チラシの裏~弐位のゲーム日記
社会人ゲーマーの弐位のゲームと仕事とブログペットのことをつづった日記

 今日の428 ~封鎖された渋谷で~の体験版はどうかな?


 亜智 10:00-11:00


 遠藤亜智は、父親の大介に一声かけて玄関へ向かった。
 玄関の脇の引き出しを開けると、大量のゴミ袋が入っており、適当に何枚かを取り出し、それをポケットに押し込むと、お気に入りのスニーカーを履いた。
 亜智の家は玄関から店内へとつながっている。
 狭い店内には電化製品がガラクタのように積まれていた。
 渋谷駅から109の脇を抜け、道玄坂を登っていくと見えてくる古びた商店街の外れで、遠藤電気店は何十年もこじんまりと店を構えてきた。
 家電の大型量販店が渋谷に進出してから、値段と品ぞろえでは太刀打ちできなくなった。それでも経営が成り立っているのは、こまめな出張修理を行うことで、地元の人たちに重宝がられてきたからだ。
 ところがここにきて将来の雲行きが怪しくなってきた。跡継ぎともいえる長男の亜智にまったく働く気がなかったからである。
 亜智は周囲をきょろきょろと見渡しながら、渋谷駅のほうにゆっくりと歩き出した。


 亜智は、道端に捨てられたペッドボトルを拾って、ゴミ袋に入れた。
 半年ほど前からこんな風に街のゴミ拾いを続けている。
 「すみません、いそいでいるので」と女性の声が聞こえてきた。
 亜智が声のしたほうを見ると、おとなしそうな女性がホスト風の男たちに捕まっている。どうやらキャバクラのスカウトのようだ。
 目の前の落ちているゴミとトラブルを亜智は拾わずにはいられない。
 「なあ、彼女、嫌がっているみたいだけど?」
 亜智は女性とホストの間に割って入った。
 「なんなの、お前?」
 ホストたちは面倒くさそうに亜智を見た。
 「彼女嫌がってんじゃん。かわいそうだから、他あたんなよ」
 「おい、兄ちゃん。ナメた口きくじゃん」
 「ちょっと静かなとこ行くか?」


 TIPS:静かなとこ


 場所のイメージを口にする人によって変わる。女性が「静かなところへ行きたい」と言えば、喫茶店や公園という感じだろう。ところが、チンピラ風の男が言えば、いきなり人通りのなり裏道になる。


 茶髪のホストが亜智をにらみつけた。
 スカウトされていた女性は、おろおろしている。
 「口の利き方なら謝るからさ」
 「それが謝る態度か?土下座だ、土下座」
 茶髪の男が、噛んでいたガムを道端に吐き捨てた。
 「おい、拾えよ、それ」
 「うっせえよ、いいから土下ざqwer」
 亜智の手が茶髪の顎をつかんでいた。
 「おい、てめえ!」
 もう一人のホストがあわててわめく。
 亜智は力強く茶髪の顎を握りしめた。
 茶髪は必死に抵抗しようとするが、亜智の手は締め付ける力をさらに増していく。
 「ガムってのは、道にこびりついて片付けるのがすげえ手間なんだよ。」
 「あんた、もしかして・・・そのシャツ、エコ吉!」
 ホストの顔がみるみると青ざめる。
 「すみません!亜智さん、スよね?俺ら全然気がつかなくって・・・勘弁してください!」
 ホストは素早く落ちているガムを拾うと、そのままズボンのホケットに突っ込んだ。
 ようやく亜智は茶髪の顎から手を離した。
 ホストたちはヘコヘコと亜智に詫びを入れ、逃げるように去っていった。
 「助かりました」
 絡まれたいた女性が、ニコリと笑顔を見せて礼を言った。


 TIPS:女性


 柿沼涼子(かきぬまりょうこ)。緑山学院大学法学部の2年生。
 バイト先の喫茶店に向かう途中でホスト風の男たちに捕まってしまった。
 ちなみにホストといえば携帯小説の主人公が恋におちる相手として定番だが、実際は定番どころか稀である。


 「たまにあんなものいるけど、渋谷のこと、嫌いにならねぇでくれよな」
 「はぁ・・・」
 亜智は女性に軽く手を振ると、また道玄坂を歩き出した。
 亜智にとって、渋谷は生まれ育った街だった。すべて自分の庭のように知り尽くしている。
 そんな愛着ある街だからこそ、ゴミや争いごとにまみれるのはガマンならなかった。


 亜智は坂を下りきると渋谷駅へと向かった。
 駅前の交差点では大勢の人たちが行きかっていて、一秒たりとも風景がじっとしていることがない。
 「俺はこの街の白血球になりてぇ・・・いや赤血球か?あれ、どっちだっけ?」
 体内に侵入してくる異物を攻撃して排除するのは白血球で、赤血球は酸素を体中に運ぶ役割を持っている。亜智がなりたいのは、白血球のほうだろう。
 考え込みながら歩いていると、渋谷駅のハチ公前にひと際目立つ女の子を見かけた。


 「モロタイプ」と亜智は心の中でつぶやいた。


 TIPS:モロ


 「諸に」から来ている副詞。直接に、まともに、完全になどの意味で用いられる。
 「モロタイプ」というのは「完全に自分の好みである」という意味。


 「待ち合わせの相手は男だろな」
 しゃがみこんでゴミ袋の口を結びながら、ばんやりと女の子を眺めてみると、妙なことに気付いた。
 女の子は会社員が持つようなアタッシュケースを持っている。アタッシュケースは見るからに重そうで、女の子は両手で必死に持っている。


 A:「あんなもの持たせたまま、女の子を待たせるんじゃねーよ」
 亜智は代わりに持ってやろうかと思った。


 B:「とりあえず、このゴミ捨てるか」
 近くにゴミ箱がないか探した。


 加納 10:30 不審な男


 「来たわよ!黒いコート、外国人!30代前半!」
 イヤホンから久瀬の興奮した声が飛び込んできた。
 ひとみから5メートルほど離れたあたりから、無表情な外国人が近づいてくる。
 外国人がアタッシュケースを受け取った。
 刑事たちが一斉に外国人との距離を詰める。
 ところが次の瞬間、思わぬ事態が起こった。アタッシュケースを抱えた外国人が突然向きを変え、加納たちに向かって走ってきたのである。


 keep out


 亜智 10:30 女の子に近づく?


