない。それなのに、何か強い見えない力が窓をしっかりと押さえているようで、ビクともしない。
さくらは、めまいを覚え、さすがに立っていられなくない、ソファに腰を下ろした。
葛城先生が、ここで横になって休んでいるのを何度か見たことがあったので、さくらは、ソファに横になり、目を閉じた。
突然、「おいでヨ」と誰かが呼ぶ声がした。
さくらは目を開け、辺りを見回したが、誰の姿もなかった。
もしかしたら、ベッドで寝ていた誰かが目を覚まして、呼んだのかも、と思ったさくらは、ゆっくりと立ち上がってベッドに歩み寄った。
このカーテン、開ける勇気がある?
→開ける
→開けない
さくらがそっとカーテンを開けると、そのベッドには先ほどと全く同じ姿勢のまま生徒が横たわっていた。
本当に生きているのだろうか、と思ったさくらは、生徒の頬に触れようとしたが、冷たい風がさくらの頬を舐め上げたため、手を引っ込めた。
風がどこから来たのかと、さくらが見回すと、窓を覆っているカーテンが風をはらんで大きく膨らんでいた。
その動きは、まるでカーテンの陰に人が隠れていてバタバタと暴れているようだった。
いつの間に窓があいたのだろうか?
さくらは、ゆっくりと窓に近づいていった。
→開ける→エンディング№363:カエルですか?ネズミですか?
→開けない
カーテンに掛けた手を引っ込めたさくらの背後から声が浴びせかけられた。
さくらが振り返ると、葛城先生だった。
「どこかのベッドで休もうと思ったのですが・・・」
「残念だけど、今は全部ベッドが埋まってしまっているの。もしよかったら、このソファ使う?」
→ソファを使う
→ベッドで寝ているのは?
→保健室を出る→エンディング№364:松原さくらは何人いるの?
さくらはふらふらしていたので、ソファに座らせてもらうことにした。
葛城先生はゆっくりと口を開いた。
実はね、今日はある女の子の命日なの。その子の名前は八戸安蘭さんといってね、写真部に在籍してたのよ。
私がまだこの学園にやってきたばかりの頃、相談に来てね、こんなことを言うのよ。
「先生、私困っているんです。私が写真を撮るとその人が死んでしまうんです。それでその人が幽霊になって現れるんです」
まだ新人の私をからかおうとしてるんだった思って、笑い飛ばしたのよ。
でもね、「本当なんです、お願いです。信じてください」って真に迫った顔で言うもんだから、私もムキになって言っちゃったのよ。
「それじゃあ私を撮ってみなさいよ。それで私が死んだら信じてあげるから」
彼女、困った顔をしていたけど意を決したのかカメラを取り出して。「先生を撮ることができませんから」と言って、自分にカメラを向けてパシャパシャとシャッターを切り始めたの。
そして突然、ばったりと彼女は意識を失ってしまったの。
慌ててベッドに寝かせて、隣接している鳴神病院に連絡したんだけど、彼女、そのまま亡くなってしまったわ。
それでね、それからというもの命日になると、彼女は幽霊になって私の目の前に現れるの。ベッドで寝ているのよ、彼女の幽霊がね。
「でも、先生。ベッドは全部埋まっていましたよ」
「そうよ、彼女、何枚も写真を撮ったでしょ。そのせいかわからないけど、彼女の幽霊は一人じゃないのよ。だからすべてのベッドで寝ているんだけれど、ベッドだけじゃ足りなくてね。あそこのカーテンの陰とか」
先生が指さしたのは、窓際のカーテンだった。
そういえば、さっきあのカーテンがざわざわと揺れていた。きっと窓は閉まっているはずだ。
それなのに、カーテンが揺れていたということは、まさか八戸さんの霊の仕業?