 A:「あんなもの持たせたまま、女の子を待たせるんじゃねーよ」
 亜智は代わりに持ってやろうかと思った。


 B:「とりあえず、このゴミ捨てるか」
 近くにゴミ箱がないか探した。


 女の子に男が近づいてきた。黒い服を来た外国人で、何やら女の子と会話しており、女の子は小さくうなづいていた。
 女の子はアタッシュケースを外国人に手渡し、外国人はアタッシュケースを右手に持ち、足早に歩いていく。
 それをきっかけにするかのように、近くにいたホームレス風の男が亜智を突き飛ばして走り出した。
 その隣に並んで走るスーツ姿の若い男。(ここからjumpして加納 10:30を出現させる)
 (亜智編に戻る)あちこちから男たちが走り出してきた。


 TIPS:ホームレス風の男


 渋谷署の刑事である笹山裕二。張り込みの際には決まって妙な変装をしてくるので、コスプレ刑事の異名を持つ。加納慎也とコンビを組み、誘拐事件の捜査にあたっている。


 すぐに男たちは人ごみにまぎれてしまった。
 あれだけの人数でおいかければ、すぐに外国人は捕まってしまうだろう。
 そうだ、あの女の子は?


 亜智が振り返ると女の子はまだその場にいた。


 A:なにやら物騒な雰囲気がする。
 話しかけて事情で聞いてみよう。


 B:どうせ映画かドラマのロケだろう。気にすることはない。

 
 加納 10:30


 加納と笹山が転がるように駆けだす。
 ところが次の瞬間、思わぬ事態が起こった。アタッシュケースを抱えた外国人が突然向きを変え、加納たちに向かって走ってきたのである。
 外国人はためらくことなく赤信号中の交差点に飛び込んでいった。
 同じように交差点に突入したのは加納だけだった。
 怒声とクラクションを背中に浴びながら、加納は外国人に迫っていく。
 「待って、加納!確保しちゃだめ!」
 イヤホンから久瀬の声が響いた。
 「しばらく泳がせて!本ボシは別にいるわ!」


 TIPS:本ボシ


 事件の犯人のことを「ホシ」といい、中でも主犯格の人物のことを「本ボシ」という。読み方は「ほんぼし」。


 「捕捉班。外国人の尾行を続行。鑑識班は写真の照合、急いで!」


 TIPS:捕捉班


 犯人の捕捉を専従にする班。誘拐事件など現在進行の事件の場合、捜査陣は役割を細かく分担し、事態の推移に合わせた行動が求められる。突入や犯人確保などは、警視庁捜査一課の生え抜き捜査員が担当するのが一般的らしい。


 TIPS:鑑識班


 警視庁から派遣された鑑識課員などで構成されている班。指紋の採取や照合、被疑者写真の分析などの鑑識作業を担当する。


 デカの心得・その12 常に最悪の状況を想定して行動せよ


 久瀬が犯人を泳がせろと言えるのは、捜査陣の配置に自信があるからなのだろう。
 しかし、もし犯人が捜査網を突破して身代金を入手する方法を用意していたら・・・


 A:このまま泳がせるのはリスクが高すぎる。
 追って捕まえるしかない!


 B:いや、追跡はほかの捜査員に任せて、自分は別のことをやるべきだ。


 後続の刑事に外国人が逃げた方向を伝え、加納は追跡を打ち切った。
 とりあえず、自分の持ち場へと加納はスクランブル交差点に戻った。
 ひとみは相変わらず引き渡し場所に立ち、心配そうに外国人が逃げた方向を見つめていた。
 加納は小走りに大沢ひとみに駆け寄った。
 その時、男の叫び声とともに背後から不意の攻撃を食らった。
 突拍子もない出来事に、加納は反射的にキレた。
 あちこちから迷惑そうな目が加納たちに注がれている。
 まずい、と加納は思い若者から離れ、すぐにひとみに目をやった。
 いない・・・
 久瀬の乗る指揮車両も姿を消している。現場はすでに次の場所へと移行したのだ。
 完全に事件の捜査から取り残されてしまった。
 無線も通じない。若者との喧嘩に夢中で、周波数の変更を聞きそびれたのだ。
 周りを見渡すが、もう若者の姿は見つからなかった。
 アタッシュケースも、ひとみも、若者も、みんな見失ってしまった・・・
 加納は立ち尽くしていた。今、頭の中は・・・辞表の書き出しを何にするかでいっぱいだった。


 BAD END No.02 犯人を見失う


 ヒント:ひとみに駆け寄ろうとした加納は、亜智ともみ合いになり、ひとみの姿を見失ってしまった。加納が犯人を追っていたら、こんなことにはならなかっただろう。タイムチャートで加納の10:30に戻って、選択肢を選び直してみよう。

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