「それから、松原さんが座っているソファ。そこにも3人座っているのよ。何か感じない?」
言われていて気付いた。さくらの両側に誰かが座っている。さっきソファに座ったときにも感じた違和感。
葛城先生の方から覗くように何人もの女子生徒の顔が見えている。
するとそれぞれのベッドのカーテンの向こう側で、むっくりと上半身を起こす人影が動くのが見えた。そして、その人影が一斉にカーテンをそっと開け、そこから顔を覗かせてじっとこっちを見ている。
「松原さん、大丈夫よ、害はないから。ただ、この命日だけは八戸さんに付き合ってあげて。人がいると喜ぶのよ」
そう言うと、保健室にいるすべての八戸さんが一斉に笑った。
そのままさくらは気を失ってしまったんだけれど、命には別条はなかった。
それからというもの、あの命日の日だけは、保健室に近寄らないようにした。
それで無事卒業して、さくらは貧血の症状と戦いながらも頑張って生きている。
ちなみに、命日の日ははっきりとはわからないらしい。
実は他にもあの保健室で幽霊を見たって噂を聞くんだけれど、それは4月だったり、10月だったり様々。
だから、もしかして、あのベッドに寝ている霊は、八戸さんじゃないかもしれない。
葛城先生も意外と謎の多い人じゃない?裏で何をしているのかわからないし、心には不快闇を抱えているかもしれない。
エンディング数 3/656 達成度0%
エンディング№365:本当に命日?
キャラクター数 8/112 達成度7%
八戸安蘭
今日のアパシー鳴神学園七不思議はどうかな?
シナリオ:カエルですか?ネズミですか?
松原さくらは、学校が大好きなのに保健室に通っていた。
彼女は生まれつき身体が弱く、重度の貧血で悩んでいた。
なので、中学生の時からほとんど体育も見学だったし、暑い日や寒い日は学校に来られてたとしても一日保健室で過ごしていた。
鳴神学園は生徒数が数千人を超えるため、保健室は小さな病院と思えるほど大きい。
ベッドは全部で十台以上あるし、診察室も3カ所あり、保健室の先生も何人もいる。
保健室の先生は、保健室に行かない限りほとんど関わらないため、入学してから卒業するまで一度も顔を合わせない生徒もいるのだが、さくらは、保健室の常連だったから、入学して1カ月もたたないうちに保健室の先生たちと仲良くなった。
特にさくらが慕っていたのは、葛城美和というまだ30歳くらいの若くて美しい女の先生だった。
葛城先生は、当時鳴神学園に来たばかりだったが、若くてきれいだったで、男子に相当人気があり、保健の先生のことは名前すら知らなくても、葛城先生のことだけは知っている男子生徒は少なくはなく、仮病を使って会いにいく男子もいたとのこと。
葛城先生は、男勝りで気が強かったので、下手な仮病を使う生徒はどんどん追い返していた。
いつも貧血で歩くだけで疲れてしまうさくらを葛城先生は、強い口調で咤激励してくれていて、さくらにとっても心強い存在だったのだろう。
さくらがつらい思いをしてまで学校に通ったのも、そういう理由があったのかもしれない。
残暑も厳しい9月のある日、身体がつらいさくらは、3時限目から保健室に登校した。
さくらが保健室の扉を開けて声を掛けたが、保健の先生は誰もいなかった。
急な用事が入ったのだろうと思い、さくらは勝手にベッドを使わせてもらうと保健室に入ったが、ふと机の引き出しからはみ出ている紙に目が留まった。
→ベッドに行く
→紙が気になる
さくらは、入口から一番近いベッドに向かった。
ベッドは10台以上あったけど、それぞれが白いカーテンで区切られているため、いちいちカーテンを開けて中を確認しなければならなかった。
さくらが、入口から一番近いベッドのカーテンを開けて中を覗くと、一人の女子生徒がすやすやと眠っていた。
さくらは、そっとカーテンを閉め、隣のベッドに行きそっとカーテンを開けたが、そこにも女子生徒が寝ている。
そっとカーテンを閉め、次のベッドへ行きまたカーテンを開けるが、そこにも同じように生徒が寝ている。
9月だというのに今日はとても暑い。この暑さでは熱中症になるのも無理はない。
さくらは次々とベッドを覗いていったが、ベッドは埋まっている。
しかも、そのすべてに青白い顔をした女子生徒が死んだように眠っている。もちろんみんな別人だ。
とうとう最後のベッドを覗いたが、そこも女子生徒が眠っていた。
すべてのベッドが使用されていたのは、今までに一度もなかった。
その時、さくらは突然息苦しさを感じ始めた。この部屋には嫌な気が満ちている。
とにかく窓を開けてこの悪い空気を入れ替えよう。
ふらつく足取りで窓際に立ったが、なぜか窓は開かなかった。
確認しても鍵はかかっていない。それなのに、何か強い見えない力が窓をしっかりと押さえているようで、ビクともしない。
さくらは、めまいを覚え、さすがに立っていられなくない、ソファに腰を下ろした。
葛城先生が、ここで横になって休んでいるのを何度か見たことがあったので、さくらは、ソファに横になり、目を閉じた。
突然、「おいでヨ」と誰かが呼ぶ声がした。
さくらは目を開け、辺りを見回したが、誰の姿もなかった。
もしかしたら、ベッドで寝ていた誰かが目を覚まして、呼んだのかも、と思ったさくらは、ゆっくりと立ち上がってベッドに歩み寄った。
このカーテン、開ける勇気がある?
→開ける
→開けない
さくらがそっとカーテンを開けると、そのベッドには先ほどと全く同じ姿勢のまま生徒が横たわっていた。
本当に生きているのだろうか、と思ったさくらは、生徒の頬に触れようとしたが、冷たい風がさくらの頬を舐め上げたため、手を引っ込めた。
風がどこから来たのかと、さくらが見回すと、窓を覆っているカーテンが風をはらんで大きく膨らんでいた。
その動きは、まるでカーテンの陰に人が隠れていてバタバタと暴れているようだった。
いつの間に窓があいたのだろうか?
さくらは、ゆっくりと窓に近づいていった。
→開ける→エンディング№363:カエルですか?ネズミですか?
→開けない
カーテンに掛けた手を引っ込めたさくらの背後から声が浴びせかけられた。
さくらが振り返ると、葛城先生だった。
「どこかのベッドで休もうと思ったのですが・・・」
「残念だけど、今は全部ベッドが埋まってしまっているの。もしよかったら、このソファ使う?」
→ソファを使う
→ベッドで寝ているのは?
→保健室を出ていく
「今日は教室に戻ります。どうしても気分が悪くなったら、また来ますんで」と言って、さくらは教室に戻ることにしたが、どうしても辛くて、途中で座り込んでしまった。
そこに通りかかった桃瀬先生が心配して声を掛けてきた。
さくらは限界だったため、桃瀬先生に支えられて保健室に戻り、そそまま葛城先生に抱きかかえられて意識を失った。
そして意識が戻った時、どこかのベッドに寝かされており、誰かにのぞき込まれているのを感じた。
目を閉じていてもはっきりとわかる。自分をのぞき込んでいるのは、自分だった。
ここは保健室のベッド。そこに寝かされている自分、なのに、その自分を見下ろしているもう一人の自分がいる。
彼女が去っていく気配を感じて、さくらはゆっくりと目を開けた。
その時、仕切られたカーテンの向こうで、葛城先生の声が聞こえてきた。
「はい、順調です。被検体、松原さくらのクローン培養には今回も成功しました。彼女は体が弱く保健室登校ですから、しばらくの間、彼女でクローン培養はできると思いますよ」
「さくらさん」
誰かが近づいてきた。
さくらは、慌てて目を閉じて眠っている振りをした。
カーテンが開いて声がした。
「松原さくらさん、起きてください」
さくらはやっと目が覚めたように静かにゆっくりと目を開けた。
目の前には、白い衣服を着た見慣れない男性が立っていた。
「私は、鳴神学園附属総合病院に勤務している高柳稔です。松原さくらさん、ご気分はいかかがですか?」
鳴神病院にまつわる怖い話は何度も聞いたことあるさくらは、強制入院になったらどうしようと、嫌な予感がした。
「気分は・・・いいです」と、さくらはできる限りの愛想笑いを浮かべて答えた。
すると高柳先生はにっこりと微笑んで、「それは良かった。もう放課後なので、気分が良ければいつでもご帰宅されても大丈夫ですよ」と言った。
葛城先生も「遅くならないうちに帰りなさい。それとも、誰か家族に迎えにきてもらおうか?」と声をかけてくれたが、さくらは、「一人で帰れます」と答えて、ベッドから飛び起きて、保健室を逃げるように後にした。
それから、さくらはできる限り保健室には近づかないようにした。
今まではたくさんあった好き嫌いもなくして、何でも食べるようにして、健康であることを心掛けた。
それからというもの、さくらは少しずつ元気になり、無事に卒業した。
でも、さくらはいつも自分そっくりの人間に合わないかとびくびくしている。
だって、さくらのクローンがどれだけ作られていたのかわからないから。
エンディング数 2/656 達成度0%
エンディング№364:松原さくらは何人いるの?
キャラクター数 7/112 達成度6%
高柳稔
桃瀬毬絵
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